特許第6385752号(P6385752)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385752
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】送風装置及び空気調和装置用室外機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/54 20060101AFI20180827BHJP
   F24F 1/38 20110101ALI20180827BHJP
   F24F 1/50 20110101ALI20180827BHJP
   F04D 25/08 20060101ALI20180827BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   F04D29/54 D
   F24F1/38
   F24F1/50
   F04D25/08 303
   F04D29/66 N
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-157177(P2014-157177)
(22)【出願日】2014年7月31日
(65)【公開番号】特開2015-129504(P2015-129504A)
(43)【公開日】2015年7月16日
【審査請求日】2017年3月9日
(31)【優先権主張番号】特願2013-249308(P2013-249308)
(32)【優先日】2013年12月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】中川 優
【審査官】 田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−071768(JP,A)
【文献】 実開平06−004399(JP,U)
【文献】 特開2003−254565(JP,A)
【文献】 特開2013−119816(JP,A)
【文献】 特開平08−284895(JP,A)
【文献】 特開2004−316625(JP,A)
【文献】 特開平09−264300(JP,A)
【文献】 特開2008−089271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/54
F04D 25/08
F04D 29/66
F24F 1/38
F24F 1/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロペラファンの径方向外側に配置された横断面円形状をなすベルマウス部と、該ベルマウス部の下流端に連続して設けられたディフューザ部とを具備した送風装置であって、
前記ディフューザ部の内周面の少なくとも一部を、下流側に向かうに連れ径方向外側に向かう傾斜面とするとともに、該ディフューザ部の下流端開口形状を円形状とは異なる異形状にしてあり、
前記傾斜面とファン回転軸線とのなす角度をディフューザ角度としたとき、該ディフューザ角度が円周方向に変化するように構成してあり、
前記プロペラファンを通過する風量の多い部分においては風量の少ない部分に比べ、前記ディフューザ角度が大きく設定してあることを特徴とする送風装置。
【請求項2】
前記ディフューザ部の下流端開口形状が、楕円形状、長円形状、又は角に丸みを持たせた多角形状であることを特徴とする請求項1記載の送風装置。
【請求項3】
前記ディフューザ角度をθとしたとき、3°≦θ≦35°の範囲内で該ディフューザ角度が変化するように構成してあることを特徴とする請求項1又は2記載の送風装置。
【請求項4】
他の送風装置と隣接配置される送風装置であって、前記ディフューザ角度をθとしたとき、前記他の送風装置に隣接する部分のディフューザ角度θが、3°≦θ≦7°に設定してあることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の送風装置。
【請求項5】
複数の静翼を具備するステータ部をさらに具備し、
前記ステータ部が、前記ディフューザ部内に配置されていることを特徴とする請求項1乃至いずれか記載の送風装置。
【請求項6】
前記複数の静翼が、軸方向から見た場合に中心から放射状に配置され、かつ、外周端が前記ディフューザ部の内周面まで届くように形成されていることを特徴とする請求項記載の送風装置。
【請求項7】
前記ディフューザ部の下流端開口形状が楕円形状のものにおいて、該下流端開口形状の長軸寸法をW、短軸寸法をDとしたときに、0.75<D/W<1の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1乃至いずれか記載の送風装置。
【請求項8】
前記ディフューザ部の下流端開口における重心が、前記プロペラファンの回転軸線上に設定してあることを特徴とする請求項1乃至いずれか記載の送風装置。
【請求項9】
前記ステータ部が、各静翼の内周端が外周面に接続される概略中空円筒状のハブを有し、
前記ハブが、放射状の補強リブ構造を有することを特徴とする請求項記載の送風装置。
【請求項10】
前記ハブの下流側を覆うように設けられ、円錐面又はドーム型の曲面を有する蓋部材をさらに備えたことを特徴とする請求項記載の送風装置。
【請求項11】
前記蓋部材が、前記ハブに対して着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項10記載の送風装置。
【請求項12】
前記ベルマウス部と前記ディフューザ部とが一体成型された筒状成型体と、
