(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら実施形態に係るX線診断装置を説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0009】
図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置1の構成を示している。本X線診断装置1は、高電圧発生部11、X線管131とX線可動絞り部133と線量計測部135とを支持する支持機構13、X線を検出するX線検出器15、被検体Pが載置される天板17を有する図示していない寝台、支持機構13を駆動する駆動部19、画像発生部21、図示していないインターフェース部、線量グラフ発生部23、記憶部25、入力部27、出力部(表示部)29、制御部31、表示態様設定部33を有する。
【0010】
図2および
図3は、本実施形態に係り、X線診断装置1の外観の一例を示す図である。
図2および
図3に示すX線診断装置1は、例えば、X線TVシステムである。なお、本実施形態に係るX線診断装置1は、X線TVシステムに限定されず、例えば、一般的なX線撮影システム、血管X線撮影システム、回診用X線診断装置、ポータブルX線撮影装置など、任意のX線診断装置に適用可能である。
【0011】
高電圧発生部11は、複数のX線照射各々に応じて、X線管131に供給する管電流と、X線管131に印加する管電圧とを発生する。複数のX線照射とは、例えば、複数のワンショット撮影および複数の透視撮影である。ワンショット撮影とは、被検体Pに対して1回X線を照射する撮影である。透視撮影とは、予め設定されたパルス幅および曝射時間に従って、被検体Pに対してX線を間欠的に複数回照射する撮影である。以下、透視撮影に関する撮影期間を照射期間と呼ぶ。例えば、ワンショット撮影および透視撮影は撮影の種類に対応する。なお、撮影の種類は、ワンショット撮影および透視撮影に限定されず、任意の撮影方法を含む。
【0012】
具体的には、高電圧発生部11は、制御部31による制御のもとで、X線条件に従って、ワンショット撮影および透視撮影にそれぞれ適した管電流をX線管131に供給し、ワンショット撮影および透視撮影各々にそれぞれ適した管電圧をX線管131に印加する。例えば、高電圧発生部11は、被検体Pに対する透視撮影において、複数回に亘って管電圧をX線管131に印加し、管電流をX線管131に供給する。
【0013】
X線条件とは、例えば、管電圧、管電流、管電流に曝射時間を乗算した管電流時間積などである。なお、X線条件には、X線管131におけるX線発生の焦点(以下、管球焦点と呼ぶ)とX線検出器15との間の距離(線源受像面間距離(Source Image Distance:以下、SIDと呼ぶ)、所定の基準位置におけるX線の照射範囲(以下、照射面積と呼ぶ)などを有していてもよい。所定の基準位置とは、例えば、天板17の直上15cmの位置である。X線条件は、上記X線照射に関する各種条件に対応する。
【0014】
支持機構13は、X線管131、X線可動絞り部133、線量計測部135などを、後述する直交3軸に移動可能に支持する。具体的には、支持機構13は、SIDを変更可能に、X線管131とX線可動絞り部133と線量計測部135などとを支持する。
【0015】
なお、支持機構13は、例えば、CアームとCアーム支持部とを有していてもよい。Cアームは、X線管131とX線検出器15とを、互いに向き合うように搭載する。なお、Cアームの代わりにΩアームが用いられてもよい。Cアーム支持部は、CアームのC形状に沿う方向(以下、第1方向と呼ぶ)に、Cアームをスライド可能に支持する。Cアーム支持部は、CアームとCアーム支持部とを接続する接続部を略中心として、第1方向に直交する方向(以下、第2方向と呼ぶ)に回転可能にCアームを支持する。なお、Cアーム支持部は、天板17の短軸方向と長軸方向とに平行移動可能にCアームを支持することも可能である。
【0016】
X線管131は、高電圧発生部11から供給された管電流と、高電圧発生部11により印加された管電圧とに基づいて、管球焦点においてX線を発生する。管球焦点から発生されたX線は、X線管131の前面に設けられたX線放射窓を介して、被検体Pに照射される。
【0017】
X線可動絞り部133は、X線管131におけるX線放射窓の前面に設けられる。すなわち、X線可動絞り部133は、X線管131とX線検出器15との間に設けられる。具体的には、X線可動絞り部133は、管球焦点で発生されたX線を、操作者が所望する撮影部位(X線照射部位)以外に不要な被爆をさせないために、最大口径の照射範囲(以下、最大照射範囲と呼ぶ)を、被検体Pの体表面にX線を照射する照射面積に応じて限定する。例えば、X線可動絞り部133は、入力部27により入力された照射範囲の限定指示に従って、複数の絞り羽根各々を移動させることにより、照射範囲を限定する。すなわち、X線可動絞り部133は、操作者が所望する被検体の部位(X線照射部位)にX線を照射するために、X線管131により発生されたX線を絞る。
【0018】
具体的には、X線可動絞り部133は、所定の方向に移動可能な複数の第1絞り羽根と、所定の方向に直交する方向に移動可能な複数の第2絞り羽根とを有する。第1、第2絞り羽根各々は、管球焦点で発生されたX線を遮蔽する鉛により構成される。
【0019】
なお、X線可動絞り部133は、被検体Pへの被曝線量の低減および画質の向上を目的として、X線の照射野に挿入される複数のフィルタ(以下、補償フィルタ呼ぶ)を有していてもよい。複数の補償フィルタは、それぞれ異なる厚みを有する。なお、補償フィルタ各々の厚みは、同一であって、複数の補償フィルタの間で異なる材質により構成されてもよい。補償フィルタは、管球焦点で発生されたX線の線質を厚みに応じて変更する。補償フィルタは、例えば、アルミニウム、銅などにより構成される。補償フィルタは、被検体Pに対する撮影プランに応じて、入力部27を介して操作者により選択される。複数の補償フィルタから選択された補償フィルタは、制御部31による制御のもとで、X線可動絞り部133におけるX線の照射野に挿入される。
