特許第6385919号(P6385919)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385919
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】再融解摂取製品
(51)【国際特許分類】
   A23G 3/34 20060101AFI20180827BHJP
   A24B 15/30 20060101ALI20180827BHJP
   A24B 13/00 20060101ALI20180827BHJP
   A61K 31/465 20060101ALI20180827BHJP
   A61K 9/36 20060101ALI20180827BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20180827BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20180827BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20180827BHJP
   A61P 25/34 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   A23G3/34 101
   A24B15/30
   A24B13/00
   A61K31/465
   A61K9/36
   A61K47/10
   A61K47/26
   A61K47/02
   A61P25/34
【請求項の数】21
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-507112(P2015-507112)
(86)(22)【出願日】2013年4月16日
(65)【公表番号】特表2015-516153(P2015-516153A)
(43)【公表日】2015年6月11日
(86)【国際出願番号】US2013036780
(87)【国際公開番号】WO2013158643
(87)【国際公開日】20131024
【審査請求日】2016年3月29日
(31)【優先権主張番号】13/448,781
(32)【優先日】2012年4月17日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594112886
【氏名又は名称】アール・ジエイ・レイノルズ・タバコ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン,タデウス・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】セント・チャールズ,フランク・ケリー
【審査官】 太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06541034(US,B1)
【文献】 特表2012−505878(JP,A)
【文献】 特開2006−288298(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3111014(JP,U)
【文献】 特表2013−514785(JP,A)
【文献】 特表2004−525928(JP,A)
【文献】 国際公開第2002/076211(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0101543(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101301275(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0003309(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/044736(WO,A1)
【文献】 特表2009−537513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口摂取製品の製造方法であって、
i)糖材料を液化し第1の液化糖材料を形成するのに十分な第1の温度まで、糖材料を加熱すること、
ii)第1の液化糖材料を冷却し、固体又は半固体形態の冷却された糖材料を得ること、
iii)冷却された糖材料を、第1の温度よりも低い第2の温度まで加熱し、第2の液化糖材料を得ること、
iv)加熱工程iii)の工程前、工程中又は工程後であるが、冷却工程ii)の後に、糖材料を1以上の温度感受性原料と混合し、第2の液化糖材料と1以上の温度感受性原料の均質混合物を得ること、
v)均質混合物を冷却し、経口摂取製品を形成すること
を含む、方法。
【請求項2】
冷却された糖材料を複数の断片に細分する工程を更に含み、混合工程iv)が、細分された糖材料を、1以上の温度感受性緩衝剤と混合し、均質混合物を形成することを含み、加熱工程iii)が、均質混合物を第2の温度まで加熱し、糖材料と1以上の温度感受性緩衝剤の液化均質混合物を得ることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
糖材料が糖アルコールを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
糖材料がイソマルトを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
第1の温度が、糖材料のハードクラック段階の温度又はこれよりも高い温度である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
第1の温度が150℃〜170℃である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
第2の温度が60℃〜150℃である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
第1の温度と第2の温度の差が、少なくとも10℃である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
第1の温度が150℃〜170℃であり、第2の温度が60℃〜150℃であり、第1の温度と第2の温度の差が、少なくとも10℃である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
第1の温度と第2の温度の差が、少なくとも30℃である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
1以上の温度感受性原料が、緩衝剤、着香料、医薬として活性のある原料及びこれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
温度感受性原料が、炭酸塩緩衝剤又はニコチン化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
温度感受性原料が、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム又はこれらの組合せである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
均質混合物がタバコ材料を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項15】
経口摂取製品が、無煙タバコ製品の形態である、請求項1又は2のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
工程ii)の冷却された糖材料を複数の断片に細分する工程を更に含み、混合工程が、細分された冷却糖材料を、1以上の温度感受性原料と混合することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
経口摂取製品が、温度感受性緩衝剤を含む液化均質混合物と、糖材料を含む第2の非緩衝化組成物とを混合し、多層製品を形成することによって形成される、請求項2に記載の方法。
【請求項18】
均質混合物及び第2の非緩衝化組成物が、液化形態で混合され、次に冷却され、多層製品が形成される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
多層製品の温度感受性緩衝剤を含む均質混合物と第2の非緩衝化組成物がともに、製品表面に露出している、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
温度感受性緩衝剤を含む均質混合物と第2の非緩衝化組成物のうちの一方又は両方が、医薬として活性のある原料を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
温度感受性緩衝剤を含む均質混合物と第2の非緩衝化組成物のうちの一方又は両方が、タバコ材料を更に含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間による消費を意図した、糖、糖代替物又はこれらの組合せを含む経口摂取製品に関する。具体的には、本発明は、タバコ若しくはその成分から得られるか、又は、それ以外に、これらを導入した経口摂取製品に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードボイルド(hard boiled)糖ベース及び糖代替物ベースの経口摂取製品は、一般に、比較的滑らかで、ガラス状の表面を有することが多い、非晶質の製品である。かかる製品の特定成分は、所望の質感、味、外観、及び任意の活性原料濃度を有する製品が得られるように、変更することができる。
【0003】
経口摂取ハードボイルド製品は、種々の目的を果たすことができ、一連の産業においてみられる。例えば、かかる製品のうちの一部は、食品産業(例えば、種々の形態及び風味の硬い菓子製品)、製薬産業(例えば、咳止めドロップ及びニコチン含有トローチ剤)、並びにタバコ産業(例えば、無煙タバコトローチ剤)においてみられる。
【0004】
経口摂取ハードボイルド製品は、通常、主成分として糖及び/又は糖代替物を含む。例えば、多くのハードボイルド製品は、糖及び/又はイソマルトを含むが、その他の糖代替物を使用することができる。種々の摂取ハードボイルド製品を製造する特定の方法は多様であり得るが、これらの工程は、一般に、糖及び/又は糖代替物又はその溶液を融解するのに十分な温度で成分を加熱することを含む。得られる加熱シロップは、一般に、製品のベース(すなわち、主成分)として機能する。