少なくとも前記ステータ部が成型された固定翼成型体とを具備することを特徴とする請求項乃至11いずれか記載の送風装置。
【請求項13】
前記ファン回転軸線が鉛直に設定してあり、上方に気流を吹き出すように構成してあることを特徴とする請求項1乃至12いずれか記載の送風装置。
【請求項14】
請求項1乃至13いずれか記載の送風装置を1以上具備することを特徴とする空気調和装置用室外機。
【請求項15】
熱交換器、電装機器などの内部機器が収容されたケーシングをさらに具備し、該ケーシングの天面に戴置された前記送風装置によって、該ケーシングに設けられた空気流入口を通って筐体内部に流入した空気が、該ケーシング内を通ってその天面に設けられた空気流出口から流出するように構成されたものにおいて、
前記内部機器と前記ベルマウス部とが鉛直方向に重複しない箇所に位置する前記傾斜面のディフューザ角度が、内部機器と前記ベルマウス部とが鉛直方向に重複する箇所に位置する前記傾斜面のディフューザ角度よりも大きく設定してあることを特徴とする請求項14記載の空気調和装置用室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置の室外機及びそれらに用いられる送風装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の送風装置では、例えば特許文献1に示すように、プロペラファンの周囲に設けられた円筒形状のベルマウス部から、下流側にディフューザ部を延出させてある。
【0003】
しかしながら、この送風装置を設置する機器によっては、前記ベルマウス部の上流側に設けた吸入口の全ての領域に均等に気流が流入してくるとは限らず、領域によって吸い込み流量に分布が生じる場合がある。
【0004】
そのために送風効率を一定以上向上させることができなくなり、それでも無理やり吸い込み流量を上げるべく、プロペラファンの回転数を上げるなどすると、使用電力量が増加するうえ、騒音が発生するなどの不具合が生じる。特にディフューザ部内に静翼を設けた前記特許文献1の構成では、該静翼において発生する騒音も問題となる。
【0005】
また、近年、空気調和装置の室外機に熱交換器を複数並列に設ける多列化による高効率化が進められており、これに伴って、熱交換器に付帯する送風装置を複数、隣接配置するといったことが行われているが、このような配置にすると、互いのディフューザから吹き出された気流が衝突、干渉するなどして効率低下や騒音増加の原因となる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−119816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述したような問題に鑑みてなされたものであり、送風効率を大幅に向上させ、なおかつ騒音を抑制することが可能な送風装置及びそれを用いた空気調和装置用室外機を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係る送風装置は、プロペラファンの径方向外側に配置された横断面円形状をなすベルマウス部と、該ベルマウス部の下流端に連続して設けられたディフューザ部とを具備した送風装置であって、前記ディフューザ部の内周面の少なくとも一部を、下流側に向かうに連れ径方向外側に向かう傾斜面にするとともに、該ディフューザ部の下流端開口形状を円形状とは異なる異形状にしたことを特徴とするものである。
【0009】
このようなものであれば、ディフューザ部の流路拡大率が場所によって変わるので、例えば、場所によって吸い込み流量の偏り(分布)があるような不均一な気流に対して、各場所の流量に応じた流路拡大率を設定することにより、該ディフューザ部での損失を可及的に抑制し、圧力回復効果を最大限に発揮させることができるようになる。
【0010】
この結果、送風効率を飛躍的に高めることができるようになるだけでなく、圧力回復効果の裏返しである流速低減効果によって、送風騒音の低減をも図ることができるようになる。
製作が容易で現実的なディフューザ部の下流端開口形状としては、楕円形状、長円形状、又は角に丸みを持たせた多角形状を挙げることができる。
【0011】
前記傾斜面とファン回転軸線とのなす角度をディフューザ角度としたとき、該ディフューザ角度が円周方向に滑らかに変化するように構成したものであれば、ディフューザ部の流路面積の急激な拡大による乱流発生を可及的に抑制しつつ、圧力回復効果を得ることができるため、送風装置としての効率向上及び騒音低減効果がさらに顕著となる。
【0012】
乱流の発生を抑制する具体的な態様としては、前記ディフューザ角度をθとしたとき、3°≦θ≦35°の範囲内で該ディフューザ角度が変化するように構成してあるものを挙げることができる。
【0013】
本発明の効果をより顕著とするには、前記プロペラファンを通過する風量の多い部分においては風量の少ない部分に比べ、前記ディフューザ角度が大きく設定してあるものが望ましい。
【0014】
他の送風装置と隣接配置される送風装置において、各送風装置から吹き出す気流の衝突や干渉による損失を抑制し、高効率化及び低騒音化を促進するには、前記ディフューザ角度をθとしたとき、前記他の送風装置に隣接する部分のディフューザ角度θが、3°≦θ≦7°に設定してあるものが好適である。
【0015】
