特許第6385677号(P6385677)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385677
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】基板加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20180827BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20180827BHJP
   H01L 27/12 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   H01L21/02 C
   H01L21/304 622J
   H01L27/12 B
【請求項の数】19
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-7690(P2014-7690)
(22)【出願日】2014年1月20日
(65)【公開番号】特開2014-146793(P2014-146793A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2017年1月20日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0008695
(32)【優先日】2013年1月25日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 忠 善
(72)【発明者】
【氏名】金 晶 ▲カン▼
(72)【発明者】
【氏名】崔 光 ▲チュル▼
(72)【発明者】
【氏名】姜 芸 ▲ビョン▼
(72)【発明者】
【氏名】李 全 一
【審査官】 工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0329249(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0221598(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/118700(WO,A1)
【文献】 特表2014−514728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/02
H01L21/304
H01L21/683
H01L21/78
H01L27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板とキャリヤとの間に前記基板と前記キャリヤとを結合するために、第1表面及び第1表面に対向する第2表面を有する熱硬化性接着膜と前記熱硬化性接着膜の第1表面上に提供され基板の表面と接触する第1剥離膜と第2表面上に直に提供されキャリヤの表面に接触する第2剥離膜とを含む結合膜を提供する段階と、
前記キャリヤによって前記基板が支持された状態で前記基板を加工する段階と、
前記結合膜を除去して前記基板を前記キャリヤから分離する段階と、を有し、
前記結合膜を提供する段階は、
前記基板上に第1熱硬化性物質を提供して前記第1剥離膜を形成する段階と、
前記キャリヤ上に第2熱硬化性物質を提供して前記第2剥離膜を形成する段階と、
前記基板及び前記キャリヤの中で少なくともいずれか1つの上に第3熱硬化性物質を提供して前記熱硬化性接着膜を形成する段階と、を含み、
前記第1剥離膜を形成する段階は、
シリコンを含む前駆体を前記基板上にコーティングして前駆体膜を形成する段階と、
化学気相蒸着で前記前駆体膜上にシリコンを含む蒸着膜を形成する段階と、を含み、
前記基板を前記キャリヤから分離する段階は、
前記熱硬化性接着膜の側面に物理的な接触方法でクラックを形成する段階を含み、
前記基板は前記基板の表面に形成された複数のバンプを含み、
前記第1剥離膜は前記複数のバンプ及び前記複数のバンプ間の前記基板の表面の上に形成され、
前記熱硬化性接着膜の側面は前記熱硬化性接着膜の第1表面及び第2表面に接続されることを含むことを特徴とする基板加工方法。
【請求項2】
前記基板と前記結合膜との間の結合力は前記キャリヤと前記結合膜との間の結合力に比べて大きいことを特徴とする請求項1に記載の基板加工方法。
【請求項3】
前記前駆体は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)とヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)とを含み、
前記化学気相蒸着は前記ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を反応ガスとして使用して行うことを特徴とする請求項に記載の基板加工方法。
【請求項4】
前記第2剥離膜を形成する段階は、
ポリジメチルシロキサン(PDMS)とヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)とを含む前駆体を前記キャリヤ上にコーティングして前駆体膜を形成する段階と、
前記ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)と酸素を反応ガスとして使用した化学気相蒸着で前記前駆体膜上に蒸着膜を形成する段階と、を含むことを特徴とする請求項に記載の基板加工方法。
【請求項5】
前記熱硬化性接着膜を形成する段階は、
前記第1剥離膜と前記第2剥離膜との中で少なくとも1つ上にシロキサン(siloxane)或いは前記シロキサンを含む熱硬化性物質をコーティングする段階を含むことを特徴とする請求項に記載の基板加工方法。
【請求項6】
前記結合膜を提供する段階は、
前記第1及び第2剥離膜と前記熱硬化性接着膜を硬化させる段階をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の基板加工方法。
【請求項7】
前記基板を前記キャリヤから分離する段階は、
前記キャリヤを前記熱硬化性接着膜から分離する段階と、
前記熱硬化性接着膜をプラズマ処理する段階と、
前記熱硬化性接着膜を前記基板から分離する段階と、
前記基板を洗浄する段階と、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の基板加工方法。
【請求項8】
前記熱硬化性接着膜をプラズマ処理する段階は、
酸素、窒素、アルゴンの中で少なくともいずれか1つを含むプラズマで前記第2剥離膜の残留物を前記熱硬化性接着膜から除去する段階を含むことを特徴とする請求項に記載の基板加工方法。
【請求項9】
前記結合膜を提供する段階は、
前記基板上に第1熱硬化性物質を提供して前記第1剥離膜を形成し、そして前記基板の縁を露出させる段階と、
前記キャリヤ上に第2熱硬化性物質を提供して前記第2剥離膜を形成し、そして前記キャリヤの縁を露出させる段階と、
前記基板及び前記キャリヤの中で少なくともいずれか1つ上に第3熱硬化性物質を提供して前記熱硬化性接着膜を形成する段階と、を含み、
前記熱硬化性接着膜は、前記基板及び前記キャリヤの露出された縁と接触することを特徴とする請求項1に記載の基板加工方法。
【請求項10】
