特許第6385891号(P6385891)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6385891ラダー型フィルタ、デュプレクサおよびモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385891
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】ラダー型フィルタ、デュプレクサおよびモジュール
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/64 20060101AFI20180827BHJP
   H03H 9/72 20060101ALI20180827BHJP
   H03H 9/17 20060101ALI20180827BHJP
   H03H 9/54 20060101ALI20180827BHJP
   H03H 9/70 20060101ALI20180827BHJP
   H03H 7/46 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   H03H9/64 Z
   H03H9/72
   H03H9/17 F
   H03H9/54 Z
   H03H9/70
   H03H7/46 A
【請求項の数】12
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-115178(P2015-115178)
(22)【出願日】2015年6月5日
(65)【公開番号】特開2017-5390(P2017-5390A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2017年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】桑原 英司
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 祐喜
【審査官】 竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−049758(JP,A)
【文献】 特開2005−176321(JP,A)
【文献】 特開2006−333012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/00−9/76
H03H 7/00−7/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子と出力端子との間に直列に接続された1または複数の直列共振器と、
前記入力端子と前記出力端子との間に並列に接続された複数の並列共振器と、
前記複数の並列共振器のうち少なくとも2つの並列共振器とグランドとの間にそれぞれ位置する少なくとも2つのノード間に直列に接続された第1インダクタと、
前記少なくとも2つのノード間に、前記第1インダクタと直列に接続された第1キャパシタと、
を具備し、
前記少なくとも2つのノード間に他のキャパシタは接続されていないことを特徴とするラダー型フィルタ。
【請求項2】
前記少なくとも2つのノードのうち少なくとも1つのノードと前記グランドとの間に直列に接続された第2インダクタと、
前記少なくとも1つのノードと前記グランドとの間に前記第2インダクタと並列に接続された第2キャパシタと、
を具備することを特徴とする請求項1記載のラダー型フィルタ。
【請求項3】
前記少なくとも1つのノードと前記グランドとの間に前記第2インダクタと並列に、かつ前記第2キャパシタと直列に接続された第3インダクタを具備することを特徴とする請求項2記載のラダー型フィルタ。
【請求項4】
前記少なくとも2つのノードと前記グランドとの間に直列にそれぞれ接続された第2インダクタと、
前記少なくとも2つのノードと前記グランドとの間にそれぞれ前記第2インダクタと並列に接続された第2キャパシタと、
を具備することを特徴とする請求項1記載のラダー型フィルタ。
【請求項5】
第1減衰極と前記第1減衰極と異なる周波数を有する第2減衰極とが、いずれも主に前記第1インダクタおよび前記第1キャパシタにより形成されることを特徴とする請求項4記載のラダー型フィルタ。
【請求項6】
前記少なくとも2つのノードと前記グランドとの間にそれぞれ前記第2インダクタと並列にかつ前記第2キャパシタと直列に接続された第3インダクタを具備することを特徴とする請求項4記載のラダー型フィルタ。
【請求項7】
第1減衰極と、前記第1減衰極と異なる周波数を有する第2減衰極と、前記第1減衰極および前記第2減衰極と異なる周波数を有する第3減衰極と、が、いずれも主に前記第1インダクタ、前記第1キャパシタおよび前記第3インダクタにより形成されることを特徴とする請求項6記載のラダー型フィルタ。
【請求項8】
前記1または複数の直列共振器および前記複数の並列共振器が形成されたフィルタチップと、
前記フィルタチップを搭載する基板と、
を具備し、
前記第1インダクタおよび前記第1キャパシタの少なくとも1つは前記基板に搭載されたチップ部品であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載のラダー型フィルタ。
【請求項9】
前記1または複数の直列共振器および前記複数の並列共振器が形成されたフィルタチップと、
