特許第6385900号(P6385900)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385900
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】鋼帯の冷却装置
(51)【国際特許分類】
   C21D 9/573 20060101AFI20180827BHJP
   F25D 3/12 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   C21D9/573 101Z
   F25D3/12
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-142440(P2015-142440)
(22)【出願日】2015年7月16日
(65)【公開番号】特開2017-25356(P2017-25356A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2017年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100118625
【弁理士】
【氏名又は名称】大畠 康
(74)【代理人】
【識別番号】100144200
【弁理士】
【氏名又は名称】奥西 祐之
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 利生
【審査官】 市川 篤
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−151430(JP,A)
【文献】 特開昭52−056009(JP,A)
【文献】 特開昭53−026714(JP,A)
【文献】 特開昭61−119961(JP,A)
【文献】 実開昭49−015107(JP,U)
【文献】 特開2008−019505(JP,A)
【文献】 特開平04−173916(JP,A)
【文献】 特開平10−046232(JP,A)
【文献】 特開昭48−005608(JP,A)
【文献】 実開昭59−037360(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0125463(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 9/52−9/66
C21D 1/00
F25D 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼帯の冷却装置であって、
粉粒体を収容する流動層と、
鋼帯を上方から前記粉粒体内に導入し、前記粉粒体から上方に向けて前記鋼帯を取り出す、鋼帯移送部材と、
前記流動層の下部に設けられ、前記粉粒体の下部から上方へ向けてガスを噴射するガスノズルと、を備えており、
前記鋼帯は、前記流動層内において、前記ガスノズルの噴射方向の延長線上に位置しないようになっており、
前記流動層の内壁には、前記粉粒体を冷却する冷却部材が設けられており、
前記ガスノズルは、前記流動層の底板の端部に設けられており、
前記冷却部材は、前記ガスノズルの上方であって、前記流動層の側壁に設けられており、
前記粉粒体は、ドライアイスであることを特徴とする、冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼帯の冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金属ストリップ(鋼帯)を冷却する方法として、特許文献1に示されるように、鋼帯に対して冷却水を噴霧する方法が開示されている。また、特許文献2に示されるように、鋼帯に対してワイピングノズルを用いてガスを吹き付けることを考慮して、鋼帯に冷却空気を吹き付ける方法が想定される。また、特許文献3には、物体を媒体で冷却する場合に、物体の回りに形成される境膜によって、物体と媒体との間の熱伝導の効率が低下することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−279255号公報
【特許文献2】特開2013−7095号公報
【特許文献3】特開2000−121842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、鋼帯に対して冷却水を噴霧する場合、鋼帯の表面が水で酸化したり、水によって鋼帯の表面に沸騰膜が形成され、品質の劣化や十分な冷却が行えないという課題がある。一方、鋼帯に対して冷却空気を吹き付ける場合、冷却による収縮で鋼帯が凹む、ひずむ等で変形したり、鋼帯の表面が冷却空気中の酸素で酸化したりする、また、十分な冷却速度が得られないという課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、鋼帯の酸化や沸騰膜の形成及び鋼帯の変形を抑制しながら、十分な冷却性能を得ることができる、鋼帯の冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
