特許第6385787号(P6385787)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385787
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】クロッシング摩耗量測定治具
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/00 20060101AFI20180827BHJP
   G01B 3/20 20060101ALI20180827BHJP
   E01B 35/00 20060101ALI20180827BHJP
   B61K 9/08 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   G01B5/00 W
   G01B5/00 R
   G01B3/20 Z
   E01B35/00
   B61K9/08
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-212308(P2014-212308)
(22)【出願日】2014年10月17日
(65)【公開番号】特開2016-80519(P2016-80519A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々 武彦
【審査官】 國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−49201(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3171691(JP,U)
【文献】 特開平8−247733(JP,A)
【文献】 特開平10−73401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00
G01B 3/20
B61K 9/08
E01B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノーズレールと、そのノーズレールの両側に位置する一対のウイングレールとを有するクロッシングの摩耗量の測定に用いるクロッシング摩耗量測定治具であって、
前記ノーズレールの先端側に形成されている側面視にて所定の曲率を有するアール部に密接する基準縁部が設けられた基準部材と、
前記アール部に前記基準縁部を密接させた姿勢で前記基準部材を前記ノーズレールに設置する設置部材と、
前記ノーズレールに設置された前記基準部材に取り付けられた状態で前記ウイングレール上に延在する測定点指標部材と、
を備え、
前記測定点指標部材には、その測定点指標部材の所定箇所から前記ウイングレールの上面までの距離を測定するべき位置を示す目印が記されていることを特徴とするクロッシング摩耗量測定治具。
【請求項2】
前記基準部材には前記測定点指標部材の取り付け位置が、前記クロッシングの番数に応じて複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載のクロッシング摩耗量測定治具。
【請求項3】
前記基準部材に取り付けられた前記測定点指標部材の姿勢を前記基準部材に対して規定する姿勢規定部材を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のクロッシング摩耗量測定治具。
【請求項4】
前記基準部材と前記測定点指標部材の少なくとも一方には、前記ウイングレールの摩耗量を測定する際に、当該クロッシング摩耗量測定治具の姿勢を定める姿勢調整手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のクロッシング摩耗量測定治具。
【請求項5】
前記基準部材の所定位置に取り付けられた前記設置部材には、前記ノーズレール側に開いた切欠溝が設けられており、前記切欠溝を前記ノーズレールに係合させることで前記基準部材を前記ノーズレールに固定する構成であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のクロッシング摩耗量測定治具。
【請求項6】