【0005】
他の原料は、この製造工程の種々の段階において加えることができる。例えば、着香料(例えば、天然油及び合成油並びに抽出物)並びにその他の成分は、所望の芳香及び/又は香味を有する製品が得られるように加えられることが多い。食品着色料/色素は、製品の視覚的外観を変化させるように加えることができる。緩衝剤及び/又はpH調整剤(例えば、酸若しくは塩基)は、製品の酸度が所望の範囲内にあることを保証するように加えられることが多い。該当する場合、活性原料(例えば、鎮咳剤、ビタミン、無機塩類、薬剤又はニコチン)も追加される。
【0006】
すべての原料が完全に最終製品全体に混合されることを保証するように、原料は、通常、製造工程において(すなわち、摂取製品のベースが依然として液体状態にある場合)多少高温で混合物に加えられる。しかしながら、特定の原料は、特定の原料が高温で加えられた場合に蒸発することができる揮発性成分である。さらに、特定の原料は、高温でする場合がある。例えば、重炭酸ナトリウムは、70℃を超える温度で、炭酸ナトリウム、水及び二酸化炭素に容易に分解され、このため、重炭酸ナトリウムは、一般に、混合回数の増加、及び、かかる混合物が通常、完全な混合を保証するように維持される高温により、使用することができない。さらに、特定の原料は、高温で加えられる場合、他の方法において最終生成物に影響を及ぼす場合がある。例えば、加熱スクロース含有シロップへの食品着色料の添加によって、スクロースを転化することができ、この転化は、食品着色料中の酸とスクロースとの間の反応から発生する。熱の存在下でスクロースと酸の混合物は、デキストロース及びフルクトースを生成することができ、これによって、得られる経口摂取ハードボイルド製品の性質が変化する。
【0007】
したがって、例えば、特定の原料の蒸発若しくは分解又は副生成物の形成によって、組成物中に望ましくない変化を生じることなく、特定の原料をハードボイルド製品中に導入することができる方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、経口摂取ハードボイルド製品の製造方法とともに、当該方法によって製造される製品も提供する。一部の実施形態において、方法は、加熱回数の増加及び/又は加熱温度の上昇に対する特定の温度感受性原料の暴露を減少させることができる。かかる方法は、従来の処理技術と比較して、かかる原料の分解及び/又は蒸発を有利に減少させることができ、これによって、より高い温度において原料の導入を要求することができ、及び/又はより長い間、高温への暴露を含めることができる。かかる方法は、ハードボイルド製品に関連する所望の特性(例えば、ガラス状の外観)を示す、ハードボイルド製品の製造を提供することができる。通常、ハードボイルド製品には、糖材料の約40重量%以上又は約50重量%以上が含まれる。多くの場合、ハードボイルド製品には、約80%重量%以上又は約90重量%以上のような更に高い量で糖材料が含まれる。
【0009】
特定の態様において、本発明は、経口摂取製品の製造方法であって、i)糖材料を液化し第1の液化糖材料を形成するのに十分な第1の温度まで、糖材料を加熱することと、ii)第1の液化糖材料を冷却し、固体又は半固体形態の冷却された糖材料を得ることと、iii)冷却された糖材料を、第1の温度よりも低い第2の温度まで加熱し、第2の液化糖材料を得ることと、iv)前述の加熱工程iii)の前、工程iii)時又は工程iii)の後であって、前述の冷却工程ii)の後に、糖材料を1以上の温度感受性原料と混合し、第2の液化糖材料と1以上の温度感受性原料の均質混合物を得ることと、v)均質混合物を冷却し、経口摂取製品を形成することとを含む方法を提供する。
【0010】
特定の実施形態において、方法は、工程ii)の冷却された糖材料を複数の断片に細分する工程を更に含んでいてもよく、また、混合工程は、細分された冷却糖材料を、1以上の温度感受性原料(例えば、緩衝剤)と混合することを更に含んでいてもよい。冷却された糖材料を細分する工程は、例えば、冷却された糖材料を粉砕し粒状物質を得ることを含み得る。
【0011】
他の態様において、本発明は、経口摂取製品の製造方法であって、i)糖材料を液化し液化糖材料を形成するのに十分な第1の温度まで、糖材料を加熱することと、ii)液化糖材料を冷却し、固体又は半固体形態の冷却された糖材料を得ることと、iii)冷却された糖材料を複数の断片に細分することと、iv)細分された糖材料を1以上の温度感受性緩衝剤と混合し、混合物を形成することと、v)混合物を、第1の温度よりも低い第2の温度まで加熱し、糖材料と1以上の温度感受性緩衝剤の液化均質混合物を得ることと、vi)均質混合物を冷却し、経口摂取製品を形成することとを含む方法を提供する。
【0012】
方法の第1の温度及び第2の温度は変更することができる。一部の実施形態において、第1の温度は、糖材料のハードクラック(hard crack)段階の温度又はこれよりも高い温度である。一部の実施形態において、第1の温度は約150℃〜約170℃である。一部の実施形態において、第2の温度は、約60℃〜約150℃又は約60℃〜約120℃であり得る。第1の温度と第2の温度の差は、例えば、少なくとも約10℃、少なくとも約30℃又は少なくとも約50℃とすることができる。特定の一実施形態において、第1の温度は約150℃〜約170℃であり、第2の温度は約60℃〜約150℃であり、また、第1の温度と第2の温度の差は、少なくとも約10℃(例えば、少なくとも約30℃)である。
【0013】
更なる態様において、本発明は、経口摂取製品の製造方法であって、i)糖材料を液化し第1の液化糖材料を形成するのに十分な程度まで、糖材料を加熱することと、ii)第1の液化糖材料を冷却し、固体又は半固体形態の冷却された糖材料を得ることと、iii)冷却された糖材料を加熱し、第2の液化糖材料を得ることであって、冷却された糖材料に加えられる熱の量が工程i)において加えられる熱の量よりも少ない、第2の液化糖材料を得ることと、iv)冷却された糖材料を加熱する前述の工程iii)の前、工程iii)時又は工程iii)の後であって、前述の冷却工程ii)の後に、糖材料を1以上の温度感受性原料と混合し、第2の液化糖材料と1以上の温度感受性原料の均質混合物を得ることと、v)均質混合物を冷却し、経口摂取製品を形成することとを含む方法を提供する。
【0014】
一部の実施形態において、かかる方法では、工程i)の糖材料を加熱する工程)は、糖材料のハードクラック段階において又はこれよりも高く加熱することを含む。特定の実施形態において、工程i)と工程iii)において加えられる熱の差は、それぞれの段階で加熱される材料の温度差である少なくとも約10℃により特徴付けられる。例えば、一部の実施形態において、それぞれの工程において加熱される材料の温度差は、少なくとも約30℃である。
【0015】
一部の実施形態において、本明細書に提供される方法のうちのいずれかにおける糖材料は、糖アルコールを含む。例えば、糖材料は、イソマルトを含んでいてもよい。一部の実施形態において、方法は、冷却前に、型に均質混合物を導入し、経口摂取製品を所望の形状に形成する工程を更に含む。
【0016】
糖材料と混合する温度感受性原料の種類は、変更することができる。特定の実施形態において、1以上の温度感受性原料は、緩衝剤、着香料、医薬として活性のある原料及びこれらの組合せからなる群より選択される。例えば、一部の実施形態において、温度感受性原料は、炭酸塩緩衝剤又はニコチン化合物である。特定の実施形態において、温度感受性原料は、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム又はこれらの組合せである。ニコチン化合物が提供される場合、これは、例えばニコチン塩の形態であってもよい。一部の実施形態において、ニコチン化合物は、多孔質粒状担体上に収着され得る。
【0017】
本発明の方法において得られる均質混合物は、他の成分を含むことができ、例えば、一部の実施形態において、均質混合物は、タバコ材料を更に含む。かかる実施形態において、タバコ材料は、タバコ抽出物又は粒状タバコを含み得る。したがって、経口摂取製品は、無煙タバコ製品の形態であり得る。
【0018】
特定の実施形態において、経口摂取製品は、温度感受性緩衝剤を含む液化均質混合物と、糖材料を含む第2の非緩衝化組成物を混合し、多層製品を形成することによって形成される。例えば、一部の実施形態において、均質混合物及び第2の非緩衝化組成物は、液化形態で混合され、その後、冷却され、多層製品が形成される。一部の実施形態において、多層製品の温度感受性緩衝剤を含む均質混合物と第2の非緩衝化組成物はともに、製品表面に露出している。一部の実施形態において、温度感受性緩衝剤を含む均質混合物と第2の非緩衝化組成物のうちの一方又は両方は、医薬として活性のある原料を更に含む。一部の実施形態において、温度感受性緩衝剤を含む均質混合物と第2の非緩衝化組成物のうちの一方又は両方は、タバコ材料を更に含む。
【0019】
本発明の別の態様では、本明細書に提供される方法のうちのいずれかに従って製造される経口摂取製品が提供される。製品の形態は変更することができ、例えば、一部の実施形態において、経口摂取製品は、菓子、医薬組成物又は無煙タバコ製品の形態である。
【0020】
特定の態様において、本発明は、経口摂取ハードボイルド製品であって、a)第1の糖材料及び緩衝剤を含む緩衝化部分と、b)第1の糖材料と同一であるか又は異なっていてもよい、第2の糖材料を含む非緩衝化部分とを備えた製品を提供する。一部の実施形態において、緩衝化部分は、非緩衝化部分によって完全に封入される。一部の実施形態において、緩衝化部分と非緩衝化部分はともに、製品表面に露出している。特定の実施形態において、緩衝化部分は、非緩衝化部分内に分散した粒子の形態である。非緩衝化部分は、例えば、透明又は半透明であり、緩衝化部分は、例えば、非透明又は不透明であり得る。
【0021】
一部の実施形態において、緩衝化部分及び非緩衝化部分のうちの一方又は両方は、医薬として活性のある原料を含む。例えば、特定の実施形態において、医薬として活性のある原料は、ニコチン化合物である。一部の実施形態において、緩衝化部分及び非緩衝化部分のうちの一方又は両方は、タバコ材料を含む。
【0022】
一般用語により、本発明を説明してきたが、ここで、縮尺を用いて作成されていない添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、顆粒状の非緩衝化部分及び緩衝化部分を備えた、本発明の例示的な経口摂取製品を表す。
