(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、添付の図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。
【0010】
なお、添付の全図面の中の記載で、同一又は対応する部材又は部品には、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は、特に指定しない限り、部材もしくは部品間の相対比を示すことを目的としない。従って、具体的な寸法は、以下の限定的でない実施形態に照らし、当業者により決定することができる。
【0011】
また、以下で説明する実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述される全ての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0012】
図1は、本発明のある実施形態である建設機械を示している。本実施形態では、建設機械の一例として油圧ショベルを例に挙げて説明する。しかしながら、本発明は昇降設備を有するものであれば、他の建設機械についても適用が可能なものである。
【0013】
建設機械は、下部走行体1の上部に上部旋回体2が旋回可能に装架され、上部旋回体2の前方一側部にキャブ3が設けられている。また、上部旋回体2の前方中央部にブーム4が俯仰可能に枢着され、このブーム4の先端部にはアーム5が上下回動可能に連結されている。更に、アーム5の先端部には、バケット6が上下回動可能に取り付けられている。
【0014】
図2は、上部旋回体2を概略的に示す平面図である。
【0015】
図2に示すように、上部旋回体2にはエンジンルーム7が形成され、このエンジンルーム7内にはディーゼルエンジン8が設置されている。また、ディーゼルエンジン8の前方側には冷却ファン12が設けられると共に、この冷却ファン12の前方にはラジエータ等を含む熱交換機ユニット13が設置されている。
【0016】
更に、ディーゼルエンジン8には排気管9が接続され、この排気管9の下流側には、高次の排気ガス規制に対応すべく、エンジン排気ガス中の窒素酸化物(以下、NOxという。)を浄化する排気ガス処理装置10が設置されている。
【0017】
排気ガス処理装置10としては、液体還元剤として尿素水を用いた尿素選択還元型のNOx処理装置が採択されている。この排気ガス処理装置10は、排気管9に備えられた還元触媒(図示せず)の上流側に液体還元剤(例えば尿素水)を噴射して排気ガス中のNOxを還元し、この還元反応を還元触媒により促進してNOxを無害化する。
【0018】
従って、この種の排気ガス処理装置10を備えた建設機械には、尿素水を蓄えるための液体還元剤用タンク20(以下、尿素水タンクという)が備えられる。この尿素水タンク20は、上部旋回体2のブーム4を挟んでキャブ3の反対側に配設されている。
【0019】
また、尿素水タンク20の前方(ブーム4の延出方向側、図中矢印X1で示す方向)には工具箱21が配設されており、また尿素水タンク20の後方(矢印X2で示す方向)には燃料タンク19が配設されている。
【0020】
図3は排気ガス処理装置10の構成例を示す概略図である。本実施形態では、排気ガス処理装置10はディーゼルエンジン8から排出される排気ガスを浄化する。ディーゼルエンジン8は、エンジンコントロールモジュール(以下、「ECM」とする。)60により制御される。
【0021】
ディーゼルエンジン8からの排気ガスは、ターボチャージャ61を経た後にその下流の排気管9に至り、排気ガス処理装置10により浄化処理が行われた後、大気中に排出される。
【0022】
一方、エアクリーナ63を通じて吸気管64内に導入された吸入空気は、ターボチャージャ61及びインタークーラ65等を通過してディーゼルエンジン8に供給される。
【0023】
排気管9には、排気ガス中の粒子状物質を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ66と、排気ガス中のNOxを還元除去する選択還元触媒67とが直列に設けられている。
【0024】
