特許第6385713号(P6385713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6385713携帯通信システム、基地局、及び測定結果送信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385713
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】携帯通信システム、基地局、及び測定結果送信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/10 20090101AFI20180827BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20180827BHJP
   H04W 16/32 20090101ALI20180827BHJP
   H04W 76/34 20180101ALI20180827BHJP
【FI】
   H04W24/10
   H04W72/04 111
   H04W16/32
   H04W76/34
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-96166(P2014-96166)
(22)【出願日】2014年5月7日
(65)【公開番号】特開2015-216416(P2015-216416A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2016年12月28日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)(出願人による申告)平成26年度、総務省、「戦略的国際連携型研究開発推進事業」のうち「ミリ波を活用するヘテロジニアスセルラネットワークの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】599108264
【氏名又は名称】株式会社KDDI総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100145698
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 俊介
(72)【発明者】
【氏名】山本 俊明
(72)【発明者】
【氏名】彭 海蘭
(72)【発明者】
【氏名】末柄 恭宏
【審査官】 ▲高▼木 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/096088(WO,A1)
【文献】 NSN, Nokia Corporation,RRM measurements for Dual Connectivity[online], 3GPP TSG-RAN WG2♯85 R2-140374,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_85/Docs/R2-140374.zip>,2014年 2月14日,Pages 1-5
【文献】 Broadcom Corporation,Measurement report triggering for Dual Connectivity[online], 3GPP TSG-RAN WG2♯85bis R2-141284,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_85bis/Docs/R2-141284.zip>,2014年 4月 4日,Pages 1-3
【文献】 Huawei, HiSilicon,Study of Solutions and Radio Protocol Architecture for Dual-Connectivity[online], 3GPP TSG-RAN WG2#81bis R2-131164,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_81bis/Docs/R2-131164.zip>,2013年 4月19日,Pages 1-12
【文献】 CMCC, CATT,Measurement Report Triggering for Dual Connectivity[online], 3GPP TSG-RAN WG2♯85bis R2-141107,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_85bis/Docs/R2-141107.zip>,2014年 4月 4日,Pages 1-3
【文献】 NSN, Nokia Corporation,Special cell in SeNB[online], 3GPP TSG-RAN WG2♯85 R2-140372,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_85/Docs/R2-140372.zip>,2014年 4月 4日,Pages 1-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基地局と、前記第1基地局と通信可能な第2基地局と、前記第1基地局及び前記第2基地局に同時に接続して通信可能な携帯端末と、を備える携帯通信システムであって、
前記第1基地局は、
前記携帯端末に対して、前記第2基地局から受信する電波の電力強度を測定する指示、及び前記指示に基づいて前記電力強度を測定した結果を前記第1基地局に送信させる条件を含む指示情報を送信する基地局送信部を有し、
前記携帯端末は、
前記第2基地局と通信する通信部と、
前記指示情報に基づいて、前記通信部がダウンリンク及びアップリンクで通信に用いている所定チャネルにおいて前記第2基地局から受信した電波の電力強度第1電力強度として測定し、前記所定チャネルとは異なる他のチャネルにおいて前記第2基地局から受信した電波の電力強度第2電力強度として測定する測定部と、