【0020】
補償フィルタは、例えば、ハレーション(halation)防止のために、被検体Pに対する被曝を低減させるため、管球焦点で発生されたX線(以下、発生X線と呼ぶ)のうち、被検体Pに吸収されやすい低エネルギーのX線成分(軟線成分)を低減する。また、補償フィルタは、発生X線のうち、画像発生部21により発生された医用画像において、コントラストの低下の原因となる高エネルギーのX線成分を低減してもよい。
【0021】
線量計測部135は、被検体Pに対する複数のX線照射にそれぞれ対応する複数の面積線量を含む線量情報を取得する。線量計測部135は、例えば、X線管131のX線放射窓の前面に設けられた線量計の出力に基づいて、面積線量を取得する。すなわち、線量計は、X線可動絞り部133とX線検出器15との間に設けられる。線量計は、例えば、面積線量計である。線量計は、所定の期間に亘る面積線量を計測する。所定の期間とは、線量計から読み出す読み出し周期(以下、線量読み出し周期と呼ぶ)に対応する。線量計は、線量読み出し周期ごとに読み出した面積線量を、線量グラフ発生部23および記憶部25に出力する。
【0022】
線量計測部135は、被検体に対する撮影に応じて、線量情報を逐次取得する。線量情報は、線量計から出力される面積線量を有する。例えば、線量計測部135は、透視撮影において、線量読み出し周期に従って、線量計から線量情報を逐次取得する。線量計測部135は、取得した線量情報を、線量グラフ発生部23に出力する。
【0023】
X線検出器15は、X線管131から発生され、被検体Pを透過したX線を検出する。例えば、X線検出器15は、例えば、フラットパネルディテクタ(Flat Panel Detector:以下、FPDと呼ぶ)である。FPD15は、複数の半導体検出素子を有する。半導体検出素子には、直接変換形と間接変換形とがある。直接変換形とは、入射X線を直接的に電気信号に変換する形式である。間接変換形とは、入射X線を蛍光体で光に変換し、その光を電気信号に変換する形式である。
【0024】
X線の入射に伴って複数の半導体検出素子で発生された電気信号は、図示していないアナログディジタル変換器(Analog to Digital converter:以下、A/D変換器と呼ぶ)に出力される。A/D変換器は、電気信号をディジタルデータに変換する。A/D変換器は、ディジタルデータを、図示していない前処理部に出力する。なお、X線検出器15として、イメージインテンシファイア(Imageintensifier)が用いられてもよい。
【0025】
図示していない寝台は、被検体Pを載置する天板17を有する。なお、天板17には、被検体Pが載置される。また、天板17の下方側には、X線検出器15が設けられる。
【0026】
駆動部19は、制御部31の制御のもとで、支持機構13と寝台とを駆動する。具体的には、駆動部19は、制御部31からの制御信号に応じた駆動信号を支持機構13に出力して、支持機構13を第1方向にスライド、第2方向に回転させる。透視撮影時およびワンショット撮影時においては、X線管131とX線検出器15との間に、天板17に載置された被検体Pが配置される。駆動部19は、天板17に対するX線管131の位置、支持機構13の位置を、線量グラフ発生部23および記憶部25などに出力する。
【0027】
駆動部19は、制御部31の制御のもとで、天板17を駆動することにより、天板17を移動させる。具体的には、駆動部19は、制御部31からの制御信号に基づいて、天板17の長軸方向(
図1におけるX方向)または天板17の短軸方向(
図1のY方向)に、天板17をスライドさせる。また、駆動部19は、鉛直方向(
図1のZ方向)に関して、天板17を昇降する。加えて、駆動部19は、長軸方向と短軸方向とのうち少なくとも一つの方向を回転軸(
図1のX軸、Y軸)として、天板17を傾けるために天板17を回転してもよい。駆動部19は、天板17の位置を、線量グラフ発生部23に出力する。
【0028】
駆動部19は、X線管131と天板17との相対的な位置関係を、線量グラフ発生部23に出力する。X線管131と天板17との相対的な位置関係とは、例えば、天板17に対するX線管131の角度(傾き)などである。傾きは、例えば、被検体Pに対するアイソセンタ(Isocenter)を基準としたオイラー角で表される。
【0029】
図示していない前処理部は、X線検出器15から出力されたディジタルデータに対して、前処理を実行する。前処理とは、X線検出器15におけるチャンネル間の感度不均一の補正、および金属等のX線強吸収体による極端な信号の低下またはデータの脱落に関する補正等である。前処理されたディジタルデータは、画像発生部21に出力される。
【0030】
画像発生部21は、被検体の撮影位置においてX線撮影された後に前処理されたディジタルデータに基づいて、撮影画像を発生する。画像発生部21は、透視位置でX線透視された後に前処理されたディジタルデータに基づいて、透視画像を発生する。以下、撮影画像と透視画像とをまとめて投影画像と呼ぶ。画像発生部21は、発生した投影画像を、線量グラフ発生部23により発生された線量グラフと関連づけられて、出力部29および記憶部25に出力する。
【0031】
図示していないインターフェース部は、例えば、ネットワーク、図示していない外部記憶装置に関するインターフェースである。本X線診断装置1によって得られた投影画像等のデータおよび解析結果などは、インターフェース部およびネットワークを介して他の医用装置35に転送可能である。
【0032】
線量グラフ発生部23は、線量計測部135からの出力に基づいて、複数のX線照射各々の時点における面積線量と、X線照射開始からX線照射各々の終了時点までの面積線量の総量(以下、総面積線量と呼ぶ)とを示す線量グラフを発生する。線量グラフ発生部23は、X線照射開始からX線照射各々の終了時点までの面積線量を積算することにより、総面積線量を計算する。すなわち、線量グラフ発生部23は、線量情報に基づいて、X線照射に関する複数の撮影にそれぞれ対応する複数の面積線量を示す線量グラフを発生する。また、線量グラフ発生部23は、線量情報の逐次取得に応じて、線量グラフを逐次更新する。
