(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述の予混合方式のバーナーにおいて、混合気の生成に用いられる空気の温度は、気化燃料の温度よりも低い場合がある。空気の温度が気化燃料の温度よりも低いと、気化燃料と空気との混合時に気化燃料の温度が低下して、気化燃料の一部が液化する。そして、液化した燃料は、気化燃料と空気との混合が行われる予混合室の内壁に付着する。その結果、燃焼に利用されない燃料が増加して、混合気の着火性や燃焼性の低下、燃料の浪費等が生じる。
本開示の技術は、燃料の有効な利用が可能なバーナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するバーナーは、混合気を燃焼させた燃焼ガスの噴き出る噴出し口を筒端に有する第1の筒部と、前記第1の筒部内を前記噴出し口に向かって鉛直方向とは異なる方向に延びる第2の筒部であって、前記第2の筒部の有する筒端の中で前記噴出し口側に位置する筒端を閉塞する閉塞部を有する前記第2の筒部と、前記第1の筒部の内側面と前記第2の筒部の外側面とを連結する壁部であって、前記第2の筒部と前記壁部とによって、前記第1の筒部内の空間を予混合室と、前記予混合室よりも前記噴出し口側の空間である燃焼室とに区画し、かつ、前記予混合室と前記燃焼室とを連通する連通路が形成された前記壁部と、前記燃焼室にて、前記第2の筒部に対して鉛直方向の下側に配設される着火部を有するグロープラグと、前記燃焼室に配置され、液状の燃料を気化可能に保持できる貯留部であって、前記貯留部に対する鉛直方向の上側に前記第2の筒部の外側面の一部が位置する前記貯留部と、を備え、前記第2の筒部及び前記壁部の少なくとも一方には、前記予混合室と前記貯留部とを繋ぐ通路が形成されている。
【0008】
予混合室内で液化した燃料の少なくとも一部は、通路を通して予混合室外に出て、貯留部に保持される。そして、貯留部に燃料が保持された状態で再びバーナーが始動すると、グロープラグの着火部からの熱を受けて、貯留部に保持されている燃料が燃焼に寄与する。したがって、燃料の有効な利用が可能となる。
【0009】
上記バーナーにおいて、前記第2の筒部及び前記壁部の各々には、前記通路が形成され、前記第2の筒部が有する前記通路と、前記壁部が有する前記通路とは、繋がっていることが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、第2の筒部が有する通路と壁部が有する通路とが繋がっているため、液化した燃料が通路に入りやすい。したがって、予混合室内で液化した燃料が、貯留部に導かれやすくなる。
【0011】
上記バーナーにおいて、前記貯留部が、第1の貯留部であり、前記第2の筒部及び前記閉塞部において前記予混合室に面する部位に設けられ、液状の燃料を気化可能に保持できる第2の貯留部をさらに備えることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、予混合室内で液化した燃料の少なくとも一部は、第2の貯留部に保持される。バーナーにて混合気の燃焼が開始されると、火炎の熱が第2の貯留部に伝わる結果、第2の貯留部に保持されている燃料は気化して混合気に混ざり、燃焼に用いられる。したがって、燃料の有効な利用が可能となる。
【0013】
上記バーナーにおいて、前記グロープラグは、前記着火部の周囲に配置されて、液状の燃料を気化可能に保持できるプラグ貯留部を備え、前記バーナーは、前記第1の筒部の外側から前記プラグ貯留部に燃料を供給する供給部をさらに備えることが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、プラグ貯留部の保持する燃料は直接的にグロープラグからの熱を受け、生成された火炎が混合気の着火に寄与する。したがって、混合気の着火性がより高められる。
【0015】
上記バーナーは、前記予混合室への燃料の供給よりも前に、前記グロープラグの前記着火部を昇温させ、かつ、前記供給部に前記プラグ貯留部への燃料の供給を行わせる制御部をさらに備えることが好ましい。上記構成によれば、プラグ貯留部が保持する燃料に基づく火炎の生成が、連通路を通過した混合気への着火に先駆けて行われるため、混合気の着火性がより高められる。
