特許第6385685号(P6385685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライフスタイル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6385685-冷蔵庫 図000002
  • 特許6385685-冷蔵庫 図000003
  • 特許6385685-冷蔵庫 図000004
  • 特許6385685-冷蔵庫 図000005
  • 特許6385685-冷蔵庫 図000006
  • 特許6385685-冷蔵庫 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385685
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20180827BHJP
   F25D 29/00 20060101ALI20180827BHJP
   F25D 27/00 20060101ALI20180827BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   F25D23/00 301H
   F25D29/00 Z
   F25D27/00
   F25D29/00 B
   F25D23/00 301Q
   F25D11/00 101B
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-33075(P2014-33075)
(22)【出願日】2014年2月24日
(65)【公開番号】特開2015-158307(P2015-158307A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2016年12月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124707
【弁理士】
【氏名又は名称】夫 世進
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】阿部 孝彦
【審査官】 石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−070002(JP,A)
【文献】 特開2011−133185(JP,A)
【文献】 実開昭54−023369(JP,U)
【文献】 特開2007−101180(JP,A)
【文献】 特開2008−196839(JP,A)
【文献】 特開2012−207900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 17/04−17/08
F25D 23/00
F25D 11/00−16/00
F25D 27/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開口し内部を貯蔵空間とした断熱箱体と、
前記貯蔵空間を冷却する冷却装置と、
前記貯蔵空間の開口を閉塞する扉と、
この扉の開状態と閉状態と半開状態とを検知する扉開閉検知手段と、
前記断熱箱体における貯蔵空間の外側にて、前記断熱箱体の設置面に光が向かうように傾けて設けられることで、前記断熱箱体の設置面に向かって斜め前方下向きに光を照射し、前記断熱箱体の前方の設置面を照明する照明装置と、
この照明装置を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記扉開閉検知手段が半開状態又は開状態を所定時間継続して検知すると前記照明装置を制御して異常を報知する冷蔵庫。
【請求項2】
前記扉開閉検知手段で半開状態を検知してから制御部が異常を報知するまでの時間は、前記扉開閉検知手段で開状態を検知してから制御部が異常を報知するまでの時間より短い時間に設定されている請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
制御部は、前記扉開閉検知手段が半開状態又は開状態を所定時間継続して検知すると前記照明装置を点滅させる請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記制御部は、前記扉開閉検知手段が半開状態を所定時間継続して検知した場合と、開状態を所定時間継続して検出した場合とで、前記照明装置を点灯させる時間と消灯させる時間を変更する請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記制御部は、前記扉開閉検知手段が半開状態を所定時間継続して検知した場合と、開状態を所定時間継続して検出した場合とで、前記照明装置の輝度を変更する請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記照明装置は複数の色を点灯する機能を有し、