前記フィルタチップを搭載する基板と、
を具備し、
前記第1インダクタおよび前記第1キャパシタの少なくとも1つは前記基板内に形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載のラダー型フィルタ。
【請求項10】
送信端子と共通端子との間に接続された送信フィルタと、
受信端子と前記共通端子との間に接続された受信フィルタと、
を具備し、
前記送信フィルタおよび前記受信フィルタの少なくとも一方は請求項1からのいずれか一項記載のラダー型フィルタであることを特徴とするデュプレクサ。
【請求項11】
請求項1からのいずれか一項記載のラダー型フィルタを備えることを特徴とするモジュール。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか一項記載のラダー型フィルタである第1ラダー型フィルタと、
請求項1から9のいずれか一項記載のラダー型フィルタである第2ラダー型フィルタと、
前記第1ラダー型フィルタにおける前記少なくとも2つのノードのうち1つの第1ノードと、前記第2ラダー型フィルタにおける前記少なくとも2つのノードのうち1つの第2ノードと、の間に直列に接続された第4インダクタと、
前記第1ノードと前記第2ノードとの間に、前記第4インダクタと直列に接続された第4キャパシタと、
を具備することを特徴とするラダー型フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラダー型フィルタ、デュプレクサおよびモジュールに関し、例えば並列共振器にインダクタおよびキャパシタが接続されたラダー型フィルタ、デュプレクサおよびモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
高周波通信システムにラダー型フィルタが用いられている。ラダー型フィルタの並列共振器とグランドとの間にインダクタとキャパシタとが並列に接続された共振回路を接続することが知られている(特許文献1から3)。複数の並列共振器のグランド端子間をキャパシタ等で接続することが知られている(特許文献4および5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−261002号公報
【特許文献2】特開平9−321573号公報
【特許文献3】特開2008−205947号公報
【特許文献4】特開2004−72411号公報
【特許文献5】特開2012−175438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1から3のような共振回路を設けることにより、ラダー型フィルタの通過帯域外に減衰極を形成することができる。しかしながら、共振回路により、1つの減衰極を形成する。このため、複数の減衰極を形成することができない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、複数の減衰極を形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、入力端子と出力端子との間に直列に接続された1または複数の直列共振器と、前記入力端子と前記出力端子との間に並列に接続された複数の並列共振器と、前記複数の並列共振器のうち少なくとも2つの並列共振器とグランドとの間にそれぞれ位置する少なくとも2つのノード間に直列に接続された第1インダクタと、前記少なくとも2つのノード間に、前記第1インダクタと直列に接続された第1キャパシタと、を具備し、前記少なくとも2つのノード間に他のキャパシタは接続されていないことを特徴とするラダー型フィルタである。
【0007】
上記構成において、前記少なくとも2つのノードのうち少なくとも1つのノードと前記グランドとの間に直列に接続された第2インダクタと、前記少なくとも1つのノードと前記グランドとの間に前記第2インダクタと並列に接続された第2キャパシタと、を具備する構成とすることができる。
【0008】
上記構成において、前記少なくとも1つのノードと前記グランドとの間に前記第2インダクタと並列に、かつ前記第2キャパシタと直列に接続された第3インダクタを具備する構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記少なくとも2つのノードと前記グランドとの間に直列にそれぞれ接続された第2インダクタと、前記少なくとも2つのノードと前記グランドとの間にそれぞれ前記第2インダクタと並列に接続された第2キャパシタと、を具備する構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記少なくとも2つのノードと前記グランドとの間にそれぞれ前記第2インダクタと並列にかつ前記第2キャパシタと直列に接続された第3インダクタを具備する構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記1または複数の直列共振器および前記複数の並列共振器が形成されたフィルタチップと、前記フィルタチップを搭載する基板と、を具備し、前記第1インダクタおよび前記第1キャパシタの少なくとも1つは前記基板に搭載されたチップ部品である構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記1または複数の直列共振器および前記複数の並列共振器が形成されたフィルタチップと、前記フィルタチップを搭載する基板と、を具備し、前記第1インダクタおよび前記第1キャパシタの少なくとも1つは前記基板内に形成されている構成とすることができる。
