(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一端に形成された第1面と、他端に形成されて前記第1面に対向する第2面と、前記第1面の周縁と前記第2面の周縁とを繋ぐ側面と、を有する積木本体を備えた積木玩具において、
前記第1面は、前記側面に囲まれた内部空間の一端を閉鎖し、
前記第1面の表面の周縁には、他の積木本体と積み重ねた際、前記他の積木本体に接触可能な平坦面が形成され、
前記平坦面の内側には、前記第1面の表面から前記内部空間の外方に向けて起立した突起部が形成され、
前記突起部は、前記平坦面に沿った周面を有し、前記周面が突起中心に向かって傾いており、
前記第2面には、他の積木本体と積み重ねた際、前記他の積木本体に接する脚部が周縁に形成され、
前記脚部は、先端の内側に、前記突起部の周面に沿う傾斜角度で傾き、他の積木本体と積み重ねた際、前記他の積木本体の突起部の周面に接触する傾斜面が形成されている
ことを特徴とする積木玩具。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の積木玩具を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【0010】
(実施例1)
まず、実施例1の積木玩具の構成を、「全体構成」、「第1積木本体の詳細構成」、「第2積木本体の詳細構成」に分けて説明する。
【0011】
[全体構成]
図1及び
図2は、実施例1の積木玩具が有する第1積木本体と第2積木本体を示す斜視図であり、
図1は外観を示し、
図2は下方から見たときの外観を示す。以下、
図1及び
図2に基づいて、実施例1の積木玩具の全体構成を説明する。
【0012】
実施例1の積木玩具1は、並べたり積み重ねたり、崩したりして遊ぶ玩具であり、
図1に示すように、第1積木本体10(積木本体)と、第2積木本体20(積木本体)と、を有している。この第1,第2積木本体10,20は、それぞれインジェクション成形等によってポリプロピレンやポリエチレンで一体的に形成されている。なお、第1,第2積木本体10,20を形成する材質については、これに限定されるものではなく、その他の合成樹脂や木材等であってもよい。
【0013】
また、第1,第2積木本体10,20は、いずれも長方形の天面11,21(第1面)と、天面11,21の周縁から垂下した4つの側面12,22と、天面11,21から上方に突出した複数の突起部13,23と、天面11,21に対向すると共に開放した長方形の底面14,24(第2面)と、を有し、直方体形状を呈している。
【0014】
ここで、第1積木本体10に対し、第2積木本体20は、短手方向の長さ寸法及び長手方向の長さ寸法がそれぞれ√2倍に設定され、高さが1.5倍に設定されている。また、それぞれの天面11,21や側面12,22の厚み寸法や、突起部13,23の突出寸法は同等に設定されている。
【0015】
さらに、第1,第2積木本体10,20は、
図2に示すように、それぞれ長手方向の一方の端部の肉厚が、他方の端部の肉厚よりも厚くなっている。これにより、各積木本体10,20は、いずれも長手方向の一方の端部が、他方の端部よりも重くなっている。そして、それぞれの天面11,21の表面11a,21a及び一部の側面12,22の表面には、長手方向の方向性、すなわち重くなっている方の長手方向の端部を明示する目印M(ここでは、動物の顔面イラスト及び矢印)が設けられている。
【0016】
そして、第1,第2積木本体10,20は、天面11,21の裏面11b,21bから垂下し、側面12,22に囲まれた内部空間Kを区画するリブ15,25を有している。
【0017】
[第1積木本体の詳細構成]
図3は、実施例1の第1積木本体の平面図であり、
図4及び
図5は、第1積木本体の断面図である。以下、
図1〜
図5に基づき、実施例1の第1積木本体の詳細構成を説明する。
【0018】
前記第1積木本体10は、上述のように、天面11と、側面12と、突起部13と、を有する直方体形状を呈している。
