(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の搬送方向に沿って延び、所定の間隔を隔てて相互に対向する一対のフレーム部材と、前記一対のフレーム部材に対して両端部がそれぞれ回転可能に支持されており、前記搬送方向に沿って間隔を隔てて並設された複数のローラ部材とを有し、前記複数のローラ部材の回転によって、被搬送物を前記搬送方向に搬送するローラコンベア装置に取り付けられる架橋部材であって、
前記架橋部材は、
前記複数のローラ部材の間において、前記一対のフレーム部材の間を架け渡され、
当該架橋部材の上端が前記複数のローラ部材の上端よりも低い位置に位置するように配設され、
前記搬送方向に直交する方向における当該架橋部材の両端部に形成された取付突部を有し、
前記取付突部は、
前記一対のフレーム部材の夫々に形成され、前記複数のローラ部材の両端部に設けられた回転軸を回転自在に取り付け可能な取付溝に対して嵌合する
ことを特徴とする架橋部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、ローラコンベア装置における複数のローラは、各ローラの間に、ある程度の大きさの間隔を有して並設されており、例えば、特許文献1記載のローラコンベア装置においては、複数のローラの間に、当該ローラの外径寸法と同程度の間隔を隔てて並設されている(特許文献1の
図3参照)。
【0006】
この特許文献1のようなローラコンベア装置において、複数のローラの間に一定の間隔を設けた構成を採用した場合、何等かのアクシデントが生じた結果、作業者の手足等が、複数のローラの間に入り込んでしまう場合がある。この場合、複数のローラに挟まれた状態で、ローラが回転することによって、作業者の負傷が深刻なものになってしまう虞がある。
【0007】
又、作業者の手足に限らず、作業者の衣服や部品がローラの間に挟まってしまう場合も想定される。何らかの異物がローラの間に挟まってしまった場合、ローラの回転が当該異物の存在によって妨げられることになる為、当該ローラコンベア装置を含む搬送ラインでの作業がストップしてしまう。
【0008】
更に、各ローラ間に形成された隙間を介して、塵や埃が床面に落下したり、コンテナ等に収容された部品が落下したりする虞がある。この場合、隙間を介して落下した塵や埃によって、作業場の衛生面を低下させてしまったり、落下した部品を見失うことによって、欠品が生じてしまったりすることになる。
【0009】
これらの点に対する対策としては、複数のローラを密に並設することで、各ローラの間の間隔を狭めることが考えられるが、金属製のローラが多量に必要になる為、ローラコンベア装置自体のコストを高めてしまう。又、金属製のローラを多量に並設することによって、ローラコンベア装置自体の重量が極端に増大してしまうので、ローラコンベア装置自体の取り回しが不便になり、使い勝手の悪いものになってしまう。
【0010】
本発明は、ローラコンベア装置に対して取付可能に構成された架橋部材であって、ローラコンベア装置に係る種々の不具合の発生を抑制し得る架橋部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る架橋部材は、所定の搬送方向に沿って延び、所定の間隔を隔てて相互に対向する一対のフレーム部材と、前記一対のフレーム部材に対して両端部がそれぞれ回転可能に支持されており、前記搬送方向に沿って間隔を隔てて並設された複数のローラ部材とを有し、前記複数のローラ部材の回転によって、被搬送物を前記搬送方向に搬送するローラコンベア装置に取り付けられる架橋部材であって、前記架橋部材は、前記複数のローラ部材の間において、前記一対のフレーム部材の間を架け渡され、当該架橋部材の上端が前記複数のローラ部材の上端よりも低い位置に位置するように配設され
、前記搬送方向に直交する方向における当該架橋部材の両端部に形成された取付突部を有し、前記取付突部は、前記一対のフレーム部材の夫々に形成され、前記複数のローラ部材の両端部に設けられた回転軸を回転自在に取り付け可能な取付溝に対して嵌合することを特徴とする。
【0012】
そして、請求項2に係る架橋部材は、請求項1記載の架橋部材であって、前記架橋部材は、平板状に形成され、当該架橋部材の上端を構成する上面部と、前記搬送方向上流側及び下流側における前記上面部の端部から垂下するように形成された側壁部と、を有することを特徴とする。