図2図2は、円筒状の非緩衝化部分及び緩衝化部分を備えた、本発明の例示的な経口摂取製品を表す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ここで、本発明を以下に詳細に説明する。ただし、本発明は、多くの種々の形態で具現化することができ、本明細書に記載されている実施形態に限定されるように解釈されるべきではなく、本開示が十分かつ完全になり、また、本発明の範囲を当業者に十分に伝達するように、これらの実施形態が示されている。本明細書及び特許請求の範囲において用いられる、「a」及び「the」という単数形には、文脈に明確な指示のない限り、複数の指示対象が含まれる。「乾燥重量パーセント」又は「乾燥重量」への言及は、乾燥原料(すなわち、水を除くすべての原料)を基準とした重量を指す。
【0025】
本発明は、経口摂取製品(例えば、ハードボイルド製品)の製造方法、当該方法によって製造される製品に関する。一般に、かかる製品の製造は、高温(例えば、ハードクラック段階の温度又はこれよりも高い温度を含むが、これらに限定されない。)に糖又は糖代替物(本明細書において「糖材料」という。)を加熱する工程を必要とする。本発明は、特定の糖、糖代替物又はこれらの混合物を含む経口摂取ハードボイルド製品に特に適用可能である。特定の実施形態は、糖代替物(例えば、イソマルト)ベースのハードボイルド製品に関して主に説明するが、本発明は、他の種類の製品とともに用いるように容易に構成され得ることが理解される。材料を加熱するのに必要な温度及び時間は、種々の糖及び糖代替物の種々の特性(例えば、融点/液化点、ハードクラック段階)を考慮するように適応させる必要がある。
【0026】
工程の第1段階は、通常、糖材料を十分に加熱し、糖材料を液化することを含む。工程のこの段階において糖材料を加熱する温度(場合によって、本明細書において第1の温度という。)は、糖材料を液化するのに十分ないずれかの温度とすることができる。本文脈において液化とは、固体又は半固体形態から、剛性が低く、より展性のある形態、及び流体/流動形態への材料の変化(例えば、融解又は軟化処理)をいう。特定の実施形態では、工程のこの段階において、ハードクラック段階に又はこれよりも高く規定された温度まで、糖材料を加熱することが有利である。ハードクラック段階は、硬い菓子の製造における当該技術分野の用語であり、非常に少量の水(例えば、約3重量%未満、約2重量%未満又は約1重量%)が融解された糖材料中に存在する温度を指すのに用いられ、融解された糖材料は、冷水中に落下すると、硬くて脆い糸状物を形成する。一部の実施形態では、糖材料がこの温度に到達するか又はこの温度を超えて、糖材料からの水分の十分な除去を保証し、最終製品が、軟らかくねばねばした質感ではなく、硬い質感を示すことが重要である。ハードクラック段階の温度は、糖材料の性質に応じて、変更することができる。ハードクラック段階に又はこれよりも高く糖又は糖代替物を維持するのに十分な温度は、概して、約150℃〜約170℃(約300°F〜約340°F)の範囲内にある。種々の追加成分を糖材料とともに含めることができることに留意すべきであり、このように、一部の実施形態では、本明細書に記載されているとおりに、(例えば、加熱による)糖材料の処理についての言及は、糖材料と任意の更なる原料を処理することを指し得る。
【0027】
本発明の方法に従ってハードボイルド製品を製造するために、融解された糖材料は、その後、固体又は半固体形態を得るように(例えば、室温まで)冷却される。冷却方法は変更することができ、例えば、冷却速度などの冷却条件は変更することができる。冷却工程によって、一般に、糖材料は、固体段階に接近するか又は当該段階に到達する。したがって、本明細書の方法に従ってこのようにして得られる及び更に処理される材料は、半固体又は固体である。「固体」及び「半固体」については、その一般的な意味を有することを意図している(すなわち、十分な剛性及び/又は物理的完全性を有する材料は、その材料の形状を維持し、このことは、材料が形状維持され、概して、自己支持されていることを意味する。)。半固体は、本発明の目的のために、融解された糖材料と固体の糖材料との間の段階にあり、比較的高い割合の固体を含むことが有利な材料である。一部の実施形態において、固体は、この段階において非晶質である。一部の実施形態において、固体は、「ガラス状固体」であり、これは、固体が、ある程度、透明性又は半透明性を示すことを意味する。本明細書に記載されている好ましい固体は、一般に硬い質感を有し、触れても粘着性をほとんど示さないことが好ましい。
【0028】
例えば、ハードクラック段階において又はこれよりも高く糖材料を加熱する種々の手段、及びハードボイルド製品を形成するように冷却する種々の手段は、公知であり、本発明に従って用いることができる。ハードボイルド菓子を製造する手段は、例えば、Meiselの米国特許第3,114,642号、DuRossの米国特許第3,438,787号、Liebrandの米国特許第3,738,845号、Klacikらの米国特許第4,452,825号、Pepperらの米国特許第5,098,730号、及びMentinkらの米国特許第5,314,701号に記載されており、これらは、参照により本明細書に援用される。
【0029】
本発明によれば、このようにして得られる固体又は半固体は、更に処理される。本発明の特定の態様において、1以上の原料が、冷却工程後、糖材料に導入される。冷却された材料中に導入することができる原料は変更することができる。一部の実施形態において、1以上の原料は、温度感受性とみなすことができ、そうでなければ、これらの原料が、ハードボイルド製品の一般的な製造方法に関連する高温及び/又は加熱回数の増加に耐えることができないので、これらの原料を、最初の加熱工程時に、ハードボイルド製品に導入することが困難であることを意味する。したがって、本発明の目的のために、温度感受性原料への言及は、原料であって、蒸発若しくは分解を受け、望ましくない副生成物の形成に関与するか、又は、それ以外に、そのハードクラック段階まで加熱された糖材料が受ける上昇温度などの高温に供される場合、望ましくない方法で、ハードボイルド組成物を変化し得る原料を指す。かかる原料は、高温において、有害な変化を受け、この変化には、焦げ、炭化、分解、劣化、解離、酸化、変性、重合若しくはその他の化学反応、物理的状態の変化、又はこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、冷却された材料に導入される温度感受性原料は、緩衝剤、着香料及び/又は医薬として活性のある原料から選択される。
【0030】
冷却工程後に原料を材料に導入する手段は、変更することができる。冷却工程後、糖材料が冷却形態にある間に、原料を糖材料に加えることができるか、又は、その後の加熱工程前、加熱工程時若しくは加熱工程後、糖材料が液化形態にある間に、加えることができる。
【0031】
一部の実施形態において、冷却された糖材料は、1以上の原料との混合を容易にするような形態で得られるように処理される。例えば、冷却された糖材料は、1以上の原料と混合する前に、又は混合工程時に、処理することができる。特定の実施形態において、例えば、冷却された糖材料は、原料とより効果的に混合することができるように、断片で得られる。断片の大きさは、比較的大きな断片(例えば、正方形、ブロック型、立方体、球体など)から、粒子サイズ(例えば、粉末又は顆粒)で変動し得る。特定の実施形態において、冷却された糖材料は、例えば、固体又は半固体糖材料の粉砕又は粉化することによって、粒状で得られる。粉砕工程は、固体材料を細分することが可能ないずれかの種類の機器を用いて行なうことができる。例えば、冷却された糖材料は、粉砕、摩砕などを行なう機器及び技術を用いて、粉末状に細分、粉砕又は粉化することができる。例示的な機器としては、ハンマーミル、カッターヘッド、空気制御ミルなどが挙げられるが、これらに限定されない。粒状物質の粒子の大きさ及び形状は変更することができる。冷却された材料は、約1000 μm以下、約500 μm以下、約100 μm以下、約50 μm以下、約10 μm以下又は約1 μmの平均粒径を有する粒子まで粉砕されることが有利である。他の実施形態において、糖材料及び追加原料は、以下に記載するその後の加熱工程において再度液化された後に、糖材料と追加原料を混合することができる。混合時の原料の形態は変更することができるが、通常、かかる原料は、固体(例えば、粒状)又は液体の形態で糖材料に加えられる。
【0032】
冷却された糖材料は、かかる成分を混合することが可能ないずれかの手段によって、1以上の原料と混合することができる。例えば、成分は、産業規模のミキサー若しくは撹拌機によって混合することができるか、又は手で混合することができる。混合は、室温又は室温付近において行なうことが好ましい。均質又はほぼ均質な混合物は、このようにして得られることが有利である。
【0033】
特定の実施形態において、混合後に、糖材料と1以上の温度感受性原料とその他の任意原料の得られる混合物は、加熱される。驚くべきことに、先に、所望のガラス状固体形態を得るように、そのハードクラック段階まで加熱した糖材料が、その後、所望のハードボイルド固体特性を失うことなく、非常に低い温度で液化できることが発見された。したがって、本発明によれば、より低い温度(本明細書において第2の温度という。)における後工程での糖材料の加熱能は、温度感受性原料を顕著に劣化させることなく、この種類のハードボイルド製品に関連する望ましい特性を維持しつつ、液体形態の糖材料と1以上の温度感受性原料を混合する有利な機会を提供する。
【0034】
特定の実施形態において、混合物は、比較的低い温度及び比較的短い時間で液化する。混合物を加熱する時間及び温度は変更することができるが、通常、a)混合物を高温に加熱する時間は、従来の製造技術を用いて必要な時間よりも少ない、及び/又は、b)混合物を加熱する温度は、糖材料を加熱する第1の温度より低い。例えば、一部の実施形態において、温度は、糖材料のハードクラック段階よりも低くてもよい。したがって、液化形態の混合物を得るのに必要な熱は、液化状態の初期糖材料を得るのに必要な熱よりも少なくすることができる。これは、特に、高温で混合物に加える場合、ある程度、蒸発又は分解することがある、揮発性成分において有益である。従来のハードボイルド処理技術において、原料は、通常、ハードクラック段階まで加熱する前に、又は、ハードクラック段階に若しくその付近に糖材料を維持しながら、糖材料とともに導入される。