選択還元触媒67は、液体還元剤の供給を受けて排気ガス中のNOxを連続的に還元除去する。本実施形態では取扱いの容易さから液体還元剤として尿素水(尿素水溶液)が用いられる。
【0025】
排気管9における選択還元触媒67の上流側には、選択還元触媒67に尿素水を供給するための尿素水噴射弁68が設けられている。尿素水噴射弁68は、尿素水供給ライン69を介して尿素水タンク20(液体還元剤用タンク)に接続されている。
【0026】
また、尿素水供給ライン69には尿素水供給ポンプ70が設けられ、尿素水タンク20と尿素水供給ポンプ70との間にはフィルタ71が設けられている。尿素水タンク20内に貯留された尿素水は、尿素水供給ポンプ70により尿素水噴射弁68に供給され、尿素水噴射弁68から排気管9における選択還元触媒67の上流位置に噴射される。
【0027】
尿素水噴射弁68から噴射された尿素水は、選択還元触媒67に供給される。供給された尿素水は、選択還元触媒67内において加水分解されてアンモニアを生成する。このアンモニアが選択還元触媒67内で排気ガスに含まれるNOxを還元し、これにより排気ガスの浄化が行われる。
【0028】
第1のNOxセンサ72は、尿素水噴射弁68の上流側に配設されている。また、第2のNOxセンサ73は、選択還元触媒67の下流側に配設されている。NOxセンサ72、73は、各々の配設位置における排気ガス内のNOx濃度を検出する。
【0029】
尿素水タンク20には尿素水残量センサ74が配設されている。この尿素水残量センサ74は、尿素水タンク20内の尿素水残量を検出する。
【0030】
上記したNOxセンサ72、73、尿素水残量センサ74、尿素水噴射弁68、及び尿素水供給ポンプ70は、排気ガスコントローラ75に接続されている。排気ガスコントローラ75は、NOxセンサ72、73で検出されるNOx濃度に基づき、尿素水噴射弁68及び尿素水供給ポンプ70により適正量の尿素水が噴射されるよう噴射量制御を行う。
【0031】
また、排気ガスコントローラ75は、尿素水残量センサ74から出力される尿素水残量に基づき、尿素水タンク20の全容積に対する尿素水残量の割合を算出する。本実施形態では、尿素水タンク20の全容積に対する尿素水残量の割合を尿素水残量比とする。例えば、尿素水残量比50%は、尿素水タンク20の容量の半分の尿素水が尿素水タンク20内に残存していることを示す。
【0032】
排気ガスコントローラ75は、通信手段によりディーゼルエンジン8の制御を行うECM60と接続されている。また、ECM60は通信手段によりショベルコントローラ76に接続されている。
【0033】
排気ガスコントローラ75が有している排気ガス処理装置10の各種情報は、ショベルコントローラ76が共有し得る構成となっている。なお、ECM60、排気ガスコントローラ75、ショベルコントローラ76はそれぞれCPU、RAM、ROM、入出力ポート、記憶装置等を含む。
【0034】
また、ショベルコントローラ76にはモニター77(表示装置)が接続されている。モニター77には、警告、運転条件表示等が表示される。
【0035】
また、排気ガス処理装置10は、尿素水タンク20及び尿素水供給ライン69の凍結を防止する凍結防止機構を有する。本実施例では、凍結防止機構は、配管80を通過するディーゼルエンジン8のエンジン冷却水を利用する。具体的には、ディーゼルエンジン8を冷却した直後のエンジン冷却水は比較的高い温度を維持しながら配管80の第1部分80aを通って第2部分80bに至る。第2部分80bは尿素水タンク20の外面に接する配管80の一部である。エンジン冷却水は第2部分80bを流れるときに尿素水タンク20及びその内部にある尿素水に熱を供給する。その後、エンジン冷却水は、尿素水供給ライン69に沿うように設置される配管80の第3部分80cを流れるときに尿素水供給ライン69及びその内部にある尿素水に熱を供給する。その後、熱の供給を終えて比較的低い温度となったエンジン冷却水は配管80の第4部分80dを通って熱交換機ユニット13(
図2参照。)に至る。このようにして、凍結防止機構は、エンジン冷却水を利用して尿素水タンク20及び尿素水供給ライン69に熱を供給し、尿素水タンク20及び尿素水供給ライン69の凍結を防止する。
