(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0009】
図1(a)は、実施形態に係る高周波スイッチの概略的な構成を示すブロック図である。
図1(a)に示すように、本実施形態に係る高周波スイッチ100は、スイッチ回路200と、制御回路300と、を備える。
【0010】
スイッチ回路200は、アンテナ400で送受信される高周波信号の経路を切り替えるための回路である。この高周波信号は、例えば700MHz以上の周波数と、20dBm以上の電力を有している。スイッチ回路200では、高周波信号の経路毎に、複数の半導体装置1が直列に接続されている。これらの半導体装置1は、n型MOSFETで構成されている。
【0011】
制御回路300は、複数の半導体装置1のゲート電位を制御するために、種々の電子部品(例えば、MOSFET)で構成されている。複数の半導体装置1は、制御回路300による制御に基づいて、オン状態またはオフ状態に切り替わる。これにより、上記高周波信号の経路が切り替わる。
【0012】
図1(b)は、
図1(a)に示す高周波スイッチのオン状態の経路の等価回路図である。
図1(b)に示すように、直列接続された複数の半導体装置1の両端には、50Ω抵抗がそれぞれ接続されている。また、この50Ω抵抗の一方には、周波数が2GHzの電力源Vrfが接続されている。
図1(b)に示す回路において、各半導体装置1がオン状態になると、各半導体装置1は抵抗成分Ronと等価になる。この抵抗成分Ronは、50Ωよりも非常に小さいので、各半導体装置1のドレイン・ソース間に印加される電圧は非常に小さくなる。
【0013】
図1(c)は、
図1(a)に示す高周波スイッチのオフ状態の経路の等価回路図である。
図1(c)に示すように、各半導体装置1がオフ状態になると、各半導体装置はキャパシタ成分Coffと等価になる。このとき、オン状態とは異なって、各Coffには大きな電圧が印加される。そのため、各半導体装置1には大きなオフ耐圧が要求される。
【0014】
図2は、本実施形態に係る高周波スイッチの半導体装置1の要部を模式的に示す断面図および平面図である。
図2に示すように、半導体装置1は、SOI(Silicon on Insulator)基板10と、ゲート絶縁膜20と、ゲート電極30と、側壁絶縁膜40と、被覆絶縁膜50と、配線層間絶縁膜60と、コンタクトプラグ70と、を備える。
【0015】
SOI基板10は、支持基板11と、BOX(Buried Oxide Layer)層12と、SOI層13と、を有する。支持基板11は、例えば、シリコン基板で構成されている。BOX層12は、支持基板11の上に設けられた絶縁層であり、例えば酸化シリコン(SiO
2)膜で構成されている。このBOX層12の上に、SOI層13が設けられている。
【0016】
SOI層13は、第1の半導体層14と、第2の半導体層15と、エクステンション層16と、シリサイド層17と、を有する。第2の半導体層15と、エクステンション層16と、シリサイド層17は、第1の半導体層14の両側に対称に設けられている。
【0017】
第1の半導体層14は、アクセプター不純物をドーピングしたボディ領域である。ゲート電極30に所定の電圧が印加されると、第1の半導体層14の表面には、電子で構成されるチャネル領域14aが形成される。
第2の半導体層15は、ドナー不純物をドーピングしたN型半導体層である。第2の半導体層15は、n型MOSFETのソース層およびドレイン層として機能する。
【0018】
エクステンション層16は、第2の半導体層15よりもゲート電極30の近くに設けられている。エクステンション層16のドナー不純物の濃度は、第2の半導体層15のドナー不純物の濃度よりも低い。かつ、エクステンション層16の厚さは、第2の半導体層15の厚さよりも薄い。
【0019】
シリサイド層17は、第2の半導体層15の上部に設けられている。シリサイド層17は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)等の高融点金属と、シリコンとの化合物で構成されている。
