(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385703
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】吸水処理材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A01K 1/015 20060101AFI20180827BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20180827BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
A01K1/015 B
A61F13/53 300
A61F13/15 320
【請求項の数】22
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-79068(P2014-79068)
(22)【出願日】2014年4月8日
(65)【公開番号】特開2015-198600(P2015-198600A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2016年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148977
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100148518
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100160299
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 卓
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
(72)【発明者】
【氏名】細谷 隆広
【審査官】
田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−190025(JP,A)
【文献】
特開2014−000042(JP,A)
【文献】
特開平06−237661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/015
A61F 13/00−13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吸収する吸水処理材であって、
茶殻を主材料とし、当該茶殻と水溶性バインダーとの混合物のみからなる粒状芯部と、
前記粒状芯部を覆い、茶殻を主材料とし、当該茶殻と吸水性ポリマーとの混合物のみからなる被覆層部と、を備え、
当該吸水処理材は、前記粒状芯部及び前記被覆層部のみからなることを特徴とする吸水処理材。
【請求項2】
請求項1に記載の吸水処理材において、
前記粒状芯部に占める前記茶殻の重量割合は、85%以上である吸水処理材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吸水処理材において、
前記被覆層部に占める前記茶殻の重量割合は、70%以上である吸水処理材。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の吸水処理材において、
前記粒状芯部に占める前記水溶性バインダーの重量割合は、15%以下である吸水処理材。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の吸水処理材において、
前記水溶性バインダーは、澱粉である吸水処理材。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の吸水処理材において、
前記被覆層部の主材料である前記茶殻には、界面活性剤が添加されている吸水処理材。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載の吸水処理材において、
前記被覆層部に占める前記吸水性ポリマーの重量割合は、30%以下である吸水処理材。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の吸水処理材において、
前記吸水性ポリマーの平均粒径は、20μm以下である吸水処理材。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載の吸水処理材において、
前記粒状芯部の主材料である前記茶殻は、1mm未満の粒度に粉砕されている吸水処理材。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れかに記載の吸水処理材において、
前記被覆層部の主材料である前記茶殻は、0.3mm未満の粒度に粉砕されている吸水処理材。
【請求項11】
液体を吸収する吸水処理材を製造する方法であって、
茶殻を主材料とし、当該茶殻と水溶性バインダーとの混合物のみからなる芯部材料を粒状に成形することにより、粒状芯部を形成する工程と、
前記粒状芯部の表面に茶殻を主材料し、当該茶殻と吸水性ポリマーとの混合物のみからなる被覆材料を付着させることにより、前記粒状芯部を覆う被覆層部を形成する工程と、を含み、
前記吸水処理材は、前記粒状芯部及び前記被覆層部のみからなることを特徴とする吸水処理材の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記芯部材料に占める前記茶殻の重量割合は、85%以上である吸水処理材の製造方法。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記被覆材料に占める前記茶殻の重量割合は、70%以上である吸水処理材の製造方法。
【請求項14】
請求項11乃至13の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記粒状芯部を形成する工程においては、前記芯部材料に加水することなしに、当該芯部材料を粒状に成形する吸水処理材の製造方法。
