(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記車両の状態がアイドル状態、またはアイドルストップ状態と判定したことによって前記燃料ポンプを停止させてから、第2の所定時間経過後に前記燃料ポンプを起動させる、
請求項1または請求項2記載の燃料供給システム。
前記制御装置は、前記第2の所定時間経過後に前記燃料ポンプを起動させてから、予め設定された所定時間に基づいて、または前記蓄圧装置の容量と前記燃料ポンプの吐出量と前記内燃機関の消費燃料量とに基づいて、第3の所定時間を算出し、前記算出した第3の所定時間経過後に、前記燃料ポンプを再度停止させる、
請求項3記載の燃料供給システム。
前記制御装置は、前記燃料ポンプを起動させた後に、前記蓄圧装置の容量と前記燃料ポンプの吐出量と前記内燃機関の燃料消費量とに基づいて、第3の所定時間を算出し、前記算出した第3の所定時間経過後に、前記燃料ポンプを再度停止させる、
請求項5記載の燃料供給システム。
前記制御装置は、取得したバッテリ電圧、車両周辺の環境温度、前記燃料ポンプ内の燃料温度および前記車両の累積走行時間のうち少なくとも1つ以上の情報と前記燃料ポンプの燃料吐出性能とに基づいて前記第1の所定流量を導出し、前記導出した結果のうち1つ以上の結果に基づいて、前記第1の所定流量を決定する、
請求項5または請求項6記載の燃料供給システム。
前記制御装置は、取得したエンジン回転数、スロットル開度、燃料噴射量の開弁時間、車両周辺の環境温度、および前記燃料ポンプ内の燃料温度のうち少なくとも1つ以上の情報と、前記蓄圧装置の容量とに基づいて、前記第1の所定時間と第2の所定時間とのうち、少なくとも1つ以上の所定時間を導出し、前記導出した結果のうち1つ以上の結果に基づいて、前記第1の所定時間と前記第2の所定時間のうち少なくとも1つ以上の所定時間を決定する、
請求項5から7のうちいずれか1項記載の燃料供給システム。
前記制御装置は、取得したエンジン回転数、スロットル開度、燃料噴射量の開弁時間、車両周辺の環境温度、および前記燃料ポンプ内の燃料温度のうち少なくとも1つ以上の情報と、前記蓄圧装置の容量とに基づいて、前記第3の所定時間を導出し、前記導出した結果のうち1つ以上の結果に基づいて、前記第3の所定時間を決定する、
請求項6記載の燃料供給システム。
前記制御装置は、スロットル開度を取得し、取得したスロットル開度が所定以上であるか否か、および前記燃料ポンプが起動しているか否かを判定し、前記スロットル開度が所定以上であり、前記燃料ポンプが起動状態であると判定した場合、前記燃料ポンプの起動状態を維持する、
請求項5から9のうちいずれか1項記載の燃料供給システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の電子制御式燃料噴射装置では、構成する部品が多く、高価で複雑なシステムによって、燃料ポンプの起動または停止の制御を行い燃料ポンプの消費電力の低減を実現している場合があった。
【0005】
この発明は、このような事情を鑑みてなされたものであって、より簡潔に燃料ポンプを制御することにより消費電力を低減することができる燃料供給システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係る燃料供給システムは、内燃機関に燃料を供給する燃料噴射装置に燃料を圧送する燃料ポンプと、前記燃料ポンプと連通する蓄圧装置と、前記燃料噴射装置と前記燃料ポンプと前記蓄圧装置とを連通させる配管と
、車両の状態を判定し、判定結果に基づいて前記燃料ポンプを制御することを含む処理を行う1以上の制御装置と、前記燃料ポンプに設けられ、前記配管内の圧力が所定値以下となるように圧力を開放する圧力調整装置と、を備える燃料供給システムであって、
前記蓄圧装置が前記燃料ポンプと前記圧力調整装置の間に前記配管を介して連結され、かつ、前記蓄圧装置と前記燃料ポンプと前記圧力調整装置とが燃料タンク内に設けられ、前記制御装置は、前記車両の状態が、アイドル状態、アイドルストップ状態、またはアイドル状態から走行状態に移行した状態のいずれであるかを判定し、前記車両の走行状態がアイドル状態、またはアイドルストップ状態であると判定した場合には、前記車両の状態がアイドル状態、またはアイドルストップ状態であると判定したと同時に前記燃料ポンプを停止させ、前記車両の走行状態がアイドル状態から走行状態に移行したと判定した場合には、前記前記車両の走行状態がアイドル状態から走行状態に移行したと判定したと同時に燃料ポンプを起動させることを特徴とする。
【0007】
このように構成することで、車両の状態に応じて燃料ポンプを起動または停止制御することができる。このため、より簡潔に燃料ポンプを制御することにより消費電力を低減する燃料供給システムを提供できる。
【0008】
本発明に係る燃料供給システムにおいて、前記制御装置は、前記車両の状態がアイドル状態、またはアイドルストップ状態であると判定した場合には、前記車両の状態がアイドル状態、またはアイドルストップ状態であると判定したと同時に前記燃料ポンプを停止させるのに代えて、前記車両の状態がアイドル状態、またはアイドルストップ状態であると判定してから第1の所定時間経過後に前記燃料ポンプを停止させることを特徴とする。
【0009】
このように構成することで、蓄圧装置に十分な燃料が蓄えられた後に燃料ポンプを停止制御するため、より簡潔に燃料ポンプの駆動を制御する燃料供給システムを提供できる。
【0010】
本発明に係る燃料供給システムにおいて、前記制御装置は、前記車両の状態がアイドル状態、またはアイドルストップ状態と判定したことによって前記燃料ポンプを停止させてから、第2の所定時間経過後に前記燃料ポンプを起動させることを特徴とする。
【0011】
このように構成することで、蓄圧装置に蓄えられた残燃料が少なくなった場合、より簡潔に燃料ポンプを起動制御するため、エンジンが必要とする燃料を適切に供給する燃料供給システムを提供できる。
【0012】
本発明に係る燃料供給システムにおいて、前記制御装置は、前記第2の所定時間経過後に前記燃料ポンプを起動させてから、予め設定された所定時間に基づいて、または前記蓄圧装置の容量と前記燃料ポンプの吐出量と前記内燃機関の消費燃料量とに基づいて、第3の所定時間を算出し、前記算出した第3の所定時間経過後に、前記燃料ポンプを再度停止させることを特徴とする。
【0013】
このように構成することで、蓄圧装置に燃料が蓄えられた場合は、簡潔、且つ適切に燃料ポンプを停止制御する燃料供給システムを提供できる。
【0014】
