特許第6385682号(P6385682)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385682
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】トランス
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/32 20060101AFI20180827BHJP
   H01F 30/10 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   H01F27/32 130
   H01F27/32 150
   H01F30/10 H
   H01F30/10 E
   H01F30/10 G
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-21310(P2014-21310)
(22)【出願日】2014年2月6日
(65)【公開番号】特開2015-149395(P2015-149395A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2016年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220125
【氏名又は名称】東京パーツ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】成田 敏洋
【審査官】 右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−166516(JP,U)
【文献】 特開2010−165846(JP,A)
【文献】 実開昭53−024421(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0140485(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/32
H01F 30/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状部の外周に鍔を有するボビンと、
前記鍔を挟んで前記鍔に隣接して巻回された1次巻線と2次巻線と、
前記筒状部に組み込まれたコアと、
内側に第1の突条部を有し、前記ボビンを上側から覆うケースと、
上面に第2の突条部を有し、前記ボビンの下側に装着された底板を備え、
前記鍔の外縁には、環状の凹部が形成されており、
前記第1の突条部と前記第2の突条部は、前記凹部に全周に亘って嵌合され、
前記第1の突条部の両端と前記第2の突条部の両端は、前記ボビンの巻軸方向から見て重畳されており、
前記重畳された部分は、前記凹部の内側から前記鍔の外方に跨っており、
前記重畳された部分における前記1次巻線と前記2次巻線間の沿面距離は、前記凹部に嵌合された部分と、前記鍔の外方に延出された部分があり、
前記鍔の外方に延出された部分の沿面距離X4Bは、前記凹部に嵌合された部分の沿面距離X4Aと同じとなっている、
ことを特徴とするトランス。
【請求項2】
前記第1の突条部と前記第2の突条部は、それぞれの両端に設けられている薄肉部において互いに重畳されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のトランス。
【請求項3】
前記重畳された部分の前記巻軸方向の厚さは、前記第1の突条部と前記第2の突条部の重畳されていないその他の部分の前記巻軸方向の厚さと同じである、
ことを特徴とする請求項2に記載のトランス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ボビンに設けられた鍔に隣接して巻回される1次巻線と2次巻線間の沿面距離を確保するトランスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、図7に示すように、ボビン110に設けられた鍔113a、113bに隣接して巻回される不図示の1次巻線と2次巻線と、このボビン110の上側から嵌合されるケース140と、このケース140の下側を塞ぐ底板150を有するトランス用ボビン装置が記載されている。
このトランス用ボビン装置では、鍔113a、113bの間に設けられた環状の凹部117に、ケース140と底板150に設けられた突条部141、151がそれぞれ嵌合されている。