【0020】
ゲート絶縁膜20は、第1の絶縁膜を構成し、第1の半導体層14の上に設けられている。ゲート絶縁膜20は、例えば、酸化シリコンで形成されている。
【0021】
ゲート電極30は、ゲート絶縁膜20の上に設けられ、例えば、ポリシリコンで構成されている。ゲート電極30のゲート長Lgは、100nmよりも長く、300nmよりは短い。ゲート電極30の上には、シリサイド層31が設けられている。このシリサイド層31も、シリサイド層17と同様に、上述した高融点金属と、シリコンとの化合物で構成されている。
【0022】
側壁絶縁膜40は、ゲート電極30の側面に設けられ、ゲート端から第2の半導体層15までの長さを決めている。
【0023】
被覆絶縁膜50は、第2の絶縁膜を構成し、第2の半導体層15と、ゲート電極30と、側壁絶縁膜40とを覆うように形成されている。被覆絶縁膜50は、窒化シリコン(SiN)膜で構成されている。本実施形態では、被覆絶縁膜50は、チャネル領域14aの電流方向x(チャネル長方向)に作用する引張り内部応力σを備えている。この引張り内部応力σによって、チャネル領域14aは、電流方向xに引っ張られる。
【0024】
本実施形態では、被覆絶縁膜50の内部応力σの大きさは、1GPa以上かつ3GPa以下である。被覆絶縁膜50の膜厚tは、側壁絶縁膜40の幅Lswよりも厚い。具体的には、被覆絶縁膜50の膜厚tは、70nm以上である。
【0025】
配線層間絶縁膜60は、被覆絶縁膜50の上に設けられ、例えば、酸化シリコン膜で構成されている。
【0026】
コンタクトプラグ70は、配線層間絶縁膜60の内部と被覆絶縁膜50の内部を通って、第2の半導体層15に電気的に接続されている。第2の半導体層15がドレイン層として機能する場合にコンタクトプラグ70はドレイン電極となり、第2の半導体層15がソース層として機能する場合にコンタクトプラグ70はソース電極となる。コンタクトプラグ70によって、第2の半導体層15(ドレイン層、ソース層)が、配線層間絶縁膜60の上に設けられた配線71に電気的に接続される。
【0027】
図3は、本実施形態に係る高周波スイッチの半導体装置1のレイアウトを示す平面図である。
図3に示すように、本実施形態に係る半導体装置1は、いわゆるマルチフィンガー型のレイアウトを有している。
【0028】
具体的には、活性領域A1において、複数のゲート電極30は電流方向xに配列され、配線72に接続されている。具体的には、複数のゲート電極30と配線72とは、櫛状をなすように設けられている。この配線72には、コンタクトプラグ73が電気的に接続されている。配線72およびコンタクトプラグ73によって、ゲート電極30が外部に引き出される。なお、本実施形態に係る半導体装置1は、ゲート電極30の一端に配線72を接続した、いわゆるT型ゲートを有しているが、この半導体装置1は、ゲート電極30の両端に配線72をそれぞれ接続した、いわゆるH型ゲートを有していてもよい。
【0029】
また、活性領域A1では、複数の配線71が、電流方向xにゲート電極30と交互に配置される。そして、複数の配線71は、配線74あるいは配線74と電位の異なる配線75に接続して、それらと櫛状をなすように設けられている。
【0030】
さらに、
図3に示すように、半導体装置1には、第1の半導体層14(ボディ領域)の電位を制御するために、P
+領域18と、ボディ電極77と、配線78と、が設けられている。
【0031】
P
+領域18は、ゲート電極30の長手方向(電流方向xに交差する方向)における活性領域A1の端部に設けられ、ゲート電極30の長手方向で第1の半導体層14に接している。ボディ電極77はP
+領域18上に設けられ、ゲート電極30の長手方向において配線72よりも外側、すなわち配線72よりも活性領域A1の端部側あるいはSTI領域側、に位置し、P