鋼帯の冷却装置であって、
粉粒体を収容する流動層と、
鋼帯を上方から前記粉粒体内に導入し、前記粉粒体から上方に向けて前記鋼帯を取り出す、鋼帯移送部材と、
前記流動層の下部に設けられ、前記粉粒体の下部から上方へ向けてガスを噴射するガスノズルと、を備えており、
前記鋼帯は、前記流動層内において、前記ガスノズルの噴射方向の延長線上に位置しないようになっていることを特徴とする。
【0007】
流動層内を流動する粉粒体によって鋼帯を冷却するので、鋼帯の酸化や沸騰膜の形成を防止でき、また、空気で冷却する場合のように鋼帯を変形させて冷却能が劣化することもなく、冷却性能を向上させることができる。そして、粉粒体によって鋼帯を冷却するので、鋼帯が凹凸を有する場合でも、冷媒を鋼帯表面に接触させることができ、鋼帯を均一に冷却できる。さらに、ガスノズルから噴射されるガスによっても粉粒体を冷却できるので、粉粒体による鋼帯の冷却効果を向上させることができる。また、ガスノズルから噴射されるガスを鋼帯に直接衝突させないことによって、境膜の形成による熱伝導の効率の低下やガスの鋼帯への直接接触による鋼帯の温度分布の変動の問題が生じることを防止できる。
【0008】
本発明は、更に、次のような構成を備えるのが好ましい。
(1)前記流動層の内壁には、前記粉粒体を冷却する冷却部材が設けられている。
(2)前記構成(1)において、前記ガスノズルは、前記流動層の底板の端部に設けられており、
前記冷却部材は、前記ガスノズルの上方であって、前記流動層の側壁に設けられている。
(3)前記粉粒体は、ドライアイスである。
【0009】
前記構成(1)によれば、冷却部材によって、流動層内の粉粒体の冷却を促進することができる。
【0010】
前記構成(2)によれば、流動層の底板の端部に設けられたガスノズルから噴射されたガスによって、流動層の下部の端部に位置する粉粒体が、流動層の上部の端部に移動し、ガスノズルの上方であって流動層の側壁に設けられている冷却部材で冷却される。したがって、冷却部材で冷却された粉粒体が鋼帯近傍に位置することとなり、粉粒体による鋼帯の冷却効果をさらに向上させることができる。
【0011】
前記構成(3)によれば、超低温の粉粒体であるドライアイスを用いることによって、鋼帯の冷却速度を速くすることができる。
【発明の効果】
【0012】
要するに、本発明によると、鋼帯の酸化や沸騰膜の形成及び鋼帯の変形を抑制しながら、十分な冷却性能を得ることができる、鋼帯の冷却装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る鋼帯の冷却装置の概略図である。
図2図1に示される流動層の上面図である。
図3】別の実施形態に係る鋼帯の冷却装置であって、流動層内に収容された粉粒体で鋼帯を冷却する前に、鋼帯に液化二酸化炭素をスプレーすることによって鋼帯の冷却を促進させる、鋼帯の冷却装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る鋼帯の冷却装置10の概略図であり、図2は、図1に示される流動層の上面図である。図1及び図2に示されるように、冷却装置10は、粉粒体を収容する流動層1と、流動層1の上方及び流動層1内に設けられ、鋼帯Sを上方から粉粒体内に導入し、粉粒体から上方に向けて鋼帯を取り出す、鋼帯移送部材2と、流動層1の下部に設けられ、粉粒体の下部から上方へ向けてガスを噴射する第1ガスノズル3と、流動層1の底壁及び側壁に取り付けられ、粉粒体を冷却する冷却部材41、42と、を備えている。
【0015】
流動層1には、粉粒体として、具体的にはドライアイス粉粒体が収容されている。ドライアイス粉粒体の粒径は50〜500μmであり、硬度は60Hv(モース硬度2)以下となっている。
【0016】
鋼帯移送部材2は、鋼帯Sを連続的に移送するために、少なくとも流動層1外であって流動層1の上方に3つの案内ローラ21、22、24と、流動層1内に1つの案内ローラ23と、を備えている。鋼帯移送部材2は、鋼帯Sを、流動層1の上方から鉛直方向下方に向けて流動層1の内部へ、流動層1の端部から離れた領域に導入し、流動層1の端部から離れた領域から、鉛直方向から若干傾斜させて、上方に取り出すようになっている。したがって、鋼帯Sは、流動層1内において、流動層1の端部近傍に位置しないようになっている。
【0017】
第1ガスノズル3は、流動層1の底壁の両端部に設けられており、流動層1内において、鉛直方向上方にむけてガスを噴射するようになっている。したがって、第1ガスノズル3から噴射されるガスは、粉粒体内の鋼帯Sに直接は衝突しないようになっている。また、第1ガスノズル3から噴射されたガスは、流動層1に収容された粉粒体を流動層1内で循環させるようになっている。
【0018】
