(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記凹部は、前記背面真空断熱パネルに設けられた外箱側へ陥没するパネル側凹部と、前記内箱に設けられた貯蔵室側へ陥没する内箱側凹部との間に形成されている請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態について説明する。
【0010】
本実施形態に係る冷蔵庫1は、
図1および
図2に示すように、前面に開口するキャビネット2を備える。キャビネット2は、鋼板製の外箱4と合成樹脂製の内箱6との間に形成された断熱空間に断熱材を有して構成されている。キャビネット2の内部には複数の貯蔵室が設けられており、具体的には、
図1に示すように、上段から順に、冷蔵室10、野菜室12が設けられ、その下方に製氷室14と小冷凍室(図示せず)が左右に並べて設けられ、これらの下方に冷凍室16が設けられている。製氷室14内には、自動製氷装置18が設けられている。
【0011】
冷蔵室10および野菜室12は、いずれも冷蔵温度帯(例えば、1〜4℃)に冷却される貯蔵室であり、それらの間は、合成樹脂製の仕切壁20により上下に仕切られている。冷蔵室10の前面開口部には、ヒンジで枢支された回動式の断熱扉10aが設けられている。
【0012】
野菜室12の前面開口部には、引出し式の断熱扉12aが設けられている。この断熱扉12aの背面部には、貯蔵容器を構成する上下2段の収納ケース22が連結されている。
【0013】
製氷室14、小冷凍室、及び冷凍室16は、いずれも冷凍温度帯(例えば、−10〜−20℃)に冷却される貯蔵室であり、野菜室12と製氷室14および小冷凍室との間は、内部に断熱材が設けられた断熱仕切壁28により上下に仕切られている。製氷室14の前面開口部には、引出し式の断熱扉14aが設けられており、その断熱扉14aの背面部に貯氷容器30が連結されている。小冷凍室の前面開口部にも、図示はしないが、貯蔵容器が連結された引出し式の断熱扉が設けられている。冷凍室16の前面開口部にも、上下2段の貯蔵容器32が連結された引出し式の断熱扉16aが設けられている。
【0014】
キャビネット2内には、各貯蔵室を冷却する冷凍サイクル50(
図3参照)が組み込まれている。詳細は後述するが、冷凍サイクル50は、冷蔵温度帯の貯蔵室である冷蔵室10、野菜室12を冷却するための冷蔵冷却器52と、冷凍温度帯の貯蔵室である製氷室14、小冷凍室、冷凍室16を冷却するための冷凍冷却器54とを含んで構成されている。
図1に示すように、キャビネット2の外箱4の外側、この例では、キャビネット2の背面下端部には、機械室34が設けられている。この機械室34内に、冷凍サイクル50を構成する圧縮機56や凝縮器58(
図3参照)およびこれらを冷却するための冷却ファン57(不図示)などが配設されている。
【0015】
キャビネット2の冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵室10及び野菜室12)の奥部には、冷蔵冷却器室36及びダクト38が形成されている。冷蔵冷却器室36には、冷蔵冷却器52及び冷蔵ファン53が設けられており、冷蔵ファン53が、冷蔵冷却器52で冷却した冷蔵冷却器室36内の空気をダクト38へ導入する。
【0016】
ダクト38は、内箱6の背板6eとダクト部材39とで挟まれた空間に設けられており、冷蔵冷却器52で冷却された冷気が、冷蔵ファン53の回転によって冷蔵冷却器室36から導入されると、下方から上方へ向かって流れながら吹出口39aより冷蔵室10内へ吹き出すようになっている。
【0017】
ダクト38を形成するダクト部材39は、内箱6の内側に設けられる内側部材であり、例えば、合成樹脂を射出成形した概略平板状の部材である。ダクト部材39は、裏面上部に設けられた上向きのフック状をなした取付部39bが、内箱6の背板6eに固定された後述する固定具100と係合することで、内箱6の背板6eに対して前方に間隔をあけて固定されている。
【0018】