本発明の他の態様の燃料供給システムにおいて、内燃機関に燃料を供給する燃料噴射装置に燃料を圧送する燃料ポンプと、前記燃料ポンプと連通する蓄圧装置と、前記燃料噴射装置と前記燃料ポンプと前記蓄圧装置とを連通させる配管と、車両の状態を判定し、判定結果に基づいて前記燃料ポンプを制御することを含む処理を行う1以上の制御装置と、前記燃料ポンプに設けられ前記配管内の圧力が所定値以下となるように圧力を開放する圧力調整装置と、を備える燃料供給システムであって、
前記蓄圧装置が前記燃料ポンプと前記圧力調整装置の間に前記配管を介して連結され、かつ、前記蓄圧装置と前記燃料ポンプと前記圧力調整装置とが燃料タンク内に設けられ、前記制御装置は、前記内燃機関の作動時における前記内燃機関の燃料消費量を推定または計測し、前記推定または計測した内燃機関の燃料消費量が第1の所定流量未満であるか否かを判定し、前記第1の所定流量未満であると判定した場合には、前記第1の所定流量未満であると判定してから第1の所定時間後に前記燃料ポンプを停止させ、前記燃料ポンプを停止させた後から第2の所定時間経過後に前記燃料ポンプを起動させることを特徴とする。
【0015】
このように構成することで、内燃機関の燃料消費量および燃料消費量から算出した所定時間に基づいて、燃料ポンプの起動または停止制御を行う。このため、より簡潔に燃料ポンプを制御することにより消費電力を低減する燃料供給システムを提供できる。
【0016】
本発明の他の態様の燃料供給システムにおいて、前記制御装置は、前記燃料ポンプを起動させた後に、前記蓄圧装置の容量と前記燃料ポンプの吐出量と前記内燃機関の燃料消費量とに基づいて、第3の所定時間を算出し、前記算出した第3の所定時間経過後に、前記燃料ポンプを再度停止させることを特徴とする。
【0017】
このように構成することで、蓄圧装置に十分な燃料が蓄えられた後に燃料ポンプは停止制御される。このため、簡潔、且つ適切に燃料ポンプを制御することにより消費電力を低減する燃料供給システムを提供できる。
【0018】
本発明の他の態様の燃料供給システムにおいて、前記制御装置は、取得したバッテリ電圧、車両周辺の環境温度、前記燃料ポンプ内の燃料温度および前記車両の累積走行時間のうち少なくとも1つ以上の情報と前記燃料ポンプの燃料吐出性能とに基づいて前記第1の所定流量を導出し、前記導出した結果のうち1つ以上の結果に基づいて、前記第1の所定流量を決定することを特徴とする。
【0019】
このように構成することで、より精度良く燃料ポンプが吐出する燃料量を算出することができる。このため、より適切に燃料ポンプを制御して消費電力を低減する燃料供給システムを提供できる。
【0020】
本発明の他の態様の燃料供給システムにおいて、前記制御装置は、取得したエンジン回転数、スロットル開度、燃料噴射量の開弁時間、車両周辺の環境温度、および前記燃料ポンプ内の燃料温度のうち少なくとも1つ以上の情報と、前記蓄圧装置の容量とに基づいて、前記第1の所定時間と第2の所定時間とのうち、少なくとも1つ以上の所定時間を導出し、前記導出した結果のうち1つ以上の結果に基づいて、前記第1の所定時間と前記第2の所定時間のうち少なくとも1つ以上の所定時間を決定することを特徴とする。
【0021】
このように構成することで、より精度良く内燃機関により消費される燃料量を算出することができる。このため、より適切に燃料ポンプを制御して消費電力を低減する燃料供給システムを提供できる。
【0022】
本発明の他の態様の燃料供給システムにおいて、前記制御装置は、取得したエンジン回転数、スロットル開度、燃料噴射量の開弁時間、車両周辺の環境温度、および前記燃料ポンプ内の燃料温度のうち少なくとも1つ以上の情報と、前記蓄圧装置の容量とに基づいて、前記第3の所定時間を導出し、前記導出した結果のうち1つ以上の結果に基づいて、前記第3の所定時間を決定することを特徴とする。
【0023】
このように構成することで、より精度良く内燃機関により消費される燃料量を算出することができる。このため、より適切に燃料ポンプを制御して消費電力を低減する燃料供給システムを提供できる。
【0024】
本発明の他の態様の燃料供給システムにおいて、前記制御装置は、スロットル開度を取得し、取得したスロットル開度が所定以上であるか否か、および前記燃料ポンプが起動しているか否かを判定し、前記スロットル開度が所定以上であり、前記燃料ポンプが起動状態であると判定した場合、前記燃料ポンプの起動状態を維持することを特徴とする。
【0025】
このように構成することで、内燃機関の回転数や、内燃機関による出力が高くなる場合は、燃料ポンプの起動制御を維持するため、より適切に燃料をエンジンに供給することができる。
【0026】
本発明の他の態様の燃料供給システムにおいて、前記内燃機関の始動直後から所定時間経過
するまでの間、または
エンジン制御装置から暖機運転の終了に対応する信号を取得していない間は、前記燃料ポンプの起動状態を維持することを特徴とする。
【0027】
このように構成することで、内燃機関が安定状態でない場合は、燃料ポンプの起動制御を維持する。より適切に燃料ポンプを制御するため、適切に消費電力を低減する燃料供給システムを提供できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、より簡潔に燃料ポンプを制御することにより消費電力を低減する燃料供給システムを提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明における「燃料供給量」、および「燃料消費量」は、例えば単位時間あたりの量である。
【0031】
[第1の実施形態]
(構成)
図1は、燃料供給システム10を含む車両1の概略構成図である。
同図に示すように、車両1は、例えば自動二輪車である。車両1は、燃料供給システム10と、燃料噴射装置50と、エンジン60と、検出センサ群70と、エンジン制御装置(ECU)80とを備える。エンジン60は、ガソリン等の燃料を内部で燃焼させることで動力を出力する内燃機関である。燃料供給システム10は、燃料タンク52内の燃料を燃料噴射装置50へ供給する。燃料噴射装置50は、エンジン制御装置80の制御信号に基づいて、所定時間、エンジン60の燃焼室62へ導通する吸気通路68に燃料を噴射する。噴射された燃料は、吸気通路68を流れる吸気と混合され混合気となる。混合気が、燃焼室62へ充填されて燃焼することにより、ピストン66が往復運動して、エンジン60の出力軸であるクランクシャフト64が回転する。燃焼後の混合気は、排気として排気通路69から流れ出る。以下、先に検出センサ群70およびエンジン制御装置80について説明した後、燃料供給システム10について説明する。
【0032】
検出センサ群70は、例えば、スロットル開度センサ72、クランク角センサ73、吸入管負圧センサ74、O
