(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画像収集手段は、前記超音波ドプラ画像データの1フレーム分の走査領域を複数のドプラ走査領域に分割して前記複数のドプラ走査領域における超音波ドプラ画像データをそれぞれ収集する一方、前記複数のドプラ走査領域をそれぞれカバーする複数のBモード走査領域における超音波形態画像データをそれぞれ複数回収集するように構成され、
前記画像補正手段は、複数回収集された前記複数のBモード走査領域における前記超音波形態画像データ又は複数回収集された前記複数のBモード走査領域における前記超音波形態画像データを生成するための超音波受信信号に基づいて前記複数のドプラ走査領域又は前記複数のBモード走査領域ごとに前記臓器の複数の位置の動きを表す情報を取得し、前記複数のドプラ走査領域に対して前記臓器の複数の位置の動きの補正を行うように構成される請求項1乃至8のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
前記画像収集手段は、あるドプラ走査領域から超音波ドプラ画像データを収集する超音波ドプラスキャンの前後において、前記ドプラ走査領域に対応する同一のBモード走査領域から超音波形態画像データを収集するBモードスキャンを行うように構成される請求項11記載の超音波診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係る超音波診断装置、医用画像処理装置及び医用画像処理プログラムについて添付図面を参照して説明する。
【0011】
図1は本発明の実施形態に係る超音波診断装置の構成図である。
【0012】
超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送受信部3、Bモード処理部4、動き検知部5、ドプラ処理部6、画像処理部7、制御系8、表示装置9及び入力装置10を備えている。また、ドプラ処理部6は、ドプラ像生成部6A及び動き補正部6Bを有する。更に、超音波診断装置1には、ネットワークを介して医用画像処理装置11を接続することができる。医用画像処理装置11は、画像取得部12及びデータ処理部13を有する。
【0013】
超音波プローブ2には被検体に向けて超音波を送受信するための複数の超音波振動子が内蔵される。各超音波振動子は、電気信号として印加された送信信号を超音波信号に変換して被検体内部に送信する一方、被検体内部において生じた超音波反射波を受信し、電気信号としての受信信号に変換して出力する機能を有している。
【0014】
送受信部3は、超音波プローブ2に備えられる複数の超音波振動子にそれぞれ送信信号として駆動パルスを印加することによって超音波を送信させる機能と、超音波プローブ2に備えられる複数の超音波振動子からそれぞれ出力される受信信号を受信して整相加算等の必要な信号処理を実行することによって走査位置ごとの高周波(RF: radio frequency)信号を生成する機能を有する。
【0015】
Bモード処理部4は、Bモードスキャンよって収集された受信信号を送受信部3から取得して、対数変換処理及び包絡線検波処理を含むBモード画像データの生成処理を実行することにより、受信信号の強度が輝度で表示されるBモード画像データとして超音波形態画像データを生成する機能を有する。
【0016】
動き検知部5は、超音波形態画像データ又は超音波形態画像データを生成するための超音波受信信号に基づいて被検体の動きを表す情報を取得する機能を有する。被検体の動きを表す情報はベクトル情報として取得することができる。被検体の動きとしては、臓器の動きの他、被検体の体動による動きや超音波プローブ2の移動に伴う相対的な動き等の様々な動きが挙げられるが、ここでは、被検体の動きの一例として臓器の動きを対象として説明する。
【0017】
ドプラ処理部6のドプラ像生成部6Aは、CFMモードスキャン(超音波ドプラスキャン)によって超音波ドプラ信号として収集された受信信号を送受信部3から取得して、周波数解析を含むドプラ処理を実行することにより、血流の速度、分散、パワー等の動態情報をカラー表示するための超音波ドプラ画像データを生成する機能を有する。
【0018】
動き補正部6Bは、ドプラ像生成部6Aにおいて生成された超音波ドプラ画像データから臓器の動きを表す成分を除去することによって、超音波ドプラ画像データの動き補正を行う機能を有する。超音波ドプラ画像データの動き補正は、動き検知部5において取得された臓器の動きを表す情報を用いて実行することができる。例えば、臓器の動きを表すベクトルを超音波ドプラ画像データに対応するベクトルから差し引く処理を動き補正として実行することができる。
【0019】
また、被検体の血流の速度、パワー及び分散の少なくとも1つを表す超音波ドプラ画像データの動き補正を行うことができる。すなわち、血流の速度値を画素値とする速度画像のみならず、パワー値を画素値とするパワー画像及び分散値を画素値とする分散画像を動き補正の対象とすることができる。超音波ドプラ画像データの1つである血流の速度画像データを動き補正の対象とする場合には、自己相関演算等を含むドプラ処理によって求められた速度ベクトルから臓器の動きを表すベクトルを減算する演算によって動き補正を実行することができる。