【0035】
例えば、イソマルトのハードクラック段階は、165℃(330°F)であり、この温度は、第1の温度であり得、特定の実施形態において、第2の温度は、約160℃以下、約150℃以下、約140°C以下、約130℃以下、約120℃以下、約110℃以下又は約105℃以下である。通常、第2の温度は、約60℃〜約150℃であり、多くの場合、約60℃〜約120℃又は約70℃〜約100℃である。加熱時間は、例えば、約30分以下、約20分以下、約15分以下、約10分以下、約8分以下、約7分以下、約6分以下、約5分以下、約4分以下又は約3分以下とすることができる。
【0036】
また、2つの加熱工程のそれぞれにおいて、材料に導入される熱の量の差は、温度差の点からも特徴付けることができる。例えば、第1の温度(すなわち、糖材料が第1の段階で加熱される温度)と、第2の温度(すなわち、1以上の温度感受性原料と混合した糖材料が、その後の加熱工程において加熱される温度)の差は、少なくとも約10℃、又は少なくとも約20℃、又は少なくとも約30℃、又は少なくとも約40℃、又は少なくとも約50℃とすることができる。特定の実施形態において、温度差は、約80℃以下、又は約70℃以下、又は約60℃以下である。
【0037】
材料が冷却された時点において融解/液化段階に達するまで、混合物が加熱されることが有利である。混合物は、直ちに(例えば、液化段階に到達次第)冷却され、固体が得られることが好ましい。驚くべきことに、比較的高い温度であっても、混合物が短時間で液化され、このため、混合物中の温度感受性原料は、有害な影響(例えば、分解、物理的状態の変化、変性など)をほとんど受けない。したがって、一部の実施形態において、(例えば、温度感受性原料を含むが、これに限定されない)混合物中の原料は、比較的低い高温に暴露し、及び/又は高温に短時間しか暴露しない。特定の実施形態において、混合物を加熱する時間及び温度は、1以上の原料の分解及び/又は蒸発を生じるのに不十分であるものであることが有利である。例えば、特定の実施形態において、時間及び温度は、緩衝剤(例えば、炭酸塩緩衝剤)の分解がほとんど生じないものである。理論によって制限されるものではないが、混合物を加熱する第2の温度、及び混合物が暴露する熱が、顕著な程度まで、混合物の化学的性質を変化させるのには不十分であると考えられる。例えば、混合物は、混合物を液化するのに十分であるが、その成分を、顕著な程度まで、燃焼、炭化、酸化、重合、劣化、蒸発、変性又は分解させるのに十分ではない程度まで暴露することが有利である。
【0038】
上述したように、1以上の温度感受性原料は、工程の種々の段階において、糖代替物と混合することによって導入することができる。上述したように、1以上の温度感受性原料は、冷却形態で(すなわち、第2の加熱工程の前に)糖材料と混合することによって導入することができるが、第2の加熱工程時又は当該工程の後に糖材料と混合することによって導入することもできる。例えば、1以上の温度感受性原料は、第2の加熱工程時に(すなわち、糖材料を第1の温度まで加熱し、冷却した後に)加えることができる。1以上の温度感受性原料は、例えば、糖代替物が十分に液化され混合できる場合、第2の加熱工程時に加えることができるか、又は、加熱が終了し、糖代替物が冷却されるが、それでも十分に液化され混合できる場合に、加えることができる。1以上の温度感受性原料の導入時点における糖材料の物理的状態は、冷却された固体が形成される前に、成分間の均質混合物を提供できるものであることが好ましい。実際には、糖材料と1以上の温度感受性原料との間の均質混合物の生成が、本方法の有利な特徴であり、糖材料が固体又は液化形態にある間に、糖材料に1以上の温度感受性原料が加えられるか否かは関係ない。
【0039】
第2の加熱工程後に、続いて混合物は冷却され、経口摂取製品(例えば、ハードボイルド製品)が得られる。必要に応じて、液化混合物は、最終的に冷却された固体が所望の形状に適合するように、所望の最終製品形状を有する型(又は複数の型)に配置することができる。特に、混合物が本明細書に記載されている多段階加熱方法(例えば、高温まで加熱、例えば、ハードクラック段階まで加熱;固体になるまで冷却;原料と混合;第2の温度まで再加熱;冷却)に従って処理された後に形成される固体生成物は、特定の実施形態において、初期冷却工程後に形成される固体(すなわち、糖材料が、例えばハードクラック段階まで、最初に加熱された後に得られる固体)の外観及び質感において同等であり得る固体である。例えば、一部の実施形態において、固体は、ガラス状固体であり得る。特定の実施形態において、固体は、硬い質感を有し、触れても粘着性をほとんど示さないことが好ましい。
【0040】
本明細書中に記載されている方法の種々の変更及び追加も、本発明内に包含されるものとする。例えば、一部の実施形態において、糖材料と温度感受性原料の混合物は、固体形態のまま(すなわち、第2の加熱工程の前に)、直接型に導入することができ、第2の加熱工程は、これらの型内の材料とともに行なうことができる。例えば、澱粉型、非澱粉型、プラスチックトレイ型、金属トレイ型、ネオプレントレイ型などの種々の種類の型を、工程に使用することができる。したがって、冷却すると、得られた生成物を型から取り出し、使用する型の形状及び大きさを維持することができる。一部の例において、生成混合物は、冷蔵温度で又は常温よりも低い温度で冷却させてもよい。
【0041】
製品は、他の方法により、例えば、冷却工程の適切な段階において所望の形状に生成混合物を手動で形成することによるような、別の材料のコーティングとしての組成物を用いることにより、シートとして生成混合物を成型し、これを断片に破砕することにより、又は液化生成混合物中に別の材料を浸漬することにより、処理し、加工し、及び/又は用いることができる。本明細書に提供される方法に従って製造される経口摂取ハードボイルド製品の大きさ、形状及び形態は、広く変更することができる。
【0042】
上述したように特定の追加原料を加えることが有益であるが、このようにして、すべての追加成分を加える必要がないことに留意すべきである。例えば、一部の追加成分は、高温及び/又は長時間の加熱に耐えることができる所定の摂取製品の配合内に含まれる。かかる成分は、糖材料又は糖代替物がハードクラック段階にある間に、糖又は糖代替物をハードクラック段階まで加熱する前;初期冷却工程時の特定の時点、混合工程の前、混合工程時若しくは混合工程直後、又は最終固体混合物の加熱及び/又は冷却時を含む、工程のいずれかの段階において、糖及び/又は糖代替物と混合することができる。このように、必要に応じて、種々の成分を、工程の種々の段階において加えることができる。
【0043】
本発明に係るハードボイルド製品は、概して、約40重量%以上、約50重量%以上、約60%重量以上、約70重量%以上、約80重量%以上、又は約90重量%以上の糖材料を含んでいる。本明細書に用いられる糖は、その一般的な意味を有し、すなわち、水溶性結晶性炭水化物であり、これには、単糖類(例えば、グルコース、フルクトース及びガラクトース)、二糖類(例えば、スクロース、ラクトース及びマルトース)三糖類並びにオリゴ糖が含まれるが、これらに限定されない。一例示的実施形態において、糖はスクロースである。糖代替物は、いずれかの無糖材料(すなわち、スクロースを含まない材料)であり、天然であるか又は合成により製造することができる。本発明に用いられる糖代替物は、栄養素又は非栄養素であり得る。例えば、糖代替物は、糖アルコールであり得る。本発明による有用であり得る糖アルコールとしては、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、マンニトール、ソルビトール、ズルシトール、イジトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトール、ポリグリシトール及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、特定の実施形態において、糖アルコールは、エリスリトール、ソルビトール及びイソマルトからなる群より選択される。一実施形態において、糖代替物はイソマルトであり、これは、通常、スクロースをイソマルツロースに酵素的転位し、続いて、水素化し、6‐O‐α‐D‐グルコピラノシド‐D‐ソルビトール(1,6‐GPS)及び1‐O‐α‐D‐グルコピラノシド‐D‐マンニトール二水和物(1,1‐GPM‐二水和物)の等モル組成を得ることによって製造される二糖類である。
【0044】
特定の実施形態において、糖材料は、ガラス状マトリックスを形成することができる。ガラス状マトリックスの形成は、一般に、半透明/透明な外観が特徴である。通常、糖材料(例えば、糖代替物)は、実質的に非吸湿性である。非吸湿性材料は、通常、吸収、吸着せず、及び/又は、空気からの相当量の水分を保持しない。例えば、一部の実施形態において、糖代替物は、25℃、80%の相対湿度で2週間の条件に暴露すると、約50%未満の水の重量増加を示す。通常、糖代替物は、25℃、80%の相対湿度で2週間の条件に対する暴露時に、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満、約2%未満又は約1%未満の重量増加を示す。非吸湿性材料は、湿気に対する暴露時に粘着性を高める製品の傾向を低減するという利点を提供することができる。
【0045】
経口摂取ハードボイルド製品の他の成分は変更することができる。例えば、一部の実施形態において、製品は、シロップ、例えば、糖シロップ又は糖アルコールシロップを含有している。本明細書に用いられる「糖アルコールシロップ」とは、水中糖アルコールの濃い溶液であって、例えば、約40%を超える固形分、好ましくは約50%を超える固形分、約60%を超える固形分、約70%を超える固形分、又は約80%を超える固形分を有することをいうものとされる。通常、糖アルコールシロップの固形分は、主に、糖アルコールと命名されたものを含む(すなわち、マルチトールシロップは、通常、約80重量%超、約85重量%超又は約90%重量超の乾燥基準のマルチトールを含む。)。糖アルコールシロップは、一般に、水中糖アルコール溶液を加熱し、混合物を冷却して粘性組成物を得ることによって製造される。得られるシロップは、通常、糖アルコールの比較的高い濃度、及び比較的高い安定性が特徴である(すなわち、糖アルコールは、通常、例えば室温で、溶液から結晶化しない。)。
【0046】