【0014】
本発明は、送信端子と共通端子との間に接続された送信フィルタと、受信端子と前記共通端子との間に接続された受信フィルタと、を具備し、前記送信フィルタおよび前記受信フィルタの少なくとも一方は上記ラダー型フィルタであることを特徴とするデュプレクサである。
【0015】
本発明は、上記ラダー型フィルタを備えることを特徴とするモジュールである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の減衰極を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1(a)および図1(b)は、それぞれフィルタA(比較例1)およびフィルタB(実施例1)の回路図である。
図2図2(a)および図2(b)は、フィルタAおよびBの減衰特性を示す図である。
図3図3は、フィルタC(実施例1の変形例1)の回路図である。
図4図4(a)および図4(b)は、フィルタAおよびCの減衰特性を示す図である。
図5図5は、フィルタD(実施例1の変形例2)の回路図である。
図6図6(a)および図6(b)は、フィルタAおよびDの減衰特性を示す図である。
図7図7(a)および図7(b)は、それぞれ並列腕AおよびBの回路図である。
図8図8(a)および図8(b)は、並列腕AおよびBの減衰特性を示す図である。
図9図9(a)から図9(c)は、実施例1の別の変形例に係るフィルタEからGを示す回路図である。
図10図10(a)および図10(b)は、実施例1の別の変形例に係るフィルタHおよびIを示す回路図である。
図11図11(a)は、実施例2に係る送信フィルタを有するデュプレクサを示すブロック図であり、図11(b)は、実施例2に係る送信フィルタの回路図である。
図12図12は、実施例2に係るラダー型フィルタの断面図である。
図13図13(a)および図13(b)は、配線基板の各層の平面図(その1)である。
図14図14(a)および図14(b)は、配線基板の各層の平面図(その2)である。
図15図15(a)および図15(b)は、配線基板の各層の平面図(その3)である。
図16図16(a)および図16(b)は、配線基板の各層の平面図(その4)である。
図17図17は、実施例2および比較例2に係るラダー型フィルタの減衰特性を示す図である。
図18図18(a)から図18(c)は、実施例2および比較例2のデュプレクサ特性を示す図である。
図19図19は、実施例2の変形例1に係るラダー型フィルタの回路図である。
図20図20(a)および図20(b)は、実施例2の変形例1および比較例3に係るラダー型フィルタの減衰特性を示す図である。
図21図21は、実施例2の変形例2に係るラダー型フィルタの回路図である。
図22図22は、実施例3に係るモジュールを含むシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0019】
各フィルタについて減衰特性をシミュレーションした。図1(a)および図1(b)は、それぞれフィルタA(比較例1)およびフィルタB(実施例1)の回路図である。図1(a)に示すように、フィルタAは、直列共振器S1、並列共振器P1およびP2、並びに共振回路R21およびR22を有する。直列共振器S1は、入力端子Tinと出力端子Toutとの間に直列に接続されている。並列共振器P1およびP2は、入力端子Tinと出力端子Toutとの間に並列に接続されている。共振回路R21およびR22は、それぞれ並列共振器P1およびP2のグランド端子とグランドとの間に接続されている。
【0020】
共振回路R21は、インダクタL21およびキャパシタC21を有する。インダクタL21とキャパシタC21は、並列共振器P1のグランド端子とグランドとの間に電気的に接続されている。共振回路R22は、インダクタL22およびキャパシタC22を有する。インダクタL22とキャパシタC22は、並列共振器P2のグランド端子とグランドとの間に電気的に接続されている。
【0021】
図1(b)に示すように、フィルタBにおいては、共振回路R21およびR22はそれぞれインダクタL31およびL32を備える。インダクタL31は、キャパシタC21と直列に接続され、インダクタL21に並列に接続されている。インダクタL32は、キャパシタC22と直列に接続され、インダクタL22に並列に接続されている。その他の構成はフィルタAと同じであり説明を省略する。
【0022】
シミュレーションに用いたフィルタAおよびBの各インダクタおよびキャパシタのインダクタンスおよびキャパシタンスは以下である。フィルタAとして、共振回路R21のC21およびL21が異なるフィルタA1およびA2についてシミュレーションした。
フィルタA1:
共振回路R21:C21=0.85pF、L21=0.33nH
共振回路R22:C22=10pF、L22=0.32nH
フィルタA2:
共振回路R21:C21=13.45pF、L21=0.126nH
共振回路R22:C22=10pF、L22=0.32nH
フィルタB:
共振回路R21:C21=0.85pF、L21=0.33nH、L31=1.8nH
共振回路R22:C22=10pF、L22=0.32nH、L32=0.001nH
