特許第6385867号(P6385867)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6385867蒸気弁装置、及び蒸気流制御システム、並びに蒸気タービン発電プラント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385867
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】蒸気弁装置、及び蒸気流制御システム、並びに蒸気タービン発電プラント
(51)【国際特許分類】
   F01D 17/10 20060101AFI20180827BHJP
   F16K 1/32 20060101ALI20180827BHJP
   F16K 1/34 20060101ALI20180827BHJP
   F16K 1/48 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   F01D17/10 H
   F16K1/32 C
   F16K1/34 F
   F16K1/48 Z
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-55940(P2015-55940)
(22)【出願日】2015年3月19日
(65)【公開番号】特開2016-176375(P2016-176375A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2017年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鶴岡 誠司
(72)【発明者】
【氏名】坂本 慶吾
(72)【発明者】
【氏名】岡部 雄
(72)【発明者】
【氏名】松島 龍郎
(72)【発明者】
【氏名】河合 康裕
【審査官】 金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭47−20891(JP,B1)
【文献】 国際公開第2014/155579(WO,A1)
【文献】 特開2010−138993(JP,A)
【文献】 特開昭61−244971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 17/10
F16K 1/32,1/34,1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁室と、該弁室に導入された蒸気を排出するための排気通路とが設けられた弁箱と、
前記排気通路の前記弁室に臨む位置に設けられた弁座と、
前記弁座に着座することで前記排気通路を閉鎖する弁体と、
前記弁体が傾倒可能に支持される第1チルト機構と、前記第1チルト機構と直列に設けられ、前記第1チルト機構が傾倒可能に支持される第2チルト機構とを含み、前記弁体を前記弁座の軸線方向に沿って移動可能に支持する支持体と
を備えることを特徴とする蒸気弁装置。
【請求項2】
前記第1チルト機構は、
前記弁体と、前記弁体を傾倒可能に支持する中間体とで構成され、
前記第2チルト機構は、
前記中間体と、前記中間体を傾倒可能に支持する弁棒とで構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸気弁装置。
【請求項3】
前記第2チルト機構は、
可撓性を有するコイルバネで構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸気弁装置。
【請求項4】
前記中間体は、
前記弁体の後端に設けられた弁体収容部に収容される頭部と、
前記弁棒に設けられた弁棒頭部を収容する収容部と
を有することを特徴とする請求項2に記載の蒸気弁装置。
【請求項5】
前記第1チルト機構及び前記第2チルト機構は、可撓性を有するコイルバネで構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸気弁装置。
【請求項6】
前記弁箱には、複数の排気通路が設けられ、
前記複数の排気通路のそれぞれに前記弁座、前記弁体及び前記支持体を備える
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の蒸気弁装置。
【請求項7】
ボイラとタービンとの間に請求項1から6のいずれか一項に記載の蒸気弁装置を備えることを特徴とする蒸気流制御システム。
【請求項8】