前記基準部材に取り付けられた前記設置部材の姿勢を前記基準部材に対して規定する姿勢規定部材を備えたことを特徴とする請求項5に記載のクロッシング摩耗量測定治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノーズレールとウイングレールとで構成されるクロッシングにおけるウイングレールの摩耗量の測定に用いるクロッシング摩耗量測定治具に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道の軌道には車両を他の軌道に分岐させるための分岐器が設けられている。
図7に例示する分岐器Tは、1線の線路を2線に分岐させるものであり、基準線Rから分岐線Rが分岐される構造を有している。この分岐器Tにおいて基準線Rと分岐線Rが交差している部分がクロッシングCである。
このような分岐器Tを走行する場合、図8に示すように、車輪HはクロッシングCのノーズレールNとウイングレールWの上を通過するため、車輪Hが接触するノーズレールNの上面とウイングレールWの上面に摩耗が生じる。したがって車両の安全性を確保するため、定期的にクロッシングCにおけるノーズレールNとウイングレールWの摩耗量を測定する検査が行われる。
【0003】
例えば、クロッシングを跨いで設置された主幹に沿ってスライド移動可能な移動台に支持されている測尺手段によって、主幹における基準高さ位置からクロッシングの測定点までの距離を測定することで、クロッシングの摩耗量を測定する摩耗量測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−49201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の測定装置の場合、寸法精度が要求されていないクロッシング底部の上に主幹を設置しているため、クロッシング底部の凹凸などに起因して測定誤差が生じてしまうことがあり、摩耗量の測定を高精度で行うことには限界があった。
【0006】
本発明の目的は、比較的簡易な構成で精度のよい摩耗量測定を可能にするクロッシング摩耗量測定治具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、この発明は、
ノーズレールと、そのノーズレールの両側に位置する一対のウイングレールとを有するクロッシングの摩耗量の測定に用いるクロッシング摩耗量測定治具であって、
前記ノーズレールの先端側に形成されている側面視にて所定の曲率を有するアール部に密接する基準縁部が設けられた基準部材と、
前記アール部に前記基準縁部を密接させた姿勢で前記基準部材を前記ノーズレールに設置する設置部材と、
前記ノーズレールに設置された前記基準部材に取り付けられた状態で前記ウイングレール上に延在する測定点指標部材と、
を備え、
前記測定点指標部材には、その測定点指標部材の所定箇所から前記ウイングレールの上面までの距離を測定するべき位置を示す目印が記されているようにした。
【0008】
かかる構成のクロッシング摩耗量測定治具によれば、基準部材の基準縁部をノーズレールのアール部に密接させるようにクロッシング摩耗量測定治具をクロッシング上に設置し、測定点指標部材に記されている目印の位置において、測定点指標部材の所定箇所からウイングレールの上面までの距離を測定することによって、ウイングレールの摩耗量を容易に測定することができる。例えば、測定点指標部材の目印の位置において、測定点指標部材の上端からウイングレールの上面までの距離を測定すれば、所定の計算式によってその測定値からウイングレールの摩耗量を算出して得ることができる。
特に、このクロッシング摩耗量測定治具は、設計上その曲率が定められているノーズレールの先端側のアール部を基準にしてクロッシングに設置するため、クロッシングに対するクロッシング摩耗量測定治具の姿勢を測定の度に同じ姿勢で安定させることができるので、精度のよい摩耗量測定を行うことが可能になる。
【0009】
また、望ましくは、
前記基準部材には前記測定点指標部材の取り付け位置が、前記クロッシングの番数に応じて複数設けられているようにした。
クロッシングの番数とは、分岐器における基準線と分岐線のなす角度を表すものである。そして、クロッシングは番数が異なればクロッシングの交点の位置が異なる。そのクロッシングの交点から、番数毎に定められた離隔をとった位置が摩耗量測定を行う測定位置であるので、基準部材に測定点指標部材の取り付け位置がクロッシングの番数に応じて複数設けられていれば、番数に応じて取り付け位置が替えられた測定点指標部材の目印によって、そのクロッシングの交点である測定位置を指し示すことができるので、様々な番数のクロッシングでの摩耗量測定を行うことができる。
【0010】
また、望ましくは、