ここで、この第1積木本体10は、長手方向寸法L
L1が、自身(第1積木本体10)の短手方向寸法L
S1の2倍の長さに設定されている。
【0019】
また、天面11の表面11aの周縁には、他の第1積木本体10や第2積木本体20を載置可能な平坦面16が形成されている。この平坦面16は、天面11の周縁の全周を取り囲んでいる。
なお、平坦面16の幅寸法W
11は、第1積木本体10の側面12の先端面12aの幅寸法W
13や、第2積木本体20の側面22の先端面22aの幅寸法W
23と同等に設定されている。
【0020】
そして、この平坦面16の内側、すなわち天面11の表面11aのうち平坦面16によって取り囲まれた領域に、複数の突起部13が形成されている。各突起部13は、表面11aから起立した周面13aと、周面13aの先端に形成された平坦な先端面13bと、を有している。ここで、周面13aは、先端面13bの中心位置に設定される突起中心Oに向かって傾いている。
【0021】
そして、複数の突起部13のうち、平坦面16に隣接した突起部13は、この平坦面16に沿う周面13aを有している。つまり、平坦面16に隣接した突起部13は、周面13aの一部が平坦面16に沿って延びている。
【0022】
さらに、突起部13同士の間には、他の第1積木本体10や第2積木本体20を載置可能な隙間部17が形成されている。すなわち、突起部13は、自身の周面13aと、対向する他の突起部13の周面13aとの間に、直線状の隙間部17を形成する。この隙間部17は、ある突起部13の周面13aと、天面11の表面11aからなる底面17aと、ある突起部13に隣接する他の突起部13の周面13aと、によって区画された直線空間である。ここでは、隙間部17は、平坦面16に取り囲まれた領域を長手方向に四等分する位置と、平坦面16に取り囲まれた領域を短手方向に二等分する位置と、平坦面16に取り囲まれた領域を長手方向に二等分した各領域を、それぞれ対角線に沿って四等分する位置と、に形成されている。これにより、各突起部13は、三角柱形状を呈している。
【0023】
また、この隙間部17の底面17aの幅寸法W
12は、第1積木本体10の側面12の先端面12aの幅寸法W
13や、第2積木本体20の側面22の先端面22aの幅寸法W
23の2倍の大きさに設定されている。
なお、目印Mのうちの「矢印」については、この隙間部17に沿って天面11の表面11aの一部をシボ加工し、表面に細かい凹凸を形成することで設けられている。
【0024】
前記側面12は、天面11の周縁から垂下され、先端12´によって底面14を区画する。すなわち、この側面12の先端12´が、ここでは開放している底面14の周縁に形成される脚部に相当する。この側面12の先端12´には、平坦な先端面12aが形成されると共に、この先端面12aの内側縁を斜めに傾斜させることで傾斜面12bが形成されている。
【0025】
前記先端面12aは、第1積木本体10を、他の第1積木本体10や第2積木本体20の天面11,21上に載置したときに、他の第1積木本体10や第2積木本体20の平坦面16,26や隙間部17,27の底面17a,27aに接触する。先端面12aの幅寸法W
13は、側面12の厚み寸法αの半分の大きさに設定されている。
【0026】
前記傾斜面12bは、先端面12aに対し、突起部13の周面13aに沿う傾斜角度で傾いている。そしてこの傾斜面12bは、第1積木本体10を、他の第1積木本体10や第2積木本体20の天面11,21上に載置したときに、他の第1積木本体10や第2積木本体20の突起部13,23の周面13a,23aに接触する。
【0027】
前記リブ15は、上述のように、天面11の裏面11bから垂下され、内部空間Kを長手方向に二等分するが、このリブ15の先端には、平坦なリブ先端面15aが形成されると共に、このリブ先端面15aの両側縁を斜めに傾斜させることで、リブ傾斜面15bが形成されている。
【0028】