【0033】
具体的には、線量グラフ発生部23は、面積線量とX線条件とを関連付ける。線量グラフ発生部23は、横軸を撮影回数または撮影開始時点からの経過時間(時系列)、縦軸のうち一方を面積線量として、複数のX線照射各々の面積線量を棒グラフとして示し、縦軸のうち他方を総面積線量として、X線照射開始時点からX線照射各々の終了時点までの総面積線量を折れ線グラフとして示す線量グラフを発生する。すなわち、線量グラフ発生部23は、時系列に沿って、後述する撮影方式に対応する面積線量を、撮影の時系列に沿って並べた線量グラフを発生する。
【0034】
なお、線量グラフ発生部23は、撮影方式に対応する面積線量を、撮影方式ごとに並べた線量グラフを発生してもよい。また、線量グラフ発生部23は、撮影における面積線量の増加に伴って、線量グラフにおける総面積線量を示す表示態様を、逐次更新してもよい。総面積線量を示す表示態様とは、例えば折れ線である。なお、線量グラフ発生部23は、撮影方式に対応する面積線量を、被検体に対する複数のX線照射部位ごとに識別可能な線量グラフを発生してもよい。
【0035】
線量グラフ発生部23は、X線照射開始時点からX線照射各々の終了時点までの面積線量を加算することにより総面積線量を計算する。加えて、線量グラフ発生部23は、X線条件のうち、X線撮影の種類(ワンショット撮影または透視撮影)に応じた色相で、面積線量の棒グラフを発生する。線量グラフは、同一被検体Pに対する一つの検査において、検査開始から検査終了までの期間(以下、検査期間と呼ぶ)にわたって、一つの線量グラフとして発生される。なお、線量グラフ発生部23は、総面積線量を示す折れ線グラフを、面積線量を示す棒グラフと異なる色相で発生してもよい。なお、X線撮影の種類に応じた色相および総面積線量を示す色相は、表示態様設定部33により設定される。
【0036】
なお、線量グラフ発生部23は、被検体に対して、当日中に複数の検査を実行する場合、複数の検査に亘る総面積線量を計算してもよい。加えて、線量グラフ発生部23は、このとき、複数の検査に亘る全検査期間において、面積線量及び総面積線量を、一つの線量グラフとして発生することも可能である。
【0037】
線量グラフ発生部23は、複数のX線撮影各々に関する線量レポートを発生してもよい。線量レポートは、線量グラフに対応する数値情報である。線量グラフ発生部23は、発生した線量グラフと線量レポートとを、出力部29と記憶部25とに出力する。
【0038】
線量レポートは、例えば、複数のX線撮影のうち、複数のワンショット撮影に関する総撮影および複数の透視撮影に関する総透視にそれぞれ対応する複数の線量情報を有する。総撮影に関する線量情報は、例えば、撮影時間の合計(以下、総撮影時間と呼ぶ)、撮影線量の合計(以下、総撮影線量と呼ぶ)、複数のワンショット撮影に関する面積線量の合計(以下、撮影総面積線量と呼ぶ)などである。総透視に関する線量情報とは、例えば、透視時間の合計(以下、総透視時間と呼ぶ)、透視線量の合計(以下、総透視線量と呼ぶ)、複数の透視撮影に関する面積線量の合計(以下、透視総面積線量と呼ぶ)などである。また、線量レポートは、複数のX線撮影において、検査期間に亘る総線量と総面積線量とを有してもよい。
【0039】
具体的には、線量グラフ発生部23は、支持機構13の位置と相対的な位置関係(幾何学的条件:例えば、被検体の撮影位置)と面積線量と照射面積とに基づいて、基準位置における空気カーマ(kerma)を計算する。線量グラフ発生部23は、計算された空気カーマと、X線条件、照射面積と、支持機構13の位置および相対的な位置関係(幾何学的条件)とに基づいて計算した線量(患者皮膚線量、面積線量など)を利用して、線量グラフを発生してもよい。
【0040】
なお、線量グラフ発生部23は、複数のX線照射各々における面積線量の詳細情報を、X線照射各々の開始入力に応じて発生してもよい。面積線量の詳細情報とは、例えば、撮影開始時刻、撮影の種類、管電圧、管電流、曝射時間、パルス幅、照射時間、管電流時間積、空気カーマ、X線照射部位などである。線量グラフ発生部23は、面積線量に対応する詳細情報を、出力部29および記憶部25に出力する。
【0041】
表示態様設定部33は、線量情報に含まれる撮影に対応する複数の撮影方式各々に応じて、線量グラフの表示態様を設定する。撮影方式は、例えば、X線照射に対応するX線条件と、撮影の種類と、複数のX線照射部位と、被検体の撮影位置とのうち少なくとも一つにより規定される。表示態様は、線量グラフにおける面積線量の表示において、撮影方式に応じた色相および形状である。撮影方式がワンショット撮影に関する場合、形状は、線量グラフにおいて、例えば、このワンショット撮影に関する面積線量の大きさに応じた矩形に相当する。また、撮影方式が透視撮影に関する場合、形状は、線量グラフにおいて、例えば、この透視撮影において逐次取得される面積線量の大きさに応じた矩形を延長させることに相当する。すなわち、表示態様設定部33は、撮影方式に応じて線量グラフにおける面積線量の表示態様を切り替えるような表示態様を設定する。
【0042】
記憶部25は、画像発生部21で発生された種々の投影画像、本X線診断装置1の制御プログラム、診断プロトコル、入力部27から送られてくる操作者の指示、X線条件などの各種データ群、インターフェース部とネットワークとを介して送られてくる種々のデータ、総面積線量などを記憶する。また、記憶部25は、X線管131と天板17との相対的な位置関係を記憶してもよい。
【0043】