【0013】
又、請求項3に係る架橋部材は、請求項1又は請求項2記載の架橋部材であって、前記架橋部材の上端は、前記搬送方向に直交する方向に関して、前記一対のフレーム部材の間に形成されるフレーム間寸法以下となるように形成されていることを特徴とする。
【0014】
そして、請求項4に係る架橋部材は、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の架橋部材であって、前記架橋部材の上端部分は、前記搬送方向上流側及び下流側における端縁から、当該架橋部材に隣接配置された前記ローラ部材側へ向かって延出された延出部を有し、当該延出部と隣接配置された前記ローラ部材表面との間には、隙間が形成されていることを特徴とする。
【0015】
又、請求項5に係る架橋部材は、請求項
1に記載の架橋部材であって、
前記架橋部材は、平板状に形成され、当該架橋部材の上端を構成する上面部と、前記搬送方向に直交する方向における前記上面部の両端部から、前記一対のフレーム部材へ向かうほど前記上面部の上側表面が下方へ向かうように傾斜して形成された上側傾斜部と、を有することを特徴とする。
又、請求項6に係る架橋部材は、請求項1乃至請求項5の何れかに記載の架橋部材であって、前記取付突部は、上面にガイド部材が配置されている状態の前記一対のフレーム部材の前記取付溝に対して嵌合し、前記架橋部材は、前記取付突部の端面における下側部分に、前記取付突部の端面下方に向かうほど、前記搬送方向に直交する方向の当該架橋部材の中央側に位置するように傾斜して形成された傾斜部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る架橋部材は、一対のフレーム部材と、複数のローラ部材とを有するローラコンベア装置に取り付けられる。当該架橋部材は、前記複数のローラ部材の間において、前記一対のフレーム部材の間を架け渡されているので、ローラ部材の間の間隔を、架橋部材によって区分することができる。この架橋部材によって、ローラ部材の間に進入し得る異物(例えば、作業者の手足や部品等)のサイズを制限することができるので、アクシデントが発生した場合でも、作業者の深刻な負傷や作業ラインのストップの発生を抑制することができる。又、当該架橋部材の上端が、複数のローラ部材の上端よりも低い位置に位置するように配設されているので、当該架橋部材は、各ローラ部材の回転により搬送される搬送対象物(例えば、コンテナ等)に接触することはなく、ローラコンベア装置の搬送性能を低下させることはない。従って、当該架橋部材は、ローラコンベア装置の搬送性能を低下させることなく、作業者の負傷等の不具合の発生を防止することができる。
請求項1に係る架橋部材によれば、前記搬送方向に直交する方向における両端部に、取付突部が形成されており、当該取付突部は、ローラコンベア装置を構成する一対のフレーム部材の夫々に形成された取付溝に対して、嵌合するように構成されている。従って、当該架橋部材によれば、一対のフレーム部材の取付溝に対して、取付突部をそれぞれ嵌合させることで、ローラ部材の間における所定位置(ローラ部材間における位置、ローラ部材上面に対する高さ関係)に、架橋部材を容易に配設することができる。
【0017】
請求項2に係る架橋部材は、平板状に形成された上面部と、当該上面部の端部から垂下するように形成された側壁部と、を有するように構成されている為、架橋部材の上方から下方に向かって作用する荷重に対する剛性を高めることができる。即ち、当該架橋部材によれば、アクシデントにより作業者の手足等が、上方からローラ部材の間の空間に進入しようとした場合であっても、手足等による荷重に抗して、ローラ部材の間の空間への侵入を妨げることができ、作業者の負傷等の不具合を、より確実に防止することができる。又、当該架橋部材をローラ部材の間に配置する際に、側壁部をガイドとして用いることができるので、当該架橋部材によれば、ローラ部材の間における所定位置に容易に配設することが可能となる。
【0018】
請求項3に係る架橋部材によれば、当該架橋部材の上端が、前記搬送方向に直交する方向に関して、前記一対のフレーム部材の間に形成されるフレーム間寸法以下となるように形成されている為、ローラ部材の間に架橋部材を配設した場合であっても、架橋部材が一対のフレーム部材の上面を覆うことはない。即ち、当該架橋部材によれば、一対のフレーム部材の上面のスペースを有効に利用することができ、一対のフレーム部材の上面に対して種々の部材を配設することができる。例えば、フレーム部材の上面に対して、ガイドレールを配設することによって、ローラコンベア装置における搬送対象物をローラ部材上に保持しながら搬送方向へ案内することが可能となる。