フィルタA1、A2、BのC22およびL22は同じである。フィルタA1のC21およびL21はフィルタBと同じである。フィルタA2はフィルタBと減衰極の周波数が一致するように、フィルタA1からC21およびL21を変更している。
【0023】
図2(a)および図2(b)は、フィルタAおよびBの減衰特性を示す図である。図2(b)は、図2(a)より広帯域な図である。図2(a)および図2(b)に示すように、フィルタA1、A2およびBの通過帯域PB1は約2GHzである。フィルタA1、A2およびBの共振回路R22により約2.6GHzに減衰極AP1が形成される。フィルタA1では、共振回路R21により約5.7GHzに減衰極AP2´が形成される。フィルタA2では、共振回路R21のC21およびL21を変更したことにより、減衰極AP2´の周波数が約3.5GHzとなり減衰極AP2が形成される。フィルタBでは、共振回路R21およびR22がインダクタL31およびL32を有することにより、減衰極AP2に加え周波数が約11.5GHzの減衰極AP3が形成される。フィルタBでは、フィルタA2に比べ約4GHz以上で減衰量が大きくなる。
【0024】
フィルタBにおいて、L31を大きくすると減衰極AP1は変化しないが、減衰極AP2およびAP3は低周波数に移動する。L31を小さくすると減衰極AP1は変化しないが、減衰極AP2およびAP3は高周波数に移動する。L32を大きくすると減衰極AP2は変化しないが、減衰極AP1およびAP3は低周波数に移動する。L32を小さくすると減衰極AP2は変化しないが、減衰極AP1およびAP3は高周波数に移動する。これにより、減衰極AP1は、主に共振回路R22により形成され、減衰極AP2は、主に共振回路R21により形成されている。減衰極AP3は、主にL31およびL32により形成されていると考えられる。
【0025】
このように、フィルタBでは、フィルタA2に対し減衰極AP1およびAP2の減衰特性を変化させずに、減衰極を増やすことができる。
【0026】
図3は、フィルタC(実施例1の変形例1)の回路図である。図3に示すように、フィルタCでは、並列共振器P1のグランド端子と共振回路R21との間のノードN1と、並列共振器P2のグランド端子と共振回路R22との間のノードN2と、の間に、共振回路R1が接続されている。共振回路R1は、ノードN1とN2との間に直列に接続されたキャパシタC1およびインダクタL1を備える。その他の構成は、フィルタA1と同じであり説明を省略する。
【0027】
シミュレーションに用いたフィルタCの各インダクタおよびキャパシタのインダクタンスおよびキャパシタンスは以下である。
フィルタC:
共振回路R21:C21=0.85pF、L21=0.33nH
共振回路R22:C22=10pF、L22=0.32nH
共振回路R1:C1=0.34pF、L1=2.1nH
フィルタCの共振回路R21およびR22の各キャパシタンスおよびインダクタンスはフィルタA1と同じである。
【0028】
図4(a)および図4(b)は、フィルタAおよびCの減衰特性を示す図である。図4(b)は、図4(a)より広帯域な図である。図4(a)および図4(b)に示すように、フィルタCでは、フィルタA1の減衰極AP2´が約4.4GHzの減衰極AP4と約7.8GHzの減衰極AP5の2つになる。
【0029】
フィルタCにおいて、C1を大きくすると減衰極AP1は変化しないが、減衰極AP4およびAP5は低周波数に移動する。C1を小さくすると減衰極AP1は変化しないが、減衰極AP4およびAP5は高周波数に移動する。L1を大きくすると減衰極AP1は変化しないが、減衰極AP4およびAP5は低周波数に移動する。L1を小さくすると減衰極AP1は変化しないが、減衰極AP4およびAP5は高周波数に移動する。これにより、減衰極AP4およびAP5は、主に共振回路R1により形成されていると考えられる。
【0030】
このように、フィルタCでは、フィルタA1に対し、減衰極を増やすことができる。新たに形成される減衰極AP4およびAP5は減衰極AP2´以上に急峻な減衰特性となる。
【0031】
図5は、フィルタD(実施例1の変形例2)の回路図である。図5に示すように、フィルタDでは、並列共振器P1のグランド端子と共振回路R21との間のノードN1と、並列共振器P2のグランド端子と共振回路R22との間のノードN2と、の間に、共振回路R1が接続されている。共振回路R1は、ノードN1とN2との間に直列に接続されたキャパシタC1およびインダクタL1を備える。その他の構成は、フィルタBと同じであり説明を省略する。
【0032】
シミュレーションに用いたフィルタDの各インダクタおよびキャパシタのインダクタンスおよびキャパシタンスは以下である。
フィルタD:
共振回路R21:C21=0.85pF、L21=0.33nH、L31=1.8nH
共振回路R22:C22=10pF、L22=0.32nH、L32=0.001nH
共振回路R1:C1=0.34pF、L1=2.1nH
フィルタDの共振回路R21およびR22の各キャパシタンスおよびインダクタンスはフィルタA1と同じである。フィルタDの共振回路R1のC1およびL1はフィルタCと同じである。
【0033】
図6(a)および図6(b)は、フィルタAおよびDの減衰特性を示す図である。図6(b)は、図6(a)より広帯域な図である。図6(a)および図6(b)に示すように、フィルタDでは、フィルタA1の減衰極AP2´が約12.5GHzの減衰極AP3、約3.5GHzの減衰極AP4および約5.4GHzの減衰極AP5の3つになる。