なお、ここでは、固定具100と係合して内箱6の内側に設けられる内側部材として、内箱6の背板6eでダクト38を形成するダクト部材39を例示したが、内側部材は、ダクト部材39以外にもキャビネット内部を上下に仕切る仕切板や、冷却器52,54の前面を覆うエバカバー等、内箱6に固定されその内側に設けられる部材であればよい。
【0019】
また、冷蔵冷却器室36には、冷蔵冷却器52から発生した除霜水を受ける冷蔵水受部31が設けられている。冷蔵水受部31で受けた除霜水は、冷蔵排水ホース33(
図7参照)を介して、機械室34内に設けられた蒸発皿に排水され、機械室34内で発生する熱を受けて蒸発するようになっている。
【0020】
キャビネット2の冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室14、小冷凍室、冷凍室16)の奥部には、冷凍冷却器室40及びダクト44が設けられている。冷凍冷却器室40の内部には、冷凍冷却器54及び冷凍ファン55が設けられている。冷凍冷却器室40に設けられた冷凍ファン55は、冷凍冷却器54で冷却した冷凍冷却器室40内の空気をダクト44を介して製氷室14、小冷凍室、冷凍室16に供給することで、これらの貯蔵室を冷却する。
【0021】
また、冷凍冷却器室40には、冷凍冷却器54から発生した除霜水を受ける冷凍水受部35が設けられている。冷凍水受部35で受けた除霜水は、キャビネット2の底部断熱壁を通る冷凍排水ホース37を介して、機械室34内に設けられた蒸発皿に排水され、機械室34内で発生する熱を受けて蒸発するようになっている。
【0022】
キャビネット2の外側、例えば、キャビネット2の天井壁2cの上面後部には、冷蔵庫1を制御するマイコン等を実装した制御基板46が設けられている。この制御基板46には、冷蔵ファン53、冷凍ファン55、圧縮機56、冷却ファン57及び三方弁70等のキャビネット2の内側又は外側に設けられた電気部品が、リード線90によって電気接続されており、各種センサやスイッチから入力される信号と予めメモリに記憶された制御プログラムに基づいて、冷蔵ファン53、冷凍ファン55、圧縮機56、冷却ファン57及び三方弁70の動作を制御して冷蔵庫1の動作全般を制御する。
【0023】
次に、冷凍サイクル50の構成について詳述する。冷凍サイクル50は、
図3に示すように、高温高圧のガス状の冷媒を吐出する圧縮機56の吐出側から順番に、蒸発パイプ60、凝縮器58、放熱パイプ64、防露パイプ66、ドライヤ68、および三方弁70の入口側が接続されている。
【0024】
三方弁70の一方の出口には、減圧手段としての冷蔵キャピラリチューブ72、冷蔵冷却器52、冷蔵アキュムレータ74および冷蔵サクションパイプ76が、配管により順に接続されている。三方弁70の他方の出口には、減圧手段としての冷凍キャピラリチューブ78、冷凍冷却器54、冷凍アキュムレータ80、冷凍サクションパイプ82および逆止弁84が配管により順に接続されている。そして、逆止弁84の出口側と冷蔵サクションパイプ76の出口側が一つになって圧縮機56の吸入側に接続されている。
【0025】
三方弁70は、凝縮器58で液化した冷媒を、冷蔵冷却器52と冷凍冷却器54に対して交互に供給するように流路を切り替える切替弁であり、圧縮機56から凝縮器58及び冷蔵キャピラリチューブ72を介して供給される低温の冷媒を冷蔵冷却器52に供給する冷蔵冷却運転の状態と、冷蔵冷却器52に供給せずに冷凍冷却器54に供給する冷凍冷却運転の状態とに、切り替える。
【0026】
この冷凍サイクル50では、冷媒は、圧縮機56で圧縮されて、高温高圧の気体状の冷媒に変化し、凝縮器58と放熱パイプ64と防露パイプ66で放熱しながら液体状の冷媒となる。液体状の冷媒は、三方弁70によって冷蔵キャピラリチューブ72又は冷凍キャピラリチューブ78に送られ、各キャピラリチューブ72,78で気化し易いように減圧され、その後に冷蔵冷却器52又は冷凍冷却器54で気化し、周囲から熱を奪うことにより冷気が発生する。周囲から熱を奪った冷媒は、各アキュムレータ74,80にそれぞれ流れ、各アキュムレータ74,80では気液混合体状の冷媒を気体状の冷媒と液体状の冷媒とにそれぞれ分離し、気体状の冷媒のみが各サクションパイプ76、82を経て圧縮機56へ戻り、再び圧縮され高温高圧の気体状の冷媒となる。