前記リブ先端面15aは、第1積木本体10を、他の第1積木本体10や第2積木本体20の天面11,21上に載置したときに、他の第1積木本体10や第2積木本体20の平坦面16,26や隙間部17,27の底面17a,27aに接触する。リブ先端面15aの幅寸法W
14は、第1積木本体10の側面12の先端面12aの幅寸法W
13や、第2積木本体20の側面22の先端面22aの幅寸法W
23の2倍の大きさに設定されている。
【0029】
前記リブ傾斜面15bは、リブ先端面15aに対し、突起部13の周面13aに沿う傾斜角度で傾いている。そしてこのリブ傾斜面15bは、第1積木本体10を、他の第1積木本体10や第2積木本体20の天面11,21上に載置したときに、他の第1積木本体10や第2積木本体20の突起部13,23の周面13a,23aに接触する。
【0030】
そして、この第1積木本体10は、上述のように、長手方向の一方の端部の肉厚が、他方の端部の肉厚よりも厚くなっているが、ここでは、長手方向の一端部の側面12Aの内側(裏面)に、厚肉部材18(
図2においてドットで着色する部分)を接着剤にて貼着している。
この厚肉部材18は、長手方向の一端部の側面12Aの厚み寸法を内側に向かって増大させる。なお、この厚肉部材18は、
図4に示すように、傾斜面12bには干渉しない部分に貼着されている。また、厚肉部材18が貼着された長手方向の一端部に位置する側面12Aの表面には、目印Mのうちの「動物の顔面イラスト」がプリントされている。
【0031】
[第2積木本体の詳細構成]
図6は、実施例1の第2積木本体の平面図であり、
図7及び
図8は、第2積木本体の断面図である。以下、
図1,
図2及び
図6〜
図8に基づき、実施例1の第2積木本体の詳細構成を説明する。
【0032】
前記第2積木本体20は、上述のように、天面21と、側面22と、突起部23と、を有する直方体形状を呈している。
ここで、この第2積木本体20は、長手方向寸法L
L2が、自身(第2積木本体20)の短手方向寸法L
S2の2倍の長さに設定されている。さらに、この第2積木本体20は、短手方向寸法L
S2が第1積木本体10の短手方向寸法L
S1の√2倍の長さに設定され、長手方向寸法L
L2が第1積木本体10の長手方向寸法L
L1の√2倍の長さに設定されている。
【0033】
天面21の表面21aの周縁には、第1積木本体10や他の第2積木本体20を載置可能な平坦面26が形成されている。この平坦面26は、天面21の周縁の全周を取り囲んでいる。
なお、平坦面26の幅寸法W
21は、第1積木本体10の側面12の先端面12aの幅寸法W
13や、第2積木本体20の側面22の先端面22aの幅寸法W
23と同等に設定されている。
【0034】
そして、この平坦面26の内側、すなわち天面21の表面21aのうち平坦面26によって取り囲まれた領域に、複数の突起部23が形成されている。各突起部23は、表面21aから起立した周面23aと、周面23aの先端に形成された平坦な先端面23bと、を有している。ここで、周面23aは、先端面23bの中心位置に設定される突起中心Oに向かって傾いている。
【0035】
そして、複数の突起部23のうち、平坦面26に隣接した突起部23は、この平坦面26に沿う周面23aを有している。つまり、平坦面26に隣接した突起部23は、周面23aの一部が平坦面26に沿って延びている。
【0036】
さらに、突起部23同士の間には、第1積木本体10や他の第2積木本体20を載置可能な隙間部27が形成されている。すなわち、突起部23は、自身の周面23aと、対向する他の突起部23の周面23aとの間に、直線状の隙間部27を形成する。この隙間部27は、ある突起部23の周面23aと、天面21の表面21aからなる底面27aと、ある突起部23に隣接する他の突起部23の周面23aと、によって区画された直線空間である。ここでは、隙間部27は、平坦面26に取り囲まれた領域を長手方向に四等分する位置と、平坦面26に取り囲まれた領域を短手方向に二等分する位置と、平坦面26に取り囲まれた領域を長手方向に四等分し短手方向に二等分した各領域を、それぞれ対角線に沿って四等分する位置と、に形成されている。これにより、各突起部23は、三角柱形状を呈している。