【発明の効果】
【0016】
本開示の技術によれば、バーナーにおいて、燃料の有効な利用が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
図1〜
図4を参照してバーナーの第1実施形態について説明する。まず、
図1〜
図3を参照してバーナーの全体構成について説明する。
【0019】
図1に示されるように、ディーゼルエンジン10の排気通路11には、排気中に含まれる微粒子を吸着するディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)12が搭載されている。DPF12の前段には、DPF12に流入する排気を昇温させることでDPF12の再生処理を実行するバーナー20が搭載されている。
【0020】
バーナー20の基板21には円筒状を有する第1の筒部30が固定され、筒部30の内側には円筒状を有する第2の筒部50が位置し、さらに筒部50の内側には円筒状の筒部40が位置している。筒部30の2つの筒端の中で基端側の筒端は、基板21によって閉塞され、筒部30の先端部には、燃焼ガスの吹き出る噴出し口32を区画する環状の噴出し板31が固定されている。
【0021】
筒部50の2つの筒端の中で、基板21側の筒端の外側面50bは、壁部の一例である環状のバーナーヘッド55を介して筒部30の内側面30aに固定され、噴出し口32側の筒端は、閉塞部51によって閉塞されている。バーナーヘッド55、筒部50、及び、閉塞部51によって、筒部30内の空間が、噴出し口32側の空間である燃焼室77と基板21側の空間である予混合室70とに区切られている。バーナーヘッド55には、燃焼室77と予混合室70とを連通する複数の連通路56が形成されている。バーナーヘッド55の有する側面の中で燃焼室77に面する側面には、複数の連通路56を覆う金網57が取り付けられている。
【0022】
筒部40の2つの筒端の中で、基板21側の筒端の外側面40bは、環状の連結壁部41によって筒部30の内側面30aに固定され、噴出し口32側の筒端は、開口されている。連結壁部41は、バーナーヘッド55よりも基板21に近い位置にて、筒部30の内側面30aに固定されている。筒部40と連結壁部41とによって、予混合室70内において混合気の通る流路が区画されている。
【0023】
筒部30は、筒部30の中で連結壁部41と連結する部分から基板21に向かって延出する延出部33を有する。延出部33には、予混合室70内に燃焼用空気を導入する導入口34が周方向に沿って所定間隔に形成されている。導入口34の開口縁には、導入口34を通じて予混合室70に流入する燃焼用空気を案内することで、予混合室70に燃焼用空気の旋回流を生成する切り起こし片35が形成されている(
図2参照)。また、筒部30の中で燃焼室77を囲む部分には、燃焼室77に燃焼用空気を導入する導入口36が複数形成されている。
【0024】
バーナー20は、筒部30,40,50の軸方向が地表面と平行な方向である水平方向とほぼ平行であり、かつ、筒部30,40,50の径方向が鉛直方向とほぼ平行であるように配置される。燃焼室77内において、筒部50の外側面50bの中で、筒部50の中心線に対する鉛直方向の下側には、第1の貯留部である燃料貯留部80が配置されている。換言すれば、燃料貯留部80は、筒部50の外側であって、筒部50の中心線の真下となる位置に配置されている。なお、筒部50の中心線とは、筒部50が有する円筒の中心軸である。燃料貯留部80は、金網57を介してバーナーヘッド55の側面とも接触している。
【0025】
バーナーヘッド55に対する噴出し口32側であって、筒部50の中心線に対して鉛直方向の下側には、グロープラグ61の着火部62が位置している。グロープラグ61は、筒部30の内挿される円筒状の筒部60に固定されている。着火部62は、筒部60及び筒部30に形成された貫通孔を通じて筒部30内に位置している。着火部62は、燃料貯留部80と接触している。
【0026】