【0027】
次に、キャビネット2の具体的構成について、図面を参照しながら説明する。
【0028】
キャビネット2の左側壁2a、右側壁2b、天井壁2c、底壁2dおよび背壁2eは、外箱4と内箱6との間に形成された断熱空間に平板状の真空断熱パネル7a、7b、7c、7d、7eが設けられている。また、キャビネット2の断熱空間において真空断熱パネルが存在しない箇所には、発泡ウレタン等の発泡断熱材9とともに、放熱パイプ64、防露パイプ66、冷蔵キャピラリチューブ72、冷蔵サクションパイプ76、冷凍キャピラリチューブ78、及び冷凍サクションパイプ82などの冷媒パイプや、キャビネット2の内側あるいは外側に設けられた電気部品と制御基板46とを電気接続するリード線90や、冷却器52,54で生じた除霜水を機械室34へ排出する排水ホース33、37が設けられている。
【0029】
具体的には、キャビネット2の外郭を構成する鋼板製の外箱4は、左側板4a、右側板4b、天板4c、底板4dおよび背板4eを有する前面に開口した箱状をなしている。左側板4a、右側板4b、天板4cは、一枚の長尺な鋼板をほぼU字状に折曲することにより形成されている。底板4dおよび背板4eは、左側板4a、右側板4b、及び天板4cと別個に設けられた部材であり、底板4dには、機械室34を形成するための段差部4d−1が折曲形成されている。
【0030】
また、
図2に示すように、左側板4aおよび右側板4bにおいて、前端部には、内方に突出するフランジ部4a−1および4b−1が形成され、後端部には、前方に指向するフランジ部4a−2および4b−2が形成されている。更に、背板4eの左右の両端部には、左側板4aおよび右側板4bのフランジ部4a−2および4b−2に挿入係合されるフランジ部4e−1および4e−2が形成されている。なお、背板4eの左右両側部の中央部には、
図4に示すように注入孔15が設けられている。
【0031】
合成樹脂製の内箱6は、真空成形機で一体成形されたもので、外箱4の左側板4a、右側板4b、天板4c、底板4dおよび背板4eとそれぞれ対向する左側板6a、右側板6b、天板6c、底板6dおよび背板6eを有する前面に開口した箱状をなしている。
【0032】
内箱6の底板6dには、外箱4の底板4dの段差部4d−1に対応して機械室34を形成するための段差部6d−1が形成されている。
【0033】
内箱6の左側板6aおよび右側板6bの前端部には、外箱4の左側板4aおよび右側板4bのフランジ部4a−1および4b−1に挿入係合されるフランジ部6a−1および6b−1が形成されている。
【0034】
また、
図1、
図2及び
図5に示すように、内箱6の背板6eとこれに連なる他の板とがなす角部には、当該角部よりも内箱6の内方に突出する面取り部6ae、6be、6ceが形成されている。具体的には、内箱6の左側板6aと背板6eとがなす角部には、左側板6a及び背板6eを連結する面取り部6aeが上下方向に沿って設けられ、内箱6の右側板6bと背板6eとがなす角部には、右側板6b及び背板6eを連結する面取り部6beが上下方向に沿って設けられ、内箱6の天板6cと背板6eとがなす角部には、天板6c及び背板6eを連結する面取り部6ceが冷蔵庫幅方向に沿って設けられている。
【0035】
そして、内箱6の背板6eの左右の両側部には、
図2、
図4及び
図5に示すように、貯蔵室側(つまり、前方)へ陥没する内箱側凹部6e−1が上下方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0036】
内箱側凹部6e−1は、一端が面取り部6ae、6beに開口し他端が内箱6の背板6e内で終端する冷蔵庫幅方向に沿って延びる凹溝状をなしており、キャビネット2の背壁2eに設けられた背面真空断熱パネル7eとの間に、キャビネット2において左側壁2aと背壁2eを連結する角部2aeや右側壁2bと背壁2eを連結する角部2beに連通する凹部21を形成する。内箱6の背板6eと背面真空断熱パネル7eとの間に設けられた凹部21は、キャビネット2の角部2ae、2beに開口する部分における上下方向の寸法Lhが、内箱側凹部6e−1の幅方向の寸法Lwに比べて大きく設定されている。
【0037】