2センサ75、その他センサ76などを含む。スロットル開度センサ72は、吸気通路68内の空気の通過量を調節するスロットルバルブの開度を検出する。クランク角センサ73は、回転運動を行うクランクシャフト64の回転角を検出する。吸入管負圧センサ74は、吸気通路68内の負圧を検出する。O
2センサ75は、例えば排気マニホールドに設けられる。O
2センサ75は、エンジン60から排出された排気ガス中の酸素量を検出する。その他センサ76は、例えば、アクセル開度センサや、車速センサ、シフト位置センサなどを含む。各センサによる検出結果は、エンジン制御装置80に入力される。
【0033】
エンジン制御装置80は、検出センサ群70により検出された検出結果に基づいて、エンジン60を運転するための制御を行う。エンジン制御装置80は、例えば、エンジン制御装置80は、クランク角センサ73により出力された信号をカウントすることにより、エンジン60の回転数を算出し、算出したエンジン60の回転数に基づいて、燃料供給システム10の起動および停止や、燃料噴射装置50の開弁時間、エンジン60の点火時期などの制御を行う。
【0034】
燃料供給システム10は、蓄圧装置20と、燃料ポンプ30と、圧力調整装置32と、配管34と、制御装置40とを備える。蓄圧装置20と、燃料ポンプ30と、圧力調整装置32とは、配管34を介して連結され、例えば燃料タンク52内に設けられる。
【0035】
蓄圧装置20は、配管34を介して燃料ポンプ30および圧力調整装置32と連通している。蓄圧装置20としては、例えば、ブラダ型アキュムレータや、ダイヤフラム型アキュムレータ、ピストン型アキュムレータ、エキスパッションタンク型アキュムレータ、ベローズ型アキュムレータなどを用いることができる。
【0036】
蓄圧装置20は、例えば筐体21と、受圧部22と、燃料流入出部23とを備える(詳しくは、
図9等を用いて後述する)。筐体21内には、受圧部22が配置されている。受圧部22は、例えば内部に気体が注入された弾性体のブラダ22である。燃料流入出部23は、配管34との接続部に設けられた燃料が流入出するための開口部である。配管34内の圧力が所定の圧力以上となると、ブラダ22内の気体が圧縮されることによりブラダ22の体積が減少する。これにより、燃料ポンプ30から圧送された燃料が燃料流入出部23を介して、筐体21内に蓄えられる。蓄圧装置20では、配管34内の圧力が所定の圧力未満となると、ブラダ22内で圧縮された気体が膨張する。これにより、筐体21内に蓄えられていた燃料が燃料流入出部23を介して配管34へ放出される。放出された燃料は、燃料噴射装置50へ圧送される。なお、受圧部は、受圧部が受圧する圧力に応じて、初期位置と所定位置とを往復することによって、燃料を蓄圧または放出するものであればよく、例えば弾性体や、スプリングを含む。
【0037】
燃料ポンプ30は、制御装置40の制御信号に基づいて内部のモータが駆動されることにより、燃料タンク52内の燃料を、配管34を介して燃料噴射装置50に圧送する。
【0038】
圧力調整装置32は、配管34を介して蓄圧装置20、燃料ポンプ30、および燃料噴射装置50と連通している。圧力調整装置32は、配管34内の圧力が所定以下となるように圧力を調整する。圧力調整装置32は、配管34内の圧力が所定の圧力を超えた場合、開弁して配管34内の燃料を燃料タンク52内にリリーフする。このように、圧力調整装置32が、配管34内の圧力を調整するため、燃料が燃料噴射装置50に一定の圧力で送られる。
【0039】
制御装置40とエンジン制御装置80との間では、例えば車両内LANなどのネットワークを介した通信が行われる。制御装置40は、エンジン制御装置80により出力された信号に基づいて、燃料ポンプ30のモータを駆動する。制御装置40が、燃料ポンプの起動または停止およびモータの回転数を制御することにより、燃料ポンプ30が配管34へ圧送する燃料供給量が調整される。また、制御装置40の記憶部には、燃料ポンプ30の仕様や、蓄圧装置20の仕様が記憶される。制御装置40が実行する処理の詳細は後述する。
【0040】
(動作)
図2は、制御装置40により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。本フローチャートの処理が行われる場面では、蓄圧装置20に所定量以上の燃料が蓄えられているものとする。
【0041】
まず、制御装置40は、エンジン制御装置80から車両1の状態を取得する(ステップS100)。なお、車両1の状態とは、例えば車両1に備えられた検出センサ群70により検出された検出結果、エンジン制御装置80により算出されたエンジン60の回転数等である。次に、制御装置40は、エンジン制御装置80により検出された車両1の状態に基づいて、車両1がアイドル状態であるか、またはアイドルストップ状態であるか否かを判定する(ステップS102)。制御装置40は、例えばスロットル開度、エンジン回転数、車速、またはアクセル開度がゼロに近い場合や、所定値以下の場合など、アイドル状態またはアイドルストップ状態であると判定する。車両1がアイドル状態またはアイドルストップ状態でないと判定した場合、本フローチャートの1ルーチンは終了する。
【0042】
車両1がアイドル状態またはアイドルストップ状態であると判定した場合、制御装置40は、判定と同時に燃料ポンプ30を停止させる(ステップS104)。次に、制御装置40は、車両1が走行状態に移行したか否かを判定する(ステップS106)。走行状態に移行していない場合、本フローチャートの1ルーチンは終了する。走行状態に移行した場合、制御装置40は、判定と同時に燃料ポンプ30を起動させる(ステップS108)。これにより、本フローチャートの1ルーチンが終了する。
【0043】
このように、制御装置40は、アイドル状態、またはアイドルストップ状態の場合は、燃料ポンプ30を停止させて、蓄圧装置20から燃料を燃料噴射装置50へ供給する。走行状態に移行した場合に燃料ポンプ30を起動させて、燃料ポンプ30から燃料を燃料噴射装置50へ供給する。このように、燃料ポンプ30の運転を適切に制御するため、燃料ポンプ30が消費する消費電力を低減させることができる。
【0044】
例えば燃料供給システム10おいて、燃料ポンプ30が圧送する最低補償流量と燃料噴射装置50の噴射により消費される燃料の平均流量との差分の燃料は、蓄圧装置20に蓄えられる。蓄えられた燃料は、車両1の状態に応じて使用される。例えば、車両1の状態がアイドル状態の場合、燃料ポンプ30の駆動を停止させ、蓄圧装置20に蓄えられた燃料がアイドル状態を維持するために利用される。また、例えば、車両1の状態がスロットル開度最大の場合、燃料ポンプ30が圧送する最低補償流量と蓄圧装置20に蓄えられた燃料とを利用して、必要な燃料を燃料噴射装置50に供給してもよい。なお、最低補償流量はスロットル開度が最大のときに、車両1の燃料噴射装置50が消費する燃料消費量未満であってもよいし、スロットル開度が最大のときに、車両1の燃料噴射装置50が消費する燃料消費量以上であってもよい。