【請求項15】
請求項11乃至14の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記被覆層部を形成する工程は、前記被覆材料の主材料となる前記茶殻を乾燥する工程を含む吸水処理材の製造方法。
【請求項16】
請求項11乃至15の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記被覆層部を形成する工程においては、前記粒状芯部に加水することなしに、当該粒状芯部の表面に前記被覆材料を付着させる吸水処理材の製造方法。
【請求項17】
請求項11乃至16の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記芯部材料に占める前記水溶性バインダーの重量割合は、15%以下である吸水処理材の製造方法。
【請求項18】
請求項11乃至17の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記被覆層部を形成する工程は、前記被覆材料の主材料となる前記茶殻に界面活性剤を添加する工程を含む吸水処理材の製造方法。
【請求項19】
請求項11乃至18の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記被覆材料に占める前記吸水性ポリマーの重量割合は、30%以下である吸水処理材の製造方法。
【請求項20】
請求項11乃至19の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記被覆層部を形成する工程においては、前記茶殻と混合される前の前記吸水性ポリマーを平均粒径が20μm以下となるように粉砕する工程を含む吸水処理材の製造方法。
【請求項21】
請求項11乃至20の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記粒状芯部を形成する工程は、前記芯部材料の主材料となる前記茶殻を1mm未満の粒度に粉砕する工程を含む吸水処理材の製造方法。
【請求項22】
請求項11乃至21の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記被覆層部を形成する工程は、前記被覆材料の主材料となる前記茶殻を0.3mm未満の粒度に粉砕する工程を含む吸水処理材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人又は動物の排泄物等の液体を吸収する吸水処理材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸水処理材の一種である排泄物処理材が記載されている。この排泄物処理材においては、繊維を含有するコア層と、それを被覆するスキン層とが設けられている。スキン層は、α澱粉及び繊維を含んで構成されている。同文献は、この排泄物処理材の利点として、安心して水洗トイレに流せることを謳っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−104383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、使用後の吸水処理材を水洗トイレに流して処分するには、当該吸水処理材が充分な水解性(水と接触することにより、結合した繊維や粒子が速やかに分離し、水中に分散する性質)を有することが必要である。吸水処理材の水解性が不充分であると、トイレの詰まりの原因になってしまう。この点、従来の吸水処理材には、水解性の面で向上の余地があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、水解性に優れた吸水処理材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による吸水処理材は、茶殻を主材料とする粒状芯部と、上記粒状芯部を覆い、茶殻を主材料とする被覆層部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この吸水処理材は、粒状芯部及び被覆層部の双方において、茶殻を主材料としている。茶殻は、繊維が短く、繊維どうしの結合が弱いため、水解性の高い材料である。かかる茶殻を粒状芯部及び被覆層部の主材料として用いることにより、水解性に優れた吸水処理材が得られる。ここで、粒状芯部の主材料とは、粒状芯部を構成する材料全体の中で占める重量割合が最も高い材料をいう。被覆層部の主材料についても、同様に定義される。
【0008】
また、本発明による吸水処理材の製造方法は、茶殻を主材料とする芯部材料を粒状に成形することにより、粒状芯部を形成する工程と、上記粒状芯部の表面に茶殻を主材料とする被覆材料を付着させることにより、上記粒状芯部を覆う被覆層部を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
この製造方法は、芯部材料及び被覆材料の双方において、茶殻を主材料としている。茶殻は、上述のとおり、水解性の高い材料である。かかる茶殻を芯部材料及び被覆材料の主材料として用いることにより、水解性に優れた吸水処理材が得られる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、水解性に優れた吸水処理材及びその製造方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明による吸水処理材の一実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1は、本発明による吸水処理材の一実施形態を示す模式図である。吸水処理材1は、液体を吸収する粒状の吸水処理材であり、粒状芯部10及び被覆層部20を備えている。吸水処理材1は、例えば、猫や犬等の愛玩動物用の排泄物処理材である。
【0014】