基板上に直に熱硬化性第1剥離膜を形成する段階と、
キャリヤ上に熱硬化性第2剥離膜を形成する段階と、
前記基板と前記キャリヤとの間に前記基板を前記キャリヤに結合するために、第1表面が前記熱硬化性第1剥離膜に接着され前記第1表面と対向する第2表面が前記熱硬化性第2剥離膜と直に接着される熱硬化性接着膜を提供する段階と、
前記キャリヤによって支持された状態で前記基板を薄形化する段階と、
前記キャリヤを前記薄形化された基板から分離する段階と、
記熱硬化性接着膜上の前記熱硬化性第2剥離膜を除去するために、前記熱硬化性接着膜をプラズマ処理する段階と、
前記熱硬化性接着膜を前記薄形化された基板から分離する段階と、
前記薄形化された基板から前記熱硬化性第1剥離膜を除去する段階と、を有し、
前記熱硬化性第1剥離膜を形成する段階は、
シリコンを含む前駆体を前記基板上にコーティングして前駆体膜を形成する段階と、
化学気相蒸着で前記前駆体膜上にシリコンを含む蒸着膜を形成する段階と、を含み、
前記キャリヤを前記薄形化された基板から分離する段階は、
前記熱硬化性接着膜の側面にクラックを形成するために前記熱硬化性接着膜の側面に物理的な応力を加える段階と、
前記熱硬化性接着膜から前記キャリヤを分離する段階と、を含むことを特徴とする基板加工方法。
【請求項11】
前記基板を薄形化する段階は、
前記基板の中で前記熱硬化性第1剥離膜が形成された第1面の反対面である第2面をリセスする段階を含み、
前記薄形化された基板のリセスされた第2面を通じて前記基板に含まれた少なくとも一つの貫通電極が露出されることを特徴とする請求項10に記載の基板加工方法。
【請求項12】
前記熱硬化性第1剥離膜と前記熱硬化性第2剥離膜との中で少なくともいずれか1つは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)とヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)との中で少なくともいずれか1つを含み、前記熱硬化性接着膜は、シロキサン(siloxane)を含むことを特徴とする請求項10に記載の基板加工方法。
【請求項13】
前記基板の上に複数のバンプを形成する段階をさらに含み、
前記熱硬化性第1剥離膜は直に前記複数のバンプ及び基板の上に形成され、
前記基板は、複数個のバンプと前記バンプと電気的に連結された複数個の貫通電極を含む半導体ウエハであり、そして前記キャリヤは、前記基板と同一な物質或いはガラスを含むことを特徴とする請求項10に記載の基板加工方法。
【請求項14】
前記熱硬化性第1剥離膜を除去する段階は、前記薄形化された基板を洗浄する段階を含むことを特徴とする請求項10に記載の基板加工方法。
【請求項15】
熱硬化性接着膜と熱硬化性接着膜に直に結合され基板の第1面に結合される第1剥離膜と熱硬化性接着膜に直に結合されキャリヤの第1面に直に結合される第2剥離膜とを含み、前記基板との結合力が前記キャリヤとの結合力に比べて大きい結合膜を提供する段階と、
前記結合膜が前記基板と結合され、前記キャリヤが前記結合膜に結合された状態で、前記基板の前記第1面の反対面である前記基板の第2面を加工する段階と、
前記基板から前記結合膜を除去する段階と、を有し、
第1剥離膜は直に前記基板の第1面及び前記基板の第1面上に形成された複数のバンプに結合され、
前記複数のバンプは直に前記基板の貫通電極に接続され、
前記結合膜を除去する段階は、
前記熱硬化性接着膜の側面に物理的な接触方法で前記結合膜から前記キャリヤを分離するためのクラックを形成する段階と、
前記結合膜から前記キャリヤを分離した後に前記基板から少なくとも前記第2剥離膜と前記熱硬化性接着膜とを除去する段階と、を含み、
前記熱硬化性接着膜の側面は前記熱硬化性接着膜の第1表面及び第2表面に接続されることを含むことを特徴とする基板加工方法。
【請求項16】
前記第1及び第2剥離膜は、熱硬化性物質を含むことを特徴とする請求項15に記載の基板加工方法。
【請求項17】
前記結合膜を提供する段階は、
前記結合膜を熱に露出させて前記結合膜を強化させる段階を含むことを特徴とする請求項16に記載の基板加工方法。
【請求項18】
前記熱硬化性接着膜は、前記基板の縁と前記キャリヤの縁との中で少なくともいずれか1つに直接的に結合されることを特徴とする請求項15に記載の基板加工方法。
【請求項19】
前記クラックを形成する段階は、
前記熱硬化性接着膜の側面にブレードにより衝撃を加える段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の基板加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板加工方法に係り、より具体的には基板を薄型化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体工程において、バックラップ(back lap)工程等でシリコンウエハのような基板の厚さを薄く加工するために、基板を支持できるキャリヤを接着膜と剥離膜とを利用して基板に結合することが一般的である。紫外線(UV)硬化形接着剤を使用するために接着剤にUVを照射しなければならないが、UV照射によって基板に損傷が加わる恐れがある。熱可塑性接着剤を利用すると、接着剤の熱的安定性が低下して高温工程に適用できない問題点がある。したがって、基板に損傷を加えることなく高温工程で安定性があるようにキャリヤを基板に結合できる方法が必要性となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8,313,982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上述した従来技術で要求される必要性に応えるために案出されたものであって、本発明の目的はキャリヤが基板に熱的安定性を、持って結合できる基板加工方法を提供することである。
本発明の他の目的はキャリヤを基板から容易に分離できる基板加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するための本発明による基板加工方法は接着膜と剥離膜を熱硬化性物質で形成することを特徴とする。本発明は接着膜の両面に剥離膜を形成することを他の特徴とする。本発明は物理的な方法でキャリヤと接着膜とを基板から分離することをその他の特徴とする。本発明は基板に形成された剥離膜を化学的な方法で除去することをその他の特徴とする。
【0006】
前記特徴を具現できる本発明の一実施形態による基板加工方法は、基板とキャリヤとの間に前記基板と前記キャリヤとを結合するために、第1表面及び第1表面に対向する第2表面を有する熱硬化性接着膜と前記熱硬化性接着膜の第1表面上に提供され基板の表面と接触する第1剥離膜と第2表面上に直に提供されキャリヤの表面に接触する第2剥離膜とを含む結合膜を提供する段階と、前記キャリヤによって前記基板が支持された状態で前記基板を加工する段階と、前記結合膜を除去して前記基板を前記キャリヤから分離する段階と、を有し、前記結合膜を提供する段階は、前記基板上に第1熱硬化性物質を提供して前記第1剥離膜を形成する段階と、前記キャリヤ上に第2熱硬化性物質を提供して前記第2剥離膜を形成する段階と、前記基板及び前記キャリヤの中で少なくともいずれか1つの上に第3熱硬化性物質を提供して前記熱硬化性接着膜を形成する段階と、を含み、前記第1剥離膜を形成する段階は、シリコンを含む前駆体を前記基板上にコーティングして前駆体膜を形成する段階と、化学気相蒸着で前記前駆体膜上にシリコンを含む蒸着膜を形成する段階と、を含み、前記基板を前記キャリヤから分離する段階は、前記熱硬化性接着膜の側面に物理的な接触方法でクラックを形成する段階を含み、前記基板は前記基板の表面に形成された複数のバンプを含み、前記第1剥離膜は前記複数のバンプ及び前記複数のバンプ間の前記基板の表面の上に形成され、前記熱硬化性接着膜の側面は前記熱硬化性接着膜の第1表面及び第2表面に接続されることを包含することができる。