【0045】
例えば、ドライバーにより車両1のイグニッションがオンに操作されると、制御装置40の制御信号に基づいて、燃料ポンプ30が起動する。このとき、燃料ポンプ30は、燃料ポンプ30の吐出量(「燃料ポンプ吐出」)である最低補償流量に係る燃料を配管34へ圧送する。車両1がアイドル状態または通常の走行状態で消費される燃料は「燃料ポンプ吐出」より小さい。アイドル状態または通常の走行状態で消費される燃料と、「燃料ポンプ吐出」との差分の燃料である余剰燃料は、蓄圧装置20に蓄えられる。配管34内の圧力が設定された圧力を超えた場合は、配管34内の圧力が設定された圧力未満になるまで、圧力調整装置32の弁が開弁して余剰燃料を燃料タンク52へ戻す。また、配管34内の圧力が所定以下となると、蓄圧装置20に蓄えられた燃料が配管34へ放出される。
【0046】
以上説明した第1の実施形態に係る燃料供給システム10は、車両1の走行状態が、アイドル状態、アイドルストップ状態、またはアイドル状態から走行状態に移行した状態のいずれであるかを判定し、車両1の状態がアイドル状態、またはアイドルストップ状態と判定した場合には、判定と同時に燃料ポンプ30を停止させ、車両1の状態をアイドル状態から走行状態に移行したと判定した場合には、判定と同時に燃料ポンプ30を起動させる。このため、より簡潔に燃料ポンプ30を制御することができ、消費電力を低減することができる。
【0047】
[第2の実施形態]
以下、第2の実施形態に係る燃料供給システム10について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する機能等についての説明は省略する。第1の実施形態では、車両1がアイドル状態またはアイドルストップ状態であると判定した場合、判定と同時に燃料ポンプ30を停止させ、車両1が走行状態に移行した場合、判定と同時に燃料ポンプ30を起動させるものとしたが、第2の実施形態に係る制御装置40は、以下のような処理を行う。
図3は、第2の実施形態に係る制御装置40により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0048】
まず、制御装置40は、エンジン制御装置80から車両1の状態を取得する(ステップS100)。次に、制御装置40は、エンジン制御装置80により検出された車両1の状態に基づいて、車両1がアイドル状態であるか、またはアイドルストップ状態であるか否かを判定する(ステップS102)。車両1がアイドル状態またはアイドルストップ状態でないと判定した場合、本フローチャートの1ルーチンは終了する。
【0049】
車両1がアイドル状態またはアイドルストップ状態であると判定した場合、制御装置40は、判定したときから第1の所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS124)。第1の所定時間が経過したと判定した場合、制御装置40は、燃料ポンプ30を停止させる(ステップS126)。第1の所定時間は、例えば蓄圧装置20に十分な燃料を蓄えることができる時間であり、蓄圧装置20の仕様や、燃料ポンプ30の仕様などに基づいて予め設定しても良いし、蓄圧装置20の仕様、エンジン60の燃料消費量および燃料ポンプ30の仕様に基づいて常時算出するようにしても良い。この場合、燃料消費量は、制御装置40が例えばアクセル開度や、エンジン回転数、検出センサ群70、その他車両の状態などに基づいて算出または推定した算出量または推定量である。
【0050】
次に、制御装置40は、燃料ポンプ30を停止させたときから第2の所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS128)。燃料ポンプ30を停止させたときから第2の所定時間が経過していないと判定した場合、制御装置40は、車両1が走行状態に移行したか否かを判定する(ステップS130)。車両1が走行状態に移行していない場合、ステップS128へ戻る。燃料ポンプ30を停止させたときから第2の所定時間が経過したと判定した場合、または車両1が走行状態に移行したと判定した場合、制御装置40は、燃料ポンプ30を起動させる(ステップS132)。第2の所定時間は、例えば蓄圧装置20に蓄えられた燃料の放出を維持することができる時間であり、蓄圧装置20の仕様や、燃料ポンプ30の仕様などに基づいて予め設定しても良いし、蓄圧装置20の仕様、エンジン60の燃料消費量および燃料ポンプ30の仕様に基づいて常時算出するようにしても良い。この場合、燃料消費量は、制御装置40が例えばアクセル開度や、エンジン回転数、検出センサ群70、その他車両の状態などに基づいて算出または推定した算出量または推定量である。
【0051】
次に、制御装置40は、第3の所定時間を算出する(ステップS134)。第3の所定時間は、例えば蓄圧装置20の容量と、燃料ポンプ30の吐出量と、エンジン60の燃料消費量とに基づいて算出される。制御装置40は、例えば、燃料ポンプ30の吐出量とエンジン60の燃料消費量から、余剰燃料量を算出し、余剰燃料量で蓄圧装置20の容量(或いは蓄圧装置20の容量から現在の蓄積量を差し引いた受け入れ可能量)を除算して、第3の時間を算出する。なお、上記の算出結果に対して更に所定時間を加算した時間を、第3の時間としてもよい。
【0052】
制御装置40は、燃料ポンプ30を停止させたときから、第3の所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS136)。第3の所定時間が経過した場合、制御装置40は、燃料ポンプ30を停止させる(ステップS138)。これにより、本フローチャートの処理は終了する。なお、第1の時間の時間および第2の時間を、第3の時間と同様の手法で算出してもよい。
【0053】
(動作結果)
図4は、燃料ポンプ30の駆動状態と蓄圧装置20に蓄えられる燃料量の時間的変化の一例を示すタイミングチャートである。
図4中、上図の縦軸は蓄圧装置20に蓄えられる燃料量を示し、横軸は時間を示している。
図4中、下図の縦軸は燃料ポンプ30の駆動(起動または停止)状態を示し、横軸は時間を示している。