【0020】
一方、パワー画像及び分散画像には、前処理としてブランク処理が実行される場合がある。ブランク処理は、ノイズ成分を除去するために、速度値が閾値以上となる領域をカラーによる表示領域とする処理である。従って、速度値が動き補正によって補正されれば、ブランク処理によって抽出されるカラー表示の対象領域も補正されるため、パワー画像及び分散画像も動き補正の対象とすることができる。
【0021】
画像処理部7は、Bモード処理部4から取得した超音波形態画像データ及びドプラ処理部6から取得した超音波ドプラ画像データに必要な表示処理を施して表示装置9に表示させる機能を有する。表示処理としては、画質を決定するためのフィルタ処理、走査線フォーマットの画像信号をビデオフォーマットの画像信号に変換するスキャンコンバート、超音波ドプラ画像データと超音波形態画像データの合成処理等が挙げられる。
【0022】
制御系8は、入力装置10から入力される情報に従って超音波診断装置1の各構成要素を統括制御するシステムである。制御系8は、表示装置9に必要な操作画面を表示させる機能も有している。
【0023】
医用画像処理装置11の画像取得部12は、超音波診断装置1において収集された被検体の時系列の超音波形態画像データ及び超音波ドプラ画像データを取得する機能を有する。
【0024】
一方、データ処理部13は、超音波形態画像データ又は超音波形態画像データを生成するための超音波受信信号に基づいて被検体の臓器の動きを表す情報を取得し、臓器の動きを表す情報を用いて超音波ドプラ画像データから臓器の動きを補正する画像補正手段としての機能を有する。つまり、データ処理部13は、動き検知部5及び動き補正部6Bによって超音波診断装置1に備えられる画像補正手段としての機能と同様の機能を有している。
【0025】
医用画像処理装置11は、コンピュータに医用画像処理プログラムを読み込ませることによって構築することができる。すなわち、医用画像処理プログラムによってコンピュータを、超音波形態画像データ及び超音波ドプラ画像データ等の画像データを取得する画像取得手段及び取得した画像データの動き補正を行う画像補正手段として機能させることができる。
【0026】
同様に、超音波診断装置1のうちのデジタル情報を処理する構成要素についても、コンピュータに医用画像処理プログラムを読み込ませることによって構築することができる。すなわち、医用画像処理プログラムによってコンピュータを、画像取得手段及び画像補正手段として機能させた医用画像処理装置を超音波診断装置1に内蔵することができる。但し、超音波診断装置1に備えられる画像取得手段には、ドプラ像生成部6AやBモード処理部4等のような画像生成手段としての機能も備えられる。
【0027】
そして、ドプラ像生成部6AやBモード処理部4等の画像生成手段と、超音波プローブ2及び送受信部3等のスキャンを実行するための構成要素が協働することによって、超音波診断装置1には、被検体から時系列の超音波形態画像データ及び超音波ドプラ画像データを収集する画像収集手段としての機能が備えられる。
【0028】
但し、同様な機能が備えられれば、
図1に示す構成要素と異なる構成要素によって超音波診断装置1及び医用画像処理装置11を構成することができる。例えば、コンピュータによって備えられる機能の一部又は全部を実現するために回路を用いることもできる。
【0029】
次に、動き検知部5における臓器の動きを表す情報の求め方について説明する。
【0030】
臓器の動きを表す情報は、異なるタイミングで収集された2フレームの超音波形態画像データに基づいてベクトルとして求めることができる。臓器の動きを表すベクトルは、単一又は複数の特徴点の移動距離を検出することによって求めることができる。つまり、互いに異なるタイミングで収集された2フレームの超音波形態画像データ間における特徴点のトラッキングによって特徴点に対応するベクトルとして動きを表す情報を取得することができる。臓器の動きを表す動きベクトルを求めるための特徴点は、手動又は自動で指定することができる。
【0031】
手動で特徴点を指定する場合には、ある超音波形態画像を参照画像として表示装置9に表示させ、入力装置10の操作によって位置を指定することによって単一又は複数の特徴点を指定することができる。この場合、入力装置10の操作によって手動で指定された特徴点のトラッキングが動き検知部5により実行される。
【0032】
自動的に特徴点を指定する場合には、臓器上における特徴点をパターンマッチングによって自動認識することができる。すなわち、臓器を模擬したテンプレートを用いた超音波形態画像データに対するパターンマッチングによって臓器及び臓器上における特徴点を自動認識することができる。
【0033】
手動又は自動で単一又は複数の特徴点が指定されると、画素値に基づくパターンマッチングによって2フレームの超音波形態画像データ間における特徴点のトラッキングを行うことができる。そして、トラッキングの結果として得られる特徴点の移動方向及び移動距離を表すベクトルを臓器の動きベクトルとすることができる。