【0007】
一実施形態の方法において、前記基板と前記結合膜との間の結合力は前記キャリヤと前記結合膜との間の結合力に比べて大きくなり得る
【0009】
一実施形態の方法において、前記前駆体は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)とヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)とを含み、
前記化学気相蒸着は前記ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を反応ガスとして使用して行うことができる。
【0010】
一実施形態の方法において、前記第2剥離膜を形成する段階は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)とヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)とを含む前駆体を前記キャリヤ上にコーティングして前駆体膜を形成する段階と、前記ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)と酸素を反応ガスとして使用した化学気相蒸着で前記前駆体膜上に蒸着膜を形成する段階と、を包含することができる。
【0011】
一実施形態の方法において、前記熱硬化性接着膜を形成する段階は、前記第1剥離膜と前記第2剥離膜との中で少なくとも1つ上にシロキサン(siloxane)或いは前記シロキサンを含む熱硬化性物質をコーティングする段階を包含することができる。
一実施形態の方法において、前記結合膜を提供する段階は、前記第1及び第2剥離膜と前記熱硬化性接着膜とを硬化させる段階をさらに含むことができる。
【0012】
一実施形態の方法において、前記基板を前記キャリヤから分離する段階、前記キャリヤを前記熱硬化性接着膜から分離する段階と、前記熱硬化性接着膜をプラズマ処理する段階と、前記熱硬化性接着膜を前記基板から分離する段階と、前記基板を洗浄する段階と、さらに包含することができる。
一実施形態の方法において、前記熱硬化性接着膜をプラズマ処理する段階は、酸素、窒素、アルゴンの中で少なくともいずれか1つを含むプラズマによって前記第2剥離膜の残留物を前記熱硬化性接着膜から除去する段階を包含することができる。
【0014】
一実施形態の方法において、前記結合膜を提供する段階は、前記基板上に第1熱硬化性物質を提供して前記第1剥離膜を形成し、そして前記基板の縁を露出させる段階と、前記キャリヤ上に第2熱硬化性物質を提供して前記第2剥離膜を形成し、そして前記キャリヤの縁を露出させる段階と、前記基板及び前記キャリヤの中で少なくともいずれか1つ上に第3熱硬化性物質を提供して前記熱硬化性接着膜を形成する段階と、を包含することができる。
前記熱硬化性接着膜は、前記基板及び前記キャリヤの露出された縁と接触することができる。
【0015】
前記特徴を具現できる本発明の他の実施形態による基板加工方法は、基板上に直に熱硬化性第1剥離膜を形成する段階と、キャリヤ上に熱硬化性第2剥離膜を形成する段階と、前記基板と前記キャリヤとの間に前記基板を前記キャリヤに結合するために、第1表面が前記熱硬化性第1剥離膜に接着され前記第1表面と対向する第2表面が前記熱硬化性第2剥離膜と直に接着される熱硬化性接着膜を提供する段階と、前記キャリヤによって支持された状態で前記基板を薄形化する段階と、前記キャリヤを前記薄形化された基板から分離する段階と、前記熱硬化性接着膜上の前記熱硬化性第2剥離膜を除去するために、前記熱硬化性接着膜をプラズマ処理する段階と、前記熱硬化性接着膜を前記薄形化された基板から分離する段階と、前記薄形化された基板から前記熱硬化性第1剥離膜を除去する段階と、を有し、前記熱硬化性第1剥離膜を形成する段階は、シリコンを含む前駆体を前記基板上にコーティングして前駆体膜を形成する段階と、化学気相蒸着で前記前駆体膜上にシリコンを含む蒸着膜を形成する段階と、を含み、前記キャリヤを前記薄形化された基板から分離する段階は、前記熱硬化性接着膜の側面にクラックを形成するために前記熱硬化性接着膜の縁に物理的な応力を加える段階と、前記熱硬化性接着膜から前記キャリヤを分離する段階と、を包含することができる。
【0016】
他の実施形態の方法において、前記基板を薄化する段階は、前記基板の中で前記熱硬化性第1剥離膜が形成された第1面の反対面である第2面をリセスする段階を包含することができる。前記薄形化された基板のリセスされた第2面を通じて前記基板に含まれた少なくとも一つの貫通電極が露出され得る。
他の実施形態の方法において、前記熱硬化性第1剥離膜と前記熱硬化性第2剥離膜との中で少なくともいずれか1つは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)とヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)との中で少なくともいずれか1つを包含することができる。前記熱硬化性接着膜は、シロキサン(siloxane)を包含することができる。
【0017】
他の実施形態の方法において、前記基板の上に複数のバンプを形成する段階をさらに含み、前記熱硬化性第1剥離膜は直に前記複数のバンプ及び基板の上に形成され、前記基板は、複数個のバンプと前記バンプと電気的に連結された複数個の貫通電極を含む半導体ウエハであり得る。前記キャリヤは、前記基板と同一な物質或いはガラスを包含することができる。
他の実施形態の方法において、前記熱硬化性第1剥離膜を除去する段階は、前記薄形化された基板を洗浄する段階を包含することができる。
【0018】
前記特徴を具現できる本発明のその他の実施形態による基板加工方法は、熱硬化性接着膜と熱硬化性接着膜に直に結合され基板の第1面に結合される第1剥離膜と熱硬化性接着膜に直に結合されキャリヤの第1面に直に結合される第2剥離膜とを含み、前記基板との結合力が前記キャリヤとの結合力に比べて大きい結合膜を提供する段階と、前記結合膜が前記基板と結合され、前記キャリヤが前記結合膜に結合された状態で、前記基板の前記第1面の反対面である前記基板の第2面を加工する段階と、前記基板から前記結合膜を除去する段階と、を有し、第1剥離膜は直に前記基板の第1面及び前記基板の第1面上に形成された複数のバンプに結合され、前記複数のバンプは直に前記基板の貫通電極に接続され、前記結合膜を除去する段階は、前記熱硬化性接着膜の側面に物理的な接触方法で前記結合膜から前記キャリヤを分離するためのクラックを形成する段階と、前記結合膜から前記キャリヤを分離した後に前記基板から少なくとも前記第2剥離膜と前記熱硬化性接着膜とを除去する段階と、を含み、前記熱硬化性接着膜の側面は前記熱硬化性接着膜の第1表面及び第2表面に接続されることを包含することができる。