【0037】
また、この隙間部27の底面27aの幅寸法W
22は、第1積木本体10の側面12の先端面12aの幅寸法W
13や、第2積木本体20の側面22の先端面22aの幅寸法W
23の2倍の大きさに設定されている。
なお、目印Mのうちの「矢印」については、この隙間部27に沿って天面21の表面21aの一部をシボ加工し、表面に細かい凹凸を形成することで設けられている。
【0038】
前記側面22は、天面21の周縁から垂下され、先端22´によって底面28を区画する。すなわち、この側面22の先端22´が、ここでは開放している底面24の周縁に形成される脚部に相当する。この側面22の先端22´には、平坦な先端面22aが形成されると共に、この先端面22aの内側縁を斜めに傾斜させることで傾斜面22bが形成されている。
【0039】
前記先端面22aは、第2積木本体20を、第1積木本体10や他の第2積木本体20の天面11,21上に載置したときに、第1積木本体10や他の第2積木本体20の平坦面16,26や隙間部17,27の底面17a,27aに接触する。先端面22aの幅寸法W
23は、側面22の厚み寸法βの半分の大きさに設定されている。
【0040】
前記傾斜面22bは、先端面22aに対し、突起部23の周面23aに沿う傾斜角度で傾いている。そしてこの傾斜面22bは、第2積木本体20を、第1積木本体10や他の第2積木本体20の天面11,21上に載置したときに、第1積木本体10や他の第2積木本体20の突起部13,23の周面13a,23aに接触する。
【0041】
前記リブ25は、上述のように、天面21の裏面21bから垂下され、内部空間Kを長手方向に二等分するが、このリブ25の先端には、平坦なリブ先端面25aが形成されると共に、このリブ先端面25aの両側縁を斜めに傾斜させることで、リブ傾斜面25bが形成されている。
【0042】
前記リブ先端面25aは、第2積木本体20を、第1積木本体10や他の第2積木本体20の天面11,21上に載置したときに、第1積木本体10や他の第2積木本体20の平坦面16,26や隙間部17,27の底面17a,27aに接触する。リブ先端面25aの幅寸法W
24は、第1積木本体10の側面12の先端面12aの幅寸法W
13や、第2積木本体20の側面22の先端面22aの幅寸法W
23の2倍の大きさに設定されている。
【0043】
前記リブ傾斜面25bは、リブ先端面25aに対し、突起部23の周面23aに沿う傾斜角度で傾いている。そしてこのリブ傾斜面25bは、第2積木本体20を、第1積木本体10や他の第2積木本体20の天面11,21上に載置したときに、第1積木本体10や他の第2積木本体20の突起部13,23の周面13a,23aに接触する。
【0044】
そして、この第2積木本体20は、上述のように、長手方向の一方の端部の肉厚が、他方の端部の肉厚よりも厚くなっているが、ここでは、長手方向の一端部の側面22Aの内側(裏面)に、厚肉部材28(
図2においてドットで着色する部分)を接着剤にて貼着している。
この厚肉部材28は、長手方向の一端部の側面22Aの厚み寸法を内側に向かって増大させる。なお、この厚肉部材28は、
図7に示すように、傾斜面22bには干渉しない部分に貼着されている。また、厚肉部材28が貼着された長手方向の一端部に位置する側面22Aの表面には、目印Mのうちの「動物の顔面イラスト」がプリントされている。
【0045】
次に、実施例1の積木玩具における作用を、「積み上げ時位置決め作用」、「崩し容易作用」、「積み上げ性向上作用」、「積み上げ時かしめ作用」、「その他の特徴的作用」に分けて説明する。
【0046】
[積み上げ時位置決め作用]
実施例1の積木玩具1において、複数の第1積木本体10同士、又は、複数の第2積木本体20同士、或いは、第1積木本体10と第2積木本体20は、それぞれ互いに積み上げることが可能である。
【0047】
すなわち、