【0034】
パターンマッチング等によって抽出された臓器上に多数の特徴点を指定すれば、臓器の動きベクトルを高精度に求めることができる。このため、臓器が占める領域内のすべての画素位置を特徴点とすることもできる。但し、処理のリアルタイム性を維持するために、特徴点を限定することが望ましい場合がある。
【0035】
そこで、超音波形態画像データ上に複数の特徴点を規則的に設定することによって特徴点の数を低減させることができる。すなわち、トラッキングの対象を、超音波形態画像データ上に規則的に設定された特徴点に限定することができる。
【0036】
図2は、トラッキングの対象となる特徴点を等間隔に配置した例を示す図である。
【0037】
図2に示すように、臓器が占める領域を複数のセグメントに分割し、セグメントごとに代表位置として特徴点を設定することができる。この場合、複数のセグメントに対応する複数の動きベクトルMvectorが求められる。
【0038】
尚、画像化領域全体を複数のセグメントに分割して特徴点を設定することもできる。この場合には、パターンマッチングによる臓器の認識を不要にすることができる。
【0039】
このように特徴点を限定することによって、トラッキング処理量を低減させることができる。その結果、動き補正部6Bにおける動き補正処理をリアルタイムに行うことが可能となり、超音波ドプラ画像もリアルタイムに更新することができる。
【0040】
特徴点を限定する場合には、特徴点に対応するベクトルに基づいて他の画素位置における臓器の動きを表すベクトルを求めることが、超音波ドプラ画像の高精度な動き補正に繋がる。
【0041】
図3は、特徴点のトラッキングによって求められたベクトルに基づいて他の画素位置のベクトルを求める例を示す図である。
【0042】
図3(A), (B)は、臓器上に設定された単一の特徴点PTのトラッキングによって求められた動きベクトルMtrackに基づいて臓器上の他の複数の画素位置における動きベクトルMcalを推定する場合の例を示している。
【0043】
図3(A)に示すように、特徴点PT以外の各画素位置における動きベクトルMcalの向き及び大きさを特徴点PTにおける動きベクトルMtrackの向き及び大きさと同一とみなすことができる。或いは、
図3(B)に示すように、特徴点PT以外の各画素位置における動きベクトルMcalの向きを特徴点PTにおける動きベクトルMtrackの向きと同一にする一方、特徴点PT以外の各画素位置における動きベクトルMcalの大きさを、特徴点PTからの距離が長くなる程小さくすることもできる。
【0044】
他方、
図3(C), (D)は、臓器上に設定された複数の特徴点PTのトラッキングによって求められた複数の動きベクトルMtrackに基づいて臓器上の他の複数の画素位置における動きベクトルMcalを推定する場合の例を示している。
【0045】
複数の特徴点PTにおける動きベクトルMtrackに基づいて他の画素位置における動きベクトルMcalを求める場合には、補間処理によって各画素位置における動きベクトルMcalを計算することができる。尚、
図3(C)は、2つの特徴点PTにおける動きベクトルMtrackに基づいて、2次元の補間によって他の画素位置における動きベクトルMcalを計算した例を示している。一方、
図3(D)は、3つの特徴点PTにおける動きベクトルMtrackに基づいて、2次元の補間によって他の画素位置における動きベクトルMcalを計算した例を示している。
【0046】
図4はi番目の位置における動きベクトルの大きさM
iと角度N
iを1番目の特徴点及び2番目の特徴点における各動きベクトルに基づいて求める方法を説明する図である。
【0047】
i番目の位置における動きベクトルMcalの大きさMi及び角度Niは、それぞれ式(1-1)及び式(1-2)によって計算することができる。
M
i=(V
1/l
1+V
2/l
2+V
3/l
3+...+V
k/l
k)/(1/l
1+1/l
2+1/l
3+...+1/l
k) (1-1)
N
i=(A
1/l
1+A
2/l
2+A
3/l
3+...+A
k/l
k)/(1/l
1+1/l
2+1/l
3+...+1/l
k) (1-2)
但し、式(1-1)及び式(1-2)において、V
jはj番目の特徴点PT
jにおける動きベクトルMtrackの大きさ、A
jはj番目の特徴点PT
jにおける動きベクトルMtrackの角度、l
jはj番目の特徴点PT
jとi番目の位置P
iとの間における距離である。従って、l
j>0となる。
【0048】
上述のような例の他、例えば、画像を碁盤目などの小区画ごとに分割し、小区画内に含まれる特徴点の動きベクトルの値の平均の動きベクトルを求め、この平均の動きベクトルを小区画を代表する動きベクトルとして、後の処理に用いても構わない。動きベクトルを小区画ごとに総括することで、画像ノイズによる動きベクトルの算出ミスなどの影響が低減され、よりロバストな動きベクトルの推定を行うことができる。