筒部60の2つの筒端の中で基端側の筒端は、基板21によって閉塞され、先端側の筒端は、筒部60と筒部50との隙間が環状の閉塞板63によって閉塞されている。筒部60には、噴出し口32側の端部に空気供給通路64の下流端が接続されている。空気供給通路64の上流端は、ディーゼルエンジン10の吸気通路13であって排気通路11に配設されるタービン14とともに回転するコンプレッサー15の下流に接続されている。
【0027】
空気供給通路64には空気弁65が配設される。空気弁65が開状態にあるとき、筒部30と筒部60との隙間の空気流通室67には、吸気通路13を流れる吸気の一部が空気供給通路64を通じて燃焼用空気として流入する。空気供給通路64の出口付近には、空気流通室67を流れる燃焼用空気が筒部50の周りを旋回する旋回流となるように燃焼用空気を案内する案内部68が配設されている(
図3参照)。燃焼用空気は、複数の導入口36を通じて燃焼室77に供給され、複数の導入口34を通じて予混合室70に導入される。
【0028】
基板21の中央部には、噴射ノズル90が固定されている。噴射ノズル90には、燃料タンク92内の燃料の一部が燃料供給通路91を通じて送り込まれる。燃料供給通路91には、燃料ポンプ93、第1燃料弁94、電気ヒーター95、及び、燃料供給通路91を流れる燃料の圧力や温度を検出する各種のセンサーが取り付けられている。電気ヒーター95は、第1燃料弁94の開閉の制御に応じた流量で燃料供給通路91を流れる燃料を加熱して気化させ、噴射ノズル90は、電気ヒーター95から送り込まれる気化燃料を予混合室70に噴射する。
空気弁65の開閉、第1燃料弁94の開閉、電気ヒーター95のオンオフ、及び、グロープラグ61の駆動は、制御部である制御装置97によって制御される。
【0029】
噴射ノズル90から噴射された気化燃料と複数の導入口34を通じて予混合室70に導入された燃焼用空気との混合気は、筒部40内を噴出し口32に向かって流れたのち、転回されて、筒部40と筒部50との間の空間を基板21に向かって流れる。その後、混合気は、再び転回されて、バーナーヘッド55の連通路56を通じて燃焼室77に流入する。そして、燃焼室77に流入した混合気が着火部62によって着火されることで、燃焼室77には、燃焼中の混合気である火炎Fが生成されるとともに該火炎Fにともなう燃焼ガスが生成される。予混合室70内での混合気の流路が折り返されていることによって、混合気の混合が促進される。
続いて、
図4を参照して、燃料貯留部80の周辺の構造について詳しく説明する。
【0030】
図4に示されるように、筒部50には、筒部50の中心線に対する鉛直方向の下側に、筒部50の内部と外部とを連通する流出口52が形成されている。流出口52は、筒部50の基板21側の筒端まで達して筒部50を切り欠いている。バーナーヘッド55には、筒部50の中心線に対する鉛直方向の下側に、バーナーヘッド55によって区切られた空間を連通する流出口58が形成されている。流出口58は、バーナーヘッド55の内側縁まで達してバーナーヘッド55を切り欠き、流出口52と繋がっている。すなわち、流出口52及び流出口58は、筒部50の中心線の真下となる位置に形成されている。なお、金網57の流出口58と対向する位置は切り抜かれている。
【0031】
流出口52と流出口58とは、燃焼室77内に配置された燃料貯留部80によって、燃焼室77側から塞がれている。換言すれば、流出口52と流出口58とは、予混合室70と燃料貯留部80とを繋ぐ通路となっている。燃料貯留部80は、液状の燃料を気化可能に保持することができる耐熱性の材料から形成されればよく、例えば、焼結金属やセラミック、ワイヤーメッシュ等の多孔質材料が用いられる。
第1実施形態のバーナーの作用について説明する。
【0032】
予混合室70に導入される燃焼用空気の温度が気化燃料の温度よりも低い場合、混合気が予混合室70内の流路を流れるうちに、気化燃料の一部が液化し、液化した燃料は、筒部40の外側面40bや筒部50の内側面50a等の予混合室70の内壁に付着する。予混合室70の内壁に付着した燃料は、重力によって内壁に沿って下方に向かって流れ、流出口52や流出口58から出て、燃料貯留部80に保持される。
【0033】