図4の例では、時刻t0における、蓄圧装置20に蓄えられた燃料量は0%であるものとする。制御装置40が、車両1をアイドル状態、またはアイドルストップ状態であると判定した場合、第1の所定時間が経過し、蓄圧装置20に燃料が所定量、蓄えられた時刻t1において、燃料ポンプ30を停止させる。燃料ポンプ30を停止させた後、蓄圧装置20に蓄えられた燃料が配管34へ放出される。制御装置40は、第2の所定時間経過し、蓄圧装置20に蓄えられた燃料が所定量、配管34へ放出された時刻t2において、燃料ポンプ30を起動させる。そして、再び、制御装置40は、第3の所定時間経過し、蓄圧装置20に燃料が所定量、蓄えられた時刻t3において、燃料ポンプ30を停止させる。このように、蓄圧装置20に燃料が所定量、蓄えられている場合には、燃料ポンプ30を停止させ、蓄圧装置20に蓄えられている燃料を燃料噴射装置50へ供給するため、燃料ポンプ30の消費電力を抑制することができる。
【0054】
以上説明した第2の実施形態に係る燃料供給システム10は、車両1がアイドル状態またはアイドルストップ状態であると判定したときから、第1の所定時間が経過した場合、燃料ポンプ30を停止させ、燃料ポンプ30を停止させたときから第2の所定時間が経過、または車両1が走行状態に移行したと判定した場合、燃料ポンプ30を起動させ、燃料ポンプ30を起動させたときから第3の所定時間が経過した場合、燃料ポンプ30を起動させる。このため、より簡潔に燃料ポンプ30を制御することができ、消費電力を低減することができる。
【0055】
なお、第2の実施形態に係る制御装置40は、蓄圧装置20に蓄えられた燃料量に基づいて、燃料ポンプ30の起動または停止を行ってもよい。この場合、例えば燃料流入出部23に、燃料流量計(不図示)が設けられる。燃料流量計は、蓄圧装置20へ流入または蓄圧装置20から流出する燃料の量を計測し、計測結果を制御装置40へ出力する。制御装置40は、燃料流量計の計測結果を取得し、取得した計測結果に基づいて、蓄圧装置20に蓄えられた燃料量を算出する。制御装置40は、算出した蓄圧装置20に蓄えられた燃料量が所定未満である場合、燃料ポンプ30を起動させ、算出した蓄圧装置20に蓄えられた燃料量が所定量以上である場合、燃料ポンプ30を停止させてもよい。また、蓄圧装置20に圧力計を備え、圧力計により計測された結果に基づいて、燃料ポンプ30を起動または停止させてもよい。
【0056】
また、蓄圧装置20の容量や、燃料ポンプ30の吐出量、燃料噴射装置50、エンジン60の燃料消費量、エンジン制御装置80が検出センサ群70から取得した情報などをモニタリングすることにより、蓄圧装置20に蓄えられた燃料量を推定してもよい。この場合、制御装置40は、推定した燃料量に応じて、燃料ポンプ30を起動または停止させてもよい。
【0057】
[第3の実施形態]
以下、第3の実施形態に係る燃料供給システム10について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する機能等についての説明は省略する。第1の実施形態では、制御装置40が、車両1がアイドル状態、またはアイドルストップ状態である場合、燃料ポンプ30の起動または停止をさせるものとしたが、第3の実施形態では、制御装置40が、車両1の燃料消費量が所定量未満であるか否かを判定し、燃料消費量が所定未満である場合、燃料ポンプ30の起動または停止を行う。
【0058】
図5は、第3の実施形態における制御装置40が実行する処理の流れを示すフローチャートである。まず、制御装置40は、エンジン60の燃料消費量を推定または計測する(ステップS200)。燃料消費量の推定または計測は、エンジン制御装置80から取得した検出センサ群70の検出結果に基づいて、制御装置40により実行される。次に、制御装置40は、推定または計測した燃料消費が第1の所定量未満であるか否かを判定する(ステップS202)。第1の所定量未満でない(第1の所定量以上である)場合、本フローチャートの処理が終了する。第1の所定量未満である場合、制御装置40は、所定時間経過したか否かを判定し、第1の実施形態と同様に燃料ポンプ30を起動または停止を行う(ステップS124〜ステップS138)。
【0059】
なお、燃料消費量の推定は、制御装置40が例えばアクセル開度と、エンジン回転数とに基づいて推定してもよいし、検出センサ群70や、その他車両の状態などに基づいて推定してもよい。また、燃料消費量の推定は、例えば制御装置40に記憶されたアクセル開度と、エンジン回転数と、燃料噴射量とが対応づけられた燃料噴射量マップに基づいて、行ってもよい。この場合、制御装置40は、例えば所定時間内におけるアクセル開度とエンジン回転数とを取得し、取得したアクセル開度とエンジン回転数とに基づいて、燃料噴射量マップから所定時間内における累積燃料噴射量を導出する。制御装置40は、導出した累積燃料噴射量を、所定時間内における累積燃料消費量の推定値としてもよい。また、第1の所定量は、燃料ポンプ30の最低補償流量、または任意の値としてよい。
【0060】
また、第1の所定量は、例えば、車両1に搭載されたバッテリのバッテリ電圧、車両1周辺の環境温度、燃料タンク52内の燃料温度、および車両1の累計走行時間のうち少なくとも1つ以上の情報と、燃料ポンプ30の吐出性能とに基づいて制御装置40が算出してもよい。バッテリ電圧、車両1周辺の環境温度、燃料タンク52内の燃料温度、および車両1の累計走行時間は、燃料ポンプ30の吐出性能に影響を及ぼす要素のためである。これにより、適切な第1の所定量を算出することができる。例えばバッテリ電圧が高い場合には、燃料ポンプ30の吐出流量は大きくなる。例えば車両1周辺の環境温度、または燃料タンク52内の燃料温度が高い場合は、燃料の粘度が高くなるため燃料ポンプ30の吐出流量は小さくなる。また、車両1の累計走行時間が長い場合は、燃料ポンプ30の劣化により燃料ポンプ30の吐出流量は小さくなる。なお、車両1に搭載されたバッテリ電圧、バッテリ温度、燃料タンク52内の燃料温度、車両1の累計走行時間のうち少なくとも1つ以上の情報と、燃料ポンプ30の吐出性能とを対応づけた第1の所定量を算出するためのマップが制御装置40に搭載されていてもよい。この場合、制御装置40は、当該マップに基づいて第1の所定量を算出してもよい。
【0061】