前記基準部材に取り付けられた前記測定点指標部材の姿勢を前記基準部材に対して規定する姿勢規定部材を備えるようにした。
姿勢規定部材によって基準部材に対する測定点指標部材の姿勢を規定することで、基準部材と測定点指標部材との互いの姿勢を所定の配置(例えば互いに垂直となる配置)で安定させることができ、クロッシング摩耗量測定治具を安定した状態でクロッシングに設置することが可能になるので、より一層精度のよい摩耗量測定を行うことが可能になる。
【0011】
また、望ましくは、
前記基準部材と前記測定点指標部材の少なくとも一方には、前記ウイングレールの摩耗量を測定する際に、当該クロッシング摩耗量測定治具の姿勢を定める姿勢調整手段が設けられているようにした。
姿勢調整手段によってクロッシング摩耗量測定治具の姿勢を微調整して、基準部材の基準縁部をノーズレールのアール部に確実に密接させるようにするなど、摩耗量を測定する際のクロッシング摩耗量測定治具の姿勢を安定させることができるので、精度のよい摩耗量測定を行うことが可能になる。
【0012】
また、望ましくは、
前記基準部材の所定位置に取り付けられた前記設置部材には、前記ノーズレール側に開いた切欠溝が設けられており、前記切欠溝を前記ノーズレールに係合させることで前記基準部材を前記ノーズレールに固定する構成であるようにした。
基準部材の所定位置に取り付けられた設置部材の切欠溝をノーズレールに係合することで、基準部材をノーズレールに固定することができるので、クロッシング上にクロッシング摩耗量測定治具を容易に設置することができ、摩耗量測定を容易に行うことが可能になる。
【0013】
また、望ましくは、
前記基準部材に取り付けられた前記設置部材の姿勢を前記基準部材に対して規定する姿勢規定部材を備えるようにした。
姿勢規定部材によって基準部材に対する設置部材の姿勢を規定することで、基準部材と設置部材との互いの姿勢を所定の配置(例えば互いに垂直となる配置)で安定させることができ、クロッシング摩耗量測定治具を安定した状態でクロッシングに設置することが可能になるので、より一層精度のよい摩耗量測定を行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、精度のよい摩耗量測定を可能にするクロッシング摩耗量測定治具を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態のクロッシング摩耗量測定治具を示す斜視図である。
図2】本実施形態のクロッシング摩耗量測定治具を示す側面図である。
図3】クロッシング摩耗量測定治具の基準部材を示す側面図である。
図4】クロッシング摩耗量測定治具の設置部材を示す正面図である。
図5】クロッシング摩耗量測定治具の測定点指標部材を示す正面図である。
図6】クロッシング摩耗量測定治具を用いた摩耗量測定に関する説明図である。
図7】基準線から分岐線が分岐される構造の分岐器に関する説明図である。
図8図7のVIII−VIII線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係るクロッシング摩耗量測定治具の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0017】
図1は、本実施形態のクロッシング摩耗量測定治具を示す斜視図であり、図2は側面図である。
このクロッシング摩耗量測定治具は、ノーズレールNと、ノーズレールNの両側に位置するウイングレールWとを有するクロッシングCの摩耗量の測定に用いられる。
ノーズレールNの先端側には、側面視にて所定の曲率を有するアール部Nが形成されている(図6参照)。このアール部Nは、設計上その曲率が定められており、また摩耗などにより変形し難い箇所であるので、クロッシングCの摩耗量を測定する際にクロッシングCに設置するクロッシング摩耗量測定治具の向きや姿勢を定めるための基準として、ノーズレールNのアール部Nを利用する。
【0018】
なお、クロッシングCには、マンガン製の他、レール鋼を用いた組み立てクロッシング、溶接クロッシング、圧接クロッシングもある。また、マンガンクロッシングには一般的なものの他に、K字クロッシングがある。また、各クロッシングには、60Kgレール用クロッシング、50Nレール用クロッシングなどのタイプがある。各種クロッシングごとにノーズレールNのアール部Nの曲率が定められているので、クロッシング毎にクロッシング摩耗量測定治具が用意される。