【0019】
その他の実施形態の方法において、前記第1及び第2剥離膜は、熱硬化性物質を包含することができる。
その他の実施形態の方法において、前記結合膜を提供する段階は、前記結合膜を熱に露出させて前記結合膜を強化させる段階を包含することができる
【0020】
の他の実施形態の方法において、前記熱硬化性接着膜は、前記基板の縁と前記キャリヤの縁との中で少なくともいずれか1つに直接的に結合され得る。
前記クラックを形成する段階は、前記熱硬化性接着膜の側面にブレードにより衝撃を加える段階を包含することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、接着膜と剥離膜とを熱硬化性物質で形成することによって、キャリヤと基板とが熱的安定性を有するように結合することができる。これによって、高温工程でも基板がキャリヤに堅固に結合された状態で加工することができる。さらに、熱硬化性接着膜と剥離膜とを使用しても物理的にキャリヤを容易に分離することができる。その上に、貫通電極を有する半導体装置の量産に適用できるので、品質安定性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】本発明の一実施形態による基板加工方法を示した断面図。
図1B】本発明の一実施形態による基板加工方法を示した断面図。
図1C図1Bの一部を示した断面図。
図1D】本発明の一実施形態による基板加工方法を示した断面図。
図1E図1Dの一部を示した断面図。
図1F図1Bの変形形態を示した断面図。
図1G図1Bの他の変形形態を示した断面図。
図1H】本発明の一実施形態による基板加工方法を示した断面図。
図1I図1Hの一部を示した断面図。
図1J】本発明の一実施形態による基板加工方法を示した断面図。
図1K】本発明の一実施形態による基板加工方法を示した断面図。
図1L】本発明の一実施形態による基板加工方法を示した断面図。
図1M】本発明の一実施形態による基板加工方法を示した断面図。
図1N】本発明の一実施形態による基板加工方法を示した断面図。
図1O】本発明の一実施形態による基板加工方法を示した断面図。
図1P】本発明の一実施形態による基板加工方法を示した断面図。
図1Q】本発明の一実施形態による基板加工方法を利用する半導体チップの製造方法を示した断面図。
図1R】本発明の一実施形態による基板加工方法を利用する半導体パッケージの製造方法を示した断面図。
図2A】本発明の他の実施形態による基板加工方法を示した断面図。
図2B】本発明の他の実施形態による基板加工方法を示した断面図。
図2C】本発明の他の実施形態による基板加工方法を示した断面図。
図2D図2Cの一部を拡大示した断面図。
図2E】本発明の他の実施形態による基板加工方法を示した断面図。
図2F】本発明の他の実施形態による基板加工方法を示した断面図。
図3A】本発明の実施形態による基板加工方法を通じて得られた半導体装置を具備するメモリカードを示したブロック図。
図3B】本発明の実施形態による基板加工方法を通じて得られた半導体装置を応用した情報処理システムを示したブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明による基板加工方法を添付した図面を参照して詳細に説明する。
本発明と従来技術とを比較した長所は添付された図面を参照した詳細な説明と特許請求の範囲を通じて明確になり得る。特に、本発明は特許請求の範囲で明確に請求される。しかし、本発明は添付された図面に関連して次の詳細な説明を参照することによって最も良く理解することができる。図面において、同一の参照符号は多様な図面を通じて同一の構成要素を示す。
【0024】
<実施形態1>
図1A乃至図1Pは本発明の一実施形態による基板加工方法を示した断面図である。図1C図1E及び図1I図1B図1D及び図1Hの一部を各々示した断面図である。図1F及び図1G図1Bの変形形態を示した断面図である。
【0025】
図1Aを参照すれば、基板100が提供される。基板100は半導体で構成されたウエハレベルの基板、例えばシリコンウエハであり得る。以下では基板100をウエハと称する。ウエハ100は集積回路105が形成される上面100aとその反対面である下面100bとを包含する。集積回路105はメモリ回路、ロジック回路或いはこれらの組合せを包含することができる。ウエハ100はその厚さ方向に延長され、ウエハ100を貫通しない長さを有する集積回路105と電気的に連結された複数個の貫通電極111を包含することができる。ウエハ100の上面100aには貫通電極111と電気的に連結された複数個のバンプ113が設けられ得る。
【0026】
図1B及び図1Cを参照すれば、ウエハ100の上面100a上に第1剥離膜(first release layer)210と接着膜(glue layer)250とを形成することができる。第1剥離膜210と接着膜250とは熱硬化性物質を包含することができる。一実施形態によれば、下記の化学式を有するシリコン(silicone)を含む物質を前駆体として採用し、化学気相蒸着を利用して第1剥離膜210を形成することができる。
【0027】
【化1】
【0028】
例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS:polydimethylsiloxane)、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO:hexamethyldisiloxane)、或いはこれらの組合せのようなシロキサン系列の物質を前駆体として使用し、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)をソースとして使用した化学気相蒸着で第1剥離膜210を形成することができる。
【0029】
第1剥離膜210は前駆体のコーティングと蒸着とによって形成することができる。例えば、第1剥離膜210のメイン物質としてPDMSを溶媒である液相のHMDSOに約1:50乃至1:200の比率に(例:PDMS:HMDSO=1:50)混合した前駆体をウエハ100の上面100a上にスピンコーティングして第1前駆体膜211を形成することができる。そして、気相のHMDSOをソースとして使用したプラズマ化学気相蒸着(PECVD)によって第1前駆体膜211上にシリコン(silicone)のような第1CVD膜213を形成することができる。
【0030】
スピンコーティングは数十秒(例:20秒)間に進行することができる。プラズマ化学気相蒸着は約数十W(例:40W)の高周波(RF)パワー、約数十mTorr(例:40mTorr)のチャンバ圧力、約数十秒乃至数十分(例:65秒)のプラズマ時間(plasma time)、約数十sccm(例:15sccm)のHMDSOガス流量(gas flow)の条件によって進行することができる。本実施形態によれば、第1剥離膜210は第1前駆体膜211上にシリコン(silicone)のような第1CVD膜213が積層され、SiOのような表面210sを有する多重膜構造を有することができる。他の例として、第1剥離膜210はシロキサン(siloxane)系列の物質を含む単一膜構造で形成することができる。
