特許第6385736号(P6385736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385736
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】角質除去補助具
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/00 20060101AFI20180827BHJP
   A41B 11/00 20060101ALI20180827BHJP
   A61F 13/06 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   A61F13/00 355Z
   A41B11/00 J
   A61F13/06 Z
   A61F13/00 355J
   A61F13/00 355P
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-135244(P2014-135244)
(22)【出願日】2014年6月30日
(65)【公開番号】特開2016-13155(P2016-13155A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2017年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】593029949
【氏名又は名称】桐灰化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 暢人
(72)【発明者】
【氏名】高塚 理之
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−034602(JP,A)
【文献】 実開平06−064628(JP,U)
【文献】 特開2012−012758(JP,A)
【文献】 特開平08−197659(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3183054(JP,U)
【文献】 特開昭60−023041(JP,A)
【文献】 特開2005−179868(JP,A)
【文献】 特開2003−159272(JP,A)
【文献】 特開2003−038550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/00 − 13/14
A41B 11/00 − 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性及び保湿性を有し、角質化した皮膚を被覆するように配置されるパッド部材と、
通気性及び前記パッド部材よりも高い伸縮性を有し、角質化した皮膚を被覆する前記パッド部材を固定するため前記パッド部材に取り付けられたバンド部材と、を備え
前記バンド部材の伸縮性は、前記バンド部材を構成しかつ幅50mm及び長さ100mmとされた布地を長さ方向に荷重を加えながら伸長させ、実質的に伸長する部分の長さが2倍になったときに加えられている荷重が5N以上20N以下であり、かつ、前記長さが2倍になった布地を1分間保持した後、荷重を取り除いた状態で1分間保持したときの回復した長さが、前記布地を伸長させた長さに対する比率で90%以上100%以下である角質除去補助具。
【請求項2】
前記パッド部材は、足の裏の後部の踵を覆うようにカップ状に形成され、
前記バンド部材は、足の甲の少なくとも一部を覆い、かつ、足先を露出させる先端側の開口部が下端部よりも上端部が足先側に位置するとともに前記パッド部材の先端部から斜め上方に延びるように、前記パッド部材に取り付けられている、請求項に記載の角質除去補助具。
【請求項3】
前記バンド部材は、メッシュ状に形成されている請求項1又は2に記載の角質除去補助具。
【請求項4】