記憶部25は、線量グラフ発生部23により発生された線量グラフ、線量情報、詳細情報、線量レポートを、関連する複数の投影画像とともに記憶する。また、記憶部25は、線量グラフ発生部23において実行される各処理に関するプログラムを記憶してもよい。また、記憶部25は、X線条件における複数のX線撮影(ワンショット撮影および透視撮影)にそれぞれ対応する複数の色相情報を記憶する。なお、記憶部25は、線量グラフ発生部23により実行される各種機能、例えば、線量グラフ及び線量レポートを発生する機能に関する線量情報発生プログラムを記憶してもよい。また、記憶部25は、線量グラフ発生処理を実行するプログラム(線量グラフ発生プログラム)を記憶してもよい。
【0044】
入力部27は、X線条件、透視・撮影位置、照射範囲、X線照射部位などを入力する。具体的には、入力部27は、操作者からの各種指示・命令・情報・選択・設定を本X線診断装置1に取り込む。透視・撮影位置とは、例えば、アイソセンタに対する角度で規定される。入力部27は、例えば、透視撮影の開始及び終了を入力するフットスイッチを有する。加えて、入力部27は、ワンショット撮影を実行するハンドスイッチを有する。また、入力部27は、線量グラフおよび線量レポートにおいて表示される表示項目を、入力することも可能である。加えて、入力部27は、線量グラフ、線量レポートにおいて、表示項目における単位を入力することも可能である。
【0045】
入力部27は、図示していないが、各種設定などを行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等を有する。入力部27は、表示画面上に表示されるカーソルの座標を検出し、検出した座標を制御部31に出力する。なお、入力部27は、表示画面を覆うように設けられたタッチパネルでもよい。この場合、入力部27は、電磁誘導式、電磁歪式、感圧式等の座標読み取り原理でタッチ指示された座標を検出し、検出した座標を制御部31に出力する。
【0046】
出力部29は、設定された表示態様を伴って、線量グラフを出力する。具体的には、出力部29は、線量グラフ、投影画像等を表示するモニタを有する。モニタは、線量グラフにおいて、撮影方式に対応する前記面積線量を、時系列に沿って、線量情報の逐次取得に応じて逐次更新して表示する。モニタは、線量グラフにおいて、撮影方式に対応する面積線量を撮影方式ごとに並べて表示する。出力部29は、所定のネットワークを介して、線量グラフを他の医用装置35へ出力する。モニタは、線量グラフにおいて、撮影方式に対応する面積線量を、被検体に対する複数のX線照射部位ごとに識別可能に表示する。モニタは、撮影における面積線量の増加に伴って、総面積線量を逐次更新して表示する。例えば、モニタは、線量グラフにおける面積線量を、設定された表示態様に従って、撮影方式に応じて切り替えて表示する。
【0047】
モニタは、画像発生部21により発生された投影画像を表示する。モニタは、線量グラフを線量レポートともに表示する。
図4は、線量グラフを、線量レポートとともに表示した一例を示す図である。
図4に示す線量グラフにおいて、横軸は撮影回数を示している。なお、線量グラフの横軸は時間であってもよい。
図4に示す線量グラフにおいて、左側の縦軸は、面積線量を示している。線量グラフにおいて、撮影回数に対応する面積線量は、縦棒(バー)により表示される。
図4において、透視撮影に関する面積線量を示すバーは、ヒストグラムのような縦棒において、右上から左下へ向かう斜線で示されている。
図4において、ワンショット撮影に関する面積線量を示すバーは、ヒストグラムのような縦棒において、左上から右下へ向かう斜線で示されている。
【0048】
図12は、線量グラフにおいて、被検体に対するX線照射部位(離散的な照射位置)ごとに、撮影方式に対する面積線量を識別可能に表示した一例を示す図である。
図12は、
図4とは異なる線量グラフである。
図12に示す線量グラフの横軸は、X線照射部位の項目を示している。
図12における縦軸は、X線照射部位各々における総面積線量を示している。また、X線照射部位各々における総面積線量は、撮影方式に応じて区別される。撮影方式に応じた区別は、例えば色相である。撮影方式に応じて区別される色相は、表示態様設定部33により設定される。
【0049】
なお、モニタは、線量グラフにおいて、撮影方式に対する面積線量を、被検体に対する複数のX線照射部位ごとと被検体の身長に対する照射位置とのうち少なくとも一方に、識別可能に表示してもよい。このとき、
図12の横軸は、被検体の身長に沿った連続的な照射位置に対応する。
【0050】
図12において、透視撮影に関する面積線量を示すバーは、右上から左下へ向かう斜線で示されている。
図12において、ワンショット撮影に関する面積線量を示すバーは、左上から右下へ向かう斜線で示されている。なお、X線照射部位の項目に対する総面積線量を示す線量グラフにおいて、X線照射が許容される線量の上限値(以下、線量上限値と呼ぶ)が、X線照射部位ごとに表示されてもよい。複数の線量上限値は、複数のX線照射部位にそれぞれ対応する。
【0051】
図12における破線(a)は、X線照射部位が頭部であるときの線量上限値である。
図12における破線(b)は、X線照射部位が頸部であるときの線量上限値である。
図12における破線(c)は、X線照射部位が胸部であるときの線量上限値である。
図12における破線(d)は、X線照射部位が腹部であるときの線量上限値である。
図12における破線(e)は、X線照射部位が下肢であるときの線量上限値である。
【0052】
図12における線量グラフは、例えば、
図4に示す線量グラフの表示状態において、入力部27を介して所定の操作が入力されると、
図4に示す線量グラフを
図12に示す線量グラフに置換して、
図12に示す線量グラフが表示される。ここで、所定の操作とは、例えば、線量グラフの切り替えボタンの操作、表示される線量グラフの選択操作などである。
【0053】