【0031】
第1剥離膜210はウエハ100の上面100aにしたがって延長されてウエハ100と結合することができる。例えば、第1剥離膜210はバンプ113のプロフィールにしたがって延長された曲がった形状を有することができる。
接着膜250は第1剥離膜210上に前記化学式を有するシリコン(silicone)或いはこれを含む熱硬化性樹脂(resin)をコーティングして形成することができる。一例として、接着膜250はシロキサン(siloxane)系列の物質で形成することができる。他の例として、接着膜250はトリプロピレンメラミン(TMAT:tripropylenemelamine)或いはこれを含む物質で形成することができる。
【0032】
接着膜250はバンプ113の高さHbの約110乃至120%或いはこれよりさらに厚い厚さTgとすることができる。第1剥離膜210は接着膜250の厚さTgより薄い厚さTr1とすることができる。第1剥離膜210の厚さTr1はバンプ113の高さHbより小さいことがあり得る。接着膜250は約数十乃至数百μmの厚さTgを第1剥離膜210は数十乃至数百nmの厚さTr1を有することができる。一例として、接着膜250は約70乃至120μmの厚さTgを有することができる。第1前駆体膜211は約50乃至70nmの厚さTp1を第1CVD膜213は約150nmの厚さTd1を有し、第1剥離膜210は約200乃至220nmの厚さTr1を有することができる。第1剥離膜210の厚さTr1は単なる一例であり、本発明をこれに限定しようとする意図ではない。例えば、第1剥離膜210は20乃至230nm、具体的に50乃至150nmの厚さTr1を有することができる。
【0033】
接着膜250は第1剥離膜210の表面210sをなすSiOと比較的強い力で結合することができるが、第1前駆体膜211はウエハ100の上面100aと比較的弱い力(例:Van der Wasls force)によって結合することができる。このように、第1剥離膜210はウエハ100と接着膜250との間に弱い結合を提供することによって、接着膜250とウエハ100との容易な分離を可能としている。
第1剥離膜210の厚さTr1が厚いほど、接着膜250をウエハ100から分離するのに必要である力は低くなり得る。第1剥離膜210の厚さTr1は第1前駆体膜211の厚さTp1及び/又はプラズマ化学気相蒸着条件によって異なり得る。
【0034】
第1剥離膜210の厚さTr1は第1前駆体膜211の厚さTp1に比例させることができる。例えばPDMSとHMDSOとの比率が多くなるほど(即ち、HMDSOの含量が多くなるほど)、コーティングスピード(coating speed)が遅いほど(即ち、スピン回転速度が遅いほど)、第1前駆体膜211の厚さTp1が厚くなり、これによって第1剥離膜210の厚さTr1が厚くなり得る。
【0035】
第1剥離膜210の厚さTr1は蒸着速度に比例させることができる。例えば、高周波(RF)パワーが高いほど、チャンバ圧力が低いほど、プラズマ時間(即ち、工程時間)が長いほど、蒸着速度が速くなり、これによって第1剥離膜210の厚さTr1が厚くなり得る。
プラズマ強度が強いほど、プラズマ時間が長いほど、第1剥離膜210は硬く(hard)なり得る。これと異なり、プラズマ強度が弱いほど、プラズマ時間が短いほど、第1剥離膜210は軟らか(soft)になり得る。第1剥離膜210があまりにも硬くなれば、第1剥離膜210の自己剥離(self−delamination)やクラック(crack)が生じる恐れがあり、あまりにも軟らかになれば、第1剥離膜210が液相状態に留まって容易に剥がれてしまう。前述のプラズマ蒸着条件によれば、完全架橋結合された(fully cross−linked)或いはこれと類似な構造を有する安定的な第1剥離膜210が形成され得る。
【0036】
図1D及び図1Eを参照すれば、キャリヤ300を提供することができる。キャリヤ300はウエハ100と同一又は類似な大きさ(例:直径)と物質を有するシリコン基板であり得る。他の例として、キャリヤ300はウエハ100と同一又は類似な大きさ(例:直径)を有する透明性基板、例えばガラス基板であり得る。キャリヤ300は上面300aとその反対面である下面300bとを含み、その上面300a上に第2剥離膜(second release layer)220を形成することができる。
【0037】
第2剥離膜220は第1剥離膜210と同一又は類似な熱硬化性物質を包含することができる。例えば、第2剥離膜220のメイン物質としてPDMSを溶媒である液相のHMDSOに約1:50乃至1:200比率に(例:PDMS:HMDSO=1:200)混合した前駆体をキャリヤ300の上面300a上にスピンコーティングして第2前駆体膜221を形成することができる。そして、気相のHMDSOをソースとして使用したプラズマ化学気相蒸着(PECVD)によって第2前駆体膜221上に第2CVD膜223を形成することができる。他の例として、第2剥離膜220はシロキサン(siloxane)系列の物質を含む単一膜構造に形成することができる。
【0038】
第2前駆体膜221とキャリヤ300とは比較的弱い力(例:Van der Waals force)によって結合され得る。この弱い結合力によって、図1Jで後述するように、ウエハ100を加工する時、キャリヤ300はウエハ100を安定的に支持することができない。
【0039】
本実施形態によれば、第2剥離膜220とキャリヤ300との結合力を向上させるためにHMDSOソースガスとして酸素Oをさらに添加してプラズマ化学気相蒸着工程を進行することができる。このように酸素Oがさらに添加されることによって、第2剥離膜220はその密度、キャリヤ300との界面等が改善されてキャリヤ300との結合力が向上され得る。
【0040】
スピンコーティングは数十秒間(例:20秒)で進行することができる。プラズマ化学気相蒸着は約数十W(例:40W)のRFパワー、約数十mTorr(例:40mTorr)のチャンバ圧力、約数十秒乃至数十分(例:65秒)のプラズマ時間(plasma time)、約数十sccm(例:15sccm)のHMDSOガス流量(gas flow)と約数十sccm(例:15sccm)の酸素Oガス流量(gas flow)との条件によって進行することができる。本実施形態によれば、第2剥離膜210は第2前駆体膜221上にシリコン(silicone)のような第2CVD膜223が積層され、SiOのような表面220sを有する多重膜構造を有することができる。
【0041】
第2剥離膜220は第1剥離膜210と同一又は類似な厚さTr2を有することができる。例えば、第2前駆体膜221は約50乃至70nmの厚さTp2を第2CVD膜223は約150nmの厚さTd2を有して第2剥離膜220は約200乃至220nmの厚さTr2を有することができる。他の例として、第2剥離膜220は20乃至230nm、具体的に50乃至150nmの厚さTr2を有することができる。
【0042】