+領域18と配線78とを接続する。配線78は、配線71、配線74、配線75と交差しないように設けられ、平面視においては配線71、配線74、配線75と間をあけて設けられている。また、配線78の一部は、活性領域A1の端部直上に設けられている。ここで活性領域A1の端部とは、ゲート電極30の長手方向における端部側でありP
+領域18の設けられた領域である。
【0032】
以下、
図4〜
図11を参照して本実施形態に係る半導体装置の製造工程について説明する。
【0033】
図4は、エクステンション層16を形成するまでの工程を示す断面図である。
図4に示す工程では、まず、SOI基板10の上にゲート絶縁膜20が形成される。次に、ゲート絶縁膜20の上にゲート電極30が形成される。その後、SOI基板10のSOI層13内に、エクステンション層16が自己整合的に形成される。
【0034】
なお、この工程では、SOI層13の厚さは、約50nmから100nmであり、ゲート絶縁膜20の厚さは約5nmであり、ゲート電極30のゲート長Lgは約200nmである。
【0035】
図5は、側壁絶縁膜40を形成する工程を示す断面図である。エクステンション層16が形成された後、
図5に示すように、側壁絶縁膜40が、ゲート電極30の側面30aに形成される。この工程において、側壁絶縁膜40における電流方向xの長さは、70nm以上である。
【0036】
図6は、第2の半導体層15とシリサイド層17、31を形成する工程を示す断面図である。側壁絶縁膜40が形成された後、SOI層13に第2の半導体層15が自己整合的に形成される。ゲート絶縁膜20の一部が除去された後、シリサイド層17が第2の半導体層15の上に自己整合的に形成されるとともに、シリサイド層31もゲート電極30の上に自己整合的に形成される。
【0037】
図7は、被覆絶縁膜50を形成する工程を示す断面図である。第2の半導体層15とシリサイド層17、31が形成された後、
図7に示すように、被覆絶縁膜50が形成される。この工程では、膜厚tが約70nmとなり、かつ引張り内部応力が約1GPaから3GPaとなるように、被覆絶縁膜50は、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置で形成される。
【0038】
図8は、配線層間絶縁膜60を形成する工程を示す断面図である。被覆絶縁膜50が形成された後、
図8に示すように、配線層間絶縁膜60が形成される。この工程では、SOI層13の表面から配線層間絶縁膜60の表面までの高さhが、約500nmとなるように、配線層間絶縁膜60の表面は平坦化される。
【0039】
図9は、コンタクトホールを形成する工程を示す断面図である。配線層間絶縁膜60が形成された後、
図9に示すように、コンタクトホール70aがRIE(Reactive Ion Etching)にて形成される。同時に、コンタクトプラグ73(
図3)を形成するためのコンタクトホール(不図示)も形成される。このコンタクトホールの深さは、コンタクトホール70aの深さよりも浅い。この工程では、これらのコンタクトホールは、配線層間絶縁膜60を貫通して被覆絶縁膜50で終端している。すなわち、この工程では、被覆絶縁膜50は、エッチングストッパー膜として機能している。これにより、深さが異なるコンタクトホールを同時に形成することができる。
【0040】
図10は、被覆絶縁膜50を貫通するコンタクトホール70aを形成する工程を示す断面図である。この工程では、コンタクトホール70aは、配線層間絶縁膜60を貫通するためのRIEの条件とは別の条件にて、被覆絶縁膜50を貫通する。
【0041】
図11は、コンタクトプラグ70を形成する工程を示す断面図である。この工程では、コンタクトホール70aの内部に金属等の導電部材を埋め込むことによって、コンタクトプラグ70が形成される。この工程により、ゲート電極30の側面からコンタクトプラグ70までの長さLsg(
図2参照)は、約200nmとなる。この長さLsgは、ゲート電極30の端部からドレイン電極の端部までの長さ、またはゲート電極30の端部からソース電極の端部までの長さに相当する。その後、
