【文献】
Protective Groups in Organic Synthesis, third edition,1999年,pp.65-67
【文献】
Journal of Organic Chemistry,2006年,Vol.71, No.24,pp.9045-9050
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
強力かつ選択的なMEK1/2阻害剤6−(4−ブロモ−2−フルオロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシエチオキシ)−アミド(「化合物A」)の調製および合成に有用なプロセス、およびその有用な中間体が本明細書に提供される。本発明はさらに、結晶化した化合物Aの合成のためのプロセス、およびこの結晶化した化合物の投与に適した薬学的組成物を対象とする。
【0026】
これらのプロセスは、以前に知られていたプロセス(例えば、PCT公開第WO03/077914号)よりもいくつかの点において有利である。例えば、化合物Aの形成のための本発明のプロセスは、低レベルのパラジウム(1ppm未満)を含む改善された純度プロファイルを有する。
【0027】
本明細書で使用される一般名称は、別途明示的に記載のない限り、以下の意味を有するものと定義される。
【0028】
本発明の目的のための「対象」は、ヒトおよび他の動物、特に哺乳動物、ならびに他の生物を含む。したがって、本方法は、ヒトの治療および獣医学的用途の両方に適用可能である。好ましい実施形態において、患者は哺乳動物であり、最も好ましい実施形態において、患者はヒトである。
【0029】
「有効量」、「薬学的有効量」、または「治療有効量」という用語は、所望の生物学的、治療的、および/または予防的結果を提供するのに十分な量の薬剤を指す。その結果は、疾患の徴候、症状、もしくは原因のうちの1つ以上の軽減、改善、寛解、減少、遅延、および/もしくは緩和、または生物系の任意の他の所望の変化であり得る。癌に関連して、有効量は、腫瘍を退縮させるおよび/もしくは腫瘍の増殖速度を低下させる(腫瘍増殖を抑制する等)、または他の望ましくない細胞増殖を予防もしくは遅延するのに十分な量を含む。いくつかの実施形態において、有効量は、発生を遅延するのに十分な量である。いくつかの実施形態において、有効量は、再発を予防または遅延するのに十分な量である。有効量は、1回以上の投与において投与することができる。薬物または組成物の有効量は、(i)癌細胞の数を減少させる、(ii)腫瘍のサイズを減少させる、(iii)末梢器官への癌細胞の浸潤を阻害する、遅らせる、ある程度緩徐にする、および好ましくは停止する、(iv)腫瘍転移を阻害する(すなわち、ある程度緩徐にする、好ましくは停止する)、(v)腫瘍増殖を阻害する、(vi)腫瘍の発生および/もしくは再発を予防するもしくは遅延する、かつ/または(vii)癌と関連する症状のうちの1つ以上をある程度緩和することができる。
【0030】
別途指示のない限り、疾患、障害、または症候群を「治療すること」またはその「治療」は、本明細書において使用される場合、疾患、障害、または症候群を阻止すること、すなわち、その発症を停止すること、および疾患、障害、または症候群を緩和すること、すなわち、疾患、障害、または症候群の退行を引き起こすことを意味する。当該技術分野において既知であるように、治療に関連して、全身送達対局所送達、年齢、体重、総体的な健康、性別、食事、投与期間、薬物相互作用、および状態の重症度に合わせた調節が必要な場合があり、それは当業者による日常的な実験によって確認可能である。
【0031】
「予防」は、ヒトにおける疾患、障害、または症候群の発生を防止すること、すなわち、疾患、障害、または症候群に曝露された可能性があるかまたはそれらにかかりやすい素因を有し得るが、まだ疾患、障害、または症候群の症状を経験していないかまたは示してない動物において、疾患、障害、または症候群の臨床症状を発生させないようにすることを意味する。
【0032】
「薬学的組成物」は、哺乳動物に発症する特定の疾患または状態を予防するかまたは治療するために、対象、例えば、哺乳動物またはヒトに投与されるべき少なくとも1つの治療剤を含有する混合物または溶液を意味する。
【0033】
「薬学的に許容される」とは、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、および他の問題となる合併症を起こさない、対象、例えば、哺乳動物またはヒトの組織との接触に適した、妥当な利益/危険比に見合った化合物、材料、組成物、および/または投薬形態を意味する。
【0034】
「含む(comprising)」および「含む(including)」という用語は、別途記載のない限り、それらの制約のない非限定的な意味で本明細書において使用される。
【0035】
本発明を説明する文脈中(特に、以下の特許請求の範囲の文脈中)の「a」、「an」、および「the」という用語、および同様の言及は、本明細書において別途指示のない限り、または文脈上明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈されるべきである。化合物、塩等に複数形が使用される場合、これは、単一の化合物、塩等も意味するものと解釈される。
【0036】
本明細書において使用される場合、「およそ」または「約」という用語は、一般的に、ある値の10%、5%、または1%を超えない可能性のある変動を意味する。
【0037】
本明細書において使用される場合、「単離される」という用語は、化合物が、それが形成されたまたは検出された反応混合物から分離されることを意味する。単離された化合物は、有機溶媒または水の15重量%未満、10重量%未満、6重量%未満、または3重量%未満を構成する。分離方法の非限定的な例として、濾過、遠心分離、真空乾燥、沈殿、結晶化、およびカラムクロマトグラフィーが挙げられる。
【0038】
一態様において、化合物6−(4−ブロモ−2−フルオロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシエチオキシ)−アミド(本明細書において「化合物A」と称される)を調製するためのプロセスが本明細書に提供され、
【化15】
当該プロセスは、
a) 式(I)の化合物を
【化16】
好適な塩基と反応させて中間体を形成するステップと、
b) 当該中間体を式(II)の化合物と反応させて
【化17】
式 (III)の化合物
【化18】
またはその水和物を提供するステップであって、
式中、P
1は、保護基である、ステップと、
c) 当該式(III)の化合物またはその水和物を、好適な溶媒または溶媒系に溶解するステップと、
d) 好適な脱保護試薬を用いて、当該式(III)の化合物またはその水和物を脱保護するステップであって、
式中、各出現におけるP
1は、同じかまたは異なってもよく、化合物Aを提供するための好適な保護基である、ステップとを含む。
【0039】
ステップa)のプロセスにおいて、式(I)の化合物を好適な塩基と反応させて中間体を生成する。上記反応に適した塩基の例として、限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、カリウムトリメチルシラノラート、リチウムトリメチルシラノラート、およびナトリウムトリメチルシラノラートが挙げられる。好ましい実施形態において、好適な塩基は、カリウムトリメチルシラノラートである。別の好ましい実施形態において、好適な塩基は、水酸化ナトリウムである。
【0040】
式(I)の化合物を好適な塩基と反応させるステップa)のプロセスは、いずれの好適な溶媒または溶媒系において行われてもよい。好適な溶媒は、極性非プロトン溶媒、例えば、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフラン、および1,4−ジオキサンを含む。好適な溶媒系は、好適な溶媒の任意の組み合わせを含む。好ましい実施形態において、反応は、N,N−ジメチルホルムアミドとTHFとの混合物中で行われる。好適な溶媒系はまた、水と組み合わせて1つ以上の好適な溶媒も含むことができる。特定の一実施形態において、反応は、N,N−ジメチルホルムアミドと水との混合物中で行われる。
【0041】
上述のプロセスの一実施形態において、ステップa)およびb)は「ワンポット」合成として実行され、ステップa)の中間体を、最初にステップa)の反応混合物から単離することなく、式(II)の化合物と反応させる(例えば、実施例2Aを参照)。一実施形態において、ステップa)の中間体は中間体1である。
【化19】
【0042】
「ワンポット」合成を含むプロセスの特定の一実施形態において、ステップa)は、式(I)の化合物を好適な塩基と反応させて中間体1を形成することを含み、ステップb)は、中間体1を式(II)の化合物と反応させて式(III)の化合物またはその水和物を形成することを含む。一実施形態において、中間体1は、ステップb)の前にステップa)の反応混合物から単離されない。別の実施形態において、中間体1は、DMFおよびTHFからなる群から選択される溶媒を含む溶液の一部である。
【0043】
プロセスの別の実施形態において、ステップa)およびb)は、式(II)の化合物と反応させる前に、反応混合物からのステップa)の中間体の単離とともに実行される。一実施形態において、ステップa)の中間体は、式(V)の化合物である。
【化20】
【0044】
ステップb)の反応の前にステップa)の中間体がステップa)の反応混合物から単離されるプロセスの別の実施形態において、プロセスは、ステップb)の前にステップa)の反応混合物から中間体(例えば、式(V)の化合物)を単離することを含む。一実施形態において、単離プロセスは、ステップb)の前にステップa)の反応混合物から中間体(例えば、式(V)の化合物)を結晶化および回収することを含む。ある実施形態において、中間体は、濾過によって結晶化および回収される。
【0045】
