特許第6385963号(P6385963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6385963後に電気システムの電気図をグラフィックス生成するために自動車に関するデータを管理する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385963
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】後に電気システムの電気図をグラフィックス生成するために自動車に関するデータを管理する方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/50 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   G06F17/50 614B
   G06F17/50 680Z
   G06F17/50 660D
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-560737(P2015-560737)
(86)(22)【出願日】2014年2月28日
(65)【公表番号】特表2016-527573(P2016-527573A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】FR2014050444
(87)【国際公開番号】WO2014135770
(87)【国際公開日】20140912
【審査請求日】2016年12月26日
(31)【優先権主張番号】1351904
(32)【優先日】2013年3月4日
(33)【優先権主張国】FJ
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ゾーカリ, ノーマン
【審査官】 松田 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−026322(JP,A)
【文献】 特開2009−086865(JP,A)
【文献】 特開2008−160756(JP,A)
【文献】 特開2003−296376(JP,A)
【文献】 特開2003−281199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後に電気システムの電気図をグラフィックス生成するために自動車に関連するデータを管理する方法であって、
自動車の電気システムおよび自動車の車両構成に関連するデータの集まりをコンピュータに送信するステップ(E1)であって、前記集まりはデータベースから得られる、ステップと、
前記データの集まりに基づいて、電気システムのリストおよび車両構成のリストを前記コンピュータによって選択するステップ(E2)と、
前記コンピュータにより要素のセットを生成するステップ(E3)であって、前記セットの各要素は、前記電気システムのリストから得られる電気システムと、前記電気システムのリストから得られる電気システムと関連付けられた、前記車両構成のリストから得られる、車両構成とを含み、各要素は生成される電気図を定する、ステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記要素のセットを生成するステップ(E3)が、
各々が同じ性質の電気システムを含み、関連付けられた車両構成が違う要素を少なくとも2つ特定するステップ(E3−1)と、
同じ性質の電気システムのパラメータを比較して、電気システムが同一である場合は、前記少なくとも2つの要素のうち1つのみの要素が前記要素のセットに含められるステップ(E3−2)と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
電気システムが同一の内容を持つ車両構成を、詳細には電気図識別子で、全く同じ情報項目に連結する連結ステップ(E3−3)を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記要素のセットを生成するステップ(E3)は、対応するリストの電気システムごとに、前記対応するリストの各車両構成に前記電気システムが属するかどうかを確認するステップを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
所与の車両構成に前記電気システムが属するかどうかの確認が肯定となるたびに要素を形成するステップを含み、前記形成された要素は、前記要素のセットに追加されるか、または前記要素のセットにすでにある1つまたは複数の他の要素と比較されて前記要素のセットに追加すべきかどうかを判定することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記要素のセットを生成するステップ(E3)は、各行が電気システムに関連付けられ各列が車両構成に関連付けられている行列を埋めることを含み、前記行列の各行は、前記行列の1つの列との関連付けを少なくとも1つ含んでおり、前記関連付けは前記要素のセット中の要素に対応することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記行列の行と前記行列の列の関連付けは、車両構成に関連付けられた電気システムの内容、詳細にはinおよびoutのリストを含む電気的機能のデータ構造を指すポインタを前記行列のその場所に置くことに対応することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記セットの要素ごとに、
前記データベースから得られるモデルを前記コンピュータに送信するステップ(E4−1)であって、前記モデルは、前記電気システムの構成部品の識別子のリストを含み、構成部品の識別子ごとに、生成される電気図における前記構成部品の位置を含む、ステップと、
前記生成される電気図の構成を前記コンピュータによって決定するステップ(E4−2)であって、前記電気図の構成は複数のコネクタを備える、ステップと、
前記コンピュータにより、前記複数のコネクタのうち少なくとも1つのコネクタを各構成部品に関連付けるステップ(E4−3)と、
前記生成される電気図のトポロジーを前記コンピュータにより決定するステップ(E4−4)であって、前記トポロジーは連結要素を含み、各連結要素は少なくとも2つのコネクタを連結する、ステップと