モニタに線量グラフが表示されるとき、線量グラフの縦棒は、撮影の種類に応じて色相を相違させて表示される。線量グラフにおけるバーの色相は、撮影方式(例えば撮影の種類)に応じて、表示態様設定部33により設定される。例えば、透視撮影に関する面積線量の縦棒は青色で、ワンショット撮影に関する面積線量を示す縦棒は黄色で表示される。なお、線量グラフにおける面積線量を示す縦棒の色相は、入力部27を介して適宜変更可能である。また、モニタは、入力部27を介して入力された表示項目を、線量グラフとともに表示することも可能である。加えて、モニタは、入力部27を介して入力された単位に応じて、線量グラフおよび線量レポートにおける表示項目の単位を変更して表示することも可能である。
【0054】
なお、モニタは、被検体Pに対する検査期間中において、線量グラフを線量レポートともに、常時表示してもよい。また、モニタは、入力部27を介した所定のボタン操作により、線量グラフおよび線量レポートをポップアップして表示してもよい。
【0055】
制御部31は、図示していないCPU(Central Processing Unit)とメモリを備える。制御部31は、入力部27から送られてくる操作者の指示、撮影条件・透視条件などのX線条件などの情報を、図示していなメモリに一時的に記憶する。制御部31は、メモリに記憶された操作者の指示、透視・撮影位置、X線条件などに従って、X線撮影(ワンショット撮影および透視撮影)を実行するために、本X線診断装置1における各部(例えば、高電圧発生部11、X線可動絞り133、駆動部19など)を制御する。
【0056】
制御部31は、記憶部25に記憶された線量情報発生プログラムを読み出し、メモリに展開する。制御部31は、メモリに展開した線量情報発生プログラムに従って、本X線診断装置1における各部(線量計測部135、線量グラフ発生部23、表示態様設定部33、出力部29など)を制御する。
【0057】
(線量グラフ発生機能)
線量グラフ発生機能とは、複数のX線各々において取得された面積線量に基づいて、線量グラフを発生し、表示する機能である。以下、線量グラフ発生機能に関する処理(以下、線量グラフ発生処理と呼ぶ)について説明する。
【0058】
図5は、線量グラフ発生処理の手順の一例を示すフローチャートである。
被検体Pに対してX線の撮影が開始される(ステップSa1)。X線撮影の種類(ワンショット撮影または透視撮影)が記憶部25に記憶される(ステップSa2)。面積線量が計測される(ステップSa3)。X線撮影の種類が、面積線量と関連付けられる(ステップSa4)。被検体Pに対する総面積線量が計算される(ステップSa5)。X線撮影の種類に応じた色相で面積線量と総面積線量とを示す線量グラフが発生される(ステップSa6)。
【0059】
発生された線量グラフが、モニタに表示される(ステップSa7)。被検体Pに対するX線撮影が終了しなければ、ステップSa2乃至ステップSa7の処理が繰り返される(ステップSa8)。
【0060】
(第1の変形例)
本実施形態との相違は、モニタに表示された線量グラフにおいて、入力部27を介して面積線量が選択されると、選択された面積線量に関する詳細情報を表示させることにある。
【0061】
入力部27は、モニタに表示された線量グラフにおける面積線量の指定を入力する。具体的には、入力部27は、操作者の指示に応じて、面積線量を示す縦棒上にカーソルを移動する。入力部27は、縦棒上にカーソルが移動されると、カーソルを重畳させた縦棒に関する面積線量を特定する。以下、特定された面積線量を特定面積線量と呼ぶ。
【0062】
入力部27は、面積線量を示す縦棒にカーソルが重畳された状態において、所定の操作を入力可能な状態になる。所定の操作とは、例えば、マウスによるダブルクリック、所定のボタンの押下である。所定の操作(面積線量指定指示)が入力されると、入力部27は、特定面積線量に関する詳細情報を、記憶部25から読みださせる指示(以下、詳細情報読み出し指示と呼ぶ)を制御部31に出力する。
【0063】
制御部31は、入力部27から詳細情報読み出し指示が入力されると、特定面積線量に関する詳細情報を、記憶部25から読みだす。制御部31は、読みだした詳細情報を出力部29のモニタに出力する。
【0064】
モニタは、表示された線量グラフ上にカーソルを表示する。モニタは、制御部31により読み出された詳細情報を、線量グラフとともに表示する。モニタは、入力部を介した面積線量の指定を契機として、指定された面積線量に対応するX線照射に関するX線条件と、指定された面積線量の詳細情報とを、線量グラフとともに表示する。
【0065】
図6は、特定面積線量に関する詳細情報を、線量グラフとともに表示した一例を示す図である。
図6に示すように、特定面積線量は、撮影回数が1回目の面積線量である。すなわち、
図6において、表示された詳細情報は、撮影回数が1回目の面積線量に関する詳細情報である。
図6に示す詳細情報は、撮影開始時刻、撮影の種類、面積線量、皮膚吸収線量、管電圧、管電流、曝射時間、パルス幅、照射時間を有する。
【0066】
なお、詳細情報として示される項目は、
図6示す詳細情報の項目(以下、詳細情報項目と呼ぶ)に限定されず、入力部27を介して適宜設定可能である。詳細情報項目は、
図6に示した複数の項目より少なくてもよい。また、詳細情報項目は、例えば、管電流時間積、空気カーマ、撮影部位などの項目をさらに有していてもよい。また、詳細情報項目における単位は、入力部27を介して適宜変更可能である。すなわち、詳細情報の項目および単位は、入力部27を介した操作者の指示により、任意にカスタマイズ可能である。
【0067】
(第2の変形例)
本実施形態との相違は、被検体Pに対するX線撮影の実行期間中に動的に線量グラフを更新して表示することにある。例えば、透視撮影の実行期間中に、線量グラフにおける面積線量を示すバーは、動的に延長して表示される。
【0068】
以下、説明を具体的にするために、動的に表示されるバーは、透視撮影(動画撮影)に関する面積線量であるものとする。
【0069】
入力部27は、透視撮影またはワンショット撮影を選択するボタンを有する。入力部27を介して、透視撮影を選択するボタンが操作者により押下されると、被検体Pに対するX線撮影として透視撮影が選択される。入力部27は、被検体Pに対して照射を開始するスイッチ(以下、照射スイッチと呼ぶ)を有する。入力部27は、照射スイッチの押下に応じて、X線条件に従って被検体Pに対するX線照射を実行するための指示を制御部31に出力する。