図2に戻って、配線71が形成される。なお、この工程において、コンタクトホール70aと同時に形成された高さの異なるコンタクトホールにも導電部材を埋め込むことによって、コンタクトプラグ73と77が形成される。
【0042】
以上説明した本実施形態に係る高周波スイッチによれば、半導体装置1の被覆絶縁膜50は、エッチングストッパー膜の機能と、ストレスライナー膜の機能とを兼ね備えている。このストレスライナー膜として引張り内部応力を有することにより、被覆絶縁膜50が、チャネル領域14aに電流方向xの引張応力を与える。これにより、チャネル領域14aの電子移動度が増加するので、半導体装置1のオン抵抗が低減する。よって、高周波信号の挿入損失を低減することが可能となる。
【0043】
被覆絶縁膜50が、単にエッチングストッパー膜として機能する場合、必要最低限の膜厚は、一般的に、おおよそ30nm〜60nmである。しかし、本実施形態に係る高周波スイッチは、半導体装置1の被覆絶縁膜50をストレスライナー膜としても使用している。引張り内部応力を有するストレスライナー膜は膜厚が厚いほどチャネル領域14aを引っ張る応力が大きくなる。従って本実施形態では、70nmの膜厚を有する被覆絶縁膜50を設けることで、チャネル領域14aにより大きな引張り応力を与えている。
【0044】
また、n型MOSFETで構成された半導体装置1では、第1の半導体層14の電位、換言するとボディ電位がフローティング電位になると、ソース・ドレイン間に電圧が印加された時にボディ電位が上昇して寄生バイポーラ動作が発生する場合がある。この場合、オフ状態における耐圧が劣化する可能性がある。
そこで、本実施形態では、P
+領域18、ボディ電極77、および配線78によって、第1の半導体層14が外部へ引き出され、正孔が担うボディ電流がゲート電極30の長手方向に沿って流れることにより、第1の半導体層14の電位を制御することが可能となる。ゲート電極30の長手方向に沿った第1の半導体層14が、ボディ抵抗の主要な部分を構成する。ゲート長が、例えば、100nmより短い場合、第1の半導体層14が狭くなる。この場合、ボディ抵抗は増大して、ボディ電位が上昇するという問題が起こり得る。そこで、本実施形態では、ゲート電極30のゲート長は、100nmよりも長くなっている。
【0045】
一般に電流方向の引っ張り応力によって電子移動度が増加する一方、正孔移動度は減少する。もし正孔の移動度が減少すればボディ抵抗も増加する。しかしながら、被覆絶縁膜50の及ぼす引張り応力はチャネル電流方向xの一軸性であり、ボディ電流の方向とは垂直であるため、ボディ電流を担う正孔の移動度にほとんど影響を与えない。すなわち、ボディ電流がチャネル電流と垂直に流れる高周波スイッチの構造では、被覆絶縁膜50の一軸性引張り応力によってボディ電流を担う正孔の移動度が減少してボディ抵抗が増加する懸念はない。これに伴って、半導体装置1(n型MOSFET)のボディ電位の上昇が抑制されるので、寄生バイポーラ効果に起因する耐圧低下が起こりにくくなる。よって、許容入力電力を確保することが可能となる。
【0046】
本実施形態に係る半導体装置1を有する高周波スイッチに特有の効果について、一般的な集積回路と比較して説明する。
【0047】
第1に、高周波スイッチにおいて半導体装置1の被覆絶縁膜50の内部応力に対する電子移動度の増加率は、一般的な集積回路のn型MOSFETのそれよりも高くなる。以下、この理由について説明する。
【0048】
n型MOSFETには、ドレイン電流がドレイン・ソース間電圧に比例して増加する線形領域と、ドレイン・ソース間電圧が増加してもドレイン電流が飽和する飽和領域とがある。高周波スイッチのn型MOSFETは線形領域で動作する。換言すると、このn型MOSFETは、オン状態時のドレイン・ソース間のピーク電圧が100mV以下となる。一方、一般的な集積回路のn型MOSFETは、主に飽和領域で動作する。
【0049】