前記測定部が測定した前記第1電力強度及び前記第2電力強度が、前記指示情報が含む前記条件を満たす場合に、測定結果を前記第1基地局に送信する端末送信部と、
を有し、
前記基地局送信部は、前記携帯端末から前記測定結果を受信した場合に、当該測定結果に基づいて、前記第2基地局との通信に使用する前記所定チャネルを前記他のチャネルに切り替える切替条件を満たしていると判定すると、前記携帯端末に、前記第2基地局との通信に使用する前記所定チャネルを前記他のチャネルに切り替えさせるための切替指示情報を送信する、
携帯通信システム。
【請求項2】
第1基地局と、前記第1基地局と通信可能な第2基地局と、前記第1基地局及び前記第2基地局に同時に接続して通信可能な携帯端末と、を備える携帯通信システムであって、
前記第1基地局は、
前記携帯端末に対して、前記第2基地局から受信する電波の電力強度を測定する指示、及び前記指示に基づいて前記電力強度を測定した結果を前記第1基地局に送信させる条件を含む指示情報を送信する基地局送信部を有し、
前記携帯端末は、
前記第2基地局と通信する通信部と、
前記指示情報に基づいて、前記通信部がダウンリンク及びアップリンクで通信に用いている第1チャネルとは異なる第2チャネルにおいて前記第2基地局から受信した電波の電力強度を第1電力強度として測定し、前記第1チャネル及び前記第2チャネルとは異なる他のチャネルにおいて受信した電波の電力強度を第2電力強度として測定する測定部と、
前記測定部が測定した前記第1電力強度及び前記第2電力強度が、前記指示情報が含む前記条件を満たす場合に、測定結果を前記第1基地局に送信する端末送信部と、
を有し、
前記基地局送信部は、前記携帯端末から前記測定結果を受信した場合に、当該測定結果に基づいて、前記第2基地局との通信に使用する前記第2チャネルを前記他のチャネルに切り替える切替条件を満たしていると判定すると、前記携帯端末に、前記第2基地局との通信に使用する前記第2チャネルを前記他のチャネルに切り替えさせるための切替指示情報を送信する、
携帯通信システム。
【請求項3】
第1基地局と、前記第1基地局と通信可能な第2基地局であって、通信可能エリアが、前記第1基地局が通信可能なエリアに含まれている前記第2基地局と、前記第1基地局及び前記第2基地局に同時に接続して通信可能な携帯端末と、を備える携帯通信システムであって、
前記第1基地局は、
前記携帯端末に対して、前記第2基地局から受信する電波の電力強度を測定する指示、及び前記指示に基づいて前記電力強度を測定した結果を前記第1基地局に送信させる条件を含む指示情報を送信する基地局送信部を有し、
前記携帯端末は、
前記指示情報に基づいて、前記第2基地局と通信中の所定チャネルにおいて受信した電波の電力強度である第1電力強度、及び前記所定チャネルとは異なる他のチャネルにおいて受信した電波の電力強度である第2電力強度を測定する測定部と、
前記測定部が測定した前記第1電力強度及び前記第2電力強度が、前記指示情報が含む前記条件を満たす場合に、測定結果を前記第1基地局に送信する端末送信部と、
を有し、
前記基地局送信部は、前記携帯端末から前記測定結果を受信した場合に、当該測定結果に基づいて、前記第2基地局との通信に使用する前記所定チャネルを前記他のチャネルに切り替える切替条件を満たしていると判定すると、前記携帯端末に、前記第2基地局との通信に使用する前記所定チャネルを前記他のチャネルに切り替えさせるための切替指示情報を送信する、
携帯通信システム。
【請求項4】
2つの基地局に同時に接続して通信可能な携帯端末と、当該携帯端末と通信可能な第2基地局とに通信可能な基地局であって、
前記携帯端末に対して、前記携帯端末がダウンリンク及びアップリンクで通信に用いている所定チャネルにおいて前記第2基地局から受信した電波の電力強度を第1電力強度として測定し、前記所定チャネルとは異なる他のチャネルにおいて前記第2基地局から受信した電波の電力強度を第2電力強度として測定する指示、及び前記指示に基づいて前記電力強度を測定した測定結果を前記基地局に送信させる条件を含む指示情報を送信し、前記携帯端末から前記測定結果を受信した場合に、当該測定結果に基づいて、前記第2基地局との通信に使用する前記所定チャネルを前記他のチャネルに切り替える切替条件を満たしていると判定すると、前記携帯端末に、前記第2基地局との通信に使用する前記所定チャネルを前記他のチャネルに切り替えさせるための切替指示情報を送信する基地局送信部を備える、
基地局。
【請求項5】
2つの基地局に同時に接続して通信可能な携帯端末と、当該携帯端末と通信可能な第2基地局とに通信可能な基地局であって、
前記携帯端末に対して、前記携帯端末がダウンリンク及びアップリンクで通信に用いている第1チャネルとは異なる第2チャネルにおいて前記第2基地局から受信した電波の電力強度を第1電力強度として測定し、前記第1チャネル及び前記第2チャネルとは異なる他のチャネルにおいて前記第2基地局から受信した電波の電力強度を第2電力強度として測定する指示、及び前記指示に基づいて前記電力強度を測定した測定結果を前記基地局に送信させる条件を含む指示情報を送信し、前記携帯端末から前記測定結果を受信した場合に、当該測定結果に基づいて、前記第2基地局との通信に使用する前記第2チャネルを前記他のチャネルに切り替える切替条件を満たしていると判定すると、前記携帯端末に、前記第2基地局との通信に使用する前記第2チャネルを前記他のチャネルに切り替えさせるための切替指示情報を送信する基地局送信部を備える、
基地局。
【請求項6】
2つの基地局に同時に接続して通信可能な携帯端末と、当該携帯端末と通信可能な第2基地局とに通信可能であり、通信可能エリアに前記第2基地局の通信可能エリアを含む基地局であって、