【0034】
フィルタDにおいて、L31を大きくすると減衰極AP1は変化しないが、減衰極AP3からAP5は低周波数に移動する。L31を小さくすると減衰極AP1は変化しないが、減衰極AP3からAP5は高周波数に移動する。L32を大きくすると減衰極AP4は変化しないが、減衰極AP1、AP3およびAP5は低周波数に移動する。L32を小さくすると減衰極AP4は変化しないが、減衰極AP1、AP3およびAP5は高周波数に移動する。C1を大きくすると減衰極AP1は変化しないが、減衰極AP3からAP5は低周波数に移動する。C1を小さくすると減衰極AP1は変化しないが、減衰極AP3からAP5は高周波数に移動する。L1を大きくすると減衰極AP1およびAP4は変化しないが、減衰極AP3およびAP5は低周波数に移動する。L1を小さくすると減衰極AP1およびAP4は変化しないが、減衰極AP3およびAP5は高周波数に移動する。これにより、減衰極AP3からAP5は、主に共振回路R1およびインダクタL31およびL32から形成されていると考えられる。
【0035】
このように、フィルタDでは、フィルタA1に対し減衰極を2つ増やすことができる。
【0036】
次に、共振回路R21を共振器に置き換えた場合についてシミュレーションした。図7(a)および図7(b)は、それぞれ並列腕AおよびBの回路図である。図7(a)に示すように、並列腕Aは、フィルタBの並列共振器P1を有する並列腕である。図7(b)に示すように、並列腕Bは、共振回路R21´を有する。共振回路R21´は、インダクタL31を有さず、インダクタL21に直列にキャパシタC31が接続されている。共振回路R21´は、弾性波共振器の等価回路に相当する。その他の構成は並列腕Aと同じであり、説明を省略する。
【0037】
シミュレーションに用いた並列腕AおよびBの各インダクタおよびキャパシタのインダクタンスおよびキャパシタンスは以下である。
並列腕A:
共振回路R21:C21=0.85pF、L21=0.33nH、L31=1.8nH
並列腕B:
共振回路R21´:C21=0.85pF、L21=0.8nH、C31=10.3pF
【0038】
図8(a)および図8(b)は、並列腕AおよびBの減衰特性を示す図である。図8(b)は、図8(a)より広帯域な図である。図8(a)および図8(b)に示すように、並列腕AおよびBともに、約1.8GHzに並列共振器P1に起因する減衰極AP0および約3.6GHzに共振回路R21およびR21´に起因した減衰極AP2が形成されている。並列腕Aでは、約10.5GHzに減衰極AP3が形成されている。並列腕Aにおける減衰極AP2の減衰特性は、並列腕Bに比べ急峻である。
【0039】
このように、並列腕Bは並列腕Aに比べ形成される減衰極が少ない。また、減衰極の減衰特性が緩い。これにより、フィルタBの共振回路R21を弾性波共振器に置き換えても、フィルタBのように減衰極を増やすことができない。
【0040】
図9(a)から図10(b)は、実施例1の別の変形例に係るフィルタEからIを示す回路図である。図9(a)に示すように、フィルタにおいては、フィルタDに比べ、共振回路R21およびR22は設けられていない。その他の構成はフィルタDと同じであり、説明を省略する。フィルタEのように、共振回路R21およびR22の少なくとも1つは設けられていなくてもよい。
【0041】
図9(b)に示すように、フィルタFにおいては、フィルタDに比べ、共振回路R21およびR22が共振回路R21´およびR22´に置き換わっている。共振回路R21´およびR22´では、それぞれインダクタL31およびL32が設けられておらず、キャパシタC31およびC32がインダクタL21およびL22に直列に接続されている。その他の構成はフィルタDと同じであり、説明を省略する。フィルタFのように、共振回路R21およびR22の少なくとも1つは共振回路R21´およびR22´でもよい。
【0042】
図9(c)に示すように、フィルタGにおいては、フィルタDに比べ、共振回路R22にインダクタL32が設けられていない。その他の構成はフィルタDと同じであり、説明を省略する。フィルタGのように、共振回路R21およびR22の少なくとも1つにおいてインダクタL31およびL32は設けられていなくてもよい。
【0043】
図10(a)に示すように、フィルタHにおいては、フィルタDに比べ、共振回路R1にインダクタL1が設けられていない。その他の構成はフィルタDと同じであり、説明を省略する。フィルタHのように、共振回路R1にインダクタL1は設けられていなくてもよい。
【0044】
図10(b)に示すように、フィルタIにおいては、フィルタDに比べ、共振回路R1にキャパシタC1が設けられていない。その他の構成はフィルタDと同じであり、説明を省略する。フィルタIのように、共振回路R1にキャパシタC1は設けられていなくてもよい。
【0045】
実施例1によれば、フィルタCからGのように、インダクタL1(第1インダクタ)は、ノードN1とN2間に直列に接続されている。キャパシタC1(第1キャパシタ)は、ノードN1とN2間に、インダクタL1と直列に接続されている。これにより、通過特性を劣化させることなく、減衰特性の急峻な減衰極を形成することができる。
【0046】
直列共振器S1は複数設けられていてもよい。また、並列共振器P1およびP2は3以上設けられていてもよい。直列共振器S1および並列共振器P1からP2は、例えば弾性波表面共振器、弾性波境界波共振器、ラブ波共振器および圧電薄膜共振器等の弾性波共振器とすることができる。