前記制御部は、前記扉開閉検知手段が半開状態又は開状態を所定時間継続して検知した場合に、半開状態又は開状態を所定時間継続して検知しない場合と異なる色を点灯させる請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記冷却装置の異常を検出する異常検出手段を有し、
前記制御部は、前記異常検出手段が前記冷却装置の異常を検出すると、前記扉開閉検知手段が半開状態又は開状態を所定時間継続して検知した場合と異なる制御で前記照明装置を制御して異常を報知する請求項1〜6のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記扉開閉検知手段は、庫内に突出するピンと前記ピンの押し込み量を検出する検出部を有し、前記検出部が検出した前記ピンの押し込み量に基づいて、開状態と閉状態と半開状態とを検知する請求項1〜7のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
扉が一定時間以上開放状態にあるなど冷蔵庫に異常がある場合に、ブザーの音で使用者に警告を行うなどして異常を報知する冷蔵庫がある。しかし、冷蔵庫の製造性やコストを低く抑えるためにブザーなどの音による報知手段を備えていない場合や、ブザーを備えていても周りの騒音や、冷蔵庫の周囲を家具や壁に囲まれるなどによりブザーの音を確認できない使用環境にあっては、使用者に適切に異常報知することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−130917号公報
【特許文献2】特開2008−75925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の問題を考慮してなされたものであり、音による報知手段が適切に機能しない場合であっても使用者に適切に異常を報知する冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本実施形態の冷蔵庫は、前面が開口し内部を貯蔵空間とした断熱箱体と、前記貯蔵空間を冷却する冷却装置と、前記貯蔵空間の開口を閉塞する扉と、この扉の開状態と閉状態と半開状態とを検知する扉開閉検知手段と、前記断熱箱体における貯蔵空間の外側にて、前記断熱箱体の設置面に光が向かうように傾けて設けられることで、前記断熱箱体の設置面に向かって斜め前方下向きに光を照射し、前記断熱箱体の前方の設置面を照明する照明装置と、この照明装置を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記扉開閉検知手段が半開状態又は開状態を所定時間継続して検知すると前記照明装置を制御して異常を報知する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の第一実施形態を示す冷蔵庫の斜視図である。
図2】照明装置の設置状態を示す冷蔵庫の斜視図である。
図3】冷蔵庫の機械室を示す斜視図である。
図4】冷蔵庫の冷凍サイクルを示す模式図である。
図5】制御部における構成を示すブロック図である。
図6】第二実施形態の冷蔵庫の底面を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0008】
(第一実施形態)
図1は本発明の実施形態に係る冷蔵庫本体1の斜視図である。冷蔵庫本体1の匡体は、鋼板製の外箱と合成樹脂製の内箱との間隙にウレタンフォームなどの断熱材を発泡充填することで、前面が開口し内部を貯蔵空間とした断熱箱体2で形成されている。この断熱箱体2前面の開口部は、断熱機能を有する回転式のドア3で開閉自在に閉塞されている。
【0009】
一つの例であるが、冷蔵庫本体1はその高さが約500mm、奥行きが約490mm、横幅が約480mmであり、床面に設置した場合に天井面が約500mmの位置となる。この天井面の高さは20〜50歳女性の平均的な目の高さ位置である1450mm程度に比べても1/3程度の高さであり、使用者は冷蔵庫本体1を床に設置した場合には、冷蔵庫本体1の天井面を見下ろす高さとなる。
【0010】
冷蔵庫内部の貯蔵空間上方には冷却器4が備えられ、庫内の天井面と冷却器4との間には製氷皿5が配される。冷却器4の下方には冷却器4に近接して異常検知手段の一つである庫内温度センサ6が配され、冷却器4及び庫内温度センサ6の下方には、冷却器4で生じた露を受け止めて庫外に排水する露受け皿7が配されており、庫内の下方である貯蔵空間に除霜水が落水することを防いでいる。
【0011】
露受け皿7の下方に位置する庫内空間には上棚8と下棚9が備えられ、それぞれの棚の上、あるいは冷蔵庫内の底面に貯蔵品を載置して収納することができる。
【0012】