別の実施形態において、ステップa)は、式(I)の化合物を好適な塩基と反応させて式(V)の中間体を形成することと、反応混合物から中間体を単離することとを含み、ステップb)は、式(V)の中間体を式(II)の化合物と反応させて式(III)の化合物またはその水和物を形成することを含む。ステップb)の反応の前にステップa)の中間体がステップa)の反応混合物から単離されるプロセスの特定の一実施形態において、ステップa)は、式(I)の化合物を好適な塩基と反応させてから酸と反応させて式(V)の中間体を形成することと、反応混合物から式(V)の中間体を単離することとを含み、ステップb)は、式(V)の中間体を式(II)の化合物と反応させて式(III)の化合物またはその水和物を形成することを含む。一実施形態において、酸は塩酸である。別の実施形態において、プロセスのステップa)は、ステップa)の反応混合物から式(V)の中間体を結晶化および回収することを含む。一実施形態において、中間体は、濾過によって結晶化および回収される。
【0046】
本明細書において使用される場合、「保護基」という用語は、反応基(カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、およびメルカプト基等)が望ましくない反応を起こすことを防止するために使用される基を指すことが意図される。具体的には、本出願を通して使用されるP
1に適した保護基は、酸に不安定な保護基を含む。本出願を通して使用されるP
1に適したな酸に不安定な保護基の例示的な例として、限定されないが、アルキル基、例えば第三級アルキル(例えば、第三級C
4−C
7アルキル、例えば、t−ブチルまたは第三級アミル等);アルケニル基;第三級アリール−アルキル基、例えば、1−メチル−1−フェニルエチル(クミル)またはトリフェニルメチル(トリチル)等;アセタールを生じる基、例えば、メトキシメチル、1−エトキシエチル、2−テトラヒドロピラニルまたは2−テトラヒドロフラニル等;およびシリル基、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、またはtert−ブチル−ジメチルジリル等が挙げられる。好ましい実施形態において、P
1はt−ブチルである。
【0047】
ステップa)からの中間体を式(II)の化合物と反応させるステップb)のプロセスは、いずれのカップリング剤およびプロトン源の存在下で行われてもよい。好適なプロトン源は、限定されないが、イミダゾール塩酸塩、ピリジン塩酸塩、トリエチルアミン塩酸塩、N−メチルモルホリン塩酸塩、およびスルホン酸、例えば、メタンスルホン酸等を含み、好ましくはイミダゾール塩酸塩を含む。好適なカップリング剤は、限定されないが、1,1’−カルボニルジイミダゾール、クロロぎ酸イソブチル、塩化ピバロイル、塩化オキサリル、塩化チオニル、1−プロパンホスホン酸環状無水物、および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−カルボジイミド塩酸塩(EDCI)を含み、好ましくは1,1’−カルボニルジイミダゾールを含む。本発明の好ましい実施形態において、ステップb)のプロセスは、カップリング剤1,1’−カルボニルジイミダゾールおよびプロトン源イミダゾール塩酸塩の存在下で行われる。1,1’−カルボニルジイミダゾール以外のカップリング剤およびイミダゾール塩酸塩以外のプロトン源のために本発明のプロセスを最適化することは、当業者の知識の範囲内である。
【0048】
式(III)の化合物またはその水和物が好適な溶媒または溶媒系に溶解され、脱保護されるステップc)のプロセスは、いずれの好適な溶媒または溶媒系において行われてもよい。好適な溶媒の例として、(a)極性プロトン溶媒、例えば、メタノール、エタノール、およびイソプロパノール等、ならびに(b)極性非プロトン溶媒、例えば、アセトン,アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、およびテトラヒドロフランが挙げられる。好適な溶媒系は、好適な溶媒の任意の組み合わせを含む。
【0049】
一実施形態において、反応は、極性非プロトン溶媒中で行われる。好ましい実施形態において、反応は、アセトニトリル中で行われる。
【0050】
P
1の保護基は、いずれの好適な脱保護剤を使用して除去されてもよい。ヒドロキシ保護基の脱保護条件は、保護基の選択に伴って必然的に変化する。アルキル基またはアルケニル基は、例えば、リン酸等の水性酸を用いて除去されてもよい。第三級アリール−アルキル基は、例えば、水性酸によって除去されてもよい。シリル基は、例えば、フッ化物によってまたは水性酸によって除去されてもよい。当業者は、水性酸を用いて、酸に不安定な保護基を除去できることを理解するであろう。上に例示したこれらの保護基に適した脱保護剤は、限定されないが、水性酸、例えば、リン酸、塩酸、または硫酸等;非水性酸、例えば、イソプロピルアルコールまたは1,4−ジオキサンもしくはテトラヒドロフラン等の他の好適な有機溶媒中の塩化水素酸、トリメチルシリルクロリド、トリフルオロ酢酸、あるいはp−トルエンスルホン酸を含んでもよい。
【0051】
一実施形態において、保護基P
1がt−ブチルである場合、好適な脱保護剤は、水性酸、例えば、リン酸、塩酸、硫酸等;イソプロピルアルコール中の5M塩酸、トリメチルシリルクロリド、またはp−トルエンスルホン酸(水和物)から選択されてもよい。好ましくは、保護基P
1がt−ブチルである場合、好適な脱保護剤は、水性リン酸である。
【0052】
一実施形態において、保護基P
1がt−ブチルである場合、ステップc)の好適な溶媒または溶媒系は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、メタノール、およびエタノールから選択され、脱保護剤はリン酸である。
【0053】
さらなる実施形態において、保護基P
1がt−ブチルである場合、ステップc)の好適な溶媒または溶媒系は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、メタノール、およびエタノールから選択され、脱保護剤は塩酸である。
【0054】
本発明のこの態様のさらなる実施形態において、ステップd)に次いで、ステップd)で提供される化合物Aがさらにいずれかのその薬学的に許容される塩へ変換され得る。「薬学的に許容される塩」は、本明細書において使用される場合、別途指示のない限り、本発明の化合物中に存在し得る酸性基または塩基性基の塩を含む。本質的に塩基性である本発明の化合物は、種々の無機酸および有機酸と様々な塩を形成することができる。本発明のそのような塩基性化合物の薬学的に許容される酸付加塩を調製するために使用され得る酸は、非毒性の酸付加塩、すなわち、アセテート、ベンゾエート、ブロミド、クロリド、シトレート、フマレート、ヒドロブロミド、ヒドロクロリド、ヨウ化物、ラクテート、マレエート、マンデレート、硝酸塩、シュウ酸塩、サリチレート、スクシネート、および酒石酸塩等の薬学的に許容されるアニオンを含有する塩を形成する酸である。本発明の単一化合物は、1つより多くの酸性部分または塩基性部分を含むことができるため、本発明の化合物は、単一化合物中に一、二または三塩を含み得る。
【0055】
本発明の化合物中の酸性部分の場合、塩は、本発明の化合物を塩基性化合物、特に無機塩基で処理することによって形成されてもよい。好ましい無機塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、バリウム、およびカルシウム等のアルカリ金属およびアルカリ土類金属を用いて形成される無機塩である。好ましい有機塩基塩は、例えば、アンモニウム、ジベンジルアンモニウム、ベンジルアンモニウム、2−ヒドロキシエチルアンモニウム、ビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、フェニルエチルベンジルアミン、ジベンジル−エチレンジアミン等の塩を含む。他の酸性部分の塩は、例えば、プロカイン、キニーネ、およびN−メチルグルソアミンを用いて形成される塩、ならびにグリシン、オルニチン、ヒスチジン、フェニルグリシン、リジン、およびアルギニン等の塩基性アミノ酸を用いて形成される塩を含んでもよい。特に好ましい塩は、本発明の化合物のナトリウム塩またはカリウム塩である。
【0056】
塩基性部分に関して、塩は、本発明の化合物を酸性化合物、特に無機酸で処理することによって形成されてもよい。この種類の好ましい無機塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等を含んでもよい。この種類の好ましい有機塩は、例えば、酢酸、コハク酸 、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、D−グルタミン酸、グリコール酸、安息香酸、桂皮酸等の有機酸を用いて形成される塩を含むことができる。この種類の特に好ましい塩は、化合物Aの塩酸塩または硫酸塩である。
【0057】
本発明に従って、5〜9の範囲のpHに達するように、脱保護ステップd)で形成された酸性反応混合物に塩基が加えられてもよいことを理解されたい。好ましくは、脱保護ステップd)で形成される酸性反応混合物を約8〜8.5のpHに中和するために塩基が加えられる。好適な塩基の例として、限定されないが、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、および水酸化アンモニウムが挙げられる。好ましくは、さらなる塩基は水酸化カリウムである。
【0058】
好ましい実施形態において、ステップa)の好適な塩基はカリウムトリメチルシラノラートであり、保護基P
1はt−ブチルであり、ステップc)の好適な溶媒または溶媒系はアセトニトリルであり、ステップd)の好適な脱保護剤は水性リン酸である。
【0059】
別の好ましい実施形態において、ステップa)の好適な塩基は水酸化ナトリウムであり、保護基P
1はt−ブチルであり、ステップc)の好適な溶媒または溶媒系はアセトニトリルであり、ステップd)の好適な脱保護剤は水性リン酸である。
【0060】
別の好ましい実施形態において、ステップa)の好適な塩基はカリウムトリメチルシラノラートであり、保護基P
1はt−ブチルであり、ステップc)の好適な溶媒または溶媒系はアセトニトリルであり、ステップd)の脱保護剤はリン酸であり、さらなる塩基が加えられ、そのさらなる塩基は水酸化カリウムである。