図9Aに示すように、ある第1積木本体101を、側面12同士が揃うように他の第1積木本体102の天面11上に積み上げたときには、上側に位置する第1積木本体101の側面12の先端面12aは、すべての部分が下側に位置する第1積木本体102の平坦面16に接触し、第1積木本体102上に載置される。また、このとき、上側に位置する第1積木本体101のリブ15のリブ先端面15aは、下側に位置する第1積木本体102の隙間部17の底面17aに接触する。
【0048】
一方、このとき、上側に位置する第1積木本体101の傾斜面12bは、下側に位置する第1積木本体102の平坦面16に隣接した突起部13の周面13aに接触する。また、上側に位置する第1積木本体101のリブ15のリブ傾斜面15bは、下側に位置する第1積木本体102の隙間部17を区画する突起部13の周面13aに接触する。
【0049】
これにより、上下に位置する第1積木本体101,102に対して水平方向に力が掛かり、互いの位置がずれようとすれば、上側に位置する第1積木本体101の傾斜面12bと、下側に位置する第1積木本体102の突起部13の周面13aが干渉する。また、上側に位置する第1積木本体101のリブ傾斜面15bと、下側に位置する第1積木本体102の突起部13の周面13aが干渉する。
このため、上下に位置する第1積木本体101,102は、互いの位置ずれを防止することができ、側面12同士が揃った状態を維持することができる。この結果、複数の第1積木本体同士を、側面12を揃えた状態で容易に積み上げることができる。
【0050】
また、
図9Bに示すように、平面上に並べた二つの第1積木本体103,104の上に、これら二つの第1積木本体103,104を跨いでさらに第1積木本体105を積み上げる場合では、上側に位置する第1積木本体105の側面12の先端面12aは、一部分が下側に位置する第1積木本体103,104の平坦面16に接触し、他の部分が下側に位置する第1積木本体103,104の隙間部17の底面17aに接触し、二つの第1積木本体103,104の上に第1積木本体105が載置される。また、このとき、上側に位置する第1積木本体105のリブ15のリブ先端面15aは、下側に位置する第1積木本体103,104の平坦面16に接触する。
【0051】
一方、このとき、上側に位置する第1積木本体105の傾斜面12b及びリブ15のリブ傾斜面15bは、すべての部分が、下側に位置する第1積木本体103,104に形成されたいずれかの突起部13の周面13aに接触する。
【0052】
これにより、上下に位置する第1積木本体103〜105に対して水平方向に力が掛かり、互いの位置がずれようとしても、上側に位置する第1積木本体105の傾斜面12bやリブ傾斜面15bと、下側に位置する第1積木本体103,104の突起部13の周面13aが干渉し、互いの位置ずれを防止することができる。つまり、側面12同士が揃った状態でなくても、積み上げ状態を維持することができ、複数の第1積木本体10同士の位置ずれを防止することができる。
【0053】
また、複数の第2積木本体20を積み上げるときも同様であり、図示はしないが、上側に位置する第2積木本体20の傾斜面22bやリブ傾斜面25bと、下側に位置する第2積木本体20の突起部23の周面23aが干渉し、互いの位置ずれを防止して、希望の積み上げ状態を維持することができる。
【0054】
さらに、第1積木本体10と第2積木本体20とを積み上げる場合であっても、図示はしないが、上述の複数の第1積木本体10や複数の第2積木本体20を積み上げるときと同様に、上側に位置する積木本体(第1積木本体10又は第2積木本体20)の傾斜面(12b又は22b)やリブ傾斜面(15b又は25b)と、下側に位置する積木本体(第2積木本体20又は第1積木本体10)の突起部(23又は13)の周面(23a又は13a)が干渉する。これにより、上側に位置する積木本体部の傾斜面やリブ傾斜面が、下側に位置する積木本体の突起部の周面に干渉し、互いの位置ずれを防止して、整然と積み上げることができ、希望の積み上げ状態を維持することができる。
【0055】
