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特許6385949タービンエンジンロータディスクにブレードを摩擦溶接する方法;対応する一体型ブレードディスク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385949
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】タービンエンジンロータディスクにブレードを摩擦溶接する方法;対応する一体型ブレードディスク
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/02 20060101AFI20180827BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20180827BHJP
   F01D 5/30 20060101ALI20180827BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   F01D5/02
   F01D25/00 X
   F01D25/00 F
   F01D5/30
   F02C7/00 D
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-544515(P2015-544515)
(86)(22)【出願日】2013年11月26日
(65)【公表番号】特表2016-501340(P2016-501340A)
(43)【公表日】2016年1月18日
(86)【国際出願番号】FR2013052863
(87)【国際公開番号】WO2014083275
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2016年10月31日
(31)【優先権主張番号】1261367
(32)【優先日】2012年11月28日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モタン,ジャン−バティスト
(72)【発明者】
【氏名】バッソー,マルク・ジャッキー
【審査官】 高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−039746(JP,A)
【文献】 特開2005−351272(JP,A)
【文献】 特開平01−294901(JP,A)
【文献】 特開平10−193141(JP,A)
【文献】 特開平10−317906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/02
F01D 5/30
F01D 25/00
F02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンエンジンのロータディスク(10’)にエーロフォイル(32)を摩擦溶接する方法にして、ディスクが、その外周に、エーロフォイルが溶接されることになる突出スタブ(18)を有し、方法が、スタブの前縁(20)および後縁(22)にチョック(24)を取り付けることにあるステップを含み、各チョックは、スタブの前縁または後縁が受け入れられかつその端縁の形状に対して実質的に相補的な形状から成る、凹部(26)を含む方法であって、
摩擦溶接前に、チョックが、溶接によってスタブに固定され、
摩擦溶接作業中に、チョックとスタブとの間の溶接のビード(28)が、エーロフォイルとスタブとの間の接続ゾーンの周りに形成され、かつその後、たとえば機械加工によって取り除かれまたは除去されることになる材料の継ぎ目(34)に少なくとも一部が押し出され、
チョック(24)の溶接ビード(28)が、摩擦溶接中に消費される材料の全厚さ(E)の半分よりも小さいかまたはそれに等しいディスクの長手方向軸線に対して深さ(e)または半径方向寸法を有し、前記全厚さ(E)が、エーロフォイル(32)から、およびスタブ(18)から消費される材料の結合された厚さである
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
摩擦溶接前に、溶接ビード(34)が、各チョック(24)とスタブ(18)の前縁または後縁(20、22)との間に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各チョック(24)とスタブ(18)の前縁または後縁(20、22)との間の溶接ビード(34)が、チョックの凹部(26)の半径方向外周縁(30)に沿って連続的に延在することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
チョック(24)が、スタブ(18)のおよびエーロフォイル(32)の主要化学成分と同一である主要化学成分を有する同一材料で作られることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