を含む処理ステップ(E4)を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
電気図をグラフィックス生成する方法であって、
請求項1から8のいずれか一項に記載のデータを管理する方法を実装するステップと、
要素のセットの要素ごとに、前記要素に関連するデータを描画装置に送信することにより、関連する電気システムの電気図をグラフィックス生成するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
コンピュータにより読み取り可能なデータ記録媒体であって、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法または請求項9に記載の方法のステップを実装するためのコンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムが記録されたデータ記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車の分野に関する。
【0002】
より詳細には、本発明の主題は、後に電気システムの電気図をグラフィックス生成するために自動車に関連するデータを管理する方法である。
【0003】
本発明の別の主題は、データを管理する上記方法を実装する少なくとも1つのステップを含む、電気図をグラフィックス生成する方法である。
【背景技術】
【0004】
自動車は、例えばパーキングブレーキやエアバッグ等の複数の電気システムを含む。一般に、そのような電気システムは各々複数の構成部品を含む。それらの構成部品は、当該電気システムの電気的機能を提供するように接続される。
【0005】
一般に、車両が同一の系列であれ、異なる系列であれ、構成部品は車両間でほぼ同じであり、ほぼ似たような車両箇所に設置される。それでも接続技術はしばしば異なる。その結果、自動車の製造者はかなり多くの数の構成を管理しなければならない。
【0006】
この構成の数により、販売後サービスの修理や点検がさらに複雑になる。販売後サービスの便益を提供するために、販売後サービスを担当する作業所は、故障を迅速に特定し、関係する電気システムに関連するすべての情報を保有していることができなければならない。
【0007】
その結果、考えられるすべての構成を特定し、販売後サービスの便益の観点から作業所で使用されることを見込んで関連する電気図を作るために相当な量の作業が上流で生じる。実際、現在の方法論では、車両構成ごとに多大な量のグラフィカルな電気図を生成した後、車両のマニュアルをまとめることを見込んでそれらの電気図を分類することになる。言い換えると、現在の方法論では著しい時間の損失が生じる。
【0008】
したがって、診断を実施することを見込んで販売後ネットワークの作業所で使用するための電気図を作製、統合、および公開することに関連するプロセスを改良する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、上記で挙げた欠点を改善する解決法を提案することである。
【0010】
この目的は、後に電気システムの電気図をグラフィックス生成することを見込んで自動車に関連するデータを管理する方法によって対処され、前記方法は、
自動車の電気システムおよび自動車の構成に関連するデータの集まりをコンピュータに送信するステップであって、前記集まりはデータベースから得られる、ステップと、
データの集まりに基づいて、電気システムのリストおよび車両構成のリストをコンピュータによって選択するステップと、
コンピュータにより要素のセットを生成するステップであって、セットの各要素は、電気システムのリストから得られる電気システムと、構成のリストから得られる関連付けられた車両構成とを含み、各要素は生成される電気図を好ましくは潜在的に決定する、ステップと
を含む。
【0011】
好ましくは、要素のセットを生成するステップは、
各々が同じ性質の電気システムを含み、関連付けられた車両構成が違う要素を少なくとも2つ特定するステップと、
同じ性質の電気システムのパラメータを比較して、電気システムが同一である場合は、前記少なくとも2つの要素のうち1つのみの要素が要素のセットに含められるステップと
を含む。
【0012】
例えば、連結ステップでは、電気システムが同一の内容を有する車両構成を、詳細には電気図識別子で、全く同じ情報項目に連結する。
【0013】
有利には、要素のセットを生成するステップは、対応するリストの電気システムごとに、対応するリストの各車両構成に前記電気システムが属するかどうかを確認するステップを含む。
【0014】
上記方法はさらに、所与の構成に電気システムが属するかどうかの確認が肯定となるたびに要素を形成するステップを含むことができ、前記形成された要素は、要素のセットに追加されるか、または要素のセットにすでにある1つまたは複数の他の要素と比較されて要素のセットに追加すべきかどうかを判定する。
【0015】
一実装によると、要素のセットを生成するステップは、各行が電気システムに関連付けられ各列が車両構成に関連付けられている行列を埋めることを含み、行列の各行は、行列の1つの列との関連付けを少なくとも1つ含んでおり、前記関連付けは要素のセット中の要素に対応する。
【0016】
例えば、行列の行と行列の列の関連付けは、構成に関連付けられた電気システムの内容、詳細にはinおよびoutのリストを含む電気的機能のデータ構造を指すポインタを、前記行列のその場所に置くことに対応する。
【0017】
一実行モードによると、上記管理方法は、セットの要素ごとに、
データベースから得られるモデルをコンピュータに送信するステップであって、前記モデルは、電気システムの構成部品の識別子のリストを含み、構成部品の識別子ごとに、生成される電気図における前記構成部品の位置を含む、ステップと、
生成される電気図の構成をコンピュータによって決定するステップであって、前記構成は複数のコネクタを備える、ステップと、
コンピュータにより、複数のコネクタのうち少なくとも1つのコネクタを各構成部品に関連付けるステップと、
生成される電気図のトポロジーをコンピュータにより決定するステップであって、前記トポロジーは連結要素を含み、各連結要素は少なくとも2つのコネクタを連結する、ステップと