【0019】
請求項4に係る架橋部材においては、当該架橋部材の上端部分に延出部を有しており、当該延出部は、搬送方向上流側及び下流側における端縁から、当該架橋部材に隣接配置された前記ローラ部材側へ向かって延出されている。従って、当該架橋部材は、延出部を有することで、複数のローラ部材の間において、より広い範囲を閉塞することができ、もって、ローラ部材の間の空間に異物が進入することに起因する種々の不具合の発生を抑制し得る。又、当該架橋部材によれば、前記延出部と隣接配置された前記ローラ部材表面との間には、隙間が形成されている為、延出部がローラ部材の回転を妨げることはなく、ローラコンベア装置の搬送性能を低下させることはない。
【0020】
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る架橋部材を、ローラコンベア装置100に配設される架橋部材10に適用した実施形態に基づいて、図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態においては、ローラコンベア装置100は、工場において完成した製品を箱詰めしたコンテナCを、直線状の搬送方向に沿って搬送する際に用いられ、箱詰め場所(即ち、搬送元)から出荷場所(即ち、搬送先)へ搬送する搬送経路の一部を構成する。
【0023】
尚、以下の説明においては、工場等の作業場に設置された状態のローラコンベア装置100を基準として、架橋部材10及びローラコンベア装置100の上下方向を定義する。そして、当該ローラコンベア装置100におけるコンテナCの搬送方向上流側を「後方」とし、搬送方向下流側を「前方」と定義する。又、上下方向及び前後方向を上述のように定義したことにより、左右方向については、ローラコンベア装置100の基準として、
図1等に示すように定義される。
【0024】
先ず、本実施形態に係る架橋部材10が配設可能なローラコンベア装置100の概略構成について、
図1〜
図4を参照しつつ説明する。上述したように、当該ローラコンベア装置100は、搬送元から搬送先へと延びる搬送経路を構成する複数のローラコンベア装置の内、直線状に延びる部分を構成しており、搬送方向に従って後方から前方に向かって、コンテナCを搬送する際に用いられる。
【0025】
図1、
図2に示すように、当該ローラコンベア装置100は、一対のフレーム部材20の間に、複数のローラ部材30を回転可能に取り付けて構成されており、複数のローラ部材30の間に、本実施形態に係る架橋部材10を取付可能に形成されている。そして、当該ローラコンベア装置100は、搬送元側において、ローラ部材30上にコンテナCを載置させた後、搬送方向下流側(前方側)に向かって、当該コンテナCを作業者が手押しすることによって、各ローラ部材30を回転させ、コンテナCを搬送方向下流側へ円滑に移動させるように構成されている。
【0026】
又、当該ローラコンベア装置100においては、フレーム部材20の上面に、ガイド部材40が配設されている(
図1、
図2参照)。当該ガイド部材40は、フレーム部材20の上面において搬送方向に沿って延びており、複数のローラ部材30上を移動するコンテナCの側面と接触することによって、当該コンテナCをローラ部材30上に留める役割を果たす。
【0027】
図3に示すように、フレーム部材20は、所定長さに切断された断面コ字状をなすチャンネル材(溝形鋼)によって構成されており、コンテナCの搬送方向に沿って、前後方向に延びるように、作業場の床面に配設されている。そして、当該ローラコンベア装置100において、2本のフレーム部材20は、所定の間隔(後述する第2幅寸法WB)を隔てた状態で、相互に対向するように配設されており、コンテナCの搬送方向に沿って平行に延びている。各フレーム部材20は、夫々、チャンネル材における溝の開放された側がローラコンベア装置100の外側方向を向くように配設されている。
【0028】
各フレーム部材20上側における角部分には、複数の取付溝21が、他方のフレーム部材20における複数の取付溝21と対向するように形成されており、当該取付溝21に対しては、後述する架橋部材10の取付突部17や、ローラ部材30の回転軸31が嵌合される(