摩擦溶接前に、ディスクを保護するための部材(30)が、ディスク(10’)の外周とチョック(24)との間に介挿されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ブリスク(10)を製作するための、またはブリスクを修理するための、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機ターボプロップまたはターボジェットなどのタービンエンジンのロータディスクにエーロフォイルを摩擦溶接する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タービンエンジン用の一体型ブレード付きディスク(ブリスク)は、その外周で、実質的に半径方向のブレードの環状列を有するロータディスクであり、そのブレードは、ディスクと一体に作られる。このタイプのディスクは、その周縁で突出スタブを有するディスクにエーロフォイルを摩擦溶接することによって得られることができ、各エーロフォイルの半径方向内側端部は、ディスクのスタブに溶接される。
【0003】
この方法は、ブリスクを修理するために使用され得る。ディスクの少なくとも1つのブレードが、損傷され、取り替えられる必要がある場合には、これは、(機械加工されるブレードの半径方向内側端部分に対応する)材料のスタブが新しいエーロフォイルに溶接するためにディスクの周縁に残存するように、たとえば機械加工によって取り除かれる。
【0004】
出願人の名義の先行欧州特許出願第0669183号明細書および欧州特許出願第1516690号明細書は、このトピックに関する現状の技術水準を例示している。
【0005】
ブリスクを修理する上述の環境においては、ディスクの周縁に残存するスタブは、その主要部とその前縁との間で(かつまた、その主要部とその後縁との間で)著しく変化する横方向寸法を有する。1つの特定の実施例においては、主要部の横方向寸法とスタブの前縁の横方向寸法との間の比は、19である。摩擦溶接後に、スタブの横方向寸法のこの大きな変化は、エーロフォイルがディスクと接続するゾーンの微細構造に異種性を引き起こすことが分かっている。そのうえ、部品の形状のため、また、熱的側面が考慮される必要があり、なぜなら、単位面積当たりの高い溶接圧がスタブの前縁および後縁においてより大きく、それによって、熱機械的に影響されるより大きなゾーン(ZATM)が生じるからである。
【0006】
それらの欠点を改善するために、殊に出願欧州特許出願第0850718号明細書においては、ディスクの上述のスタブの前縁および後縁にチョックを取り付け、各チョックがスタブの前縁または後縁を受け入れかつ端縁の形状に対して実質的に相補的な形状から成る凹部を有する提案が、既に行われている。
【0007】
各チョックは、これが取り付けられる前縁または後縁の形状と合致し、上述の欠点を低減しまたは除去さえするようにスタブの横方向寸法および強度を局所的に増加させる。チョックは、溶接される材料の横方向寸法をより均一にする働きをする。
【0008】
先行技術においては、文献欧州特許出願第0850718号明細書によって示されるように、チョックは、部材によってディスクの周縁で然るべき位置に保持され、この部材は、ナットアンドボルトタイプの手段によってディスクを保持するために使用される手段に固締される。
【0009】
それにもかかわらず、その技術は、隙間がチョックとスタブの前縁および後縁との間のアセンブリに存在し得るので、信頼性がない。そのうえ、摩擦溶接中に、チョックは高レベルの振動および応力を受ける場合があり、それにより、チョックがディスクに対して移動することになり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0669183号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1516690号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0850718号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の特定の目的は、これらの問題に対して簡単で効果的で費用のかからない解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、タービンエンジンのロータディスクにエーロフォイルを摩擦溶接する方法にして、ディスクが、その外周に、エーロフォイルが溶接されることになる突出スタブまたは突出した接点を有し、方法が、スタブの前縁および後縁にチョックを取り付けることにあるステップを含み、各チョックは、スタブの前縁または後縁が受け入れられかつその端縁の形状に対して実質的に相補的な形状から成る、凹部を含む方法であって、摩擦溶接前に、チョックが、溶接によってスタブに固定されること、および摩擦溶接作業中に、チョックとスタブとの間の溶接のビードが、エーロフォイルとスタブとの間の接続ゾーンの周りに形成され、かつたとえば機械加工によって取り除かれまたは除去されることになる材料の継ぎ目に少なくとも一部が押し出されることを特徴とする、方法を提供する。