粒状芯部10は、尿等の液体を吸水及び保水する機能を有する。粒状芯部10は、粒状に成形されている。粒状芯部10の形状としては、例えば、球、楕円体、円柱が挙げられる。粒状芯部10は、茶殻を主材料とする。粒状芯部10に占める茶殻の重量割合は、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。この茶殻は、0.5mm以上1mm未満の粒度に粉砕されていることが好ましい。ここで、茶殻の粒度が0.5mm以上であるとは、茶殻が目開き0.5mmの篩を通過できないということである。また、茶殻の粒度が1mm未満であるとは、茶殻が目開き1mmの篩を通過できるということである。
【0015】
粒状芯部10は、水溶性バインダーを含有している。粒状芯部10に占める水溶性バインダーの重量割合は、好ましくは2%以上15%以下、より好ましくは2%以上10%以下である。水溶性バインダーとしては、例えば澱粉を用いることができる。
【0016】
粒状芯部10を覆うように被覆層部20が設けられている。被覆層部20は、粒状芯部10の表面の全体を覆っていてもよいし、粒状芯部10の表面の一部のみを覆っていてもよい。この被覆層部20は、使用時に尿等の液体を吸収した吸水処理材1どうしを付着させて塊状にする機能(塊状化機能)を有する。
【0017】
被覆層部20も、茶殻を主材料とする。被覆層部20に占める茶殻の重量割合は、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上である。本実施形態において被覆層部20の主材料である茶殻には、界面活性剤が添加されている。界面活性剤としては、イオン性界面活性剤(アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤)、又は非イオン(ノニオン)界面活性剤が挙げられる。この茶殻は、0.2mm以上0.3mm未満の粒度に粉砕されていることが好ましい。
【0018】
被覆層部20は、吸水性ポリマー(高吸水性ポリマーを含む。以下同様。)を含有している。被覆層部20に占める吸水性ポリマーの重量割合は、好ましくは10%以上30%以下、より好ましくは10%以上25%以下である。
【0019】
この吸水性ポリマーの平均粒径は、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下である。かかる吸水性ポリマーとしては、ジェットミルによって粉砕されたものを用いることができる。ここで、平均粒径とは、多数の粒子の集合体である吸水性ポリマーを篩にかけたときに、50重量%以上の粒子が通過できる最小の目開きをいう。したがって、平均粒径が20μm以下であるとは、吸水性ポリマーを目開き20μmの篩にかけたときに、50重量%以上の粒子が通過できるということである。
【0020】
続いて、本発明による吸水処理材の製造方法の一実施形態として、吸水処理材1の製造方法の一例を説明する。この製造方法は、造粒工程、被覆工程、分粒工程、及び乾燥工程を含んでいる。
【0021】
造粒工程は、茶殻を主材料とする芯部材料を粒状に成形することにより、粒状芯部10を形成する工程である。本工程においては、粉砕機を用いて、芯部材料の主材料となる茶殻を1mm未満の粒度に粉砕する。その後、ミキサーを用いて、粉砕された茶殻と澱粉(水溶性バインダー)とを混ぜ合わせる。このときの混合割合(重量割合)は、好ましくは、茶殻が85%以上98%以下、澱粉が2%以上15%以下であり、より好ましくは、茶殻が90%以上98%以下、澱粉が2%以上10%以下である。混合割合の具体例を挙げれば、茶殻が95%、澱粉が5%である。これにより、茶殻と澱粉との混合物からなる芯部材料が得られる。さらに、押出造粒機等を用いて、この芯部材料を粒状に成形する。このとき、芯部材料に対する加水は、行わない。これにより、粒状芯部10が形成される。
【0022】
被覆工程は、粒状芯部10の表面に茶殻を主材料とする被覆材料を付着させることにより、粒状芯部10を覆う被覆層部20を形成する工程である。本工程においては、被覆材料の主材料となる茶殻に界面活性剤を添加する。また、乾燥機を用いて、茶殻を乾燥し、その含水量を調整する。この乾燥は、茶殻に界面活性剤を添加する前に実行してもよいし、添加した後に実行してもよい。その後、粉砕機を用いて、界面活性剤が添加された茶殻を0.2mm以上0.3mm未満の粒度に粉砕する。また、別途準備した吸水性ポリマーを平均粒径が20μm以下(より好ましくは10μm以下)となるように粉砕する。この粉砕には、例えばジェットミルを用いることができる。
【0023】
次に、ミキサーを用いて、粉砕された茶殻と吸水性ポリマーとを混ぜ合わせる。このときの混合割合(重量割合)は、好ましくは、茶殻が70%以上90%以下、吸水性ポリマーが10%以上30%以下であり、より好ましくは、茶殻が75%以上90%以下、吸水性ポリマーが10%以上25%以下である。混合割合の具体例を挙げれば、茶殻が80%、吸水性ポリマーが20%である。これにより、茶殻と吸水性ポリマーとの混合物からなる被覆材料が得られる。さらに、コーティング装置等を用いて、粒状芯部10の表面に被覆材料を付着させる。被覆材料の付着は、例えば、散布又は噴霧により行うことができる。このとき、粒状芯部10に対する加水は、行わない。これにより、被覆層部20が形成される。
【0024】
分粒工程においては、所定の寸法の篩目を有する篩に、前工程で製造された吸水処理材を通過させる。これにより、所定の規格を満たす吸水処理材のみが抽出される。
【0025】
乾燥工程においては、前工程で抽出された吸水処理材を乾燥機で乾燥させる。乾燥により、粒状芯部10の含水率を適宜調整することにより、粒状芯部10の水分が被覆層部20に遷移して吸水能力が低下してしまうのを防ぐとともに、吸水処理材1の保存時にカビ等が発生するのを防ぐことができる。
【0026】
本実施形態の効果を説明する。本実施形態においては、粒状芯部10(芯部材料)及び被覆層部20(被覆材料)の双方において、茶殻を主材料としている。茶殻は、繊維が短く、繊維どうしの結合が弱いため、水解性の高い材料である。かかる茶殻を粒状芯部10及び被覆層部20の主材料として用いることにより、水解性に優れた吸水処理材1が得られる。吸水処理材1は、使用後に水洗トイレに流して処分するのに適している。