請求項7に記載の蒸気流制御システムを備えることを特徴とする発電プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蒸気弁装置、及び蒸気流制御システム、並びに蒸気タービン発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気流制御システムや蒸気タービン発電プラントに採用される蒸気弁装置は、起動時や運転時の蒸気流量を調整するものであり、弁の閉鎖時には弁と弁座とが隙間なく密着することが要求されている。
【0003】
特許文献1には、ボイラの加熱機で350Kg/cm−650°Cに加熱された蒸気の流量調整をする主蒸気止め弁及び加減弁が開示されている。主蒸気止め弁及び加減弁で流量調整された蒸気は、超高圧セクションに導かれる。
尚、特許文献1が開示する主蒸気止め弁及び加減弁は、弁体と弁座の中心軸の間でずれが生じ、弁座に弁体が片当たりする場合でも、弁体と弁座を隙間なく密着させる構成を明らかにしたものでもなければ示唆するものでもない。
【0004】
特許文献2には、主蒸気止め弁として用いられる蒸気弁が開示されている。かかる蒸気弁は、概ね逆L字状の主蒸気流路を形成する内側蒸気室を区画する内側弁ケーシングと、該内側弁ケーシングの主要部を包囲する外側蒸気室を区画する外側弁ケーシングとを主要な構成要素とする。内側弁ケーシングは、水平に位置する主蒸気入口管(部)、中央ケーシング部および垂直に位置する出口管(部)とからなり、中央ケーシング部には上蓋がボルトにより固定されて、内側蒸気室の上部を区画している。出口管(部)の上部から中央ケーシングへ移行するあご部には弁座が設けられて、その上部には、弁棒に固定された弁体が、弁棒の上端部に配置されたアクチュエータ(図示せず)により、弁座に対し進退自在に配置されている。
尚、特許文献2が開示する蒸気弁は、弁体と弁座の中心軸の間でずれが生じ、弁座に弁体が片当たりする場合でも、弁体と弁座を隙間なく密着させる構成を明らかにしたものでもなければ示唆するものでもない。
【0005】
特許文献3には、発電所の蒸気タービン等に適用される蒸気弁が開示されている。かかる蒸気弁は、弁棒の下端部と弁体の間に跨がって形成された弁体用調芯装置を備えている。この蒸気弁によれば、熱伸び差により、弁体と弁座の中心軸の間でずれが生じ、弁座と弁体が片当たりする場合でも、弁体用調芯装置が弁体を傾斜させるため、弁体は弁座と全周にわたって接触し、蒸気の漏洩を防止することが可能であるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭59−15603号公報
【特許文献2】特開2005−48639号公報
【特許文献3】特開平11−280411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3が開示する蒸気弁では、弁体用調芯装置が弁体を傾ける量が小さく、弁体と弁座の中心軸の間で生じるずれが大きくなると、弁体は弁座の開口部の縁と全周にわたって接触できなくなり、弁の閉鎖時に弁体と弁座を隙間なく密着させることができなくなる。
【0008】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、弁体と弁座の中心軸の間に生じるずれが大きくても、弁の閉鎖時に弁体と弁座を隙間なく密着させることができる蒸気弁装置、及び蒸気流制御システム、並びに蒸気タービン発電プラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る蒸気弁装置は、
弁室と、該弁室に導入された蒸気を排出するための排気通路とが設けられた弁箱と、
前記排気通路の前記弁室に臨む位置に設けられた弁座と、
前記弁座に着座することで前記排気通路を閉鎖する弁体と、
前記弁体が傾倒可能に支持される第1チルト機構と、前記第1チルト機構と直列に設けられ、前記第1チルト機構が傾倒可能に支持される第2チルト機構とを含み、前記弁体を前記弁座の軸線方向に沿って移動可能に支持する支持体と
を備える。
【0010】
上記(1)の構成によれば、弁体が第1チルト機構で傾倒可能に支持され、第1チルト機構が第2チルト機構で傾倒可能に支持される。そして、弁体は弁座の軸線方向に沿って移動可能に支持される。これにより、弁体と弁座の中心軸の間に生じるずれが大きくても、第1チルト機構で弁体が傾倒するとともに、第2チルト機構で第1チルト機構が傾倒するので、弁の閉鎖時に弁体と弁座を隙間なく密着させることができる。
【0011】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記第1チルト機構は、
前記弁体と、前記弁体を傾倒可能に支持する中間体とで構成され、