また、内箱6の背板6eに設けられた各内箱側凹部6e−1の先端部には、貯蔵室から凹部21へ貫通するガス抜き用の貫通孔6e−2が1又は複数個設けられている。
【0038】
このような内箱側凹部6e−1には、ダクト部材39の取付部39bと係合する固定具100が設けられている。この固定具100は、内箱6の背板6eを冷蔵室10から凹部21へ貫通して設けられており、凹部21内に位置する部分が発泡断熱材9によって内箱6の背板6eに固定される。
【0039】
冷蔵ファン53、冷凍ファン55、圧縮機56、冷却ファン57、及び三方弁70等のキャビネット2の内側あるいは外側に設けられた電気部品は、内箱6の面取り部6ae、6be、6ceの断熱空間側に沿わせて配置されたリード線90によって、キャビネット2の天井壁2cの上面後部に設けられた制御基板46に電気接続されている。
【0040】
そして、冷凍サイクル50の冷蔵キャピラリチューブ72及び冷蔵サクションパイプ76は、ロウ付けなどによって互いに熱交換可能に一体化され冷蔵パイプ体73を構成する。
【0041】
この冷蔵パイプ体73は、
図5に示すように、内箱6の内側において背板6eに沿わせて設けられた冷蔵冷却器52から背板6eの内箱側凹部6e−1に設けられた導出孔6e−3を通って断熱空間内に進入し、凹部21内を通って左右一方の面取り部、この例では、内箱6の左側板6a及び背板6eを連結する面取り部6aeの外側(断熱空間側)まで引き出される。面取り部6aeの外側に引き出された冷蔵パイプ体73は、面取り部6aeに沿って上昇した後、面取り部6ceに沿って幅方向反対側(正面から見て右側)の面取り部6beに向かって延び、更に、下方に折れ曲がり面取り部6beに沿って下降し、外箱4の底板4dの段差部4d−1を貫通して機械室34へ進入する。
【0042】
そして、機械室34に進入した冷蔵パイプ体73は、冷蔵キャピラリチューブ72が三方弁70の一方の出口に接続され、冷蔵サクションパイプ76が圧縮機56の吸入側に接続される。
【0043】
なお、
図5は、内箱6を背面から見ているため、冷蔵パイプ体73の左右方向の向きが逆転している。また、
図5では、内箱6の面取り部6ae、6be、6ceに沿わせて設けた複数のリード線90を省略している。
【0044】
また、冷凍サイクル50の冷凍キャピラリチューブ78及び冷凍サクションパイプ82も、冷蔵キャピラリチューブ72及び冷蔵サクションパイプ76と同様、ロウ付けなどによって互いに熱交換可能に一体化され冷凍パイプ体79を構成する。
【0045】
この冷凍パイプ体79は、
図5に示すように、冷凍冷却器54から背板6eの内箱側凹部6e−1に設けられた導出孔6e−3を通って断熱空間内に進入し、凹部21内を通って上記した冷蔵パイプ体73が引き出された左右一方の面取り部と反対側の面取り部、この例では、内箱6の右側板6b及び背板6eを連結する面取り部6beの外側(断熱空間側)まで引き出される。
【0046】
面取り部6beの外側に引き出された冷凍パイプ体79は、上方に向けて折り曲げられ面取り部6beの外側に沿って上昇し、当該面取り部6beの上端部において下方に折り曲げられる。その際、当該面取り部6beの上端部では、冷凍パイプ体79が冷蔵庫幅方向外側から内側に向かって折り曲げられている。このように面取り部6beの外側に沿って設けられた冷凍パイプ体79は、外箱4の底板4dの段差部4d−1を貫通して機械室34へ進入する。機械室34に進入した冷凍パイプ体79は、冷凍キャピラリチューブ78が三方弁70の他方の出口に接続され、冷凍サクションパイプ82が逆止弁84を介して圧縮機56の吸入側に接続される。
【0047】
冷蔵水受部31に接続された冷蔵排水ホース33は、
図5に示すように、背板6eの内箱側凹部6e−1に設けられた導出孔6e−3を通って断熱空間内に進入し、凹部21内を通って冷蔵パイプ体73が引き出された左右一方の面取り部6ae(つまり、冷凍パイプ体79が引き出された左右他方の面取り部6beと反対側の面取り部6ae)の外面まで引き出される。面取り部6aeの外面に引き出された冷蔵排水ホース33は、面取り部6aeに沿って下降し、外箱4の底板4dの段差部4d−1を貫通して機械室34へ進入する。