なお、この実施例1では、第1,第2積木本体10,20が、いずれもリブ15,25を有しており、このリブ15,25の先端に突起部13,23の周面13a,23aに沿って傾斜したリブ傾斜面15b,25bが形成されている。
そのため、側面12,22の先端に形成された傾斜面12b,22bだけが下側に位置する突起部13,23の周面13a,23aに接触して位置ずれを防止する場合よりも、上下に位置する積木本体同士の接触面積を増加させ、位置決め安定性をより向上させることができる。
さらに、リブ15,25を形成したことで、第1,第2積木本体10,20の強度を向上させることができる。
【0056】
[崩し容易作用]
上述のように、第1積木本体10や第2積木本体20を他の積木本体に積み上げたときには、上側に位置する積木本体の傾斜面やリブ傾斜面が、下側に位置する積木本体の突起部の周面に接触して位置決めがなされる。
【0057】
ここで、突起部13,23は、いずれも周面13a,23aが突起中心Oに向かって傾いている。そして、傾斜面12b,22b及びリブ傾斜面15b,25bは、突起部13,23の周面13a,23aに沿う傾斜角度で傾いている。そのため、上側に位置する積木本体の側面の内側に、下側に位置する積木本体の突起部が嵌合することがなく、上下の積木本体が連結することはない。つまり、上下に位置する積木本体同士を、位置決めしつつも単に載置されただけの状態とすることができる。
【0058】
これにより、上側に位置する積木本体に対して一定以上の力が作用した場合や、下側に位置する積木本体を傾けた場合には、上側に位置する積木本体を容易に落下させることができる。そして、積み上げた状態の複数の積木本体を、容易に崩すことが可能である。
【0059】
この結果、例えば第1,第2積木本体10,20を積み上げることで家やビル等の建物を組み立てたあと、ロボットや怪獣のおもちゃで建物を破壊するといった遊び方をすることができる。つまり、崩すことが遊びになる積木として用いることができる。
【0060】
[積み上げ性向上作用]
実施例1の第1,第2積木本体10,20は、天面11,21が長方形に形成されて、直方体形状を呈している。そして、いずれも長手方向の一端に厚肉部材18,28が設けられ、この長手方向の一方の端部が、他方の端部よりも重くなっている。つまり、第1,第2積木本体10,20は、いずれも長手方向の重量に違いを持たせている。
【0061】
そのため、この比較的重くなっている部分の先端面12a,22aが、下側に位置する積木本体の天面に接触するように積み上げることで、
図10に示すように、上側に位置する積木本体(ここでは第1積木本体106)の比較的軽い方の長手方向端部を、下側に位置する積木本体(ここでは第1積木本体107)の天面から突出させた状態であっても、安定して積み上げることができる。
【0062】
なお、この実施例1では、厚肉部材18,28を第1積木本体10の側面12や第2積木本体20の側面22とは別部材としている。そのため、側面12,22にひけが発生することを防止できる。
【0063】
また、この実施例1では、第1,第2積木本体10,20の表面には、長手方向の方向性(重くなっている方の端部)を明示する目印Mが設けられている。そのため、複数の第1積木本体10や第2積木本体20を積み上げる際に、長手方向のどちらの端部の重量が重たくなっているかを容易に把握することができる。これにより、適切な状態で容易に積み上げることができる。
【0064】
しかも、実施例1のように、天面11,21と側面12,22の両方に目印Mを設けることで、目印Mの視認性を高めることができるとともに、第1,第2積木本体10,20の意匠性を向上させることができる。つまり、目印Mを設けることで、第1,第2積木本体10,20の方向性(前後・左右・上下)が定まり、この第1,第2積木本体10,20を容易にキャラクター化することが可能となる。
【0065】
[積み上げ時かしめ作用]