前記第2チルト機構は、
前記中間体と、前記中間体を傾倒可能に支持する弁棒とで構成される。
【0012】
上記(2)の構成によれば、弁体が中間体に傾倒可能に支持され、中間体が弁棒に傾倒可能に支持される。これにより、弁体と弁座の中心軸の間に生じるずれが大きくても、弁体と中間体との間で弁体が傾倒するとともに、中間体と弁体との間で中間体が傾倒するので、弁の閉鎖時に弁体と弁座を隙間なく密着させることができる。
【0013】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記第2チルト機構は、
可撓性を有するコイルバネで構成される。
【0014】
上記(3)の構成によれば、コイルバネが撓むことで第1チルト機構が傾倒する。これにより、弁体と弁座の中心軸の間に生じるずれが大きくても、第1チルト機構で弁体が傾倒するとともに、コイルバネが撓むことで第1チルト機構が傾倒するので、弁の閉鎖時に弁体と弁座を隙間なく密着させることができる。
【0015】
(4)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、
前記中間体は、
前記弁体の後端に設けられた弁体収容部に収容される頭部と、
前記弁棒に設けられた弁棒頭部を収容する収容部と
を有する。
上記(4)の構成によれば、中間体が有する頭部が弁体の後端に設けられた弁体収容部に収容され、中間体が有する収容部に弁棒に設けられた弁棒頭部が収容部に収容される。これにより、簡易な構成で、弁体が中間体に傾倒可能に支持され、中間体が弁棒に傾倒可能に支持される。
【0016】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記第1チルト機構及び前記第2チルト機構は、可撓性を有するコイルバネで構成される。
【0017】
上記(5)の構成によれば、コイルバネが撓むことで弁体が傾倒する。これにより、弁体と弁座の中心軸の間に生じるずれが大きくても、コイルバネが撓むことで弁体が大きく傾倒するので、弁の閉鎖時に弁体と弁座を隙間なく密着させることができる。
【0018】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)から(5)のいずれか一つの構成において、
前記弁箱には、複数の排気通路が設けられ、
前記複数の排気通路のそれぞれに前記弁座、前記弁体及び前記支持体を備える。
【0019】
上記(6)の構成によれば、複数の排気通路のそれぞれで弁体と弁座の中心軸の間に生じるずれが大きくても、複数の排気通路のそれぞれで弁の閉鎖時に弁体と弁座を隙間なく密着させることができる。
【0020】
(7)本発明の少なくとも一実施形態に係る蒸気流制御システムは、
ボイラとタービンとの間に上記(1)から(6)のいずれか一つの蒸気弁装置を備える。
【0021】
上記(7)の構成によれば、弁の閉鎖時に弁体と弁座を隙間なく密着させることができるので、ボイラとタービンとの間で蒸気を遮断することができる。これにより、タービンの起動前に蒸気漏れによるタービンロータが回転する等の不具合を防止できる。
【0022】
(8)本発明の少なくとも一実施形態に係る発電プラントは、
上記(7)の蒸気流制御システムを備える。
【0023】
上記(8)の構成によれば、ボイラとタービンとの間で蒸気を遮断することができるので、発電プラントの起動前に蒸気漏れによるタービンロータが回転する等の不具合を防止できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、弁体と弁座の中心軸の間に生じるずれが大きくても、弁の閉鎖時に弁体と弁座を隙間なく密着させることができる蒸気弁装置、及び蒸気流制御システム、並びに蒸気タービン発電プラントが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る蒸気弁装置の構成を概略的に示す断面図である。
図2】一実施形態に係る蒸気弁装置の要部を概略的に示す断面図である。
図3】一実施形態に係る蒸気弁装置の要部を概略的に示す断面図である。
図4】一実施形態に係る蒸気弁装置の要部を概略的に示す断面図である。
図5】一実施形態に係る蒸気弁装置の要部を概略的に示す断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る発電プラントを概略的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