【0048】
なお、本実施形態では、内箱6の内側から背板6eと背面真空断熱パネル7eとの間に設けられた凹部21へ冷蔵パイプ体73や冷凍パイプ体79や冷蔵排水ホース33を引き出す導出孔6e−3をガス抜き用の貫通孔6e−2と別個に内箱側凹部6e−1に設けたが、ガス抜き用の貫通孔6e−2から冷蔵パイプ体73等を引き出し、発泡断熱材9の充填時のガス抜きと冷蔵パイプ体73等の導出に貫通孔6e−2を兼用してもよい。
【0049】
放熱パイプ64および防露パイプ66は、外箱4と接触するようにキャビネット2の断熱空間内に埋設されている。この例では、放熱パイプ64は、機械室34から外箱4の段差部4d−1を貫通して断熱空間内に進入し、キャビネット2の背壁2eに設けられた背板放熱パイプ64Eと、右側壁2bに設けられた右放熱パイプ64Bと、天井壁2cに設けられた天井放熱パイプ64Cと、左側壁2aに設けられた左放熱パイプ64Aとから構成されている。
【0050】
背板放熱パイプ64E、右放熱パイプ64B、及び左放熱パイプ64Aは、
図2に示すように、真空断熱パネル7e、7b、7aの外箱4側に設けられた凹溝7e−1、7b−1、7a−1に収納され、真空断熱パネル7e,7b、7aの外側を覆う外箱4の背板4e、右側板4b、左側板4aと接触する。
【0051】
天井放熱パイプ64Cは、
図1に示すように、キャビネット2の天井壁2cに設けられた真空断熱パネル7cと外箱4の天板4cとの間に設けられ発泡断熱材9の内部に天板4cと接触するように埋設されている。
【0052】
しかして、
図1、
図2及び
図4に示すように、外箱4の左側板4a、右側板4b、背板4eの内面には、左放熱パイプ64A、右放熱パイプ64B、背板放熱パイプ64Eを凹溝7a−1、7b−1、7e−1に収納した状態で面接着テープ或いはホットメルトなどの接着剤により真空断熱パネル7a、7b、7eが接着され、外箱4の天板4cの内面には、天井放熱パイプ64Cが金属箔テープなどにより固定されている。また、内箱6の天板6cおよび底板6dの外面には、両面接着テープ或いはホットメルトなどの接着剤により真空断熱パネル7c、7dが接着されている。
【0053】
そして、外箱4の左側板4a、右側板4b及び天板4cの内側に内箱6を配置して、内箱6の左側板6aおよび右側板6bのフランジ部6a−1aおよび6b−1aを外箱4の左側板4aおよび右側板4bのフランジ部4a−1および4b−1に挿入係合させる。
【0054】
その後、内箱6と外箱4の間に形成された断熱空間において、真空断熱パネル7が存在しない箇所、例えば、キャビネット2の角部2ae、2be、2ceや、天井壁2cの外箱4側の空間や、内箱6の背板6eと背面真空断熱パネル7eとの間に設けられた凹部21等に、放熱パイプ64、防露パイプ66、冷蔵キャピラリチューブ72、冷蔵サクションパイプ76、冷凍キャピラリチューブ78及び冷凍サクションパイプ82などの冷媒パイプと、キャビネット2の内側あるいは外側に設けられた電気部品と制御基板46とを電気接続するリード線90を配設する。
【0055】
そして、外箱4の底板4dを外箱4の左側板4a及び右側板4bに取り付け、更に、外箱4の背板4eを左側板4a、右側板4b、底板4dに取り付けて背板4eに設けられた真空断熱パネル7eを内箱6の背板6eの外面に圧接させる。
【0056】
その後、
図4に示すように、外箱4および内箱6の前面開口部を下方に向けつつ内箱6内に不図示の発泡治具を嵌め込んだ状態で、外箱4の背板4eの注入孔15から発泡ウレタンからなる発泡断熱材9の原液を注入する。注入孔15から外箱4と内箱6との間に注入された発泡断熱材9の原液は、外箱4および内箱6の前面開口部のフランジ部4a−1,4b−1、6a−1、6b−1で受けられた後、発泡により膨張してキャビネット2の左側壁2aや右側壁2bや天井壁2cや底壁2dの内部を上昇して充填される。
【0057】