【0047】
並列共振器が3以上設けられている場合、インダクタL1およびキャパシタC1は、複数の並列共振器のうち少なくとも2つの並列共振器とグランドとの間にそれぞれ位置する少なくとも2つのノード間に接続されていればよい。すなわち、共振回路R1は複数設けられていてもよい。また、複数の並列共振器の一部の並列共振器がノードN1またはN2において共通に接続されていてもよい。
【0048】
また、インダクタL21およびL22(第2インダクタ)は、それぞれノードN1およびN2とグランドとの間に直列に接続されている。キャパシタC21およびC22(第2キャパシタ)は、ノードN1およびN2とグランドとの間にインダクタL21およびL22と並列に接続されている。これにより、図4(a)および図4(b)のフィルタCのように、減衰特性の急峻な減衰極を複数形成することができる。
【0049】
共振回路R21およびR22は、いずれか一方のみ設けられていてもよい。共振回路R21およびR22はいずれも設けられていてもよい。すなわち、共振回路R1が接続されるノードのうち少なくとも1つのノードとグランドとの間に、インダクタL21およびL22並びにキャパシタC21およびC22が接続されていればよい。
【0050】
減衰極を多く形成するため、共振回路R21およびR22は、両方設けられていることが好ましい。すなわち、共振回路R1が接続されるノードのそれぞれのノードとグランドとの間に、インダクタL21およびL22並びにキャパシタC21およびC22が接続されていることが好ましい。
【0051】
さらに、インダクタL31およびL32は、それぞれノードN1およびN2とグランドとの間にインダクタL21およびL22と並列に、かつキャパシタC21およびC22と直列に接続されている。これにより、図6(a)および図6(b)のフィルタDのように、減衰特性の急峻な減衰極をさらに多く形成することができる。
【0052】
インダクタL31およびL32は、共振回路R1が接続されるノードのうち少なくとも1つのノードとグランドとの間に接続されていればよい。また、インダクタL31およびL32は、共振回路R1が接続されるノードのそれぞれのノードとグランドとの間に接続されていることが好ましい。
【0053】
また、フィルタB、HおよびIのように、インダクタL1およびキャパシタC1の少なくとも一方は設けられておらず、インダクタL31およびL32が設けられていてもよい。これにより、図2(a)および図2(b)のフィルタBのように、減衰特性の急峻な減衰極を複数形成することができる。
【実施例2】
【0054】
実施例2は、バンド2(送信帯域:1850−1910GHz、受信帯域:1930−1990GHz)の送信フィルタの例である。図11(a)は、実施例2に係る送信フィルタを有するデュプレクサを示すブロック図であり、図11(b)は、実施例2に係る送信フィルタの回路図である。
【0055】
図11(a)に示すように、アンテナ端子Antと送信端子Txとの間に送信フィルタ80が接続され、アンテナ端子Antと受信端子Rxとの間に受信フィルタ82が接続されている。送信フィルタ80は、送信端子Txから入力した信号のうち送信帯域の信号をアンテナ端子Antに出力する。受信フィルタ82は、アンテナ端子Antに入力した信号のうち受信帯域の信号を受信端子Rxに出力する。
【0056】
図11(b)に示すように、送信フィルタ80において、送信端子Txとアンテナ端子Antとの間に直列共振器S1からS4が直列に接続され、並列共振器P1からP3が並列に接続されている。直列共振器S2およびS4はそれぞれ2分割および3分割されている。並列共振器P1およびP2は共通にノードN1に接続されている。その他の構成はフィルタDと同じであり説明を省略する。
【0057】
図12は、実施例2に係るラダー型フィルタの断面図である。図12に示すように、フィルタチップ20および21およびチップ部品22が配線基板10上に搭載されている。配線基板10はマザーボード29上に搭載されている。フィルタチップ20には、直列共振器S1からS4および並列共振器P1からP3が形成されている。直列共振器S1からS4および並列共振器P1からP3は、弾性表面波共振器である。配線基板10は、複数の層11から17が積層し形成されている。複数の層11から17は、樹脂またはセラミックからなる絶縁層である。層11から17の上面および下面には金属層が形成されている。また、層11から17を貫通する貫通電極が形成されている。配線基板10の上面にはパッド24が形成されている。パッド24には、半田または金バンプ23を用いフィルタチップ20および21がフリップチップマウントされている。パッド24にはチップ部品22が搭載されている。配線基板10の下面にはフットパッド26が形成されている。マザーボード29の上面に形成されたパッド28とフットパッド26とは半田27を用い接続されている。
【0058】
図13(a)から図16(b)は、配線基板の各層の平面図である。図13(a)から図16(a)は、それぞれ層11から17の上面を示す。図16(b)は、層17の下面を上から透視した図である。各層11から17の上面および下面には、金属層30が形成されている。各層11から17を貫通する貫通電極32が形成されている。金属層30に上から接続する貫通電極32を円内の上向きの三角▲で示し、下から接続する貫通電極32を円内の下向きの三角▼で示す。金属層30に上および下から接続する貫通電極32を円内のひし形◆で示す。金属層30および貫通電極32は、金層または銅層等の金属層により形成されている。なお、送信フィルタ80に接続する金属層30以外の金属層30は図示を簡略化している。