【0013】
エーロフォイルをスタブに摩擦溶接するより前に、「仮付け」(浅い溶接)とも呼ばれるチョックをスタブに溶接することが特に有利であり、なぜなら、それによりチョックがスタブに対して静止状態に保持できるようになり、チョックとスタブとの間のいかなる隙間も除去されるからである。例示として、チョックは、レーザ溶接、アーク溶接(TIG、プラズマ)、融合溶接、等によって溶接され得る。チョックとスタブとの間の溶接ビードは、摩擦溶接中に作り出される材料の継ぎ目(「フラッシュ」とも呼ばれる)に押し出されることが有利である。したがって、チョックの溶接中に溶融されるゾーン(ZF)は、エーロフォイルをスタブに接続するゾーンの外側に(エーロフォイルが取り替えられた後に)見出されることになる。材料の継ぎ目はその後除去されるので、この溶融されたゾーンは、取り除かれ、したがって、完成されたロータディスクには見出されないことになる。さらにより有利な方法においては、チョックを溶接する作業によって熱的に影響されるゾーン(ZAT)はまた、少なくとも一部が継ぎ目に押し出され得る。このゾーンは、特に、異なる(異なるサイズの粒子)かつ/または低い硬度の微細構造を有することによって、部品の残りの部分と異なる。このゾーンは、チョックの溶接ビードに近いディスクのスタブに延在する。次に、溶融されたゾーンと熱的に影響されるゾーンが共に上述の継ぎ目に押し出されている場合には、これらは、完成されたロータディスクの材料の健全性に影響を及ぼさない。
【0014】
エーロフォイルは、直線または軌道摩擦溶接によってスタブに溶接され得る。
【0015】
摩擦溶接前に、溶接ビードが、各チョックとスタブの前縁または後縁との間に形成される。この溶接ビードは、チョックの凹部の半径方向外周縁に沿って連続的に延在することが好ましい。
【0016】
チョックの溶接ビードは、摩擦溶接中に消費される材料の全厚さまたは半径方向寸法の半分よりも小さいかまたはそれに等しいディスクの長手方向軸線に対して深さまたは半径方向寸法を有することが好ましい。この「全」厚さは、エーロフォイルからもスタブからも消費される材料の結合された厚さを示す。溶接部の溶け込み深さは、スタブから消費される材料の量に等しいかまたはそれよりも少なくてもよい。これにより、チョックの溶接によって溶融されるゾーンの少なくとも一部、および有利なことにすべてが摩擦溶接後に継ぎ目に見出されることになることを確実にすることができる。
【0017】
チョックは、スタブのおよび/またはエーロフォイルの材料と同一の、あるいは同じ化学的ベース(主成分)を有する材料で作られ得る。例示として、ロータディスクは、Ti17などのチタン基合金で作られ得る。
【0018】
摩擦溶接前に、摩擦溶接中に少なくとも一部が失われることになる消耗要素がスタブに使用され、それに固締され得る。このステップは、ロータディスクを修理する場合に特に有利である。詳細には、損傷したブレードを機械加工し、取り除いた後に、ディスクに残存するスタブは、その最終寸法を既に有し、特に、その横方向寸法は、エーロフォイルがスタブに摩擦溶接された後に、かつ仕上げ加工がそれに行われた後にブレードの半径方向内側端部分が有するであろう横方向寸法である。摩擦溶接前にスタブに取り付けられる消耗要素は、摩擦溶接中に消費されるスタブ材料の量を制限する働きをする。
【0019】
スタブに取り付けられるエーロフォイルの材料の消費を制限するために、(その前縁および後縁において局所的な方法で、さもなければ一般化した方法で)半径方向内側端部分を過大寸法にすることができ、この端部分は、ブレードを最終寸法まで持ってくるために溶接後に機械加工で除去するためである。
【0020】
また、ロータディスクを製作する場合に、ディスクの周縁に設けられる突出スタブは、上述のタイプの消耗要素を付加するいかなる必要性も回避するために、ディスクの設計時に過大寸法にされ得る。
【0021】
摩擦溶接前に、金属シートなどのディスクを保護するための部材が、ディスクの外周とチョックとの間に介挿され得る。これは、チョックを介してディスクに伝達されている破砕力となり得る摩擦溶接中にディスクを損傷するいかなる危険も制限する。
【0022】
また、本発明は、ブリスクを製作するための、またはブリスクを修理するための上に記述した方法の使用法に関する。
【0023】
また、本発明は、上に記述した方法によって製作されまたは修理されることを特徴とする、タービンエンジン用のブリスクを提供する。
【0024】
本発明は、非限定的な実施例を介して、および添付の図面を参照して行われる次の説明を読むとよりよく理解されることができ、本発明の他の詳細、特徴、および利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】タービンエンジンブリスクの、部分斜視略図である。
図2】そのブレードが取り替えの目的で機械加工された後の図1のブリスクの、部分斜視略図である。
図3】本発明の方法に使用されるチョックの、斜視略図である。
図4】ロータディスクスタブの、およびスタブの前縁および後縁に係合されるチョックの高度な略図である。
