(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリオレフィンのメルトフローレート(JIS K7210−1999、190℃、荷重2160g)が、3g/10min以上30g/10min以下である請求項1又は請求項2に記載の包装用積層体。
前記透湿性フィルムが、前記包装材用樹脂組成物の熱分解性無機発泡剤を発泡後、破泡させることにより形成された透湿性フィルムである請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の包装用積層体。
前記基紙と前記透湿性フィルムとの接着強度が、幅15mm、剥離速度300mm/min、及び剥離角度180度の条件において、1N以上である請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の包装用積層体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
食品等の包装材用として適度な通気度(透湿度)を有し、かつ基材との接着性に優れた積層体をより簡便に製造可能な樹脂組成物が求められている。
エンボスを有するローラを押し当てて通気性を有する積載体を製造するには、複雑な製造工程が必要とされる。
他方、特許文献1及び2に記載の透水性シートは、食品等の包装材としては不適当である。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、より簡便な製造方法で製造することが可能で、かつ基材との接着性に優れた食品等の包装材として好適な通気度(透湿度)を有する積層体が得られる包装材用樹脂組成物、及び包装用積層体を提供することを目的とし、この目的を達成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> ポリオレフィンと、熱分解無機発泡剤と、を含み、総ガス発生量が50ml/kg以上1500ml/kg以下である包装材用樹脂組成物。
<2> 前記総ガス発生量が、300ml/kg以上700ml/kg以下である前記<1>に記載の包装材用樹脂組成物。
<3> 前記ポリオレフィンのメルトフローレート(JIS K7210−1999、190℃、荷重2160g)が、3g/10min以上30g/10min以下である前記<1>又は前記<2>に記載の包装材用樹脂組成物。
<4> 前記ポリオレフィンが、低密度ポリエチレンである前記<1>〜前記<3>のいずれか一項に記載の包装材用樹脂組成物。
【0006】
<5> 前記熱分解無機発泡剤が、炭酸水素ナトリウムである前記<1>〜前記<4>のいずれか一項に記載の包装材用樹脂組成物。
<6> 基紙と、前記基紙の少なくとも一方の表面に設けられ、前記<1>〜前記<5>のいずれか一項に記載の包装材用樹脂組成物を用いて熱分解性無機発泡剤を発泡後、破泡させることにより形成された透湿性フィルムと、を有する包装用積層体。
<7> 基紙と、前記<1>〜前記<6>のいずれか一項に記載の包装材用樹脂組成物を用いて熱分解性無機発泡剤を発泡後、破泡させることにより形成された透湿性フィルムと、不織布と、をこの順に有する包装用積層体。
【0007】
<8> 前記包装用積層体の透湿度が、100g/m
2・day以上4000g/m
2・day以下である前記<6>又は前記<7>に記載の包装用積層体。
<9> 前記透湿性フィルムの1m
2当たりの質量が、5g以上50g以下である前記<6>〜前記<8>のいずれか一項に記載の包装用積層体。
<10> 前記基紙と、前記透湿性フィルムとの接着強度が、幅15mm、剥離速度300mm/min、及び剥離角度180度の条件において、1N以上である前記<6>〜前記<9>のいずれか一項に記載の包装用積層体。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、より簡便な製造方法で製造することが可能であり、かつ基材との接着性に優れる食品等の包装材として好適な包装材用樹脂組成物、及び包装用積層体が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る包装材用樹脂組成物及び包装用積層体について詳細に説明する。
《包装材用樹脂組成物》
本発明に係る包装材用樹脂組成物は、ポリオレフィンと、熱分解無機発泡剤と、を含み、総ガス発生量を50ml/kg以上1500ml/kg以下として構成されている。