また例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係る蒸気弁装置1の構成を概略的に示す断面図である。また、図2から図5は、一実施形態に係る蒸気弁装置1の要部を概略的に示す断面図である。
【0028】
図1に示すように、本発明の少なくとも一実施形態に係る蒸気弁装置1は、弁箱2と、弁座3と、弁体4と、支持体5(図2から図5参照)とを備えている。
【0029】
弁箱2には、弁室21と排気通路22とが設けられている。弁室21は、蒸気が導入される空間であり、排気通路22は、弁室21に導入された蒸気を排出するための通路である。
【0030】
図1に例示する形態において、弁室21は、水平方向に延びるドーム状の空間であり、弁箱2の中央部に設けられている。排気通路22は、垂直方向に延びる通路であり、弁室21の下方域に設けられ、弁室21に連通している。
【0031】
図1に例示する形態では、弁箱2には、さらに、給気通路23が設けられている。給気通路23は、弁室21に蒸気を導入するための通路である。図1に例示する形態において、給気通路23は、水平方向に延びる通路であり、弁室21の側方域(図1において右方域)に設けられ、弁室21に連通している。
【0032】
弁座3は、排気通路22の弁室21に臨む位置に設けられている。
弁座3は、弁体4とともに弁を構成する部品又は部分であり、弁は、弁座3に弁体4が密着することで閉鎖される一方、弁座3から弁体4が離反することで開放される。
【0033】
図1から図5に例示する形態において、弁座3は、弁箱2と別体の円筒状の部品31の開口に設けられている。円筒状の部品31の開口(弁座3)は、排気通路22の弁室21に臨む位置に固定され、弁座3の中心軸は排気通路22の中心軸と一致している。
【0034】
弁体4は、弁座3に着座することで排気通路22を閉鎖するものである。
上述したように、弁体4は、弁座3とともに弁を構成する部品であり、弁体4が弁座3に着座することで排気通路22が閉鎖される一方、弁体4が弁座3から離反することで開放される。
【0035】
図1に例示する形態において、弁体4は、その中心軸が弁座3の中心軸と一致するように、弁座3に対向する位置に配置される。これにより、弁室21の天井部と弁室21の床部の熱伸び差が生じるまでは、弁体4の中心軸と弁座3の中心軸とは一致する。
【0036】
図2から図5に示すように、支持体5は、弁体4を弁座3の軸線方向に沿って移動可能に支持するものであり、第1チルト機構6と、第2チルト機構7とを含んでいる。
【0037】
第1チルト機構6は、弁体4が傾倒可能に支持されるものである。第2チルト機構7は、第1チルト機構6と直列に設けられ、第1チルト機構6が傾倒可能に支持されるものである。
【0038】
図2から図5に例示する形態において、支持体5は、さらに、弁ガイド51を含んでいる。弁ガイド51は、第1チルト機構6及び第2チルト機構7を蒸気から保護するための保護部材であり、その先端(下端)に弁体4を収容する断面円形の凹部51aを有している。弁ガイド51は、弁体4が弁座3に密着した場合、すなわち、弁ガイド51の凹部51aから弁座3に向けて進出した場合でも、弁体の一部(基端)が凹部51aに残り、第1チルト機構6及び第2チルト機構7が蒸気に直接曝されることはない。
【0039】
上記構成によれば、弁体4が第1チルト機構6で傾倒可能に支持され、第1チルト機構6が第2チルト機構7で傾倒可能に支持される。そして、弁体4は弁座3の軸線方向に移動可能に支持される。これにより、弁体4と弁座3の中心軸の間に生じるずれが大きくても、第1チルト機構6で弁体4が傾倒するとともに、第2チルト機構7で第1チルト機構6が傾倒するので、弁の閉鎖時に弁体4と弁座3を隙間なく密着させることができる。
【0040】
図2に示すように、幾つかの実施形態では、第1チルト機構6は、弁体4と、弁体4を傾倒可能に支持する中間体61とで構成され、第2チルト機構7は、中間体61と、中間体61を傾倒可能に支持する弁棒8とで構成される。
【0041】
図2に例示する形態において、弁体4は、後端に弁体収容部41が設けられている。弁体収容部41は、横断面が円形に形成された凹部であり、その底面は平坦である。中間体61は、頭部62と収容部63とを有する。頭部62は、弁体4を傾倒可能に支持するためのものであり、頭部62と収容部63とを繋ぐ軸部64よりも大径の円柱状に形成され、その先端に球面を有している。これにより、中間体61の頭部62は、弁体4の弁体収容部41に収容され、弁体4を傾倒可能に支持する。
尚、弁体4に設けられた弁体収容部41は、入口側に抜止42が設けられ、弁体収容部41に収容された中間体61の頭部62が抜けないようになっている。