図4、
図7等参照)。そして、当該取付溝21は、夫々、フレーム部材20上面から下方へ延びる溝状に形成されており、何れもフレーム部材20の上面から所定寸法の長さで形成されている。つまり、架橋部材10の取付突部17や、ローラ部材30の回転軸31は、各取付溝21の下端部によって支持される。
【0029】
従って、
図7に示すように、フレーム部材20の間に各架橋部材10が取り付けられた場合、各架橋部材10の上端は、何れも、作業場の床面から所定の高さ(第1高さHA)に位置する。同様に、フレーム部材20の間に各ローラ部材30が回転可能に取り付けられた場合、各ローラ部材30の上端は、何れも、作業場の床面から所定の高さ(第2高さHB)に位置する。
【0030】
ローラ部材30は、金属製(例えば、ステンレス製)の円柱形状に形成されており、一対のフレーム部材20の間に形成される間隔(即ち、第2幅寸法WB)とほぼ同じ長さを有している。そして、ローラ部材30は、一対のフレーム部材20の間を架け渡した状態で、回転可能に取り付けられており、ローラ部材30の軸方向は、ローラコンベア装置100の搬送方向に直交する方向(左右方向)と一致する状態で取り付けられる。
【0031】
図1、
図2等に示すように、複数のローラ部材30は、ローラコンベア装置100における搬送方向(前後方向)に沿って、間隔を隔てて並んで取り付けられており、コンテナCの底面に接触しつつ回転することによって、当該コンテナCを支持しつつ搬送することができる。尚、各ローラ部材30の間隔は、任意に設定することができ、搬送対象物(例えば、コンテナC)のサイズや、ローラコンベア装置100に用いるローラ部材30の外径や個数に応じて適宜定めることができる。
【0032】
そして、各ローラ部材30の両端部には、回転軸31が設けられている(
図3参照)。当該回転軸31は、ローラ部材30の軸心に沿って延びる略円柱状をなし、当該回転軸31の外径は、前記フレーム部材20の取付溝21の幅寸法よりもやや小径に形成されている。従って、当該ローラ部材30は、各回転軸31をフレーム部材20側に形成された取付溝21に嵌合させることで、正逆いずれの方向にも回転自在に支持される。
【0033】
ガイド部材40は、断面略L字状をなすアングル材(山形鋼)を、前記フレーム部材20の長さに応じて切断することによって構成されており、各フレーム部材20の上面に対して取り付けられている。
図1〜
図4に示すように、当該ガイド部材40は、フレーム部材20上面の内、搬送経路側(ローラ部材30側)の端縁において、略L字状をなすアングル材の一面が立設するように、フレーム部材20上面に対して取り付けられる。これにより、各ローラ部材30の上端によって構成される搬送経路上を移動するコンテナCの側面がガイド部材40に接触することになる為、ガイド部材40は、搬送対象物であるコンテナCを搬送経路上に留め、より円滑に搬送方向下流側に案内する機能を果たす。
【0034】
次に、本実施形態に係る架橋部材10の構成について、
図5、
図6を参照しつつ詳細に説明する。
図1〜
図4等に示すように、本実施形態に係る架橋部材10は、複数のローラ部材30の間において、夫々、一対のフレーム部材20の間を架け渡すように取り付けられ、複数のローラ部材30の間に形成される空間を閉塞している。当該架橋部材10は、合成樹脂(例えば、ポリプロピレン)を射出成形することによって形成されており、
図1〜
図6に示すように、上面部11と、側壁部15と、取付突部17とを有している。
【0035】
図5等に示すように、本実施形態に係る架橋部材10において、上面部11は、略長方形をなす平板状に形成されており、架橋部材10の上面を構成している。従って、本実施形態においては、上面部11における上側表面が架橋部材10の上端を構成する。そして、当該上面部11の長手寸法は、フレーム部材20の間の間隔と略等しく、当該上面部11の短手寸法は、隣り合う2つのローラ部材30表面の間隔と略等しく形成されている。
【0036】
そして、当該上面部11は、左右方向における両端部(短辺側)に、上側傾斜部12を有している。上側傾斜部12は、左右方向における端部側ほど、上面部11の上側表面が下方へ向かうように傾斜している。
【0037】