本発明の包装材用樹脂組成物は、基紙上に、溶融押し出し法により付与するだけで、基紙の表面に、例えば固着されたポリオレフィンフィルムが形成され、更に、フィルム形成とともに、ポリオレフィンフィルム中に発泡剤から発生した多数の気泡に由来する通気孔が形成されるので、透湿性を有する包装用積層体を製造することができる。
【0011】
<ポリオレフィン>
ポリオレフィンには、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒重合直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン類のほか、エチレンを主成分とするエチレン・α−オレフィン共重合体、エチレンを主成分とするエチレン・不飽和カルボン酸共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体、等が含まれる。
【0012】
エチレンを主成分とするエチレン・α−オレフィン共重合体としては、例えば、エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数3乃至30のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。
エチレンを主成分とするエチレン・不飽和カルボン酸共重合体としては、例えば、エチレンとアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸との共重合体が挙げられる。
また、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体としては、エチレンとアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、エタクリル酸アルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等の不飽和カルボン酸エステルとの共重合体が挙げられる。尚、上記アルキルエステルとしては、メチル、エチル、n−ブチル、i−ブチル、2−エチルヘキシル、イソオクチル等のエステルを好適例として挙げることができる。
【0013】
更に、エチレンと上記の不飽和カルボン酸と不飽和カルボン酸エステルとからなるエチレン・不飽和カルボン酸・不飽和カルボン酸エステル三元共重合体等の多元系共重合体、
上記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体或いはエチレン・不飽和カルボン酸・不飽和カルボン酸エステル三元共重合体の亜鉛又はアルカリ金属アイオノマー、更には、エチレン・酢酸ビニル共重合体及びその部分鹸化物、エチレン・プロピオン酸ビニル共重合体及びその部分鹸化物、ポリビニルアルコール等のエチレン系重合体も挙げられる。
更に、これら重合体を2種以上混合した樹脂組成物も使用することができる。
【0014】
これらの内でも、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒重合直鎖状低密度ポリエチレン等の低密度ポリエチレン、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体等のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ土類金属又はアルカリ金属アイオノマー等のアイオノマーが好ましく、特に、低密度ポリエチレンが最も好ましい。
【0015】
ポリオレフィンは、メルトフローレート(以下、「MFR」ともいう。)が、3g/10min以上30g/10min以下のものが、製造上簡便な溶融押し出し法によりフィルムとすることが容易である点で好ましい。MFRは、6g/10min以上15g/10min以下であることが更に好ましい。
MFRは、JIS K7210−1999、190℃、荷重2160gで測定される値である。
【0016】
<熱分解無機発泡剤>
熱分解無機発泡剤は、ポリオレフィンの溶融温度近傍か、それ以上の温度(以下、熱分解無機発泡剤が発泡する最低温度を「発泡温度」ともいう。)でガスを発生する無機化合物であれば、特に限定されることなく用いられるが、重合体の溶融温度、溶融粘度、その他の物性値を勘案して適当な発泡剤を選択することが好ましい。