図1Iを参照して後述するようにウエハ100とキャリヤ300とが結合した場合、接着膜250は第2剥離膜210の表面220sをなすSiOと比較的強い力によって結合できるが、第2前駆体膜221はキャリヤ300の上面300aと比較的弱い力(例:Van der Wasls force)によって結合することができる。このように、第2剥離膜220はキャリヤ300と接着膜250との間に弱い結合を提供することによって、接着膜250とキャリヤ200との容易な分離が可能になり得る。
【0043】
第2剥離膜220の厚さTr2が大きいほど、キャリヤ300を接着膜250から除去するのに必要である力は低くなり得る。第1剥離膜210と同一又は類似に、第2剥離膜220の厚さTr2は第2前駆体膜221の厚さTp2及び/又は蒸着速度と比例関係であり得る。
【0044】
他の例として、図1Fに示したように接着膜250をキャリヤ300上に形成することができる。一例として、ウエハ100の上面100a上に第1剥離膜210を形成し、キャリヤ300の上面300a上に第2剥離膜220と接着膜250とを順次形成することができる。
【0045】
その他の例として、図1Gに図示したようにウエハ100及びキャリヤ300上に第1接着膜250aと第2接着膜250bとを各々形成することができる。例えば、ウエハ100の上面100a上に第1剥離膜210と第1接着膜250aを順次形成し、キャリヤ300の上面300a上に第2剥離膜220と第2接着膜250bとを順次形成することができる。図1Hを参照して後述するように、ウエハ100とキャリヤ300とが結合する時、第1接着膜250aと第2接着膜250bとが互いに接着されて接着膜250を構成することができる。第1接着膜250aは第1厚さTgaを第2接着膜250bは第2厚さTgbを有し、第1厚さTgaと第2厚さTgbの合計が図1Cの接着膜250の厚さTgに相当する。第1接着膜250a及び第2接着膜250bは各々接着膜250と同一な物質で構成することができる。
【0046】
図1H及び図1Iを参照すれば、ウエハ100とキャリヤ300とを結合することができる。例えば、ウエハ100の上面100aとキャリヤ300の上面300aを対面させてウエハ100にキャリヤ300を接着させることができる。これによって、ウエハ100とキャリヤ300とは接着膜250及び接着膜250の両面に付着された第1剥離膜210と第2剥離膜220とで構成された結合膜(bonding layer)200によって互いに結合され得る。選択的に、熱を提供することによって第1剥離膜210と、第2剥離膜220と、接着膜250とを硬化(強化)させて、耐熱性及び/又は接着力を向上させることができる。前記強化は第1剥離膜210と第2剥離膜220と、接着膜250とが熱硬化性物質で構成された場合に可能になり得る。
【0047】
結合膜200が比較的高温で速やかに硬化されると、クラックが発生され得る。前記硬化は蒸着チャンバ内で低い温度、例えば結合膜200が硬化されない温度に1次ベーキングした後、ウエハ100をオーブン或いはベークチャンバに投入して高い温度、例えば結合膜200が硬化される温度に2次ベーキングすることができる。前記2段階方法によって結合膜200のクラックが防止され得る。1次ベーキング及び2次ベーキングは数分間で進行することができる。一例として、1次ベーキングは5乃至15分の間に100乃至180℃条件で、2次ベーキングは5乃至15分間に150乃至250℃条件で進行され得る。
【0048】
ウエハ100の上面100aはバンプ113が形成されているので、トポロジ(topology)乃至粗さ(roughness)を有することがある。第1剥離膜210とウエハ100とがファンデルワールス力で結合されても、ウエハ100と第1剥離膜210との間の結合力はウエハ100のトポロジ(topology)乃至粗さ(roughness)によって強くなり得る。バンプ113は一般的に球形(sphere)であるので、ウエハ100と第1剥離膜210との間の結合力をさらに向上させることができる。
【0049】
キャリヤ300の上面300aはウエハ100の上面300aに比べてすんなりした表面を有することができる。前記すんなりした表面及び/又はファンデルワールス力によってキャリヤ300は第2剥離膜220と比較的弱い力によって結合され得るが、上述したようにヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)に酸素Oをさらに添加することによって第2剥離膜220とキャリヤ300との間の結合力が向上され得る。
【0050】
一実施形態によれば、キャリヤ300と第2剥離膜220との間の結合力が酸素添加によって向上されてもウエハ100の上面300aが有するトポロジ乃至粗さはウエハ100と第1剥離膜210との結合力を向上させることができるので、ウエハ100と第1剥離膜210との間の結合力に比べて低いことがあり得る。したがって、ウエハ100と結合膜200との間の第1結合力F1はキャリヤ300と結合膜200との間の第2結合力F2に比べて高いことがあり得る。第1結合力F1はウエハ100と結合膜200を分離するのに所要される力として定義され、第2結合力F2はキャリヤ300と結合膜200を分離するのに所要とされる力として定義される。
【0051】
結合力F1は結合力F2に比べて約1.3倍程度であり得る。結合力F1と結合力F2との差異は第1剥離膜210と第2剥離膜220の形成条件によって異なり得る。例えば、第1剥離膜210と第2剥離膜220とを形成する時、第1剥離膜210と第2剥離膜220とのソース濃度差異、厚さ差異、ガス含量条件等によって結合力F1、F2が異なり得る。
【0052】
図1Jを参照すれば、ウエハ100をバックラップ(back lap)することができる。本実施形態によれば、キャリヤ300がウエハ100を支持した状態で、即ち結合膜200によってキャリヤ300がウエハ100の上面100aに付着された状態でウエハ100の下面100bに対して化学機械的研磨、湿式エッチング、乾式エッチング、スピンエッチング、グラインディング等を1回或いは数回進行してウエハ100を薄型化することによって、貫通電極111を突出させることができる。
【0053】
一例として、ウエハ100の下面100bを化学機械的に研磨して貫通電極111が露出されないこともあり得る第2下面100cまでリセスできる。続いて、第2下面100cを乾式エッチングによって貫通電極111を突出させる第3下面100dまでウエハ100をさらにリセスできる。他の例として、ウエハ100の下面100bを1回の化学機械的な研磨で第3下面100dまでリセスできる。本明細書ではウエハ100の上面100aを活性面であるという用語と第3下面100dを非活性面であるという用語とが混用されている。
【0054】
前記バックラップ工程によってウエハ100を第1厚さTw1より薄い第2厚さTw2を有するように薄型化することができる。例えば、第1厚さTw1は数百μmであり、第2厚さTw2は数十nmであり得る。このように薄形化されたウエハ100は損傷無しでハンドリングするのが困難であり得る。しかし、ウエハ100に付着されたキャリヤ300によってウエハ100を容易にハンドリングすることができる。
【0055】