実施例1では、第1積木本体10や、第2積木本体20を積み上げていく際、互いの位置ずれを防止して、整然と積んでいくことができるため、上に積まれた積木本体の重みによって、下側の積木本体の位置を安定させることができる。
【0066】
すなわち、
図10に示す第1積木本体107において、一点鎖線で囲んだA部には、上に2個の第1積木本体108,109がずれることなく積み上げられている。そのため、このA部は、上方から押さえられた状態となる。これにより、下側に位置する積木本体(第1積木本体107)のうち、下方から支えられていない部分(最下層に位置する第1積木本体110から突出したB部)にも、他の積木本体(ここでは、第1積木本体106)を積み足していくことが可能になる。
【0067】
なお、
図10に示す第1積木本体106や、第1積木本体109のように、他の積木本体を積んでいなければ、上方から押さえられることがない。そのため、下方から支えられていない部分に他の積木本体を積み足そうとすれば、バランスが崩れて積み上げ状態が崩れてしまう。
この結果、例えば、積み上げ方や積み上げ数等をルール化し、複数の積木本体を積み上げていくことをゲームにして遊ぶことが可能となる。
【0068】
[その他の特徴的作用]
実施例1の第1,第2積木本体10,20では、天面11,21及び底面14,24が長方形(矩形状)に形成されて直方体形状(方体形状)を呈している。また、突起部13,23は、天面11,21から複数突出すると共に、それぞれ平坦面16,26に沿った周面13a,23a又は他の突起部13,23との間に直線状の隙間部17,27を形成する周面13a,23aの少なくとも一つを有している。
【0069】
そのため、
図9A〜
図10に示すように、複数の第1積木本体10や複数の第2積木本体20同士を積み上げた際、側面12,22を揃えて、整然とした状態で積み上げることができる。また、この側面12,22が揃うことで、この側面12,22に設けた模様や図柄を揃えたり、合わせて一つの大きな模様等にしたりするなどができ、玩具としての面白みをさらに向上させることができる。
【0070】
さらに、この実施例1では、第1積木本体10及び第2積木本体20は、いずれも長方形の天面11,21の長手方向寸法L
L1,L
L2が、自身の短手方向寸法L
S1,L
S2の2倍の長さに設定されている。一方、平坦面16,26は、天面11,21の表面周縁に形成されている。また、隙間部17,27は、平坦面16,26に取り囲まれた領域を長手方向に四等分する位置と、この領域を短手方向に二等分する位置と、に形成されている。
そのため、
図9A〜
図10に示すように、同じ積木本体同士を積み重ねるときには、互いの長手方向が直交又は平行になる状態で積み上げることができる。
また、二つの第1積木本体10を並べたとき、又は、二つの第2積木本体20を並べたときには、それぞれ平面視したときに正方形を形作ることができる。
【0071】
しかも、第2積木本体20は、短手方向寸法L
S2が第1積木本体10の短手方向寸法L
S1√2倍に設定され、長手方向寸法L
L2が第1積木本体10の長手方向寸法L
L1の√2倍の長さに設定されている。
また、第1積木本体10では、隙間部17が、平坦面16に取り囲まれた領域を長手方向に二等分した各領域を、それぞれ対角線に沿って四等分する位置に形成され、第2積木本体20では、隙間部27が、平坦面26に取り囲まれた領域を長手方向に四等分し短手方向に二等分した各領域を、それぞれ対角線に沿って四等分する位置に形成されている。
つまり、第1積木本体10及び第2積木本体20は、いずれも平坦面16,26の延在方向に対して、延在方向が斜めに設定された隙間部17,27を有している。
【0072】
これにより、第1積木本体10と第2積木本体20とを積み上げる場合では、
図11に示すように、第1積木本体10の長手方向と、第2積木本体20の長手方向とが45度ずれた状態で積み上げることができる。また、
図11に示すように、平面視で正方形になるように水平方向に並べた第1,第2積木本体10,20同士を重ねる際、それぞれの中心位置を位置させれば、第2積木本体20で形成した直方体の隅角部を、第1積木本体10で形成した直方体の周縁部に一致させた状態で積み上げることができる。