前記携帯端末に対して、前記第2基地局から受信する電波の電力強度を測定する指示、及び前記指示に基づいて前記電力強度を測定した測定結果を前記基地局に送信させる条件を含む指示情報を送信し、前記携帯端末から前記測定結果を受信した場合に、当該測定結果に基づいて、前記第2基地局との通信に使用するチャネルを他のチャネルに切り替える切替条件を満たしていると判定すると、前記携帯端末に、前記第2基地局との通信に使用する前記チャネルを前記他のチャネルに切り替えさせるための切替指示情報を送信する基地局送信部を備える、
基地局。
【請求項7】
第1基地局が、前記第1基地局及び前記第1基地局と通信可能な第2基地局に同時に接続して通信可能な携帯端末に対して、前記第2基地局から受信する電波の電力強度を測定する指示、及び前記指示に基づいて前記電力強度を測定した結果を前記第1基地局に送信させる条件を含む指示情報を送信するステップと、
前記携帯端末が、前記指示情報に基づいて、ダウンリンク及びアップリンクで通信に用いている所定チャネルにおいて前記第2基地局から受信した電波の電力強度を第1電力強度として測定し、前記所定チャネルとは異なる他のチャネルにおいて前記第2基地局から受信した電波の電力強度を第2電力強度として測定するステップと、
前記携帯端末が、測定した前記第1電力強度及び前記第2電力強度が、前記指示情報が含む条件を満たす場合に、測定結果を前記第1基地局に送信するステップと、
前記第1基地局が、前記携帯端末から前記測定結果を受信した場合に、当該測定結果に基づいて、前記第2基地局との通信に使用する前記所定チャネルを前記他のチャネルに切り替える切替条件を満たしていると判定すると、前記携帯端末に、前記第2基地局との通信に使用する前記所定チャネルを前記他のチャネルに切り替えさせるための切替指示情報を送信する、
を有する測定結果送信方法。
【請求項8】
第1基地局が、前記第1基地局及び前記第1基地局と通信可能な第2基地局に同時に接続して通信可能な携帯端末に対して、前記第2基地局から受信する電波の電力強度を測定する指示、及び前記指示に基づいて前記電力強度を測定した結果を前記第1基地局に送信させる条件を含む指示情報を送信するステップと、
前記携帯端末が、前記指示情報に基づいて、ダウンリンク及びアップリンクで通信に用いている第1チャネルとは異なる第2チャネルにおいて前記第2基地局から受信した電波の電力強度を第1電力強度として測定し、前記第1チャネル及び前記第2チャネルとは異なる他のチャネルにおいて前記第2基地局から受信した電波の電力強度を第2電力強度として測定するステップと、
前記携帯端末が、測定した前記第1電力強度及び前記第2電力強度が、前記指示情報が含む条件を満たす場合に、測定結果を前記第1基地局に送信するステップと、
前記第1基地局が、前記携帯端末から前記測定結果を受信した場合に、当該測定結果に基づいて、前記第2基地局との通信に使用する前記第2チャネルを前記他のチャネルに切り替える切替条件を満たしていると判定すると、前記携帯端末に、前記第2基地局との通信に使用する前記第2チャネルを前記他のチャネルに切り替えさせるための切替指示情報を送信する、
を有する測定結果送信方法。
【請求項9】
第1基地局が、前記第1基地局及び前記第1基地局と通信可能な第2基地局であって、通信可能エリアが、前記第1基地局が通信可能なエリアに含まれている前記第2基地局に同時に接続して通信可能な携帯端末に対して、前記第2基地局から受信する電波の電力強度を測定する指示、及び前記指示に基づいて前記電力強度を測定した結果を前記第1基地局に送信させる条件を含む指示情報を送信するステップと、
前記携帯端末が、前記指示情報に基づいて、前記第2基地局と通信中の所定チャネルにおいて受信した電波の電力強度である第1電力強度、及び前記所定チャネルとは異なる他のチャネルにおいて受信した電波の電力強度である第2電力強度を測定するステップと、
前記携帯端末が、測定した前記第1電力強度及び前記第2電力強度が、前記指示情報が含む条件を満たす場合に、測定結果を前記第1基地局に送信するステップと、
前記第1基地局が、前記携帯端末から前記測定結果した場合に、当該測定結果に基づいて、前記第2基地局との通信に使用する前記所定チャネルを前記他のチャネルに切り替える切替条件を満たしていると判定を受信すると、前記携帯端末に、前記第2基地局との通信に使用する前記所定チャネルを前記他のチャネルに切り替えさせるための切替指示情報を送信する、
を有する測定結果送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯通信システム、基地局、携帯端末及び測定結果送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末では、複数の周波数帯域を用いて通信を行うCA(Carrier Aggregation)技術を利用した基地局との通信が行われている(例えば、非特許文献1参照)。
また、携帯端末は、基地局から指示された周波数帯域の電波の電力強度を測定しており、測定結果において電力強度が所定条件を満たすと、基地局に対して測定結果(MR:Measurement Report)を送信する(例えば、非特許文献2参照)。基地局は、携帯端末から測定結果を受信すると、当該測定結果に基づいて、当該携帯端末におけるハンドオーバの実行や電力強度の測定指示に関する判定を行う。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】3GPP, TS 36.300, v11.3.0, “Overall description,” 2012-09
【非特許文献2】3GPP, TS 36.331, v12.1.0, “Radio Resource Control(RRC) Protocol specification,” 2014-03