【0061】
さらに別の好ましい実施形態において、ステップa)の好適な塩基は水酸化ナトリウムであり、保護基P
1はt−ブチルであり、ステップc)の好適な溶媒または溶媒系はアセトニトリルであり、ステップd)の好適な脱保護剤はリン酸であり、さらなる塩基が加えられ、そのさらなる塩基は水酸化カリウムである。
【0062】
別の態様において、式(III)の化合物、
【化21】
またはその水和物を調製するためのプロセスが本明細書に提供され、当該プロセスは、
a) 式(I)の化合物を、
【化22】
好適な塩基と反応させて中間体を形成するステップと、
b) 式IIIの化合物またはその水和物が形成されるように、当該中間体を式(II)の化合物と反応させるステップであって、
【化23】
式中、P
1は保護基である、ステップとを含む。
【0063】
式(I)の化合物を好適な塩基と反応させて中間体を生成する、ステップa)のプロセス。上記反応に適した塩基の例として、限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、カリウムトリメチルシラノラート、リチウムトリメチルシラノラート、およびナトリウムトリメチルシラノラートが挙げられる。好ましい実施形態において、好適な塩基は、カリウムトリメチルシラノラートである。別の好ましい実施形態において、好適な塩基は、水酸化ナトリウムである。
【0064】
式(I)の化合物を好適な塩基と反応させるステップa)のプロセスは、いずれの好適な溶媒または溶媒系において行われてもよい。好適な溶媒は、極性非プロトン溶媒、例えば、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフラン、および1,4−ジオキサンを含む。好適な溶媒系は、好適な溶媒の任意の組み合わせを含む。好ましい実施形態において、反応は、N,N−ジメチルホルムアミドとTHFとの混合物中で行われる。好適な溶媒系はまた、水と組み合わせて1つ以上の好適な溶媒も含むことができる。特定の一実施形態において、反応は、N,N−ジメチルホルムアミドと水との混合物中で行われる。
【0065】
プロセスの一実施形態において、ステップa)およびb)は、前述のように「ワンポット」合成として実行される。一実施形態において、ステップa)の中間体は中間体1である。別の実施形態において、ステップa)は、式(I)の化合物を好適な塩基と反応させて中間体1を形成することを含み、ステップb)は、中間体1を式(II)の化合物と反応させて式(III)の化合物またはその水和物を形成することを含む。一実施形態において、中間体1は、ステップb)の前にステップa)の反応混合物から単離されない。別の実施形態において、中間体1は、DMFおよびTHFからなる群から選択される溶媒を含む溶液の一部である。
【0066】
プロセスの別の実施形態において、ステップa)およびb)は、前述のように、ステップb)の反応の前にステップa)の中間体の単離とともに実行される。一実施形態において、ステップa)の中間体は、式(V)の化合物である。別の実施形態において、プロセスは、ステップb)の前にステップa)の反応混合物から中間体(例えば、式(V)の化合物)を単離することを含む。一実施形態において、単離プロセスは、ステップb)の前にステップa)の反応混合物から中間体(例えば、式(V)の化合物)を結晶化および回収することを含む。一実施形態において、中間体は、濾過によって結晶化および回収される。
【0067】
ステップb)の反応の前にステップa)の中間体がステップa)の反応混合物から単離されるプロセスの別の実施形態において、ステップa)は、式(I)の化合物を好適な塩基と反応させて式(V)の中間体を形成することと、反応混合物から中間体を単離することとを含み、ステップb)は、式(V)の中間体を式(II)の化合物と反応させて式(III)の化合物またはその水和物を形成することを含む。特定の一実施形態において、ステップa)は、式(I)の化合物を好適な塩基と反応させてから酸と反応させて式(V)の中間体を形成することと、反応混合物から式(V)の中間体を単離することとを含み、ステップb)は、式(V)の中間体を式(II)の化合物と反応させて式(III)の化合物またはその水和物を形成することを含む。一実施形態において、酸は塩酸である。
【0068】
好適な保護基P
1の例として、上述の保護基が挙げられ、その記述は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0069】
ステップa)からの中間体を式(II)の化合物と反応させるステップb)のプロセスは、いずれのカップリング剤およびプロトン源の存在下で行われてもよい。好適なプロトン源は、限定されないが、イミダゾール塩酸塩、ピリジン塩酸塩、トリエチルアミン塩酸塩、N−メチルモルホリン塩酸塩、およびスルホン酸、例えば、メタンスルホン酸等を含み、好ましくはイミダゾール塩酸塩を含む。好適なカップリング剤は、限定されないが、1,1’−カルボニルジイミダゾール、クロロぎ酸イソブチル、塩化ピバロイル、塩化オキサリル、塩化チオニル、1−プロパンホスホン酸環状無水物、および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−カルボジイミド塩酸塩(EDCI)を含み、好ましくは1−1’−カルボニルジイミダゾールを含む。本発明の好ましい実施形態において、ステップb)のプロセスは、カップリング剤1,1’−カルボニルジイミダゾールおよびプロトン源イミダゾール塩酸塩の存在下で行われる。1,1’−カルボニルジイミダゾール以外のカップリング剤およびイミダゾール塩酸塩以外のプロトン源のために本発明のプロセスを最適化することは、当業者の知識の範囲内である。
【0070】
本発明の別の態様において、化合物Aの新しい結晶化形態を調製するための新しいプロセスが発見された。化合物Aまたはその薬学的に許容される塩の従来の合成プロセス(例えば、PCT公開第WO03/077914号に記載されるもの)は、医薬品の創薬に関する以下の重大な欠点を有することが示された:(a)合成された原薬は、典型的には粉末の大きな塊(凝集体)を形成した、(b)不十分な純度プロファイルおよび収率、ならびに(c)合成された原薬は、流動性の低い「粘着」形態を有していた。従来のプロセスは、塊を形成する(中には最大15mmの直径を有する塊もある)、非常に凝集性の高い化合物Aの材料を生成していた。これらの問題は、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物の、信頼性がある、再現性があり、制御された大規模生成の妨げとなる重大な問題である。
【0071】
化合物Aの結晶化形態を調製するための新しいプロセスが発見された。著しく改善された純度プロファイルおよび改善された物理的形態(例えば、粘着性のある結晶/粒子の減少、流動性の改善)を有する化合物Aの結晶性形態を意外にも生成する。化合物Aは、ほとんどの標準的な溶媒において非常に低い溶解度(すなわち、室温で1%未満)を有することが分かった。この低い溶解度のために、標準的な冷却方法によって結晶化を行うことおよび結晶の成長を制御することが困難である。しかしながら、概して貧溶媒(広い温度範囲で溶解度<0.01%)である水もまた、エーテルおよび任意選択的にアルコールを含む新規溶媒混合物中で使用されると、予想外に化合物Aの溶媒として作用し、したがって化合物Aの溶解度を著しく増加させることが発見された。溶媒に少量の貧溶媒を加えることにより、典型的には溶解度を若干増加させることができるが、テトラヒドロフランおよびメタノールの溶媒混合物への水の添加は、水を含まないメタノールおよびテトラヒドロフランの溶媒混合物と比較して化合物Aの溶解度を約50%増加させた。この溶解度における改善は、最終原薬の純度プロファイルの改善に寄与する。
【0072】
さらに、化合物Aの結晶化形態を調製するための新しいプロセスは、粘着挙動が低減され、流動性が改善された化合物Aの新しい結晶性形態を生成する。この改善は、後に考察するようなその後の粉砕ステップを用いてまたは用いずに実証される。(
図2と比較して
図1を参照のこと)。しかしながら、さらなる粉砕ステップは、化合物Aの粘着挙動および流動性にさらなる有利な改善を提供する。
【0073】
したがって、一態様において、化合物Aの結晶化形態を調製するためのプロセスが提供され、
【化24】
当該プロセスは、
a) (i.)エーテルおよび任意選択的にアルコールを含む溶媒系と、(ii.)水と、を含む溶液中に、化合物Aを溶解して溶液を提供するステップと、
b) 溶液に種結晶懸濁液を加えて懸濁混合物を提供するステップと、
d) 懸濁混合物に水を加えて処理した混合物を提供するステップと、
e) 処理した混合物を冷却して、結晶化した6−(4−ブロモ−2−フルオロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシエチオキシ)−アミドを提供するステップとを含む。
【0074】
別の態様において、化合物Aの結晶化形態を調製するためのプロセスが提供され、
【化25】
当該プロセスは、
a) (i.)エーテルおよび任意選択的にアルコールを含む溶媒系と、(ii.)水と、を含む溶液中に、化合物Aを溶解して溶液を提供するステップと、
b) 溶液に種結晶懸濁液を加えて懸濁混合物を提供するステップと、
c) 懸濁混合物を冷却して冷却された懸濁混合物を提供するステップと、
d) 冷却された懸濁混合物に水を加えて処理した混合物を提供するステップと、
e) 処理した混合物を冷却して、結晶化した6−(4−ブロモ−2−フルオロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシエチオキシ)−アミドを提供するステップとを含む。
【0075】
本発明のこの態様のステップa)によれば、化合物Aは、(i.)エーテルおよび任意選択的にアルコールを含む溶媒系と、(ii.)水と、を含む溶液中に溶解される。ステップa)は、(a)(i.)エーテルおよび任意選択的にアルコールを含む溶媒系と、(ii.)水と、を含む溶液中に、化合物Aを加えること、または(b)溶液の各構成要素を化合物Aに加えることのいずれかによって行われてもよいことを理解されたい。