を含む処理ステップを含む。
【0018】
本発明は、電気図をグラフィックス生成する方法にも関し、この方法は、
上記に記載したデータを管理する方法を実装するステップと、
要素のセットの要素ごとに、前記要素に関連するデータを描画装置に送信することにより、関連する電気システムの電気図をグラフィックス生成するステップとを含む。
【0019】
本発明は、コンピュータにより読み取り可能なデータ記録媒体にも関し、データ記録媒体には、上記に記載の管理方法または上記に記載のグラフィックス生成する方法のステップを実装するためのコンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムが記録されている。
【0020】
他の利点および特徴は、非制限的な例として与えられ、添付図面に表される以下の本発明の特定の実施形態の説明からより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の管理方法の特定の実行モードの概略説明図である。
図2】方法の一ステップ中に得られる行列の説明図である。
図3図2の行列が埋められた図である。
図4図1の管理方法の処理ステップを詳細に説明する図である。
図5】管理方法の機構で使用されることが意図されるコンピュータの説明図である。
図6図6から図10は、本発明の処理方法の様々な時点におけるデジタルデータを表す図であり、図6は本発明の処理方法のある時点におけるデジタルデータをグラフィカルに表す図である。
図7】本発明の処理方法のある時点におけるデジタルデータをグラフィカルに表す図である。
図8】本発明の処理方法のある時点におけるデジタルデータをグラフィカルに表す図である。
図9】本発明の処理方法のある時点におけるデジタルデータをグラフィカルに表す図である。
図10】本発明の処理方法のある時点におけるデジタルデータをグラフィカルに表す図である。
図11】電気図をグラフィックス生成する方法の説明図である。
図12】管理方法の処理ステップの特定の実行モードを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に記載されるデータ管理方法は従来技術で見られるものと異なり、電気図を作製することを見込んで、特に後に電気図を生成する際に実施される作業の量を最適化しながら、データの処理を高速化することを目的として、特に電気図をグラフィックス生成する上流で特に適合されたデータの管理を行う。
【0023】
図1に示すように、後に電気システムの電気図をグラフィックス生成するために自動車に関連するデータを管理する方法は、自動車の電気システムおよび自動車の構成に関連するデータの集まりがコンピュータに送信されるステップE1を含むことができる。この集まりは、有利にはデータベースから得られる。
【0024】
「電気システム」とは、車両の機能を提供するためのシステムと理解される。したがって、電気システムは、非制限的な例として、空調、電動ウィンドウ、ディスプレイ、電動パーキングブレーキ等から選択されることができる。電気システムは複数の構成部品を含み、構成部品は、それら構成部品の相互接続のトポロジーを定義する、入出力とも呼ばれるin−outの形態の電気接続のリストに関連付けられる。実際、in−outは、電気システムに使用される構成部品間の接続だけを、詳細にはコネクタとユニオンで記述する。
【0025】
同じ性質を持つ2つの電気システムは、全く同じ構成部品のリストを含むがin−outのリストが異なる場合と、異なる構成部品のリストを含む場合とがある。電気システムは、同じ構成部品および同じin−outリストを含むときに同一と見なされる。そして、構成部品および/またはin−outは、電気システムのパラメータまたは内容とすることができる。例えば、最も低価格のモデルの空調と最高級モデルの空調は同じ性質を持つ2つの電気システムであり、同じ構成部品を含む可能性があるが、それらの構成部品間の連結は異なり、最高級モデルの空調の機能性の中には最も低価格のモデルの空調では稼働されないものがある可能性がある。
【0026】
車両の「構成」とは、例えば、車種、または車種の下位の車両のバージョン/系列を特定することができる車両識別子と理解される。構成は、通例は複数の電気システムを含む可能性がある。2つの異なる車両構成が、電気システムは同一または同じ性質であるがin−outが異なり、そのために異なるサービスを要求する場合がある。
【0027】
上記のようなデータの集まりは、処理対象となる車両の各種構成に対応することができ、詳細には、車両の電気システムの設計データを伴い、設計データは電気的機能ごとにin−outのリストおよび/または構成部品のリストを表すファイルを含む。
【0028】
上記方法はさらに、データの集まりに基づいて電気システムのリストおよび自動車の構成のリストをコンピュータによって選択するステップE2を含む。好ましくは、集まりに保持されている構成ごとに、車両のすべての電気システムが1つ1つ処理される。
【0029】
その後、上記方法は、コンピュータにより要素のセットを生成するステップE3を含む。要素のセットの各要素は、電気システムのリストから得られる電気システムと、構成のリストから得られる関連付けられた車両構成とを含む。実際、電気システムと車両構成との関連付けは、その電気システムが実際に車両の構成の一体部分をなす場合に作製することができる。要素のセットの各要素は、好ましくは潜在的に(実際、要素のセットは、異なる電気システムだけを含む場合も、または後に優先的に分類すべき同一の電気システムを含む場合もある)生成される電気図を決定する。したがって、これにより、後でそれら関連付けの電気図だけがグラフィックス生成されるという意味で、作業時間を短縮することが可能になる。すると、好ましくは、異なる電気図(電気的機能が異なるか、同じ性質であるがin−outが異なる、)だけが、保持されている関連付けに従って、生成されるセットの一部をなし、グラフィックス生成される。さらに、セットの選択および形成により、後で図を作製するためのコンピュータのサイクル数を減らすことが可能になる。
【0030】