本実施形態では、60Kgマンガンクロッシング用のクロッシング摩耗量測定治具について説明する。
【0019】
クロッシング摩耗量測定治具100は、例えば図1図2に示すように、クロッシングの摩耗量測定に要する目盛などが彫り込まれている基準部材10と、基準部材10に組み付けられる設置部材20と測定点指標部材30とを備えている。
この基準部材10、設置部材20、測定点指標部材30は、例えば、亜鉛メッキ鋼板などの鋼板によって形成された板状の部材である。
【0020】
基準部材10は、図3に示すように、下辺部の略中央側に設けられた基準縁部10aを挟んで一端側が細く、他端側が太い形状を呈する板状部材である。
具体的に、基準部材10の下辺部の略中央側にR曲線を有する基準縁部10aが設けられている。この基準縁部10aは、ノーズレールNのアール部Nに密接するR形状(例えば、曲率半径54mmのR形状)に形成されている。
【0021】
基準部材10の上辺部の略中央には、設置部材20を取り付けるための第1スリット11が形成されている。第1スリット11の幅は鋼板の厚みに相当する。
また、基準部材10の一端側の上辺部には、測定点指標部材30を取り付けるための第2スリット12が形成されている。第2スリット12の幅は鋼板の厚みに相当する。測定点指標部材30の取り付け位置となる第2スリット12は、クロッシングの番数に応じて複数設けられている。ここでは、番数「8」「9」「10」「12」「14」「16」「20」に対応する7箇所に第2スリット12が設けられている。
クロッシングの番数とは、分岐器における基準線と分岐線のなす角度を表すものであり、基準線と分岐線の開き具合が番数によって表されている。
60Kgマンガンクロッシングであっても番数が異なればクロッシングの交点の位置が異なる。そのクロッシングの交点が摩耗量測定を行う測定点であるので、測定点指標部材30によってクロッシングの番数に応じた測定点(交点)を指し示すために、測定点指標部材30の取り付け位置である第2スリット12が番数毎に設けられている。
【0022】
そして、番数に応じた測定点指標部材30の取り付け位置を認識しやすいように、各第2スリット12の下側に番数を示す第一刻印12aが設けられている。
また、第一刻印12aの下側に番数に応じた補正値を示す第二刻印12bが設けられている。番数が異なればクロッシングの交点の位置も異なるので、その交点位置に応じて補正値も異なる。例えば、番数「8」の補正値は3.8mm、番数「9」の補正値は3.5mm、番数「10」の補正値は3.2mm、番数「12」の補正値は2.6mm、番数「14」の補正値は2.1mm、番数「16」の補正値は1.5mm、番数「20」の補正値は0.4mmである。この第二刻印12bで示されている補正値は、クロッシング摩耗量測定治具100を用いた摩耗量測定における計算式に用いるものである。摩耗量測定した実測値からこの補正値を減算することで、クロッシングCの摩耗量を算出して得ることができる。
また、このクロッシング摩耗量測定治具100は、治具の上部からレール頭頂面までの距離が40mmとなるように設計されており、基準部材10には、治具上部からレール頭頂面までの距離が「40mm」であることを示す刻印が設けられている。
【0023】
基準部材10の他端側の下辺部には、測定対象のクロッシングの番数を確認する作業に使用する“クロッシング番数と交点からの距離”に関する目盛13が設けられている。ここで、“クロッシング番数と交点からの距離”の番数「8」の目盛13は、番数「8」の第2スリット12から水平方向に「136mm」の位置を示している。
例えば、クロッシングCには「60K−8」というように「番数8の60Kgマンガンクロッシング」であることを示す表示が付されているが、その表示が不鮮明な場合(或いは表示が無い)でもクロッシングの番数を確認することが可能なように、クロッシングCのノーズレールNの先端の近傍には番数を示すためのマーク(図示省略)が刻み込まれている。そして、基準部材10の基準縁部10aをノーズレールNのアール部Nに密着させた姿勢でクロッシング摩耗量測定治具100をクロッシングCに設置した際に、そのマークの位置に番数「8」の目盛13が一致した場合、そのクロッシングCの番数は「8」であることが分かるようになっている。
【0024】
また、基準部材10の他端側には、クロッシングCに設置したクロッシング摩耗量測定治具100の姿勢を安定させる姿勢調整手段50が設けられている。