一方、プロペラファンの外周端に対して所定距離半径方向へ離間して配置されるベルマウス部と、前記ベルマウス部の下流側に設けられ、前記ベルマウス部の下流端部における流路面積の拡大率よりも大きい拡大率で上流側から下流側へ流路面積が拡大するディフューザ部と、複数の静翼を具備するステータ部と、を備え、前記ステータ部が、前記ディフューザ部内に配置されているものであれば、前記ベルマウス部の下流側にディフューザ部が形成してあるので、前記プロペラファンと前記ベルマウスとのチップクリアランスを必要最小限に保ちつつ、前記ディフューザ部での圧力回復に必要な流路面積の拡大率を確保することができる。一方、前記ディフューザ部の内部に前記ステータ部が配置されているので、従来よりもプロペラファンからの旋回流の動圧を回収できる。そして、これらの相乗効果によって本発明の送風装置であれば従来よりも大幅に送風効率を向上させることができる。
【0016】
また、前記ディフューザ部が拡大流路形状を有し、その内部に前記ステータ部が設けられているので、前記プロペラファンからの旋回流の平均流速を十分に落とした状態で前記ステータ部へと流入させ、各静翼で生じる騒音のレベルを小さくすることができる。
【0017】
さらに、前記ディフューザ部は前記ベルマウス部とは異なり、プロペラファンに対するチップクリアランスを考慮する必要が無いので、前記ベルマウス部の下流に前記ディフューザ部を設け、そのディフューザ部の内部に前記ステータ部を配置しているので、前記ディフューザ部と前記ステータ部の相乗効果により大幅に送風効率を改善することができる。さらに、上記構成であれば前記ディフューザ部を軸方向から見た場合の形状を楕円形状にし、前記ステータ部の各静翼の少なくとも一部のスパン方向長さや形状を異ならせることができ、各静翼で発生する騒音が特定の周波数でピークを持ち、重なり合うことで騒音レベルが大きくなってしまうことを防ぎ、全体としての騒音レベルを低減することができる。
【0018】
より具体的には、軸方向から見た場合に前記ディフューザ部の下流端部が楕円形状に形成されており、前記複数の静翼が、軸方向から見た場合に中心から放射状に配置され、かつ、外周端が前記ディフューザ部の内周面まで届くように形成されていればよい。このようなものであれば、ディフューザ部における圧力回復に適した形状としつつ、前記ステータ部を構成する各静翼のスパン方向長さや形状をできる限り同一にならないようにできるので、BPF(Blade Passing Frequency)騒音のピークを抑えられる。
【0019】
前記ディフューザ部での逆圧力勾配による流体の剥離を抑制し、当該ディフューザ部による静圧上昇効果を得やすくするための具体的な形状としては、縦断面で見た場合において、前記ディフューザ部の下流端から軸方向に延びる仮想直線に対して、前記ディフューザ部の上流側端部のなす角度である拡がり角α(前記ディフューザ角度θは、ディフューザ部のどの部分でもよい一方、拡がり角αは、ディフューザ部の上流側端部での角度であり、θとαとは合致する場合がある。)は、3°≦α≦35°であることが好ましいが、静翼がある場合は0°<α<18°の範囲に設定してもよい。より好ましくは前記拡がり角αを9°に設定すればよい。
【0020】
前記ディフューザ部の長軸方向と短軸方向で拡がり角が大きく異なることにより当該ディフューザ部の内周面において曲率が大きく変化することを抑制し、当該ディフューザ部での流れを整流しやすくして静圧上昇効果を高めるには、軸方向から見た場合における前記ディフューザ部の下流端での楕円形状の長軸の長さ寸法をW、短軸の長さ寸法をDとしたときに、0.75<D/W<1の範囲に設定されていればよい。
【0021】
前記プロペラファンからの旋回流に対して均一に動圧を回収し、送風効率を高められるようにするには、軸方向から見た場合における前記ディフューザ部の下流端での円形状もしくは多角形形状の中心点、又は、楕円形状の長軸と短軸の交点が前記プロペラファンの回転軸線上にあるように構成されていればよい。
【0022】
各静翼の厚みを抑えて材料コストを低減できるよう、各静翼にかかる重量を小さくして必要な強度を小さくするには、前記ステータ部が、各静翼の内周端が外周面に接続される概略中空円筒状のハブを有し、前記ハブが、放射状の補強リブ構造を有するものであればよい。
【0023】
例えば雪が前記ベルマウス部内のプロペラファンの中心部に積ってしまい、プロペラファンの回転バランスが崩れて、前記ベルマウス部の内周面と接触して破損するといった事態を防ぐには、前記ハブの下流側を覆うように設けられ、円錐面叉はドーム型の曲面を有する蓋部材をさらに備えたものであればよい。このようなものであれば、前記蓋部材は曲面を有しているので、前記ハブ上にも雪が積もりにくく前記ステータ部の角静翼が積雪の重みで破損することも防ぐことができる。
【0024】
積雪がほとんどない地域においては前記蓋部材を省略し、製造コストを低減できるようにするには、前記蓋部材が、前記ハブに対して着脱可能に設けられたものであればよい。
【0025】
横断面形状が下流側で楕円形状の前記ディフューザ部を成型しつつ、前記ディフューザ部内に前記ステータ部を配置するという、送風効率を向上させるための複雑形状であっても樹脂射出成型によって効率よく成型できるようにするには、前記ベルマウス部と前記ディフューザ部が一体となって成型された筒状成型体と、少なくとも前記ステータ部が成型された固定翼成型体と、から構成されていればよい。
【0026】
本発明の送風装置を用いた空気調和装置の室外機であれば、多数列化された熱交換器に適合するように送風効率を大幅に向上させつつ、流体騒音も低減する事が可能である。
【発明の効果】
【0027】