【0036】
ところで、建設機械においてはメンテナンス等のために作業者が上部旋回体2のハウスカバー2a(
図1参照。)上に乗る場合がある。このため上部旋回体2には、作業者がハウスカバー2a上に乗るための昇降設備30(
図2参照。)が設けられている。
【0037】
図4〜
図6は昇降設備30の設置位置近傍を部分的に拡大して示す斜視図であり、
図7は昇降設備30を構成する第1昇降部30Aの斜視図である。
【0038】
図4及び
図5に示すように、上部旋回体2の旋回フレーム14の前方には左右一対のブーム取り付け用の支持ブラケット17L、17Rが立設されている。ブーム4を軸承するブームフートピン(図示せず)は、この支持ブラケット17L、17Rに形成された穴172L、172Rに抜き差しされる。また支持ブラケット17Lの側部には、燃料タンク19、尿素水タンク20、工具箱21、及び昇降設備30等が配置される。
【0039】
なお、上部旋回体2の昇降設備30が配設された位置の外側には、作業者が昇降設備30を昇降する際に把持する手摺24が設けられている。
【0040】
燃料タンク19はディーゼルエンジン8の燃料が貯留されるタンクであり、旋回フレーム14に強固に固定されている。上部旋回体2は小型化、高密度化が望まれており、燃料タンク19の設置スペースには限りがある。しかしながら、後述するように尿素水タンク20を併設する必要もある。このため本実施形態の建設機械では、燃料タンク19の高さを高くすることにより、燃料タンク19の容量を確保している。
【0041】
図5に示すように、燃料タンク19の前方位置には、尿素水が貯留される尿素水タンク20が近接配置されている。尿素水タンク20の上部前方位置には、尿素水を給水するための給液口22が設けられている。この給液口22には、キャップ22aが装着されている。
【0042】
また、
図6に示すように、燃料タンク19の側方位置には尿素水供給ライン69と凍結防止機構を構成する配管80の第1部分80a及び第3部分80cとが設けられる。尿素水供給ライン69と配管80の第3部分80cとは互いに沿うようにして延び、複合配管82を構成する。また、尿素水供給ライン69及び配管80は何れも複数の配管部分を連結することで構成され、複合配管82における連続する2つの配管部分は断熱材付きジョイント部83によって連結される。
【0043】
尿素水タンク20は樹脂製の容器であり内部に尿素水が貯留される。また、
図3で示すように、尿素水タンク20は尿素水供給ライン69及び尿素水噴射弁68等を介して排気管9に接続される。そして、尿素水タンク20内の尿素水は尿素水供給ライン69を介して尿素水噴射弁68から排気管9内に噴射される。
【0044】
図5に示すように、尿素水タンク20は横断面が略矩形状で全体として略箱形状のタンク本体20aを有する。タンク本体20aの前方上部には傾斜面20bが形成されている。傾斜面20bは上方に向かうにつれて後方側に倒れるよう傾斜している。また、タンク本体20aの上方には上面20cが形成されている。
【0045】
また傾斜面20bには給液口22が設けられている。給液口22にはフィラー90が着脱可能に取り付けられる。尿素水は補給時にフィラー90を介して給液口22からタンク本体20a内に補給される。
【0046】
また、傾斜面20bにはレベルゲージ91が設けられている。レベルゲージ91は、タンク本体20a内の尿素水のレベル(液面高さ)を表示する。作業者は、尿素水の補給時にレベルゲージ91を見ながら尿素水の補給を行う。そのため、作業者は尿素水の溢れ出しを防止できる。
【0047】
更に、傾斜面20bの右方の側部には凹部20d(
図6参照。)が形成されている。この凹部20dは尿素水タンク20をタンク補強部材92に対して着脱する際の把持部(持ち手)として機能する。
【0048】
また、尿素水タンク20の底部には、ドレインプラグ(図示せず。)が設けられている。このドレインプラグは尿素水タンク20内に残留する尿素水を排水する際に取り外される。
【0049】