なお、燃焼用空気と気化燃料との温度差に起因して液化した燃料に限らず、バーナー20の始動時のように予混合室70の内壁の温度が低い場合や、バーナー20の停止時のように予混合室70の内壁の温度が下降していく場合に、内壁の温度が気化温度よりも低いことに起因して液化した未燃燃料も、流出口52や流出口58から出て、燃料貯留部80に保持される。
【0034】
燃料貯留部80とグロープラグ61の着火部62は接触しているため、燃料貯留部80に燃料が保持されている状態でバーナー20が始動すると、燃料貯留部80に保持されている燃料は短時間で加熱されて気化し、着火される。そして、燃料貯留部80の燃料の着火によって生じた火炎を起点として、混合気の燃焼が広がり、火炎Fが生成される。したがって、混合気の着火性が高められる。なお、制御装置97は、バーナーを始動するとき、空気弁65を開弁して燃焼用空気を導入した後、グロープラグ61を駆動して燃料貯留部80の燃料を加熱し、その後、第1燃料弁94の開弁及び電気ヒーター95のオンによって噴射ノズル90から燃料を噴射させることが好ましい。こうした制御が行われることによって、燃料貯留部80の燃料の着火によって生じた火炎から混合気へ円滑に燃焼が広がる。
【0035】
また、バーナー20にて混合気の燃焼が継続されている間は、火炎から予混合室70の外壁を介して燃料貯留部80に熱が伝導される結果、燃料貯留部80に保持されている燃料は気化して燃焼される。したがって、混合気の燃焼性が高められる。
このように、第1実施形態のバーナー20によれば、燃料の浪費が抑えられて混合気の着火性や燃焼性が高められるため、燃料の有効な利用が可能となる。
以上説明したように、第1実施形態のバーナー20によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
【0036】
(1)予混合室内で液化した燃料の少なくとも一部は、流出口52及び流出口58から出て、燃料貯留部80に保持される。そして、燃料貯留部80に燃料が保持された状態で再びバーナーが始動すると、グロープラグ61からの熱を受けて、燃料貯留部80に保持されている燃料が着火され、混合気へ燃焼が広がる。したがって、混合気の着火性が高められ、燃料の有効な利用が可能となる。
【0037】
(2)流出口52と流出口58とが繋がっているため、液化した燃料がこれらの流出口52,58に入りやすい。したがって、予混合室70内で液化した燃料が、燃料貯留部80に導かれやすくなる。
(第2実施形態)
【0038】
図5を参照してバーナーの第2実施形態について説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態と比較して、予混合室の内部の構成とグロープラグの構成とが異なる。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0039】
図5に示されるように、筒部50の内側面50a、及び、閉塞部51の有する側面の中で筒部50の内側に面する側面である内側面51aには、第2の貯留部である燃料貯留壁53が配置されている。換言すれば、予混合室70の内壁のうち、筒部50と閉塞部51とによって構成される部分に、燃料貯留壁53が配置されている。
【0040】
グロープラグ61は、プラグ貯留部66を備え、着火部62は、プラグ貯留部66によって囲まれている。着火部62を覆うプラグ貯留部66と燃料貯留部80とが接触することによって、着火部62と燃料貯留部80とが連接している。燃料貯留壁53とプラグ貯留部66とは、燃料貯留部80と同様に、液状の燃料を気化可能に保持することができる耐熱性の材料から形成されている。
【0041】
プラグ貯留部66には、燃料タンク92内の燃料の一部が燃料供給通路91を通じて供給される。燃料供給通路91は、噴射ノズル90に燃料を供給する第1供給通路91aとプラグ貯留部66に燃料を供給する第2供給通路91bとに分岐し、第1供給通路91aには第1燃料弁94が取り付けられ、第2供給通路91bには第2燃料弁96が取り付けられている。燃料タンク92、第2供給通路91b、及び、第2燃料弁96から、プラグ貯留部66に燃料を供給する供給部が構成される。
【0042】