【0049】
また、例えば、臓器及び臓器上における特徴点を自動認識し、この特徴点について動きベクトルの算出を行う場合、この特徴点によって囲まれる領域の動きベクトルは、領域を囲む特徴点の動きベクトルを平均化したり、あるいは領域と特徴点の距離に基づいて重みづけ加算平均して求めても構わない。
【0050】
臓器の動きを表す情報は、上述のように2フレームの超音波形態画像データに基づいて取得することができる他、互いに異なるタイミングで収集された2フレームの超音波形態画像データを生成するための超音波受信信号の位相差に基づいて取得することもできる。すなわち、超音波形態画像データの画素値からではなく、超音波形態画像データを生成するためのRF信号や直交検波前の生データ等の受信信号に基づいて臓器の動きベクトルを算出することができる。
【0051】
具体的には、RF信号の位相差Δφは、超音波の波長をλとすると、式(2)により位置の差Δxに変換することができる。
Δx=λΔφ/(2π) (2)
【0052】
従って、超音波形態画像データの全ての画素位置に対応するRF信号の位相差から全ての画素位置における位置差を動きベクトルとして求めることができる。但し、データ処理量を低減させるために、指定された画素位置に対応する超音波受信信号の位相差に基づいて臓器の動きを表す情報を取得するようにしてもよい。その場合には、予め超音波形態画像を参照して臓器を含む関心領域(ROI: region of interest)又は臓器上の任意の点を指定すればよい。
【0053】
図5はスキャンの流れの第1の例を示す図である。
【0054】
図5において横軸方向は時間を示す。
図5に示すように形態観察用のプレスキャンとしてBモードスキャンを実行した後に、本スキャンとしてBモードスキャンとCFMモードスキャンを交互に繰返す交互スキャンを実行することができる。交互スキャンでは、少なくとも1フレームの超音波形態画像データと少なくとも1フレームの超音波ドプラ画像データとを交互に繰返し収集することができる。
【0055】
このため、プレスキャンとしてのBモードスキャンにより超音波形態画像として収集されたBモード画像を参照して臓器の位置に対応するROI又は点を、交互スキャンに先だって予め指定しておくことができる。その後、交互スキャン中のBモードスキャンによって収集された2フレームのBモード画像データの指定されたROI又は点に対応する超音波受信信号の位相差に基づいて臓器の動きを表す情報を取得することができる。
【0056】
また、超音波受信信号の位相差に依らず、2フレームの超音波形態画像データに基づいて臓器の動きを表す情報を取得する場合においても、同様にプレスキャンとしてのBモードスキャンにより収集されたBモード画像を参照して臓器の位置に対応するROI又は点を指定しておくことができる。
【0057】
この場合、交互スキャンに先だって動きベクトルの取得対象となるROI又は点を特定することができる。このため、交互スキャンによって収集される2フレームの超音波形態画像データに基づいてリアルタイムに臓器の動きを表す情報を取得し、リアルタイムに動き補正を行うことが可能となる。もちろん、動きベクトルの取得対象となるROIや点をマニュアルで指定しない場合であれば、プレスキャンとしてBモードスキャンを実行しなくても、リアルタイムに臓器の動きを表す情報の取得及び動き補正を行うことができる。
【0058】
臓器の動きを表す情報に基づく動き補正の対象は、交互スキャン中のCFMモードスキャンによって収集される超音波ドプラ画像データとなる。従って、交互スキャン中のCFMモードスキャンによって収集される、少なくとも1フレームの超音波ドプラ画像データの前後に収集された2フレームの超音波形態画像データ又は2フレーム分の超音波受信信号に基づいて臓器の動きを表す情報を取得することが好適である。
【0059】
図6はスキャンの流れの第2の例を示す図である。
【0060】
図6において横軸方向は時間を示す。
図5に示す例と同様に、
図6に示すようにプレスキャンとしてBモードスキャンを実行した後に、本スキャンとして交互スキャンを実行することができる。但し、
図6に示すように、交互スキャンにおいて複数フレームのBモード画像データと少なくとも1フレームの超音波ドプラ画像データとを交互に繰返し収集することができる。
【0061】
その場合には、2フレームの超音波ドプラ画像データの間に収集された2フレームの超音波形態画像データ又は2フレーム分の超音波受信信号に基づいて臓器の動きを表す情報を取得するようにしてもよい。この場合、超音波ドプラ画像データの収集に先だって臓器の動きを表す情報を取得することができる。
【0062】
図7はスキャンの流れの第3の例を示す図である。
【0063】
図7において横軸方向は時間を示す。超音波ドプラ画像データ及び超音波形態画像データの一方又は双方の走査領域が広い場合には、走査領域を分割してBモードスキャン及びCFMモードスキャンを実行することもできる。その場合には、分割された走査領域ごとにBモード画像データ及び超音波ドプラ画像データが収集される。このため、超音波ドプラ画像データの動き補正についても、分割された走査領域ごとに実行することができる。そして、動き補正後における分割領域における複数の超音波ドプラ画像データと、分割領域における複数の超音波形態画像データとの合成処理によって、1フレーム分の超音波ドプラ画像データ及び超音波形態画像データを生成することができる。