チャネル領域14aにおいて、飽和領域の使用時における電界強度は、線形領域の使用時における電界強度よりも高くなる。この電界強度が高いと、電子の速度が飽和して電子移動度が増加しにくくなる。すなわち、高周波スイッチの半導体装置1におけるチャネル領域14aの電界強度は、一般的な集積回路のn型MOSFETの電界強度よりも低くなるので、被覆絶縁膜50の内部応力に対する電子移動度の増加率が大きくなる。
【0050】
したがって、本実施形態の高周波スイッチによれば、半導体装置1の電子移動度の増加率が高くなってオン抵抗の低減効果を向上させることが可能となる。
【0051】
第2に、被覆絶縁膜50のチャネル領域14aに及ぼす応力が一般的な集積回路のn型MOSFETよりも大きくなる。以下、この理由について説明する。
【0052】
被覆絶縁膜50がチャネル領域14aに及ぼす応力は、被覆絶縁膜50の内部応力と被覆絶縁膜50の厚みの積に比例する。チャネル領域14aを引っ張る応力が大きいほど、電子移動度が増加してオン抵抗が低減するので、被覆絶縁膜50が厚いほど半導体装置1のオン抵抗が低減し、その結果、高周波信号の挿入損失が低減する。
【0053】
一般的な集積回路のn型MOSFETは、高速スイッチングの要求に応えるために微細化されている。従って、側壁絶縁膜からコンタクトプラグまでの長さが短くなる。そのため、厚い被覆絶縁膜を形成しようとした場合、コンタクトホールの形成が困難になる。その結果、被覆絶縁膜の厚さが制限され、オン抵抗の低減に寄与するに十分な応力をチャネル領域14aに及ぼすことが困難になる。なお、この長さは、被覆絶縁膜とSOI層とが接する面である応力伝達面の電流方向xに沿った長さに相当する。
【0054】
一方、本実施形態の高周波スイッチに設けられたn型MOSFETがターンオフすると、上述したように大きな電圧がドレイン・ソース間にかかる。そのため、単純に微細化を進めると、ターンオフ時の耐圧を確保することが困難になる。その結果、高周波スイッチ用途のn型MOSFETの寸法は、比較的大きい。例えば、ゲート長は、約100nmよりも長くなっている。
【0055】
したがって、本実施形態に係る高周波スイッチでは、半導体装置1に比較的厚い被覆絶縁膜50を形成できるように、側壁絶縁膜40からコンタクトプラグ70までの長さLslが十分に確保されている。その結果、被覆絶縁膜50がチャネル領域14aに及ぼす応力が大きくなって、オン抵抗の低減効果を向上させることが可能となる。また、応力伝達面の長さ(長さLsl)が長いことも、オン抵抗の低減に寄与する。
【0056】
第3に、被覆絶縁膜50の内部応力が、一般的な集積回路のn型MOSFETよりも効率よくチャネル領域14aに作用する。以下、この理由について説明する。
【0057】
本実施形態では、高周波スイッチ用途のn型MOSFETは、SOI基板10に形成されている。一方、一般的な集積回路のn型MOSFETは、比較的シリコン基板と半導体層との間に絶縁膜が設けられていないバルク基板に形成される。
【0058】
被覆絶縁膜50の膜厚tが厚くなると引張応力が大きくなるが、その効果は、バルク基板よりもSOI基板10の方が大きい。すなわち、SOI基板10を用いると、被覆絶縁膜50の内部応力がバルク基板よりもチャネル領域14aに伝わりやすくなる。これは、BOX層12の剛性がシリコンの剛性よりも低いこと、換言すると、被覆絶縁膜50がチャネル領域14aを引っ張る際の抵抗成分がバルク基板よりも低くなることに起因すると考えられる。
【0059】
したがって、本実施形態に係る半導体装置1によれば、被覆絶縁膜50の内部応力が、一般的な集積回路のn型MOSFETよりも効率よくチャネル領域14aに作用して、オン抵抗の低減効果を向上させることが可能となる。なお、SOI層13の厚さが薄い場合に、被覆絶縁膜50の内部応力を、チャネル領域14aにより有効に作用(伝達)させることができるため、SOI層13の厚さは薄い方が望ましい。具体的には、SOI層13の厚さは70nm以下であることが望ましい。
【0060】