シロップが含まれる場合、シロップは、融解した糖材料(すなわち、糖又は糖代替物)の再結晶化に影響を及ぼすのが可能であることが望ましい。本発明による特に有用である例示的な糖アルコールシロップの1つは、マルチトールシロップである。他の糖アルコールシロップを用いることができ、これには、コーンシロップ、ゴールデンシロップ、糖蜜、キシリトール、マンニトール、グリセロール、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、マンニトール、ソルビトール、ズルシトール、イジトール、イソマルト、ラクチトール及びポリグリシトールシロップが含まれるが、これらに限定されない。かかる糖アルコールシロップは、製造することができるか、又は市販供給源から入手することができる。例えば、マルチトールシロップは、コーン・プロダクツ・スペシャルティ・イングレディエンツ(Corn Products Specialty Ingredients)社などの供給業者から市販されている。糖アルコールシロップが好ましいと考えられるが、特定の実施形態において、糖シロップは、糖アルコールシロップの代わりに又はこれと組み合わせて用いることができる。例えば、一部の実施形態において、コーンシロップ、ゴールデンシロップ及び/又は糖蜜を用いることができる。
【0047】
加えられる糖アルコールシロップの量は、通常、融解した形態において、糖又は糖代替物の再結晶化を遅らせるのに必要な量である。当業者であれば、所望の特性(例えば、所望のレベルの半透明性/透明性)を有する材料を得るのに再結晶化が十分遅いことを保証するように、残りの原料の組成に応じて、糖アルコールシロップの量を変更する必要性を理解する。したがって、糖アルコールシロップの量は変更することができるが、通常、生成混合物の約0重量%〜約2重量%、約0.5重量%〜約1.5重量%又は約1重量%である。特定の実施形態において、糖アルコールシロップの量は高く、例えば、混合物の約2重量%以内、混合物の約5重量%以内、混合物の約10重量%以内、又は混合物の約20重量%以内である。
【0048】
特定の実施形態において、製品は、1以上の塩を更に含んでいる。製品中の塩の存在は、苦味を抑制するように及び/又は甘味を高めるように作用し得る。いずれかの種類の塩を用いることができる。一般的な塩化ナトリウム(NaCl)は、通常、本発明に従って用いられるが、他の種類の塩も同様に包含されるものとする。加えられる塩の量は変更することができるが、通常、製品の約0重量%〜約8重量%、例えば、約1重量%〜約4重量%、又は約0重量%〜約2重量%であり、およそ1重量%であることが多い。一部の実施形態において、多少塩味が製品の望ましい特徴である。
【0049】
一部の実施形態において、本発明に係る組成物は、1以上の緩衝剤及び/又はpH調整剤(例えば、酸又は塩基)も含有している。一部の実施形態において、1以上の緩衝剤及び/又はpH調整剤は、最終製品が所望の範囲内のpHを有することを保証するように、混合物に加えられる。かかる製品における例示的なpH範囲は、概して、約6〜11であり、約7〜10(例えば、約7又は約8)であることが多い。かかる実施形態において、生成混合物に加えられる緩衝剤及び/又はpH調整剤の量は、単純に、所望のpHにおいて配合をもたらすか、又は配合を維持するのに必要な量である。所定の配合に加えられる緩衝剤及び/又はpH調整剤の量は、当業者によって容易に計算することができ、例えば、混合物の約0.5重量%〜約1重量%含み得る。特定の実施形態において、塩基性pHが、本発明の製品に必要ではないことに留意すべきである。したがって、本発明の特定の製品のpHは、約6未満又は約5未満(例えば、約4〜約6)である。
【0050】
種々の食品用緩衝剤は公知であり、本発明の製品のpHを調整するのに用いることができる。適切な緩衝剤には、酢酸塩、グリシネート、リン酸塩、グリセロホスファート、アルカリ金属のクエン酸塩などのクエン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩及びホウ酸塩並びにこれらの混合物からなる群より選択されるものが含まれる。特定の実施形態において、緩衝剤はアミノ酸であり、このことは、例えば、Anderssonらの米国特許出願公開第2008/0286341号、Anderssonらの国際公開公報第2008/040371号に教示されており、これらは、参照により本明細書に援用される。これらの文献に言及されているように、種々のアミノ酸及びこれらの塩が本目的に有用であり、これらには、アルギニン、アスパラギン(asparigine)、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、バリン、システイン酸、N‐グリシルグリシン及びオルニチンが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、N‐グリシルグリシン又はL‐リジンが緩衝剤として加えられる。一部の実施形態において、アミノ酸緩衝剤は、別のアミノ酸緩衝剤及び/又は1以上の非アミノ酸緩衝剤と組み合わせて用いられる。特定の実施形態において、任意のpH調整剤は、塩基(例えば、NaOH)である。特定の実施形態において、任意のpH調整剤は、炭酸塩(例えば、重炭酸ナトリウム及び/又は炭酸ナトリウム)である。特定の実施形態において、L‐リジン及びNaOHが、本発明の組成物に加えられる。
【0051】
一部の実施形態において、1以上の追加の甘味料が、本発明の組成物に加えられる。1以上の追加の甘味料は、いずれかの天然又は人工甘味料を含み得、これには、前述した糖又は糖代替物のうちのいずれかかが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、甘味料には、グリシルリジン、グリセロール、イヌリン、ラクチトール、マビンリン(mabinlin)、マルチトール、マンニトール、ミラクリン、モナチン、モネリン、オスラジン、ペンタジン(pentadin)、ポリデキストロース、ソルビトール、ステビア、タガトース、タウマチン、アセスルファムカリウム、アリテーム、アスパルテーム、シクラメート、ズルチン、グルシン、ネオテーム、サッカリン、スクラロース及びこれらの組合せが含まれ得る。特定の実施形態において、甘味料は、スクラロース(1,6‐ジクロロ‐1,6‐ジデオキシ‐β‐D‐フルクトフラノシル‐4‐クロロ‐4‐デオキシ‐α‐D‐ガラクトピラノシド)を含む。加えられる甘味料の量は変更することができるが、通常、十分に「甘い」味に必要な量である。例えば、甘味料は、糖の甘さと同等になるように、製品に加えることができる。特定の実施形態において、スクラロースは、混合物の約0.5重量%〜約2%重量の量で加えられ、混合物の約1重量%の量で加えられることが多い。
【0052】
種々の天然及び/又は人工着香料(flavorant)も、本発明の無煙タバコ製品に加えることができ、これらの着香料の特徴は、新鮮、甘い、ハーブ、菓子、フローラル、フルーティ又はスパイシーと説明することができるが、これらに限定されない。香味の具体的な種類としては、バニラ(例えば、必要に応じて、合成形態のバニリン)、コーヒー、チョコレート、クリーム、ミント、スペアミント、メントール、ペパーミント、ウィンターグリーン、ラベンダー、カルダモン、ナツメグ、シナモン、クローブ、カスカリラ、ビャクダン、蜂蜜、ジャスミン、ショウガ、アニス、セージ、甘草、レモン、オレンジ、リンゴ、モモ、ライム、チェリー及びイチゴが挙げられるが、これらに限定されない。また、参照により本明細書に援用される、Leffingwillらの文献、Tobacco Flavoring for Smoking Products, R. J. Reynolds Tobacco Company (1972)も参照されたい。着香料には、ユーカリなどの湿潤剤、冷却剤又は平滑剤(smoothening agent)と考えられる成分も含まれ得る。着香料には有感覚物(sensate)も含まれ、これは、製品に一連の触感、官能特性を加えることができる。例えば、有感覚物は、温かい、冷たい又はチクチクする感覚を提供することができる。これらの香味は、純粋に(すなわち、単独で)、又は複合的に(例えば、スペアミントとメントール、若しくはオレンジとシナモン)提供されてもよい。この種類の着香料は、生成混合物の約0.5重量%〜約15重量%の量で含まれ、多くの場合、約0.5重量%〜約1.5重量%の量で含まれ得る。特定の実施形態において、着香料は、混合物の少なくとも約0.5重量%、又は少なくとも約0.75重量%のうちのいずれかの量で含まれている。
【0053】
種々の他の物質を本発明の組成物に加えることができる。例えば、存在する場合、活性原料のための充填剤又は担体などの賦形剤(例えば、ポリカルボフィルカルシウム、微晶質セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、コーンスターチ、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、ラクトース、及びジャガイモ澱粉、トウモロコシ澱粉を含む澱粉など)、増粘剤、成膜剤及び結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム及びゼラチン)固結防止剤(antiadherent)(例えば、タルク)、流動促進剤(glidant)(例えば、コロイド状シリカ)、湿潤剤(例えば、グリセリン)、防腐剤及び酸化防止剤(例えば、安息香酸ナトリウム及びアスコルビルパルミテート)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート80)、色素及び顔料(例えば、二酸化チタン又はD&CイエローNo.10)、並びに、潤滑剤又は加工助剤(例えば、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸マグネシウム)が、特定の実施形態において、組成物に加えられる。
【0054】
特定の実施形態において、本発明に係る組成物に、アスコルビルパルミテート及び/又はアスコルビン酸ナトリウムなどの1以上の酸化防止剤を導入することが有利であり得る。1以上の酸化防止剤は、混合物中に約0.05重量%〜約0.3重量%、例えば、約0.1重量%〜約0.25重量%又は約0.15重量%〜約0.2重量%の濃度で含まれ得る。
【0055】