この要素のセットは、各行に電気システムを含み各列に車両構成を含む行列の形態で生成することができる。有利には、この場合車両の構成はすべて異なり、電気システムはすべて異なる性質である。言い換えると、要素のセットを生成するステップE3は、各行が電気システム(電気システムのリストから得られる)に関連付けられ、各列が車両構成(構成のリストから得られる)に関連付けられている行列を埋めることを含むことができ、行列の各行は、詳細には行列を埋め終わったときに行列の1つの列との関連付けを少なくとも1つ含んでおり、前記関連付けは要素のセット中の要素に対応する。そのような行列は図2に示す種類とすることができ、図2の行列は、この例では、それぞれCC1、CC2、CC3、CC4と識別される4つの構成、ならびに5つの電気システム、それぞれ、エアバッグ、空調、開扉システム、噴射制御、および照明システムを含む。この行列は、選択ステップE2の過程で、2つの関連付けられたリストに基づいて形成され、その後、要素のセットを生成するステップE3の過程で埋めることができる。行列を埋め終わると、すなわち、すべての電気システムが処理されて構成との関連付けを確認し終わると、行列の空の行、すなわち関連付けを1つも包含していない行が削除される。それにより、例えば、コンピュータによって行われる計算中に行列に占有されるメモリサイズを制限することで、コンピュータの機器を最適化するという難しい課題に対処することができる。
【0031】
この関連付けは、対応する行列の行と対応する行列の列との共通分に対応する欄に標識またはオブジェクトを入れることにより実施されることができる。言い換えると、この行列により、生成すべき図を正確に特定することが可能になる。図3では、行列が埋められており、エアバッグは構成CC1およびCC3に存在し、空調は構成CC2およびCC4に存在し、ドアの開扉は構成CC3に存在し、噴射制御と照明システムはすべての構成に存在している。言い換えると、エアバッグの例を取り上げると、後者は、構成CC1およびCC3に生成されなければならない。この革新的な方法によって提案される事前の計算は、CC2およびCC4にはそれらを生成することが不要であることを示している。エアバッグシステムに関連する別個の構成はCC1およびCC3だけである。例として、行列の行と行列の列の関連付けは、電気的機能データの構造、例えば、構成に関連付けられた電気システムのパラメータを含む電気的機能に関連する要素を包含しているベース中のレコードのセットを指すポインタを、行列のその場所に置くことに対応する。詳細には、そのデータ構造は、構成に関連付けられた電気システムの内容、例えばin−outのリストやシステムの構成部品等を含んでいる。言い換えると、行列の「非空」の各欄(エアバッグシステムの例ではCC1およびCC3)は、当該構成の電気的機能のデータのセットに関連する。
【0032】
さらに、図のグラフィカルな生成は時間を要するため、2つの異なる車両構成が2つの同一の電気システムを含む場合は、その2つの構成に同じ作業を二度実施することを回避することが好ましい。そのため、要素のセットを生成するステップE3は、各々が同じ性質の電気システムを含み、関連付けられた車両構成が違う要素を少なくとも2つ特定するステップE3−1、および、同じ性質の電気システムのパラメータを比較して、電気システムが同一である場合は、前記少なくとも2つの要素のうち1つのみの要素が要素のセットに含められるステップE3−2を含むことができる。言うまでもなく、2つのシステムが異なる場合は、両方の要素が要素のセットに属することになる。行列の例の状況においては、少なくとも2つの電気システムが同一である場合は、関連付けは1つだけ作製される。実際、エアバッグの例の場合は、構成CC1に関連する電気的機能が既存の構成CC2に関連する電気的機能と同一であり(構成部品およびin−outの点で)、かつ、構成CC3に関連する電気的機能が既存の構成CC4に関連する電気的機能と同一である場合には、行列から2つのみのエアバッグ電気的機能が保持され、第1の電気的機能は最終的な構成CC1またはCC2を有し、第2の電気的機能は最終的な構成CC3またはCC4を有する。
【0033】
2つの電気システムが同一であることは、上述のように、それらの電気システムがそれぞれ同じ構成部品および同じin−outを含むことによって定義することができる。
【0034】
上記動作により、後に図をグラフィックス生成する方法の過程で、要素のセットから得られるシステムに関連付けられた電気図だけを作製することにより、完全に同一である2つの図を一度だけ処理すれば済むようになる。すると、同じ作業を二度繰り返さないため、計算資源が大幅に軽減されることが明確に理解される。
【0035】
上記から、特定の情報を維持しておく必要があることが理解される。詳細には、特定の車両構成が行列に追加されていない場合でも、生成される電気図とその車両構成との関連付けを維持することにより、グラフィックス生成時に重複の存在を回避する。この関連付けにより、例えば、特に車両に従事しなければならない販売後サービスの作業所が、車両に関係なく、各種システムのすべてのグラフィカルな電気図を入手することができる。したがって、上記方法は、電気システムが同一の内容を持つ車両構成を、詳細には電気図識別子で全く同じ情報項目に連結する連結ステップE3−3を含むことができる。この連結ステップE3−3は、少なくとも2つの電気システムが同一であると判定された場合に、比較ステップE3−2の後に実施することができる。例えば、連結ステップE3−3は、対応する電気図が同一である場合に、要素のセット中の要素を構成リストのいくつかの構成に連結するレコードをデータベースに追加するものである。すると、車両構成を特定した作業所が、その連結により特定の電気図を取り出すことができる。言い換えると、生成されたグラフィカルな電気図が複数の車両構成に関連付けられることができる。実際、具体的な使用例によると、車両がエアバッグの問題のために作業所に到着し、車両の構成がCC2である場合には、本発明提案の行列中で最終的な構成が本発明の方法によってすでに計算されている「適切な」関連付けられた電気的機能を見つけることができ、その電気的機能はCC1とCC2とで同じである。
【0036】
