特許第6385771号(P6385771)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社IHIの特許一覧 ▶ IHIプラント建設株式会社の特許一覧

特許6385771オゾンハイドレートを用いたオゾン発生方法及びその装置
<>
  • 特許6385771-オゾンハイドレートを用いたオゾン発生方法及びその装置 図000002
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385771
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】オゾンハイドレートを用いたオゾン発生方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 13/10 20060101AFI20180827BHJP
   B01F 5/00 20060101ALI20180827BHJP
   B01F 3/06 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   C01B13/10 Z
   B01F5/00 D
   B01F3/06
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-194157(P2014-194157)
(22)【出願日】2014年9月24日
(65)【公開番号】特開2016-64943(P2016-64943A)
(43)【公開日】2016年4月28日
【審査請求日】2017年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(73)【特許権者】
【識別番号】592009281
【氏名又は名称】IHIプラント建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 美栄
(72)【発明者】
【氏名】小島 知弥
(72)【発明者】
【氏名】西塚 史郎
(72)【発明者】
【氏名】西 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】戸村 重男
【審査官】 壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−240901(JP,A)
【文献】 特開2010−195645(JP,A)
【文献】 特開2006−303143(JP,A)
【文献】 特開平03−049224(JP,A)
【文献】 特開平03−094427(JP,A)
【文献】 特開2007−210881(JP,A)
【文献】 特開2001−355944(JP,A)
【文献】 特開2004−315814(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0292155(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B13/00−13/36
A61L2/00−2/28,11/00−12/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾンハイドレートと粉末状氷を混合し、この混合物をキャリアガスと混合しつつ押し出して需要先に散布し、その散布したオゾンハイドレートを分解させてオゾンを持続的に発生させることを特徴とするオゾンハイドレートを用いたオゾン発生方法。
【請求項2】
オゾンハイドレートと粉末状氷の混合物を貯蔵する混合物タンクと、
搬送用の圧縮キャリアガスを供給する圧縮キャリアガス供給装置と、
前記混合物タンク内のオゾンハイドレートと粉末状氷混合物が導入されると共に前記圧縮キャリアガス供給装置からの圧縮キャリアガスが供給され、オゾンハイドレートと粉末状氷の混合物と圧縮キャリアガスとを混合して需要先に供給して散布するためのオゾンハイドレート混合機と、を備え、
前記需要先において、散布したオゾンハイドレートを分解させてオゾンを持続的に発生させることを特徴とするオゾン発生装置
【請求項3】