前記パッド部材は、クロロプレンゴムの表裏の両面に合成樹脂繊維からなる布地が貼り合わされてなる請求項1〜のいずれかに記載の角質除去補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば足の踵などの角質化した皮膚(角質)の除去を容易にするための角質除去補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冬のような空気が乾燥する時期は、人の皮膚が乾燥し易く、特に足の踵や膝、腕の肘の部分の皮膚は厚く乾燥し易い。皮膚が過度に乾燥すると角質化し、これがひどくなると、角質化した部分にひび割れが生じる。その結果、痛みを誘発したり、割れ目から細菌が浸透して感染するおそれがある。このような皮膚の角質を除去する方法として、従来から、軽石などを用いて、入浴後に角質をこすり取る方法、あるいは、尿素やサリチル酸などを含むクリームを角質に塗り込んで軟化させる方法などが知られている。しかし、角質をこすり取る方法は、角質が十分に保湿されて軟化していないと、皮膚を傷つけたり、傷つけた箇所より病原菌が侵入するおそれがあり、角質の除去を容易に行うことができない。一方で、角質にクリームを塗布する方法は、皮膚がベタついたり、アレルギーを生じる問題がある。
【0003】
そこで、特許文献1に記載されているような角質除去補助具が提案されている。特許文献1に記載の角質除去補助具は、保湿性を有する繊維素材で形成されており、繊維素材で角質を覆い、角質から外部への水分の蒸散を抑えて角質を潤った状態にして軟化することで、角質の除去を容易にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−34602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した通り、特許文献1に記載の角質除去補助具は、角質の保湿効果が優れており、そのため、角質を十分に軟化させて容易に除去することが可能である。ただし、保湿効果の必要がない人体の他の部位についても上記繊維素材で覆われると、上記繊維素材は通気性が悪いために保湿効果の不要な上記人体の他の部位に蒸れが生じてしまい、角質除去補助具を長時間装着するにあたって快適性の面で課題がある。また、上記繊維素材は伸縮性に乏しいため、角質除去補助具を人体の装着部位に装着した際のフィット性に欠けるうえ、装着者の装着部位のサイズに応じて良好に変形し難いことから、装着性の面でも改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記した課題に着目してなされたもので、長時間装着した場合でも快適性に優れ、また、装着性に優れた角質除去補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、伸縮性及び保湿性を有し、角質化した皮膚を被覆するように配置されるパッド部材と、通気性及び前記パッド部材よりも高い伸縮性を有し、角質化した皮膚を被覆する前記パッド部材を固定するため前記パッド部材に取り付けられたバンド部材と、を備える角質除去補助具により達成される。
【0008】
上記構成の角質除去補助具の好ましい実施態様においては、前記バンド部材の伸縮性は、前記バンド部材を構成しかつ幅50mm及び長さ100mmとされた布地を長さ方向に荷重を加えながら伸長させ、実質的に伸長する部分の長さが2倍になったときに加えられている荷重が5N以上20N以下であり、かつ、前記長さが2倍になった布地を1分間保持した後、荷重を取り除いた状態で1分間保持したときの回復した長さが、前記布地を伸長させた長さに対する比率で90%以上100%以下であることを特徴としている。
【0009】
上記構成の角質除去補助具のさらに好ましい実施態様においては、前記パッド部材は、足の後部の踵を覆うようにカップ状に形成され、前記バンド部材は、足の甲の少なくとも一部を覆い、かつ、足先を露出させる先端側の開口部が下端部よりも上端部が足先側に位置するとともに前記パッド部材の先端部から斜め上方に延びるように、前記パッド部材に取り付けられていることを特徴としている。
【0010】
上記構成の角質除去補助具のさらに好ましい実施態様においては、前記バンド部材は、メッシュ状に形成されていることを特徴としている。
【0011】