ここで、当該ローラコンベア装置100を用いて作業者が作業する場合、作業者は、フレーム部材20の外側に立ち、搬送方向に直交する方向へ手を伸ばして作業することが想定される。この場合、搬送方向に直交する方向へ手を伸ばすと、作業者の衣服の袖口等が、左右方向における架橋部材10の端部に引っかかり、アクシデントの発生要因になってしまう虞がある。この点、本実施形態に係る架橋部材10のように、左右方向における上面部11の端部に上側傾斜部12を形成することにより、左右方向における端部が下方に位置する為、左右方向における上面部11の端部が作業者の袖口等に引っかかる可能性を低減することができる。
【0038】
そして、前後方向における上面部11の両端部には、延出部13が形成されており、当該延出部13は、上面部11の前後方向における両端部を、前方又は後方に向かって更に水平に延出することによって構成されている。
図7に示すように、当該延出部13は、ローラコンベア装置100に対して架橋部材10を取り付けた場合に、隣接するローラ部材30の上方を一部覆うように配置される。従って、当該架橋部材10は、ローラ部材30の間の空間をより広く覆っているため、アクシデントが起こった場合であっても、作業者の手や部品等がローラ部材30の間に進入することを防止することができ、作業者の負傷等の不具合の発生を防止することができる。
【0039】
図6、
図7に示すように、各延出部13には、下側傾斜部13Aが、前後方向に位置する端縁に沿って形成されている。下側傾斜部13Aは、前後方向における延出部13の端部側ほど、延出部13の下側表面が上方へ向かうように傾斜している(
図7参照)。上述したように、延出部13は、ローラ部材30の上方を一部覆うように位置する為、下側傾斜部13Aを形成することにより、延出部13の下側表面とローラ部材30表面との間の間隔を、より広くとることができる。これにより、当該ローラコンベア装置100においては、架橋部材10とローラ部材30が接触し、ローラ部材30の回転が妨げられることはないので、ローラコンベア装置100の搬送性能を維持することができる。
【0040】
図5〜
図7に示すように、架橋部材10においては、側壁部15が、上面部11の端部側から下方に向かって垂下するように、当該上面部11と一体に形成されている。上面部11と各側壁部15が直交するように形成されているため、架橋部材10は、各側壁部15によって、架橋部材10の上方から下向きに係る荷重に対する剛性を高めることができる。これにより、例えば、アクシデントにより作業者が架橋部材10の上面部11に対して手をついた場合であっても、その荷重に耐えることができ、当該作業者の手がローラ部材30の間に巻き込まれて負傷することを防止することができる。
【0041】
又、ローラコンベア装置100に対して、架橋部材10を取り付けた場合に、各側壁部15は、上面部11の端部から、ローラ部材30の表面近傍を通って、下端に至るように配置される(
図7参照)。従って、ローラ部材30の間に架橋部材10を取り付ける際に、各側壁部15と、ローラ部材30との相対的な位置関係を基にして、ローラ部材30の間における架橋部材10の取付位置を特定することができる。即ち、側壁部15は、架橋部材10をローラコンベア装置100の所定位置に配設する為のガイドとして機能し得る。
【0042】
そして、上面部11の下方には、補強リブ16が、側壁部15の間を区画するように、前後方向及び左右方向に延びて形成されている。当該補強リブ16は、上述した側壁部15と同様に、架橋部材10の上方から下向きに係る荷重に対する剛性を高めている。これにより、例えば、アクシデントにより作業者が架橋部材10の上面部11に対して手をついた場合であっても、その荷重に耐えることができ、当該作業者の手がローラ部材30の間に巻き込まれて負傷することを防止することができる。
【0043】
図5、
図6等に示すように、架橋部材10の左右方向における両端部には、取付突部17が形成されており、フレーム部材20に形成されている取付溝21の幅寸法よりもやや小径に形成されている。そして、取付突部17の端面までを含む架橋部材10の長手方向の寸法は、フレーム部材20の間の間隔よりもやや大きく形成されている。これにより、取付突部17を取付溝21に対して嵌め込むことが可能となり、架橋部材10を、フレーム部材20の間を架け渡すように配設することができる。
【0044】
尚、