また、貯蔵空間上方の左側には冷蔵庫のドア3が開閉状態を検知する扉開閉検知手段である押し込み式のドアスイッチ10と、冷凍サイクルを構成する圧縮機21の運転を使用者の選択により強制的に停止させることができる圧縮機停止スイッチ11が備えられる。
【0013】
ドアスイッチ10は冷蔵庫本体1の庫内に突出するピンと、ピンの押し込み量を検出する検出部を有する。このピンがドア3の内側に設けた立ち上がり部であるスロート16に接触し、内側に向かって押し込まれることで、ドア3の開閉状態を検知する。
【0014】
このドアスイッチ10においては、ドアスイッチ10が押し込まれていないドア3の開状態と、ドアスイッチ10が完全には押し込まれていないがドア3との接触を検知している半開状態と、ドアスイッチ10がドア3によって完全に押し込まれている閉状態の3つの状態を検知する。
【0015】
図2に示すように、断熱箱体2には、このドアスイッチ10や圧縮機停止スイッチ11よりも貯蔵空間(庫内)の奥側に位置して庫内を照明する照明装置(庫内灯)12が備えられる。この庫内灯12は下方および庫内に面した側方に光を透過する透明部材18aを備えたカバー18に覆われており、点灯状態において、庫内灯12から照射された光は庫内の下方および側方に向かい、棚8、9や庫内壁面などに反射することで庫内全体を照らす。
【0016】
また、断熱箱体2の底面には、冷蔵庫本体1と設置面との間に配して、冷蔵庫本体1を支える脚15が冷蔵庫底面の四隅に配される。冷蔵庫本体1の底面は設置面からこの脚15の高さ分だけ距離が離間される。なお、4つある脚15の内1つは高さを調整可能な調整足15aであり、設置面に対して冷蔵庫本体1の傾きなどを調整可能である。
【0017】
図3に示すように、冷蔵庫本体1の後方下部には貯蔵空間と断熱区画して機械室20が備えられ、この機械室20内に冷凍サイクルを構成する圧縮機21や冷媒配管としての放熱パイプ22、ドライヤ23、キャピラリチューブ24、サクションパイプ25が配設されている。また、機械室20の上方であって冷蔵庫本体1の背面には、冷蔵庫の運転を制御するマイコン31(制御部)や、時間を計測するタイマー32などを実装した制御基板を設置している。
【0018】
ドア3の庫内側にはドアポケット13a、13bが上下に所定間隔で離間して備えられ、ドアポケット13a、13bの底面部には防音マット14が敷かれており、圧縮機21の振動が冷蔵庫本体1を介してドアポケット13a、13bに収納した貯蔵品に伝わることで音が発生することを防止している。
【0019】
また、ドア3の庫内側の周縁部には図示しないガスケットが配されており、ドア3を閉じた状態において、ドア3と断熱箱体2の開口部周縁との間に隙間が発生して、庫内の冷気が庫外に漏れ出すことを防いでいる。さらに、このガスケットの内部には磁石が配されており、断熱箱体2の開口部周縁においては鋼板製の外箱を庫内側に折り返しているため、ドア3のガスケット内部に配した磁石の磁力により断熱箱体2の開口部周縁にドア3のガスケット部分が密着することで冷蔵庫の閉状態を維持する。
【0020】
次に、冷凍サイクルについて図4に基づき説明する。圧縮機停止スイッチ11がオフの状態であって、庫内温度センサ6で検知した庫内温度が閾値以上の温度である場合には圧縮機21を運転する。圧縮機21により圧縮したことで温度が上昇した高温冷媒は、断熱箱体2の側面及び前面開口の上部であって、外箱と内箱との間に配設した放熱パイプ22を通過する過程で放熱作用により温度が低下するとともに、凝縮して液化する。その後、ドライヤ23において冷媒を乾燥させることで冷媒配管を流れる冷媒中の水分やゴミを除去する。水分やゴミが取り除かれた冷媒は、キャピラリチューブ24を通過することで減圧され、低温低圧となった液冷媒が冷却器4に送られる。冷却器4では冷却器4周りの空気から気化熱を奪って液冷媒を気化させるため、冷却器4の周りの空気は冷却される。ここで発生した冷気により冷蔵庫内全体が冷却される。ここで、庫内温度センサ6で検知した庫内温度が所定温度以下まで下がったことを検知した場合には、圧縮機21の運転を停止し、冷却運転を終了する。
【0021】
冷却器4の除霜については、圧縮機21の運転が停止している状態を2時間キープすることで冷蔵庫内の温度が上昇し、冷却器4の温度が0℃以上になる状態を保つことで除霜を行う。この除霜運転は、圧縮機停止スイッチ11がオフからオンとなった場合、すなわち冷却運転が可能な状態から冷却運転を行うことのできない状態になることで、強制的に圧縮機21の運転が停止され、冷却器4の温度が上昇し始めることで開始される。
【0022】
圧縮機停止スイッチ11がオフの状態であり続ける場合には、制御基板に搭載したタイマー32により計測した時間から、除霜をしていない時間が連続して24時間継続したことを検知して除霜の開始を決定する。なお、除霜のタイミングは除霜をしていない時間が24時間継続したことを検知する方法に限られず、圧縮機21の運転時間が所定時間に達した場合や冷却器4の着霜量を検知する検知センサを備えて着霜量が閾値以上の場合には除霜を開始するなどしてもよい。