図2に示されるように、冷却部材41は、第1ガスノズル3に挟まれるように、流動層1の底壁の内壁に取り付けられており、鋼帯Sは、冷却部材41の内側で、流動層1内に導入され、流動層1から取り出されるようになっている。また、冷却部材42は、第1ガスノズル3を囲むように、流動層1の側壁の内壁に取り付けられており、冷却部材42の下端部は、流動層1内を移送される鋼帯Sの下端位置よりも下方に位置するようになっている。
【0019】
前記構成の冷却装置10によれば、次のような効果を発揮できる。
【0020】
(1)流動層1内を流動する粉粒体によって鋼帯Sを冷却するので、鋼帯Sの酸化や沸騰膜の形成を防止でき、また、空気で冷却する場合のように鋼帯を変形させることもなく、冷却性能を向上させることができる。
【0021】
(2)粉粒体によって鋼帯Sを冷却するので、鋼帯Sが凹凸を有する場合でも、冷媒を鋼帯表面に接触させることができ、鋼帯を均一に冷却できる。さらに、第1ガスノズル3から噴射されるガスによっても粉粒体を冷却できるので、粉粒体による鋼帯Sの冷却効果を向上させることができる。
【0022】
(3)流動層1内で第1ガスノズル3から噴射されたガスが上昇しながら鋼帯Sに接触するとその部分に境膜が生じ熱伝導の効率が低下する。それに加えて、ガスが空気の場合、空気の比熱は小さく、流動層内の空気による泡はランダムに発生するので、この泡が鋼帯Sに接触すると鋼帯Sの温度分布に悪い影響を与える。ここで、流動層1内で、第1ガスノズル3から噴射されるガスを鋼帯に直接衝突させないことによって、境膜の形成による熱伝導の効率の低下やガスの鋼帯への直接接触による鋼帯の温度分布の変動の問題が生じることを防止できる。
【0023】
(4)流動層1の内壁には、粉粒体を冷却する冷却部材41、42が設けられているので、冷却部材41、42によって、粉粒体の冷却を促進することができ、その結果、鋼帯Sの冷却も促進できる。
【0024】
(5)第1ガスノズル3は、流動層1の底板の端部に設けられており、冷却部材42は、第1ガスノズル3の上方であって、流動層1の側壁に設けられているので、流動層1の底板の端部に設けられた第1ガスノズル3から噴射されたガスによって、流動層1の下部の端部に位置する粉粒体が、流動層1の上部の端部に移動し、第1ガスノズル3の上方であって流動層1の側壁に設けられている冷却部材42で冷却される。したがって、冷却部材42で冷却された粉粒体が鋼帯S近傍に位置することとなり、粉粒体による鋼帯Sの冷却効果をさらに向上させることができる。
【0025】
(6)冷媒が粉粒体、すなわち固体粉粒体で構成されているので、熱容量の大きい液体や泥状(スラリー状)のものを用いるよりも、熱伝導率が向上し、冷却効率を向上させることができる。
【0026】
(7)粉粒体の粒径は50〜500μmであり、その硬度は60Hv(モース硬度2)以下という特定の性質を有するので、粉粒体の粒径と硬度が所定の範囲で均一に構成されることによって、粉粒体の熱伝導率を向上させ、また、粉粒体が鋼帯に接触することによる鋼帯への物理的影響を低減することができる。
【0027】
(8)超低温の粉粒体であるドライアイスを用いることによって、鋼帯の冷却速度を速くすることができる。
【0028】
(9)鋼帯移送部材2は、鋼帯Sを、鉛直方向下方に向けて流動層1に導入するようになっているので、鋼帯Sの導入による流動層1内の粉粒体の抵抗を小さくすることができる。
【0029】
(10)鋼帯移送部材2は、鋼帯Sを、鉛直方向から若干傾斜させて上方に取り出すようになっているので、鋼帯Sの取り出しによる流動層1内の粉粒体の乱れを小さくすることができる。
【0030】
(別の実施形態)
上記実施形態に加え、冷却装置10は、流動層1に導入される前の鋼帯Sに対して、液化二酸化炭素をスプレーする液化二酸化炭素スプレー装置を備えていても良い。
【0031】
図3は、本発明に係る別の実施形態であって、流動層内に収容された粉粒体で鋼帯を冷却する前に、鋼帯に液化二酸化炭素をスプレーすることによって鋼帯の冷却を促進させる、鋼帯の冷却装置の概略図である。別の実施形態は、超低温の液化二酸化炭素をスプレーする液化二酸化炭素スプレー装置を有している点で上記実施形態と異なっており、その他の構成は上記実施形態と同じである。このため、別の実施形態の説明においては、上記実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、それらの内容については詳しい説明を省略する。
【0032】
冷却装置10は、液化二酸化炭素をスプレーする液化二酸化炭素スプレー装置11を備えている。液化二酸化炭素スプレー装置11は、液化二酸化炭素を収容するタンクやボンベ等の第1収容容器12と、第1収容容器12に連結され、流動層1の上方において、鉛直方向下方に移送されている鋼帯Sに対して液化二酸化炭素を噴射する第2ガスノズル13と、を備えている。
【0033】
第2ガスノズル13は、鋼帯Sを挟んで左右両側に対向するよう一対として設けられている。そして、各第2ガスノズル13と鋼帯Sとの間には所定の隙間が形成されている。所定の隙間は、すくなくとも10mm程度の空間を有している。なお、一対の第2ガスノズル13は、鋼帯Sを挟んでそれぞれ、鋼帯Sから等距離の位置に配置されている。