フィラー90は、フィラーブラケット93を用いて尿素水タンク20に取り付けられる。フィラーブラケット93は板状部材であり金属或いは他の材料(例えば樹脂等)により形成されている。フィラーブラケット93はボルト等の締結部材により尿素水タンク20に固定される。このようにしてフィラー90も尿素水タンク20に取り付けられる。
【0050】
尿素水の補充はフィラー90が尿素水タンク20に装着された状態で行われる。尿素水を補充するには、キャップ22aをフィラー90から取り外し、フィラー90の外側端部から尿素水を注入する。これにより、尿素水は尿素水タンク20に補充される。
【0051】
上記構成とされた樹脂製の尿素水タンク20はタンク収納容器15に収納される。このタンク収納容器15はタンク補強部材92及びタンクブラケット94を有する。
【0052】
タンク補強部材92は、例えば鉄等の金属材或いは他の材料(尿素水タンク20の材料よりも強度が高い材料)により形成されている。また、タンク補強部材92はタンク搭載用板95(
図6参照。)の上に配置される。
【0053】
タンクブラケット94はタンク補強部材92に装着された尿素水タンク20の上部に取り付けられる。本実施形態では、タンクブラケット94はタンク補強部材92にボルトを用いて固定される。このようにタンクブラケット94がタンク補強部材92に固定された状態で、尿素水タンク20はタンク収納容器15内に収納された状態となる。
【0054】
また、タンクブラケット94は、水平方向に延在する上面94aと、尿素水タンク20の傾斜面20bに沿った傾斜面94bとを備えている。傾斜面94bは、尿素水タンク20をタンク収納容器15内に収納した状態で尿素水タンク20の傾斜面20bを上方から押えることにより尿素水タンク20を保持する。
【0055】
よって、尿素水タンク20はボルト等を用いてタンク補強部材92に固定されなくても、タンクブラケット94によりタンク補強部材92内に収納された状態に保持される。これにより尿素水タンク20はタンク収納容器15(タンク補強部材92、タンクブラケット94)により確実に保持され且つ補強される。
【0056】
また、タンクブラケット94の傾斜面94bはレベルゲージ91に対応する部分に開口を有する。レベルゲージ91を露出させるためである。
【0057】
工具箱21は、例えばメンテナンス時に必要とする工具類等が収納される。この工具箱21は、旋回フレーム14に形成された収納部23と、昇降設備30(
図6参照。)とにより構成される。
【0058】
昇降設備30は、第1昇降部30Aと第2昇降部30Bとを有している。第2昇降部30Bは、昇降設備30の最下段に位置している。この第2昇降部30Bは金属製であり、旋回フレーム14に固定されている。また第2昇降部30Bは、旋回フレーム14の前端部から前方(X1方向)に突出した構成となっている。
【0059】
第1昇降部30Aは、作業者が昇降するステップとして機能すると共に、尿素水タンク20の上部を覆うカバー、及び工具箱21の一部としても機能する。また、第1昇降部30Aは、後述するように旋回フレーム14及び燃料タンク19等に固定される。
【0060】
ところで、本実施形態における燃料タンク19は、容量を確保するために燃料タンク19の高さが高く設定されている。よって燃料タンク19の高さは、従来に比べて例えば100mm〜200mm程度高くなっている。
【0061】
このため、作業者のアクセス性(昇降性)を向上させるためには、昇降設備30に従来に比べて多くの踏板部を設ける必要がある。本実施形態に係る昇降設備30は、第1昇降部30Aに2段の踏板部44、45を設け、第2昇降部30Bを含めて合計で3段の踏板部を設けた構成とする。これにより作業者のアクセス性(昇降性)を向上させている。なお、第1昇降部30Aに設ける踏板部の配設数は、特に2段に限定されるものではない。
【0062】
第1昇降部30Aは、
図7に拡大して示すように、下部ステップ31Aと上部ステップ31Bを組み合わせた構成とされている。下部ステップ31Aは、外側板部40Aと内側板部41との間に下踏板部44及び下蹴込板部48を設けた構成とされている。また上部ステップ31Bは、外側板部40Bと内側板部42との間に上踏板部45、中蹴込板部49、及び上蹴込板部50を設けた構成とされている。各踏板部44、45は略水平に延在するよう設けられており、また、各蹴込板部48、50は、踏板部44、45に対して略垂直に延在するよう設けられている。また、蹴込板部49は、踏板部45に下ろした法線に対して15°から25°の範囲でX1方向に傾斜して延在するよう設けられている。