【0070】
例えば、透視撮影が選択されたとき、入力部27は、照射スイッチが押下されている期間に亘って、透視撮影を実行するための指示を制御部31に出力する。入力部27は、照射スイッチの押下の入力指示と、照射スイッチの押下の解除の指示とを、線量計測部135および線量グラフ発生部23に出力する。照射スイッチの押下の解除の指示とは、たとえば、照射スイッチから操作者の指を放すことに相当する。
【0071】
制御部31は、入力部27により選択されたX線撮影の種類とX線条件とに従って、被検体Pに対するX線撮影を実行する。例えば、X線撮影の種類として、入力部27を介して透視撮影が選択された場合、制御部31は、照射スイッチを押下している期間に亘って透視撮影を実行する。
【0072】
線量計測部135は、照射スイッチの押下の入力指示を契機として、面積線量の取得を開始する。線量計測部135は、照射スイッチの押下の解除の指示が入力されるまで、面積線量を連続的に取得する。線量計測部135は、連続的に取得した面積線量を線量グラフ発生部23に出力する。
【0073】
線量グラフ発生部23は、透視撮影において連続的に出力された面積線量に応じて、面積線量を示す縦棒(バー)を動的(リアルタイムに)に変化させた線量グラフを発生する。具体的には、線量グラフ発生部23は、例えば透視撮影において、面積線量の増加に応じて面積線量を示す縦棒を延伸して表示する。
【0074】
すなわち、線量グラフ発生部23は、線量グラフにおける面積線量を示すバーを、面積線量の逐次取得に応じて逐次更新する。線量グラフにおける面積線量を示すバーを延伸させる逐次更新は、例えば、
図5におけるフローチャートにおいて、ステップSa3とステップSa4とステップSa6とを繰り返すことにより実行される。なお、線量グラフ発生部23は、撮影における面積線量の増加に伴って、線量グラフにおける総面積線量を示す折れ線を、逐次更新してもよい。撮影の間における折れ線の更新は、例えば、折れ線の傾きの更新として表示される。総面積線量を示す折れ線の逐次更新は、例えば、
図5におけるフローチャートにおいて、ステップSa3乃至ステップSa6を繰り返すことにより実行される。最初の撮影が透視撮影である場合、折れ線の更新は、折れ線の始点の位置の移動として表示される。
【0075】
なお、線量グラフ発生部23は、照射スイッチの押下の解除の指示が入力され、再度照射スイッチの押下が入力されると、線量グラフにおいて、次の撮影回数に対応する位置に面積線量を示す縦棒を発生する。
【0076】
モニタは、リアルタイムに面積線量を更新した線量グラフを表示する。モニタは、線量グラフにおける面積線量の増加を、縦棒の伸び(形状の変化)として表示する。すなわち、モニタは、透視撮影において、線量グラフにおける面積線量を示す縦棒を縦軸方向に伸ばして表示する。これにより、透視撮影において、面積線量の増加が表示される。モニタは、照射スイッチの押下回数を、X線照射の撮影回数として表示する。
【0077】
図7は、3回のX線照射のうち1回目および3回目のX線照射が透視撮影であって、2回目のX線照射がワンショット撮影である場合において、線量グラフにおける面積線量を示すバーを動的に延伸させる一例を示す図である。
図7における(1)は、照射スイッチオンの前の線量グラフを表示した表示画面を示している。
図7の(2)は、第1撮影(透視撮影)が実行中における線量グラフの一例を示している。すなわち、照射スイッチがONされると、
図7の(2)に示すように、第1撮影(透視撮影)に関する面積線量を示すバーは、透視撮影中において、動的に延伸して表示される。このとき、総面積線量を示す折れ線の始点は、面積線量の増加に伴って、グラフの縦軸に沿って上方に移動されてもよい。
【0078】
図7の(3)は、第1撮影終了時の線量グラフを示している。すなわち、第1撮影において、照射スイッチがオフとなると、
図7の(3)に示すように、モニタは、次の撮影回数の地点に、面積線量を示す縦棒を表示させるように待機状態となる。総面積線量を示す折れ線の始点が面積線量の増加に伴って移動されない場合、始点は、透視撮影の終了とともに線量グラフ上に表示される。
【0079】
図7の(4)は、照射スイッチがオンされ、第2撮影(ワンショット撮影)が終了した時点における線量グラフを示している。すなわち、ワンショット撮影である第2撮影が実行されると、
図7の(4)に示すように第2撮影における面積線量が追加して表示される。
【0080】
図7の(5)は、第2撮影の終了後において照射スイッチがオンされ、第3撮影(透視撮影)が実行中における線量グラフの一例を示している。すなわち、照射スイッチがONされると、
図7の(5)に示すように、第3撮影(透視撮影)に関する面積線量は、透視撮影中において、動的に増加して表示される。このとき、第2撮影と第3撮影との間における総面積線量を示す折れ線の傾きは、第3撮影における面積線量の増加に伴って、増加させて線量グラフ上に表示されてもよい。
【0081】
図7の(6)は、第3撮影終了時における線量グラフを示している。
図7の(2)乃至(6)に示すように、被検体Pに対するX線撮影の終了ごとに、総面積線量が折れ線グラフとして表示される。
【0082】
(第3の変形例)
本実施形態との相違は、総面積線量に対して予め設定された所定の閾値を、線量グラフに重畳させて表示し、総面積線量が所定の閾値を超過したとき、所定の閾値の超過に最後に寄与した面積線量を所定の色相に変更して表示することにある。
【0083】
記憶部25は、総面積線量の所定の閾値を記憶する。なお、所定の閾値は、入力部27を介した操作者の指示により、適宜変更可能である。所定の閾値とは、例えば、被検体Pに対して予め設定された総面積線量においてX線照射量の最大許容値に対応する。記憶部25は、所定の閾値を線量グラフ発生部23に出力する。
【0084】