姿勢調整手段50は、基準部材10に固設されている雌ねじ部50aと、雌ねじ部50aに螺挿されている雄ねじ部50bとで構成されている。
【0025】
また、基準部材10の一端側の下辺部には、基準縁部10aをノーズレールNのアール部Nに密着させた姿勢において、基準部材10とノーズレールNの間に隙間をもたせるための間隙部14が設けられている。
この間隙部14が設けられていることによって、ノーズレールNの上面にフローが生じている場合でも、そのフローを避けるように基準部材10をノーズレールNの所定箇所に設置することができる。
【0026】
設置部材20は、ノーズレールNのアール部Nに基準縁部10aを密接させた姿勢の基準部材10をノーズレールNに設置するためのものである。
設置部材20は、図4に示すように、その下辺部の中央側に形成された切込み部分を挟んで左右対称な形状を呈する板状部材である。
この切込み部分は、設置部材20の下辺部から上方へ向けて形成されており、比較的幅広に形成された切欠溝21と、切欠溝21の奥側に形成された組付スリット22とを有している。なお、組付スリット22の幅は鋼板の厚みに相当する。
この設置部材20の組付スリット22を基準部材10の第1スリット11に嵌め合わせるように、基準部材10に対して垂直向きに設置部材20を組み付けることで、基準部材10に設置部材20を取り付けることができる。
【0027】
切欠溝21の幅は所定値α(例えば、α=16mm)の寸法に形成され、その切欠溝21の開口部分は左右にそれぞれ所定角度θ(例えば、θ=11.3°)で開いた末広がりの形状を呈している。これはノーズレールNの先端側は頭頂面よりも下方ほど幅が広くなる形状を有しており、ノーズレールNの頭頂面から下にβ(例えば、β=29mm)の位置でのノーズ幅がα(α=16mm)であって、その末広がりの角度がθ(θ=11.3°)であることが各種マンガンクロッシングで共通であることによる。このように設置部材20の切欠溝21が寸法調整されていれば、基準部材10の所定位置に取り付けられた設置部材20の切欠溝21をノーズレールNに係合させることで、設置部材20がノーズレールNに固定されるようになる。
つまり、基準部材10に取り付けられている設置部材20の切欠溝21をノーズレールNに係合させて設置部材20をノーズレールNに固定することで、設置部材20を介して基準部材10をノーズレールNに固定することができるようになっている。
【0028】
また、設置部材20の組付スリット22の近傍には、基準部材10に取り付けられた設置部材20の姿勢を基準部材10に対して規定する姿勢規定部材40が設けられている。
姿勢規定部材40は、例えば、設置部材20にネジなどで固定された磁石である。この姿勢規定部材40としての磁石は直方体形状を有しており、設置部材20の板面に垂直な面を組付スリット22に沿わす配置に固定されている。
そして、設置部材20の組付スリット22を基準部材10の第1スリット11に嵌め合わせて、基準部材10に設置部材20を組み付けると、姿勢規定部材40としての磁石の磁力によって基準部材10と設置部材20とがくっ付くことで、基準部材10と設置部材20とが互いに垂直な姿勢で安定するようになる(図1図2参照)。
【0029】
測定点指標部材30は、図5に示すように、その下辺部の中央側に形成された切込み部分を挟んで左右対称な形状を呈する板状部材であり、左右にそれぞれ延在した腕部33を有している。
この切込み部分は、測定点指標部材30の下辺部から上方へ向けて形成されており、比較的幅広に形成された切欠溝31と、切欠溝31の奥側に形成された組付スリット32とを有している。なお、組付スリット32の幅は鋼板の厚みに相当する。
この測定点指標部材30の組付スリット32を基準部材10の第2スリット12に嵌め合わせるように、基準部材10に対して垂直向きに測定点指標部材30を組み付けることで、基準部材10に測定点指標部材30を取り付けることができる。
なお、切欠溝31の幅は、測定点指標部材30が7つの第2スリット12の何れに取り付けられた場合でも、ノーズレールNを跨ぐことができる寸法に形成されている。
【0030】
また、測定点指標部材30の組付スリット32の近傍には、基準部材10に取り付けられた測定点指標部材30の姿勢を基準部材10に対して規定する姿勢規定部材40が設けられている。
姿勢規定部材40は、例えば、測定点指標部材30にネジなどで固定された磁石である。この姿勢規定部材40としての磁石は直方体形状を有しており、測定点指標部材30の板面に垂直な面を組付スリット32に沿わす配置に固定されている。