発泡断熱材9は、キャビネット2の左側壁2aや右側壁2bや天井壁2cや底壁2dの内部に充填された後、左側壁2aと背壁2eを連結する角部2aeと、右側壁2bと背壁2eを連結する角部2beと、天井壁2cと背壁2eを連結する角部2ceと、底壁2dと背壁2eを連結する角部2deに流れ込み、各角部2ae、2be、2ce、2deに充填される。そして、角部2ae、2beに充填された発泡断熱材9は、更に、キャビネット2の背壁2eに設けられた背面真空断熱パネル7eと内箱6の背板に設けられた内箱側凹部6e−1との間に形成された凹部21に流れ込み、発泡断熱材9が凹部21にも充填される。
【0058】
このようにして得られたキャビネット2では、左側壁2a及び右側壁2bにおいて外箱4側に固定された真空断熱パネル7a,7bが発泡断熱材9によって内箱6に接着固定され、天井壁2c及び底壁2dにおいて内箱6側に固定された真空断熱パネル7c,7dが発泡断熱材9によって外箱4に接着固定されている。
【0059】
また、キャビネット2の背壁2eでは、外箱4の背板4eに固定された背面真空断熱パネル7eと内箱6の背板6eが面接触しており、この面接触する部分に発泡断熱材が存在しないが、内箱6の背板6eと背面真空断熱パネル7eとの間に形成された凹部21に充填された発泡断熱材9により背面真空断熱パネル7eが内箱6に接着固定されている。
【0060】
以上のような本実施形態では、内箱6の背板6eと背面真空断熱パネル7eとの間に設けられたキャビネット2の角部2ae、2beに開口する凹部21を、上下方向の寸法Lhを幅寸法Lwに比べて大きく形成し、角部2ae、2beに開口する面積を大きく設けることができるため、凹部21に発泡断熱材9を確実に流入充填させることができる。そのため、発泡断熱材の発泡充填前に背面真空断熱パネル7eを内箱6の背板6eに接着しなくても凹部21に充填された発泡断熱材9によって背板6eと背面真空断熱パネル7eとを接着固定することができる。
【0061】
しかも、本実施形態では、冷蔵パイプ体73や冷凍パイプ体79などの冷媒パイプや冷蔵冷却器52の除霜水をキャビネット2の外部へ排水する排水ホース33やリード線90等を、凹部21に充填される発泡断熱材9の内部に配設することができる。そのため、例えば、凹部21を通ってキャビネット2の角部2ae、2beへ冷媒パイプや排水ホース33やリード線90等を引き出すように配設することができ、冷媒パイプや排水ホースやリード線90等をキャビネット2の断熱空間内に配設しやすくなる。
【0062】
更に、本実施形態では、内箱6の背板6eを貯蔵室から凹部21へ貫通する貫通孔6e−2が設けられており、発泡断熱材9が充填される際に凹部21内の空気を貫通孔6e−2から排出することができるため、凹部21内の空気だまりを抑え、凹部21の先端まで発泡断熱材9を充填することができる。
【0063】
なお、本実施形態では、内箱側凹部6e−1が上下方向に間隔をあけて複数設けられている場合について説明したが、例えば、
図6に例示するように、上下方向に繋がった1つの内箱側凹部6e−1を背板6eの左右の両側部にそれぞれ設け、背板6eと背面真空断熱パネル7eとの間に上下方向に繋がった凹部21を形成してもよい。
【0064】
このような上下方向に繋がった内箱側凹部6e−1を背板6eに設けることで、角部2ae、2beに開口する面積が大きくなり、より一層、凹部21に発泡断熱材9が流入充填しやすくなるとともに、凹部21に冷媒パイプや排水ホースやリード線90等を上下方向に沿って配設することができ、他の配管や配線との干渉を避けつつキャビネット2の断熱空間に配設しやすくなる。
【0065】
また、本実施形態では、内箱6の背板6eに前方へ陥没する内箱側凹部6e−1を設けることで背面真空断熱パネル7eと背板6eとの間に凹部21を形成したが、例えば、
図7(a)のように背面真空断熱パネル7eの背板6eに対向する面に外箱4側(つまり、後方)へ陥没するパネル側凹部7e−2を設け、パネル側凹部7e−2と内箱6の背板6eとの間に凹部21を形成したり、あるいは、
図7(b)のように内箱6の背板6eを前方へ陥没させて内箱側凹部6e−1を設けるとともに、背面真空断熱パネル7eの内箱側凹部6e−1に対向する位置に後方へ陥没するパネル側凹部7e−2を設け、パネル側凹部7e−2と内箱側凹部6e−1との間に凹部21を形成してもよい。
【0066】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。