一実装によると、要素のセットを生成するステップE3は、対応するリストの電気システムごとに、対応するリストの各車両構成に前記電気システムが属するかどうかを確認するステップを含む。車両構成に属するかどうかの応答が肯定である場合は、要素のセットに追加される可能性のある要素を特定できることが理解される。言い換えると、上記方法は、所与の構成に電気システムが属するかどうかの確認が肯定となるたびに要素を形成するステップを含むことができ、前記形成された要素は、要素のセットに追加されるか、または要素のセットにすでにある1つまたは複数の他の要素と比較されて要素のセットに追加すべきかどうかを判定する。この比較ステップは、電気システムが要素のセットにすでにある要素の別の電気システムと同一である要素は要素のセットに追加されないという意味で、上記のステップに戻る。実際、車両の電気システムのリストにある各電気システムを本発明の方法を用いて処理して、その電気システムの要素(構成部品およびin−out)または要素の一部が、行列の列に提案される各構成に属するかどうかを特定する。この処理の後に保持されている要素が、各構成に関して電気システムの正確な内容を決定する要素である。したがって、ある電気システム(例えばエアバッグ)について行列に提案される構成のセット(CC1、CC2、CC3、CC4等)について処理が終了すると、比較ステップが開始して、構成部品および「in−out」の点で当該電気システムの「同一の内容」を「特定」して共にグループ化することができる。言い換えると、電気システムが、関連付けられたすべての構成を判定し、次いで同一の構成を共にグループ化することができ、その結果各グループの同一の構成のうち1つだけが要素のセットの一部を形成するようにする。
【0037】
好ましくは、データを管理する方法は、その後、要素のセットの要素ごとに処理ステップE4(図1)を含むことができる。この処理ステップE4は、特に作図の読みやすさを促進し、作図時間を最適化するように、要素のセットの各要素の作図を準備するものである。
【0038】
図4に示すように、処理ステップE4は、要素のセットの要素ごとに、データベースから得られるモデル(テンプレート)がコンピュータに送信されるステップE4−1を含み、前記モデルは、電気システム、例えば自動車の電気システムの構成部品の識別子のリストを含み、構成部品の識別子ごとに、生成される電気図における前記構成部品の位置を含む。実際、ここで送信されるものはデータベースのレコードを含むことができ、レコードのフィールドはそれぞれ、構成部品の識別子に対応するオブジェクトと、配置座標を含むオブジェクトとを表す。ここで重要な点として、それらのレコードにより、対象の電気的機能を保証できる構成部品のセットで各電気的機能を定義することが可能になる(例えば、エアバッグシステムに関連付けられた構成部品のリスト、または空調システムに関連する構成部品のリストがある)。それらの配置座標は、当該電気システムの電気図が作図されるべきページに対応する基準点に関連付けることができる。好ましくは、モデルは、当該電気システムの電気図の一部を形成する識別子、および電気図のそのページにおけるそれら構成部品の位置だけを含む。
【0039】
モデルは、一般に、電気システムの機能の管理者の同意および検証を得て、ライブラリの管理者によって作成される。
【0040】
処理ステップE4はさらに、生成される電気図の構成がコンピュータによって決定されるステップE4−2を含むことができる。構成は複数のコネクタを備える。電気図の構成は、例えば当該電気システムについて、コネクタのリストおよびそのコネクタと構成部品との関連付けを含むデータベースに基づいて決定することができる。実際、電気システムについて、構成部品のリストは、データベース内での前処理に応じて、関連付けられたコネクタと、in−outのリストとで補うことができる。特定の例によると、データベースは、以下の関係に従ってコネクタの識別子を構成部品の識別子に関連付けるレコードを含み、関係は、所与のコネクタ識別子は1つの構成部品識別子に関連付けられ、構成部品識別子は1つまたは複数の異なるコネクタ識別子に関連付けることができるというものである。好ましくは、決定される構成は、電気図の複数の構成の中から選択される。実際、前述のように、同じ性質の2つの電気システムが異なる構成を有する場合があり、すなわち、全く同じ構成部品リストを含むが、異なるコネクタおよび/またはin−outのリストを含む場合がある。例えば、最も低価格のモデルの空調と最高級モデルの空調は同じ性質であるが構成が異なる2つの電気システムであり、そのため、同じ場所に配置された同じ構成部品を含む可能性があるが、それら構成部品間の連結は異なり、その結果、最高級モデルの空調の機能性の中には最も低価格のモデルの空調では稼働されないものがあり、言い換えると、同じモデルを使用してそれら2つのレベルの空調を表すことができる。
【0041】
構成を介してコネクタが決定されると、処理ステップE4は、コンピュータにより、上記複数のコネクタのうち少なくとも1つのコネクタを各構成部品に関連付けるステップE4−3を含む。実際、これはデータベースの単純な読み出しにより実施することができる。その理由は、詳細には行列の形成時に構成ごとの各電気システムの内容が本管理方法によってすでに処理されており(よって関連付けが既知であり)、したがってその結果がすでにデータベースにあり、構成部品のリスト、コネクタのリスト、およびin−outのリストを与えるためである(エアバッグの例では、CC1に関連する内容はCC2に関連する内容と同一である可能性があり、同じことが構成CC3およびCC4にも当てはまる)。好ましくは、複数のコネクタの各コネクタが構成部品に関連付けられる。この関連付けにより、例えば、コネクタごとに、そのコネクタを対応する構成部品に結合する点を計算または決定することも可能になり、結合点の座標は、提供されるモデルから得られる構成部品の位置に依存する。好ましくは、データベースは、構成部品ごとに、各々がコネクタと協働することが意図される結合点のリストも含む。特定の例によると、データベースは、以下の関係に従って構成部品の識別子を結合点の位置(すなわち座標)に関連付けるレコードを含み、関係は、所与の構成部品識別子は1つまたは複数の異なる結合点の位置(すなわち座標)に関連付けることができる、というものである。データベースがそのようなレコードを含まない場合、それらの結合点の位置は、詳細にはモデルから得られる前記構成部品の位置に基づいて計算することができる。はじめに、各構成部品の各コネクタを結合点に無順序で割り当てることができる。その後、コネクタの最良の配置を可能にする最適化が見られる。そのような関連付けはデータベースのレコードに基づいて決定することができ、各レコードは、電気図の参照、より正確には生成される電気図の構成の参照、構成部品の識別子、およびコネクタ識別子を含む。それらレコードをモデルのデータと相互参照することにより、生成すべき電気図を少なくとも部分的にデジタル的に定義することが可能になる。