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、3GPP(3rd Generation Partnership Project)等の無線インターフェースの標準化団体では、一の携帯端末が、主基地局(MeNB: Master eNB)と従基地局(SeNB: Secondary eNB)との2つの基地局と同時に接続して通信するデュアルコネクティビティ(Dual Connectivity)技術が検討されている。しかしながら、デュアルコネクティビティ技術を用いた通信において、携帯端末が基地局に対して測定結果を送信するタイミングに関する条件が規定されておらず、帯端末が従基地局の電力強度に基づいて、適切なタイミングで測定結果を基地局に送信することができないという問題があった。
【0005】
例えば、携帯端末が、従基地局における周波数帯を対象とした測定結果を基地局に送信するための条件が存在しないことから、携帯端末が現在接続している従基地局の周波数チャネル(接続セル)に比べて受信電波の電力強度が強い他の周波数チャネルとの通信が可能であっても、携帯端末は、基地局に対して測定結果を送信することができなかった。このため、主基地局は、適切なタイミングで他の周波数チャネルにハンドオーバさせる指示を携帯端末に送信することができなかった。
【0006】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、携帯端末が測定結果を適切なタイミングで基地局に送信することができる携帯通信システム、基地局、携帯端末及び測定結果送信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る携帯通信システムは、第1基地局と、前記第1基地局と異なる第2基地局と、前記第1基地局及び前記第2基地局と通信可能な携帯端末と、を備える携帯通信システムであって、前記第1基地局は、前記携帯端末に対して、前記第2基地局から受信する電波の電力強度を測定する指示、及び前記指示に基づいて前記電力強度を測定した結果を前記第1基地局に送信させる条件を含む指示情報を送信する基地局送信部を有し、前記携帯端末は、前記指示情報に基づいて、前記第2基地局と通信中の所定チャネルにおいて受信した電波の電力強度である第1電力強度、及び前記所定チャネルとは異なる他のチャネルにおいて受信した電波の電力強度である第2電力強度を測定する測定部と、前記測定部が測定した前記第1電力強度及び前記第2電力強度が、前記指示情報が含む前記条件を満たす場合に、測定結果を前記第1基地局に送信する端末送信部と、を有する。
【0008】
前記端末送信部は、前記測定結果において、前記第1電力強度が前記第2電力強度よりも小さいことを示している場合に、前記測定結果を前記第1基地局に送信してもよい。
前記端末送信部は、前記測定結果において、前記第1電力強度が通信品質を維持する基準となる第1の閾値よりも低く、前記第2電力強度が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値よりも高い場合に、前記測定結果を前記第1基地局に送信してもよい。
【0009】
前記携帯端末は、前記第2基地局と通信する通信部を有し、前記測定部は、前記指示情報に基づいて、前記通信部がダウンリンク及びアップリンクで通信に用いている第1チャネルにおいて前記第2基地局から受信した電波の電力強度を前記第1電力強度として測定し、前記第1チャネルとは異なるチャネルにおいて前記第2基地局から受信した電波の電力強度を前記第2電力強度として測定してもよい。
前記測定部は、前記指示情報に基づいて、任意のチャネルにおいて前記第2基地局とは異なる他の基地局から受信した電波の電力強度を前記第2電力強度として測定してもよい。
【0010】
前記携帯端末は、前記第2基地局と通信する通信部を有し、前記測定部は、前記指示情報に基づいて、前記通信部がダウンリンク及びアップリンクで通信に用いている第1チャネルとは異なる第2チャネルにおいて前記第2基地局から受信した電波の電力強度を前記第1電力強度として測定し、前記第2チャネルとは異なるチャネルで受信した電波の電力強度を前記第2電力強度として測定してもよい。
前記第2基地局が通信可能なエリアは、前記第1基地局が通信可能なエリアに含まれていてもよい。
【0011】
本発明の第2の態様に係る基地局は、携帯端末と通信可能な基地局であって、前記携帯端末に対して、当該携帯端末が通信可能であり前記基地局と異なる第2基地局から受信する電波の電力強度を測定する指示、及び前記指示に基づいて前記電力強度を測定した測定結果を前記基地局に送信させる条件を含む指示情報を送信する基地局送信部を備える。
【0012】
本発明の第3の態様に係る携帯端末は、第1基地局及び前記第1基地局と異なる第2基地局と通信可能な携帯端末であって、前記第1基地局から、前記第2基地局から受信する電波の電力強度を測定する指示、及び前記指示に基づいて前記電力強度を測定した結果を前記第1基地局に送信させる条件を含む指示情報を受信する端末受信部と、受信した前記指示情報に基づいて、前記第2基地局と通信中の所定チャネルにおいて受信した電波の電力強度である第1電力強度、及び前記所定チャネルとは異なる他のチャネルにおいて受信した電波の電力強度である第2電力強度を測定する測定部と、前記測定部が測定した前記第1電力強度及び前記第2電力強度が、前記指示情報が含む前記条件を満たす場合に、測定結果を前記第1基地局に送信する端末送信部と、を備える。
【0013】
前記端末送信部は、前記測定結果において、前記第1電力強度が通信品質を維持する基準となる第1の閾値よりも低く、前記第2電力強度が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値よりも高い場合に、前記測定結果を前記第1基地局に送信してもよい。
【0014】
前記携帯端末は、前記第2基地局と通信する通信部を有し、前記測定部は、前記指示情報に基づいて、前記通信部がダウンリンク及びアップリンクで通信に用いている第1チャネルにおいて前記第2基地局から受信した電波の電力強度を前記第1電力強度として測定し、前記第1チャネルとは異なるチャネルにおいて前記第2基地局から受信した電波の電力強度を前記第2電力強度として測定してもよい。