前記混合物タンク内には、オゾンハイドレートが貯蔵され、その混合物タンクに粉末状氷タンクが接続され、粉末状氷タンクの氷が前記混合物タンク内に供給されると共にオゾンハイドレートと混合され、前記需要先に供給する全オゾン量に見合ったオゾンハイドレートと氷の混合物とされる請求項2記載のオゾン発生装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温で安定して長期保存可能な高濃度オゾンハイドレートを用いてオゾンを発生するためのオゾンハイドレートを用いたオゾン発生方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高濃度のオゾンを得るために、オゾンハイドレートを製造することが提案(特許文献1)されているが、オゾンハイドレートの生成条件には、13MPa以上の高圧、−25℃以下の低温条件で、オゾンと水とを接触させる必要があるため、大量にオゾンハイドレートを製造することは困難であった。
【0003】
本出願人は、二酸化炭素(CO2)を補助ゲスト剤として低温の水とオゾン(O3)を混合することにより、オゾンと二酸化炭素のハイドレートを2〜3MPa、温度約0℃で生成させるオゾンハイドレートの製造方法を提案した(特許文献2、3)。
【0004】
この提案では、オゾンハイドレートを生成する際に二酸化炭素の混合比により、オゾンハイドレート生成圧力を下げることができ、単位体積当たりの氷中の保有オゾン濃度を20000ppm以上に飛躍的に高めることができ、また二酸化炭素を約70mass%含むオゾン混合ガスを、約0℃の低温水でオゾンハイドレートの生成熱を冷却することにより、比較的低圧力(2〜3MPa)でハイドレートを生成できるメリットがある。
【0005】
このオゾンハイドレートは、大気圧下でも、約−20℃以下の過冷却状態で保存することで、オゾンが分解せずに長期保存が可能となり、また大気圧下で、−5℃にすると、オゾンハイドレートが分解してオゾン殺菌が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−210881号公報
【特許文献2】特開2011−168413号公報
【特許文献3】特開2012−240901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、製造したオゾンハイドレートを利用してオゾン殺菌する際に、粉末状で、−25℃で貯蔵されているオゾンハイドレートを用いてオゾンを発生させた場合、発生するオゾン濃度が高いため、これを、人体等などにできるだけ悪影響のない濃度に調整する必要がある。
【0008】
しかし、オゾンハイドレートは、温度が高くなるとその半減期が短くなり、分解して消滅するため、単にオゾンハイドレートを昇温して分解し、これを空気で希釈しただけでは、適正なオゾン濃度に調整することはできない。
【0009】
上述のようにオゾンハイドレートは、含有オゾン濃度が、20000ppm以上(通常2mass%程度)であり、これに対してオゾンガス殺菌で使用するオゾン濃度は3ppm程度である。オゾンハイドレートを適正な空気(或いはガス)で押し出して、粉末状で処理対象物に散布して、大気或いは散布された地面の熱により徐々にハイドレートを熱分解して、所望濃度のオゾンを安定して連続的に発生させることが困難である。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、オゾンハイドレートを用いて所望濃度のオゾンを安全に連続して発生させることが可能なオゾンハイドレートを用いたオゾン発生方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、オゾンハイドレートと粉末状氷を混合し、この混合物をキャリアガスと混合しつつ押し出して需要先に散布し、その散布したオゾンハイドレートを分解させてオゾンを持続的に発生させることを特徴とするオゾンハイドレートを用いたオゾン発生方法である。
【0012】
また本発明は、オゾンハイドレートと粉末状氷の混合物を貯蔵する混合物タンクと、搬送用の圧縮キャリアガスを供給する圧縮キャリアガス供給装置と、前記混合物タンク内のオゾンハイドレートと粉末状氷混合物が導入されると共に前記圧縮キャリアガス供給装置からの圧縮キャリアガスが供給され、オゾンハイドレートと粉末状氷の混合物と圧縮キャリアガスとを混合して需要先に供給して散布するためのオゾンハイドレート混合機と、を備え、前記需要先において、散布したオゾンハイドレートを分解させてオゾンを持続的に発生させることを特徴とするオゾン発生装置である。
【0013】
前記混合物タンク内には、オゾンハイドレートが貯蔵され、その混合物タンクに粉末状氷タンクが接続され、粉末状氷タンクの氷が前記混合物タンク内に供給されると共にオゾンハイドレートと混合され、前記需要先に供給する全オゾン量に見合ったオゾンハイドレートと氷の混合物とされるのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、オゾンハイドレートと予め粉末状氷とオゾン量が所望となるように混合し、これをキャリアガスを用いて需要先に粉末状で散布することで、散布対象物情で大気或いは地熱等からの入熱で徐々に、持続的に分解して、所望濃度のオゾンを発生できるという優れた効果を発揮するものである。