【0063】
下蹴込板部48は、下踏板部44の下部に配設されている。この下蹴込板部48及び前記した収納部23、外側板部40A、内側板部41、及び下踏板部44は、第1昇降部30Aを旋回フレーム14及び燃料タンク19に固定した状態において内部に空間部を形成する。この空間部は工具箱21として機能する。
【0064】
また下蹴込板部48は、外側板部40A及び内側板部41に固定されている。また、下踏板部44は外側板部40A、内側板部41、及び下蹴込板部48に対して開閉可能な構成とされている。よって、下踏板部44を開くことにより、工具箱21に対して工具等を出し入れすることができる。
【0065】
中蹴込板部49は、下踏板部44と上踏板部45との間に配設されている。中蹴込板部49は、外側板部40B、内側板部42、及び上踏板部45に対して開閉可能なドアとして構成されている。なお、本実施形態ではドアは横開きとなるように構成される。
【0066】
中蹴込板部49は、前記した尿素水タンク20の給液口22と対向する位置に配設されている。よって尿素水タンク20の給液口22は、中蹴込板部49を開くことにより外部に露出した状態となる。なお、本実施形態では、中蹴込板部49を開くことによりレベルゲージ91も外部に露出した状態となる。従って尿素水の給液時においては、作業者は、中蹴込板部49を開くことにより、第1昇降部30Aを上部旋回体2に固定した状態のままで尿素水タンク20に対して尿素水の給液を行うことができる。なお、ドアとして機能する中蹴込板部49は解錠器49Kを用いて施錠・解錠可能である。尿素水タンク20の給液口22への無断のアクセスを防止するためである。また、給液口22のキャップ22aが施錠可能であってもよい。
【0067】
上踏板部45
には、第2の滑り止め37(
図4参照。)を構成する凹部39(これについては後述する)、複数の貫通孔46、及びボルト孔51が形成されている。また上蹴込板部50は、上踏板部45の上部に一体的に形成されている。更に、上踏板部45及び上蹴込板部50の内側位置には、上踏板部45の表面から上方に突出する突出部としてのカバー部47が設けられている。また、上蹴込板部50の外側位置にはレベルゲージ97(
図6参照。)を露出させるためのゲージ孔98が設けられている。レベルゲージ97は、燃料タンク19の外壁に設けられ、燃料タンク19内の燃料のレベル(液面高さ)を表示する。作業者は、燃料の補給時にゲージ孔98を通してレベルゲージ97を見ながら燃料の補給を行う。そのため、作業者は燃料の溢れ出しを防止できる。
【0068】
上蹴込板部50の上端部は、第1昇降部30Aが固定された状態で、燃料タンク19の天板部19a(
図4参照。)と面一となるよう構成されている。従って作業者は、昇降設備30(第1及び第2昇降部30A、30B)を用いてハウスカバー2aに昇降できる。
【0069】
なお、踏板部44、45の踏み代は240ミリメートル以上とされ、本実施形態では330ミリメートルである。また、蹴込板部48の高さ、すなわち、第2昇降部30Bと踏板部44との間の距離は300ミリメートル以上600ミリメートル以下とされ、本実施形態では400ミリメートルである。また、蹴込板部49の高さ、すなわち、踏板部44と踏板部45との間の距離は300ミリメートル以上600ミリメートル以下とされ、本実施形態では400ミリメートルである。ドアとして機能する蹴込板部49の開閉を容易にするためであり、且つ、昇降設備30の下に収納される尿素水タンク20の高さをできるだけ高くするためである。また、蹴込板部50の高さ、すなわち、踏板部45と燃料タンク19の天板部19aとの間の距離は180ミリメートル以上250ミリメートル以下とされ、本実施形態では210ミリメートルである。蹴込板部49の高さとの違いを過度に大きくして作業者のアクセス性(昇降性)を損なうことがないようにするためである。
【0070】