これにより、ボビン全周が囲まれ、1次巻線と2次巻線間の沿面距離を十分確保できるとされている。
【0003】
図7のトランス用ボビン装置における1次巻線と2次巻線間の沿面距離X図8において説明する。図8において、符号Yはボビンの巻軸方向を示している。
図8に示すように、沿面距離Xは下記(式1)で表される。
=A+T+D+T+D+T+A ・・・(式1)
上記(式1)において、
:鍔113aの外縁から1次巻線までの距離
:鍔113bの外縁から2次巻線までの距離
D:突条部141(もしくは突条部151)が凹部117に嵌合されている深さ
:鍔113aの巻軸方向の厚さ
:鍔113bの巻軸方向の厚さ
:突条部141(もしくは突条部151)の巻軸方向の厚さ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61−166516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図9に示すように、突条部141の下側と突条部151の両側が突き合されている部分での1次巻線と2次巻線間の沿面距離Xは、巻軸方向に直線状の経路となり、沿面距離Xは下記(式2)で表される。
=A+T+T+T+A ・・・(式2)
上記(式2)において、
:鍔113aの外縁から1次巻線までの距離
:鍔113bの外縁から2次巻線までの距離
:鍔113aの巻軸方向の厚さ
:鍔113bの巻軸方向の厚さ
:突条部141(もしくは突条部151)の巻軸方向の厚さ
【0006】
このように、突条部141と突条部151の突合せ面における沿面距離Xは沿面距離Xに比べて短くなる。
そのため、従来例のような構成では、1次巻線と2次巻線間の沿面距離を十分確保できない可能性がある。
そこで、従来例のような構成において沿面距離Xを延ばすには、巻軸方向の突条部の長さや鍔の長さを大きくすることが考えられるが、トランスが大型化してしまう。
【0007】
そこで、本発明は、ケースの突条部と底板の突条部との間における1次巻線と2次巻線間の沿面距離を長くすることができるトランスを提供することを目的とする。
また、本発明は、ケースの突条部と底板の突条部との間における1次巻線と2次巻線間の沿面距離を、トランスを大型化することなく長くすることができるトランスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成すべく成された本発明のトランスは、
筒状部の外周に鍔を有するボビンと、
前記鍔を挟んで前記鍔に隣接して巻回された1次巻線と2次巻線と、
前記筒状部に組み込まれたコアと、
内側に第1の突条部を有し、前記ボビンを上側から覆うケースと、
上面に第2の突条部を有し、前記ボビンの下側に装着された底板を備え、
前記鍔の外縁には、環状の凹部が形成されており、
前記第1の突条部と前記第2の突条部は、前記凹部に全周に亘って嵌合され、
前記第1の突条部の両端と前記第2の突条部の両端は、前記ボビンの巻軸方向から見て重畳されており、
前記重畳された部分は、前記凹部の内側から前記鍔の外方に跨っており、
前記重畳された部分における前記1次巻線と前記2次巻線間の沿面距離は、前記凹部に嵌合された部分と、前記鍔の外方に延出された部分があり、
前記鍔の外方に延出された部分の沿面距離X4Bは、前記凹部に嵌合された部分の沿面距離X4Aと同じとなっている、
ことを特徴とするトランス。
【0009】
本発明のトランスでは、更なる好ましい特徴として、
「前記第1の突条部と前記第2の突条部は、それぞれの両端に設けられている薄肉部において互いに重畳されている」、
「前記重畳された部分の前記巻軸方向の厚さは、前記第1の突条部と前記第2の突条部の重畳されていないその他の部分の前記巻軸方向の厚さと同じである」、
ものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1の突条部の両端と第2の突条部の両端における1次巻線と2次巻線間の沿面距離は、巻軸方向に直線状の経路とならずに、凹部の内側から鍔の外方に跨った重畳部分を経由するものとなる。すなわち、第1の突条部の両端と第2の突条部の両端における1次巻線と2次巻線間の沿面距離は、凹部に嵌合された部分(内側経路)あるいは鍔より延出された部分(外側経路)を経由する。
そのため、本発明は、1次巻線と2次巻線間の沿面距離を長くできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態におけるトランスの分解斜視図である。