【0042】
図2に例示する形態において、収容部63は、横断面が円形に形成された凹部であり、その底面は平坦である。弁棒8は、弁棒頭部81を有する。弁棒頭部81は、中間体61を傾倒可能に支持するためのものであり、弁棒頭部81が設けられる軸部82よりも大径の円柱状に形成され、その先端に球面を有している。これにより、弁棒8の弁棒頭部81は、中間体61の収容部63に収容され、中間体61を傾倒可能に支持する。
尚、中間体61に設けられた収容部63は、入口側に抜止65が設けられ、収容部63に収容された弁棒8の弁棒頭部81が抜けないようになっている。
【0043】
図3に示すように、幾つかの実施形態では、第1チルト機構6は、弁体4と、弁体4を傾倒可能に支持する中間体61とで構成され、第2チルト機構7は、中間体61(第1中間体611と第2中間体612)で構成される。
【0044】
図3に例示する形態において、弁体4は、後端に弁体収容部41が設けられている。弁体収容部41は、横断面が円形に形成された凹部であり、その底面は平坦である。中間体61は、第1中間体611と第2中間体612とを含む。第1中間体611は、頭部613と連結部614とを有する。頭部613は、弁体4を傾倒可能に支持するためのものであり、頭部613と連結部614とを繋ぐ軸部615よりも大径の円柱状に形成され、その先端に球面を有している。これにより、第1中間体611の頭部613は、弁体4の弁体収容部41に収容され、弁体4を傾倒可能に支持する。
尚、弁体4に設けられた弁体収容部41は、入口側に抜止42が設けられ、弁体収容部41に収容された第1中間体611の頭部613が抜けないようになっている。
【0045】
図3に例示する形態において、連結部614は、第2中間体612と連結するためのもので、第2中間体612に傾倒可能に連結するためのピン孔を有している。第2中間体612は、第1連結部616と第2連結部617とを有する。第1連結部616は、第2中間体612に第1中間体611を傾倒可能に連結するためのものであり、第1中間体611を傾倒可能に連結するための第1ピン孔を有している。そして、第1中間体611のピン孔と第2中間体の第1ピン孔とにピン618を貫通することで、第1中間体611は第2中間体612に傾倒可能に支持される。
【0046】
図3に例示する形態において、第2連結部617は、弁棒8に第2中間体612を傾倒可能に連結するためのものであり、第2中間体612の軸回りに第1連結部616と90度の位相差を有している。また、第2連結部617は、第2中間体612を傾倒可能に連結するための第2ピン孔を有している。弁棒8は、連結部83を有する。連結部83は、弁棒8に第1中間体611を傾倒可能に連結するためのものであり、第2中間体612を傾倒可能に連結するためのピン孔を有している。そして、第2中間体612のピン孔と弁棒8のピン孔とにピン619を貫通することで、第2中間体612は弁棒8に傾倒可能に支持される。
【0047】
上記の構成によれば、弁体4が中間体61に傾倒可能に支持され、中間体61が弁棒8に傾倒可能に支持される。これにより、弁体4と弁座3の中心軸の間に生じるずれが大きくても、弁体4と中間体61との間で弁体4が傾倒するとともに、中間体61と弁体4との間で中間体61が傾倒するので、弁の閉鎖時に弁体4と弁座3を隙間なく密着させることができる。
【0048】
図4に示すように、幾つかの実施形態では、第2チルト機構7は、可撓性を有するコイルバネ71で構成される。
【0049】
図4に例示する形態において、コイルバネ71は、カバー72で被覆され、弁棒8を構成する。具体的には、図4に示すように、螺旋状に形成されたコイルバネ71が螺旋状に形成されたカバー72で被覆される。そして、カバー72で被覆されたコイルバネ71は、弁ガイド51に内装された弁棒ガイド52にガイドされる。これにより、コイルバネ71は、第2チルト機構7を構成するとともに、弁棒8をも構成することになる。
【0050】
上記構成によれば、コイルバネ71が撓むことで第1チルト機構6が傾倒する。これにより、弁体4と弁座3の中心軸の間に生じるずれが大きくても、第1チルト機構6で弁体4が傾倒するとともに、コイルバネ71が撓むことで第1チルト機構6が傾倒するので、弁の閉鎖時に弁体4と弁座3を隙間なく密着させることができる。
【0051】
図2に示すように、幾つかの実施形態では、上述したように、中間体61は、頭部62と収容部63とを有する。
上述したように、頭部62は、弁体4の後端に設けられた弁体収容部41に収容される部分であり、収容部63は、弁棒8に設けられた弁棒頭部81を収容する部分である。