特定の製品は、許容し得る外側コーティングを提供することが可能な原料からなる外側コーティングも有し得る(例えば、外側コーティングは、カルナウバ蝋、医薬として許容し得る形態のセラック、艶出組成物及び表面艶出剤などの原料からなり得る。)。コーティングの塗布は、エアレススプレー、流動床コーティング、コーティングパンの使用などの技術を用いて遂行することができる。コーティングとして使用する材料は、本質的にポリマーであり、例えば、セルロース系材料(例えば、セルロースブチレートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、及びカルボキシメチルエチルセルロース)、並びにアクリル酸、メタクリル酸及びこれらのエステルの重合体及び共重合体であり得る。
【0056】
本発明に従って製造される経口摂取ハードボイルド製品は、種々の種類の形式及び構成を有することができ、このため、組成物の特徴、性質、挙動、一貫性、形状、形態、大きさ及び重量を変更することができる。代表的な組成物の形状は、概して、球状、円筒状(例えば、概して平坦なディスク状から、概して比較的長く細い棒状の形状の範囲)、らせん状、オブロイド(obloid)、正方形、長方形などであり得る。経口摂取ハードボイルド製品は、例えば、ドロップ、ロリポップ又はリボンの形態であり得る。組成物の形状は、広範囲の種々の丸剤、錠剤、トローチ剤、カプセル剤及びカプレット型の製品に類似させることができる。例えば、参照により本明細書に援用される、Shawの米国特許第4,967,773号、Acharyaの米国特許第5,110,605号、Damの米国特許第5,733,574号、Santusの米国特許第6,280,761号、Anderssonらの米国特許第6,676,959号、Wilhelmsenの米国特許第6,248,760号、及び米国特許第7,374,779号;Wilhelmsenの米国特許出願公開第2001/0016593号、Liuらの米国特許出願公開第2004/0101543号、Mcneightの米国特許出願公開第2006/0120974号、Chauらの米国特許出願公開第2008/0020050号、Ginらの米国特許出願公開第2009/0081291号、及びAxelssonらの米国特許出願公開第2010/0004294号に記載されている、トローチ剤の種類、トローチ剤の配合、トローチ剤の形式及び構成、トローチ剤の性質、並びにトローチ剤の配合又は製造の技術を参照されたい。
【0057】
製品は、本明細書において、概して、経口摂取ハードボイルドの製品について説明しているが、一部の実施形態では、経口摂取ハードボイルド材料が、製品の一部のみに含まれ得るにすぎないことに留意すべきである。例えば、本発明によって提供される経口摂取ハードボイルド材料は、1以上の他の経口摂取配合物と組み合わせることができ、当該配合物は、充填製品、ストライプ状製品、階層状製品、コーティング製品、又は別の複合型摂取製品が得られるような別のハードボイルド配合物であってもよいか又はそうでなくてもよい。一般に、かかる複合製品中の配合物のうちの少なくとも1つが、本明細書に記載の再融解工程に従って製造されるが、複合配合物中の1以上の追加の配合物は、他の方法により(例えば、従来の経口摂取ハードボイルド製品の製造方法により、又は種々の摂取菓子製品の他の製造方法により)製造することが可能である。本発明のハードボイルド製品を他の製品の形式と組み合わせることができる方法については、参照により本明細書に援用される、2012年2月10日に出願されたDugginsらの米国特許出願第13/370,600号を参照されたい。
【0058】
かかる配合物は、当該技術分野で公知の方法を用いて複合製品に組み合わせることができる。例えば、特定の実施形態において、(同一の又は異なる配合であり得る)2つの半球体が製造され、(例えば、約100℃、又はこれらが融解をちょうど開始するまで)加熱され、平坦な側面はともに押圧され、半球体はともに溶着される。一部の実施形態において、それぞれ異なる特性を有し得る複数のシート又は層は、冷却されたシートを積層し、これらを加熱することによって、又は冷却されたシートを別々に加熱し、これらを押圧し層をともに溶着することによって作製することができる。複合組成物を提供する他の変形例は、当業者の知識の範囲内であり、本明細書に包含されるものとする。
【0059】
特定の実施形態において、緩衝化(すなわち、緩衝剤を含有する)組成物及び非緩衝化(すなわち、緩衝剤を実質的に含有しないか又は全く含有しない)組成物は、経口摂取ハードボイルド製品中で組み合わせられる。特定の実施形態において、実質的に透明な経口摂取ハードボイルド製品を提供することが望ましい。ただし、本発明の製品中の特定の原料、具体的には、炭酸塩緩衝剤などの特定の緩衝剤の存在は、緩衝化組成物が半透明又は不透明として特徴付けることができるように、透明性を低減することができる。したがって、緩衝化製品が、全体として実質的に透明な外観を有することが望まれる場合、製品の緩衝化部分は、製品単位の一部にのみ細分し、組成物のかかる緩衝化部分によって生じる透明性に対する負の効果を低減することができる。例えば、(本明細書に記載の再融解工程によって製造される)緩衝化組成物の顆粒は、ハードクラック段階よりも低い温度で(例えば、冷却工程時に)融解させて、緩衝化組成物の顆粒と非緩衝化組成物を混合することによって、非緩衝化組成物に導入することができる。得られる製品は、非緩衝化組成物内に分散した半透明又は不透明の緩衝化組成物顆粒により、「まだら」の外観を有する。このような構成を有する例示的な経口摂取製品10は、図1に示されており、緩衝化部分20の顆粒が、非緩衝化部分30内に分散している。この製品の構成において、緩衝化部分の緩衝剤は、製品がユーザの口の中で溶解するように、一定間隔で放出される。
【0060】
別の例として、(例えば、本明細書に記載の再融解工程に従って提供されるような)緩衝化組成物の形成単位を、例えば、融解物の形態で(ハードクラック段階まで配合物を加熱した後、又は本明細書に記載されるような再加熱工程後のいずれかで直接)、型内に配置することができ、その後、非緩衝化配合物を加え、多層製品を形成することができる。必要に応じて、型の大きさ、形状及び構成を変更することによって、2つの組成物の相対的な空間構成を変更することができる。特定の実施形態において、複合材料は、周囲に非緩衝化部分を有した中央緩衝化部分を有し得る。一部の実施形態において、緩衝化部分及び非緩衝化部分は、組成的に類似しており、唯一の相違は、緩衝剤の存在下/非存在下である。有利な製品構成の1つにおいて、2つの組成物は、両方の組成物が経口摂取製品の少なくとも1つの外面に露出するように配置されている。例えば、緩衝化部分は、単位の全幅若しくは全長に延びるか、又は2つの部分が半球状の配置のように並んで配置できるように、種々の形状で提供することができる。本発明の経口摂取製品10の更なる例の断面側面図は、図2に示されており、円筒状緩衝化部分50が、製品の外面に達する円筒体の最端部を除いて、非緩衝化部分60内に実質的に封入された製品の内部に存在している。かかる実施形態において、両方の配合物は、ユーザの口腔内において同じ速度で溶解することが有利であり、これによって、緩衝剤を実質的にすべての溶解過程において放出させることができる。
【0061】
緩衝化部分は、経口摂取製品の最小構成要素であることが有利である。例えば、緩衝化部分は、経口摂取製品の約2体積%、約5体積%未満、約10体積%未満、約20体積%未満、約30体積%未満、約40体積%未満又は約50体積%未満含んでいてもよい。緩衝化部分は、概して、半透明性又は不透明性である。非緩衝化部分は、高い半透明度及び/又は透明度を示し得ることが有利である。通常、緩衝化部分は暗い外観を示す。したがって、本実施形態は、美的外観とともに、緩衝剤に関連する機能的属性も提供する。
【0062】
本実施形態は、例えばニコチン化合物(例えば、ニコチン塩)などの、有利に緩衝化された1以上の成分を含む製品に関して特に適用可能であり得る。本明細書において更に詳細に説明するように、ニコチン成分は、塩の形態で導入し、使用時に(すなわち、ユーザの口の中に)非プロトン化形態に変換できることが有利である。非緩衝化部分及び緩衝部分を含む製品は、かかる化合物を更に含み得ることが有利である。
【0063】
それぞれの断片内に含有する物質の量は、(例えば、トローチ剤型製品のそれぞれの単位)変更することができる。例えば、トローチ剤製品の代表的な単位は、概して、少なくとも約100 mgであり、少なくとも約200 mgであることが多く、少なくとも約300 mgであることが頻繁であり、かかる製品の代表的な単位の重量は、概して、約1.5gを超えず、約1gを超えないことが多く、約0.75gを超えないことが頻繁である。
【0064】
一部の実施形態において、本発明の方法に従って提供される経口摂取製品は食品である。例えば、摂取製品は、菓子組成物(例えば、ハードキャンディ、棒付きキャンディなど)とすることができる。
【0065】
一部の実施形態において、本発明の方法に従って提供される摂取製品は、1以上の医薬として活性のある原料を含有することができる。かかる製品は、一部の実施形態において、種々の条件を扱うのに使用できる医薬組成物とすることができる。かかる実施形態において、担体及び/又は賦形剤には、一般に、医薬として許容可能な、すなわち、保存、投与及び/又は活性薬剤の治癒効果を促進するのに当該技術分野において従来使用されているものが含まれる。
【0066】
例えば、特定の実施形態において、本発明は、喉用トローチ剤を提供することができ、当該トローチ剤は、メントール、ベンゾカイン、ペクチン、デキストロメトルファン、ジクロニン塩酸塩、その他の防腐剤(例えば、アミルメタクレゾール、2,4‐ジクロロベンジルアルコール若しくはヘキシルレゾルシノール)、及び/又は種々の油(例えば、ペパーミント油若しくはユーカリ油)を含み得る。一部の実施形態において、口腔内の悪臭(口臭)、抗炎症性化合物、抗生物質化合物、抗ヒスタミン剤、充血除去剤、抗嘔吐剤(anti-nauseant)及び鎮静剤のための医薬として活性のある原料は、本発明に係る経口摂取ハードボイルド製品内に含まれ得る。本発明は、特定の実施形態において、トローチ剤を提供することができ、当該トローチ剤は、1以上のビタミン、無機塩類、栄養補助剤、及び/又は植物性物質(例えば、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB12、ビタミンK、鉄、亜鉛、銅、セレン、クロム、ヨウ素、カルシウム、セレン、ショウガ、甘草、ペパーミント、シナモン、ニガハッカ、ヒソップ、チョウセンニンジン、イチョウ、セントジョンズワート、バレリアン及び/又はエキナセア)を含有し得る。
【0067】