【0077】
本発明によれば、ステップa)の溶液は、アルコールの包含を必要としない。しかしながら、エーテルおよびアルコールの両方を含む溶液が好ましい。好適なアルコールは、限定されないが、メタノール、エタノール、およびイソプロパノールを含む。好ましくは、アルコールはメタノールである。
【0078】
一実施形態において、化合物Aは、溶媒THFおよび水からなる溶液中に溶解される。
【0079】
一実施形態において、化合物Aは、(i.)エーテルおよびアルコールの両方を含む溶液と、(ii.)水とを含むかまたはそれらからなる溶液中に溶解される。好ましい溶液は、アルコールおよびTHFを含む溶媒系と、水とを含む。
【0080】
好ましい実施形態において、化合物Aは、(i.)メタノールおよびTHFからなる溶媒系と、(ii.)水とからなる溶液中に溶解される。
【0081】
ステップa)の溶液中における化合物Aの溶解は、種結晶懸濁液の添加前に、化合物Aと、(i.)エーテルおよびアルコールを含む溶媒系と(ii.)水とを含む溶液との混合物を約52〜56℃の内部温度まで加熱することによって促進される。
【0082】
一態様において、化合物Aと、(i.)エーテルおよびアルコールを含む溶媒系と(ii.)水とを含む溶液との混合物は、約53〜55℃の内部温度まで加熱される。
【0083】
ステップb)で種結晶懸濁液が溶液に加えられ、懸濁液混合物が提供される。化合物Aと、(i.)エーテルおよびアルコールを含む溶媒系と(ii.)水とを含む溶液との混合物を約52〜56℃の内部温度まで加熱した後、かつ(ii.)種結晶懸濁液の添加前に、溶液は有利に冷却される。
【0084】
一態様において、水が懸濁混合物に加えられ、処理した混合物が提供される。別の態様において、水が加えられる前に、懸濁混合物は、約30〜50℃の温度まで冷却される。好ましい実施形態において、水が加えられる前に、懸濁混合物は、約47〜48℃の温度まで冷却される。
【0085】
上で考察したように、結晶化プロセスは、貧溶媒冷却系を利用する。ステップd)において、懸濁液または冷却された懸濁混合物に水が加えられ、処理した混合物が提供される。概して貧溶媒(広い温度範囲にわたって溶解度<0.01%)として作用する水も、水/メタノール/テトラヒドロフラン溶媒系の一部である場合、予想外に化合物Aの溶媒として作用する。したがって、水を加えることは、意外にも化合物Aの溶解度を著しく増加させる効果を有する。このプロセスを使用して、水(24%)、メタノール (38%)、およびテトラヒドロフラン(38%)の混合物を用いると、65℃で化合物Aの最大溶解度に達することが分かり、さらに水を加えると化合物Aの溶解度が低下した。
【0086】
水が溶媒系の70%w/w、好ましくは65%(w/w)を超えないように、5〜35時間の期間にわたって水を加えることができる。一実施形態において、10〜25時間、好ましくは25時間の期間にわたって水が加えられる。別の実施形態において、15時間以内に33%が加えられ、10時間以内に66%が加えられるように、25時間の期間にわたって水が加えられる。
【0087】
別の態様において、懸濁液または冷却した懸濁混合物への水の添加が終了した溶媒系中の成分は、40/40/20〜15/15/70w/wの範囲のアルコール/エーテル/水の最終比率を有する:w/wは、溶媒系/貧溶媒系の他の構成要素に対する各成分の重量%を指す。好ましい実施形態において、アルコール/エーテル/水の最終比率は、約20/20/60w/w(20/20/60w/w)である。
【0088】
ステップe)において、結晶化した化合物Aが、処理した混合物を冷却することによって最終的に得られる。処理した混合物は、5〜25時間の期間にわたって有利に冷却される。一態様において、処理した混合物は、8〜15時間、8〜12時間、または9〜11時間の期間にわたって冷却される。好ましい実施形態において、処理した混合物は、約10時間の期間にわたって冷却される。処理した混合物は、約1〜10℃、好ましくは約3〜5℃の内部温度まで有利に冷却される。好ましい実施形態において、処理した混合物は、約9〜11時間の期間にわたって約3〜5℃の内部温度まで冷却される。
【0089】
結晶化した化合物Aを濾過した後、例えば、真空下で、または真空オーブン内でそれを乾燥することができる。
【0090】
さらなる実施形態において、上記本発明のプロセスのステップe)で提供される結晶化した化合物Aは、続いて粉砕されてもよい。好適な粉砕技術は、当業者に既知であり、限定されないが、ピンミルまたはジェットミルを含む。
【0091】
より小さな一次粒子は、より高い凝集作用を引き起こすことが多い。しかしながら、粉砕後、結晶化した化合物Aは、たとえ3ヶ月を超える保存期間の後であっても、予想外に粘着性の低下を示した。
【0092】
さらなる一態様において、化合物Aの結晶化形態を調製するためのプロセスが提供され、当該プロセスは、
a) 式(I)の化合物を
【化26】
好適な塩基と反応させて中間体を形成するステップと、
b) 当該中間体を式(II)の化合物と反応させて
【化27】
式(III)の化合物、
【化28】
またはその水和物を提供するステップであって、式中、P
1は、保護基である、ステップと、
c) 当該式(III)の化合物またはその水和物を、好適な溶媒または溶媒系に溶解するステップと、
d) 好適な脱保護試薬を用いて、当該式(III)の化合物またはその水和物を脱保護するステップであって、
式中、各出現におけるP
1は、同じかまたは異なってもよく、化合物Aを提供するための好適な保護基である、ステップと、
e) (i.)エーテルおよび任意選択的にアルコールを含む溶媒系と、(ii.)水と、を含む溶液中に、化合物Aを溶解して溶液を提供するステップと、
f) 溶液に種結晶懸濁液を加えて懸濁混合物を提供するステップと、
g) 懸濁混合物に水を加えて処理した混合物を提供するステップと、
h) 処理した混合物を冷却して、結晶化した6−(4−ブロモ−2−フルオロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2− ヒドロキシエチオキシ)−アミドを提供するステップとを含む。
【0093】
別の態様において、化合物Aの結晶化形態を調製するためのプロセスが提供され、当該プロセスは、
a) 式(I)の化合物を、
【化29】
好適な塩基と反応させて中間体を形成するステップと、
b) 当該中間体を式(II)の化合物と反応させて
【化30】
式(III)の化合物、
【化31】
またはその水和物を提供するステップであって、式中、P
1は、保護基である、ステップと、
c) 当該式(III)の化合物またはその水和物を、好適な溶媒または溶媒系に溶解するステップと、
d) 好適な脱保護試薬を用いて、当該式(III)の化合物またはその水和物を脱保護するステップであって、
式中、各出現におけるP
1は、同じかまたは異なってもよく、化合物Aを提供するための好適な保護基である、ステップと、
e) (i.)エーテルおよび任意選択的にアルコールを含む溶媒系と、(ii.)水と、を含む溶液中に、化合物Aを溶解して溶液を提供するステップと、
f) 溶液に種結晶懸濁液を加えて懸濁混合物を提供するステップと、懸濁混合物を冷却して冷却された懸濁混合物を提供するステップと、
g) 冷却された懸濁混合物に水を加えて処理した混合物を提供するステップと、
h) 処理した混合物を冷却して、結晶化した6−(4−ブロモ−2−フルオロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシエチオキシ)−アミドを提供するステップとを含む。
【0094】
式(I)の化合物を好適な塩基と反応させて中間体を生成する、ステップa)のプロセス。上記反応に適した塩基の例として、限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、カリウムトリメチルシラノラート、リチウムトリメチルシラノラート、およびナトリウムトリメチルシラノラートが挙げられる。好ましい実施形態において、好適な塩基は、カリウムトリメチルシラノラートである。別の好ましい実施形態において、好適な塩基は、水酸化ナトリウムである。
【0095】
式(I)の化合物を好適な塩基と反応させるステップa)のプロセスは、いずれの好適な溶媒または溶媒系において行われてもよい。好適な溶媒は、極性非プロトン溶媒、例えば、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフラン、および1,4−ジオキサンを含む。好適な溶媒系は、好適な溶媒の任意の組み合わせを含む。好ましい実施形態において、反応は、N,N−ジメチルホルムアミドとTHFとの混合物中で行われる。好適な溶媒系はまた、水と組み合わせて1つ以上の好適な溶媒も含むことができる。特定の一実施形態において、反応は、N,N−ジメチルホルムアミドと水との混合物中で行われる。
【0096】
プロセスの一実施形態において、ステップa)およびb)は、前述のように「ワンポット」合成として実行される。一実施形態において、ステップa)の中間体は中間体1である。別の実施形態において、ステップa)は、式(I)の化合物を好適な塩基と反応させて中間体1を形成することを含み、ステップb)は、中間体1を式(II)の化合物と反応させて式(III)の化合物またはその水和物を形成することを含む。一実施形態において、中間体1は、DMFおよびTHFからなる群から選択される溶媒を含む溶液である。
【0097】
プロセスの別の実施形態において、ステップa)およびb)は、前述のように、ステップb)の反応の前にステップa)の中間体の単離とともに実行される。一実施形態において、ステップa)の中間体は、式(V)の化合物である。別の実施形態において、プロセスは、ステップb)の前にステップa)の反応混合物から中間体(例えば、式(V)の化合物)を単離することを含む。一実施形態において、プロセスは、ステップb)の前にステップa)の反応混合物から中間体(例えば、式(V)の化合物)を結晶化および回収することを含む。一実施形態において、中間体は、濾過によって結晶化および回収される。
【0098】