【0064】
図7(A)は、走査領域を分割してBモードスキャン及びCFMモードスキャンを実行する場合のスキャンシーケンスの一例を示している。また、
図7(B)は、合成処理の対象となる分割された複数の超音波形態画像データ及び分割された動き補正後における複数の超音波ドプラ画像データの一例を示している。更に、
図7(C)は、合成処理後における1フレーム分の超音波ドプラ画像データ及び超音波形態画像データの一例を示している。
【0065】
図7に示す例では、超音波ドプラ画像データの走査領域を含む1フレーム分の超音波形態画像データの走査領域が3つの走査領域に分割されている。但し、超音波ドプラ画像データの走査領域は、超音波形態画像データの走査領域よりも狭い。このため、超音波形態画像データの走査領域は3つのBモード走査領域に分割されているが、超音波ドプラ画像データの走査領域は、2つのドプラ走査領域に分割されている。
【0066】
各ドプラ走査領域における超音波ドプラ画像データの動き補正を行うためには、各ドプラ走査領域をカバーするBモード走査領域から異なるタイミングで少なくとも2回超音波形態画像データを収集することが必要となる。このため、
図7(A)に示すように、各ドプラ走査領域をそれぞれカバーする各Bモード走査領域から2回超音波形態画像データを収集するスキャンシーケンスを設定することができる。
【0067】
この場合、
図7(A)に示すように、分割された各ドプラ走査領域のCFMモードスキャンの前後において、各ドプラ走査領域をそれぞれカバーする各Bモード走査領域のBモードスキャンを実行することが、超音波形態画像データと超音波ドプラ画像データとの間における時相差を低減する観点から好適である。つまり、あるドプラ走査領域から超音波ドプラ画像データを収集するCFMモードスキャンの前後において、当該ドプラ走査領域に対応する同一のBモード走査領域から超音波形態画像データを収集するBモードスキャンを行う交互スキャンを実行することが望ましい。
【0068】
但し、1つの超音波ドプラ画像データセットにつき異なるタイミングで少なくとも2つの超音波形態画像データセットが収集されれば、交互スキャンとせずに、連続してBモードスキャンを行うようにしてもよい。
【0069】
また、超音波形態画像データと超音波ドプラ画像データとの間における時相差を低減する観点から、分割される各ドプラ走査領域が1つのラスタ方向又は2つから3つ程度の少数のラスタ方向を含む必要最小限の狭い範囲となるように、ドプラ走査領域の分割数を決定することが好適である。
【0070】
図7(A)に示すようなスキャンシーケンスにより超音波ドプラ画像データ及び超音波形態画像データを収集すると、同一のBモード走査領域から収集された2つの超音波形態画像データセットに基づいて、当該Bモード走査領域又は当該Bモード走査領域に含まれるドプラ走査領域における臓器の動きを表す情報を取得することができる。具体的には、2つの超音波形態画像データセット間における差分演算によって、臓器の動きを表す動きベクトルを算出することができる。
【0071】
そして、臓器の動きを表す情報に基づいてドプラ走査領域における超音波ドプラ画像データセットの動き補正を行うことができる。特に、複数のラスタ方向を含むドプラ走査領域及びBモード走査領域を設定すれば、複数方向における超音波ドプラ画像データセットの動き補正が可能となる。
【0072】
分割された各ドプラ領域における超音波ドプラ画像データセットの動き補正がそれぞれ完了すると、
図7(B) に示すように、各ドプラ領域における動き補正後の超音波ドプラ画像データセットを合成処理の対象として準備することができる。加えて、各Bモード走査領域における超音波形態画像データセットも合成処理の対象として準備することができる。尚、同一のBモード走査領域から2つの超音波形態画像データセットが収集されている場合には、任意の一方の超音波形態画像データセットを合成対象として用いることができる。
【0073】
そして、各Bモード走査領域における超音波形態画像データセットの合成処理によって1フレームの超音波形態画像データを生成することができる。同様に、各ドプラ走査領域における超音波ドプラ画像データセットの合成処理によって1フレームの超音波ドプラ画像データを生成することができる。更に、1フレームの超音波形態画像データと1フレームの超音波ドプラ画像データとの間における合成処理によって、
図7(C)に示すように超音波形態画像データに超音波ドプラ画像データが重畳された1フレームの超音波診断画像データを生成することができる。
【0074】
更に、同様な超音波ドプラ画像データセット及び超音波形態画像データセットの収集、超音波ドプラ画像データセットの動き補正、動き補正後における超音波ドプラ画像データセット及び超音波形態画像データセットの合成処理を繰返すことによって時系列の複数フレームの超音波診断画像データを生成することができる。