【0015】
本発明の第4の態様に係る測定結果送信方法は、第1基地局が、前記第1基地局及び前記第1基地局と異なる第2基地局と通信可能な携帯端末に対して、前記第2基地局から受信する電波の電力強度を測定する指示、及び前記指示に基づいて前記電力強度を測定した結果を前記第1基地局に送信させる条件を含む指示情報を送信するステップと、前記携帯端末が、前記指示情報に基づいて、前記第2基地局と通信中の所定チャネルにおいて受信した電波の電力強度である第1電力強度、及び前記所定チャネルとは異なる他のチャネルにおいて受信した電波の電力強度である第2電力強度を測定するステップと、前記携帯端末が、測定した前記第1電力強度及び前記第2電力強度が、前記指示情報が含む条件を満たす場合に、測定結果を前記第1基地局に送信するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、携帯端末が測定結果を適切なタイミングで基地局に送信することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態の携帯通信システムの概要を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る第1基地局及び携帯端末の機能構成図である。
図3】第1の実施形態に係る携帯通信システムにおける通信シーケンスの一例を示す図である。
図4】比較元のセルと、比較対象のセルと、切替条件を満たした際のイベントとの関係を示す図である。
図5】第2の実施形態の携帯通信システムの概要を示す図である。
図6】第2の実施形態に係る携帯通信システムにおける通信シーケンスの一例を示す図である。
図7】比較元のセルと、比較対象のセルと、切替条件を満たした際のイベントとの関係を示す図である。
図8】比較元のセルと、比較対象のセルと、切替条件を満たした際のイベントとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態の携帯通信システムSの概要を示す図である。
携帯通信システムSは、第1基地局1と、第1基地局1と通信可能なエリアが異なる第2基地局2と、第1基地局1及び第2基地局2と通信可能な携帯端末3とを備える。携帯通信システムSは、デュアルコネクティビティ技術により、第1基地局1及び第2基地局2の2つの基地局と同時に接続して通信可能な携帯端末3に、第2基地局2から受信した電波の電力強度を測定させ、当該電力強度が所定の条件を満たす場合に、測定結果を第1基地局1に送信させるシステムである。
【0019】
第1基地局1及び第2基地局2は、基地局同士で直接通信するためのX2回線により接続されている。本実施形態では、第1基地局1を主基地局(MeNB: Master eNB)とし、第2基地局2を主基地局に対する従基地局(SeNB: Secondary eNB)とする。第1基地局1は、例えば、通信可能なエリアが広く、電波出力が大きいマクロ基地局であり、第2基地局2は、例えば、通信可能なエリアが、第1基地局1が通信可能なエリアに含まれており、通信可能範囲が狭く、電波出力が小さいピコ基地局であるものとする。第2基地局2は、例えば、通信量が多いエリアに設置される。
【0020】
第1基地局1及び第2基地局2のそれぞれは、CA技術により周波数帯域がそれぞれ異なる複数のチャネルを束ねて携帯端末3と高速通信を行うことができる。ここで、複数のチャネルそれぞれを、コンポーネントキャリア(CC: Component carrier)という。第1基地局1が通信に用いる複数のコンポーネントキャリアに対応するセル群をマスターセルグループ(MCG:Master Cell Group)といい、第2基地局2が通信に用いる複数のコンポーネントキャリアに対応するセル群をセカンダリセルグループ(SCG:Secondary Cell Group)という。第2基地局2は、セルごとに異なる場所に存在するアンテナを用いて電波を送信することにより、複数のセルのそれぞれが異なるカバーエリアを有するようにすることもできるが、本実施形態では、セカンダリセルグループに対応する複数のセルは、ほぼ同一のエリアに重畳して配置されているものとする。
【0021】
また、マスターセルグループにおいて、携帯端末3からアップリンク通信及びダウンリンク通信が可能なセル(主セル)を、PCell(Primary Cell)といい、PCell以外のセル(従セル)をSCell(Secondary Cell)という。また、セカンダリセルグループにおける主セルをpSCell、従セルをsSCellという。
【0022】
携帯端末3は、上述したように、デュアルコネクティビティ技術により、2つの基地局と同時に接続して通信可能な端末である。図1に示す例では、携帯端末3は、第1基地局1と1つのコンポーネントキャリア(実線の矢印a)で通信を行い、第2基地局2と2つのコンポーネントキャリア(実線の矢印b1、b2)で通信を行う。携帯端末3は、第1基地局1から受信した指示情報に基づいて、指示されたチャネルの電波の電力強度を測定する。そして、携帯端末3は、測定した電力強度が所定の条件を満たす場合に、測定結果を第1基地局1に送信する。
【0023】
第1基地局1は、受信した測定結果に基づいて、携帯端末3に、第2基地局2との通信に使用するコンポーネントキャリアを他のコンポーネントキャリアに切り替えさせるか否かを判定する。第1基地局1は、コンポーネントキャリアを切り替えさせると判定した場合に、切替指示情報を携帯端末3に送信する。このようにすることで、携帯通信システムSは、例えば、携帯端末3が第2基地局2との通信において使用している複数のコンポーネントキャリアの負荷が高い場合に、適切なタイミングで負荷の低いコンポーネントキャリアに切り替えることができ、携帯端末3における通信を良好なものとすることができる。
【0024】
続いて、携帯通信システムSを構成する第1基地局1及び携帯端末3の機能構成について説明する。図2は、第1の実施形態に係る第1基地局1及び携帯端末3の機能構成図である。