制御装置97は、空気弁65の開閉、第1燃料弁94の開閉、電気ヒーター95のオンオフ、及び、グロープラグ61の駆動に加えて、第2燃料弁96の開閉を制御する。第1燃料弁94の開閉の制御によって、噴射ノズル90から噴射される気化燃料の噴射量が調節され、第2燃料弁96の開閉の制御によって、プラグ貯留部66への液体燃料の供給量が調節される。
以下、制御装置97によるバーナー20の始動時の制御について説明する。
【0043】
制御装置97は、バーナー20を始動させるとき、グロープラグ61を駆動し、かつ、第1燃料弁94を閉弁した状態で、第2燃料弁96を開弁する。すなわち、制御装置97は、噴射ノズル90への燃料の供給に先立って、グロープラグ61の着火部62を昇温させ、かつ、プラグ貯留部66へ燃料を供給する。その結果、プラグ貯留部66に蓄えられている燃料が加熱されて気化し、着火される。
【0044】
制御装置97は、プラグ貯留部66に蓄えられている燃料が着火されたと判断すると、第1燃料弁94を開弁し、噴射ノズル90へ燃料を供給する。これにより、噴射ノズル90から噴射された気化燃料を含む混合気が燃焼室77に流れ込み、プラグ貯留部66の燃料の着火によって生じた火炎を起点として、混合気の燃焼が広がる。その結果、火炎Fが生成される。なお、制御装置97は、第2燃料弁96の開弁時、及び、第1燃料弁94の開弁時に、必要とされる燃焼用空気の量に応じて、空気弁65を開弁する。
【0045】
制御装置97は、噴射ノズル90から噴射された気化燃料による燃焼の進行が確立したと判断すると、第2燃料弁96を閉弁し、グロープラグ61の駆動を停止する。以後、制御装置97は、DPF12の温度や目標温度、排気通路11における排気温度や排気流量に基づいて、噴射ノズル90への燃料供給量や燃焼室77及び予混合室70に供給する燃焼用空気量を決定し、第1燃料弁94の開閉と空気弁65の開閉との制御を通じて、DPF12を目標温度まで昇温させる。
第2実施形態のバーナーの作用について説明する。
【0046】
予混合室70の内壁に燃料貯留壁53が配置されているため、予混合室70内で液化した燃料は、燃料貯留壁53に保持される。バーナー20にて混合気の燃焼が開始されると、火炎から予混合室70の内壁を介して燃料貯留壁53に熱が伝導される結果、燃料貯留壁53に保持されている燃料は気化して混合気に混ざる。したがって、燃料の有効な利用が可能となる。なお、予混合室70内で液化した燃料の一部は、第1実施形態と同様に、流出口52や流出口58から出て、燃料貯留部80に保持され、混合気の着火性の向上に寄与する。
【0047】
また、グロープラグ61にて、着火部62の周囲にプラグ貯留部66が配置されているため、第1実施形態と比較して、より直接的にグロープラグ61からの熱を受ける位置に燃料が蓄えられる。その結果、第1実施形態のように燃料貯留部80のみが設けられる構成と比較して、混合気の着火性がより高められる。また、プラグ貯留部66には、第2供給通路91bを通じて積極的に燃料が供給されるため、グロープラグ61の付近で安定した火炎が生成される。
【0048】
さらに、バーナー20の始動時には、噴射ノズル90からの気化燃料の噴射に先駆けて、グロープラグ61の着火部62の昇温とプラグ貯留部66への燃料の供給とが行われ、グロープラグ61の付近で火炎が生成される。これにより、こうした火炎がない状態でグロープラグ61による着火が予混合室70から供給される混合気に対して行われる場合よりも、燃焼の広がりが円滑に進み、混合気全体の着火性がより高められる。
以上説明したように、第2実施形態のバーナー20によれば、第1の実施形態の(1)、(2)の効果に加えて、以下に列挙する効果を得ることができる。
【0049】
(3)予混合室70内で液化した燃料の少なくとも一部は、燃料貯留壁53に保持される。バーナー20にて混合気の燃焼が開始されると、燃料貯留壁53に保持されている燃料は気化して混合気に混ざり、燃焼に用いられる。したがって、燃料の有効な利用が可能となる。
(4)プラグ貯留部66によって、直接的にグロープラグからの熱を受ける位置に燃料が保持される。したがって、混合気の着火性がより高められる。
【0050】