また、本実施形態において、第1の所定時間、第2の所定時間および第3の所定時間は、所定時間におけるエンジン60の回転数、スロットル開度、燃料噴射装置50の開弁時間、車両1周辺の環境温度、および燃料タンク52内の燃料温度とのうちいずれか1つ以上の情報と、蓄圧装置20の容量とに基づいて、制御装置40が算出してもよい。エンジン60の回転数、スロットル開度、燃料噴射装置50の開弁時間が大きくなると、エンジン60の燃料消費量も大きくなる。また、車両1周辺の環境温度、および燃料タンク52内の燃料温度が上昇すると燃料中の空気密度が小さくなる。このとき、車両1の制御は、最適な空熱比に調整するため燃料供給量を減らす傾向となる。制御装置40は、これらの要素を加味して、燃料消費量が小さければ燃料ポンプ30停止後の時間を長くし、燃料ポンプ30を駆動する時間を短くするように算出し、燃料消費量が多ければ燃料ポンプ30停止後の時間を短くし、燃料ポンプ30を駆動する時間を長くするように算出してもよい。この場合、エンジン60の回転数、スロットル開度、燃料噴射装置50の開弁時間、および車両1周辺の環境温度および燃料タンク52内の燃料温度は、エンジン制御装置80から取得される。また、エンジン60の回転数、スロットル開度、燃料噴射装置50の開弁時間、車両1周辺の環境温度および燃料タンク52内の燃料温度のうちいずれか1つ以上の情報と、蓄圧装置20の容量を対応づけた第1〜第3の所定時間を算出するためのマップが制御装置40に搭載されていてもよい。この場合、制御装置40は、当該マップに基づいて第1〜第3の所定時間を算出してもよい。
【0062】
また、制御装置40は、車両1に搭載された検出センサ群70の検出結果から、車両1における燃料消費量を推定、または計測し、所定の燃料を消費している、または消費すると判定した場合、燃料ポンプ30の駆動状態を維持してもよい。制御装置40は、例えばエンジン制御装置80から車両1のスロットル開度センサ72の検出結果を取得する。制御装置40は、車両1のスロットル開度が所定以上の場合、燃料ポンプ30の停止を実行せず、駆動状態を維持してもよい。
【0063】
さらに、制御装置40は、エンジン60の始動直後から所定時間経過までの間、またはエンジン制御装置80から暖
機運転終了に対応する信号を取得していない間は、燃料ポンプ30の駆動状態を維持してもよい。このように、制御装置40は、車両1の各種状態に基づいて、燃料ポンプ30を起動または停止させる条件を定めてもよい。
【0064】
以上説明した第3の実施形態に係る燃料供給システム10は、エンジン60の作動時におけるエンジン60の燃料消費量を推定または計測し、推定または計測したエンジン60の燃料消費量が第1の所定流量未満であるか否かを判定し、第1の所定流量未満であると判定した場合には、判定してから所定時間ごとに燃料ポンプ30の起動または停止を繰り返す。このため、より簡潔に燃料ポンプ30を制御することができ、消費電力を低減することができる。
【0065】
[第4の実施形態]
以下、第4の実施形態に係る燃料供給システム10について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する機能等についての説明は省略する。第1の実施形態では、制御装置40が、車両1がアイドル状態、またはアイドルストップ状態である場合、燃料ポンプ30の起動または停止を行うが、第4の実施形態では、制御装置40が、蓄圧装置20aの受圧部22aが第1の位置であるか、第2の位置であるかに応じて、燃料ポンプ30の起動または停止を行う。
【0066】
図6を用いて、蓄圧装置20aの受圧部22aの第1の位置と第2の位置について説明する。
図6は、蓄圧装置20aの構成の一例を示す図である。蓄圧装置20aは、筐体21と、ブラダ22aと、燃料流入出部23と、弁24と、第1の位置検出センサ25と、第2の位置検出センサ26とを備える。筐体21の内側には、例えばゴムなどの弾性部材であるブラダ22aが配置されている。図中、破線は、ブラダ22が膨張または収縮することで形成する様々な形状を例示している。弁24は、ブラダ22aの圧力が所定以下になると閉止することにより、ブラダ22aが外部にはみ出すことを防止する。配管34内の圧力が、弁24が筐体21の燃料流入出部23を閉止する圧力以上になると、弁24が開きブラダ22a内に燃料が流入する。ブラダ22aは、流入する燃料の圧力により、図中の矢印(←)方向に広がることで、燃料が蓄えられる。配管34内の圧力がブラダ22a内の圧力未満になると、ブラダ22a内の燃料が放出される。
【0067】
第1の位置検出センサ25と、第2の位置検出センサ26とは、所定の間隔をもって、筐体21内に設けられる。第1の位置検出センサ25と、第2の位置検出センサ26とは、例えば光学式または圧力感知式などの位置検出センサである。ブラダ22aが、図中、(a)の位置まで膨張すると、第1の位置検出センサ25がブラダ22aを検出する。また、ブラダ22aが、図中、(b)の位置まで膨張すると、第2の位置検出センサ26がブラダ22aを検出する。第1の位置検出センサ25と、第2の位置検出センサ26とは、検出結果を制御装置40へ出力する。制御装置40は、第1の位置検出センサ25と第2の位置検出センサ26との検出結果に基づいて、蓄圧装置20aに蓄えられた燃料量を算出することができる。
【0068】
図7は、第4の実施形態における制御装置40が実行する処理の流れを示すフローチャートである。制御装置40は、エンジン制御装置80により検出された状態に基づいて、車両1がアイドル状態であるか否かを判定する(ステップS302)。
【0069】
車両1がアイドル状態であると判定した場合、制御装置40は、蓄圧装置20aの受圧部22aが第1の位置検出センサに検出されているか否かを判定する(ステップS304)。第1の位置検出センサ25に検出されていないと判定した場合は、本フローチャートは終了する。第1の位置検出センサ25に検出されていると判定した場合は、燃料ポンプ30を停止させる(ステップS308)。次に、制御装置40は、第11の所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS310)。第11の時間が経過したと判定した場合、制御装置40は、燃料ポンプ30を起動させる(ステップS312)。第11の時間とは、例えば蓄圧装置20aが、アイドル状態において、第1の位置に対応する量の燃料が放出する時間であり、蓄圧装置20aの仕様等に基づいて予め設定されている。
【0070】
次に、制御装置40は、第12の所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS314)。第12の時間が経過したと判定した場合、制御装置40は、燃料ポンプ30を停止させる(ステップS316)。第12の時間とは、例えば蓄圧装置20aが、第1の位置に対応する量の燃料を蓄えることができる時間であり、蓄圧装置20aの仕様等に基づいて予め設定されている。
【0071】
次に、制御装置40は、第13の所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS318)。第13の時間が経過したと判定した場合、制御装置40は、燃料ポンプ30を起動させる(ステップS332)。第13の時間とは、例えば蓄圧装置20aが、アイドル状態において、第1の位置に対応する量の燃料が放出する時間であり、蓄圧装置20aの仕様等に基づいて予め設定されている。