【0025】
[第1基地局1の構成例]
まず、第1基地局1の機能構成について説明する。第1基地局1は、基地局送信部11と、基地局受信部12と、記憶部13とを備える。
【0026】
基地局送信部11及び基地局受信部12は、CPU及び通信インターフェース等により構成される。基地局送信部11は、携帯端末3に各種情報のRF(Radio Frequency)信号を生成し、アンテナ(不図示)を介して当該RF信号を、携帯端末3に送信する。基地局受信部12は、アンテナを介して携帯端末3から受信したRF信号を復調して、復調された信号を基地局送信部11に出力する。
記憶部13は、例えば、ROM及びRAM等により構成される。記憶部13は、第1基地局1を機能させるための各種プログラムや各種データを記憶する。
【0027】
[携帯端末3の構成例]
続いて、携帯端末3の機能構成について説明する。携帯端末3は、通信インターフェースである通信部としての無線部31と、CPU等により構成される制御部に対応する端末受信部32、測定部33、端末送信部34、及び切替部35とを備える。
【0028】
無線部31は、制御部から出力された信号を変調してRF信号を生成し、アンテナ(不図示)を介して当該RF信号を、第1基地局1及び第2基地局2等に無線送信する。また、無線部31は、アンテナを介して第1基地局1及び第2基地局2等から受信したRF信号を復調して、復調された信号を制御部に出力する。
【0029】
端末受信部32は、無線部31を介して第1基地局1から測定部33による測定を指示する指示情報を受信する。また、端末受信部32は、無線部31を介して第1基地局1から、第2基地局2に対応するコンポーネントキャリアを切り替えるための切替指示情報を受信する。
【0030】
測定部33は、端末受信部32が指示情報を受信したことに応じて第1基地局1及び第2基地局2が発信した電波の電力強度を測定する。
端末送信部34は、測定部33が測定した測定結果が示す電力強度が所定の条件を満たす場合に、無線部31を介して測定結果を第1基地局1に送信する。
切替部35は、端末受信部32が切替指示情報を受信したことに応じて、第2基地局2と通信を行い、コンポーネントキャリアを切り替える切替処理を実行する。
【0031】
[携帯通信システムSの通信シーケンス]
続いて、第1基地局1及び携帯端末3がそれぞれ備える機能の詳細について、携帯通信システムSにおけるシーケンスに沿って説明する。
図3は、第1の実施形態に係る携帯通信システムSにおける通信シーケンスの一例を示す図である。
【0032】
まず、第1基地局1の基地局送信部11は、携帯端末3に対して、第2基地局2から受信する電波の電力強度を測定する指示、及び当該指示に基づいて電力強度を測定した結果を第1基地局1に送信させる条件を含む指示情報を送信する。
【0033】
続いて、端末受信部32が第1基地局から指示情報を受信すると、測定部33は、当該指示情報に基づいて、第2基地局2と通信中のコンポーネントキャリア(所定チャネル)において受信した電波の電力強度である第1電力強度、及び当該コンポーネントキャリアとは異なる、他のコンポーネントキャリア(他のチャネル)において受信した電波の電力強度である第2電力強度を測定する(S10)。
【0034】
具体的には、測定部33は、指示情報に基づいて、pScellに対応するコンポーネントキャリア、すなわち、無線部31がダウンリンク及びアップリンクで通信に用いているコンポーネントキャリアである第1コンポーネントキャリア(第1チャネル)において第2基地局2から受信した電波の電力強度を第1電力強度として測定する。測定部33は、第1コンポーネントキャリアとは異なるコンポーネントキャリアである第2コンポーネントキャリアにおいて第2基地局2から受信した電波の電力強度を第2電力強度として測定する。
【0035】
続いて、端末送信部34は、測定部33が測定した第1電力強度及び第2電力強度が、指示情報が含む、測定結果を第1基地局1に送信させる条件を満たしているか否かを判定する(S20)。
【0036】
具体的には、端末送信部34は、測定結果において、第1電力強度が第2電力強度よりも小さいことを示している場合に、当該測定結果を第1基地局1に送信する。より具体的には、第1電力強度の値をMs、第2電力強度の値をMn、第1コンポーネントキャリアに対応するセル(以下、在圏セルともいう。)に特有の測定オフセット値をOcs、第2コンポーネントキャリアに対応するセル(以下、隣接セルともいう。)に特有の測定オフセット値をOcn、コンポーネントキャリアの切替イベントに対するヒステリシスパラメータをHysとした場合、端末送信部34は、以下に示す式(1)を満たしている場合に、測定結果を第1基地局1に送信する。
Mn+Ocn−Hys>Ms+Ocs+Off・・・(1)
【0037】
また、端末送信部34は、測定結果において、第1電力強度が通信品質を維持する基準となる第1の閾値よりも低く、第2電力強度が第1の閾値よりも大きい第2の閾値よりも高い場合に、測定結果を第1基地局1に送信する。ここで、第1の閾値は、在圏セルから離脱するイベントに対応するスレッショルドパラメータ(Thresh1)であり、第2の閾値は、隣接セルに加入するイベントに対応するスレッショルドパラメータ(Thresh2)である。より具体的には、隣接セルの周波数帯域に対する周波数特有の測定オフセット値をOfnとした場合、端末送信部34は、以下に示す式(2)及び式(3)を満たしている場合に、測定結果を第1基地局1に送信する。
Ms+Hys<Thresh1・・・(2)
Mn+Ofn+Ocn−Hys>Thresh2・・・(3)
【0038】
続いて、第1基地局1の基地局受信部12が測定結果を受信すると、基地局送信部11は、当該測定結果に基づいて第1コンポーネントキャリア、すなわち、pScellを切り替える切替条件を満たしているか否かを判定する(S30)。基地局送信部11は、切替条件を満たしていると判定すると、携帯端末3に切替指示情報を送信する。