図4に示すように、一方のフレーム部材20の上面に対して、ガイド部材40が取り付けられている場合、ガイド部材40によって上方が閉塞された取付溝21に対して、取付突部17を挿通することができる。即ち、本実施形態に係るローラコンベア装置100においては、一方のフレーム部材20上面に、ガイド部材40が取り付けられていた場合であっても、架橋部材10を取り付けることができる。
【0045】
続いて、本実施形態に係る架橋部材10を、ローラコンベア装置100に取り付けた場合に関し、架橋部材10とローラ部材30との上下方向における位置関係について、
図7を参照しつつ説明する。
図7は、ローラ部材30の間における架橋部材10の位置関係を示し、ローラコンベア装置100を前後方向に沿って切断した鉛直断面図である。
【0046】
上述したように、架橋部材10は、フレーム部材20の取付溝21に、取付突部17を嵌合させることによって、ローラコンベア装置100に対して取り付けられる。この時、取付突部17は、フレーム部材20の取付溝21の下端部によって支持される(
図8参照)。一方、ローラ部材30については、上述したように、回転軸31を、フレーム部材20の取付溝21に対して嵌合させることで、回転自在に取り付けられる。当該ローラ部材30の場合、回転軸31は、フレーム部材20の取付溝21の下端部によって支持される。
【0047】
図7に示すように、架橋部材10の取付突部17を、フレーム部材20の取付溝21に嵌合させた場合、上面部11の上側表面(即ち、架橋部材10の上端)は、ローラコンベア装置100が設置されている床面を基準として、何れの架橋部材10についても、所定の高さに位置する。この場合において、床面に対する架橋部材10の上端の高さを「第1高さHA」という。
【0048】
ローラ部材30の回転軸31を、フレーム部材20の取付溝21に嵌合させた場合、各ローラ部材30の上端は、ローラコンベア装置100が設置されている床面を基準として、前記第1高さHAより高い所定の高さに位置する。この場合において、床面に対するローラ部材30の上端の高さを「第2高さHB」という。
【0049】
本実施形態に係るローラコンベア装置100においては、各架橋部材10の上端である上面部11表面は、各ローラ部材30の上端である第2高さHBよりも低い第1高さHAとなる位置に位置する。即ち、各ローラ部材30上を搬送される搬送対象物(コンテナC)の底面に、各架橋部材10が接触することはないので、当該架橋部材10は、各ローラ部材30の回転によるローラコンベア装置100の搬送性能を低下させることはない。
【0050】
次に、本実施形態に係る架橋部材10を、ローラコンベア装置100に取り付けた場合に関し、架橋部材10の上面部11と、フレーム部材20の間の間隔との関係について、
図8を参照しつつ説明する。
図8は、フレーム部材20の間における架橋部材10の位置関係を示し、ローラコンベア装置100を左右方向に沿って切断した鉛直断面図である。
【0051】
上述したように、本実施形態に係るローラコンベア装置100においては、一対のフレーム部材20は、所定の間隔(即ち、第2幅寸法WB)を隔てた状態で、相互に平行に延びるように配設されている。このフレーム部材20の間には、架橋部材10が取付溝21を介して架け渡されるように配設される。架橋部材10の上面部11は、略長方形をなす平板状に形成されており、架橋部材10の上面を構成する。
図1等に示すように、上面部11の長辺は、ローラコンベア装置100の左右方向に沿って配設され、第2幅寸法WBよりもやや短い第1幅寸法WAとなるように形成されている。
【0052】
上面部11の長辺寸法である第1幅寸法WAは、フレーム部材20の間の間隔である第2幅寸法WBよりもやや短い(例えば、数mm程度)為、架橋部材10をフレーム部材20の間に架け渡すように配設した場合、架橋部材10の上面部11が、フレーム部材20の上面に重なるように配置されることはない(
図8参照)。
【0053】
従って、当該架橋部材10を用いることによって、ローラコンベア装置100を構成するフレーム部材20の上面を有効に活用することが可能となり、本実施形態のように、ガイド部材40を、フレーム部材20の上面に配設することも可能となる。又、この場合においては、ガイド部材40の間隔を、フレーム部材20の間隔である第2幅寸法WBと等しくすることも可能である為、「搬送対象物(例えば、コンテナC)を搬送経路に沿って案内する」というガイド部材40の効果をより適切に発揮させることができる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態に係る架橋部材10は、一対のフレーム部材20と、複数のローラ部材30とを有するローラコンベア装置100に取り付けられる。当該架橋部材10は、