図1Kを参照すれば、ウエハ100の非活性面100dを覆う下部絶縁膜107を形成し、下部絶縁膜107上に貫通電極111と電気的に連結されるパッド115を形成することができる。一例として、非活性面100d上に貫通電極111を覆う絶縁体を蒸着した後、貫通電極111が露出されるように平坦化して下部絶縁膜107を形成することができる。続いて、下部絶縁膜107上に導電体の蒸着とパターニングとにより貫通電極111と接続するパッド115を形成することができる。
【0056】
本実施形態によれば、図1Jでのウエハ薄型化及び/又は図1Kでのポスト製造(post FAB)工程の時、高温を必要とすることがあり得る。このような高温工程で接着膜250と剥離膜210、220とは熱硬化性物質を包含するので、接着膜250と剥離膜210、220との中で少なくともいずれか1つが熱可塑性物質を包含する場合に比べて、高温安定性を有することができる。したがって、高温工程でもウエハ100とキャリヤ300との間の安定的な結合を維持することができる。
【0057】
図1Lを参照すれば、接着膜250にクラック420を形成することができる。クラック420は物理的な方法で形成することができる。一例として、ブレードのようなイニシエータ(initiator)400で接着膜250に衝撃を加えてクラック420を形成することができる。キャリヤ300をウエハ100から取り外す時、クラック420はキャリヤ300及び/又は第2剥離膜220に沿って伝搬され得る。第2剥離膜220はキャリヤ300上に形成されるので、第2剥離膜220は実質的に直線延長された形態を有するが、第1剥離膜210はバンプ113上に形成されるので、実質的に曲がった形態を有する。したがって、第2剥離膜220はクラック伝搬に低い抵抗を有する経路を構成するので、クラック420は第1剥離膜210の代わりに第2剥離膜220に沿って優先的に伝搬される。選択的に、ウエハ100の非活性面100dに保護テープ500を付着し、ホルダ510をさらに提供してウエハ100をクラック420が伝搬される間安定的に固定させ得る。
【0058】
図1Mを参照すれば、第2剥離膜220にしたがって伝搬されたクラック420によって及び/又は図1Iで前述したようにウエハ100と結合膜200との間の結合力F1がキャリヤ300と結合膜200との間の結合力F2に比べて大きいので、キャリヤ300が接着膜250から容易に分離され得る。キャリヤ300の分離の時、接着膜250上に第2剥離膜220の残留物220aが残ることがあり得る。
【0059】
本実施形態と異なり、キャリヤ300の分離の時、接着膜250が共に分離される場合、バンプ113はインターロッキングされ得る。バンプ113が大体に大きい高さを有するかバンプ密度が比較的大きい場合に、インターロッキング(interlocking)がさらに大きくなってキャリヤ300がウエハ100から分離される時、バンプ113が損傷されるか、或いはウエハ100から取り外され得る。しかし、本実施形態によれば、クラック420は第2剥離膜220にしたがって優先的に伝搬されるので、キャリヤ300がウエハ100から分離される時、バンプ113に加えられるインターロッキングが減少するか、或いは発生しない。したがって、ウエハ100からキャリヤ300が分離された以後にバンプ113は損傷から自由になり得る。
【0060】
図1Nを参照すれば、第2剥離膜残留物220aを除去することができる。接着膜250上の第2剥離膜残留物220aは接着膜250を分離させるローリングテープ(図1Oの600)と接着膜250との接触力を弱化させて接着膜250の分離を難しくすることがあり得る。このため、第2剥離膜残留物220aを除去するためにプラズマ処理をさらに進行することができる。プラズマ処理は酸素O、窒素N、アルゴンArの中で少なくともいずれか1つを含むプラズマを利用することができる。
【0061】
図1Oを参照すれば、接着膜250を除去することができる。接着膜250は一例としてウエハ100にしたがって水平移動するローリングテープ600に接着されてウエハ100から分離され得る。ローリングテープ600と接着膜250との間の接着力が接着膜250と第1剥離膜210との間の結合力と同一であるか、或いは大きくなり得る。図1Nで前述したようにプラズマによって接着膜250上に残留された第2剥離膜残留物220aが除去されることによって、ローリングテープ600と接着膜250との接着力が弱化されないので、容易に接着膜250の分離が可能になり得る。第1剥離膜210は接着膜250と共にウエハ100から除去されるか、或いはウエハ100上に残留物210aとして残るか、或いは一部は接着膜250と共に分離され、他の一部はウエハ100上に残留することがあり得る。
【0062】
図1Pを参照すれば、ウエハ100を洗浄することができる。この洗浄工程の時、ウエハ100の上面100a上の第1剥離膜残留物210aを除去することができる。一例として、DBU(Diazabicycloundecene)とテトラ−n−ブチルアンモニウムフルオライド(TBAF:Tetra−n−butylammonium fluoride)との中で少なくともいずれか1つを溶媒(例:acetate)に混合した洗浄液をスプレ700を通じてウエハ100上に提供して第1剥離膜残留物210aを除去することができる。前記一連の過程を通じて貫通電極111を含む薄形化されたウエハ100が得られる。このようにして得られたウエハ100は次のような工程でパッケージングされ得る。
【0063】
<半導体装置の製造方法例>
図1Qは本発明の一実施形態による基板加工方法を利用する半導体チップの製造方法を示した断面図である。図1Rは本発明の一実施形態による基板加工方法を利用する半導体パッケージの製造方法を示した断面図である。
図1Qを参照すれば、ウエハ100を複数個の半導体チップ10に分離することができる。カッティングホィール800によってウエハ100のスクライブレーンを切断することによってウエハ100を複数個の半導体チップ10に分離するウエハ切断(wafer sawing)工程を進行することができる。このようにウエハ100から分離された複数個の半導体チップ10の中で少なくとも1つをパッケージングすることができる。他の例として、レーザ或いはその他のカッティング器具を利用して前記ウエハ切断工程を進行することができる。
【0064】
図1Rを参照すれば、パッケージングの一例として少なくとも1つの半導体チップ10を印刷回路基板900上に実装し、モールディングすることによって、半導体パッケージ1を形成することができる。例えば、1つ或いはその以上の半導体チップ10を印刷回路基板900上に実装し、エポキシモールディングコンパウンド(EMC)のような絶縁物でモールド膜910を形成することができる。半導体パッケージ1において、半導体チップ10はフリップチップボンディングされ、貫通電極111は印刷回路基板900とチップ10との間及び/又は複数の半導体チップ10の間に入出力される電気的信号の経路として提供され得る。印刷回路基板900の下面にソルダボールのような外部端子920をさらに付着することができる。
【0065】
<実施形態2>
図2A乃至図2Fは本発明の他の実施形態による基板加工方法を示した断面図である。図2D図2Cの一部を拡大示した断面図である。