上述したように、本発明の送風装置によれば、送風効率を飛躍的に高めることができるだけでなく、送風騒音の低減をも図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1実施形態に係る送風装置及び空気調和装置用室外機を示す前方から視た内部模式図及び平面方向から視た内部模式図。
図2】同実施形態に係る送風装置及び空気調和装置用室外機を示す側方から視た内部模式図及び平面方向から視た内部模式図。
図3】同実施形態に係る送風装置を示す模式的平面図及び模式的正面図。
図4】同実施形態に係る送風装置の変形例を示す模式的平面図。
図5】同実施形態に係る送風装置の変形例を示す模式的正面図。
図6】本発明の第2実施形態に係る送風装置を示す模式図。
図7】同実施形態における送風装置の模式的上面図。
図8】同実施形態におけるファンガードを外した状態の模式的上面図。
図9】同実施形態における送風装置の模式的分解図。
図10】同実施形態におけるステータ部の外周端近傍の模式的拡大斜視図。
図11】同実施形態おける拡がり角と静圧上昇効果との関係を示す模式的グラフ。
図12】同実施形態において発生する騒音のスペクトル分布。
図13】本発明のその他の実施形態に係る送風装置を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
本実施形態に係る送風装置7は、空気調和装置用室外機600(以下、単に室外機600ともいう。)に用いられる軸流ファンの一種である。
【0030】
この室外機600は、図1図2に示すように、底板(図示しない)、側周板52および天板51からなる概略直方体形状の上下方向に延びるケーシング5と、該ケーシング5の側面及び背面に多数列化されて配置された熱交換器6と、ケーシング5の上面に隣接して配置された複数(ここでは2つ)の前記送風装置500とを具備し、これら送風装置100により形成された旋回流によって前記ケーシング5の側面から内部へ空気を流入させ、前記熱交換器6に該空気を触れさせた後、上方へ排気するいわゆる縦置きタイプのものである。なお、このケーシング5には、熱交換器6の他、図示しない種々の電装機器等が収容されている。
次に、前記送風装置7について具体的に説明する。
【0031】
この送風装置7は、図3等に示すように、プロペラファン71及びこれを回転駆動するモータ72と、該プロペラファン71の周囲に配置された筒状をなす筒状成型体73とを具備したものである。
【0032】
筒状成型体73は、プロペラファン71の回転軸線C方向から視て外縁輪郭形状が矩形状(正方形状も含む。)をなすとともに、該回転軸線C方向に貫通孔を設けてなる一体成型品であり、この貫通孔の内周面にベルマウス部8及びディフューザ部9が形成してある。そして、この筒状成型体73が、ここではケーシング5内の上部に配置してある。
【0033】
ベルマウス部8は、前記筒状成型体73の内周面のうち、プロペラファン71の外周端のさらに外周にわずかな隙間を有して設けられた真円筒状をなすベルマウスダクト81と、該ベルマウスダクト81の上流側に連設した喇叭状をなす開口部(ベルマウス)82とからなるものである。
【0034】
ディフューザ部9は、前記筒状成型体73の内周面のうち、ベルマウス部8の下流端から上流側に連続する内周面に形成されたもので、ここでは、該内周面の全面を、下流側に向かうに連れ径方向外側に向かうように傾斜させた傾斜面91としてある。
【0035】
そして、この傾斜面91と前記回転軸線Cとのなす角度をディフューザ角度θとしたとき、該ディフューザ角度θが円周方向に滑らかに変化するように構成することによって、該ディフューザ部9における下流端開口9aの形状を真円形状とは異なる例えば楕円形状とし、回転軸線C方向から見て、ベルマウスダクト81の出口からはみ出した前記下流端開口9aの幅寸法が、場所によって変わるように構成してある。
【0036】
したがって、その幅寸法が最小となる、すなわち前記ディフューザ角度θが最小となるのは、回転軸線C方向から視て、楕円形状をなす下流端開口9aの短軸C1上にある傾斜面91である。ここでは、そのディフューザ角度θを3°に設定してある。また、この実施形態では、前記短軸C1方向を筒状成型体73の矩形状外縁輪郭における短手方向に合致させるとともに、この短軸C1方向に沿って複数(2つ)の送風装置7を並べ設け、言い換えれば、筒状成型体73の長手方向側面同士が隣り合うように配置してある。
【0037】
一方、前記ディフューザ角度θが最大となるのは、回転軸線C方向から視て、前記下流端開口9aの長軸C2上にある傾斜面91である。ここではそのディフューザ角度θを35°に設定してある。
【0038】
なお、ベルマウスダクト81の下流端の内径寸法をDb、ディフューザ部9における回転軸線C方向に沿った高さ寸法をL、筒状成型体の外縁寸法(回転軸線方向から視た縦寸法又は横寸法)Sとして、下記式(1)が成り立つように設定してある。
S/2=C(L×tan(θ)+Db/2)・・・(1)
Cは係数であり、1.03≦C≦1.5より好ましくは1.06≦C≦1.12である。
【0039】
この式(1)によって、筒状成型体73の強度担保、設置スペースの最大限の活用、隣接する送風装置7への影響の可及的な低減化、プロペラファン径の最大化による騒音低下等を図ることができる。
一方、図1図2の拡大図、図3に示すように、筒状成型体73の上端面(ディフューザ部側の端面)には、前記ケーシング5の天板51(以下、トップパネル51ともいう。)が略接するように配設されている。このトップパネル51は、ディフューザ部9の出口開口と略合致する開口を有した面板部511と、該面板部51の外縁から折曲垂下させた折り曲げ部512とから構成した板金部材であり、この折り曲げ部512が、ケーシング5の側周板52にビス止めしてある。