【0017】
本発明で用いることのできる代表的な熱分解無機系発泡剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム(重曹)、炭酸水素アンモニウム等の炭酸水素酸塩、炭酸アンモニウムのような炭酸塩、亜硝酸アンモニウムのような亜硝酸塩等が挙げられる。
更に、水(水蒸気)を利用した所謂水発泡も採用でき、用いる発泡剤として水、結晶水含有無機物等を挙げることができる。
これらのうち、炭酸水素ナトリウムが、食品と接する包装材用樹脂組成物として好ましい。また、適度な透湿度と層間接着強度とを両立させているので、穴開きフィルムと基材の間で剥離し、穴開きフィルムから食品類に使用する乾燥剤、脱臭剤、脱酸素剤等が内部から漏れ出したりすることのない包装材が得られ、また食品等を包装する場合は、穴開きフィルムと基材が剥離し、食品が漏れ出すことがなく、さらに、適度な透湿度が得られるので好ましい。
【0018】
熱分解無機発泡剤は、予め、ポリオレフィン中に混合したマスターバッチとして調製しておき、マスターバッチとポリオレフィンとを混合して、熱分解無機発泡剤の含有量が所望の範囲となるようにして、本発明に係る包装材用樹脂組成物を調製してもよい。
上記マスターバッチにおける熱分解無機発泡剤の含有量は、例えば、5質量%以上50質量%以下の範囲が適当である。
【0019】
<総ガス発生量>
本発明に係る包装材用樹脂組成物は、総ガス発生量が50ml/kg以上1500ml/kg以下とされる。
総ガス発生量が50ml/kgよりも少ないと、透湿性が不十分となり、水蒸気やガス等が発生する食品の包装に使用すると結露して、食品の品質が損なわれてしまう。他方、総ガス発生量が1500ml/kgを超えると、基紙等の基材との接着力が不十分な積層体しか得られず、例えば、食品を包装する際、又は包装された食品の搬送中に、基材と透湿性フィルムとが剥がれてしまう。
【0020】
ここで、総ガス発生量とは、1g当たりの熱分解無機発泡剤を160℃で、10分間保持した場合に発生するガスの量(単位:ml)を測定し、その測定値を包装材用樹脂組成物1kg当たりのガスの量に換算することにより算出された値である。
発生するガスは、その性質に応じて収集される。例えば、水に不溶なガスの場合には、水上置換により収集され、水に可溶なガスの場合には、ガスの種類に応じた適切な溶媒を入れたトラップでガスを捕集し、重量増加分からガスの体積が算出される。
【0021】
総ガス発生量は、300ml/kg以上700ml/kg以下がより好ましく、400ml/kg以上600ml/kg以下が最も好ましい。
上記のような総ガス発生量を有する包装材用樹脂組成物に含まれる熱分解無機発泡剤の含有量は、使用される熱分解無機発泡剤の含有量を変えて調製された包装材用樹脂組成物を何種類か調製して、各々の包装材用樹脂組成物の総ガス発生量を測定することにより、熱分解無機発泡剤の量に対する総ガス発生量の検量線を作成することにより、容易に決定することが可能である。
一般的な目安としては、例えば、低密度ポリエチレンと炭酸水素ナトリウムとを含有する包装材用樹脂組成物の場合には、低密度ポリエチレン100質量部に対して、炭酸水素ナトリウム0.1質量部以上1質量部以下の範囲から選択される。
【0022】
《包装用積層体》
本発明に係る包装用積層体は、基紙と、基紙の少なくとも一方の表面に設けられた、例えば固着された、前述の包装材用樹脂組成物を用いて形成された透湿性フィルムと、を有する。
<基紙>
基紙としては、一般的な紙であれば特に限定されることなく用いられる。基紙は、坪量が10g/m
2以上200g/m
2以下のものが好ましく、20g/m
2以上100g/m
2以下のものが更に好ましい。
【0023】
<透湿性フィルム>
基紙の少なくとも一方の表面には、既述の包装材用樹脂組成物を用いて形成された透湿性フィルム(以下、単に「透湿性フィルム」ともいう。)が設けられている。
透湿性フィルムは、基紙の表面に、包装材用樹脂組成物を溶融押出しラミネーターによりラミネートする等により、熱分解性無機発泡剤を発泡
後、破泡させることにより形成することができる。
本発明において、熱分解性無機発泡剤を発泡後、破泡させるには、たとえば発泡剤が分解する温度以上で押出ラミネーターで溶融樹脂の加工を行えばよい。