また各踏板部44、45及び天板部19aには、作業者が昇降設備30を昇降する際に滑らないよう、第1〜第3の滑り止め36、37、38が配設されている。第1の滑り止め36は下踏板部44に配設され、第3の滑り止め38は天板部19aに配設される。
【0071】
第1及び第3の滑り止め36、38は、滑り止め用の複数の凸部が形成されたゴム製板状部材をその複数の凸部が突出する貫通孔を備えた金属板により覆い、その金属板を下踏板部44及び天板部19aにネジ止めした構成とされている。なお説明の便宜上、第2の滑り止め37については後に詳述する。
【0072】
上記構成とされた第1昇降部30Aは、ステップ固定部材32(
図5参照。)等を用いて燃料タンク19等に固定される。ステップ固定部材32は、例えば金属或いは高硬度の樹脂等により形成されている。
【0073】
このステップ固定部材32は、
図5及び
図6に示されるように被固定部32aと、この被固定部32aから前方(矢印X1方向)に延出する延出板部32bとを有している。また燃料タンク19は、前方側側面に固定座55が設けられている。
【0074】
被固定部32aは、固定ボルト56を用いて固定座55に固定される。これによりステップ固定部材32は、燃料タンク19に固定される。また、ステップ固定部材32が燃料タンク19に固定された状態において、延出板部32bは尿素水タンク20の上部に延出した状態となる。
【0075】
延出板部32bの上面には、上踏板部45の裏面の凹部39に嵌め込まれた状態の滑り止め部材34が配置される。滑り止め部材34は第2の滑り止め37の一部を構成するものであり、例えば耐水性及び耐油性を有した合成ゴム等により形成されている。この滑り止め部材34は、シート状の基部の上面に複数の凸部35が一体的に形成された構成とされている。
【0076】
滑り止め部材34に形成された凸部35は、上踏板部45に形成された貫通孔46と対応する位置に形成されている。また凸部35は円筒形状を有しており、各凸部35の直径は貫通孔46に挿入できる直径とされている。更に、凸部35の高さは、凸部35を貫通孔46に挿入した際、その先端の一部が上踏板部45の上面に突出する高さとされている。
【0077】
上踏板部45の裏面には、滑り止め部材34が嵌まり込む凹部39が形成され、この凹部39に滑り止め部材34が嵌まり込むと、それぞれの凸部35が貫通孔46に挿入された状態で位置決めされる。
【0078】
昇降設備30を旋回フレーム14及び燃料タンク19に固定するには、
図6に示すように、第1昇降部30A(下部ステップ31A、上部ステップ31B)を旋回フレーム14上に位置決めする。なお
図6においては、下蹴込板部48及び中蹴込板部49の図示を省略している。
【0079】
この位置決めされた状態で、下踏板部44は収納部23の上部に位置し、上踏板部45及び滑り止め部材34はステップ固定部材32の上部に位置している。
【0080】
続いて、第1昇降部30Aを下降させて外側板部40A及び内側板部41の下端部を旋回フレーム14の上面に当接させると共に、上踏板部45をステップ固定部材32上に当接させる。この際、上踏板部45の裏面の凹部39に嵌め込まれた滑り止め部材34の裏面がステップ固定部材32に当接する。
【0081】
続いて、固定ボルト57をネジ孔58に螺着し、外側板部40A及び内側板部41を旋回フレーム14に固定する。また、固定ボルト52を上踏板部45に形成されたボルト孔51に挿入し、ステップ固定部材32に設けられたネジ孔53に螺着する。これにより、上踏板部45はステップ固定部材32に固定される。また前記のように、ステップ固定部材32は燃料タンク19に固定されている。このため、上踏板部45はステップ固定部材32を介して燃料タンク19に固定される。
【0082】
この際、予め下部ステップ31Aと上部ステップ31Bを一体化した後に旋回フレーム14及び燃料タンク19等に第1昇降部30Aを固定してもよく、また下部ステップ31Aと上部ステップ31Bを個別に旋回フレーム14及び燃料タンク19等に固定してもよい。
【0083】
このように第1昇降部30Aは、旋回フレーム14及び燃料タンク19に固定される。なお、以下の説明において第1昇降部30Aが旋回フレーム14及び燃料タンク19に固定された状態を固定状態ということがある。