そしてこの実施形態では、図3に示すように、回転軸線C方向から視て、プロペラファン71の回転中心からトップパネル51の隅部まで仮想線を引き、その仮想線の寸法(すなわち、プロペラファン71の回転中心からトップパネル51の隅部まで寸法)をL1+L2、該仮想線上においてプロペラファン71の中心からディフューザ部9の出口外縁までの寸法をL2とするとともに、Dratio=L2/(L1+L2)としたときに、下記式(2)が成り立つように構成してある。
0.60≦Dratio≦0.95・・・(2)
【0040】
次に、このように構成した室外機600の作用及び効果について説明する。
図1図2に示すように、ケーシング5の前面には熱交換器6は配置されていない一方、前記ケーシング5の側面には、熱交換器6が配置されているため、送風装置7を作動させたとき、後面及び側面から空気が吸い込まれる。また、ケーシング5の内部に配置された電装部品などの空気抵抗もあって、この実施形態では、送風装置7の入口(ベルマウス)82において、その直下に空気抵抗となる部品類が比較的少ない前部と後部からより多くの空気が流入する。その結果、ディフューザ部9においても、前部及び後部での空気流量が最も大きくなり、両側部での空気流量が最も少なくなる。
【0041】
このように、ディフューザ部9の前部及び後部では空気流量が大きくなるが、この部分でのディフューザ角度θを、乱流等を生じさせない範囲での、できるだけ大きな角度(ここでは最大35°)に設定してあるので、乱流に起因する粘性損失等を抑制して、当該部分における圧力回復効果を最大限に発揮させることができる。
【0042】
一方、ディフューザ部9の両側部では空気流量が小さくなるところ、この部分でのディフューザ角度θを前部及び後部と等しくしたとすれば、ディフューザ角度θが大きすぎて、空気の流れが不安定になり、損失が生じる。
【0043】
これに対し、本実施形態によれば、この部分でのディフューザ角度θを小さく設定してある(最小3°)ので、前述した不安定な流れを抑制でき、この部分においても、やはりディフューザ部9による圧力回復効果を最大限に発揮させることができる。
【0044】
すなわち、本実施形態のディフューザ部9によれば、吸い込み流量に分布が生じるような不均一な気流に対して、損失を可及的に抑制し、圧力回復効果を最大限に発揮することができるので、送風効率を飛躍的に高めることができる。
また、圧力回復効果を最大限発揮できるということは、ディフューザ部9での流速を低減できるということにつながり、送風騒音の低減をも図ることができる。
【0045】
さらに、この実施形態では、送風装置7が連設してあり、隣り合う部分のディフューザ角度θが小さく設定してあって、ここから吹き出す気流角度が鉛直により近くなるので、双方の送風装置7からの吹き出し気流が互いに干渉したり衝突したりすることを抑制でき、より高効率で低騒音な送風が可能となる。
加えて、前述したDratioを0.9以下に設定してあるので、ディフューザ部9の出口開口とトップパネル面板部511の外縁とが最も近くなる位置での、トップパネル51の折り曲げ加工が確実に可能となり、折り曲げ部512の形成に支障が出ないようにできる。一方、Dratioを0.6以上に設定してあるので、この比率Dratioで定まるディフューザ部出口開口の変化率(ディフューザ角度θの周方向の変化率)の平準化とその変化を少なくし、流れの変化の平準化と騒音性能の向上を図ることができる。なお、かかる構成は、回転軸線C方向から視て矩形状のトップパネル51に共通して適用できる。
次に、この第1実施形態の変形例を説明する。
【0046】
まず、ディフューザ部の下流端開口の形状であるが、要するに吸い込み流量に分布に応じてディフューザ角度を変えて、真円とは異なる異形状になればよい。吸い込み流量に分布は、少なくとも前記内部機器の配置に依存するので、例えば、前記ベルマウス部とが鉛直方向に重複しない箇所に位置する前記傾斜面のディフューザ角度を、内部機器と前記ベルマウス部とが鉛直方向に重複する箇所に位置する前記傾斜面のディフューザ角度よりも大きく設定しておけばよい。具体的には、図4に示すように、ディフューザ部下流端開口9aの形状を各角に丸みをもたせた矩形状(同図(a))や長円形状(同図(b))などにして構わない。なお、例えば、下流端開口9aの形状を、角に丸みをもたせた矩形状にした場合、各角部におけるディフューザ角度θが最大となる場合が生じ得る。このようにディフューザ角度θが最大の場所で空気流量が必ずしも最大とならなくてもよい。
【0047】
前記実施形態では、乱流発生を可及的に抑える等の目的で、ディフューザ角度θを円周方向に滑らかに変化するようにしていたが、不連続に変化させても構わない。その場合は、図4(c)に示すように、不連続部分において下流端開口9aの形状に角が生じることになる。
【0048】
ディフューザ角度θを、前記実施形態では、最大35°、最小3°に設定していたが、これに限られるものではない。例えば、最大値を35°よりも小さくしてよいし、最小値を3°よりも、大きくしたり小さくしたりしてもよい。特に隣接する送風装置側のディフューザ角度θは、3°≦θ≦7°が好ましい。
【0049】
ディフューザ角度θは、回転軸線と平行な縦断面で視たときに、下流側に向かうに連れて大きくなるように、段階的乃至滑らかに変化するように構成してもよい。この場合、ディフューザ部の流路拡大率が下流側に向かうに連れ大きくなる。
【0050】