図2図1のトランスの要部斜視図であり、(a)はケースの突条部であり、(b)はボビンにおける鍔の凹部であり、(c)は底板の突条部である。
図3図1のトランスの完成図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢印断面図、(c)は(a)のB−B矢印断面図、(d)は(a)のC−C矢印断面図、(e)は(b)のD−D矢印断面図、(f)は(b)のE−E矢印断面図である。
図4図2(a)、(b)、(c)を組み合わせた状態における沿面距離の一例である。
図5図2(a)、(b)、(c)を組み合わせた状態における沿面距離の別の一例である。
図6図2(a)、(b)、(c)を組み合わせた状態における沿面距離のさらに別の一例である。
図7】従来例のトランスの分解斜視図である。
図8図7において、鍔の凹部に嵌合されたケースの突条部における1次巻線と2次巻線間の沿面距離である。
図9図7において、ケースの突条部と底板の突条部の突合せ面における1次巻線と2次巻線間の沿面距離である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を例示的に説明する。但し、この実施の形態に記載されている構成部品の材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りはこの発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0013】
(第1の実施形態)
【0014】
図1ないし図6に示すように、本実施形態におけるトランスは、ボビン10と、1次巻線21と2次巻線22と、ケース40と、底板50を備えている。
【0015】
ボビン10は、絶縁性樹脂により成形されており、角筒状の筒状部11の両側に設けられた外鍔12と、外鍔12の間に設けられた中鍔13を有する。この中鍔13の外縁には、環状の凹部17が全周同じ深さに形成されている。これにより、中鍔13は、2つの中鍔13aと中鍔13bに分離された構造になっている。ボビン10の筒状部11には両側から2つのE型コア(不図示)の中脚が組み込まれて日の字型コアが形成される。なお、日の字型コアは、E型コアとI型コアの組み合わせたものでもよい。
【0016】
外鍔12の下方には、端子台18を有する。端子台18は、下方に延びて植設される複数の接続端子19を有する。
【0017】
1次巻線21は、中鍔13aに隣接しつつ筒状部11に巻軸方向(図中のY方向)に沿って巻回されている。また、2次巻線22は、中鍔13bに隣接しつつ筒状部11に巻軸方向に沿って巻回されている。
1次巻線21と2次巻線22の端末は、接続端子19に接続されている。なお、本例では、1次巻線21と2次巻線22のみならず、補助巻線がボビン10に巻回されてもよい。
【0018】
ケース40は、ボビン10を上側から覆うものである。このケース40は、絶縁性樹脂により、下面に開口を有する有天筒状に形成されている。ケース40の内面には、第1の突条部が一体成形されている。具体的には、第1の突条部は、環状の凹部17の上側部分17aに嵌合する突条部の本体部41と、環状の凹部17の右側部分17bと左側部分17cにそれぞれ嵌合する突条部の両端42からなる。
突条部の本体部41と突条部の両端42の巻軸方向における厚さは同じ厚さTとなっているが、突条部42の下側は部分的に薄く形成された平板状の薄肉部42aとなっている。なお本例では、薄肉部42aの厚さT31は、Tの半分になっている。
【0019】
底板50は、ボビン10の下側に装着されるものであり、絶縁性樹脂により成形されている。この底板50の上面には、第2の突条部として環状の凹部17の下側部分17dに嵌合される突条部の本体部51と突条部の両端52が一体に設けられている。
また、巻軸方向における突条部の本体部51の厚さTはTと同じであるが、突条部の両端は部分的に薄く形成された平板状の薄肉部51aとなっている。なお本例では、薄肉部51aの厚さT41は、T(すなわちT)の半分になっている。
【0020】
また、巻軸方向に対して直角な方向(図中のX方向)における底板50の突条部の長さLは、中鍔13の長さLより長く形成されている。すなわち、底板50の突条部は、中鍔13の外方に延出されている。そして、X方向における薄肉部51aの中央が、巻軸方向から見て中鍔の左右の外縁14上に配されている(図3(e)参照)。
【0021】