【0034】
液化二酸化炭素スプレー装置11は、さらに、第2ガスノズル13から噴射された液化二酸化炭素に向けて一酸化炭素ガスを噴射するようになっている、第3ガスノズル14と、第3ガスノズル14に連結され、一酸化炭素ガスを収容する第2収容容器15と、を備えている。
【0035】
流動層1は、第2ガスノズル13及び第3ガスノズル14の下方に配置されており、第2ガスノズル13から鋼帯Sに噴射された液化二酸化炭素、及び、第3ガスノズル14から噴射された一酸化炭素ガスの一部を回収可能となっている。
【0036】
前記構成の冷却装置10によれば、次のような効果を発揮できる。
【0037】
(1)液化二酸化炭素によって鋼帯Sを冷却するので、鋼帯Sの酸化や沸騰膜の形成を抑制しながら、十分な冷却性能を得ることができる。
【0038】
(2)液化二酸化炭素を噴射することによって鋼帯Sを冷却するので、鋼帯Sが凹凸を有する場合でも、鋼帯を均一に冷却できる。
【0039】
(3)鋼帯Sを挟んで左右両側から液化二酸化炭素を噴射するので、鋼帯Sの冷却効果を向上させることができ、また、冷却によって鋼帯Sが一方向にたわんで変形することを抑制できる。
【0040】
(4)第2ガスノズル13と鋼帯Sとの間に所定の隙間を設けることによって、第2ガスノズル13から噴射された液化二酸化炭素が気化し、またその気化熱で一部が凝固して、ドライアイスを含む二酸化炭素ガスが鋼帯に吹き付けられることとなる。その結果、鋼帯Sの表面に液化二酸化炭素の沸騰膜ができても、その沸騰膜をドライアイスの粒によって破壊することができ、鋼帯Sの冷却効果を向上させることができる。また、冷却空気を鋼帯に吹き付ける場合、冷却空気の速度は、ガスノズルから離れると急激に低下するので、鋼帯の冷却効果が低下することとなるが、ドライアイスは固体であり一定量の質量があるので、ガスノズルから離れても冷却空気ほど速度は低下せず、鋼帯の冷却効果の低下が少ない。
【0041】
(5)一対の第2ガスノズル13は、鋼帯Sを挟んでそれぞれ、鋼帯Sから等距離の位置に配置されているので、鋼帯Sの表裏が均等に冷却され、冷却による鋼帯Sの熱変形を抑制することができる。
【0042】
(6)冷却装置10は、第2ガスノズル13から噴射された液化二酸化炭素に向けて、第3ガスノズル14から一酸化炭素ガスを噴射するようになっているので、噴射された一酸化炭素ガスによって、噴射雰囲気の酸素ポテンシャルを低下させ、また噴射雰囲気を還元性雰囲気とすることができ、その結果、鋼帯Sの酸化を防止することができる。
【0043】
(7)冷却装置10は、第2ガスノズル13から噴射された液化二酸化炭素が凝固したドライアイスを流動層1で回収することによって、流動層1内の粉粒体をさらに冷却することができ、粉粒体による鋼帯Sの冷却効果をさらに向上させることができる。
【0044】
上記別の実施形態では、第2ガスノズル13は、鋼帯Sを挟んで左右両側に対向するよう一対として設けられているが、さらに、第2ガスノズル13は、鋼帯Sの移送方向(鉛直方向下方)に沿って複数対設けられていても良い。さらに、第2ガスノズル13は、鋼帯Sを挟んでそれぞれ、鋼帯Sの移送方向に直交する方向(左右方向)に所定間隔をおいて、鋼帯Sの全幅に亘って複数設けられていても、スリット形状を有していても良い。このように第2ガスノズル13を配置することによって、鋼帯Sを全体にわたって均一に冷却することができる。
【0045】
上記別の実施形態では、流動層1内に収容された粉粒体で鋼帯Sを冷却する前に、鋼帯Sに液化二酸化炭素をスプレーするようになっているが、流動層内に収容された粉粒体で鋼帯を冷却した後、鋼帯に液化二酸化炭素をスプレーしても良い。この場合、鋼帯を冷却するだけでなく、鋼帯に付着した粉粒体を、液化二酸化炭素のスプレーによって効果的に除去することができる。また、第2ガスノズルは第1ガスノズルに内蔵されても良く、あらかじめ二酸化炭素と一酸化炭素を混合したガスを第1ガスノズルから噴射しても良い。
【0046】
特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、上記実施形態に対して各種変形及び変更を行うことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明では、鋼帯の酸化や沸騰膜の形成及び鋼帯の変形を抑制しながら、十分な冷却性能を得ることができる、鋼帯の冷却装置を提供できるので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0048】
1 流動層
10 冷却装置
11 液化二酸化炭素スプレー装置 12 第1収容容器 13 第2ガスノズル
14 第3ガスノズル 15 第2収容容器
2 鋼帯移送部材
21 案内ローラ 22 案内ローラ 23 案内ローラ 24 案内ローラ
3 第1ガスノズル
41 冷却部材 42 冷却部材
S 鋼帯
図1
図2
図3