(5)プラグ貯留部66が保持する燃料に基づく火炎の生成が、連通路56を通過した混合気への着火に先駆けて行われるため、混合気の着火性がより高められる。
なお、第1及び第2実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
【0051】
・第1及び第2実施形態において、燃料貯留部80が配置される位置及び流出口52,58が形成される位置は、筒部50の外側面50bの中で、筒部50の中心線に対する鉛直方向の下側に限らず、燃料貯留部80の鉛直方向の上側に筒部50の外側面50bの一部が位置すればよい。なお、予混合室70内で液化した燃料は、筒部50の中心線に対する鉛直方向の下側に重力によって集まる。そのため、燃料貯留部80及び流出口52,58が、筒部50の外側面50bの中で、筒部50の中心線に対する鉛直方向の下側、すなわち、筒部50の中心線の真下に配置されると、液化した燃料が効率的に燃料貯留部80に集められるため好ましい。
【0052】
・
図6に示されるように、第1及び第2実施形態において、流出口52は、筒部50の基板21側の筒端まで達しない孔であってもよい。また、流出口58は、バーナーヘッド55の内側縁まで達しない孔であってもよい。要は、流出口52及び流出口58は、予混合室70から燃料貯留部80への燃料の通路となる孔であればよい。なお、流出口52が筒部50の基板21側の筒端まで達していると、液化した燃料が筒部50の端部に阻害されずに流出口52に入るため好ましい。また、流出口58がバーナーヘッド55の内側縁まで達していると、液化した燃料がバーナーヘッド55の端部に阻害されずに流出口58に入るため好ましい。
【0053】
燃料貯留部80の形状は特に限定されないが、
図6に示されるように、燃料貯留部80が流出口52及び流出口58の内部に入り込む形状であると、流出口52及び流出口58の付近に到達した燃料が燃料貯留部80に流れ込みやすいため好ましい。特に、流出口58がバーナーヘッド55の内側縁まで達しない孔である場合、燃料貯留部80が流出口58から予混合室70の内部へ突き出ている形状であると、流出口58の上から下へ鉛直方向の下方に向かって流れる燃料が燃料貯留部80に流れ込みやすくなる。
【0054】
また、上記実施形態では、流出口52及び流出口58の各々が1つずつ形成されたが、流出口52及び流出口58が燃焼室77側から燃料貯留部80に塞がれる構成であれば、流出口52は複数形成されてもよいし、流出口58も複数形成されてもよい。また、筒部50にのみ流出口52が形成されて、バーナーヘッド55には流出口58が形成されなくてもよい。この場合、燃料貯留部80は、バーナーヘッド55には接触しない位置に配置されてもよい。また、バーナーヘッド55にのみ流出口58が形成されて、筒部50には流出口52が形成されなくてもよい。この場合、燃料貯留部80の鉛直方向の上側に、筒部50の外側面50bの一部が位置する構成であれば、燃料貯留部80は筒部50には接触しない位置に配置されてもよい。
【0055】
・第1及び第2実施形態において、燃料貯留部80及びプラグ貯留部66は、特に燃料貯留部80及びプラグ貯留部66がセラミックから形成されている場合に、白金やパラジウム等の触媒作用を有する金属を担持していてもよい。これによれば、触媒作用によって、燃料貯留部80及びプラグ貯留部66が保持する燃料の着火が促進される。
【0056】
・第1及び第2実施形態において、グロープラグ61は、鉛直方向に沿って、筒部50及び燃料貯留部80の下側から筒部30内に挿入されている。これに限らず、
図7に示されるように、グロープラグ61は、鉛直方向と直交する方向に沿って、筒部50及び燃料貯留部80の側方から筒部30内に挿入されてもよい。要は、グロープラグ61の着火部62が、筒部50に対して鉛直方向の下側に配置されればよい。
【0057】