図5】ディスクの長手方向軸線に対する断面の高度な部分略図であり、ディスクスタブと、スタブに取り付けられるチョックと、スタブに配置されるエーロフォイルとを共有し、本発明の方法のステップを示している図である。
図6】ディスクの長手方向軸線に対する断面の高度な部分略図であり、ディスクスタブと、スタブに取り付けられるチョックと、スタブに配置されるエーロフォイルとを共有し、本発明の方法のステップを示している図である。
図7】ディスクの長手方向軸線に対する断面の高度な部分略図であり、ディスクスタブと、スタブに取り付けられるチョックと、スタブに配置されるエーロフォイルとを共有し、本発明の方法のステップを示している図である。
図8】ディスクの長手方向軸線に対する断面の高度な部分略図であり、ディスクスタブと、スタブに取り付けられるチョックと、スタブに配置されるエーロフォイルとを共有し、本発明の方法のステップを示している図である。
図9図5の図に類似した図であり、本発明の方法の異なる実施を示しており、保護部材がチョックとロータディスクの周縁との間に介挿される図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
初めに、図1を参照するが、この図1は、タービンエンジン用の一体型ブレード付きディスク(ブリスク)10の一部を示しており、このディスク10は、ディスクの長手方向軸線に対して実質的に半径方向に延在し、かつディスクと一体に形成されるブレード12の環状列を有する。ブレード12は、それらの半径方向内側端部において、ディスクの外周に延在する環状プラットフォーム14に接続される。
【0027】
万一ブレード14が損傷を受けた場合には、これらを取り替える目的で機械加工によってこれらを取り除くことができる。図1の参照符号16は、取り替えられることになるブレード12の断面を明細に記しており、この断面は、プラットフォーム14の外側環状表面に対して実質的に平行に、かつそれからある距離をおいて延在する。
【0028】
プラットフォーム14と接合面16との間の距離は、(プラットフォーム14と断面16との間に延在するブレードの半径方向内側部分に対応する)材料のスタブが支持体として役立つようにプラットフォーム14に残存し、その支持体の上に新しいブレードエーロフォイルが摩擦溶接によって固締され得るように決定される。
【0029】
図2は、その周縁において上記規定のタイプのスタブ18の環状列を担持するロータディスク10’を示している。このディスク10’は、上記で説明されたように、ブリスクを修理する目的でブリスク10からブレードを機械加工し、取り除くことによって得られ得る。あるいは、これは、ブリスクを製作する目的で、たとえば鋳造によって直接得られ得る。こうした状況では、スタブは、ディスクの製作中に作られ、それらの各々は、ブレードエーロフォイルを受け入れることになる。
【0030】
図2に見ることができるように、各スタブは、前縁20および後縁22を有し、その端縁は、正圧側および負圧側によって一緒に接続される。
【0031】
エーロフォイル(図示せず)は、直線または軌道摩擦溶接によってディスクの各スタブ18に固締される。その主断面とその前縁20および後縁22との間のスタブ18の横方向寸法の多大な変化と関連する上に記述した問題を回避するために、各スタブ18の前縁および後縁にチョックすなわち取り付けストッパ24を取り付けることが知られている(図3および図4)。
【0032】
チョック24は、溶接される材料の横方向寸法をより均一にする働きをする。詳細には、これらは、(エーロフォイルによって見られる)材料の横方向寸法の変化を制限するように構成されることが多く、スタブの主断面の横方向寸法とスタブの前縁および後縁におけるチョックの横方向寸法との間の比は、たとえば、3という許容できる最大値であれば、2よりも小さいかまたはそれに等しい。
【0033】
チョック24は、通常、スタブの前縁または後縁の周りに係合するための凹部26を有する材料の1ブロックで作られる。この凹部26は、図4に見ることができるように、対応する端縁の形状に密接に嵌合するように形作られる。示された実施例においては、チョック24は、実質的にU字形状であり、凹部26の両側に2つの横タブを有する。組み立てられた位置では、各チョックは、スタブの前縁または後縁に係合され、ディスクのプラットフォーム14の半径方向外側表面に載っている。
【0034】
本発明の方法は、エーロフォイルをスタブに摩擦溶接する前に、チョックをスタブ18に溶接または「仮付け」することによって、この種のチョック24の使用と関連する先行技術の欠点を改善する働きをする。
【0035】
図4に示される本発明の実施においては、溶接のビード28が、各チョック24の凹部26の半径方向外周縁30とスタブ18の前縁または後縁との間に連続的に形成される。この溶接ビード28は、レーザ溶接によって、アーク溶接(TIG、プラズマ、等)、または任意の他のタイプの溶接によって作られることができ、これは、スタブ18の半径方向または横方向寸法Lと比べて小さい深さまたは半径方向寸法に作られることが好ましい。溶接される前に、チョック24は、わずか1mmの隙間によってスタブ18の前縁20および後縁22から分離されることが好ましい。