上記構成の角質除去補助具のさらに好ましい実施態様においては、前記パッド部材は、クロロプレンゴムの表裏面に合成樹脂繊維からなる布地が貼り合わされて形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の角質除去補助具によれば、保湿性を有するパッド部材で角質を被覆することにより、パッド部材の内側は通気性を有しない密閉構造をなす。よって、皮膚からの水分(汗など)が外部に蒸散することが抑えられてパッドの内側が湿潤状態となる。よって、角質化により硬化した皮膚が適度に蒸され、ふやけて軟化する。その結果、軟化した角質を軽く拭き取るだけで容易に角質を除去できるうえ、まだ角質化していない皮膚の乾燥を防ぐことで、角質化することを防止できる。加えて、角質化した皮膚を被覆するパッド部材を固定するためのバンド部材が通気性を有していることで、バンド部材により覆われる保湿効果の不要な人体の他の部位が蒸れることを防止できる。よって、角質除去補助具の装着時の快適性を向上でき、長時間快適に装着することができる。さらに、バンド部材が高い伸縮性を有し、良好に伸び縮みするため、角質除去補助具の装着時のフィット性が向上するとともに、使用者の足の大きさや足の甲の高さなど、足のサイズの違いに順応して変形することが可能であるので、角質除去補助具の装着時の装着性も向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態の角質除去補助具の正面図である。
図2図1の角質除去補助具を人体の足の踵に装着した状態を示す模式図である。
図3】パッド部材を構成する素材の断面図である。
図4】パッド部材の底面図である。
図5】バンド部材の展開した状態の平面図である。
図6】伸縮性の測定方法を示す説明図である。
図7】本発明の他の実施形態の角質除去補助具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る角質除去補助具の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態の角質除去補助具1の外観を示し、図2は、図1の角質除去補助具1を人体の足Fの踵Hに装着した状態を示す。
【0015】
角質除去補助具1は、人体の角質化した皮膚(角質)を被覆するように配置されるパッド部材2と、パッド部材2に取り付けられたバンド部材3とを備えている。パッド部材2で角質を被覆しながらバンド部材3により角質除去補助具1を人体の所定の装着部位に巻き付けることで、パッド部材2を角質と相対する位置に固定し、パッド部材2により角質を十分に保湿して軟化することで、角質の除去を容易にするものである。
【0016】
なお、本実施形態の角質除去補助具1は、人体の足Fの後部の踵Hの角質を除去するために、足Fの踵Hに装着されるショートソックスタイプのものである。そのため、角質除去補助具1の全体形状は、使用者の足Fを挿入するための第1の開口部(上側の開口部)10と、使用者の足先を露出させるための第2の開口部(先端側の開口部)11とを有する筒状に形成されている。本実施形態の角質除去補助具1においては、足先側を先端側、踵側を後端側、足底側を下側、及び足の甲側を上側と定義する。
【0017】
パッド部材2は、伸縮性及び保湿性(非通気性)を有しており、パッド部材2で角質を被覆することで、パッド部材2の内側は通気性を有しない密閉構造をなす。そのため、角質(皮膚)からの水分(汗など)が外部へ蒸散するのが抑えられてパッド部材2の内側が湿潤状態となる。その結果、角質化により硬化した皮膚が適度に蒸されて十分に軟化するため、角質の除去が容易となる。
【0018】
このようなパッド部材2は、例えばクロロプレンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ウレタンゴム、シリコンゴムなどの保湿性及び伸縮性を有する合成ゴムを素材として用いることができる。特に、マリンスポーツなどのウエットスーツに使用されている、図3に示すような、クロロプレンゴムなどの合成ゴム20の表裏の両面に、表地21及び裏地22として例えばナイロンジャージなどの伸縮性かつ通気性を有する合成樹脂繊維からなる布地が貼り合わされた素材23は、保湿性に優れるとともに皮膚に対する触感(肌触り)が優れているため、パッド部材2の素材として好適に用いることができる。なお、パッド部材2の厚さは、装着性(使用感)の点から1mm以上3mm以下が好ましく、1.2mm以上2.2mm以下が好ましい。また、パッド部材2は、抗菌性を備えることが好ましい。抗菌性は、合成ゴム20の人体(踵H)と接する側の面を抗菌剤(例えばピリジン系抗菌剤や第四級アンモニウム塩)によりコーティングしたり、合成ゴム20中に抗菌剤を含ませることでパッド部材2に備えさせることができる。なお、チタンによるコーティング加工を行うと、パッド部材2の保温性を向上させることもできる。また、人体(踵H)と接する側の裏地22に対しても抗菌加工することが好ましい。