ステップb)の反応の前にステップa)の中間体がステップa)の反応混合物から単離されるプロセスの別の実施形態において、ステップa)は、式(I)の化合物を好適な塩基と反応させて式(V)の中間体を形成することと、反応混合物から中間体を単離することとを含み、ステップb)は、式(V)の中間体を式(II)の化合物と反応させて式(III)の化合物またはその水和物を形成することを含む。特定の一実施形態において、ステップa)は、式(I)の化合物を好適な塩基と反応させてから酸と反応させて式(V)の中間体を形成することと、反応混合物から式(V)の中間体を単離することとを含み、ステップb)は、式(V)の中間体を式(II)の化合物と反応させて式(III)の化合物またはその水和物を形成することを含む。一実施形態において、酸は塩酸である。
【0099】
ステップb)およびd)の好適な保護基および脱保護試薬は上に提供され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0100】
ステップa)からの中間体を式(II)の化合物と反応させるステップb)のプロセスは、いずれのカップリング剤およびプロトン源の存在下で行われてもよい。好適なプロトン源は、限定されないが、イミダゾール塩酸塩、ピリジン塩酸塩、トリエチルアミン塩酸塩、N−メチルモルホリン塩酸塩、およびスルホン酸、例えば、メタンスルホン酸等を含み、好ましくはイミダゾール塩酸塩を含む。好適なカップリング剤は、限定されないが、1,1’−カルボニルジイミダゾール、クロロぎ酸イソブチル、塩化ピバロイル、塩化オキサリル、塩化チオニル、1−プロパンホスホン酸環状無水物、および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−カルボジイミド塩酸塩(EDCI)を含み、好ましくは1,1’−カルボニルジイミダゾールを含む。本発明の好ましい実施形態において、ステップ b)のプロセスは、カップリング剤1,1’−カルボニルジイミダゾールおよびプロトン源イミダゾール塩酸塩の存在下で行われる。1,1’−カルボニルジイミダゾール以外のカップリング剤およびイミダゾール塩酸塩以外のプロトン源のために本発明のプロセスを最適化することは、当業者の知識の範囲内である。
【0101】
本発明に従って、5〜9の範囲のpHに達するように、脱保護ステップd)で形成された酸性反応混合物に塩基が加えられてもよいことを理解されたい。好ましくは、脱保護ステップd)で形成される酸性反応混合物を約8〜8.5のpHに中和するために塩基が加えられる。好適な塩基の例として、限定されないが、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、および水酸化アンモニウムが挙げられる。好ましくは、さらなる塩基は水酸化カリウムである。
【0102】
本発明のこの態様のステップe)によれば、化合物Aは、(i.)エーテルおよび任意選択的にアルコールを含む溶媒系と、(ii.)水と、を含む溶液中に溶解される。ステップe)は、(a)(i.)エーテルおよび任意選択的にアルコールを含む溶媒系と、(ii.)水と、を含む予め混合した溶液中に化合物Aを加えること、または(b)溶液の各構成要素を化合物Aに加えることのいずれかによって行われてもよいことを理解されたい。
【0104】
本発明によれば、ステップe)の溶液は、アルコールの包含を必要としない。しかしながら、エーテルおよびアルコールの両方を含む溶液が好ましい。好適なアルコールは、限定されないが、メタノール、エタノール、およびイソプロパノールを含む。好ましくは、アルコールはメタノールである。
【0105】
好ましい実施形態において、化合物Aは、(i.)メタノールおよびTHFからなる溶媒系と、(ii.)水とからなる溶液中に溶解される。
【0106】
ステップe)の溶液中における化合物Aの溶解は、種結晶懸濁液の添加前に、化合物Aと、(i.)エーテルおよびアルコールを含む溶媒系と(ii.)水とを含む溶液との混合物を約52〜56℃の内部温度まで加熱することによって促進される。一態様において、化合物Aと、(i.)エーテルおよびアルコールを含む溶媒系と(ii.)水とを含む溶液との混合物は、約53〜55℃の内部温度まで加熱される。
【0107】
ステップf)で種結晶懸濁液が溶液に加えられ、懸濁液混合物が提供される。化合物Aと、(i.)エーテルおよびアルコールを含む溶媒系と(ii.)水とを含む溶液との混合物を約52〜56℃の内部温度まで加熱した後、かつ(ii.)種結晶懸濁液の添加前に、溶液は有利に冷却される。
【0108】
一態様において、水が懸濁混合物に加えられ、処理した混合物が提供される。別の態様において、水が加えられる前に、懸濁混合物は、約30〜50℃の温度まで冷却される。好ましい実施形態において、水が加えられる前に、懸濁混合物は、約47〜48℃の温度まで冷却される。
【0109】
ステップg)において、水が溶媒系の70%w/w、好ましくは65%(w/w)を超えないように、5〜35時間の期間にわたって水を加えることができる。一実施形態において、10〜25時間、好ましくは25時間の期間にわたって水が加えられる。別の実施形態において、15時間以内に33%が加えられ、10時間以内に66%が加えられるように、25時間の期間にわたって水が加えられる。
【0110】
別の態様において、懸濁液または冷却した懸濁混合物への水の添加が終了した溶媒系中の成分は、40/40/20〜15/15/70w/wの範囲のアルコール/エーテル/水の最終比率を有し、w/wは、溶媒系/貧溶媒系の他の成分に対する各構成要素の重量%を指す。好ましい実施形態において、アルコール/エーテル/水の最終比率は、約20/20/60w/w(20/20/60w/w)である。
【0111】
ステップh)において、結晶化した化合物Aが、処理した混合物を冷却することによって最終的に得られる。処理した混合物は、5〜25時間の期間にわたって有利に冷却される。一態様において、処理した混合物は、8〜15時間、8〜12時間、または9〜11時間の期間にわたって冷却される。好ましい実施形態において、処理した混合物は、約10時間の期間にわたって冷却される。処理した混合物は、約1〜10℃、好ましくは約3〜5℃の内部温度まで有利に冷却される。好ましい実施形態において、処理した混合物は、約9〜11時間の期間にわたって約3〜5℃の内部温度まで冷却される。結晶化した化合物Aを濾過した後、例えば、真空下で、または真空オーブン内でそれを乾燥することができる。
【0112】
本発明のプロセスによって生成される結晶化した化合物Aは、さらに粉砕することができる(例えば、ジェットミルまたはピンミル)。
【0113】
さらなる態様において、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる本明細書において前述されるプロセスに従って調製される、結晶化した6−(4−ブロモ−2−フルオロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシエチオキシ)−アミドが提供される。結晶化した化合物Aは、さらなる粉砕を用いてまたは用いずに調製される原薬を含むことを理解されたい。
【0114】
別の態様において、式(I)の化合物が提供される。
【化32】
当該式(I)の化合物は、本発明による化合物Aの合成のための中間体化合物として有用である。
【0115】
別の態様において、式(V)の化合物が提供される。
【化33】
当該式(V)の化合物は、本発明による化合物Aの合成のための中間体化合物として有用である。
別の態様において、式(IV)の化合物、
【化34】
またはその水和物が提供される。好ましい実施形態において、式(IV)の化合物は、その一水和物の形態である。当該式(IV)の化合物(その一水和物を含む)は、本発明による化合物Aの合成のための中間体化合物として有用である。
【0116】
結晶化した化合物Aを含む薬学的組成物
別の態様において、結晶化した化合物Aと、少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む薬学的組成物が提供される。薬学的組成物は、結晶化した化合物A、少なくとも1つの糖、および少なくとも1つのセルロース誘導体賦形剤を含む。組成物は、それを必要とする対象、好ましくはヒトにおける癌の治療に特に有用である。
【0117】
本発明の薬学的組成物において、結晶化した化合物Aは、粉砕ステップを用いてまたは用いずに、上述の結晶化プロセスによって生成される結晶形態である。本明細書に提供される薬学的組成物の一実施形態において、薬学的組成物は、組成物の約5〜35重量%の結晶化した化合物Aを含む。さらなる実施形態において、薬学的組成物は、組成物の約5〜11重量%の結晶化した化合物Aを含む。別の好ましい実施形態において、薬学的組成物は、組成物の約6.25重量%の結晶化した化合物Aを含む。別の好ましい実施形態において、薬学的組成物は、組成物の約10重量%の結晶化した化合物Aを含む。
【0118】
別の実施形態において、薬学的組成物は、約15mgまたは45mgの結晶化した化合物Aを含む。
【0119】
薬学的組成物に使用するのに好適な糖は、限定されないが、ラクトース(例えば、噴霧乾燥したラクトース、ラクトース一水和物)、麦芽糖、フルクトース、ガラクトース、粉砂糖、圧縮糖、デキストレート、デキストリン、ブドウ糖、マンニトール、Nu−Tab、Di−Pac、Emdex、およびショ糖を含む。好ましい実施形態において、薬学的組成物に使用される等は、ラクトース、特にラクトース一水和物である。
【0120】
本明細書に提供される薬学的組成物の一実施形態において、薬学的組成物は、組成物の約30〜70重量%の少なくとも1つの糖を含む。さらなる実施形態において、薬学的組成物は、組成物の約50〜60重量%のラクトースを含む。さらなる実施形態において、薬学的組成物は、組成物の約50〜60重量%のラクトース一水和物を含む。好ましい実施形態において、薬学的組成物は、組成物の約55〜56重量%のラクトース一水和物を含む。
【0121】
好適なセルロース誘導体賦形剤は、限定されないが、微結晶性セルロース、微細セルロース、粉末セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。好ましい実施形態において、セルロースに基づく賦形剤は、微結晶性セルロースである。