ボビン10がケース40に装着されると、突条部41が環状の凹部17の上側部分17aに嵌合され、突条部42が環状の凹部17の右側部分17bと左側部分17cに嵌合される。
また、ボビン10の下側に底板50が装着されると、底板50の突条部の本体部51が環状の凹部17の下側部分17dに嵌合される。
その際、第1の突条部と第2の突条部は、それぞれの両端に設けられている薄肉部において互いに重畳されている。つまり、突条部42の薄肉部42aと突条部51の薄肉部51aは、巻軸方向から見て重畳されて接して配されている。
【0022】
そして、重畳された部分の巻軸方向の厚さは、第1の突条部と第2の突条部の重畳されていないその他の部分の巻軸方向の厚さと同じとなっている。つまり、重畳部分の巻軸方向の厚みは、薄肉部42aの厚さT31と薄肉部51aの厚さT41の和であり、ケースの突条部の厚さTと同じである。したがって、環状の凹部17に嵌合されている突条部は、全ての部分で巻軸方向の厚みがTとなっている。なお、本例では環状の凹部17の巻軸方向の幅は、概ねTと同じである。
【0023】
そして、上記の重畳部分は、巻軸方向から見て、凹部17の内側から中鍔13の外方に跨っており、X方向における重畳部分の中央が、巻軸方向から見て中鍔の左右の外縁14上に配されている(図3(e)参照)。
【0024】
このように構成された本例のトランス1において、上記の重畳部分以外における1次巻線21と2次巻線22間の沿面距離Xは、下記(式3)で表される(図4参照)。
=A+T+D+T+D+T+A ・・・(式3)
上記(式3)において、
:中鍔13aの外縁から1次巻線までの距離
:中鍔13bの外縁から2次巻線までの距離
D:ケース40の突条部(もしくは底板50の突条部)が凹部17に嵌合されている深さ
:中鍔13aの巻軸方向の厚さ
:中鍔13bの巻軸方向の厚さ
:ケース40の突条部(もしくは底板50の突条部)の巻軸方向の厚さ
なお、本発明において沿面距離とは、絶縁物表面に沿って測定した導電性部品間の最短距離を意味する。
【0025】
したがって、上記の重畳部分以外における1次巻線21と2次巻線22間の沿面距離Xは、従来例の沿面距離Xと同様である。
【0026】
次に、上記の重畳部分における1次巻線21と2次巻線22間の沿面距離Xについて説明する。
沿面距離Xに関しては、2つの経路が考えられる。つまり、沿面距離Xは、重畳部分の上端における沿面距離X4A(内側経路、図5参照)と、重畳部分の上端以外における沿面距離X4B(外側経路、図6参照)がある。
【0027】
まず、沿面距離X4Aを説明する。
図5に示すように、沿面距離X4Aは、下記式(4A)で表される。
4A=A+T+√(T41+D)+T31+D+T+A ・・・(式4A)
上記(式4A)において、
:中鍔13aの外縁から1次巻線までの距離
:中鍔13bの外縁から2次巻線までの距離
D:薄肉部42aが凹部17に嵌合されている深さ
:中鍔13aの巻軸方向の厚さ
:中鍔13bの巻軸方向の厚さ
31:薄肉部42aの巻軸方向の厚さ(本例ではT/2)
41:薄肉部51aの巻軸方向の厚さ(本例ではT/2)
【0028】
よって、本例のトランスにおける内側経路の沿面距離X4Aは、従来例のような突条部141と突条部151の突合せ面における沿面距離Xに対し、以下のX4AL分長くなる。すなわち、T41+T31=Tであるため、
4AL=X4A−X
=√(T41+D)+D−T41 ・・・(式4AL)
となる。
そして、沿面距離X4Aは、沿面距離Xより、若干短く形成される。これは、沿面距離X4Aが、重畳された部分の薄板部51a上面を傾斜状に通るからである。
【0029】
次ぎに、沿面距離X4Bを説明する。
図6に示すように、沿面距離X4Bは、下記式(4B)で表される。
4B=A+√(T+E)+T41+√(E+(T31+T)+A ・・・(式4B)
上記(式4B)において、
:中鍔13aの外縁から1次巻線までの距離
:中鍔13bの外縁から2次巻線までの距離
E:薄肉部42aが凹部の外方に突出している長さ
:中鍔13aの巻軸方向の厚さ
:中鍔13bの巻軸方向の厚さ
31:薄肉部42aの巻軸方向の厚さ(本例ではT/2)
41:薄肉部51aの巻軸方向の厚さ(本例ではT/2)
【0030】
よって、本例のトランスにおける外側経路の沿面距離X4Bは、従来例のような突条部141と突条部151の突合せ面における沿面距離Xに対し、以下のX4BL分長くなる。すなわち、T41+T31=Tであるため、
4BL=X4B−X