特定の実施形態において、任意の活性原料は、ニコチン化合物を含む。本明細書に用いられる「ニコチン化合物」とは、植物材料からの未結合の天然に存在するか又は合成のニコチンをいい、これは、当該化合物が、少なくとも部分的に精製されておらず、タバコの葉などの植物組織内に含有することを意味する。ニコチンは、天然に存在し、タバコ属(Nicotiana)の種(例えば、タバコ)からの抽出物として得られることが最も好ましい。例示的な種類のタバコ及びタバコを処理する方法は、Brinkleyらの米国特許第7,946,295号、及びByrdらの米国特許出願第13/095,277号に記載されており、これらは、参照により本明細書に援用される。
【0068】
本発明のニコチン化合物には、遊離塩基形態、塩形態の、複合体として、又は溶媒和物としてのニコチンが含まれ得る。例えば、遊離塩基形態のニコチンの検討については、参照により本明細書に援用される、Hanssonの米国特許出願公開第2004/0191322号を参照されたい。ニコチン化合物の少なくとも一部は、ニコチンがニコチンポラクリレックスなどのイオン交換樹脂に結合している、ニコチンの樹脂複合体の形態で利用することができる。例えば、参照により本明細書に援用される、Lichtneckertらの米国特許第3,901,248号を参照されたい。ニコチンの少なくとも一部は、塩の形態で利用することができる。ニコチンの塩は、Coxらの米国特許第2,033,909号、及びPerfettiの文献Beitrage Tabakforschung Int., 12, 43-54 (1983)に記載されている原料の種類及び技術を用いて得ることができる。さらに、ニコチンの塩は、ファルツ・アンド・バウアー(Pfaltz and Bauer)社、及び、ICNバイオケミカルズ(ICN Biochemicals)社の一部門であるK&Kラボラトリーズ(K&K Laboratories)社などの供給源から入手可能であった。例示的な医薬として許容可能なニコチン塩としては、酒石酸塩(例えば、ニコチン酒石酸塩及びニコチン二酒石酸塩)、塩化物のニコチン塩(例えば、ニコチン塩酸塩及びニコチン二塩酸塩)、硫酸塩、過塩素酸塩、アスコルビン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、アスパラギン酸塩、サリチル酸塩、トシレート、コハク酸塩、ピルビン酸塩などのニコチン塩;ニコチン塩水和物(例えば、ニコチン塩化亜鉛一水和物)などが挙げられる。特定の実施形態において、ニコチン化合物の少なくとも一部は、参照により本明細書に援用される、ともにBrinkleyらの米国特許出願第12/769,335号及び国際特許出願第PCT/US2011/033928号において論じられているように、レブリン酸を含むがこれに限定されない有機酸部分を有する塩の形態である。
【0069】
一実施形態において、ニコチン化合物は、本発明の組成物中に導入する前に、微結晶性セルロース(MCC)などの多孔質粒状担体材料上に収着される。一実施形態において、本発明に用いられるMCC材料は、約15〜約250ミクロンの平均粒子サイズ範囲を有する。例示的なMCC材料としては、AVICEL(登録商標)及びVIVACEL(登録商標)材料の種々の等級が挙げられる。例えば、参照により本明細書に援用される、Hanssonの米国特許出願公開第2004/0191322号を参照されたい。特定の実施形態において、ニコチン化合物の複数の形態は、本明細書に論じられている種々のニコチン化合物の組合せのうちのいずれかを含む、粒状担体上に収着することができる。一部の実施形態において、ニコチン化合物と、必要に応じて、有機酸部分は、例えば、親水性溶媒(水、アルコール又はこれらの混合物)中において、ニコチン化合物(必要に応じて、有機酸部分)を溶解させ、この溶液を粒状担体と合わせ、続いて、溶媒を乾燥させ除去することによって、粒状担体上に収着することができる。収着されたニコチンを有する粒状担体材料と、必要に応じて、有機酸部分は、活性原料の経口送達に適応した組成物を提供するために、他の担体又は賦形剤と組み合わせることができる。
【0070】
一部の実施形態において、ニコチン含有製品が緩衝化されることが有利である。かかる実施形態において、製造及び保存時の安定性のために、塩の形態でニコチン化合物を維持するが、使用時に緩衝化が可能であることが望ましいと考えられる。ニコチン含有製品の使用前に、塩の形態でニコチンを維持することが望ましい。塩は、非プロトン化ニコチンよりも低い蒸気圧を有し、このため、製造時の加熱により、非プロトン化ニコチンは容易に失われる。同様に、より低い温度で、非プロトン化ニコチンは、容易に蒸発し、製品の黄ばんだ包装をきれいにし、古い又は古くなった製品の外観を示すことができる。また、非プロトン化ニコチンは、ニコチン塩よりも容易に製品から包装材に移動することもできる。さらに、ニコチン塩は、非プロトン化形態よりも酸化に対して化学的に安定している。
【0071】
ただし、塩の形態が頬膜を横切って移動しないように、使用時に、非プロトン化形態のニコチンを提供することが望ましい。製品内のニコチン塩(例えば、支持体上の)の提供、及びこれとともに適切な緩衝剤の提供によって、保存時に(例えば、ニコチンが塩の形態にある場合)安定した製品が可能になるが、使用時に(例えば、ユーザの口の中の唾液と接触すると)非プロトン化ニコチンを形成する。
【0072】
それぞれの投与断片又は単位内のニコチンの量は、通常、少なくとも約0.5 mgであり、概して少なくとも約1 mgであり、少なくとも約1.5 mgであることが多く、少なくとも約2 mgであることが頻繁であり、それぞれの断片内のニコチンの量は、ニコチン塩基として計算して、通常、約10 mgを超えず、概して、約8 mgを超えず、約6 mgを超えないことが多く、約5 mgを超えないことが頻繁である。かかる製品の例示的な種類は、ニコチン塩基として計算して、断片又は単位当たり約2 mg、約2.5 mg、約3 mg、約3.5 mg及び約4 mgのニコチンを導入することができる。例示的なニコチン含有製品の更なる詳細は、例えば、2011年9月22日に出願されたHolton Jr.らの米国特許出願第13/240,500号に示されており、当該文献は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0073】
一部の実施形態において、本発明の方法に従って提供される経口摂取ハードボイルド製品は、無煙タバコ製品である。したがって、ハードボイルド製品は、一部の実施形態において、例えば、粒状タバコ及び/又はタバコ抽出物の形態で、タバコ材料を含み得る。タバコ材料は変更することができる。例えば、種々の種類のタバコを用いることができ、タバコの種々の部分を用いることができ、例えば、参照によりその全体が本明細書に援用される、2012年2月10日に出願されたDugginsらの米国特許出願第13/370,600号において記載されているように、種々の収穫、乾燥、硬化及び/又は処理方法を、本発明に従って用いることができる。
【0074】
特定の実施形態において、経口摂取ハードボイルド製品は、例えば、参照により本明細書に援用される、2011年9月22日に出願されたHolton Jr.らの第13/240,525号において記載されているように、(例えば、限外濾過、精密濾過、ナノ濾過、サイズ排除クロマトグラフィー、逆浸透又はこれらの組合せによって)処理されたタバコ抽出物を含む。本明細書において得られる処理された抽出物は、特定の高分子量メイラード褐変ポリマー、タンパク質、多糖類、特定の種の顔料、及び細菌の除去により、概して、処理されていない抽出物と比較して透明性の改善を示す。
【0075】
処理(例えば、濾過)は、例えば、膜又は一連の半透膜を通して、水性タバコ抽出物を通過させることを含み得る。膜は、プレートフレーム(plate-and-frame)(膜及び支持プレートの堆積を有する。)、螺旋状(チューブ周囲に巻かれた膜及び支持材の連続層を有する。)、管状(材料が流れる膜画定コアと、透過液が回収される外側管状ハウジングとを有する。)、又は中空繊維(複数の小さな径の管又は繊維を有し、透過液が繊維周囲のカートリッジ領域において回収される。)などのいずれかの種類であり得る。膜は、種々の材料から作製することができる。例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン及び酢酸セルロース膜が、一般に用いられるが、本明細書に記載されている発明から逸脱することなく、その他の材料を用いることができる。
【0076】
限外濾過膜は、広範囲の細孔径(通常、約0.1〜約0.001ミクロンの範囲)において利用可能である。膜は、通常、これらの分画分子量によって説明される。限外濾過膜は、一般に、約10 Da〜約10 Daの数平均分画分子量を有する膜として分類されている。実際には、分画分子量を超える分子量を有する化合物は、保持液中に保持され、分画分子量未満の分子量を有する化合物は、フィルタを通って透過液中に達する。限外濾過法は、通常、低分子量の有機化合物及びイオンを除去することができない。ナノ濾過は、一般に、フィルタの分画分子量が概して約100 Da〜約1000 Daの範囲内にある濾過法である。換言すると、約100 Da未満、約250 Da未満、約500 Da未満、約750 Da未満又は約1000 Da未満を有するタバコ抽出物の成分のみが許容可能であるナノ濾過は、特定の実施形態において、本発明に係るタバコ抽出物を浄化するのに用いることができる。
【0077】
限外濾過及びナノ濾過は、クロスフロー分離工程を含み得る。処理(供給)される液体流は、膜表面に沿って接線方向に流れ、膜を通る一方の流れ(透過液)と、膜を通らない別の流れ(保持液又は濃縮物)に分離する。濾過システムの動作パラメータは、所望の効果を達成するように変更することができる。例えば、濾過される供給混合物は、加圧を介して膜と接触させることができる。膜の透過速度は、加えられた圧力に直接比例するが、最大圧力は制限されてもよい。膜表面を通過する混合物の流速は調整することができる。また、温度も変更することができる。通常、透過速度は、温度の上昇とともに増加する。
【0078】