【0122】
本明細書に提供される薬学的組成物の一実施形態において、薬学的組成物は、組成物の約20〜40重量%のセルロース誘導体賦形剤を含む。さらなる実施形態において、薬学的組成物は、組成物の約20〜40重量%の微結晶性セルロースを含む。さらなる実施形態において、薬学的組成物は、組成物の約30〜40重量%の微結晶性セルロースを含む。好ましい実施形態において、薬学的組成物は、組成物の約30〜36重量%の微結晶性セルロースを含む。
【0123】
薬学的組成物は、例えば、錠剤、カプセル、丸剤、散剤、徐放性製剤、滅菌溶液としての非経口注射剤用の懸濁剤、軟膏もしくはクリームとしての局所投与または坐剤としての直腸投与用の懸濁剤または乳剤等の、単位投薬形態での経口投与に好適な形態であり得る。薬学的組成物は、正確な投薬量の単体投与に適した単位投薬形態であってもよい。複数の投薬単位の投与によって必要とされる有効量に達し得るため、各投薬形態の個々の用量に含有される組み合せパートナーの単位内容量が、それ自体で有効量を構成する必要はないことを認識されたい。
【0124】
特定の量の活性化合物Aを含む種々の薬学的組成物を調製する方法は、当業者に既知であるかまたは明白であろう。例えば、
Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Ester, Pa., 15
th Edition(1975)を参照されたい。別途指示のない限り、本発明の製剤は、それ自体が既知である様式において、例えば、当業者に容易に明らかな種々の従来の混合、粉砕、直接圧縮、造粒、糖衣、溶解、凍結乾燥プロセス、または製造技術によって調製される。同様の種類の固形組成物はまた、軟カプセル剤および硬カプセル剤においても用いられ得る。好ましい実施形態において、本発明の薬学的組成物は、直接圧縮によって調製される。
【0125】
上述のように、薬学的組成物は、限定されないが、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、結合剤、安定剤、ならびに充填剤、希釈剤、着色剤、香味剤、および防腐剤を含む、さらなる賦形剤または担体を含むことができる。当業者は、日常的な実験によって、過度の負担なしに、投薬形態の特定の所望の特性に関連して前述した担体のうちの1つ以上を選択することができる。使用される各担体の量は、当該技術分野で常用されている範囲内で異なってもよい。参照により全てが本明細書に組み込まれる以下の参考文献は、経口投薬形態を製剤化するために使用される技術および賦形剤を開示する。The Handbook of Pharmaceutical Excipients, 4
th edition,Rowe et al.,Eds.,American Pharmaceuticals Association(2003);およびRemington:the Science and Practice of Pharmacy, 20
th edition, Gennaro, Ed.,Lippincott Williams & Wilkins (2003)を参照されたい。これらの任意選択的なさらなる従来の担体は、1つ以上の従来の担体を初期混合物に組み込むかまたは混合段階の間に加えることのいずれかによって、経口投薬形態に組み込まれてもよい。
【0126】
薬学的に許容される崩壊剤の例として、限定されないが、デンプン;粘土;セルロース;アルギン酸塩;ゴム;架橋ポリマー、例えば、架橋ポリビニルピロリドンまたはクロスポビドン、例えば、International Specialty Products(Wayne,NJ)のPOLYPLASDONE XL;架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはクロスカルメロースナトリウム(例えば、FMCのAC−DI−SOL);および架橋カルボキシメチルセルロースカルシウム;大豆多糖類;ならびにグアーガムが挙げられる。崩壊剤は、組成物の約0重量%〜10重量%の量で存在してもよい。一実施形態において、崩壊剤は、組成物の約0.1〜5重量%、または約1〜3重量%、または約1.5〜2.5重量%の量で存在する。
【0127】
一実施形態において、本発明の薬学的組成物は、崩壊剤クロスカルメロースナトリウムを含む。さらなる実施形態において、本発明の薬学的組成物は、組成物の約2重量%のクロスカルメロースナトリウムを含む。
【0128】
薬学的に許容される滑沢剤および薬学的に許容される流動促進剤の例として、限定されないが、コロイド状二酸化ケイ素/コロイド状無水シリカ(例えば、Aerosil 200(登録商標))、3ケイ酸マグネシウム、デンプン、タルク、第三リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ポリエチレングリコール、粉末セルロース、および微結晶性セルロースが挙げられる。滑沢剤は、組成物の約0重量%〜10重量%の量で存在してもよい。一実施形態において、滑沢剤は、組成物の約0.1〜1.5重量%、約0.1〜1重量%、または約0.5〜0.9重量%の量で存在してもよい。流動促進剤は、組成物の約0.1〜10重量%、約0.1〜5重量%、または約0.1〜1重量%の量で存在してもよい。
【0129】
一実施形態において、本発明の薬学的組成物は、流動促進剤であるコロイド状二酸化ケイ素/コロイド状無水シリカを含む。さらなる実施形態において、本発明の薬学的組成物は、(組成物の重量の)約0.25重量%のコロイド状二酸化ケイ素/コロイド状無水シリカを含む。
【0130】
別の実施形態において、本発明の薬学的組成物は、滑沢剤ステアリン酸マグネシウムを含む。さらなる実施形態において、本発明の薬学的組成物は、組成物の約0.75重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0131】
別の実施形態において、本発明の薬学的組成物は、コロイド状二酸化ケイ素/コロイド状無水シリカおよびステアリン酸マグネシウムを含む。さらなる実施形態において、本発明の薬学的組成物は、組成物の約0.25重量%のコロイド状二酸化ケイ素/コロイド状無水シリカと、組成物の約0.75重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0132】
薬学的に許容される結合剤の例として、限定されないが、デンプン;セルロースおよびその誘導体、例えば、微結晶性セルロース、例えば、FMC(Philadelphia,PA)のAVICEL PH、ヒドロキシプロピルセルロースヒドロキシエチルセルロースおよびDow Chemical Corpのヒドロキシプロピルメチルセルロース METHOCEL(Midland,MI);ショ糖;ブドウ糖;コーンシロップ;多糖類;およびゼラチンが挙げられる。結合剤は、組成物の約0〜50重量%、または約2〜20重量%の量で存在してもよい。
【0133】
薬学的に許容される希釈剤の例として、限定されないが、粉砂糖、圧縮糖、デキストレート、デキストリン、ブドウ糖、ラクトース、マンニトール、微結晶性セルロース、粉末セルロース、ソルビトール、ショ糖、およびタルクが挙げられる。希釈剤は、例えば、組成物の約0〜80重量%、または約0〜50重量%、または約1〜40重量%、または約1〜10重量%の量で存在してもよい。
【0134】
特定の実施形態において、薬学的組成物は、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、および二酸化ケイ素のうちの1つ以上をさらに含む。
【0135】
水性懸濁液またはエリキシル剤が、経口投与用に所望される場合、その中の活性化合物は、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、またはそれらの組み合わせ等の希釈剤とともに、種々の甘味もしくは香味剤、着色料もしくは色素、および所望に応じて、乳化剤もしくは懸濁剤と併用され得る。
【0136】
特定の実施形態において、薬学的組成物は、組成物の約5〜11重量%の結晶化した化合物A、組成物の約55〜56重量%のラクトース一水和物、および組成物の約30〜36重量%の微結晶性セルロースを含む。
【0137】
別の実施形態において、組成物は、組成物の約5〜11重量%の結晶化した6−(4−ブロモ−2−フルオロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシエチオキシ)−アミド、約55〜56重量%のラクトース一水和物、約30〜36重量%の微結晶性セルロース、組成物の約1.5〜2.5重量%のクロスカルメロースナトリウム、約0.5〜0.9重量%のステアリン酸マグネシウム、および約0.1〜1重量%パーセントのコロイド状二酸化ケイ素/コロイド状無水シリカを含む。
【0138】
別の実施形態において、組成物は、組成物の約5〜11重量%の結晶化した化合物A、組成物の約55〜56重量%のラクトース一水和物、組成物の約30〜36重量%の微結晶性セルロース、組成物の約2重量%のクロスカルメロースナトリウム、組成物の約0.75重量パーセントのステアリン酸マグネシウム、および組成物の約0.25重量パーセントのコロイド状二酸化ケイ素/コロイド状無水シリカを含む。
【0139】
薬学的組成物の別の実施形態において、薬学的組成物は、錠剤形態である。さらに別の実施形態において、錠剤は、コーティングされた錠剤である。
【0140】
一態様において、本発明の薬学的組成物は、少なくとも1つのさらなる治療剤をさらに含む。さらなる治療剤の例として、限定されないが、化学療法剤または抗腫瘍剤、例えば、分裂抑制因子、アルキル化剤、代謝拮抗剤、挿入型抗生物質、成長因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生体応答調節剤、抗ホルモン剤、血管形成阻害剤、および抗アンドロゲン剤が挙げられる。
【0141】
一実施形態において、さらなる治療剤は、パクリタキセルまたはエベロリムスからなる群から選択される。
【0142】
結晶化した化合物Aおよびさらなる薬剤は、同じかまたは異なる単位投薬形態において投与されてもよいことを理解されたい。さらに、そのような組み合わせパートナーは、同時に、別々に、または連続的に投与されてもよい。