【0039】
携帯端末3の端末受信部32が切替指示情報を受信すると、切替部35は、当該切替指示情報に基づいて第2基地局2との通信に用いている第1コンポーネントキャリアを、切替指示情報において指定されている第2コンポーネントキャリアに切り替える切替処理を実行する(S40)。
【0040】
なお、上述のシーケンスでは、pScellに対応するコンポーネントキャリアを第2基地局2の他のコンポーネントキャリアに切り替える処理(pScell Change)について説明したが、これに限らない。図4は、比較元のセル(比較元のコンポーネントキャリア)と、比較対象のセル(比較対象のコンポーネントキャリア)と、切替条件を満たした際のイベントとの関係を示す図である。
【0041】
図4に示すように、比較元のセルをsScellとし、比較対象のセルを第2基地局2の任意のセルとした場合において、第1基地局1は、切替条件を満たしたとき、sScellを第2基地局2の任意のセルに切り替える処理(sScell Change)を実行するようにしてもよい。具体的には、測定部33は、指示情報に基づいて、sScellに対応するコンポーネントキャリアにおいて第2基地局2から受信した電波の電力強度を第1電力強度として測定し、当該コンポーネントキャリアとは異なるコンポーネントキャリアにおいて第2基地局2から受信した電波の電力強度を第2電力強度として測定する。そして、基地局受信部12が携帯端末3から測定結果を受信したとき、基地局送信部11は、sScellに対応するコンポーネントキャリアを第2基地局2の任意のセルに対応するコンポーネントキャリアに切り替える切替指示情報を送信する。このようにすることで、第1基地局1は、適切なタイミングでsScellの切替を携帯端末3に指示することができる。
【0042】
また、図4に示すように、比較元のセルを第2基地局2の任意のセルとし、比較対象のセルを当該セルと異なる第2基地局2の任意のセルとした場合において、第1基地局1は、切替条件を満たしたとき、比較元のセルを比較対象のセルに切り替える処理(SCG Modification)を実行するようにしてもよい。具体的には、測定部33は、指示情報に基づいて、第2基地局2の任意のセルに対応するコンポーネントキャリアにおいて第2基地局2から受信した電波の電力強度を第1電力強度として測定し、当該コンポーネントキャリアとは異なるコンポーネントキャリアにおいて第2基地局2から受信した電波の電力強度を第2電力強度として測定してもよい。この場合において、基地局受信部12が測定結果を受信したとき、基地局送信部11は、第1電力強度に対応するコンポーネントキャリアを第2電力強度に対応する任意のセルに対応するコンポーネントキャリアに切り替える切替指示情報を送信する。このようにすることで、第1基地局1は、適切なタイミングでSCG Modificationを携帯端末3に指示し、第2基地局2の複数のコンポーネントキャリアに対応するセル接続を安定化させることができる。
【0043】
[第1の実施形態における効果]
以上のとおり、携帯通信システムSでは、携帯端末3は、指示情報に基づいて、第2基地局2と通信中の第1コンポーネントキャリアにおいて受信した電波の電力強度である第1電力強度、及び第2コンポーネントキャリアにおいて受信した電波の電力強度である第2電力強度を測定し、測定した第1電力強度及び第2電力強度が、指示情報が含む条件を満たす場合に、測定結果を第1基地局1に送信する。このようにすることで、携帯端末3は、第2基地局2が発する電波の電力強度の測定結果を、当該測定結果の内容に基づいて適切なタイミングで第1基地局1に送信することができる。これにより、第1基地局1は、適切なタイミングでコンポーネントキャリアの切り替えを携帯端末3に指示し、第2基地局2の複数のコンポーネントキャリアに対応するセル接続の安定化、スループットの向上、及び通信遅延の短縮につなげることができる。
【0044】
<第2の実施形態>
[第2基地局2を切り替える]
続いて、第2の実施形態について説明する。図5は、第2の実施形態の携帯通信システムSの概要を示す図である。第2の実施形態の携帯通信システムSは、第1基地局1の通信可能エリア内に位置し、第2基地局2と異なるピコ基地局としての他の基地局4をさらに備える。
【0045】
第1の実施形態では、第2基地局2の複数のコンポーネントキャリアにおいて、通信に用いているコンポーネントキャリアを切り替えた。これに対し、第2の実施形態では、図5に示すように、携帯端末3が、第2基地局2の通信可能範囲から、他の基地局4の通信可能範囲に移動した場合を想定し、通信に用いているコンポーネントキャリアを、第2基地局2のコンポーネントキャリアから他の基地局4のコンポーネントキャリアに切り替える点で第1の実施形態と異なる。切り替え先の他の基地局4のコンポーネントキャリア(他のチャネル)は、第2基地局2で使用中のコンポーネントキャリアと同じ周波数帯域のコンポーネントキャリア、及び第2基地局2で使用中のコンポーネントキャリアと異なる周波数帯域の第2基地局2で使用中のコンポーネントキャリアの少なくともいずれかである。以下、第2実施形態に係る第1基地局1及び携帯端末3がそれぞれ備える機能の詳細について、携帯通信システムSにおけるシーケンスに沿って説明する。
【0046】
[携帯通信システムSの通信シーケンス]
図6は、第2の実施形態に係る携帯通信システムSにおける通信シーケンスの一例を示す図である。
【0047】
まず、第1基地局1の基地局送信部11は、携帯端末3に対して指示情報を送信する。
続いて、端末受信部32が第1基地局1から指示情報を受信すると、測定部33は、各コンポーネントキャリアの電力強度を測定する(S10)。具体的には、測定部33は、指示情報に基づいて、pScellに対応するコンポーネントキャリア(第1コンポーネントキャリア)において受信した電波の電力強度を第1電力強度として測定する。ここで、測定部33は、pScellに対応する電波を受信できなかった場合、第1電力強度を0と測定する。