【0019】
本実施形態のパッド部材2は、足Fの踵Hに宛がわれるため、図1図2及び図4に示すように、踵Hの周辺部も含め踵Hを覆い包めるように頂部が丸く盛り上がったカップ状に形成されている。このパッド部材2は、略半楕円形状の2枚のシート状の素材23を、足Fの踵Hの幅方向の中心線にあたる合わせ部分24で、伸縮性を有するナイロンなどの縫製糸25を用いて縫い合わせることで形づくられる。また、パッド部材2は、上端部26が足Fの踝A付近の高さ位置まで延びており、先端部27が足裏の凹状に窪む土踏まずTの後端側の縁部付近にかかる位置まで延びるように大きさが設定されている。これにより、角質の除去つまりは保湿効果の必要な部位である足Fの踵H(周辺部を含む)のみがパッド部材2により覆われ、保湿効果の不要な足Fの踵H以外の部位についてはパッド部材2により覆われないので、保湿効果の不要な足Fの部位が蒸れることを防止できる。
【0020】
バンド部材3は、伸縮性及び通気性を有する布地34からなり、パッド部材2に伸縮性を有するナイロンなどの縫製糸30で縫い合わされている。本実施形態では、角質除去補助具1が足首に装着されるショートソックスタイプのものであることから、図5に示すように、バンド部材3は帯状をなし、その両端部33がカップ状のパッド部材2の開口周縁28に縫い合わされていて、足Fの甲Iの少なくとも一部(後側の一部)を被覆するように掛け渡されている。これにより、使用者の足Fを挿入する上側の第1の開口部10と、使用者の足先を露出させる先端側の第2の開口部11とが形成される。バンド部材3が通気性を有していることで、バンド部材3により覆われた足Fの甲Iの部分が外気と接することができる。よって、角質除去補助具1の装着時に、保湿効果の不要な足Fの甲Iの部分が蒸れることを防止できる。なお、バンド部材3における「通気性」とは、気体が通過できればよいものであり、また、透湿性を有するものであってもよい。
【0021】
また、バンド部材3は、角質除去補助具1を人体に装着する際に、引き伸ばされて伸長した状態で第1の開口部10から人体が挿入され、その後、伸長したバンド部材3の元に戻ろうとする回復力により収縮して、装着部位に巻き付けられる。このとき、バンド部材3が収縮して適度な締め付け力が装着部位に作用することにより、パッド部材2が装着部位にフィットし、パッド部材2が装着部位から移動することがないよう固定される。よって、バンド部材3は、角質除去補助具1の装着時に引き伸ばされる際に、ある程度の長さ伸長(変形)することが必要である。バンド部材3の伸長性が低すぎると、人体における装着部位の形状や太さ(サイズ)に対してバンド部材3が追随して伸長(変形)せず、角質除去補助具1を人体の装着部位に装着するのに装着し難いからである。加えて、バンド部材3は、引き伸ばされてある程度の長さまで伸長しても、元に戻ろうとする回復力が弱くてさほど収縮しないと、装着部位にバンド部材3の収縮による締め付け力がほとんど作用しないので、パッド部材2が装着部位にフィットせず、パッド部材2が装着部位から移動したり、パッド部材2が装着部位に良好に密着せずにパッド部材2の内側の装着部位との間の空間を密閉構造とできないおそれがある。そのため、バンド部材3が伸長した場合には、元に戻ろうとする回復力がバンド部材3に大きく作用してバンド部材3が収縮することが好ましく、よって、バンド部材3は大きな伸縮性が必要となり、少なくともパッド部材2よりも高い伸縮性を有している。
【0022】
この伸縮性の測定方法としては、次の方法を示すことができる。まず、バンド部材3を構成する布地を長さ100mm、幅50mmにカットした試料を垂直に配置し、図6に示すように、その上端部及び下端部から長さ方向で20mmにわたる部分を冶具4で挟んで固定する。なお、試料は、バンド部材3から採取したもの、あるいは、バンド部材3を形成する布地と同質の布地から採取したもののいずれであってもよい。そして、試料を例えばオートグラフAGS−J(島津製作所社製)などの引っ張り試験機で次第に荷重を加えながら引っ張り、これにより試料の冶具4で挟まれていない部分(実質的に引っ張られて伸長する部分)Lの長さが2倍になった時点で加えられている荷重(張力)を測定する。