図1〜
図4等に示すように、前記複数のローラ部材30の間において、前記一対のフレーム部材20の間を架け渡されており、ローラ部材30の間の空間を閉塞している。この架橋部材10によって、ローラ部材30の間に対する異物(例えば、作業者の手足や部品等)の進入を制限することができるので、アクシデントが発生した場合でも、作業者の深刻な負傷や作業ラインのストップの発生を抑制することができる。
【0055】
又、
図7に示すように、当該架橋部材10の上端(即ち、上面部11の上面)が、複数のローラ部材30の上端よりも低い位置に位置するように配設されているので、当該架橋部材10は、各ローラ部材30の回転により搬送される搬送対象物(例えば、コンテナC等)に接触することはなく、ローラコンベア装置100の搬送性能を低下させることはない。従って、当該架橋部材10は、ローラコンベア装置100の搬送性能を低下させることなく、作業者の負傷等の不具合の発生を防止することができる。
【0056】
そして、
図5〜
図7に示すように、当該架橋部材10は、平板状に形成された上面部11と、当該上面部11の端部から垂下するように形成された側壁部15と、を有するように構成されている為、架橋部材10の上方から下方に向かって作用する荷重に対する剛性を高めることができる。即ち、当該架橋部材10によれば、アクシデントにより作業者の手足等が、上方からローラ部材30の間の空間に進入しようとした場合であっても、手足等による荷重に抗して、ローラ部材30の間の空間への侵入を妨げることができ、作業者の負傷等の不具合を、より確実に防止することができる。
【0057】
又、各側壁部15は、上面部11の端部から、ローラ部材30の表面近傍を通って、下端に至るように配置される為(
図7参照)、ローラ部材30の間に架橋部材10を取り付ける際に、各側壁部15と、ローラ部材30との相対的な位置関係を基にして、ローラ部材30の間における架橋部材10の取付位置を特定することができる。即ち、側壁部15は、架橋部材10をローラコンベア装置100の所定位置に配設する為のガイドとして機能し得る。
【0058】
又、当該架橋部材10においては、上面部11の長辺は、フレーム部材20の間の間隔を示す第2幅寸法WBよりもやや短い第1幅寸法WAとなるように形成されている(
図8参照)。この為、ローラ部材30の間に架橋部材10を配設した場合であっても、架橋部材10が一対のフレーム部材20の上面を覆うことはない。従って、当該架橋部材10によれば、一対のフレーム部材20の上面のスペースを有効に利用することができ、一対のフレーム部材20の上面に対して種々の部材を配設することができる。例えば、フレーム部材20の上面に対して、ガイド部材40を配設することによって、コンテナCをローラ部材30上に保ちながら搬送方向へ案内することが可能となる。
【0059】
当該架橋部材10の上面部11には、延出部13が、上面部11の前後方向における両端部を、前方又は後方に向かって更に水平に延出することによって形成されている。当該延出部13は、ローラコンベア装置100に対して架橋部材10を取り付けた場合に、隣接するローラ部材30の上方を一部覆うように配置される(
図7参照)。従って、当該架橋部材10は、ローラ部材30の間の空間をより広く覆っているため、アクシデントが起こった場合であっても、作業者の手や部品等がローラ部材30の間に進入することを防止することができ、もって、作業者の負傷等の不具合の発生を防止することができる。
図7に示すように、延出部13とローラ部材30表面との間には、ローラコンベア装置100に対して架橋部材10を取り付けた場合に隙間が形成される。即ち、延出部13がローラ部材30の回転を妨げることはない為、ローラコンベア装置100の搬送性能を低下させることもない。
【0060】
そして、当該架橋部材10の左右両端部には、取付突部17が形成されており、当該取付突部17は、一対のフレーム部材20に形成された取付溝21に対して嵌合可能に構成されている(
図3、
図8参照)。従って、当該架橋部材10によれば、一対のフレーム部材20の取付溝21に対して、取付突部17をそれぞれ嵌合させることで、ローラ部材30の間における所定位置(ローラ部材30間における位置、ローラ部材30上面に対する高さ関係)に、架橋部材10を容易に配設することができる(