【0027】
茶殻の含有割合を大きくすることにより、吸水処理材1の水解性を向上させることができる。かかる観点から、粒状芯部10(芯部材料)に占める茶殻の重量割合は、85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。同様に、被覆層部20(被覆材料)に占める茶殻の重量割合は、70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。
【0028】
茶殻を細かく粉砕することにより、吸水処理材1の水解性を向上させることができる。かかる観点から、粒状芯部10の主材料である茶殻は、1mm未満の粒度に粉砕されていることが好ましい。同様に、被覆層部20の主材料である茶殻は、0.3mm未満の粒度に粉砕されていることが好ましい。他方、茶殻の粒度が小さくなると、その吸水性及び保水性が低下する。かかる観点から、粒状芯部10の主材料である茶殻の粒度は、0.5mm以上であることが好ましい。同様に、被覆層部20の主材料である茶殻の粒度は、0.2mm以上であることが好ましい。
【0029】
さらに、茶殻には、お茶に含有される亜鉛、サポニン及びカテキン等の成分が残存している。それゆえ、茶殻は、脱臭効果及び抗菌効果を有する。かかる茶殻を粒状芯部10及び被覆層部20の主材料として用いることにより、脱臭効果及び抗菌効果にも優れた吸水処理材1が得られる。
【0030】
また、茶殻は、飲料メーカー等から大量に排出されるが、その多くは焼却処理により廃棄されている。本実施形態によれば、このような茶殻を有効活用することができる。
【0031】
粒状芯部10(芯部材料)は、水溶性バインダーを含有している。このようにバインダーを含有させることにより、芯部材料を粒状に成形しやすくなるとともに、その形状を維持しやすくなる。かかる観点から、粒状芯部10に占める水溶性バインダーの重量割合は、2%以上であることが好ましい。他方、水溶性バインダーの含有割合が大きくなると、茶殻の含有割合が相対的に小さくなるため、茶殻の機能(吸水、保水、脱臭、抗菌等)を存分に引き出せなくなる。かかる観点から、粒状芯部10に占める水溶性バインダーの重量割合は、15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。また、このバインダーは、水溶性であるため、吸水処理材1の水解性を損なうことがない。澱粉は、かかる水溶性バインダーとして好適に用いることができる。
【0032】
被覆層部20の主材料である茶殻には、界面活性剤が添加されている。これにより、使用時に尿等の液体が吸水処理材1に吸収されやすくなるため、吸水処理材1の吸水性を向上させることができる。また、使用後の吸水処理材1を水洗トイレに流した際に、トイレの水が吸水処理材1の内部に導入されやすくなるため、吸水処理材1の水解性も向上させることができる。
【0033】
被覆層部20は、吸水性ポリマーを含有している。これにより、被覆層部20の塊状化機能を高めることができる。かかる観点から、被覆層部20に占める吸水性ポリマーの重量割合は、10%以上であることが好ましい。他方、吸水性ポリマーの含有割合が大きすぎると、吸水処理材1の水解性が低下してしまう。液体を吸収して膨潤した吸水性ポリマーが、トイレの水が粒状芯部10に達するのを遮断するためである。かかる観点から、被覆層部20に占める吸水性ポリマーの重量割合は、30%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましい。
【0034】
吸水性ポリマーは、微細に粉砕されることにより、液体吸収時の膨潤が抑制される。それにより、吸水性ポリマーの含有割合を大きくしても、トイレの水が粒状芯部10に達しやすくなるため、吸水処理材1の水解性の低下を回避することができる。かかる観点から、吸水性ポリマーの平均粒径は、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
【0035】
さらに、このように微粉砕された吸水性ポリマーは、液体吸収時の膨張が抑えられる一方で、接着性は増大する。このため、吸水性ポリマーを微粉砕することにより、被覆層部20の塊状化機能をより向上させることができる。
【0036】
他方で、あまりに粒径の小さい吸水性ポリマーを得ようとすると、特別な装置等が必要になり、吸水処理材1の製造コストの増大を招いてしまう。かかる観点から、吸水性ポリマーの平均粒径は、1μm以上であることが好ましい。
【0037】
吸水性ポリマーの粉砕にジェットミルを用いる場合、平均粒径が20μm以下で、なおかつ粒径のバラつきが小さい吸水性ポリマーを容易に得ることができる。
【0038】
吸水処理材1の製造方法に関し、粒状芯部10を形成する工程おいては、芯部材料に加水することなしに、芯部材料を粒状に成形している。これにより、芯部材料に対する加水工程が不要になるため、吸水処理材1の製造工程を簡素化することができる。なお、通常は、芯部材料の成形に必要な水分を供給すべく、成形に先立って、芯部材料に対する加水が行われる。この点、本実施形態においては、芯部材料の主材料である茶殻に含有される豊富な水分によって、成形に必要な水分を賄うことができる。
【0039】
被覆層部20を形成する工程は、被覆材料の主材料となる茶殻を乾燥する工程を含んでいる。これにより、茶殻ひいては被覆材料の含水量を調整し、被覆材料が粒状芯部10の表面に付着しやすくすることができる。
【0040】
被覆層部20を形成する工程においては、粒状芯部10に加水することなしに、粒状芯部10の表面に被覆材料を付着させている。これにより、粒状芯部10に対する加水工程が不要になるため、吸水処理材1の製造工程を簡素化することができる。なお、通常は、被覆材料の付着に必要な水分を供給すべく、付着に先立って、粒状芯部10に対する加水が行われる。この点、本実施形態においては、粒状芯部10の主材料である茶殻に含有される豊富な水分によって、付着に必要な水分を賄うことができる。
【符号の説明】
【0041】
1 吸水処理材
10 粒状芯部
20 被覆層部