【0042】
最後に、処理ステップE4は、生成する電気図のトポロジーをコンピュータにより決定するステップE4−4を含むことができ、前記トポロジーは連結要素を含み、各連結要素は、好ましくはそれぞれが違う構成部品に関連付けられた少なくとも2つのコネクタを連結する。このステップE4−4により、コネクタ同士がどのように連結されるかを決定することができる。トポロジーは、例えば、決定された構成に応じて、詳細にはin−outに基づいて(例えば、対象の電気図に関連付けられ、行列に存在する要素に対応するデータ構造に基づいて)、データベースから抽出される。トポロジーは、上記で見た行列の「非空の」欄各々に関連するデータに基づいて生成することができる。言い換えると、トポロジーは、各々が2つのコネクタの識別子と連結要素識別子とを含む、データベースのレコードに基づいて決定されることができる。それらのレコードを、モデルのデータ、および構成部品とコネクタ間の関連付けに関連するレコードと相互参照することにより、生成される電気図をデジタル的に補うことが可能になる。
【0043】
上記で述べたすべての内容に適用できる一般的な方式で、本管理方法は、データベース3を含む少なくとも1つの記憶媒体2とインターフェースをとるコンピュータ1により、図5に示されるように実施することができる。そして、コンピュータ1は、データベース3からデータを抽出する、かつ/または、作成もしくは修正によりデータを投入することができる。
【0044】
さらに、電気図は要素のセットの中から選択されることができるため、処理ステップは、要素のセットの中から処理される要素に関連する識別子を判定するステップを含むことができ、その識別子により、処理すべき適切なモデルを選定することができる。
【0045】
したがって、処理ステップE4の過程でコンピュータによって処理されるデータは、要素のセットの要素ごとに、生成しようとする電気図のすべての特性を含むデジタルオブジェクトを構成するように処理できることが理解される。デジタルオブジェクトが構成されると、処理ステップE4は、デジタルオブジェクトをデータベースに格納するステップを含むことができる。そのようなデジタルオブジェクトの利点は、記憶の点で操作が容易であり、また改良したい場合に修正が容易であることである。
【0046】
したがって、構成部品の識別子のリストおよびそれらの配置、複数のコネクタ、コネクタと構成部品および電気図のトポロジーとの関連付けは、デジタルオブジェクトに付加される属性とすることができる。言い換えると、処理ステップE4は、上記の属性を含むデジタルオブジェクトを形成するステップを含むことができる。その目的は、処理ステップE4の終了時に、時間損失を生じさせる改変を制限しながらデジタルオブジェクトを描画できるようにすることである。実際、生成されたグラフィックスの修正は、無視できない所要時間の検証プロセスを伴う。言い換えると、有利な点として、処理ステップE4に関連するステップはデジタルのみのステップであり、コンピュータによって実施され、詳細には、将来生成される電気図のグラフィックスを改変するステップである。詳細には、改変ステップは、将来生成されるグラフィックス電気図で少なくとも2つの連結要素が交差するのを回避するために、コネクタに関連付けられた構成部品のレベルでコネクタの位置を改変することができる。
【0047】
上記の処理ステップE4の過程におけるデータの処理を説明するために、図6に、モデルが送信されるステップE4−1に基づいてグラフィカルに得られる内容の表現を示す。この図6では、構成部品は配置されており、それぞれ各自の識別子で示されたブロック1218、1219、1220、1221、1222、1337、および597で表される。さらに、図7に、モデルを送信するステップの結果と、構成と構成部品/コネクタ間の関連付けの判定を可能にするデータとの相互参照を示す。同図では、コネクタ(この例では必要上A、B、C、Dと表される)と、構成部品1218、1219、1220、1221、1222、1337、および597との関連付けが見てとれる。さらに、図7ではユニオンH2−H3、H3−H4、およびH3−H5が見てとれ、このユニオンにより特定の連結要素が共通部分およびスプライスZを持つことができ、それにより連結要素を長くすることができる。所望のトポロジーが適用されると、図8の図で示される対応関係の表が得られる。図8では、各種要素の配置は比較的恣意的であり、すなわち機能的ではあるが、人間工学的に最適化されていない。その結果、一部の構成連結要素が交差しているために、この形態の電気図はなお読みにくい可能性がある。図8の時点では、配置はデータベースにしかなく、グラフィカルでない。つまり、コネクタA、B、C、およびDは単に構成部品1222に結び付けられているだけと言える。
【0048】
したがって、任意選択ではあるが優先的な方式で、電気図のグラフィカルな作製のさらに上流で、処理ステップE4を介してコネクタおよび/またはユニオンの改良された配置パラメータを決定することを試みて、そのデータを利用することによって最も読みやすい可能性のある電気図を直接描画できるようにする。電気図の読みやすさという難しい課題は、販売後サービスを行う作業所に多大な影響を示す。言い換えると、コネクタの最終的な座標は決定されるトポロジーに依存する。詳細には、電気図の作図を受けることが意図されるページの基準点におけるコネクタの座標は、電気図を作図する際に連結要素の交差数を最小にするように、電気図のトポロジーに基づいて決定されると考えることができる。
【0049】
したがって、電気図を構成する要素の将来のグラフィカルな位置決めを予想して上記のデジタルオブジェクトが修正/改変されると考えることができる。
【0050】