【0048】
また、測定部33は、任意のコンポーネントキャリアにおいて他の基地局4から受信した電波の電力強度を第2電力強度として測定する。ここで、他の基地局4の任意のコンポーネントキャリアには、pScellに対応するコンポーネントキャリアと同じ周波数帯域に対応するコンポーネントキャリアも含まれるものとする。また、測定部33は、第2の基地局の任意のコンポーネントキャリアにおいて受信した電波の電波強度を第2電力強度として測定してもよい。
【0049】
続いて、端末送信部34は、測定部33が測定した第1電力強度及び第2電力強度が、指示情報が含む、測定結果を第1基地局1に送信させる条件を満たしているか否かを判定する(S20)。ここでは、他の基地局4から受信した電波の電力強度が、当該条件を満たしているものとし、端末送信部34が、測定部33の測定結果を第1基地局1に送信するものとする。
【0050】
続いて、基地局送信部11は、受信した測定結果において、第1コンポーネントキャリア、すなわち、pScellを切り替える切替条件を満たしているか否かを判定する(S30)。基地局送信部11は、他の基地局4のコンポーネントキャリアに基づいて、第1コンポーネントキャリアを切り替えると判定した場合、セカンダリセルグループを、第2基地局2から他の基地局4に切り替える処理であるSCG Changeに対応する切替指示情報を携帯端末3に送信する。
【0051】
携帯端末3の端末受信部32が切替指示情報を受信すると、切替部35は、当該切替指示情報に基づいて第2基地局2のコンポーネントキャリアを用いた通信を切断する切断処理を実行する(S41)。そして、切替部35は、切替指示情報において指定されている他の基地局4のコンポーネントキャリアを用いた通信を確立させる接続処理を実行する(S42)。
【0052】
なお、上述のシーケンスでは、pScellに対応するコンポーネントキャリアの電波強度に基づいて、セカンダリセルグループを切り替える例について説明したが、これに限らない。図7は、比較元のセル(比較元のコンポーネントキャリア)と、比較対象のセル(比較対象のコンポーネントキャリア)と、切替条件を満たした際のイベントとの関係を示す図である。
【0053】
図7に示すように、比較元のセルをsScellとし、比較対象のセルを他の基地局4の任意のセルとした場合において、第1基地局1は、切替条件を満たしたとき、セカンダリセルグループを第2基地局2から他の基地局4に切り替えるようにしてもよい。また、図7に示すように、比較元のセルを第2基地局2の任意のセルとし、比較対象のセルを当該セルと異なる他の基地局4の任意のセルとした場合において、第1基地局1は、切替条件を満たしたとき、セカンダリセルグループを第2基地局2から他の基地局4に切り替えるようにしてもよい。
【0054】
[第2の実施形態における効果]
以上のとおり、携帯通信システムSでは、携帯端末3は、指示情報に基づいて、第2基地局2と通信中の所定チャネルにおいて受信した電波の電力強度である第1電力強度、及び任意のチャネルにおいて第2基地局2とは異なる他の基地局4から受信した電波の電力強度を第2電力強度として測定し、測定した第1電力強度及び第2電力強度が、指示情報が含む条件を満たす場合に、測定結果を第1基地局1に送信する。
【0055】
このようにすることで、携帯端末3は、第2基地局2の通信可能範囲から、他の基地局4の通信可能範囲に移動した場合においても測定結果を第1基地局1に送信することができる。よって、第1基地局1は、当該測定結果に基づいて、適切なタイミングでセカンダリセルグループを、第2基地局2から他の基地局4に切り替えることができる。
【0056】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。例えば、第1実施形態及び第2実施形態では、比較元のセルに対する比較対象のセルが、第2基地局2のセル又は他の基地局4のセルであることを特定できることを前提としたが、これに限らない。例えば、図8に示すように、比較対象のセルを任意のセルとし、第1基地局1において、任意のセルが第2基地局2のセル又は他の基地局4のセルのいずれであるかを判定し、セルの切り替えに係るイベントを制御するようにしてもよい。
【0057】
例えば、第1基地局1は、比較元のセルが、pScellであり、比較対象のセルが任意のセルである場合、第2基地局2のコンポーネントキャリア内でpScellを切り替えるか、セカンダリセルグループを他の基地局4に切り替えるかを制御してもよい。また、第1基地局1は、比較元のセルが、sScellであり、比較対象のセルが任意のセルである場合、第2基地局2のコンポーネントキャリア内でsScellを切り替えるか、セカンダリセルグループを他の基地局4に切り替えるかを制御してもよい。第1基地局1は、比較元のセルが、第2基地局2の任意のセルであり、比較対象のセルが任意のセルである場合、比較元のセルを比較対象のセルに切り替えるか、セカンダリセルグループを他の基地局4に切り替えるかを制御してもよい。
【0058】
また、上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。特に、装置の分散・統合の具体的な実施形態は以上に図示するものに限られず、その全部又は一部について、種々の付加等に応じて、又は、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0059】
1・・・第1基地局、11・・・基地局送信部、12・・・基地局受信部、13・・・記憶部、2・・・第2基地局、3・・・携帯端末、31・・・無線部、32・・・端末受信部、33・・・測定部、34・・・端末送信部、35・・・切替部、4・・・他の基地局、S・・・携帯通信システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8