【0143】
結晶化した化合物Aを用いて増殖性疾患を治療する方法
一態様において、本発明は、有効量の結晶化した6−(4−ブロモ−2−フルオロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシエチオキシ)−アミド(「化合物A」)を対象に投与することを含む、対象における増殖性疾患、特に癌を治療する方法を提供する。結晶化した化合物Aは、上述の結晶化プロセスによって生成される結晶形態にあることを理解されたい。
【0144】
さらなる態様において、本発明は、結晶化した6−(4−ブロモ−2−フルオロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシエチオキシ)−アミド(「化合物A」)、少なくとも1つの糖、および少なくとも1つのセルロース誘導体賦形剤を含む有効量の薬学的組成物を対象に投与することを含む、対象における増殖性疾患、特に癌を治療する方法を提供する。結晶化した化合物Aは、上述の結晶化プロセスによって生成される結晶形態にあることを理解されたい。
【0145】
本発明は、参照により本明細書に組み込まれる前述の各実施形態に提供されるような結晶化した化合物を含む有効量の薬学的組成物を対象に投与することによって、対象における増殖性疾患、特に癌を治療する方法を含むことをさらに理解されたい。
【0146】
本発明の治療方法によれば、結晶化した化合物Aは、それを必要とする対象に治療有効量で投与される。
【0147】
結晶化した化合物Aは、1日体重1kg当たり約0.001〜約100mgの範囲の有効投薬量を単回または分割用量で、好ましくは約1〜約35mg/kg/日の単回または分割用量で、適切な対象に投与されてもよい。70kgのヒトの場合、これは全部で0.05〜7g/日、好ましくは約0.05〜約2.5g/日になる。
【0148】
結晶化した化合物Aおよび/または本発明の薬学的組成物は、癌性または非癌性の増殖性疾患の治療に使用されてもよい。癌の治療が明示的に好ましい。
【0149】
本明細書に提供される薬学的組成物を用いて治療することができる「癌」は、限定されないが、固形腫瘍または液体腫瘍を含む細胞増殖性疾患の状態を指す。本発明による治療に好適な癌の例として、限定されないが、肺癌、骨癌、CMML、膵癌、皮膚癌、頭頸部癌、黒色腫、子宮内癌、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、肛門癌、胃癌、乳癌、精巣癌、婦人科腫瘍(例えば、子宮肉腫、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、または外陰癌)、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌(例えば、甲状腺、副甲状腺、または副腎癌)、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、慢性または急性白血病、小児固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎癌または尿管癌(例えば、腎細胞癌)、腎盂癌、胆道癌、脳癌、膀胱癌、扁平上皮、腹膜癌、中枢神経系の新生物(例えば、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、または下垂体腺腫)が挙げられる。一実施形態において、癌は固形腫瘍である。特定の実施形態において、固形腫瘍は、転移性または切除不能である。
【0150】
一実施形態において、癌は、脳癌、肺癌、扁平上皮癌、膀胱癌、胃癌、膵癌、乳癌、頭部癌、頸部癌、腎癌、腎臓癌、卵巣癌、前立腺癌、結腸癌、直腸癌、食道癌、精巣癌、婦人科腫瘍、または甲状腺癌等の癌である。
【0151】
一実施形態において、癌は、肺癌、扁平上皮癌、膵癌、乳癌、頭部癌、頸部癌、結腸癌、直腸癌、または黒色腫である。
【0152】
特定の実施形態において、本明細書に提供される結晶化した化合物Aまたは薬学的組成物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における黒色腫、膵癌、卵巣癌、卵管癌、腹膜癌、胆道癌、結腸癌、または直腸癌を治療する方法が提供される。
【0153】
別の実施形態において、増殖性疾患は、皮膚の良性過形成(例えば、乾癬)、再狭窄、前立腺(例えば、良性前立腺肥大(BPH))、またはヌーナン症候群などの非癌性増殖性疾患である。さらなる治療剤の例として、限定されないが、化学療法剤または抗腫瘍剤、例えば、分裂抑制因子、アルキル化剤、代謝拮抗剤、挿入型抗生物質、成長因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生体応答調節剤、抗ホルモン剤、血管形成阻害剤、および抗アンドロゲン剤が挙げられる。
【0154】
一実施形態において、さらなる治療剤は、パクリタキセルまたはエベロリムスからなる群から選択される。
【0155】
結晶化した化合物Aおよびさらなる薬剤は、同じかまたは異なる単位投薬形態において投与されてもよいことを理解されたい。さらに、そのような組み合わせパートナーは、同時に、別々に、または連続的に投与されてもよい。
【0156】
一態様において、本発明は、増殖性疾患、特に癌の治療に適した薬物の調製のための結晶化した化合物Aの使用を提供する。結晶化した化合物Aは、上述の結晶化プロセスによって生成される結晶形態にあることを理解されたい。一実施形態において、増殖性疾患は固形腫瘍である。さらなる実施形態において、増殖性疾患は、前述のような癌である。
【0157】
別の態様において、本発明は、増殖性疾患、特に癌の治療に適した薬物の調製のための本発明の薬学的組成物の使用を提供する。一実施形態において、増殖性疾患は固形腫瘍である。さらなる実施形態において、増殖性疾患は、前述のような癌である。
【0158】
各態様の特定の実施形態において、増殖性疾患は、黒色腫、膵癌、卵巣癌、卵管癌、腹膜癌、胆道癌、結腸癌、または直腸癌から選択される。
【0159】
一態様において、本発明は、増殖性疾患、特に癌の治療において使用するための結晶化した化合物Aを提供する。結晶化した化合物Aは、上述の結晶化プロセスによって生成される結晶形態にあることを理解されたい。一実施形態において、増殖性疾患は固形腫瘍である。さらなる実施形態において、増殖性疾患は、前述のような癌である。
【0160】
別の態様において、本発明は、前述のような増殖性疾患、特に癌の治療に使用するために参照により本明細書に組み込まれる、本発明の薬学的組成物を提供する。一実施形態において、増殖性疾患は固形腫瘍である。さらなる実施形態において、増殖性疾患は、前述したような癌である。
【0161】
各態様の特定の実施形態において、増殖性疾患は、黒色腫、膵癌、卵巣癌、卵管癌、腹膜癌、胆道癌、結腸癌、または直腸癌から選択される。
【0162】
本発明は、以下の実施例によってさらに例示されるが、これらは、本発明を、範囲および主旨において、それらに記載される特定の手順に限定するものと解釈されるべきではない。
【0163】
出発材料および種々の中間体は、市販の供給源から得られてもよいか、市販の有機化合物から調製されてもよいか、または周知の合成方法を用いて調製されてもよい。
【0164】
本発明の方法および製剤の代表的な例を、以下に記載する。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を限定することは全く意図しない。
【実施例】
【0165】
略語
以下の略語が、文章中に使用される。
【表1A】
【0166】
実施例1.6−(4−ブロモ−2−フルオロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸メチルエステルの調製
【化35】
内部温度20℃の、湿度および空気を排除した、不活性化された(N
2)反応容器内で、内部温度99℃のトルエンおよび1,4−ジオキサンの混合物中、炭酸セシウム(2.4当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.035当量)、およびキサントホス(0.07当量)の存在下で化合物1(1.0当量)および化合物2(1.2当量)を反応させる。8時間後、混合物を60℃の内部温度まで冷却する。
【0167】
続いて、ジメチルホルムアミド(DMF)、濾過助剤(CEFOK)、および活性炭(EKNS)を加え、混合物を撹拌し、35℃の内部温度まで冷却する。固体を濾過し、ジメチルホルムアミドおよびトルエンの混合物で洗浄する。生成物化合物3を含有する濾液に、25℃の内部温度で塩化水素ガス(CLC)を導入すると、化合物3のHCl塩が結晶化する。主としてパラジウム残渣が溶液中に残る。60℃まで加温してから0℃に冷却した後、遠心分離を用いて固体を濾過し、トルエンおよびジメチルホルムアミドの混合物で洗浄する。
【0168】
湿った化合物3のHCl塩を、ジメチルホルムアミドとともに反応器(pHプローブを装備)に負荷し、60℃まで加熱する。4wt%のリン酸三カリウム水溶液を加えることにより、pHを(pH7.2を標的として)6.8〜7.6のpH範囲に調整し、その間に化合物3が遊離塩基として結晶化する。22℃まで冷却して撹拌した後、遠心分離を用いて固体を濾過し、飲料水を用いて洗浄する。湿った固体を真空下50℃で乾燥させ、乾燥した粗化合物3を得る。
【0169】
残留するパラジウムを除去するために、乾燥した粗化合物3を60℃の内部温度でジメチルホルムアミドに溶解し、Smopex−234(Johnson Mattheyから市販される)および活性炭と一緒に90分撹拌する。60℃の内部温度で固体を濾過し、ジメチルホルムアミドで洗浄する。濾液に、飲料水および化合物3の種結晶を加える。化合物3が結晶化する間にさらに多くの飲料水を加える。20℃の内部温度まで冷却した後、遠心分離を用いて固体を濾過し、脱イオン水とジメチルホルムアミドの混合物、および脱イオン水を用いて洗浄する。湿った固体を真空下50℃で乾燥させ、6−(4−ブロモ−2−フルオロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸メチルエステル(化合物3)を提供する。