したがって、少なくとも1つのコネクタを各構成部品に関連付けるステップE4−3は、決定されたトポロジーから得られるデータと提供されるモデルとに基づいて1つまたは複数のコネクタを配置するステップを含むことができる。例えば、コネクタの位置決めを可能にするトポロジーから得られるデータは、少なくとも1つの連結要素の長さ、すなわち、2つのオブジェクト、詳細にはその連結要素で連結された2つのコネクタまたは構成部品間の距離、および/または少なくとも2つの連結要素に割り当てられる重みに関連する。実際、重みは、2つのコネクタまたは構成部品を連結する連結要素に関連付けられる。
【0051】
詳細には、第1の位置決め規則に従い、構成部品のレベルにおける、1つの同じ連結要素に関連付けられたコネクタのうち少なくとも1つのコネクタの配置は、その連結要素の長さ、すなわち接続される2つのオブジェクト間の距離を最小にするように実施される。言い換えると、第1の連結要素は、第1の構成部品の第1のコネクタおよび第2の構成部品の第2のコネクタに関連付けることができ、第1の構成部品のレベルにおける第1のコネクタの配置は、第1のコネクタが第1の構成部品に結合される第1の点と、第2のコネクタが第2の構成部品に結合される第2の点との間の距離が最小になるように実施することができる。結合点は、例えば上記のようにデータベースに記憶された事前に決められた座標を持つことができ、または、例えば、コネクタに対する唯一の制約は、将来作製されるグラフィックス上でそのコネクタが関連付けられた構成部品と接することであるという意味で、計算により決定することができる。
【0052】
第1の規則と組み合わせられる場合も組み合わせられない場合もあり、特定の曖昧性を解消する利点を示す第2の規則に従い、各連結要素が、重み(図8および図9では、重みは2つのコネクタまたはユニオンとコネクタを連結する連結要素の近くにある数字に対応する)、詳細には2つのコネクタ間のin−outの数に依存する重みに関連付けられる。したがって、1つまたは複数のコネクタの配置は、少なくとも2つの連結要素の重みの値に依存する可能性がある。第2の規則の実装の好ましい例によると、第1の重みの第1の連結要素は、第1の構成部品の第1のコネクタおよび第2の構成部品の第2のコネクタに関連付けることができ、第2の重みの第2の連結要素は、第1の構成部品の第1のコネクタおよび第3の構成部品の第3のコネクタに関連付けられ、その結果、第1のコネクタの配置は、重みが最大の連結要素の長さを最小にするように実施される。この例で、第1、第2、および第3の構成部品は好ましくはそれぞれ違う構成部品である。この第2の規則の結果、処理ステップは、各連結要素に重みを割り当てるステップを含むことができ、前記割り当てられる重みは前記連結要素に関連付けられたin−outの数に等しく、各連結要素のin−outの数は、決定された電気図のトポロジーに包含されている。
【0053】
第2の規則の特定の実装によると、処理ステップE4は、連結要素を各自の重みに応じて順位付けするステップを含み、コネクタを配置するステップは、その順位の順序に従って実施される。例えば、順位の中で順位の第2位よりも上にある第1の連結要素に関連付けられたコネクタのうち少なくとも1つのコネクタの配置は、順位の位置が第1の連結要素よりも高い少なくとも1つの第2の連結要素に関連付けられた1つまたは複数のコネクタのすでに行われた配置を考慮して実施される。順位付けはここでは必須ではないため、省略してもよい。実際、順位付けは、ごく単純に、対象となる図に関連するコネクタであってデータベース中で入手可能なコネクタのリストを取り出し(リストは関連付けられた構成部品の識別子の昇順でソートされている)、次のように処理を行うことを伴う可能性がある。すなわち、各トリプレット(Component_1のConnector_1,Component_2のConnector_2,重み)について、データベース内での構成部品_1と構成部品_2の様々な「結合点」間の「距離」を使用することにより、上記の2つの規則に従って、各「結合点」に配置すべき「最良の」コネクタが計算される。リストにある2つのコネクタ間で衝突がある場合(すなわち、同じ結合点にある2つのコネクタ)は、配置された第1のコネクタがその場所を得ることになり、第2のコネクタはこの場合は同じ規則に従って次によい場所に置かれる。
【0054】
第1の規則および/または第2の規則の結果、作図がより明瞭でより読みやすいグラフィックス図が得られる。通例、構成部品1222のコネクタAおよびCに第1および第2の規則を適用すると、図8の配置から図9の配置に推移することができる。これら2つの規則を単独で、または組み合わせて適用すると、コンピュータのサイクルの経済性という難しい課題に対処することができる。
【0055】
当業者は、連結要素の合計長さを全般的に制限し、連結要素の交差等を回避するように、構成部品のレベルでコネクタの決定的かつ最適な配置を生成することを可能にする他の種類の順位付けを決定することができよう。
【0056】
生成しようとする電気図では、連結要素はすべて違っている場合も、または共通の部分を共有する場合もある。例えば、連結要素はユニオンH2−H3、H3−H4、H3−H5(図7図9)を含む場合があり、そのことにより少なくとも2つの連結要素の一部を融合することができ、またスプライスZ(図7図9)を含む場合があり、そのことにより連結要素を長くすることができる。ユニオンは、有利には、構成部品と同じ規則に従って処理される(ユニオンの結合点は左側および右側それぞれの真ん中に位置する)。スプライスに関しては、方法の最後のステップでグラフィックス上に直接配置されるため、特有の処理はない。
【0057】