その結果として、測定された張力が、5N以上20N以下となる布地を使用することが好ましく、8N以上11以下となる布地を使用することがさらに好ましい。さらに、前記試料を2倍の長さとなっている状態で1分間保持させた後、力を取り除いた状態で試料を1分間保持したときの回復(収縮)した長さが、伸長させた長さに対する比率(以下、「回復率」という。)で90%以上100%以下である布地を使用することが好ましく、95%以上100%以下である布地を使用することがさらに好ましい。なお、「回復(収縮)した長さ」とは、試料が伸長した状態から力が取り除かれて回復(収縮)した状態になったときの試料の長さの変化をいい、「伸長後の部分L(試料)の長さ」から「回復後の部分L(試料)の長さ」を引いたものを指す。また、「伸長させた長さ」とは、試料を伸長させときの試料の長さの変化をいい、「伸長後の部分L(試料)の長さ」から「伸長前の部分L(試料)の長さ」を引いたものを指す。
【0023】
また、本実施形態のバンド部材3は、第2の開口部11が下端部11Bよりも上端部11Aが足先側に位置するように、先端側の側縁部31が傾斜状にカットされている。加えて、バンド部材3は、第2の開口部11(つまりはバンド部材3の先端側の側縁部31)がパッド部材2の先端部27から斜め上方に延びるように、パッド部材2に取り付けられている。これにより、第2の開口部11がパッド部材2の先端部27から斜め上方に延びるように、バンド部材3が形成され、その結果、第2の開口部11がパッド部材2の先端部27から鉛直上方に延びる場合と比べて、バンド部材3の足Fの甲Iを覆う部分32の長さ(幅)Dを大きく取ることができる。これにより、バンド部材3の強度を向上させることができる。角質除去補助具1を人体に装着する際には、バンド部材3は引き伸ばされて伸長した状態で第1の開口部10から人体が挿入され、装着部位に巻き付けられる。このように、バンド部材3は角質除去補助具1の使用の度に引き伸ばされてダメージを受け、特に足Fの甲Iを覆う部分32は繰り返しの使用(ダメージ)に伴い破れやすくなるが、バンド部材3の上記長さDを大きく取って強度を向上させることで、繰り返しの使用(ダメージ)に対する耐久性を向上させることができる。そのうえ、バンド部材3の上記長さDが短いと、バンド部材3の足Fの甲Iを覆う部分32が捲れ易くなるために、角質除去補助具1の装着時の装着性を低下させるが、バンド部材3の上記長さDを大きく取ることで、バンド部材3の足Fの甲Iを覆う部分32が容易に捲れることを防止できるので、角質除去補助具1の装着時の装着性を向上させることもできる。バンド部材3の上記長さDは、上記した点から、50mm〜60mmに設定することが好ましく、55mmに設定するのがより好ましい。
【0024】
バンド部材3の素材としては、伸縮性及び通気性に加えて、皮膚(肌)にやわらかく接する柔軟性を有するものが好ましく、天然繊維や合成繊維を使用した織物や編物を用いることができる。例えば、本実施形態では、ポリウレタン及びポリエステルを混紡した混合繊維が用いられている。また、バンド部材3としては、メッシュ状に形成されていることが好ましい。バンド部材3をメッシュ状に形成することで、バンド部材3の通気性をさらに向上させることができ、足Fの蒸れを効果的に防止することができるうえ、バンド部材3の皮膚(肌)に対する接触面積の減少により触感(肌触り)を良好なものとすることができるので、角質除去補助具1の装着時の快適性をより優れたものとすることができる。さらに、バンド部材3をメッシュ状に形成することで、バンド部材3の弾力性及び強度を向上させることもできる。なお、メッシュの透孔(メッシュ目)の形状は、円形、楕円形、矩形、菱形や六角形など種々の形状とすることができる。また、バンド部材3の目付けは、装着性(使用感)の点から100g/m〜300g/mに設定するのが好ましく、200g/m〜250g/mに設定するのがより好ましい。
【0025】
次に、上記構成の角質除去補助具1の使用方法について説明する。まず、角質除去補助具1を人体の装着部位(本実施形態では足Fの踵H)に装着する。具体的には、バンド部材3を引き伸ばし、第1の開口部10を大きく開いて第1の開口部10から足Fを挿入し、パッド部材2を足Fの踵Hに宛がって踵H及び踵Hの周辺を覆うとともに、第2の開口部11から足先を露出させる。これにより、角質除去補助具1が人体の装着部位(足Fの踵H)に装着される。
【0026】