このようにして形成された透湿性フィルムは、フィルム中に熱分解無機発泡剤に由来するガスにより形成された孔を多数含んでおり、これにより、透湿性に優れる。
透湿性フィルムに含まれる孔が大きくなるにつれて、透湿性は高くなるが、あまりに大きくなると、接着層としての機能が損なわれる。本発明に係る包装材用樹脂組成物は、総ガス発生量が50ml/kg以上1500ml/kg以下であるため、基紙と、透湿性フィルムとの接着力が、包装用積層体として十分に強いものが得られると共に、透湿性についても、水蒸気やガス等が発生する食品の包装に適した透湿性を有する。
【0024】
透湿性フィルムの1m
2当たりの質量(g)、すなわち目付(g/m
2)は、5g/m
2以上50g/m
2以下であることが好ましい。
目付が5g/m
2以上であることで、接着性の点で有利である。また、目付が50g/m
2以下であることで、透湿性の点で有利である。
【0025】
<包装用積層体のその他の構成>
本発明に係る包装用積層体は、基紙と、透湿性フィルムと、不織布とを、この順に有する構成であることが、特に食品包装用として使用する場合に好ましい。この構成を有する包装用積層体で食品を包装する場合には、不織布が食品と接触する表面(以下、「包装面」ともいう。)となるようにして使用されるのが好ましい。
【0026】
<不織布>
不織布としては、バイメタル型(サイド−バイ−サイド型)、芯鞘型、キドニー型、マトリックス型等の2成分以上のポリマーを用いた複合糸を使用した長繊維構造の不織布を使用することが、適度な繊維強度を有しているので好ましい。不織布は、被包装物と接する際の非付着性(非粘着性)の見地から、包装面となる表面が、通常、非極性熱可塑性樹脂で形成されていることが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィンで形成されることが好ましいが、極性材料を使用することも可能である。
【0027】
不織布における、包装面以外となる部分は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)、スチレンエラストマー、ポリアミド、等、通常合成繊維に使用される汎用の熱可塑性樹脂を使用することが可能である。また、包装面を構成する繊維として、単一のポリマーからなる繊維を使用することも可能である。
【0028】
不織布は、1平方メートル当たりの重量が、3g/m
2以上50g/m
2以下のものが、保温性及び強度の適度なものが得られるので好ましく、5g/m
2以上30g/m
2以下のものが更に好ましい。
【0029】
<包装用積層体の透湿度>
本発明に係る包装用積層体の透湿度は、100g/m
2・day以上4000g/m
2・day以下であることが適度な透湿度を有し、また基材との接着性に優れるので好ましい。透湿度は、300g/m
2・day以上1000g/m
2・day以下であることが更に好ましい。
ここで、透湿度は、JIS Z 0208:1976に規定されているカップ法により、温度40℃、相対湿度90%で測定した値である。
透湿度は、包装材用樹脂組成物に含有させる熱分解無機発泡剤の選択及び含有量により調節することができる。
【0030】
<包装用積層体の接着強度>
本発明に係る包装用積層体における基紙と透湿性フィルムとの接着強度は、幅15mm、剥離速度300mm/min、及び剥離角度180度の条件下において、1N以上であることが好ましい。本発明においては、株式会社インテスコ製のIM−20X−ST型引張試験機により、15mm幅の短冊状に切り出した包装用積層体の基紙と透湿性フィルムとを、剥離速度300mm/minで、角度180度で剥離させて測定した場合の測定値である。
【0031】
<包装用積層体の製造装置>
本発明に係る包装用積層体を製造するための製造装置の一例を
図1に示す。
図1は、本発明に係る包装用積層体を製造するための製造装置(以下、「押出しラミネーター」ともいう。)の要部断面図であり、厚み等のサイズは、誇張されて表示されている。