・第1及び第2実施形態において、グロープラグ61の着火部62は、燃料貯留部80の付近に配置されていればよく、着火部62は燃料貯留部80と接触していてもよいし、着火部62は他の部材を挟んで燃料貯留部80と連接していてもよいし、着火部62と燃料貯留部80との間に空間があってもよい。すなわち、グロープラグ61の着火部62が筒部50に対して鉛直方向の下側に配置されていれば、着火部62が筒部50に対して鉛直方向の上側や側方に配置されている構成と比較して、燃料貯留部80が着火部62から熱を受けることにより、燃料貯留部80に保持されている燃料が短時間で着火されて、混合気の着火性が高められる。
【0058】
・
図7に示されるように、第2実施形態において、グロープラグ61は、プラグ貯留部66の周囲に、プラグ貯留部66が保持する燃料の着火によって生じた火炎を案内する保炎部69を備えることが好ましい。保炎部69は、例えば、プラグ貯留部66から噴出し口32に向かって延びるスロープ状に形成される。保炎部69は、プラグ貯留部66が保持する燃料の燃焼を安定させる。その結果、プラグ貯留部66が保持する燃料から生成された火炎が適切に維持されるため、この火炎を起点として、予混合室70から供給された混合気が着火されやすくなる。なお、
図7に示されるように、保炎部69は、火炎を案内する構成に加えて、プラグ貯留部66と燃料貯留部80とを繋ぐ通路82を有し、着火部62はプラグ貯留部66を挟んで燃料貯留部80と連接することが好ましい。この場合も、グロープラグ61は、
図5に示されるように、鉛直方向に沿って、筒部50及び燃料貯留部80の下側から筒部30内に挿入されてもよい。
【0059】
・第2実施形態において、燃料貯留壁53は、予混合室70の内壁であれば、例えば、筒部40の外側面40bに配置されていてもよいし、筒部50の内側面50aの一部に配置されてもよい。ただし、燃料貯留壁53は、筒部50の内側面50aや閉塞部51の内側面51aのように、予混合室70の内壁の中で、予混合室70と燃焼室77の境界となる部材から構成される内壁に配置されていることが好ましい。予混合室70と燃焼室77の境界となる部材から構成される内壁は、燃焼室77にて混合気の燃焼が行われている際に、火炎からの熱が伝わりやすい。したがって、燃料貯留壁53に保持されている燃料が気化されやすくなる。
【0060】
・第2実施形態において、バーナー20の始動時に、プラグ貯留部66への燃料の供給とグロープラグ61の着火部62の昇温とは、噴射ノズル90からの気化燃料の噴射と同時に行われてもよい。こうした構成によっても、上記(4)の効果は得られる。
【0061】
・第2実施形態において、バーナー20は、第1の実施形態のバーナー20に、燃料貯留壁53が加えられ、プラグ貯留部66及びプラグ貯留部66へ燃料を供給するための構成が加えられていない構成を有していてもよい。あるいは、バーナー20は、第1の実施形態のバーナー20に、プラグ貯留部66及びプラグ貯留部66へ燃料を供給するための構成が加えられ、燃料貯留壁53が加えられていない構成を有していてもよい。
【0062】
・第1及び第2実施形態において、バーナー20において筒部40と連結壁部41とが割愛されてもよい。また、燃焼室77や予混合室70にて燃焼用空気に旋回流を起こす切り起こし片35や案内部68は割愛されてもよい。要は、バーナー20は、少なくとも、筒部50とバーナーヘッド55とによって、筒部30内の空間を予混合室70と燃焼室77とに区画する構成を有していればよい。
【0063】
・第1及び第2実施形態において、各筒部は、筒状であればよく、各筒部の内径は、軸方向に沿って変化していてもよい。例えば、筒部50は、外径が一定に形成され、内径が噴出し口32に向かって小さくなる筒状を有していてもよい。こうした構成によれば、筒部50の内側面50aは、基板21側の筒端に向かって鉛直方向の下方に傾くため、流出口52に液化した燃料が流れ込みやすくなる。
【0064】
・第1及び第2実施形態において、バーナー20は、各筒部の軸方向が水平方向と平行になるように設置されたが、筒部の軸方向は水平方向と平行でなくともよく、筒部50が筒部30内を噴出し口32に向かって鉛直方向とは異なる方向に延びる構成であればよい。
【0065】
・排気通路11にてバーナー20の下流には、DPF12に限らず、排気ガスを浄化する触媒が配設されていてもよい。こうした構成によれば、バーナー20によって触媒が昇温されることから、触媒を活性化温度まで早期に昇温させることが可能である。