ユニオンの存在は、電子電気アーキテクチャ分野の当業者によって決められ、連結されるコネクタの数に関連しない。図8では、電気図の2つの連結要素が1つの共通の分岐を共有しており、本方法は、関連付けられた分岐を介して少なくとも3つのコネクタを連結することが意図される少なくとも1つのユニオンを配置するステップを含むことができる。図8では、電気図の2つの連結要素が1つの共通の分岐を共有しており、本方法は、関連付けられた分岐を介して、少なくとも3つの対応するコネクタを連結することが意図される少なくとも1つのユニオンを配置するステップを含むことができる。したがって、関連付けられた各種の分岐はすべてそのユニオンに向かって収束して、各々が一方ではコネクタの1つに連結され、他方ではユニオンに連結されることが理解される。好ましくは、この配置は、前記ユニオンに関連付けられた分岐の長さ、詳細には合計または平均が最小になるか短縮されるように行われる。電気図がいくつかのユニオンを含む場合、それらのユニオンは、上記で与えられた2つの規則の原理を適用することによって配置することができる。さらに、第1および第2の規則を適用することにより、ユニオンH3−H5およびH3−H4が図8から図9のように配置し直されている。上記の例に戻ると、ユニオンが第1および/または第2の規則で対象とされるコネクタの1つにとって代わることができ、詳細には第1のコネクタにとって代わることができる(言うまでもなく、その場合、そのユニオンは第1の構成部品には関連付けられず、例えば、対応する連結要素で第1の構成部品の第1のコネクタに連結されることが意図されることが理解される)。
【0058】
さらに、図10に示すように、処理ステップはさらに、連結要素を特徴づけて、連結要素の全体または一部を伝搬する各信号の導線Fを生成できるようにするステップを含むことができる。各導線は、該当する場合は、コネクタまたはユニオンの接続端子に関連付けることができる。さらに、この図10ではスプライスZも適切に置かれている。
【0059】
上記の内容から、本管理方法の実装、特に処理ステップの実装により、後に最適化された電気図を非常に迅速に得ることが可能になることが理解される。
【0060】
言い換えると、電気図をグラフィックス生成する方法は、(図11に示すように)本管理方法を上記のように実装するステップEG1、および、要素のセットの要素ごとに、前記要素に関連するデータを詳細にはコンピュータによって描画装置、詳細には画像形態またはベクトル形態でデジタル紙印刷を行う装置に伝送することにより、関連する電気システムの電気図(詳細には上記のデジタルオブジェクトに基づく)をグラフィックス生成する(すなわちページ上に作図する)ステップEG2を含むことができる。
【0061】
本発明に関する上記の内容すべてにより、些少な修正があってもグラフィックス生成される図はそのまま適切な図になるため、電気図の生成において大幅な時間の節約が可能になる。さらに、コネクタの適切な配置を生成することにより、電気システムを表す図の品質とその読みやすさを向上させることができる。
【0062】
検査の諸面は、最大で80%もの無視できない時間の節約を示している。
【0063】
図12に示される処理ステップの特定の例によると、処理ステップの入力データは、電気システム(すなわち本例では要素のセット)およびそれらのin−outのリストE101であり、その入力データに基づいてモデルのライブラリが作成されるE102。言い換えると、各モデルが1つの電気図に対応することができる。各モデルは、構成部品の識別子のリストと、生成される図におけるそれら構成部品の配置を含む。その後、各電気システムとモデルとの間の対応関係E103が確立され、詳細には構成を決定する。この対応関係が確立されると、各電気システムが以下のように処理されるE104。
− 入力データに応じて、コネクタ、詳細には省略可能なユニオンおよびスプライスが構成部品に追加されE105、
− コネクタ間に連結要素が追加されてE106、2つのコネクタ間の電気信号の存在を示し、
− 各連結要素に重みが割り当てられE107、前記重みはその連結要素に関連付けられたin−outの数に依存し、
− 上記で詳しく説明した第1および第2の規則を適用することにより、コネクタの最終的な配置が計算されE108、
− 各コネクタのピンに接続される信号を配設することにより各連結要素が処理されるE109。
【0064】
今回処理された電気システムが最後の電気システムである場合は、データセットを処理するステップを終了し(ステップE110のYESの出力)、そうでない場合はステップE104への出力に戻り(ステップE110のNOの出力)、新しい電気図に関連付けられた新しいデータセットを処理する。好ましくは、リストの電気システムはすべて異なり、例えばリストは、エアバッグや車両ブレーキなど、機能が異なるシステム、または2つのエアバッグシステムなど機能は類似するがin−outが異なるシステムを含むことができる。そのことにより同じことを二度実施することを回避することができる。
【0065】
好ましくは、描画しようとする各構成部品は記号に関連付けられる。その記号は、各々がコネクタを受けることが意図される結合点の1つまたは複数の位置を含むことができる。それらの結合点の座標は、対応する構成部品の位置および関連付けられた記号の形状に応じて計算することができる。各記号はデジタルオブジェクトに付加することができる。記号は、動的作成モードまたは事前定義された作成モードに関連付けることができる。動的作成モードでは、電気図をグラフィカルに作図する瞬間に記号の形状を作成することができるのに対し、事前定義された作成モードでは、すでに描画された記号をデータベース、詳細には責任者の監督下にある記号のライブラリから取り出すことができる。そのことにより、データベースでいわゆる「標準的な」記号を非効率に管理することを回避することができ、また、複雑な内部描画を包含する複雑な記号を除いて動的な作成を選ぶことが可能になる。
【0066】
本発明は、コンピュータにより読み取ることが可能なデータ記録媒体にも関し、データ記録媒体上には、上記の方法のうち1つまたは複数の方法のステップを実装するためのコンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムが記録されている。
【0067】
本発明は、コンピュータによって実行されると上記の方法のうち1つまたは複数の方法のステップを実施するのに適したコンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムにも関する。
【0068】
さらに、装置、詳細には自動車を保守点検する方法は、診断システムを装置につなぐステップと、診断システムにより装置の故障した電気システムを特定するステップと、上記の電気図をグラフィックス生成する方法で生成される電気図など、対応する電気図を表示するか、または紙に印刷するステップとを含むことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12