【0072】
車両1がアイドル状態でない(走行状態である)と判定した場合、制御装置40は、蓄圧装置20aの受圧部22aが第2の位置検出センサ26に検出されていか否かを判定する(ステップS306)。第2の位置検出センサ26に検出されていないと判定した場合、本フローチャートは終了する。第2の位置検出センサ26に検出されていると判定した場合は、燃料ポンプ30を停止させる(ステップS320)。
【0073】
ステップS322〜ステップS330までの処理は、上述したステップS310〜ステップS318までの処理と同様である。ただし、第11の所定時間を第21の所定時間、第12の所定時間を第22の所定時間、第13の所定時間を第23の所定時間と読み替える。第21の所定時間と第23の所定時間とは、例えば車両1が走行状態において、第2の位置に対応する量の燃料を放出する時間であり、蓄圧装置20aの仕様等に基づいて予め設定されている。第22の所定時間は、例えば第2の位置に対応する量の燃料を蓄えることができる時間であり、蓄圧装置20aの仕様等に基づいて予め設定されている。
【0074】
また、ステップS310およびステップS318の処理を、「蓄圧装置20aの受圧部22aの位置が第1所定位置であるか否かを判定する。」と読み替え、ステップS314の処理を、「蓄圧装置20aの受圧部22aの位置が第2所定位置であるか否かを判定する。」と読み替えてもよい。この場合、蓄圧装置20内の燃料が第1所定位置より少ない場合、燃料ポンプ30が起動して、蓄圧装置20aに燃料が蓄えられる。蓄圧装置20aに燃料が蓄えられると、燃料ポンプ30が停止して、蓄圧装置20aに蓄えられた燃料が燃料噴射装置50へ圧送される。また、ステップS322、ステップS326およびステップS330についても、同様に読み替えてもよい。
【0075】
図7のフローチャートにおける第11の所定時間、および第13の所定時間は、請求項2から9における第2の所定時間の一例であり、第12の所定時間は、第1の所定時間、および第3の所定時間の一例である。また、
図7のフローチャートにおける第21の所定時間、および第23の所定時間は、それぞれ、請求項2から9における第2の所定時間の他の例であり、第22の所定時間は、第1の所定時間、および第3の所定時間の他の例である。
【0076】
以上説明した第4の実施形態に係る燃料供給システム10は、車両1の状態がアイドル状態である場合、且つ受圧部22aの位置が第1の位置に到達している場合は、燃料ポンプ30を停止させ、車両1の状態がアイドル状態でなく、且つ受圧部22aが第2の位置に到達している到達した場合は、燃料ポンプ30を停止させる。これにより、より簡潔に燃料ポンプ30を制御することができ、消費電力を低減する燃料供給システム10を提供することができる。
【0077】
[第5の実施形態]
以下、第5の実施形態に係る燃料供給システム10について説明する。ここでは、第4の実施形態との相違点を中心に説明し、第4の実施形態と共通する機能等についての説明は省略する。第4の実施形態では、制御装置40が、蓄圧装置20が第1の位置であるか、第2の位置であるか否かにより、燃料ポンプ30の起動または停止を行うが、第5の実施形態では、制御装置40が、燃料消費量の推定結果と蓄圧装置20に蓄えられた燃料量とに基づいて、燃料ポンプ30の起動または停止を行う。また、蓄圧装置20に蓄えられた燃料量は、制御装置40が受圧部22の変位量に基づいて判定する。
【0078】
図8は、第5の実施形態における制御装置40が実行する処理の流れを示すフローチャートである。まず、制御装置40は、エンジン制御装置80から検出センサ群70により検出された検出結果、およびエンジン60へ噴射している燃料噴射量を取得する(ステップS400)。次に、制御装置40は、エンジン制御装置80から取得した情報に基づいて、車両1の燃料消費量を推定する(ステップS402)。
【0079】
次に、制御装置40は、推定した燃料消費量が第2の所定量未満であるか否かを判定する(ステップS404)。推定した燃料消費量が第2の所定量未満である場合、制御装置40は、蓄圧装置20のブラダ22の変位量が、第1の変位量以上であるか否かを判定する(ステップS406)。第1の変位量以上である場合、燃料ポンプ30を停止させる(ステップS308)。第1の変位量でない場合、本フローチャートの処理は終了する。
【0080】
推定した燃料消費量が第2の所定量未満でない(所定量以上である)場合、制御装置40は、蓄圧装置20のブラダ22の変位量が、第2の変位量以上であるか否かを判定する(ステップS408)。第2の変位量以上である場合、燃料ポンプ30を停止させる(ステップS320)。第2の変位量以上でない場合、本フローチャートの処理は終了する。
【0081】
第4の実施形態と同様の処理については、説明を省略する。ただし、第11の所定時間、第12の所定時間、第13の所定時間は、第1の変位量に対応する量の燃料が蓄圧装置20に蓄えられる時間または放出する時間に読み替える。また、第21の所定時間、第22の所定時間、第23の所定時間は、第2の変位量に対応する量の燃料が蓄圧装置20に蓄えられる時間または放出する時間に読み替える。
【0082】
図8のフローチャートにおける第11の所定時間、および第13の所定時間は、それぞれ、請求項2から9における第2の所定時間の一例であり、第12の所定時間は、第1の所定時間、および第3の所定時間の一例である。また、
図8のフローチャートにおける第21の所定時間、および第23の所定時間は、それぞれ、請求項2から9における第2の所定時間の他の例であり、第22の所定時間は、第1の所定時間、および第3の所定時間の他の例である。
【0083】
また、上述した第2の所定量は、例えば燃料ポンプ30の吐出量としてもよいし、車両1が通常の走行状態において消費する燃料消費量、または任意の量としてもよい。第2の所定量を車両1が通常の走行状態において消費する燃料消費量とすると、例えばアイドル状態、且つ蓄圧装置20に所定量(第1の変位量に対応する量)以上の燃料が蓄えられている場合、燃料ポンプ30を停止させることができる。また、この場合、例えば通常の走行状態、且つ蓄圧装置20に所定量(第2の変位量に対応する量)以上の燃料が蓄えられている場合、燃料ポンプ30を停止させることができる。これにより、燃料ポンプ30の消費電力を低減することができる。なお、第1の変位量に対応する量<第2の変位量に対応する量である。
【0084】
また、蓄圧装置20の変位量は、ひずみゲージセンサ27により検出される。