【0036】
図5図8は、本発明の方法のステップを示している。
【0037】
図5においては、チョック24は、スタブ18の上述の端縁20、22のうちの1つに係合され、その横タブは、スタブの両側に延在する。溶接ビード28は、上記に説明されたように、チョックの凹部の外周縁に沿ってスタブ18とチョック24との間に延在する。溶接ビード28は、と書かれる、ディスクの長手方向軸線(A、図5)に対して深さまたは半径方向寸法を有する。溶接ビード28は、チョックを溶接する作業中の溶融ゾーン(ZF)を表し、破線27は、溶接作業によって熱的に影響されるゾーン(ZAT)の輪郭を描いている。Ti17で作られているスタブ18の特定の環境においては、ZATにおけるスタブの合金の硬度は、ビッカース硬度スケール(HV)で300から350程度のものであり、そのゾーンの外側で370HVから400HV程度のものである。
【0038】
図9に示される異なる実施は、「犠牲」型の、少なくとも1枚の保護金属シート30がディスクのプラットフォーム14の半径方向外側表面とチョック24との間に介挿されるという点で図5の実施と異なる。このシート30は、チョック24を溶接する作業中に、およびエーロフォイルをスタブ18に摩擦溶接する作業中にディスクの損傷を回避する。
【0039】
図6においては、新しいエーロフォイル32がディスクのスタブ18に配置され、スタブ24に接続されることになるこのエーロフォイルの半径方向内側端部は、特に横方向に過大寸法にされる可能性があり、または、スタブが修理後に機械加工され得る余肉を持つ場合には過大寸法にされない。
【0040】
次に、直線または軌道摩擦溶接が、当業者に知られている方法で行われる。
【0041】
摩擦溶接ステップの終わりに、および図7に示されるように、エーロフォイル32は、スタブ18に接続されるその半径方向内側端部を有し、スタブの、およびエーロフォイルの材料の一部が、溶接作業中に消費され、それによって、それらの半径方向寸法(軸線Aに対して半径に沿った寸法)を減少させる。
【0042】
摩擦溶接中に消費される材料の(全)厚さの2分の1が、Eと書かれており、この厚さは、スタブ18から消費される材料の厚さ、およびエーロフォイル32の半径方向内側端部から消費される材料の厚さに等しい。エーロフォイルおよびディスクが同じ材料から作られる場合には(同種溶接)、スタブから消費される材料の量は、エーロフォイルから消費される量と同様であるはずである。これと対照的に、これらの部材が異なる組成を有する異なる材料で、または合金で作られる場合には(異種溶接)、この場合、これらの部材の一方から消費される材料は、他方の部材から消費される材料よりも大きいことがある。
【0043】
チタン基合金の場合、材料の総消費量は、均一溶接を行う場合にはおよそ4ミリメートル(mm)から10mmの範囲にある。Ti17で作られる部品を組み付ける場合には、スタブからの材料の消費量は、2mmよりも大きいかまたはそれに等しい場合がある。
【0044】
好ましくは、溶接ビード28の深さは、摩擦溶接中に消費される材料の厚さの半分Eよりも小さいかまたはそれに等しい。深さが厚さの半分Eよりも小さい場合には、全溶接ビード28(すなわち、溶融されたゾーン)が、摩擦溶接中にチョック24を取り巻いて形作る材料34のフラッシュまたは継ぎ目に対して押し出される。例示として、深さは、2.5mmよりも小さいかまたはそれに等しい場合がある。
【0045】
有利なことに、熱的に影響される上述のゾーンZATはまた、摩擦溶接中にこれらの継ぎ目34に押し出される。万一ZATの一部がスタブの有用ゾーンに残存する場合には、これは、摩擦溶接中の摩擦力および鍛造力の結果として捏和される。したがって、その粒子は、より小さくされ、基材の粒子のサイズよりも小さいかまたはそれに等しいサイズに戻ることができる。
【0046】
摩擦溶接は、図7に破線によって輪郭が描かれるように熱機械的に影響されるゾーンZATMを生じる。スタブ18がTi17で作られる上述の特定の状況においては、ZATMにおける合金の硬度は、300HVから350HV程度のものであり、このゾーンは、スタブの残りの部分と比べて粒径の減少を示す。
【0047】
摩擦溶接の終わりに、エーロフォイル32は、その半径方向内側端部でスタブ18に、かつスタブの前縁および後縁に位置しているチョック24に保持される。
【0048】
次のステップは、チョック24と、継ぎ目34と、エーロフォイル32の半径方向内側部分に初めに設けられる材料の余肉とを取り除くためにディスクを機械加工することにある。図8は、この機械加工ステップ後のブリスク用のその最終寸法を有するブレードを示している。破線は、摩擦溶接作業によって熱機械的に影響される上述のゾーンZATMを標示している。ディスクは、ショットブラスティング、熱処理、等のような他の追加の処理を受けることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9