そして、測定点指標部材30の組付スリット32を基準部材10の第2スリット12に嵌め合わせて、基準部材10に測定点指標部材30を組み付けると、姿勢規定部材40としての磁石の磁力によって基準部材10と測定点指標部材30とがくっ付くことで、基準部材10と測定点指標部材30とが互いに垂直な姿勢で安定するようになる(図1図2参照)。
【0031】
また、測定点指標部材30の腕部33には、クロッシングCに設置したクロッシング摩耗量測定治具100の姿勢を安定させる姿勢調整手段50が設けられている。
姿勢調整手段50は、基準部材10に固設されている雌ねじ部50aと、雌ねじ部50aに螺挿されている雄ねじ部50bとで構成されている。
【0032】
また、測定点指標部材30の腕部33の下辺部には、基準縁部10aをノーズレールNのアール部Nに密着させた姿勢の基準部材10に取り付けられている測定点指標部材30とウイングレールWの間に隙間をもたせるための間隙部34が設けられている。
この間隙部34が設けられていることによって、ウイングレールWの上面にフローが生じている場合でも、そのフローを避けるように測定点指標部材30をウイングレールWの所定箇所に設置することができる。
【0033】
また、測定点指標部材30の腕部33の下辺部には、ウイングレールWの摩耗量を測定するべき位置を示す目印35が記されている。この目印35は、間隙部34の縁を切り欠いた短いスリット状に形成されて設けられている。
【0034】
次に、本実施形態のクロッシング摩耗量測定治具100を用いて行うクロッシングの摩耗量測定について説明する。
このクロッシング摩耗量測定治具100は、ノーズレールNの両側にウイングレールWが設けられているクロッシングCの摩耗量として、ウイングレールWの摩耗量を測定するために用いられる。
本実施形態では「番数12の60Kgマンガンクロッシング」の摩耗量の測定を例に説明する。
【0035】
まず、基準部材10の第1スリット11に設置部材20を取り付け、また基準部材10の番数「12」の第2スリット12に測定点指標部材30を取り付けて、クロッシング摩耗量測定治具100を組み立てる。
そして、基準部材10の基準縁部10aをノーズレールNのアール部Nに位置合わせするように、クロッシング摩耗量測定治具100をクロッシングCに設置する。このとき、基準部材10の姿勢調整手段50の雄ねじ部50bの下部先端はクロッシングCの溝の底面に突き当たり、また測定点指標部材30の姿勢調整手段50の雄ねじ部50bの下部先端はウイングレールWの上面に突き当たるようになっている。
【0036】
次いで、各姿勢調整手段50の雄ねじ部50bを螺進・螺退させるようにして、雄ねじ部50bの下部先端の突出量を調整することでクロッシング摩耗量測定治具100の姿勢を調整する。
具体的には、基準部材10の基準縁部10aがノーズレールNのアール部Nに密接する状態となるようにクロッシング摩耗量測定治具100の姿勢を調整し、クロッシング摩耗量測定治具100がクロッシングCの摩耗量を測定する際の姿勢として安定させる。
このとき、基準部材10の間隙部14はノーズレールNの上面と離間し、測定点指標部材30の間隙部34はウイングレールWの上面と離間している。
【0037】
次いで、基準部材10に設けられている番数「12」の第2スリット12の位置であって、測定点指標部材30が交差する箇所でノーズレールNの上面までの距離を測定する。具体的には、基準部材10と測定点指標部材30とが交差している第2スリット12を基点に測定点指標部材30の上端30aからノーズレールNの上面までの垂直方向の距離をノギスなどの摩耗測定器を用いて測定する。
ここで、クロッシング摩耗量測定治具100の上部からレール頭頂面までの距離は40mmであるため、その40mm分の原点調整を行ったノギスによって、測定点指標部材30の上端30aからのノーズレールNの上面までの距離を測定する。
その測定距離が4.14mmであった場合、番数「12」の補正値は2.6mmであるので、測定値(4.14mm)から補正値(2.6mm)を差し引いた1.54mm(=4.14−2.6)が、このクロッシングCのノーズレールNの摩耗量である。
こうして、クロッシングCの摩耗量としてのノーズレールNの摩耗量の測定を行うことができる。
【0038】
なお、ここではクロッシング摩耗量測定治具100の上部からレール頭頂面までの距離である、40mm分の原点調整を行ったノギスによって摩耗量測定を行ったが、原点調整を行っていないノギスによる測定値44.14mmから原点調整分の40mmと補正値の2.6mmを差し引くことによって、摩耗量1.54mm(=44.14−42.6)を算出するようにしてもよい。