=√(T+E)+√(E+(T31+T)−T−T31−T ・・・(式4BL)
【0031】
そして、本例では、外側経路の沿面距離X4Bは、内側経路の沿面距離X4Aと同じとなっている。すなわち、(式4AL)=(式4BL)となっている。
これにより、第1の突条部の両端42と第2の突条部の両端52における1次巻線22と2次巻線23間の沿面距離は、凹部17に嵌合された部分(内側経路)あるいは鍔より延出された部分(外側経路)を経由するものとなる。
なお、内側経路の沿面距離X4A<外側経路の沿面距離X4Bの場合、内側経路が沿面距離Xとなり、内側経路の沿面距離X4A>外側経路の沿面距離X4Bの場合、外側経路が沿面距離Xとなる。
【0032】
このように、本例のトランス1は、筒状部11の外周に鍔13を有するボビン10と、鍔13を挟んで鍔13に隣接して巻回された1次巻線21と2次巻線22と、筒状部11に組み込まれた磁芯と、内側に第1の突条部41、42を有し、ボビン10を上側から覆うケース40と、上面に第2の突条部51、52を有し、ボビン10の下側に装着された底板50を備えている。
また、鍔13の外縁には、環状の凹部17が形成されている。
また、第1の突条部41、42と第2の突条部51、52は、凹部17に全周に亘って嵌合されている。
また、第1の突条部の両端42と第2の突条部の両端52は、ボビン10の巻軸方向から見て重畳されている。
また、重畳された部分は、凹部17の内側から鍔13の外方に跨っている。
これにより、重畳された部分が、巻軸方向から見て、凹部に嵌合されていると共に、鍔の外方に延出されて配される。
よって、第1の突条部の両端と第2の突条部の両端における1次巻線と2次巻線間の沿面距離は、巻軸方向に直線状の経路とならずに、凹部の内側から鍔の外方に跨った重畳部分を経由するものとなる。すなわち、第1の突条部の両端と第2の突条部の両端における1次巻線と2次巻線間の沿面距離は、凹部に嵌合された部分(内側経路)あるいは鍔より延出された部分(外側経路)を経由する。
このため、本例は、従来例のような構成に比べて、1次巻線と2次巻線間の沿面距離を長くできる。
【0033】
また、第1の突条部と第2の突条部は、それぞれの両端に設けられている薄肉部において互いに重畳されているため、本例は、簡単な構成で沿面距離を長くできる。
【0034】
また、重畳された部分の巻軸方向の厚さは、第1の突条部と第2の突条部の重畳されていないその他の部分の巻軸方向の厚さと同じである。
そのため、本例は、トランスを大型化することなく、沿面距離を長くできる。
【0035】
また、上記実施形態では、突条部41の薄肉部42aと突条部51の薄肉部51aは、接して配されているが、巻軸方向において重畳された部分の全厚が同じであれば、突条部41の薄肉部42aと突条部51の薄肉部51aは、巻軸方向で若干隙間を設けて配されてもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、ケースの突条部と底板の突条部には、それぞれ平板状の薄板部が形成されて互いに重畳されているが、これに限らない。沿面距離が、従来例のように巻軸方向に直線状の経路とならずに、凹部に嵌合された部分(内側経路)あるいは鍔より延出された部分(外側経路)を経由すればよい。例えば、ケースの突条部と底板の突条部に、それぞれ不図示の斜面状に切り欠かれた傾斜部が形成されて互いに重畳されたものでもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 トランス
10 ボビン
11 筒状部
12 外鍔
13、13a、13b 中鍔(鍔)
14 中鍔の左右の外縁
17 凹部
17a 凹部の上側部分
17b 凹部の右側部分
17c 凹部の左側部分
17d 凹部の下側部分
18 端子台
19 接続端子
21 1次巻線
22 2次巻線
40 ケース
41、42 ケースの突条部(第1の突条部)
42a 薄肉部
50 底板
51、52 底板の突条部(第2の突条部)
51a 薄肉部
中鍔13aの外縁から1次巻線21までの距離
中鍔13bの外縁から2次巻線22までの距離
D ケース40の突条部(もしくは底板50の突条部)が凹部17に嵌合されている深さ
底板の突条部の長さ
中鍔13の長さ
中鍔13aの厚さ
中鍔13bの厚さ
ケースの突条部の厚さ
31 薄肉部42aの厚さ
底板の突条部の厚さ
41 薄肉部51aの厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9