【0084】
固定状態では、前記のように収納部23の上部には工具箱21が形成される。また固定状態では、第1昇降部30Aは尿素水タンク20の上部を覆うため、尿素水タンク20を保護することができる。また、第1昇降部30Aで尿素水タンク20を覆う構成としても、作業者は、中蹴込板部49を開くことにより、尿素水タンク20に対する尿素水の給液処理を容易に行うことができる。
【0085】
なお、尿素水タンク20の基準面からの高さは、尿素水タンク20の上部に配置される第1昇降部30Aの踏板部45の基準面からの高さの75%以上に設定される。具体的には、尿素水タンク20の基準面からの高さは、旋回フレーム14の底面からタンク本体20aの上面までの高さである。第1昇降部30Aの踏板部45の基準面からの高さは、旋回フレーム14の底面から踏板部45の下面までの高さである。また、望ましくは、尿素水タンク20の基準面からの高さは、踏板部45の基準面からの高さの80%以上に設定され、より望ましくは85%以上に設定される。また、基準面は、タンク搭載用板95としてもよい。
【0086】
また、尿素水タンク20は、その底面が燃料タンク19の底面よりも低くなるように旋回フレーム14上に搭載される。昇降設備30の下に収納される尿素水タンク20の高さをできるだけ高くするためである。具体的には、旋回フレーム14は、底板14a(
図5参照。)と底板14aの上に設置される梁部14b(
図6参照。)とを含む。そして、
図6に示すように、燃料タンク19はその底面が2本の梁部14bの上に位置するように搭載される。また、尿素水タンク20はその側面がタンク補強部材92を挟んで梁部14bの側面に接するように且つその底面がタンク補強部材92及びタンク搭載用板95を挟んで底板14aに接するように底板14a上に搭載される。
【0087】
また、
図5に示すように、尿素水タンク20の上部には種々の配管26及びフィルタ71が配設されており、この配管26及びフィルタ71は
図5に示すようにタンク上面から突出している。踏板部45の表面から上方に突出するカバー部47は、固定状態において配管26及びフィルタ71を覆うよう構成されている。よってカバー部47を設けることにより、作業者が昇降設備30を昇降する際に誤って配管26及びフィルタ71を踏んでしまうことを防止すると共に、配管26及びフィルタ71が隠されるため外観を良好にすることができる。
【0088】
また、尿素水供給ポンプ70(
図6では不可視)はブラケット96の尿素水タンク20側の面に取り付けられる。また、ブラケット96は支持ブラケット17L(
図4参照。)に取り付けられる。
【0089】
更に本実施形態では、昇降設備30が3段の踏板部(第2昇降部30B及び踏板部44、45)を有しているため、燃料タンク19が高くなっても作業者のアクセス性(昇降性)を向上させることができる。よって、作業者がハウスカバー2a上に昇降する際の安全性を確保することができる。
【0090】
次に、上踏板部45に設けられる第2の滑り止め37について説明する。
【0091】
第2の滑り止め37は、上踏板部45の裏面の凹部39に嵌め込まれる滑り止め部材34と、上踏板部45に形成された貫通孔46等を有している。固定状態では、滑り止め部材34に形成された複数の凸部35は上踏板部45に形成された貫通孔46に挿入され、その上端部の所定部分は上踏板部45の上面から突出する。また、上踏板部45のボルト孔51には固定ボルト52が挿入される。
【0092】
よって第2の滑り止め37は、上踏板部45の上面に滑り止め部材34の凸部35が突出した構成となり、よってゴム製の凸部35
の剛性を高める
ことができる。また、滑り止め部材34の凸部35を除く部分は、ステップ固定部材32と上踏板部45との間に挟まれた状態で保持されるため、滑り止め部材34(第2の滑り止め37)の耐久性を高めることができる。
【0093】
また従来の滑り止めでは、踏板部の上面に滑り止め部材を設けた構成であったため、作業者の足が昇降時に滑り止め部材に引っ掛かってしまうおそれがあった。しかしながら、本実施形態に係る第2の滑り止め37では、
上踏板部4