【0039】
次いで、測定点指標部材30に設けられている目印35の位置において、測定点指標部材30の上端30aからウイングレールWの上面までの距離を測定する。
具体的には、測定点指標部材30の上端30aからウイングレールWの上面までの距離として、測定点指標部材30の表面に沿って目印35を通過する垂直方向の距離をノギスなどの摩耗測定器を用いて測定する。
ここで、クロッシング摩耗量測定治具100の上部からレール頭頂面までの距離は40mmであるが、ウイングレールWの上面はレール頭頂面より一義的に1.9mm高く設定されているので、38.1mm分の原点調整を行ったノギスによって、測定点指標部材30の上端30aからウイングレールWの上面までの距離を測定する。
その測定距離が1mmであった場合、この1mmがクロッシングCのウイングレールWの摩耗量である。
こうして、クロッシングCの摩耗量としてのウイングレールWの摩耗量の測定を行うことができる。
【0040】
なお、ここではクロッシング摩耗量測定治具100の上部からレール頭頂面までの距離である、38.1mm分の原点調整を行ったノギスによって摩耗量測定を行ったが、原点調整を行っていないノギスによる測定値41mmから原点調整分の38.1mmと補正値の1.9mmを差し引くことによって、摩耗量1mm(=41−40)を算出するようにしてもよい。
【0041】
このように、本実施形態のクロッシング摩耗量測定治具100を用いれば、クロッシングCの番数に応じた測定位置での摩耗量測定を容易に行うことができ、その測定値と予め定められている補正値とからウイングレールWの摩耗量を算出して得ることができる。
【0042】
以上のように、基準部材10の基準縁部10aをノーズレールNのアール部Nに密接させるようにクロッシング摩耗量測定治具100をクロッシングC上に設置し、測定点指標部材30に設けられている目印35の位置において、測定点指標部材30の上端30aからウイングレールWの上面までの距離を測定することによって、ウイングレールWの摩耗量を容易に測定することができる。
特に、このクロッシング摩耗量測定治具100は、設計上その曲率が定められているノーズレールNの先端側のアール部Nを基準にしてクロッシングCに設置するため、クロッシングCに対するクロッシング摩耗量測定治具100の姿勢を測定の度に同じ姿勢で安定させることができるので、精度のよい摩耗量測定を行うことが可能になる。
【0043】
なお、以上の実施の形態においては、姿勢規定部材40として磁石を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、基準部材10に対し設置部材20と測定点指標部材30とをそれぞれ垂直な向きに組み付けることができるものであれば、姿勢規定部材40は例えばクリップなど任意の部材であってよい。
【0044】
また、以上の実施の形態においては、姿勢規定部材40は設置部材20と測定点指標部材30にそれぞれ固定されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、姿勢規定部材40は基準部材10側に固定されていてもよい。
【0045】
また、以上の実施の形態においては、測定点指標部材30の表面に沿って目印35を通過する垂直方向の距離を測定して摩耗量を算出するようにしたが、測定点指標部材30の裏面に沿って目印35を通過する垂直方向の距離も測定して、表面側の摩耗量と裏面側の摩耗量の平均値を真の摩耗量として取り扱うようにしてもよい。
【0046】
なお、本発明の適用は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0047】
10 基準部材
10a 基準縁部
11 第1スリット
12 第2スリット
13 目盛
14 間隙部
20 設置部材
21 切欠溝
22 組付スリット
30 測定点指標部材
30a 上端(所定箇所)
31 切欠溝
32 組付スリット
33 腕部
34 間隙部
35 目印
40 姿勢規定部材
50 姿勢調整手段
50a 雌ねじ部
50b 雄ねじ部
100 クロッシング摩耗量測定治具
C クロッシング
N ノーズレール
アール部
W ウイングレール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8