【0075】
尚、
図7には、動き補正後における超音波ドプラ画像データセットを合成する場合の例を示したが、超音波ドプラ画像データセットを合成した後に1フレーム分の超音波ドプラ画像データの動き補正を行うようにしてもよい。その場合には、ドプラ走査領域ごと又はBモード走査領域ごとの臓器の動きを表す情報を合成して用いてもよい。また、ドプラ走査領域ごと又はBモード走査領域ごとの臓器の動きを表す情報間において平滑化処理を行うようにしてもよい。もちろん、合成対象となる超音波形態画像データセットや超音波ドプラ画像データセットに対して平滑化処理を行うこともできる。
【0076】
また、
図5及び
図6に例示されるように、
図7に示す例においても、プレスキャンとしてBモードスキャンを実行することができる。そして、本スキャンに先だって臓器の位置に対応するROI又は点を予め指定しておくことができる。また、異なるタイミングで収集された2つの超音波形態画像データセットに基づいて臓器の動きを表す情報を求める代わりに、異なるタイミングで収集された2つの超音波形態画像データセットを生成するための超音波受信信号の位相差に基づいて臓器の動きを表す情報を求めるようにしてもよい。
【0077】
以上のように、超音波ドプラ画像データの1フレーム分の走査領域を複数のドプラ走査領域に分割して複数のドプラ走査領域における超音波ドプラ画像データをそれぞれ収集することができる。一方、複数のドプラ走査領域をそれぞれカバーする複数のBモード走査領域における超音波形態画像データをそれぞれ複数回収集することができる。そうすると、複数回収集された複数のBモード走査領域における超音波形態画像データ又は複数回収集された複数のBモード走査領域における超音波形態画像データを生成するための超音波受信信号に基づいて複数のドプラ走査領域又は複数のBモード走査領域ごとに臓器の動きを表す情報を取得することができる。その結果、複数のドプラ走査領域に対して超音波ドプラ画像データについての臓器の動きの補正を行うことができる。
【0078】
次に超音波診断装置1の動作及び作用について説明する。
【0079】
図8は、
図1に示す超音波診断装置1の動作を示すフローチャートである。
【0080】
まずステップS1において、観察対象となる血管を含む走査領域のBモードスキャンがプレスキャンとして実行される。具体的には、入力装置10からBモードスキャンのスキャン条件及びスキャンの開始指示が超音波診断装置1の制御系8に入力される。そうすると、制御系8による制御下において送受信部3から超音波プローブ2に備えられる複数の超音波振動子に送信信号として駆動パルスが印加される。複数の超音波振動子に印加される各送信信号には、被検体内部の走査位置に向けて超音波ビームが形成されるように所定の遅延時間が付加される。
【0081】
これにより、超音波プローブ2から被検体内部の走査位置に向けて超音波ビームが送信される。そして、被検体内の走査位置において送信超音波が反射することによって生じた超音波反射波が各超音波振動子により受信される。受信された超音波反射波は各超音波振動子により電気信号の受信信号に変換される。続いて送受信部3では、各超音波振動子から出力される超音波受信信号に対する整相加算処理等の必要な信号処理が実行される。この結果、走査位置に対応する超音波受信信号が生成される。
【0082】
このようにして、Bモードスキャンの走査領域内における各走査位置から超音波受信信号が順次収集される。収集された超音波受信信号は順次、送受信部3からBモード処理部4に出力される。Bモード処理部4では、Bモードスキャンの走査領域に対応する超音波受信信号に対するBモード処理が実行される。これにより、超音波形態画像データとしてBモード画像データが生成される。そして、Bモードスキャンが繰返し実行されることにより、時系列の超音波形態画像データが順次収集される。
【0083】
Bモード処理部4において生成された時系列の超音波形態画像データは、画像処理部7に順次出力される。画像処理部7では、超音波形態画像データに対するスキャンコンバートを含む表示処理が実行される。そして、表示処理によって生成された超音波形態画像データが画像処理部7から表示装置9に出力される。これにより、表示装置9には時系列の超音波形態画像がBモード像として表示される。
【0084】
Bモード像には、観察対象となる血管の形態の他、呼吸等によって移動する臓器も描出されることになる。
【0085】
次に、ステップS2において、任意のフレームのBモード像を参照して臓器上に特徴点が設定される。特徴点は、動き検知部5において、手動、半自動又は自動で設定することができる。特徴点を手動で設定する場合には、入力装置10の操作によって単一又は複数の特徴点をBモード像上に指定することができる。すなわち、特徴点の位置を特定する情報をBモード像を参照して入力装置10から動き検知部5に入力することができる。
【0086】