【0023】
次に制御部31である制御基板による制御について説明する。制御部31の構成を示す図5に示すように、制御部31には圧縮機停止スイッチ11、タイマー32、異常検知手段である庫内温度センサ6とドアスイッチ10とがそれぞれ接続され、ドア3の開閉状態などの冷蔵庫のステータスが入力される。さらに、制御部31には制御対象である圧縮機21、庫内灯12、庫外灯17がそれぞれ接続され、入力された各ステータスに応じて制御命令を出力する。
【0024】
以下、制御部31による制御の内容を詳述する。
【0025】
ドアスイッチ10がドア3の開状態を検知することで庫内灯12を点灯し、ドア3の閉状態を検知することで庫内灯12を消灯する。また、ドア3の半開状態を所定時間T1、例えば1秒間継続して検知した場合には、庫内灯12を1秒間隔で点灯と消灯を繰り返すように点滅させることで半開状態であることを使用者に直ちに報知する。
【0026】
さらに、ドアスイッチ10によりドア3の開状態が半開状態を検知する所定時間T1より長い時間に設定された所定時間T2、例えば、1分間継続している異常開放状態と検知した場合には、庫内灯12を点滅させることで開放状態報知制御を行う。より具体的には、庫内灯12を1秒点灯させた後に2秒消灯するという制御を繰り返す。
【0027】
また、制御部31は、圧縮機21を起動して冷凍サイクルの動作を開始してから所定時間経過後(例えば、4時間経過後)に庫内温度センサ6で検知した庫内温度が所定温度以下(例えば、8℃)に達していない場合、冷凍サイクルが有する圧縮機21の異常を検知する。
【0028】
通常であればドア3の開放に伴い庫内灯12を点灯させるが、制御部31が圧縮機21に異常があることを検知した場合には、庫内灯12を開放状態報知制御とは異なるパターンで点滅させることで圧縮機異常報知制御を行う。より具体的には、庫内灯12を1秒点灯、1秒消灯、1秒点灯、2秒消灯の制御のサイクルを繰り返す。
【0029】
修理が完了するなどして、圧縮機21において異常が検知されなくなった場合には、圧縮機異常報知制御を停止して、通常制御すなわちドア3が開放されていれば点灯し、閉塞されていれば消灯し、半開状態では点滅する制御を行う。
【0030】
別の異常の例を以下に示す。電源投入後5時間が経過したことをタイマー32により検知し、かつ、庫内温度が30℃以上であることを庫内温度センサ6が検知した場合には、庫内が異常な高温度の状態であると判断し、庫内灯12を1秒点灯、1秒消灯、1秒点灯、3秒消灯の制御のサイクルを繰り返す。
【0031】
上述した実施形態によれば、ドアスイッチ10によるドア3の開状態が1分間以上継続しており、庫内灯12の点灯状態が1分間以上続いた場合には、庫内灯12を点滅させる。これにより、ブザーなどの音による報知を行うことのできない冷蔵庫においても、ドア3の開放状態が1分間以上続いていることを使用者に報知することができ、ドア3の開放状態が続くことによって庫内の温度が上昇することを防止できる。
【0032】
ドアスイッチ10によりドア3の半開状態を検知する所定時間T1が、ドア3の開放異常を検出する時間T2より短い時間に設定されているため、ドア3の半開状態を検知した際に直ちに点滅制御を行うことで、使用者がドア3を閉塞しようとする動作を行った直後に、つまり、使用者が冷蔵庫から離れる前にドア3が完全には閉塞していない半開状態であることを報知して閉塞を促すことができる。これにより、通常、気づきにくいドア3の半開状態を使用者に早期かつ確実に知らしめることができ、ドア3の半開状態が続くことによって庫内温度が上昇することを防止できる。
【0033】
庫内灯12の点滅制御により異常を報知するので、ブザーやドア3の表面に操作パネルを設けることなく、使用者に異常を報知することができるため安価に異常を報知できる。
【0034】
さらに、冷蔵庫に異常が検知された場合にはその異常に応じて、庫内灯12を点滅させるため、使用者は異常が起きていることを認知できる。それとともに、その点滅のパターンからどのような種類の異常が検知されているかを把握することができる。これにより使用者が修理を依頼する際に点滅のパターンを併せて伝えることが可能となり、修理を行う者が使用者から連絡された点滅のパターンから故障内容を把握した状態で修理に向かえるため、効率的に修理を行うことができる。
【0035】
なお、庫内灯12を点滅させる場合に、完全に消灯させるかわりに光を弱める制御をして強弱をつけることで異常を報知してもよい。すなわち、ドア3が開放状態報知制御の場合にデューティ比が100%で1秒点灯(強点灯)、デューティ比が50%で1秒(弱点灯)を繰り返すなどして、庫内灯12が常に点灯した状態で明暗を時間ごとに制御してもよい。
【0036】
(第二実施形態)