線量グラフ発生部23は、記憶部25から読み出された所定の閾値を線量グラフに重畳させて表示する。線量グラフ発生部23は、所定の閾値を特定の色相と対応付けてもよい。特定の色相とは、操作者にとって容易に識別できる色相である。特定の色相は、例えば、赤色である。
【0085】
表示態様設定部33は、所定の閾値の表示に対応する特定の色相を設定する。表示態様設定部33は、総面積線量が所定の閾値を超えたとき、線量グラフにおいて、閾値の超過に寄与した撮影方式に対応する面積線量を示すバーの色相を、所定の色相に変更するように設定する。
【0086】
モニタは、線量グラフに所定の閾値を重畳させて表示する。モニタは、総面積線量が所定の閾値を超過したとき、所定の閾値の超過に最後に寄与した面積線量を所定の色相に変更して表示する。所定の色相とは、操作者にとって容易に識別できる色相である。特定の色相は、例えば、オレンジ色である。なお、モニタは、総面積線量が所定の閾値を超過したとき、所定の警告を表示してもよい。なお、出力部29は、総面積線量が所定の閾値を超過したとき、所定の通知(警告音など)を出力してもよい。
【0087】
モニタは、所定の閾値に対する総面積線量の割合に応じて、
図4の線量グラフにおける面積線量の表示態様を変更して表示してもよい。具体的には、モニタは、上記割合に応じて、線量グラフにおいて逐次更新される面積線量を示すバーの色相を、変更して表示する。なお、モニタは、割合を線量グラフ上に重畳して表示してもよい。また、モニタは、1から上記割合を差分した差分値を、X線照射が許容される線量に基づいた残量(以下、照射可能残量と呼ぶ)の割合として表示してもよい。また、モニタは、線量上限値に対するX線照射部位ごとの総面積線量の割合に応じて、
図12の線量グラフにおけるX線照射部位各々の総面積線量の表示態様を変更して表示してもよい。加えて、モニタは、線量上限値に対するX線照射部位ごとの総面積線量の割合を表示してもよい。
【0088】
所定の閾値に対する総面積線量の割合および線量上限値に対するX線照射部位ごとの総面積線量の割合は、例えば、線量グラフ発生部23、制御部31などで計算される。なお、線量グラフ発生部23は、撮影の間における折れ線の傾きに基づいて、割合を計算してもよい。
【0089】
割合に応じて変更される色相は、表示態様設定部33により設定される。表示態様設定部33は、例えば、割合が70%以上80%未満である場合、バーの色相を黄色として設定する。表示態様設定部33は、例えば、割合が80%以上90%である場合、バーの色相を橙色として設定する。表示態様設定部33は、例えば、割合が90%以上100%未満である場合、バーの色相を赤色として設定する。出力部29は、割合が所定の値をこえたとき、所定の警告を出力してもよい。所定の値とは、例えば95%である
図8は、所定の閾値を線量グラフとともに示す図である。
図8に示すように、所定の閾値は、線量グラフの横軸に平行に、所定の色相(
図8では長破線)で表示される。また、
図8に示すように、総面積線量が所定の閾値を超過したとき、所定の閾値の超過に最後に寄与した面積線量を所定の色相(
図8における斜めの格子状のハッチング)で表示される。
【0090】
(第4の変形例)
本実施形態との相違は、線量グラフを所定の記憶形式で記憶することにある。
記憶部25は、発生した線量グラフを所定の記憶形式で、線量グラフに関連する複数の投影画像および線量グラフにおける面積線量の動的な変化に関する情報とともに記憶する。所定の記憶形式とは、例えば、DICOM(Digital Imaging and COmunications in Medicine)のDose SR形式である。これにより、線量グラフは、検査終了後においても、必要に応じて線量グラフを、面積線量の動的な更新とともに、他の医用画像表示装置に表示させることが可能となる。
【0091】
記憶部25は、線量グラフを、単体または関連する複数の投影画像とともに、光学メディアなどの記憶媒体に、所定の記憶形式で記憶する。記憶媒体とは、例えば、CD−R、フラッシュメモリ、HDDなどである。なお、記憶部25は、線量グラフを、単体または関連する複数の投影画像とともに、外部の医用画像保管装置などにインターフェース部およびネットワークを介して出力することも可能である。この時、記憶部25は、DICOM DIRに含める形式で、線量グラフを、記憶媒体に出力する。記憶媒体に記憶された線量グラフは、医用画像表示装置およびPCなどに、表示される。
【0092】
図9は、線量グラフをDICOM Dose SR情報等の線量管理情報として記憶媒体に記憶し、記憶媒体からDICOM Dose SR情報を読み込むことにより、医用画像表示装置に表示された線量グラフの一例を示す図である。
図9に示すように、DICOM Dose SR情報をDICOM DIRに含める形式で記憶媒体に記憶することにより、線量グラフは、PC(Personal Computer)を含む任意の医用画像表示装置に表示することができる。
【0093】
(第5の変形例)
本実施形態との相違は、複数のX線撮影各々におけるX線条件に基づいて、面積線量を計算することにより、面積線量を取得することにある。
【0094】
図10は、本変形例に係るX線診断装置1の構成を示す構成図である。
図10に示すように線量計測部135は、
図1と異なり、支持機構13に搭載されない。線量計測部135は、複数のX線撮影各々におけるX線条件に基づいて、面積線量を計算する。具体的には、線量計測部135は、X線条件における管電圧、管電流時間積、SID、照射範囲、所定の定数に基づいて、X線撮影各々における面積線量を計算する。線量計測部135は、計算した面積線量を、線量グラフ発生部23および記憶部25に出力する。
【0095】
なお、線量計測部135は、支持機構13の位置と相対的な位置関係(幾何学的条件)と面積線量と照射面積とに基づいて、基準位置における空気カーマ(kerma)を計算する。線量計測部135は、計算された空気カーマと、撮影条件、照射面積と、支持機構13の位置および相対的な位置関係(幾何学的条件)とに基づいて線量(患者皮膚線量)を計算する。