【0015】
また、粉末状氷の混合により単位体積当たりのオゾン含有量を適正な濃度に調整すると共に、オゾンハイドレートの粉末量を増やすことにより、散布面積を広くできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0018】
先ず本発明で利用する高濃度オゾンハイドレートについて説明する。
【0019】
高濃度オゾンハイドレートの製造は、上述した特許文献2、3で提案したようにキセノンや二酸化炭素を補助ガスとし、オゾンをゲストガスとし、2〜3MPa、約0℃の水と接触させることで製造できる。
【0020】
また、本出願人は、粉末状の氷と二酸化炭素とオゾンガスとを接触させることで、高濃度オゾンハイドレートとすることを開発した。この高濃度オゾンハイドレートは、液分を含まない粉末状であり、特許文献2、3と同様に高濃度オゾンハイドレートとして使用できる。
【0021】
さて、図1は、オゾンハイドレートを用いたオゾン発生装置を示したものである。
【0022】
オゾンハイドレートを用いたオゾン発生装置は、オゾンハイドレートから所望のオゾンを発生させるためにオゾンハイドレートに所望の氷を混合するためのオゾンハイドレートと氷の混合物タンク10と、混合物タンク10に粉末状氷を供給するための粉末状氷タンク11と、粉末状氷タンク11からのオゾンハイドレートと空気等のキャリアガスとを混合して需要先13に供給するためのオゾンハイドレート混合機12とから構成される。
【0023】
混合物タンク10と粉末状氷タンク11とは二重殻タンクで構成され、内外槽間が真空断熱或いは内外槽間に保冷材が充填されて構成されている。
【0024】
オゾンハイドレートと氷の混合物タンク10には、コンテナ内の殺菌やオゾンの地上散布に要する全オゾン量に等しい量かそれ以上のオゾン含有量を有するオゾンハイドレートが封入されている。この場合、上述のように生成されるオゾンハイドレートのオゾン濃度は、2.23mass%であり、このオゾンハイドレートを予め粉末状の氷と10〜50倍の割合で予め混合して貯蔵しておく。
【0025】
このオゾンハイドレートと粉末状の氷との混合は、混合物タンク10に粉末状氷タンク11内の氷を氷払出しポンプ14にてライン15からバルブ16を介して粉末状氷を混合物タンク10に供給し、オゾンハイドレートと氷との混合比を調整しておく。この調整は、オゾンを発生している間に混合しても或いは予め混合しておいてもよい。この所望の混合比に予め混合した後は、粉末状氷タンク11はオゾン発生時に、混合物タンク10から取り外しておいてもよい。
【0026】
混合物タンク10と粉末状氷タンク11には、液化炭酸ガスライン17が接続される。液化炭酸ガスライン17には液化炭酸ガスボンベ18が接続され、液化炭酸ガスボンベ18からの液化炭酸ガスが圧力調整弁19にて−25℃の温度となるように圧力調整され後、それぞれバルブ20、21にて混合物タンク10と粉末状氷タンク11に供給されるようになっている。
【0027】
液化炭酸ガスボンベ18、混合物タンク10、粉末状氷タンク11には、圧力計PGが設けられ、その各圧力に基づいて圧力調整弁19、バルブ20、21、氷払出しポンプ14が制御される。
【0028】
混合物タンク10内のオゾンハイドレートと氷との混合物は、ハイドレート撹拌兼払出しポンプ24にてバルブ26を介して払出し管25にてオゾンハイドレート混合機12に供給される。払出し管25は、ハイドレート混合機12内にその下端が突出するように設けられ、その下端が、後述するキャリアガスから伝熱しやすいようにして、下端に氷が付着しないようにされる。
【0029】
オゾンハイドレート混合機12には、キャリアガス供給ライン27が接続される。キャリアガス供給ライン27は、圧縮キャリアガス供給装置28に接続され、圧縮キャリアガス供給装置28から空気(低湿空気)や二酸化炭素、窒素などのキャリアガスがキャリアガス供給ライン27に供給されると共にそのキャリアガスが、オゾンハイドレート混合機12に供給され、オゾンハイドレートと氷との混合物がキャリアガスと共に需要先13に散布して供給(又は噴射)されるようになっている。
【0030】