上記のような薄いSOI層13の上に、側壁絶縁膜40を形成するときには、製法の都合上で側壁絶縁膜40に凹凸が生じる場合がある。この場合、被覆絶縁膜50が薄いと、引張り内部応力がチャネル領域14aに効果的に作用しない可能性がある。しかし、本実施形態では、被覆絶縁膜50の厚さが、側壁絶縁膜40の幅Lsw以上である。これにより、側壁絶縁膜40の凹凸が被覆絶縁膜50内に十分に埋められるので、チャネル領域14aに引張り内部応力を効果的に作用させることが可能となる。
【0061】
(変形例1)
図12は、変形例1に係る半導体装置の要部を模式的に示す平面図である。また、
図13は、変形例1に係る半導体装置の要部を模式的に示す断面図である。ここでは、上述した実施形態に係る半導体装置1と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0062】
図12に示すように、本変形例に係る半導体装置2では、活性領域A1における電流方向xの両端が、平面視において、最も外側に位置する配線71から1つのゲート電極分以上張り出している。換言すると、ゲート電極列の両端に位置するゲート電極30(第1のゲート電極)の中心から活性領域A1の電流方向xの周縁部までの長さL1が、ゲート電極30の中心間のピッチL2よりも長くなっている。
【0063】
また、
図13に示すように、半導体装置2の不活性領域A2では、STI(Shallow Trench Isolation)層80が、BOX層12の上に形成され、圧縮応力σpを生じさせている。この圧縮応力σpの向きは、チャネル領域14aに作用する引張応力の向きと反対である。そのため、この圧縮応力σpが、ゲート電極列の両端に位置するゲート電極30(第1のゲート電極)の直下に位置するチャネル領域14aに作用すると、このチャネル領域14aに作用する引張応力が、他のゲート電極30直下に位置する他のチャネル領域14aに作用する引張応力よりも小さくなる可能性がある。この場合、ゲート電極30間でオン抵抗の特性が不均一になるおそれがある。
【0064】
しかし、本変形例では、STI層80の圧縮応力σpがチャネル領域14aに作用しにくくなるように活性化領域A1の両端が広がっている。したがって、複数のゲート電極30間で均一なオン抵抗の特性を確保することが可能となる。
【0065】
(変形例2)
図14は、変形例2に係る半導体装置の要部を模式的に示す断面図である。ここでも、上述した実施形態に係る半導体装置1と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0066】
図14に示すように、本変形例では、活性化領域A1の最も外側に位置する配線71aと、配線71aの内側に位置する配線71bは、共に配線75または配線74に接続されている。これにより、配線71aの電位は、配線71bの電位と同電位になる。そのため、配線71aと配線71bの間に位置するゲート電極32(第1のゲート電極)に電圧が印加されても電流は流れない。すなわち、ゲート電極32はダミー電極となっている。
【0067】
本変形例においても、上述した変形1と同様に、ゲート電極列の両端に位置するゲート電極32は、STI層80から圧縮応力σpを受ける可能性がある。そのため、仮に、このゲート電極32が、ダミー電極でなくゲート電極30と同様にアクティブ電極である場合、ゲート電極32直下に位置するチャネル領域14aに作用する引張応力が、ゲート電極30直下に位置する他のチャネル領域14aに作用する引張応力よりも小さくなる可能性がある。この場合、ゲート電極32とゲート電極30との間でオン抵抗の特性が不均一になるおそれがある。
【0068】
しかし、本変形例では、ゲート電極32がダミー電極となっている。そのため、このゲート電極32の内側に配列された各ゲート電極30直下に位置するチャネル領域14aには、圧縮応力σpの影響が及ばず、引張応力が均一に作用する。よって、複数のゲート電極30間で均一なオン抵抗の特性を確保することが可能となる。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。