図7、
図8参照)。
【0061】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、本発明に係る架橋部材10は、一対のフレーム部材20の間に、複数のローラ部材30が所定の間隔を隔てて回転可能に支持されているローラコンベア装置であれば適用することが可能である。例えば、本発明は、複数のローラ部材を回転させる為の駆動装置(例えば、モータ)や、駆動装置の駆動をローラ部材に対して伝達する為の機構(例えば、ギヤ列や無端ベルト等)を有するローラコンベア装置に対して適用することも可能である。
【0062】
更に、上述した実施形態において、ローラコンベア装置100は、作業場の床面に対して、フレーム部材20を直接設置する態様であったが、この態様に限定されるものではない。例えば、フレーム部材20の下方に、支持台を配設する態様であってもよい。この場合に、当該支持台は、その高さ寸法が固定されたものであってもよいし、フレーム部材20の支持高さを調整する為の高さ調整機構を有するものであってもよい。
【0063】
又、上述した実施形態においては、架橋部材10を合成樹脂(例えば、ポリプロピレン)により形成していたが、この態様に限定するものではない。例えば、軽量鋼材(アルミニウム等)によって、架橋部材10を構成してもよいし、種々の材料を用いて架橋部材10を形成することができる。
【0064】
更に、上述した実施形態においては、架橋部材10の上面部11によって、ローラ部材30の間の空間を閉塞する構成であったが、この態様に限定されるものではない。即ち、架橋部材10は、ローラ部材30の間において、フレーム部材20の間に架け渡されるように配設される部材であればよい。架橋部材10は、上面部11がなくとも、ローラ部材30の間のスペースを区分することができる為、ローラ部材30の間に進入し得る異物(例えば、作業者の手足や部品等)のサイズを制限することができる。つまり、アクシデントが発生した場合でも、上面部11のない架橋部材10によって、作業者の深刻な負傷や作業ラインのストップの発生を抑制することができる。
【0065】
そして、ローラコンベア装置100に対して取り付けられる架橋部材10及びローラ部材30の個数は、上述した実施形態に限定されるものではなく、任意に設定することが可能である。例えば、ローラ部材30の間において、複数の架橋部材10を、フレーム部材20の間を架け渡すように配設することも可能である。
【0066】
又、上述した実施形態においては、ローラコンベア装置100を構成するフレーム部材20には、取付溝21を形成し、架橋部材10の取付突部17を、取付溝21に対して嵌合させる構成であったが、この態様に限定するものではない。例えば、架橋部材10の取付突部17を挿通可能な取付孔を、フレーム部材20に形成する態様を採用することも可能である。
【0067】
そして、架橋部材10における各取付突部17の形状は、上述した実施形態に示す形状(例えば、
図5、
図6、
図8参照)に限定されるものではなく、種々の態様を採用し得る。例えば、取付突部17の端面における下側部分に、取付突部17の端面下方に向かうほど、架橋部材10の左右方向中央側に位置するように傾斜する傾斜部を形成することも可能である。取付突部17の端面にこのような傾斜部を形成すれば、フレーム部材20上面にガイド部材40が配置されている状態で、取付溝21に対して取付突部17を差し込んで架橋部材10を取り付ける場合(
図4参照)に、取付突部17の端面が取付溝21の下端に引っ掛かることはなく、フレーム部材20の間に、架橋部材10を円滑に取り付けることができる。
【0068】
更に、上述した実施形態においては、ローラコンベア装置100は、搬送対象物を直線的に搬送する部分を構成するローラコンベア装置であったが、この態様に限定されるものではない。即ち、本発明に係る架橋部材は、搬送経路におけるコーナー部分を構成するローラコンベア装置に対して適用することも可能である。この場合において、円柱状のローラ部材30がコーナー内径側から放射状に配置されているならば、ローラ部材30の間のスペースに対応する扇形状を為す架橋部材を配設するように構成すればよい。又、略円錐状をなすローラ部材がコーナー内径側から放射状に配置されている場合には、上述した実施形態と同様の形状の架橋部材10を、ローラ部材の間のスペースに対応するサイズで配設すればよい。