図9は、蓄圧装置20bの構成の一例を示す図である。蓄圧装置20bは、筐体21と、ブラダ22bと、燃料流入出部23とに、加えてひずみゲージセンサ27を備える。配管34内の圧力が、ブラダ22b内の気体の圧力以上になると、ブラダ22bが、図中の矢印(←)方向に縮むことで筐体21内に燃料が蓄えられる。配管34内の圧力がブラダ22b内の気体の圧力未満になると、ブラダ22bが復元することで筐体21内の燃料が放出される。ひずみゲージセンサ27は、ブラダ22bの表面に付設される。ひずみゲージセンサ27は、ブラダ22bの変化量を検出し、検出結果を制御装置40へ出力する。なお、蓄圧装置20の変位量は、ひずみゲージセンサ27に限らず、近接センサや、接点式センサ等によって検出してもよい。
【0085】
制御装置40は、ひずみゲージセンサ27により検出された結果に基づいて、蓄圧装置20bに蓄えられた燃料を算出する。制御装置40は、ひずみゲージセンサ27により検出された検出結果が、第1の値(変位量)であるか、第2の値(変位量)であるかを判定し、判定結果に基づいて、燃料ポンプ30の起動または停止を行う。また、制御装置40は、ひずみゲージセンサ27により検出された検出結果と蓄圧装置20に蓄えられた燃料量とを対応づけたマップを搭載し、ひずみゲージセンサ27の検出結果と搭載したマップとに基づいて、蓄圧装置20に蓄えられた燃料量を導出してもよい。
【0086】
以上説明した第5の実施形態の燃料供給システム10は、燃料消費量および受圧部22bの変位量に応じて、燃料ポンプ30の起動または停止させることができる。これにより、より簡潔に燃料ポンプ30を制御することができ、消費電力を低減する燃料供給システム10を提供することができる。
【0087】
[第6の実施形態]
以下、第6の実施形態に係る燃料供給システム10について説明する。ここでは、第5の実施形態との相違点を中心に説明し、第5の実施形態と共通する機能等についての説明は省略する。第5の実施形態では、制御装置40が、燃料消費量の推定結果と蓄圧装置20に蓄えられた燃料量と蓄圧装置20の受圧部22の変位量とに基づいて、燃料ポンプ30の起動または停止を行うが、第6の実施形態では、車両1が走行状態の場合、制御装置40が、推定された燃料消費量と燃料ポンプ30の吐出する燃料供給量と蓄圧装置20の受圧部22の変位量とに基づいて、燃料ポンプ30の起動または停止を行う。
【0088】
図10は、第6の実施形態に係る制御装置40が実行する処理の流れを示すフローチャートである。まず、制御装置40は、エンジン制御装置80から検出センサ群70により検出された検出結果、およびエンジン60へ噴射している燃料噴射量を取得する(ステップS500)。次に、制御装置40は、エンジン制御装置80から取得した情報に基づいて、車両1が走行状態であるか否かを判定する(ステップS502)。車両1が走行状態でない場合、本フローチャートの処理は終了する。
【0089】
車両1が走行状態である場合、制御装置40は、エンジン制御装置80から取得した情報に基づいて、車両1の燃料消費量を推定する(ステップS504)。次に、制御装置40は、推定した燃料消費量が燃料ポンプ30の吐出量未満であるか否かを判定する(ステップS506)。
【0090】
推定した燃料消費量が燃料ポンプ30の吐出量未満である場合、制御装置40は、蓄圧装置20のブラダ22の変位量が、第1の変位量であるか否かを判定する(ステップS508)。第1の変位量である場合、燃料ポンプ30を停止させる(ステップS512)。第1の変位量でない場合、本フローチャートの処理は終了する。
【0091】
推定した燃料消費量が燃料ポンプ30の吐出量未満でない場合、制御装置40は、蓄圧装置20のブラダ22の変位量が、第2の変位量であるか否かを判定する(ステップS510)。第2の変位量でない場合、燃料ポンプ30を停止させる(ステップS512)。第2の変位量である場合、本フローチャートの処理は終了する。
【0092】
例えば、車両1が通常の走行状態である場合、推定した燃料消費量は燃料ポンプ30の吐出量未満となる。この場合、制御装置40は、蓄圧装置20に燃料が十分に蓄えられると(第1の変位量)、燃料ポンプ30を停止する。一方、例えば車両1が通常の走行状態から加速している場合、推定した燃料消費量は燃料ポンプ30の吐出量以上となる。この場合、制御装置40は、蓄圧装置20蓄えられていた燃料が第2の値(変位量)となった場合、燃料ポンプ30の駆動を維持する。なお、第1の変位量および第2の変位量は、燃料ポンプ30の仕様や、蓄圧装置20の仕様などに基づいて定めてもよい。
【0093】
以上説明した第6の実施形態に係る燃料供給システム10は、車両1が急加速するような場合において、蓄圧装置20に蓄えられた燃料が所定量まで減少したときは燃料ポンプの駆動を維持し、車両1が通常の走行状態しているような場合において、蓄圧装置20に蓄えられた燃料が十分に蓄えられているときは燃料ポンプ30を停止する。これにより、より簡潔に燃料ポンプ30を制御することができ、消費電力を低減する燃料供給システム10を提供するものである。
【0094】
なお、第1の実施形態〜第6の実施形態の処理を、異なる実施形態として説明したが、第1実施形態〜第6実施形態の処理の一部を組み合わせて実行してもよいし、並行して実行してもよい。また、第1実施形態〜第6実施形態の処理の条件を適宜変更してもよい。
【0095】
また、第1の実施形態〜第6の実施形態の各処理後に、車両1が走行状態に移行したか否か、または車両1のエンジン60が消費する燃料消費量が所定量以上であるか否かを判定する処理を実行してもよい。これにより、第1の所定時間〜第3の所定時間内において、所定量の燃料を消費する場合、燃料ポンプ30を起動させて、燃料噴射装置50に必要な燃料を供給することができる。
【0096】
また、上述の実施形態では、制御装置40とエンジン制御装置80とは別体として説明したが、同体としてもよい。また、制御装置40とエンジン制御装置80とが実行する機能のうち、一方が実行する機能を他方が実行してもよい。
【0097】
上述の実施形態のように、制御装置40は、蓄圧装置20に蓄えられた燃料を供給することでエンジン60の必要とする燃料を賄える場合は、燃料ポンプ30を停止させ、蓄圧装置20に蓄えられた燃料の供給ではエンジン60の必要とする燃料を賄えない場合は、燃料ポンプ30を起動させる。このように、より簡潔に燃料ポンプ30を制御することにより消費電力を低減する燃料供給システム10を提供することができる。
【0098】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えたものを含む。