【0096】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態に係るX線診断装置1によれば、検査開始から検査終了までの検査期間に亘る線量情報をグラフ化して表示することができる。具体的には、本X線診断装置1によれば、検査期間における複数のX線照射各々に対して、面積線量および総面積線量を示す線量グラフを発生して表示することができる。面積線量は、例えば、線量グラフにおける棒グラフとして表示される。総面積線量は、線量グラフにおける折れ線グラフとして表示される。すなわち、本X線診断装置1によれば、複数のX線照射における線量情報の遷移状況を表示可能なX線診断装置を提供することができる。これにより、本X線診断装置1によれば、被検体Pに対するX線検査において、操作者は、複数のX線撮影各々に伴う被検体Pの被曝量の遷移をより簡便に把握することができる。
【0097】
また、本実施形態によれば、線量グラフとして、被検体に対するX線照射部位ごとに、撮影方式に対する面積線量を識別可能に表示することができる。これにより、操作者は、X線照射部位ごとに総面積線量を簡便に把握することができる。
【0098】
本実施形態の第1の変形例によれば、線量グラフにおいて特定面積線量に対する詳細情報を、入力部27による所定の操作に応じて表示することができる。これにより、操作者は、複数のX線照射各々に伴う被検体Pの被曝量の詳細情報をより簡便に把握することができる。これらのことから、本X線診断装置1によれば、所定の操作に応じて被検体Pに対する面積線量の詳細情報を表示することで、被検体Pへの詳細情報を操作者に示すことができる。
【0099】
本実施形態の第2の変形例によれば、被検体Pに対するX線撮影の実行期間中に動的に線量グラフを更新して表示することにある。すなわち、本X線診断装置1によれば、透視撮影の実行期間中に、線量グラフの面積線量および総面積線量を、動的(リアルタイム)に表示させることができる。このことから、本X線診断装置1によれば、検査中において、被検体Pに対する線量の遷移、X線撮影の種別を表示することで、被検体Pへの線量を操作者に示すことができる。
【0100】
本実施形態の第3の変形例によれば、総面積線量に対して予め設定された所定の閾値を、線量グラフに重畳させて表示し、総面積線量が所定の閾値を超過したとき、所定の閾値の超過に最後に寄与した面積線量を所定の色相に変更して表示することができる。加えて、本X線診断装置1によれば、所定の閾値の超過に寄与した最後の面積線量を所定の色相で表示することができる。これらのことから、本X線診断装置1によれば、操作者は、総被曝線量の規定値に対して、被検体Pに許容される曝射量の目安を、簡便に把握することができる。
【0101】
また、本実施形態によれば、最大許容値に対する総面積線量の割合に応じて、線量グラフにおいて逐次更新される面積線量を示すバーの色相を変更して表示すること、および割合を線量グラフ上に重畳して表示することができる。本実施形態によれば、1から上記割合を差分した差分値を、照射可能残量の割合として表示することもできる。また、本実施形態によれば、線量上限値に対するX線照射部位ごとの総面積線量の割合に応じて、線量グラフにおけるX線照射部位各々の総面積線量の表示態様を変更して表示すること、および線量上限値に対するX線照射部位ごとの総面積線量の割合を表示することができる。これらのことから、本実施形態によれば、現在の撮影時点において、最大許容値または線量上限値に対する総面積線量の割合、または照射可能線量を容易に把握することができる。すなわち、本実施形態によれば、被検体に対するX線撮影において、上記割合・差分値を、最大許容値・線量上限値を基準として、X線撮影に係る撮影方式および撮影時間に対するガイドの指標として表示することができる。これにより、被検体に対する被爆の安全性を向上させることができる。
【0102】
本実施形態の第4の変形例によれば、線量グラフを線量グラフにおける面積線量の動的な変化に関する情報とともに、所定の記憶形式で、任意の記憶媒体に記憶させることができる。例えば、検査終了後において、必要に応じて線量グラフを、面積線量の動的な更新とともに、任意の医用画像表示装置に表示させることができる。これにより、操作者は、本X線診断装置1に限定されず、PCを含む任意の医用画像表示装置において、線量グラフを表示することができる。
【0103】
本実施形態の第5の変形例によれば、複数のX線撮影各々におけるX線条件に基づいて、面積線量を計算することにより、面積線量を取得することができる。これにより、線量計を有しないX線診断装置においても、線量グラフを発生することができる。
【0104】
以上のことから、本X線診断装置1によれば、検査中において、被検体Pに対する線量の遷移、X線撮影の種別を表示することで、被検体Pへの線量を操作者に示すことができる。これにより、被検体Pに対する過多な被ばくを低減させることを、操作者に効果的に意識付けすることができる。
【0105】
また、本実施形態および本変形例に係る機能は、線量グラフ発生処理を実行するプログラム(線量グラフ発生プログラム)を本X線診断装置1のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することも可能である。
【0106】
また、上記実施形態の変形例として、本X線診断装置1の技術的思想を医用線量情報管理装置3で実現する場合には、一例として、
図11に示す構成要素を有する。
図11における各部は、
図1および
図10に示す同じ名称の各部と同等の機能を有する。本医用線量情報管理装置3をX線診断装置1に搭載した場合、例えば、
図10における一点鎖線で囲まれた構成要素が医用線量情報管理装置3に対応する。医用線量情報管理装置3における線量グラフ発生機能等における各処理は、上記実施形態および各変形例と同様に実行される。
【0107】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。