圧縮キャリアガス供給装置28からオゾンハイドレート混合機12に至るキャリアガス供給ライン27には、上流側バルブ29、圧縮キャリアガスドラム30、圧力調整弁31、下流側バルブ32が接続される。また圧縮キャリアガス供給装置28と上流側バルブ29との間、圧縮キャリアガスドラム30、圧力調整弁31と下流側バルブ32との間には、キャリアガスの圧力を検出する圧力計PGが接続される。
【0031】
次に本発明のオゾンハイドレートを用いたオゾン発生方法を説明する。
【0032】
先ず、混合物タンク10には、オゾン濃度2.23mass%のオゾンハイドレート或いは濃度2.23mass%のハイドレートに粉末状氷を予め混合したオゾンハイドレートと粉末状氷の混合物が貯蔵される。このオゾンハイドレートに粉末状氷を混合する際に、オゾンハイドレートを予めペレット状に成型しておき、このペレット状のオゾンハイドレートを混合物タンク10に何錠投入したかで、粉末状氷との混合比を簡単に設定することができる。
【0033】
次に、混合物タンク10内のオゾンハイドレートと粉末状氷の混合物に含まれる全オゾン量を所望の値とすべく粉末状氷タンク11から氷払出しポンプ14にて、氷が混合物タンク10に供給される。この際、液化炭酸ガスボンベ18から液化炭酸ガスライン17にて液化二酸化炭素が、混合物タンク10、粉末状氷タンク11内に供給されてそのタンク内温度が−25℃となるようにされる。
【0034】
混合物タンク10では、払出し管25のバルブ26を閉じ、ハイドレート撹拌兼払出しポンプ24を駆動することで、オゾンハイドレートと粉末状氷を撹拌混合する。
【0035】
オゾンハイドレートと粉末状氷の混合物は、バルブ26を介してハイドレート撹拌兼払出しポンプ24にて払出し管25から、オゾンハイドレート混合機12に供給される。またオゾンハイドレート混合機12には、圧縮キャリアガス供給装置28からの圧縮キャリアガスが供給され、導入されたオゾンハイドレートと粉末状氷の混合物と、圧縮キャリアガスが混合撹拌されて需要先13に散布などにて供給される。
【0036】
この際、圧縮キャリアガスが保有する熱容量で、オゾンハイドレートと粉末状氷の混合物が融解されないようにキャリアガス量を調整し、散布後に、オゾンハイドレートが徐々に分解されてオゾンが発生する。このオゾン濃度は、オゾンハイドレートと粉末状氷の混合物の比と、混合物とキャリアガスとの比を調整することで所望のオゾン濃度とすることができる。よって所望のオゾン濃度のオゾンを、粉末状で需要先13に連続して供給して散布することが可能となる。
【0037】
この需要先13の散布対象としては、鶏舎、牛舎やその周辺のオゾンハイドレート散布による殺菌、コンテナ内へのオゾンハイドレート散布などがあり、従来の薬剤散布に変えた種々のオゾン散布が行える。
【0038】
次に、コンテナ内に本発明を適用したときのオゾン発生を説明する。
【0039】
この場合、コンテナ内に散布するオゾンハイドレートと粉末状氷から発生するオゾンは、濃度3ppmとした例で説明する。
オゾンハイドレートと風量:
(1)オゾンハイドレート分解量とオゾン含有空気量(又はオゾンガス量)で発生するオゾン全量と処理できる量
オゾンハイドレート(オゾンハイドレートを粉末状氷で50倍に希釈)
オゾンハイドレート量(kg/h) 1
含有O3量(kg/h) 0.00045
3含有量(mass%) 0.0446
同 (ppm) 446.0
max2.23mass%に対してのO3率 0.0200
噴射圧力(MPa) 0.301
温度(℃) 20
ハイドレート融解熱(kcal/kg) l19
浄化に使用できる空気量(kg/h) 149
(Nm3/h) 116
浄化に使用できる混合O3率(ppm) 3
(2)殺菌対象としてのコンテナ
コンテナ寸法(内部)
長さL(m) 5.926
幅W(m) 2.349
高さ(H) 2.382
体積(m3) 33
処理コンテナ数(個) 1.75
オゾン含有空気供給回数 2
コンテナ1個に要するO3ハイドレート量(g/1個) 571
粉末状O3ハイドレート(cc/1個) 1,038
粉末空間率(%) 50
ハイドレートペレットサイズ(円筒)と使用個数
直径(cm) 2
長さ(cm) 3.5
個数(個/h) 47
【0040】
このように、33m3のコンテナを3ppm濃度で、オゾン殺菌するには、47個のハイドレートペレットを用いればよく、オゾン殺菌の際に、この錠剤化し−25℃で長期保存したハイドレートペレットを、オゾンハイドレートと氷の混合物タンク10に投入するだけで、安全にオゾンハイドレートを分解し、需要先のコンテナのオゾン殺菌が行える。
【符号の説明】
【0041】
10 混合物タンク
11 粉末状氷タンク
12 オゾンハイドレート混合機
13 需要先
28 圧縮キャリアガス供給装置
図1