【0052】
上記構成によれば、中間体61が有する頭部が弁体4の後端に設けられた弁体収容部41に収容され、中間体61が有する収容部63に弁棒8に設けられた弁棒頭部81が収容される。これにより、簡易な構成で、弁体4が中間体61に傾倒可能に支持され、中間体61が弁棒8に傾倒可能に支持される。
【0053】
図5に示すように、幾つかの実施形態では、第1チルト機構6及び第2チルト機構7は、可撓性を有するコイルバネ9で構成される。
【0054】
上記構成によれば、コイルバネ9が撓むことで弁体4が傾倒する。これにより、弁体4と弁座3の中心軸の間に生じるずれが大きくても、コイルバネ9が撓むことで弁体4が大きく傾倒するので、弁の閉鎖時に弁体4と弁座3を隙間なく密着させることができる。
【0055】
図1に示すように、幾つかの実施形態では、弁箱2には、複数の排気通路22が設けられ、複数の排気通路22のそれぞれに弁座3、弁体4及び支持体5を備える。
【0056】
図1に例示する形態では、一列に三つの排気通路22(22A,22B,22C)が設けられ、三つの排気通路22のそれぞれに弁座3(3A,3B,3C)、弁体4(4A,4B,4C)及び支持体5(図2から図5参照)を備える。そして、支持体5は、弁体4(4A,4B,4C)ごとに設けられた動弁機構55(55A,55B,55C)に接続され、図示せぬ油圧アクチュエータで制御される。これにより、三つの弁体4(4A,4B4C)は、任意のタイミングで昇降し、弁座3(3A,3B,3C)のそれぞれに対して密着又は離反する。これにより、蒸気弁装置1は任意の量の蒸気を弁室21から排出することができる。
【0057】
上記構成によれば、複数の排気通路22のそれぞれで弁体4と弁座3の中心軸の間に生じるずれが大きくても、複数の排気通路22のそれぞれで弁の閉鎖時に弁体4と弁座3を隙間なく密着させることができる。
【0058】
図6は、本発明の一実施形態に係る発電プラント100を概略的に示す模式図である。
図6に示すように、本発明の少なくとも一実施形態に係る蒸気流制御システム10は、ボイラ11とタービン12との間に蒸気弁装置1を備える。
【0059】
図6に例示する形態において、蒸気弁装置1は、加減弁として機能し、ボイラ11から供給された蒸気の流量を加減して、必要な流量の蒸気をタービン12に供給する。
【0060】
上記構成によれば、弁の閉鎖時に弁体4と弁座3を隙間なく密着させることができるので、ボイラ11とタービン12との間で蒸気を遮断することができる。これにより、タービン12の起動前に蒸気漏れによるタービンロータ(図示せず)が回転する等の不具合を防止できる。
【0061】
図6に示すように、本発明の少なくとも一実施形態に係る発電プラント100は、蒸気流制御システム10を備える。
【0062】
図6に例示する形態では、タービン12と同軸上に発電機13を備える。これにより、ボイラ11からタービン12に蒸気を供給することで、タービンロータ(図示せず)が回転し、発電機13が電力を発電する。
【0063】
上記構成によれば、ボイラ11とタービン12との間で蒸気を遮断することができるので、発電プラント100の起動前に蒸気漏れによるタービンロータが回転する等の不具合を防止できる。
【0064】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、図2から図5に例示する形態では、第1チルト機構6と第2チルト機構7とにより弁体4を傾倒させるものとしたが、チルト機構が二つだけで構成されるものに限られるものではなく、三つ以上のチルト機構を備えるものであってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 蒸気弁装置
2 弁箱
21 弁室
22,22A,22B,22C 排気通路
23 給気通路
3,3A,3B,3C 弁座
31 円筒状の部品
4,4A,4B,4C 弁体
41 弁体収容部
42 抜止
5 支持体
51 弁ガイド
51a 凹部
52 弁棒ガイド
55,55A,55B,55C 動弁機構
6 第1チルト機構
61 中間体
611 第1中間体
612 第2中間体
613 頭部
614 連結部
615 軸部
616 第1連結部
617 第2連結部
62 頭部
63 収容部
64 軸部
65 抜止
7 第2チルト機構
71 コイルバネ
72 カバー
8 弁棒
81 弁棒頭部
82 軸部
83 連結部
9 コイルバネ
10 蒸気流制御システム
11 ボイラ
12 タービン
13 発電機
100 発電プラント
図1
図2
図3
図4
図5
図6