第二実施形態の冷蔵庫の底面図である図6に示すように、冷蔵庫底面であってドア3が配される方向である前方側には庫外点灯手段である照明装置(庫外灯)17を備えている。この庫外灯17は光の照射方向が冷蔵庫本体1の後方から前方に向かう向きであって、冷蔵庫本体1が設置される設置面である下方に向かうように傾けて備えているため、冷蔵庫本体1が設置される設置面に向かって上方から斜め下向きに光を照射し、冷蔵庫本体1の前方に位置する領域を照明する。
【0037】
さらに、制御基板に備えたタイマー32により時間を検出し、現在時刻が例えば午後6時から午前6時までの間であるなど、現在が夜であることを検知した場合であって、圧縮機停止スイッチ11がオフの状態であれば庫外灯17を点灯させる。これにより、使用者に圧縮機停止スイッチ11がオフの状態であることを報知するとともに、夜間で室内が暗い場合にこの庫外灯17が冷蔵庫本体1の前方領域を照らすので、冷蔵庫本体1を設置した室内の照明を行うことができる。
【0038】
圧縮機21に異常があることを検知した場合には、庫外灯17を点滅させることで圧縮機異常報知制御を行う。より具体的には、庫外灯17を1秒点灯、1秒消灯、1秒点灯、2秒消灯の制御のサイクルを繰り返す。
【0039】
また、異常開放状態や半開状態における点滅制御において庫内灯12の点滅制御に代えて、あるいは庫内灯12の点滅制御に連動して庫外灯17を点滅させることで報知を行ってもよい。
【0040】
上述した実施形態によれば、庫外灯17の点滅によって冷蔵庫に異常があることを検知できるので、ドア3の開閉に関係なく異常の有無を確認することができる。すなわち、冷蔵庫のドア3を開いて貯蔵空間内に設けられた庫内灯12の点滅を確認することで初めて異常に気付くのではなく、庫外に設けられた庫外灯17の点滅から異常を発見できるので、速やかに異常に気付くことができる。
【0041】
(第三実施形態)
上述した実施形態と異なる点は、庫内灯12が一色の光のみを点灯するのではなく、庫内灯12が複数の色を点灯可能で、異常を検知していない場合と異常を検知した場合とにおいて、点灯させる色を変更する点にある。
【0042】
庫内灯12として白色の照明と赤色の照明との2つの照明を備える。異常を検知していない場合すなわち通常時には、この2つの照明のうち白色の照明については点灯させるが、赤色の照明は点灯させない。一方、異常を検知した場合には白色の照明は点灯させないが、赤色の照明を点灯させる。
【0043】
変形例として、異常を検知した場合に白色の照明と赤色の照明を交互に点灯させてもよい。具体的には、ドアスイッチ10によりドア3の開放状態が1分以上続いていると検知した場合には、庫内灯12の白色の照明を1秒点灯させた後に赤色の照明を1秒点灯するという制御を繰り返し、白と赤のどちらかが点灯する制御を1秒間ずつ交互に繰り返す。圧縮機21に異常があることを検知した場合には、庫内灯12の白色の照明を2秒間点灯させた後に赤色の照明を1秒間点灯する制御を繰り返す。
【0044】
また、庫内灯12に白色、赤色に加えて青色の照明を備えて、通常時は白色を点灯し、圧縮機21に異常があった場合には赤色を点灯し、庫内温度が30℃以上である異常高温時には青色を点灯させるなど、異常の種類に応じて点灯させる色を変更させてもよい。
【0045】
なお、異常を検知しない通常時と異常を検知した異常時とを使用者が視覚的に識別できればよく、庫内灯12の照明の色は上述した色に限定されず、点灯のパターンについても上述した例に限定されない。
【0046】
上述した実施形態によれば、庫内灯12の点灯する色を使用者が識別することで冷蔵庫の異常の有無を容易に確認することができる。これにより、使用者が冷蔵庫にどのような異常が発生しているかを庫内灯12の色情報から明確に認識することができるため、修理依頼を行う際に容易に冷蔵庫の異常の内容を伝えることが可能である。
【0047】
上述した少なくとも一つの実施形態によれば、使用者が庫内灯12、あるいは庫外灯17の点滅から冷蔵庫の異常の有無を確認することができ、冷蔵庫の異常に対して速やかに対応することが可能である。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1は冷蔵庫本体、2は断熱箱体、3はドア、4は冷却器、5は製氷皿、6は庫内温度センサ、7は露受け皿、8は上棚、9は下棚、10はドアスイッチ、11は圧縮機停止スイッチ、12は庫内灯(照明装置)、13a、13bはドアポケット、14は防音マット、15は脚、15aは調整脚、16はスロート、17は庫外灯(照明装置)、18はカバー、18aは透明部材、20は機械室、21は圧縮機、22は放熱パイプ、23はドライヤ、24はキャピラリチューブ、25はサクションパイプ、31はマイコン、32はタイマーを示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6