また、入力装置10の操作によってBモード像上にROIを指定することもできる。その場合には、動き検知部5においてROI内のパターンマッチングや
図2に示すような所定のアルゴリズムによって特徴点を設定することができる。特徴点を全て自動で設定する場合には、Bモード画像データのパターンマッチングにより、臓器上の特徴点を自動認識することができる。
【0087】
次に、ステップS3において、本スキャンとして交互スキャンが開始される。すなわち、制御系8による送受信部3の制御によって、超音波形態画像データとしてBモード画像データを収集するBモードスキャンと、超音波ドプラ画像データを収集するCFMモードスキャンとが交互に繰返される。
【0088】
Bモードスキャンによって収集される超音波受信信号は、プレスキャンと同様に、Bモード処理部4におけるBモード処理の対象とされる。一方、CFMモードスキャンによって各走査位置から超音波ドプラ信号として収集される超音波受信信号は、送受信部3からドプラ処理部6に出力される。ドプラ処理部6に出力された超音波ドプラ信号は、ドプラ像生成部6Aにおける自己相関処理等を含むドプラ処理の対象とされる。
【0089】
次に、ステップS4において、Bモードスキャンによって収集された2フレームのBモード画像データに基づく特徴点のトラッキングが動き検知部5により実行される。特徴点のトラッキングは、Bモード画像データの画素値に基づくパターンマッチング技術により行うことができる。
【0090】
次に、ステップS5において、動き検知部5によりトラッキングの結果に基づいて臓器の動きを表す動きベクトルが求められる。また、必要に応じて特徴点における動きベクトルに基づく、他の画素位置における動きベクトルの推定が動き検知部5において実行される。動きベクトルの推定は、
図3に例示されるように単一又は複数の動きベクトルに基づいて行うことができる。複数の動きベクトルを用いて動きベクトルを推定する場合には、補間処理によって動きベクトルの推定を行うことができる。
【0091】
次に、ステップS6において、CFMモードスキャンによって収集された超音波ドプラ画像データの動き補正が動き補正部6Bにより実行される。すなわち、ドプラ像生成部6Aにおけるドプラ処理の結果生成された超音波ドプラ画像データが動き補正部6Bに与えられる。そして、ドプラ処理のポストプロセスとして、超音波ドプラ画像データの動き補正が実行される。
【0092】
具体的には、動き補正は、臓器の動きを表す動きベクトルの、超音波ビームの送信方向に向かう成分を、血流速度を画素値とする超音波ドプラ画像データから差し引く処理となる。このため、分散値及びパワー値を画素値とする超音波ドプラ画像データについても、動き補正後の血流速度に対応する分散値及びパワー値を画素値とする超音波ドプラ画像データに補正することができる。特に、血流速度が閾値以上となる領域をカラーによる表示領域とするブランク処理を行う場合には、分散値及びパワー値を画素値とする超音波ドプラ画像データの動き補正を行うことがカラーアーチファクトの抑制に効果的である。
【0093】
次に、ステップS7において、Bモード画像及び動き補正後の超音波ドプラ画像が表示される。すなわち、Bモード処理部4において生成されたBモード画像データ及びドプラ処理部6において生成された動き補正後の超音波ドプラ画像データが画像処理部7に出力される。画像処理部7では、Bモード画像データ及び超音波ドプラ画像データのスキャンコンバート、Bモード画像データの画素値に対応する輝度値の割り当て並びに超音波ドプラ画像データの画素値に対応するカラーのマッピングを含む表示処理が実行される。
【0094】
そして、表示処理後のBモード画像データ及び超音波ドプラ画像データが画像処理部7から表示装置9に出力される。これにより、表示装置9には被検体の臓器及び血管の形態が描出されたBモード像と、血流速度等の血流動態情報がカラーで表示されるカラードプラ像が合成表示される。
【0095】
このとき表示装置9に表示されるカラードプラ像は、臓器の動きを表す動きベクトルを用いて動き補正されているため、臓器の移動によるカラーアーチファクトが抑制された画像となる。
【0096】
そして、交互スキャンの継続によってBモード像及びカラードプラ像をリアルタイムに更新することができる。従って、Bモード画像データに基づく動きベクトルの検出及び超音波ドプラ画像データの動き補正についてもリアルタイムに実行することができる。これにより、臓器の移動によるカラーアーチファクトが抑制された超音波ドプラ画像をライブ像として生成及び表示させることができる。特に、低速で流れる血液の血流動態情報をカラーとして描出することが可能となる。
【0097】
更に、Bモード画像データに基づく動きベクトルの検出及び超音波ドプラ画像データの動き補正は、被検体の検査後においても実行することができる。従って、
図8に例示されるようにライブ像を表示させる場合に限らず、過去に撮影して保存したシネ画像を再生する場合においても、Bモード画像データに基づく動きベクトルの検出及び超音波ドプラ画像データの動き補正を実行することができる。その場合には、ライブ像において抑制されなかったカラーアーチファクトを事後的に抑制することも可能となる。