図2Aを参照すれば、ウエハ100の活性面100a上に第1剥離膜210と接着膜250とを形成することができる。例えば、ウエハ100の活性面100a上に熱硬化性物質をスピンコーティングし、プラズマ化学気相蒸着した後、パターニングして第1剥離膜210を形成することができる。前記パターニングによって第1剥離膜210はウエハ100の縁100eを露出させ得る。接着膜250は第1剥離膜210上に形成され、ウエハ100の縁100eと結合され得る。
【0066】
図2Bを参照すれば、キャリヤ300上に第2剥離膜220を形成することができる。第2剥離膜220は第1剥離膜210と同一又は類似な熱硬化性物質をコーティングし、プラズマ化学気相蒸着した後、パターニングして形成することができる。第2剥離膜220はキャリヤ300の縁300eを露出させ得る。キャリヤ300の縁300eは図2Aに図示されたウエハ100の縁100eに対応され得る。
他の例として、図1Fのように接着膜250はキャリヤ300上に形成され得る。その他の例として、図1Gのようにウエハ100とキャリヤ300との上に第1接着膜250aと第2接着膜250bとが各々形成され得る。
【0067】
図2C及び図2Dを参照すれば、ウエハ100の活性面100aとキャリヤ300の上面300aとを対面させてウエハ100とキャリヤ300とを結合することができる。選択的に、熱を提供することによって第1剥離膜210と第2剥離膜220及び接着膜250を硬化させることができる。本実施形態によれば、図2Dの点線に表示された部分のように、接着膜250は第1剥離膜210と第2剥離膜220との間に配置されウエハ100の縁100eでウエハ100及びキャリヤ300と直接接触され得る。これによって、ウエハ100の縁100eでウエハ100とキャリヤ300とが堅固に結合され得る。他の例として、ウエハ100を化学溶液に浸けるか、或いは超音波(ultrasonic)やレーザ或いはその他のカッティング器具を利用して接着膜250の一部、例えばウエハ100の縁100eに形成された接着膜250を除去することができる。
【0068】
図2Eを参照すれば、ウエハ100の下面100bを化学機械的に研磨して貫通電極111が露出されない第2下面100cまでリセスし、第2下面100cを乾式エッチングして非活性面100dまでリセスできる。その次に、非活性面100d上に下部絶縁膜107を形成し、下部絶縁膜107上に貫通電極111と連結されるパッド115を形成することができる。
【0069】
図2Fを参照すれば、図1Lで説明された工程と類似にウエハ100の非活性面100d上に保護テープ500を付着し、イニシエータ400によって接着膜250にクラック420を形成することができる。クラック420は第2剥離膜220に沿って優先的に伝搬されてキャリヤ300が接着膜250から分離され得る。その次に、図1Nのように第2剥離膜残留物220aをプラズマ処理して除去し、図1Oのように接着膜250をローリングテープ600を利用して分離し、そして図1Pで説明したように第1剥離膜残留物210aを洗浄液で除去することによって、貫通電極111を含む薄形化されたウエハ100を得られる。
【0070】
<応用例>
図3Aは本発明の実施形態による基板加工方法を通じて得られた半導体装置を具備するメモリカードを示したブロック図である。図3Bは本発明の実施形態による基板加工方法を通じて得られた半導体装置を応用した情報処理システムを示したブロック図である。
【0071】
図3Aを参照すれば、上述した本発明の実施形態による基板加工方法を通じて得られた半導体チップ10或いは半導体パッケージ1を含む半導体メモリ1210はメモリカード1200に応用され得る。一例として、メモリカード1200はホスト1230とメモリ1210との間の諸般のデータ交換を制御するメモリコントローラ1220を包含することができる。SRAM1221は中央処理装置1222の動作メモリとして使用され得る。ホストインターフェイス1223はメモリカード1200と接続されるホストのデータ交換プロトコルを具備することができる。誤謬修正コード1224はメモリ1210から読出されたデータに含まれる誤謬を検出及び訂正できる。メモリインターフェイス1225はメモリ1210とインターフェイシングする。中央処理装置1222はメモリコントローラ1220のデータを交換するための諸般の制御動作を遂行できる。SRAM1221、中央処理装置1222、ホストインターフェイス1223、誤謬修正コード1224、及びメモリインターフェイス1225はバス1226を通じて電気的に連結され得る。
【0072】
図3Bを参照すれば、情報処理システム1300は本発明の実施形態による基板加工方法を通じて得られた半導体チップ10或いは半導体パッケージ1を具備するメモリシステム1310を包含することができる。情報処理システム1300はモバイル機器やコンピューター等を包含することができる。一例として、情報処理システム1300はシステムバス1360に電気的に連結されたメモリシステム1310、モデム1320、中央処理装置1330、RAM1340、ユーザインターフェイス1350を包含することができる。メモリシステム1310はメモリ1311とメモリコントローラ1312とを包含でき、図3Aのメモリカード1200と実質的に同様に構成することができる。このようなメモリシステム1310には中央処理装置1330によって処理されたデータ又は外部から入力されたデータが格納され得る。情報処理システム1300はメモリカード、半導体ディスク装置(Solid State Disk)、カメライメージプロセッサ(Camera Image Sensor)及びその他の応用チップセット(Application Chipset)として提供され得る。
【0073】
本発明の実施形態は熱硬化性物質を利用してウエハ100をキャリヤ300に付着するものであるが、本発明の概念は熱硬化性物質に限定されるものではないことに留意しなければならない。第1結合力F1と第2結合力F2とが制御されてキャリヤ300がウエハ100から容易に分離できる限り、加工工程の間にウエハ100とキャリヤ300とが熱的安定性を有するように結合できる何らかの物質であれば使用され得る。
【0074】
以上の発明の詳細な説明は開示された実施状態に本発明を制限しようとする意図ではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で多様な他の組合せ、変更及び環境で使用することができる。添付された請求の範囲は他の実施状態も含むものとして解釈しなければならない。
【符号の説明】
【0075】
10・・・半導体チップ
100・・・基板
105・・・集積回路
111・・・貫通電極
113・・・バンプ
200・・・結合膜
210・・・第1剥離膜
220・・・第2剥離膜
250・・・接着膜
300・・・キャリヤ
400・・・イニシエータ
500・・・保護テープ
600・・・ローリングテープ
700・・・スプレ
800・・・カッティングホィール
900・・・印刷回路基板
910・・・モールド膜
920・・・外部端子
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図1K
図1L
図1M
図1N
図1O
図1P
図1Q
図1R
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B