【0059】
図13(a)に示すように、層11の上面にフィルタチップ20、21およびチップ部品22が搭載されている。金属層30により、送信パッドPtx、アンテナパッドPant、グランドパッドG1およびG2、並びにグランド配線Gndが形成されている。送信パッドPtx、アンテナパッドPant、グランドパッドG1およびG2は、図12のパッド24に相当し、それぞれフィルタチップ20のうち図11(b)の送信端子Tx、アンテナ端子Ant、ノードN1およびN2に相当するパッドに接続されている。グランド配線Gndはグランド電位が供給される配線である。チップ部品22はチップコンデンサであり、キャパシタC22に相当する。金属層30によりインダクタL32の一部が形成されている。図13(b)に示すように、層12の上面には、金属層30によりグランド配線Gndが形成されている。
【0060】
図14(a)に示すように、層13の上面には、金属層30によりインダクタL1、L22およびL31の一部、キャパシタC1およびC21の電極、並びにグランド配線Gndが形成されている。図14(b)に示すように、層14の上面には、金属層30によりインダクタL1、L21およびL22の一部、キャパシタC1の電極が形成されている。図15(a)および図15(b)に示すように、層15および16の上面には、金属層30によりインダクタL1の一部、キャパシタC1の電極および並びにグランド配線Gndが形成されている。
【0061】
図16(a)に示すように、層17の上面には、金属層30によりグランド配線Gndが形成されている。図16(b)に示すように、層17の下面には、金属層30により、図12のフットパッド26に相当する送信フットパッドFtx、アンテナフットパッドFantおよびグランドフットパッドFgndが形成されている。
【0062】
実施例2に係るラダー型フィルタの減衰特性をシミュレーションした。シミュレーションに用いた各インダクタおよびキャパシタのインダクタンスおよびキャパシタンスは以下である。
共振回路R1:C1=0.75pF、L1=1.0nH
共振回路R21:C21=1.2pF、L21=0.33nH、L31=1.3nH
共振回路R22:C21=10pF、L21=0.15nH、L31=0.001nH
比較例2として、共振回路R1、インダクタL31およびL32を設けないラダー型フィルタについてもシミュレーションした。
【0063】
図17は、実施例2および比較例2に係るラダー型フィルタの減衰特性を示す図である。図17に示すように、実施例2では、通過帯域PB1の高周波側に減衰極AP6からAP8を形成できる。減衰極AP6からAP8は、それぞれ無線LAN(Local Area Network)、通過帯域の2倍波および通過帯域の3倍波に対応する。このように、任意の周波数に複数の減衰極を形成できる。
【0064】
実施例2に係るラダー型フィルタを送信フィルタ80とし、バンド2用の受信フィルタ82を用いたデュプレクサについてシミュレーションした。図18(a)から図18(c)は、実施例2および比較例2のデュプレクサ特性を示す図である。図18(a)は通帯域付近の通過特性を示し、図18(b)は送信端子Txから受信端子Rxへのアイソレーション特性を示し、図18(c)は、通過帯域近傍の送信フィルタの通過特性を示す。
【0065】
図18(a)から図18(c)に示すように、実施例2の通過帯域近傍の通過特性およびアイソレーション特性は比較例2とほとんど同程度である。
【0066】
このように、実施例2では、比較例2に対し通過帯域近傍の通過特性及びアイソレーション特性の劣化をともなうことなく、急峻な減衰極を複数形成することができる。
【0067】
共振回路R1、R21およびR22のインダクタの少なくとも1つは、配線基板10内の金属層30を用い形成することができる。共振回路R1、R21およびR22のキャパシタの少なくとも1つは、配線基板10内の層を挟む金属層30を用いた電極を用い形成することができる。共振回路R1、R21およびR22のインダクタおよびキャパシタの少なくとも1つは、配線基板10上に搭載されたチップインダクタまたはチップコンデンサにより形成してもよい。このように、共振回路R1、R21およびR22のインダクタおよびキャパシタの少なくとも1つは配線基板10に搭載されたチップ部品とすることができる。また共振回路R1、R21およびR22のインダクタおよびキャパシタの少なくとも1つは配線基板10内に形成することができる。
【0068】
図19は、実施例2の変形例1に係るラダー型フィルタの回路図である。ラダー型フィルタ86および88が設けられている。ラダー型フィルタ86および88は、それぞれバンド2およびバンド4(送信帯域:1710−1755GHz、受信帯域:2100−2155GHz)用送信フィルタである。ラダー型フィルタ86および88の回路は、実施例2と同じである。ラダー型フィルタ86のノードN2とラダー型フィルタ88のノードN1との間に共振回路R4が接続されている。ラダー型フィルタ86のノードN1とラダー型フィルタ88のノードN2との間に共振回路R5が接続されている。ラダー型フィルタ86のノードN1とラダー型フィルタ88のノードN1との間に共振回路R6が接続されている。ラダー型フィルタ86のノードN2とラダー型フィルタ88のノードN2との間に共振回路R7が接続されている。共振回路R4は直列に接続されたキャパシタC4およびインダクタL4を有する。共振回路R5は直列に接続されたキャパシタC5およびインダクタL5を有する。共振回路R6は直列に接続されたキャパシタC6およびインダクタL6を有する。共振回路R7は直列に接続されたキャパシタC7およびインダクタL7を有する。