角質除去補助具1が人体の装着部位に装着されると、パッド部材2が保湿性を有しているため、パッド部材2の内側が非通気性の密閉構造となり、踵Hからの水分の外部への蒸散が抑えられることでパッド部材2の内側を湿潤状態とすることができる。よって、就寝時など、角質除去補助具1を長時間装着することで、踵Hに形成された角質が十分に蒸され、角質化により硬化した皮膚が軟化してしっとりとした状態となる。そして、装着部位から角質除去補助具1を取り外し、軟化した角質を軽石やスポンジ、タオルなどで軽くブラッシングすることで、角質を容易に除去することができ、角質化によりガサガサしていた皮膚をツルツル(すべすべ)にすることができる。
【0027】
上記構成の角質除去補助具1によると、角質除去補助具1の装着中においては、パッド部材2が人体の装着部位にこれを被覆するようにして密着していると同時に、バンド部材3が装着部位に巻き付けられることでパッド部材2が装着部位に固定されるが、バンド部材3が通気性を有していることで、装着部位のうちバンド部材3により覆われた部分(足Fの甲I)は外気と接することができる。よって、角質除去補助具1の装着中に保湿効果の不要な部分(足Fの甲I)が蒸れることを防止でき、角質除去補助具1の装着時の快適性を向上できる。加えて、バンド部材3がメッシュ状に形成されているので、バンド部材3の通気性をさらに向上させることができ、足Fの蒸れを効果的に防止することができるうえ、バンド部材3の肌触りを良好にできるため、角質除去補助具1の装着時の快適性をより向上できる。
【0028】
また、バンド部材3が、パッド部材2の伸縮性よりも大きい良好な伸縮性を有しているので、角質除去補助具1を人体に装着する際に、バンド部材3を容易に引き伸ばすことができる。よって、角質除去補助具1を人体の装着部位に容易に装着することができるうえ、人体における装着部位のサイズに対してバンド部材3が追随して伸長するので、多少のサイズの違いに順応して装着することができる。さらに、伸長したバンド部材3には元に戻ろうとする回復力が大きく作用し、バンド部材3が収縮して適度な締め付け力が装着部位に作用するため、パッド部材2が装着部位にフィットし、パッド部材2が装着部位から移動することがないよう固定される。よって、パッド部材2が装着中に位置ずれなどすることが防止される。以上のように、上記構成の角質除去補助具1によると、角質除去補助具1の装着時の装着性を向上できる。
【0029】
また、バンド部材3は、第2の開口部11が下端部11Bよりも上端部11Aが足先側に位置するよう先端側の側縁部31が傾斜状にカットされているので、バンド部材3の足Fの甲Iを覆う部分32の長さ(幅)Dを大きく取ることができる。よって、バンド部材3の強度が向上し、角質除去補助具1が人体に繰り返し装着されても、バンド部材3が容易に破れることを防止できる。加えて、角質除去補助具1の装着時において、バンド部材3の足Fの甲Iを覆う部分32が容易に捲れることを防止できるので、角質除去補助具1の装着時の装着性をさらに向上できる。
【0030】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、角質除去補助具1が足Fの踵Hに装着されるショートソックス(足袋)タイプのものにおいて、踵Hの角質を除去するために踵Hを被覆するパッド部材2が配置されているが、踵Hに加えてあるいは踵Hに代えて、踝Aや足裏の足先側の部分などの角質を除去するため、踝Aや足裏の足先側の部分を被覆できるパッド部材2を配置するように構成してもよい。
【0031】
また、上記実施形態では、足Fの踵Hに装着されるショートソックス(足袋)タイプの角質除去補助具1について説明したが、図7に示すように、足の膝や腕の肘に装着して膝や肘に形成された角質を除去できるよう、角質除去補助具1をサポータータイプとしてもよい。この場合、パッド部材2は、上記実施形態と同様に、膝や肘を覆い包めるように頂部が丸く盛り上がったカップ状に形成される。また、バンド部材3は、上端部及び下端部に足や手を挿入するための開口部12及び露出させるための開口部13を有する円筒状に形成され、バンド部材3の膝や肘を被覆可能な位置に、パッド部材2が縫い合わせにより取り付けられる。なお、パッド部材2及びバンド部材3の素材は上記実施形態と同じであるので、ここでは詳細な説明は省略する。
【実施例】
【0032】