【0098】
また、Bモード画像データに基づく動きベクトルの検出及び超音波ドプラ画像データの動き補正は、超音波診断装置1に限らず超音波診断装置1にネットワークを介して接続された医用画像処理装置11においても行うことができる。
【0099】
その場合には、医用画像処理装置11の画像取得部12が超音波診断装置1からネットワークを介してBモード画像データ及び超音波ドプラ画像データを取得する。そして、データ処理部13においてBモード画像データに基づく動きベクトルの検出及び超音波ドプラ画像データの動き補正が行われる。尚、超音波診断装置1の送受信部3において生成された超音波受信信号を医用画像処理装置11に転送し、医用画像処理装置11のデータ処理部13においてBモード画像データ及び超音波ドプラ画像データを生成するようにしてもよい。
【0100】
また、Bモード画像データに代えて2フレーム分の超音波受信信号の位相差に基づいて動きベクトルを求めるようにしてもよい。その場合には、Bモード処理部4においてBモード処理の対象となる超音波受信信号がBモード処理部4から動き検知部5に与えられる。そして、動き検知部5において超音波受信信号の位相差に基づいて動きベクトルが計算される。尚、位相差を求める対象となる超音波受信信号の走査位置は、全ての走査位置としても良いし、プレスキャンにより収集されたBモード像を参照して指定した点に対応する走査位置或いはROI内における走査位置としてもよい。
【0101】
超音波受信信号の位相差に基づいて動きベクトルを求める場合においても、送受信部3において生成された超音波受信信号を医用画像処理装置11に転送することにより、医用画像処理装置11のデータ処理部13において同様な超音波受信信号の位相差に基づく動きベクトルの計算及び動きベクトルを用いた超音波ドプラ画像データの動き補正を行うことができる。
【0102】
つまり以上のような超音波診断装置1及び医用画像処理装置11は、超音波形態画像データを参照して設定された特徴点のトラッキング情報から臓器の動きを表す動きベクトルを取得し、取得した動きベクトルを超音波ドプラ画像データから差し引くことによって超音波ドプラ画像データに対する臓器の動き補正を実行するようにしたものである。
【0103】
このため、超音波診断装置1及び医用画像処理装置11によれば、低流速の血流と呼吸器の変動等による臓器の動きを区別することが可能となる。その結果、臓器の動きに埋もれていた血流情報を抽出して表示させることが可能となる。すなわち、組織の移動によるカラーアーチファクトを除去することができる。
【0104】
図9は、超音波ドプラ画像データに対する動き補正によるクラッタ信号の抑制効果を従来のMTIフィルタによる方法と比較して説明する図である。
【0105】
図9(A), (B)において各縦軸は超音波ドプラ信号の信号強度を示し、各横軸はドプラシフト周波数を示す。
【0106】
図9(A)は従来のMTIフィルタによって臓器の動きによるクラッタ信号を除去する方法を示す概念図である。MTIフィルタでは、閾値以下のドプラシフト周波数に対応する超音波ドプラ信号がクラッタ信号とみなされて除去される。
【0107】
しかしながら、血流速が低速である場合には、
図9(A)に示すように、血流からの超音波ドプラ信号のドプラシフト周波数と移動する臓器からの超音波ドプラ信号のドプラシフト周波数とが互いにオーバーラップする。従って、MTIフィルタで血流からの超音波ドプラ信号が抽出されるようにMTIフィルタのカットオフ周波数を決定すると、移動する臓器からの超音波ドプラ信号が残留する場合がある。
【0108】
これに対して、超音波ドプラ画像データに対する動き補正によってクラッタ信号に相当する画像信号の動き補正を行えば、臓器からの超音波ドプラ信号のドプラシフト周波数が血流からの超音波ドプラ信号のドプラシフト周波数とオーバーラップしていても、
図9(B)に示すように、実質的に臓器からの超音波ドプラ信号に相当するクラッタ信号を十分に除去することができる。すなわち、移動する組織からの超音波ドプラ信号のみを除去することができる。
【0109】
このような超音波診断装置1及び医用画像処理装置11における超音波ドプラ画像データに対する組織の動き補正は、ドプラ処理の後処理として実行することができる。このため、過去に収集されたシネ画像データ等に基づいて臓器の動きベクトルを算出し、算出した臓器の動きベクトルを用いた動き補正を実行することもできる。
【0110】
しかも、ドプラ処理後に動き補正を行えば、ドプラ処理前に動き補正を行う場合に比べて計算量を飛躍的に低減させることができる。特に、複数の特徴点に対応する動きベクトルを用いて動き補正を行う場合において、ドプラ処理の前処理として動き補正を行うと、自己相関処理を含む計算量が膨大となる。このため、リアルタイム処理が非現実的となる。これに対して、ドプラ処理後に動き補正を行うようにすれば、リアルタイム性を維持することが可能となる。
【0111】
以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。