商用ナノ濾過及び限外濾過システムは、容易に入手可能であり、本発明の濾過方法に用いてもよい。例えば、ミリポア(Millipore)社、スペクトラムラボ(Spectrum(登録商標)Labs)社、ポール(Pall Corporation)社、ワットマン((Whatman)(登録商標))社、ポレックス(Porex Corporation)社、及びスナイダーフィルトレーション(Snyder Filtration)社などの商業的供給業者は、種々の濾過膜及びカートリッジ、及び/又は濾過システム(例えば、接線流濾過システム)を製造している。例示的な膜としては、Biomax(登録商標)及びUltracel(登録商標)膜並びにPellicon(登録商標)XLカセット(ミリポア社製)、Microkros(登録商標)、Minikros(登録商標)、及びKrosFlo(登録商標)中空繊維モジュール(スペクトラムラボ(Spectrum(登録商標)Labs)社製)、及びマイクローザ(Microza)フィルタ及びCentramate(商標)、Centrasette(商標)、Maximate(商標)並びにMaxisette(商標)接線流濾過膜カセットが挙げられるが、これらに限定されない。市販の濾過システムには、ミリポア社のLabscale(商標)接線流濾過(TFF)システム、及びスペクトラムラボ(Spectrum(登録商標)Labs)社のKrosFlo(登録商標)、及びMiniKros(登録商標)接線流濾過システムが含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
限外濾過は、本発明に係るタバコ抽出物を浄化するのに用いることができるが、特定の実施形態では、程度の差はあるが、厳格な工程を用いることができることに留意すべきである。特定の実施形態において、ナノ濾過を用いることができ、限外濾過よりも、タバコ抽出物から化合物(すなわち、より低い分子量の化合物)を多く除去することが可能である。特定の実施形態において、処理されたタバコ抽出物は、処理された抽出物の重量を基準として低いタバコ特異的ニトロソアミン含量(例えば、約150 ng/g以下)、及び/又は低いベンゾ[a]ピレン含量(例えば、約1 ng/g以下)を特徴とすることができる。
【0080】
一部の実施形態において、処理されたタバコ抽出物は、概して、このように処理されていないタバコ抽出物よりも少ない高分子量成分を含むことが有利である。特定の実施形態において、処理されたタバコ抽出液は、半透明及び/又は透明であることを特徴とすることができる。本明細書に用いられる「半透明」又は「半透明性」とは、ある程度のレベルの光が拡散によって透過できる能力をいう。特定の実施形態において、処理された抽出物は、光が顕著に拡散することなく、自由に光を透過させる材料として定義される「透明」と分類することができるか又は「透明性」を示すものとして分類することができるような高い透明度を有し得る。処理された抽出物の透明性は、概して、(光を通さない材料を指す)不透過性とは対照的に、ある程度のレベルの半透明性が存在するものである。
【0081】
処理されていない抽出物に対する処理された抽出物の透明度の改善については、いずれかの公知の方法によって定量することができる。例えば、濁度測定(又は比濁法)及び比色分析などの光学的方法を用いて、浄化されたタバコ抽出物の濁り(光散乱)及び色(光吸収)をそれぞれ定量することができる。半透明性は、処理された抽出物を光源まで保持するだけで、目視により確認することもでき、光が拡散して材料又は製品を透過するか否かを判断することができる。前述したように、これは、製品の緩衝化部分及び非緩衝化部分の半透明性又は透明性の評価にも適用される。処理された抽出物は、固体形態(例えば、噴霧乾燥若しくは凍結乾燥形態)、液体形態、半固体形態などで保存及び/又は使用することができる。
【0082】
一部の実施形態において、タバコ抽出物を直接用いているが、抽出物を加熱処理することが望ましい場合がある。この加熱処理は、一部の実施形態において、上述のように、処理(例えば、限外濾過)と組み合わせて行なうことができる。例えば、抽出物は、限外濾過の前に、限外濾過の後に、又は限外濾過の前後両方において加熱処理することができる。例えば、タバコ材料は、タバコ材料、水、並びに、リジン、グリシン、ヒスチジン、アラニン、メチオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、プロリン、フェニルアラニン、バリン、アルギニン、二価及び三価カチオン、アスパラギナーゼ、糖類、フェノール化合物、還元剤、遊離チオール基、酸化剤(例えば、過酸化水素)、酸化触媒、植物抽出物及びこれらの組合せからなる群より選択される添加剤を混合することによって熱処理し、湿ったタバコ混合物を形成し、そして、少なくとも約60℃の温度で湿ったタバコ混合物を加熱し、加熱処理されたタバコ混合物を形成することができる。一実施形態において、タバコ抽出物は、水、NaOH及び添加剤(例えば、リジン)の存在下で、約88℃で約60分間加熱処理される。かかる加熱処理は、タバコ材料中のアスパラギンと還元糖の反応から生じるアクリルアミド生成を防ぐのに有用であり、低温殺菌をある程度提供することができる。例えば、参照により本明細書に援用される、Chenらの米国特許出願公開第2010/0300463号を参照されたい。加熱処理されたタバコ抽出物が、本発明の無煙タバコ製品に用いられる特定の実施形態において、製品は、非常に低いアクリルアミド含量を特徴とすることができる。例えば、一部の実施形態において、無煙タバコ製品は、約500 ppb(ng/g)未満、約400 ppb未満、約300 ppb未満、約200 ppb未満又は約100 ppb未満のアクリルアミド含量が特徴である。
【0083】
本発明の特定の実施形態によれば、経口摂取ハードボイルド製品中のタバコ材料の量は変更することができる。例えば、タバコ抽出物は、混合物中に含まれる抽出物の量に影響を及ぼし得る種々の濃度で提供することができる。抽出物の量は、生成混合物の少なくとも約0.5重量%、概して少なくとも約1重量%であり、少なくとも約1.5重量%であることが多く、少なくとも約2重量%であることが多く、少なくとも約2.5重量%であることが多く、少なくとも約3重量%であることが頻繁である。特定の実施形態において、抽出物の量は、生成混合物の少なくとも約4重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約6重量%、又は少なくとも約7%重量%である。生成混合物に加えられる処理タバコ抽出物の量は、通常、約20%以下である。かかる製品の例示的な種類は、混合物の約3重量%、約4重量%、約4.5重量%、又は混合物の約7.5重量%を導入することができる。
【0084】
本明細書に記載されている他の原料などの更なる原料は、本発明に係る無煙タバコ組成物と混合するか、又は、それ以外に、当該組成物中に導入することができる。追加原料は、人工的であり得るか、又はハーブ若しくは生物学的供給源から得ることができるか若しくはこれらに由来し得る。必要に応じて、参照により本明細書に援用される、Dubeらの米国特許出願公開第2008/0029110号に記載されているように、原料をマイクロカプセル化することができる。さらに、例示的な封入原料は、例えば、Atchleyの国際公開公報第2010/132444 A2号に記載されており、当該文献も参照により本明細書に援用される。
【0085】
次に示す実施例は、本発明を更に説明するために示されているが、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。特に断りのない限り、すべての部及び百分率は重量基準である。
【実施例】
【0086】
本発明は、次に示す実施例によって十分に説明され、当該実施例は、本発明を説明するために記載され、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。次に示す実施例において、gはグラムを意味し、Lはリットルを意味し、mLはミリリットルを意味し、Daはダルトンを意味する。特に指示のない限り、すべての重量百分率は、乾燥基準で表現され、水を除くことを意味する。
【0087】
実施例1
緩衝剤を用いたハードボイルドタバコ抽出物含有製品の製造
イソマルト(92.41g)を、166℃(330°F)を超える温度で加熱し、融解イソマルトを149℃(300°F)未満まで冷却し、50%の固形分(抽出物の7.55g)を含む水性タバコ抽出物をイソマルトに混合し、混合物をパーチメントシート上に流し込み、室温まで冷却し、ガラス状の外観を有する固体を得る(淡褐色で透明)ことによって、イソマルトガラスを調製する。冷却されたガラス状の固体を、粉末ガラスに粉砕する。
【0088】
ガラス粉末(40g)を、97%炭酸水素ナトリウム及び3%炭酸ナトリウムを含む炭酸塩緩衝混合物(0.599g、2%の粉末重量)と室温で混合する。混合された粉末材料を型に移し、型を102℃で3分間オーブン内に入れ、これを取り出す。得られた物質は、固体(融解した)形態であり、淡黄色で不透明である。重炭酸塩が分解して二酸化炭素が発生した証拠はない。この混合された粉末材料の5%溶液のpHは7.02であり、ガラス粉末の5%溶液のpHは4.18である。
【0089】
実施例2
高い炭酸ナトリウム含量及び長い加熱時間の評価
実施例1に記載されている追加の0.620g炭酸塩緩衝混合物、及び追加の0.084g炭酸ナトリウムを、実施例1の30gの混合粉末材料に加える。水中5%溶液のpHは7.70であった。追加の0.080g炭酸ナトリウムを加えたところ、水中5%溶液のpHは8.23であった。この粉末混合物の一部を型に移し、型を102℃で3分間オーブン内に入れ、これを取り出す。得られた物質は、固体(融解した)形態であり、淡黄色で不透明である。粉末混合物の別の部分を型に移し、型を102℃で6分間オーブン内に入れ、これを取り出す。得られた物質は、固体(融解した)形態であり、淡黄色で不透明であり、また、重炭酸塩が分解した証拠も示さない。
【0090】
実施例3
緩衝剤を用いないハードボイルドタバコ抽出物含有製品
実施例1に従って調製された粉末ガラスの一部を型に移し、型を102℃で3分間オーブン内に入れ、これを取り出す。得られた物質は、固体(融解した)形態であり、融解及び冷却されたタバコ抽出物含有イソマルトと同じ視覚的特性、すなわち、ガラス状の外観(淡褐色で透明)を示す。
【0091】
本開示に属する当業者であれば、本明細書に記載されている開示内容の多くの変更及び他の態様が、前述の説明及び関連する図面に示されている教示の利益を有することを思い付く。したがって、本開示が、開示されている特定の態様に限定されるものではなく、変更及び他の態様が、添付の特許請求の範囲に含まれるものとすることが理解される必要がある。特定の用語が本明細書に用いられているが、これらは、一般的な意味及び説明の意味で用いられているにすぎず、限定の目的によるものではない。
図1
図2