図1において、押出しラミネーター10は、冷却ロール1、ニップロール2、及びTダイ3で構成されている。Tダイ3には、図示しない押し出し機で溶融状態とされた包装材用樹脂組成物5が供給され、マニホールド51において基紙の幅方向に広げられて、溶融膜50としてTダイ3から押し出される。Tダイ3には、マニホールド中の包装材用樹脂組成物が溶融状態を維持するように、ヒーター52が設けられている。Tダイ3から押し出された溶融膜50は、図示しない送り出しロールから繰り出された走行する基紙4と共に、冷却ロール1とニップロール2との間のニップ間を、溶融膜50が冷却されつつ通過する。ここで、Tダイ3から押し出された溶融膜50は、熱分解無機発泡剤が発泡し、エアギャップ7の距離を流下しつつ発泡を持続し、ニップロール2と冷却ロール1とのニップ間に達する。ニップロール2と冷却ロール1とのニップ間では、熱分解無機発泡剤が発泡して形成された多数の気泡を含む溶融膜50と基紙とが圧着されつつ冷却され、基紙4と、基紙4の片面に固着された透湿性フィルム60とで構成された包装用積層体6が得られる。このように、基紙4と、透湿性フィルム60の形成と、基紙4への透湿性フィルム60の圧着と固着が同時に完了し、得られた包装用積層体は、図示しない巻き取り機に巻き取られる。
【0032】
図1に示した製造装置を用いて、本発明に係る包装用積層体を製造する場合、その条件の一例を示せば、Tダイ3から押し出される包装材用樹脂組成物5の温度を、例えば200℃以上330℃以下の範囲に、基紙4の搬送速度を、例えば50m/min以上300m/min以下の範囲に、エアギャップ7の距離を、例えば50mm以上200mm以下の範囲に、各々調節されることが好ましい。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210−1999、190℃、荷重2160gで測定した。
【0034】
[実施例及び比較例]
図1に記載の押出ラミネーター10(押出機:住友重機械モダン株式会社製、Tダイ:900mm幅、加工温度:320℃、冷却ロール600mmφ、ニップロール250mmφ、基紙の搬送速度:220m/min)を用い、エアギャップを110mmに夫々調節してセットした。
ポリオレフィンとして、低密度ポリエチレン(LDPE、MFR:7g/10min)、熱分解無機発泡剤として、炭酸水素ナトリウムを含む発泡剤を使用して、下記表1に記載の組成を有する包装材用樹脂組成物1を調製した。
同様に、上記熱分解無機発泡剤の代わりに、有機発泡剤であるアゾジカルボンアミドを使用し、その他は包装材用樹脂組成物1の場合と同様にして、下記表1に記載の組成を有する包装材用樹脂組成物2を調製した。更に、発泡剤を含まない点を除いて包装材用樹脂組成物1と同様の組成を有する下記表1に記載の組成を有する包装材用樹脂組成物3を調製した。
組成に関する表1中の数値の単位は、質量部である。
調製された包装材用樹脂組成物の総ガス発生量を、既述の方法で測定し、その結果を表1に示した。
調製された包装材用樹脂組成物を用いて、上記の押出ラミネーターにより、基紙(坪量50g/m
2)の片面に、14g/m
2の透湿性フィルムを固着、形成して、包装用積層体を製造した。この包装用積層体を製造するに際して、基紙の表面への透湿性フィルムの固着、形成が可能か否かに関する「加工の可否」についても、表1に記載した。
製造された各包装用積層体の透湿度及び接着強度を、既述の方法で測定し、表1に示した。結果を表1に示す。なお、包装材用樹脂組成物3は、透湿性フィルムの孔が大きすぎて接着層としての機能が損なわれたため、測定することができなかった。
【0035】
【表1】
【0036】
前記表1に示すように、本発明に係る包装材用樹脂組成物は、基紙上に、包装材用樹脂組成物を溶融押し出し法により形成するだけで、高い透湿度を有する基紙の表面に、高い接着強度で固着されることが分かる。更に、ポリオレフィンフィルム中に、発泡剤から発生した多数の気泡に由来する通気孔が形成されるので、透湿性にも優れた包装用積層体が得られることが分かる。一方、アゾジカルボンアミドを使用した比較例1では透湿度が非常に大きく、かつ、孔開きフィルムの孔が大きいため、接着層としての機能が損なわれている。さらに、アゾジカルボンアミドは発泡助剤と併用されることが多く、発泡助剤の種類によっては、毒性があったり、発生したガスの臭気が酷くなったり、分解残差が樹脂の劣化・変色を引き起こしたりする可能性がある。また、日本国内では食品添加物としての使用は禁止されており、直接あるいは間接的に食品に接する包装材料には使用することは好ましくない。
従って、本発明によれば、より簡便な製造方法で製造することが可能な食品等の包装材に好適な包装用積層体が得られる。