前記実施形態では、図3に示すように、回転軸線Cと垂直な方向から視たときに、プロペラファン71の下流端の高さとディフューザ部9の上流端の高さとを合致させていたが、これを変えても構わない。具体的には、図5に示すように、プロペラファン71の外周端における軸方向寸法をH、ディフューザ部9の上流端とプロペラファン71の下流端との軸方向距離をZとしたとき、ZがHの±20%の範囲にあればよい。このように設定しておけば、プロペラファンから吹き出される旋回流が、ディフューザ部9の内周面91に沿って滑らかに速度を低下させながら拡大するため、より大きな圧力回復効果を得ることができる。
【0051】
ベルマウスダクトの形状は円筒状に限られず、プロペラファンの外周端の形状が鉛直でなければ、それに合わせた、例えば部分円錐状であっても構わないし、ディフューザ部に静翼を設けてもよい。その例については第2実施形態で詳述する。
この送風装置は、室外機に限らず、種々の用途に使用可能である。例えば、換気扇の送風装置や、換気用ダクトに接続して使用される送風装置としても使用できる。
また、この送風装置は、空気に限られず、気体に適用して上記同様の効果を奏し得る。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態につき説明する。
【0052】
この実施形態での送風装置100は、樹脂射出成型により形成されるものであって、図6及び図9に示すように、概略円筒状に成型された筒状成型体1と、中央部円形領域に多数の静翼22からなるステータ部2Fが整形された概略扁平直方体形状の固定翼成型体2とを具備したものである。図6に示すように前記筒状成型体1に対して前記固定翼成型体2を組み付けることによって、前記ステータ部2Fは前記筒状成型体1の内部の所定位置に配置されるように構成してある。また、前記固定翼成型体2の下流側には、前記ステータ部2Fを覆うようにファンガードFGが設けてある。
【0053】
前記筒状成型体1は、図6及び図9に示すようにプロペラファンFNの外周端に対して所定距離半径方向へ離間して配置されるベルマウス部11と、前記ベルマウス部11の下流側に設けられ、上流側から下流側へ向かって流路が拡大するディフューザ部12とを一体成型したものである。
【0054】
前記ベルマウス部11は、図6に示すように各部分での横断面形状が真円形状をなすものであり、上流側に設けたラッパ状に開口するベルマウスと、プロペラファンFNの最上流部位と対向する部分から直径が大きくなるように設けられたベルマウスダクトとから構成してある。また、前記ベルマウス部11の内周面と前記プロペラファンFNの外周端はどの半径方向を見た場合でも一定のチップクリアランスが保たれるようにしてある。
【0055】
前記ディフューザ部12は、図6に示すように前記ベルマウス部11と接続される上流端は横断面形状が真円形状をなし、図7及び図8に示すように下流側の開口端では横断面形状が楕円形状をなすように成型してある。このディフューザ部12も上流端と下流端との間の横断面形状は、上流側から下流側に向かうにつれてその横断面積が大きくなるとともに上流端と下流端が連続的に滑らかに接続されるように成型してある。また、前記筒状成型体1について上流側から下流側へ軸方向に見た場合、前記ベルマウス部11の下流側端部における流路面積の拡大率に対して、前記ディフューザ部12の上流側端部における流路面積の拡大率の方が大きく、図6に示されるように前記ベルマウス部11に対して折れ曲がった状態で前記ディフューザ部12が接続してある。
【0056】
図7に示すようにディフューザ部12の下流端における長軸方向の長さ寸法をW、短軸方向の長さ寸法をDとした場合、本実施形態では、0.75<D/W<1となるように各長さ寸法を設定してある。このように設定することにより、長軸側のディフューザ部12の拡がり角αと、短軸側のディフューザ部12の拡がり角αの差異によるディフューザ部12の内周面における曲率の大きな変化を無くし、流体の流れを整流しやすくできる。
なお、前記ディフューザ部12の長軸及び短軸の交点であり、前記ステータ部2Fの中心は前記プロペラファンFNの回転軸線上にあるように配置してある。
【0057】
また、図9及び図10に示すように前記ディフューザ部12の下流側端部には、前記筒状成型体1に前記固定翼成型体2が組み付けられた際に前記ステータ部2Fの外周端2Eと係合する受け構造が形成してあり、組み付け後においては当該ディフューザ部12内の流路に前記ステータ部2Fが配置及び固定されるようにしてある。さらに前記ディフューザ部12の下流端には軸方向に対して垂直な平面に広がる平板状台座部13が形成してあり、前記固定翼成型体2に形成された後述する取付平板部25と係合するように構成してある。
【0058】
前記受け構造は、図9及び図10に示すように前記ステータ部2Fの後述する接続部23の形状と略同じ形状の凹部1Bを円周方向に複数並べて形成してある。前記凹部1Bは前記ディフューザ部12の内面を半径方向に凹ませるとともに、その底面部分が前記軸方向と平行となるようにしてある。したがって、前記凹部1Bの深さは下流側から上流側へ向かうにつれて深くなるように形成してある。
【0059】
ここで、前記ベルマウス部11と前記ディフューザ部12において上流側から下流側へ軸方向に進んだ距離に対する半径(長軸半径、短軸半径)の増加率について比較すると、前記ディフューザ部12のほうが大きく設定してある。すなわち、図6の縦断面図で見た場合、前記ベルマウス部11の下流側端部を形成する面に対して、前記ディフューザ部12の上流側端部を形成する面は、所定の角度をなして外側へと倒れているように構成してある。言い換えると、図6に示すように縦断面で見た場合に前記ベルマウス部11の下流端に対して軸方向に延びる仮想直線に対して、前記ディフューザ部12の内周面がなす角である拡がり角αは、第1実施形態とは若干異なり、0°<α<18°の範囲に設定してある。図11のシミュレーション結果に示すようにこのような角度に拡がり角αを設定することによってディフューザ部12の内側周面における逆圧力勾配による流体の剥離を抑制し、静圧上昇効果を得やすくすることができる。この角度αは、3°≦α≦35°でもよい。