【0170】
実施例2.6−(4−ブロモ−2−フルオロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸−(2−tert−ブトキシエトキシ)−アミドの調製
A.「ワンポット」合成
【化36】
窒素下にある内部温度20〜25℃の不活性化された反応容器内で、6−(4−ブロモ−2−フルオロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸メチルエステル(化合物3、1.0当量)をDMFおよびTHFの混合物に加える。このスラリーに、THF中のカリウムトリメチルシラノラート(1.05当量)の溶液を約40分の期間にわたって25℃の内部温度で混合物に加え、得られた混合物を約1時間撹拌し、中間体1のカリウム塩溶液を提供する。次いで、THF/メタノール混合物を、約2時間の間に85〜120℃で混合物から連続的に蒸留する。
【0171】
次いで、THF中のCDI(1.25当量)およびイミダゾール塩酸塩(1.40当量)の懸濁液に、約1時間の期間にわたって25℃の内部温度でカリウム塩溶液を加える。次いで、得られた混合物を約1時間50℃で撹拌すると、以下のイミダゾリド中間体が形成される:
【化37】
イミダゾリド中間体は、さらに単離されない。
【0172】
続いて、1.2当量のO−(2−ブトキシエチル)ヒドロキシルアミン(化合物4、CAS番号1023742−13−3、Huhu Technology, Inc.(登録商標)等の供給業者から入手可能)を約30分の期間にわたって50℃で加え、1.5時間攪拌する。次いで、脱塩水を50℃で加え、沈殿物を生成する。20℃まで冷却して約3〜16時間撹拌した後、スラリーを濾過し、2回に分けたTHF/脱塩水(1:2)および3回に分けた脱塩水で洗浄し、50℃/<70mbarで約17時間時間乾燥させ、6−(4−ブロモ−2−フルオロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸−(2−tert−ブトキシエトキシ)−アミド(化合物5)を一水和物として提供する。
【0173】
B.ステップb)の反応前にステップa)の反応混合物からのステップa)の中間体の単離を伴う合成方法
代替として、6−(4−ブロモ−2−フルオロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸−(2−tert−ブトキシエトキシ)−アミド(化合物5)は、以下に示す合成方法によって作製されてもよい。メチルエステルである化合物3を、最初にカルボン酸に変換し、次いで結晶化により単離して化合物6を形成する。次いで、化合物6を化合物4とカップリングさせ、化合物5を一水和物として形成する。この方法の結晶化ステップは、化合物1、工程不純物、およびdbaリガンド等の出発材料を、化合物4とのカップリング反応の前に従来の触媒から除去し、それと同時に合成の全体的な収率を維持する。
【化38】
【0174】
6−(4−ブロモ−2−フルオロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸
60℃の内部温度の不活性化された(N
2)反応容器内で、化合物3(1.0当量)をDMFに溶解し、SMOPEX 234の商標名で販売されるファイバーおよび活性炭とともに撹拌し、100ppm以下までパラジウムを除去する。ファイバーおよび活性炭を60℃で濾過することにより除去し、DMFで洗浄する。
【0175】
濾液(化合物3を含有する)を第2の不活性化された(N
2)反応容器に移し、30℃の内部温度まで冷却する。この時点で、薄い懸濁液が形成し得る。30%水酸化ナトリウム(1.1当量)および水(すすぎ用)を加え、得られた反応混合物を30℃の内部温度で3時間激しく撹拌する。メチルエステルがけん化される。IPC(HPLC)により変換を確認する。IPC基準が満たされ次第すぐに、HYFLOの商標名で販売される濾過助剤を加える。混合物を15分撹拌し、次いで、プレートフィルターおよびポリッシュフィルターを介して、30℃で第3の反応不活性化(N
2)容器に濾過する。
【0176】
8のpH値に達するまで、30℃の内部温度の第3の容器内で透明な濾液に7.5%HCl水溶液を加える。次いで、溶液に化合物6を30℃の内部温度で播種し、pH2.8のpH値に達するまで、激しく撹拌しながら7.5%HCl水溶液を加える。生成物が、徐々に結晶化する。60分かけて25℃の内部温度まで懸濁液を冷却し、水を加える。懸濁液を25℃の内部温度で少なくとも4時間撹拌する。
【0177】
得られた固体を、遠心分離または濾過によって回収する。濾過ケーキを最初にDMF/水1:1(w/w)、次いで水で洗浄し、排出して50℃の真空で乾燥させる。IPCによって含水量を制御する。IPC基準が満たされ次第すぐに、結晶性生成物である化合物6を排出する。
【0178】
6−(4−ブロモ−2−フルオロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸−(2−tert−ブトキシエトキシ)−アミド
不活性化された(N
2)反応容器に、化合物6(1.0当量)、DMF、およびTHFを室温で負荷する。窒素流とともに撹拌しながら25℃で懸濁液を加熱する。CDI(1.13当量)を加えた後、懸濁液は薄くなる場合があり、若干のガスの発生が観察される可能性がある。懸濁液が最終的に溶液になった後、次いでIPC(HPLC)によって監視する。
【0179】
IPC(HPLC)基準が満たされ次第すぐに、20分かけて50℃まで反応混合物を加熱し、イミダゾール塩酸塩(0.3当量)を加え、中間体2の溶液を形成する。
【0180】
中間体2の溶液に、窒素流とともに300rpmの速度で撹拌しながら、50℃の内部温度で60分間かけて化合物4(1.3当量)を加える。IPC(HPLC)基準が満たされ次第すぐに、30分かけて20〜25℃まで混合物を冷却する。次いで、混合物を撹拌せずに周囲温度で一晩窒素下に保存する。DMFを混合物に加えてから、30分かけてそれを50℃まで加熱する。中間体2から化合物5への完全変換をIPC(HPLC)により確認する。
【0181】
50℃の内部温度で20分かけて混合物に水を加える。次いで、溶液に化合物5を播種する。50℃で60分間撹拌した後、90分かけて50℃の懸濁液にさらに多くの水を加える。激しく撹拌した後、2時間かけて20℃まで懸濁液を冷却し、濾過する。濾過ケーキを20℃のTHF/水(v/v:1:2)で2回、および20℃の水で2回洗浄する。最後に、真空下50℃で濾過ケーキを乾燥させ、6−(4−ブロモ−2−フルオロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸−(2−tert−ブトキシエトキシ)−アミド(化合物5)を一水和物として提供する。
【0182】
実施例3. 6−(4−ブロモ−2−フルオロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシエチオキシ)−アミド(化合物A)の調製
【化39】
6−(4−ブロモ−2−フルオロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸−(2−tert−ブトキシエトキシ)−アミド(化合物5)一水和物を、内部温度20〜25℃のアセトニトリルおよび過剰なリン酸の予め混合した溶液(85%水溶液)に3回に分けて加える。約15分撹拌した後、懸濁液を内部温度50〜53℃まで加熱する。この温度で懸濁液を6時間維持し、内部温度20〜25℃まで冷却する。次いで、混合物を内部温度35〜37℃まで加熱し、エタノール−水(3:1v/v)で希釈する。EKNSおよびCEFOKを加え、反応混合物を約15分撹拌し、CEFOKでコーティングした漏斗上で濾過する。濾液を約30℃まで冷却する。3Nの水酸化カリウム(KOH)水溶液を、約8.1のpH値に達するまで90分の期間にわたって冷却した濾液に加える。懸濁液を内部温度60〜63℃まで加熱し、この温度で約2時間の期間撹拌し、約45分の期間にわたって20〜23℃まで冷却し、漏斗上で濾過し、50℃、圧力100mbar未満で約17時間の期間にわたって乾燥し、6−(4−ブロモ−2−フルオロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシエチオキシ)−アミド(化合物A)を白色粉末として提供する。
【0183】
実施例4. 結晶化した6−(4−ブロモ−2−フルオロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシエチオキシ)−アミド(化合物A)の調製
室温の乾燥した容器内で、メタノール/THF/水(35/35/30w/w)の予め混合した溶媒溶液に化合物Aを加える。懸濁液を内部温度53〜55℃まで撹拌し、得られた水溶液を(紙フィルターおよびPTFE膜を介した)深層濾過および膜濾過により内部温度53〜56℃で熱濾過する。透明な溶液を撹拌し、47〜48℃まで冷却し、種結晶懸濁液(すなわち、水中の結晶化した化合物Aの種結晶、10%m/m)を加える(結晶化した化合物Aの予想される収量の0.2〜0.5%)。約20分後、水を25時間以内に徐々に加え(15時間以内に33.3%、10時間以内に66.6%、水を加えた後は少なくとも10分撹拌する)、最終比率のメタノール/THF/水(20/20/60w/w)を得る。水を加えた後、10時間以内に懸濁液を内部温度3〜5℃まで冷却し、0.5時間撹拌する。白色懸濁液を焼結ガラス製ヌッチェ(75ml、直径=6cm、細孔3)吸込フィルター上で濾過し、氷冷メタノール/THF/水(2〜4℃の15/15/70w/w)で1回洗浄し、氷冷水(2〜4℃)で2回洗浄する。乾燥は、真空オーブン乾燥機内にて10mbar未満の圧力で、20℃で10時間、次いで40℃で10時間、次いで60℃で少なくとも12時間行い、結晶化した化合物Aを提供する。
【0184】
実施例5. 薬学的組成物
結晶化した化合物Aを表1に示すように製剤化する。
【表1】
【0185】
錠剤コア成分を混合すると、薬学的組成物は、直接圧縮により錠剤形態に変換される。形成された錠剤は、上で提供された錠剤コーティングでさらにコーティングしてもよい。