5の上面に凸部35以外の突出物がないため、足の引っ掛かりを防止することができ、昇降時における安全性を高めることができる。
【0094】
更に、本実施形態の第2の滑り止め37は、上踏板部45の下面と対向する位置に滑り止め部材34を支持する部品が必要になるが、本実施形態ではステップ固定部材32を利用し、このステップ固定部材32と上踏板部45との間に滑り止め部材34を挟まれた状態で配設している。このため、滑り止め部材34を支持するのに別箇に部品を設ける必要はなく,よって部品点数の削減を図ることができる。
【0095】
次に、
図8及び
図9を参照し、本発明の実施形態に係るショベルに搭載される昇降設備30の別の構成例について説明する。なお、
図8は、昇降設備30を備えた上部旋回体2の斜視図であり、
図9はその側面図である。
【0096】
図8及び
図9に示す昇降設備30は、第3昇降部30Cを備える点、第2の滑り止め37と第3の滑り止め38が燃料タンク19の天板部19aと同じ高さの表面に設置される点、及び、蹴込板部49の一部に開閉可能なドア49aを含む点で、
図4〜
図7に示す昇降設備30と相違する。
【0097】
具体的には、
図8及び
図9に示す昇降設備30は、第1昇降部30Aに2段の踏板部44、45を設け、第2昇降部30B及び第3昇降部30Cを含めて合計4段の踏板部を備える。
【0098】
第1昇降部30Aは、下部ステップ31Aと上部ステップ31Bを組み合わせた構成とされている。下部ステップ31Aは下踏板部44及び下蹴込板部48を含む。また、上部ステップ31Bは上踏板部45及び蹴込板部49を含む。各踏板部44、45は略水平に延在するように設けられており、また、各蹴込板部48、49は踏板部44、45に対して略垂直に延在するように設けられている。中蹴込板部49は、下踏板部44と上踏板部45との間に配設され、開閉可能なドア49aを含む。ドア49aは、
図9に示すように、尿素水タンク20の給液口22と対向する位置で横開きとなるように配設されている。そのため、給液口22はドア49aを開くことにより外部に露出した状態となる。尿素水の給液時において、作業者は、ドア49aを開くことにより第1昇降部30Aを上部旋回体2に固定した状態のままで尿素水タンク20に対して尿素水の給液を行うことができる。なお、ドア49aは施錠可能である。尿素水タンク20の給液口22への無断のアクセスを防止するためである。このように、第1昇降部30Aは作業者が昇降するステップとして機能すると共に、尿素水タンク20の上部を覆うカバーとしても機能する。
【0099】
第3昇降部30Cは、下踏板部44と上踏板部45の間に設けられる。具体的には、第3昇降部30Cは金属製であり、蹴込板部49に垂直に取り付けられ略水平に延在するように設けられる。また、第3昇降部30Cは蹴込板部49から前方(X1方向)に突出した構成となっている。
【0100】
また、
図9に示すように、尿素水タンク20は、その底面が燃料タンク19の底面よりも低くなるように旋回フレーム14上に搭載される。昇降設備30の下に収納される尿素水タンク20の高さをできるだけ高くするためである。具体的には、旋回フレーム14は、底板14aと底板14aの上に設置される梁部14bとを含む。そして、燃料タンク19はその底面が2本の梁部14bの上に位置するように搭載される。また、尿素水タンク20はその側面がタンク補強部材92(図示せず。)を挟んで梁部14bの側面に接するように且つその底面がタンク補強部材92及びタンク搭載用板95を挟んで底板14aに接するように底板14a上に搭載される。なお、
図9では尿素水タンク20を収容するタンク収納容器15の図示が省略されている。
【0101】
以上の構成により、
図8及び
図9に示す昇降設備30は、
図4〜
図7に示す昇降設備30と同様の効果を実現できる。
【0102】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
【0103】
また、本願は、2013年10月8日に出願した日本国特許出願2013−211167号に基づく優先権を主張するものであり、これらの日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。