【0060】
なお、前記ベルマウス部11及び前記ディフューザ部12についてその機能に注目して表現すると、前記ベルマウス部11は、プロペラファンFN近傍の流体の圧力を向上させるためのものであり、前記ディフューザ部12は、プロペラファンFNからの旋回流における圧力を上昇させるためのものである。
【0061】
図9に示す前記筒状成型体1の外側周面に注目すると、この筒状の成型体の強度を出すために軸方向に延びる縦リブ15と、円周方向に延びる横リブ14が成型してある。前記縦リブ15の突出方向は軸に対して半径方向に向けるのではなく、半面ごとにその突出方向を揃えてある。すなわち、前記筒状成型体1は、半径方向に前後2分割される金型により成型されるように構成してあり、前記縦リブ15が、半面ごとに金型の分割方向に揃えて形成してある。
次に固定翼成型体2について説明する。
【0062】
前記固定翼成型体2は、図7乃至図9に示すように中央部に成型された概略扁平円筒状のハブ21と、前記ハブ21の外側周面から外側へ放射状に配置された複数の静翼22と、各静翼22の外周端2Eから下流側へと軸方向に延びる接続部23と、各接続部23間を円周方向に接続する連結部24と、前記平板状台座部13と係合される取付平板部25とから構成してある。なお、図8においては分かりやすさのため、断面ではないが静翼22の部分にハッチングを施してある。
【0063】
前記ハブ21は、図8及び図9に示すようにそれぞれ直径の異なる3つの同軸リング状部材と、各リング状部材間を半径方向に接続する補強リブ構造を有したものである。すなわち、前記ハブ21は流体が通過できるように中空として形成するとともに、所定の強度を保てるように成型してある。また、前記ハブ21は中空に形成してあるので、前記複数の静翼22の内周端にかかる重量を低減し、前記静翼22に必要とされる強度を小さくして、その厚みをできるだけ薄く形成できるようにしてある。
【0064】
前記複数の静翼22は図8に示すように前記ステータ部2Fを構成するものであって、各静翼22の内周端2Iは前記ハブ21の外側周面に接続されており、外周端2Eが前記ディフューザ部12の内面まで届くように成型してある。ところで、前記ディフューザ部12は、前記ベルマウス部11との接続部分以外はその横断面形状が楕円形状となるように成型してあるので、楕円の1/4に注目すると各静翼22の形状及び静翼弦長はそれぞれ異なっている。したがって、各接続部23の形状についても各静翼22に対応する形状となっている。
【0065】
このように前記ステータ部2Fについて円周方向に順番に各静翼22を見た場合、スパン方向長さや形状の変化が1/4周期ごとに繰り返されるようにしてあるので、各静翼22で同じ特定の周波数で騒音が発生することを防ぐことができる。つまり、各静翼22での最もピークの高い周波数をずらしているので、全体としてのBPF騒音レベルを低減することができる。より具体的には図12のグラフに示すように本実施形態の送風装置100であれば、従来技術に比べて各周波数の騒音レベルを特に低周波側において低減できていることが分かる。
【0066】
また、図9に示すように、各静翼22はその凸面2Cが前記ベルマウス部11及びファンモータのある上流側を向くとともに、凹面である圧力面2Pは前記ディフューザ部12の下流端のある下流側を向くように設けてある。また、図8の上面図に示すように各静翼22については、軸方向から見た場合に隣接する静翼22同士の前縁2Lと後縁2Tが重ならないように所定の隙間が設けてある。
【0067】
前記接続部23は、図10(a)の拡大斜視図に示すように各静翼22の外終端から軸方向に延びる板状部分231と板状部分231の外縁において半径方向に突出した外縁リブ232とから構成してある。前記板状部分231の内周面側の形状は、前記接続部23が前記凹部1Bに係合された際に前記ディフューザ部12の内面と面一となるようにその形状を形成してある。また、前記外縁リブ232の高さは下流側から上流側へと高くなるように構成してある。
【0068】
前記連結部24は、図10(a)に示すように円周方向に延びる部分リング状のものであり、前記接続部23の上流側端部間を接続するように形成してある。すなわち、前記接続部23の上流側端部及び前記連結部24は円周方向に沿ってみた場合、それぞれが交互に現れ、全体としてリング状をなすものである。
次にこのように構成された送風装置100における前記筒状成型体1と前記固定翼成型体2との間の分割ラインLについて説明する。
【0069】
図10(a)において太線で示すように各部品の分割ラインLは、少なくとも各静翼22の外周端2Eにおいて凸面2Cを形成する凸面形成曲線L1を含むように設定してある。本実施形態では前記分割ラインLは、前記凸面形成曲線L1と、前記連結部24の下流端を形成する円周方向線L2と、前記接続部23の外縁リブ232の下流側部分であり、前記凸面形成曲線L1から前記円周方向線L2まで軸方向に延びる軸方向線L3により定義してある。言い換えると、図10(b)に示すように前記筒状成型体1と前記固定翼成型体2との間の分割ラインLは、概略鋸刃状に設定してあり、各静翼22の外周端2Eにおける凸面2Cを形成する凸面形成曲線L1を含むようにしてある。