【0069】
実施例2の変形例1に係るラダー型フィルタの減衰特性をシミュレーションした。シミュレーションに用いたラダー型フィルタ86の各インダクタおよびキャパシタは以下である。
共振回路R1:C1=0.073pF、L1=0.28nH
共振回路R4:C4=0.053pF、L4=1.36nH
共振回路R5:C5=0.022pF、L5=0.75nH
共振回路R6:C6=0.06pF、L6=2.4nH
共振回路R7:C7=2.65pF、L7=0.19nH
共振回路R21:C21=2.45pF、L21=0.82nH、L31=0.43nH
共振回路R22:C21=74pF、L21=0.3nH、L31=1.67nH
【0070】
比較例3として、共振回路R1、R4−R7、インダクタL31およびL32を設けないラダー型フィルタについてもシミュレーションした。
【0071】
図20(a)および図20(b)は、実施例2の変形例1および比較例3に係るラダー型フィルタの減衰特性を示す図である。図20(a)および図20(b)は、それぞれバンド2用のラダー型フィルタ86およびバンド4用のラダー型フィルタ88の減衰特性である。図20(a)に示すように、ラダー型フィルタ86の減衰特性は実施例2と同様である。実施例2の変形例1では、無線LAN、通過帯域の2倍波、3倍波に相当する周波数に減衰極が形成される。図20(b)に示すように、実施例2の変形例1では、5GHzと5.5GHzに2つの減衰極が形成されている。これにより、4.5GHzから6GHzの減衰量が大きくなっている。この周波数帯域は、通過帯域の3倍波、無線LANおよびIMS(Industry Science Medical)バンドで用いられる周波数に対応する。また、比較例3に比べ通過帯域の低周波数側における減衰特性が改善している。
【0072】
図21は、実施例2の変形例2に係るラダー型フィルタの回路図である。図21に示すように、共振回路R6およびR7が設けられていない。その他の構成は実施例2の変形例1と同じであり説明を省略する。
【0073】
実施例2の変形例1および2によれば、ラダー型フィルタ86の並列共振器とグランドとの間のノードとラダー型フィルタ88の並列共振器とグランドとの間のノードとの間に、共振回路R4からR7の少なくとも1つを設けることもできる。
【0074】
図11(a)のデュプレクサの送信フィルタ80および受信フィルタ82の少なくとも1つに実施例1、2およびその変形例のラダー型フィルタを用いることができる。
【実施例3】
【0075】
実施例3は、実施例1および2のラダー型フィルタを有するモジュールの例である。図22は、実施例3に係るモジュールを含むシステムのブロック図である。図22に示すように、システムは、モジュール50、集積回路52およびアンテナ54を備えている。モジュール50は、ダイプレクサ70、スイッチ76、デュプレクサ60およびパワーアンプ66を備えている。ダイプレクサ70は、ローパスフィルタ(LPF)72およびハイパスフィルタ(HPF)74を備えている。LPF72は、端子71と73との間に接続されている。HPF74は、端子71と75との間に接続されている。端子71はアンテナ54に接続されている。LPF72は、アンテナ54から送受信される信号のうち低周波信号を通過させ、高周波数信号を抑圧する。HPF74は、アンテナ54から送受信される信号のうち高周波信号を通過させ、低周波数信号を抑圧する。
【0076】
スイッチ76は端子73(または75)を複数の端子61のうち1つの端子に接続する。デュプレクサ60は、送信フィルタ62および受信フィルタ64を備えている。送信フィルタ62は、端子61と63との間に接続されている。受信フィルタ64は、端子61と65との間に接続されている。送信フィルタ62は送信帯域の信号を通過させ、他の信号を抑圧する。受信フィルタ64は、受信帯域の信号を通過させ、他の信号を抑圧する。パワーアンプ66は、送信信号を増幅し、端子63に出力する。ローノイズアンプ68は端子65に出力された受信信号を増幅する。
【0077】
デュプレクサ60の送信フィルタ62および受信フィルタ64の少なくとも一方に実施例1または2のフィルタを用いることができる。実施例3では、モジュールの例として、移動通信端末用のフロントエンドモジュールを例に説明したが、他の種類のモジュールでもよい。
【0078】
実施例においては、主に共振器として弾性表面波共振器を例に説明したが、共振器は、弾性境界波共振器、ラブ波共振器または圧電薄膜共振器でもよい。
【0079】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
10 配線基板
11−17 層
20、21 フィルタチップ
22 チップ部品
30 金属層
32 貫通電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22