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0033】
まず、下記表1の通り伸縮性の異なるバンド部材(実施例1,2及び比較例1〜3)を用いた角質除去補助具について、10人の被験者に装着してもらい、これを装着した際の装着性(使用感)について1〜5の5段階評価による官能試験を行った。その結果を表2に示す。なお、評価結果は、「バンド部材による締め付けが強すぎることも弱すぎることもなく、装着性が非常に良い」と感じる場合を5点とし、「バンド部材による締め付けが強すぎる、あるいは弱すぎるため装着性が非常に悪い」と感じる場合を1点とし、10人の平均点が4.5点以上を「◎」、3.5点以上4.5点未満を「○」、2.5点以上3.5点未満を「△」、2.5点未満を「×」とした。また、使用した角質除去補助具は、図1に示すソックスタイプのものであり、実施例1,2及び比較例1のバンド部材は、ポリウレタンの芯糸とポリエステルの巻糸とからなるカバーリングヤーンで形成された伸縮性のあるメッシュ生地(いわゆるパワーネット)で作製されており、比較例2のバンド部材は、ポリウレタンのスパンボンド不織布で作製されており、比較例3のバンド部材は、クロロプレンゴムの表裏面にナイロンジャージが貼り合わされた素材、つまり、角質除去補助具全体がパッド部材と同じ素材で作製されている。また、実施例1,2及び比較例1〜3のバンド部材の伸縮性は、上記した試験(図6)により測定した結果である。
【0034】
下記の表2に示されているように、実施例1,2のバンド部材を用いた角質除去補助具を装着した場合には、比較例1〜3のバンド部材を用いた角質除去補助具を装着した場合よりも、装着性に関して高い評価を受けており、特に、実施例2(2倍に伸長させたときの張力が5N以上20N以下となる布地)からなるバンド部材を用いた場合は、かなり高い評価を受けている。以上の結果から、本実施形態の角質除去補助具は、バンド部材が良好な伸縮性を有しているので、装着時の装着性を良好にできることが分かる。
【0035】
次に、バンド部材に通気性及び良好な伸縮性を有する布地を用いた実施例1,2の角質除去補助具について、パッド部材による患部の保湿効果を測定した結果を下記表2に示す。保湿効果試験は、まず、室温20℃に設定された測定室内で被験者を10分間馴化した後、開始時のデータとして、被験者の両足の甲及び踵の水分量を皮表角層水分量測定装置「SKICON−200」(IBS社製)で測定した。次に、右足に実施例1のバンド部材を用いた角質除去補助具を装着し、左足に比較例3のバンド部材を用いた角質除去補助具を装着して、両足に靴下を履き、2時間後及び4時間後の被験者の両足の甲及び踵の水分量を測定した。同様に、右足に実施例2及び比較例1,2のバンド部材を用いた角質除去補助具を順次装着して、右足の甲及び踵の水分量を、開始時、2時間後及び4時間後に測定した。
【0036】
下記の表2に示されているように、実施例1,2のバンド部材を用いた角質除去補助具を装着した場合、従来例の角質除去補助具と同構造である比較例3のバンド部材を用いた角質除去補助具を装着した場合と比べて、足の踵の部分が含有する水分量に遜色がないことが確認される。よって、本実施形態の角質除去補助具は、患部(足の踵)に対して従来例の角質除去補助具と同程度の保湿効果を実現していることが分かる。一方で、実施例1,2のバンド部材を用いた角質除去補助具を装着した場合、患部(足の踵)とは関係のない足の甲の部分が含有する水分量が、比較例3のバンド部材を用いた角質除去補助具を装着した場合と比べてかなり低いことが確認される。よって、バンド部材が通気性を有していることから、患部(足の踵)以外の部分(足の甲)が蒸れることが防止されており、本実施形態の角質除去補助具は、従来例の角質除去補助具よりも装着時の快適性が優れていることが分かる。以上の結果から、本実施形態の角質除去補助具は、保湿効果は従来例の角質除去補助具と同程度でありながら、装着時の快適性を向上できることが分かる。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【符号の説明】
【0039】
1 角質除去補助具
2 パッド部材
3 バンド部材
11 第2の開口部
11A 上端部
11B 下端部
27 パッド部材の先端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7