【0070】
このように本実施形態の送風装置100は、ベルマウス部11の下流側に形成されたディフューザ部12と、このディフューザブ内において当該ベルマウス部11の内面まで静翼22形状が形成されたステータ部2Fが配置されるという複雑形状を有しているので、従来のものと比較して流体の圧力回復を大きくし、大幅な送風効率の改善を実現することができる。
【0071】
また、前記ベルマウス部11の下流側に前記ディフューザ部12を設け、そのディフューザ部12の下流端部を楕円形状に形成して、その内部に各静翼22を放射状に設けたので、まず、前記ディフューザ部12の下流端から出る流体の平均流速を小さくし、全体の騒音レベルを下げることができる。さらに、前記各静翼は全てが同じスパン方向長さや形状で統一されておらず、それぞれが微妙に異なっているので、プロペラファンFNから出る旋回流と各静翼22との干渉の状態がそれぞれで異なっており、特定の周波数に集中して騒音が発生することも防ぐことができる。これらのことから、送風能力を大幅に向上させつつ、騒音レベルも低減することができる。
【0072】
さらに、前記分割ラインLにより分割された前記筒状成型体1と前記固定翼成型体2で構成された送風装置100であるので、前記ディフューザ部12と前記ステータ部2Fの各静翼22は別々に成型されることになる。したがって、前述した送付効率を向上させるための複雑形状である前記ディフューザ部12は真円形状から楕円形状へと変化する拡大流路形状と、前記ステータ部2Fの各静翼22が外周端2Eまで静翼22が形成されているという形状を実現しつつ、このような複雑形状を優先した結果、製造性が損なわれるのを防ぐことができる。
【0073】
より具体的には、例えば、従来であれば各静翼22の外周端2Eが他の部材に対して一体となった状態で射出成型される場合、金型から離型しやすくするために外周端2Eのみは軸方向に対して垂直にし、送風効率を犠牲にして製造性を優先していた。これとは対照的に本実施形態では、前記分割ラインLによって各部品が分割されているので、従来のような金型の離型について考慮しなくてもよく、外周端2Eまで凸面2C及び圧力面2Pが形成されるように斜めに設け、送風効率を改善することができる。また、図9の上面図に示すように各静翼22は軸方向から見た場合に重なり合っている部分がなく、また図10(a)に示すように前記接続部23においては外縁部にのみ外縁リブ232が形成してあり上流側は開口するように形成してあるので、前記固定翼成型体2は軸方向に分割された金型で容易に成型することができる。
【0074】
同様に前記筒状成型体1についても前記各静翼22の成型性等を考慮しなくてもよいので、前記ベルマウス部11の真円形状から楕円形状に変化しつつ拡大するような形状でも単純な金型構成で成型することが可能となる。さらに、縦リブ15の向きを半面ごとに揃えてあるので、前記筒状成型体1を半径方向に二分割される金型により成型することができ、製造性を高めることができる。
【0075】
さらに、前記ベルマウス部11と前記ディフューザ部12を別々に成型するのではなく、これらを一体化した前記筒状成型体1として成型するように構成してあるので、前記送風装置100を構成するのに前記筒状成型体1と前記固定翼成型体2の2部品だけでよく、送風効率を改善しつつ部品点数も低減することができる。
その他の実施形態について説明する。
【0076】
図13に示すように、雪が前記プロペラファンFNの中心部分に積り、回転軸がぶれてベルマウス部11と接触して破損する事を防ぐために、前記ハブ21の下流側(上面側)を覆うように上面がドーム型の曲面を有する蓋部材24を設けても構わない。また、積雪が無い地域においてはこの構成を省略して容易にコストダウンを図れるようにするために、前記蓋部材24を前記ハブ21に対して着脱可能に構成しても構わない。
【0077】
前記実施形態では、前記ディフューザ部12の内部に放射状に各静翼22を設けてステータ部2Fを形成したが、例えば、長軸方向又は短軸方向にまっすぐに延びる形状の静翼22を複数個設けても構わない。このようなものであっても、送風効率を向上させつつ、各静翼22の長さを異ならせて特定の周波数の騒音が集中して騒音が大きくなるのを抑制することができる。前記ディフューザ部12の下流端の形状は楕円形状として形成したが、例えば円形状や円や楕円を近似されるような多角形状に形成しても構わない。この場合、ディフューザ部12の下流端における形状の中心点が前記プロペラファンFNの回転軸線上に配置されるように構成すればよい。
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な変形や実施形態の組み合わせを行っても構わない。
【符号の説明】
【0078】
7、100・・・送風装置
73、1 ・・・筒状成型体
8、11 ・・・ベルマウス部
9、12 ・・・ディフューザ部
91 ・・・傾斜面
9a ・・・ディフューザ部の下流端開口
600 ・・・空気調和装置用室外機
15 ・・・縦リブ
2 ・・・固定翼成型体
2F ・・・ステータ部
21 ・・・ハブ
22 ・・・静翼
2E ・・・外周端
2I ・・・内周端
2P ・・・圧力面
2C ・・・凸面
23 ・・・接続部
24 ・・・連結部
25 ・・・蓋部材
L ・・・分割ライン
L1 ・・・凸面形成ライン
L2 ・・・円周方向線
L3 ・・・軸方向線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13