さらにこのとき、第1積木本体10の側面12は、第2積木本体20の対角線に平行になり、第2積木本体20の側面22は、第1積木本体10の対角線に平行になる。そのため、整然と積み上げることができ、積み上げ状態のバリエーションを増やして、玩具としての面白さを向上させることができる。
【0073】
しかも、この実施例1では、第1積木本体10の高さ寸法に対し、第2積木本体20の高さ寸法を1.5倍に設定している。そのため、第1積木本体10を3個積んだ高さと、第2積木本体20を2個積んだ高さとを一致させることができ、より整然と積み上げ、また積み上げバリエーションの増大を図ることができる。
【0074】
次に、効果を説明する。
実施例1の積木玩具にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0075】
(1) 一端に形成された第1面(天面11)と、他端に形成されて前記第1面(天面11)に対向する第2面(底面14)と、前記第1面(天面11)の周縁と前記第2面(底面14)の周縁とを繋ぐ側面12と、を有する積木本体(第1積木本体10)を備えた積木玩具において、
前記第1面(天面11)には、他の積木本体(他の第1積木本体10)と積み重ねた際、前記他の積木本体(他の第1積木本体10)に接触可能な平坦面16が周縁に形成されていると共に、前記平坦面16の内側に突起部13が形成され、
前記突起部13は、前記平坦面16に沿った周面13aを有し、前記周面13aが突起中心Oに向かって傾いており、
前記第2面(底面14)には、他の積木本体(他の第1積木本体10)と積み重ねた際、前記他の積木本体(他の第1積木本体10)に接触する脚部(先端12´)が周縁に形成され、
前記脚部(先端12´)は、先端の内側に、前記突起部13の周面13aに沿う傾斜角度で傾き、前記積木本体(第1積木本体10を他の積木本体(他の第1積木本体10)と積み重ねた際、前記他の積木本体(他の第1積木本体10)の突起部13の周面13aに接触する傾斜面12bが形成されている構成とした。
これにより、複数の積木本体(第1積木本体10)を積み上げた際には位置ずれを防止して容易に揃えることができる一方、各積木本体(第1積木本体10)が連結されることはなく簡単に崩すことができる。
【0076】
(2) 前記積木本体(第1積木本体10)は、前記第1面(天面11)及び前記第2面(底面14)が矩形状に形成されて方体形状を呈し、
前記突起部13は、前記第1面(天面11)から複数突出すると共に、それぞれ前記平坦面16に沿った周面13a又は他の突起部13との間に直線状の隙間部17を形成する周面13aの少なくとも一つを有する構成とした。
これにより、(1)の効果に加え、側面12を揃えた状態で積み上げることができ、玩具としての面白みをさらに向上させることができる。
【0077】
(3) 前記積木本体(第1積木本体10)は、前記第1面(天面11)及び第2面(底面14)が長方形に形成されて直方体形状を呈し、長手方向の一方の端部が、他方の端部よりも重くなっている構成とした。
これにより、(2)の効果に加え、下側の積木本体(第1積木本体10)に対して、上側の積木本体(他の第1積木本体10)の一部を突出させた状態で積み上げても、安定して積み上げることができる。
【0078】
(4) 前記積木本体(第1積木本体)の表面11aには、長手方向の方向性を明示する目印Mが設けられている構成とした。
これにより、(3)の効果に加え、長手方向のどちらの端部の重量が重たくなっているかを容易に把握することができる。
【0079】
(5) 前記積木本体(第1積木本体10)は、前記第1面(天面11)の裏面11bから垂下し、前記側面12に囲まれた内部空間Kを区画するリブ15を有すると共に、前記第2面(底面14)は開放し、
前記リブ15の垂下寸法は、前記側面12の垂下寸法と同等に設定されると共に、前記リブ15の先端に、前記突起部13の周面13aに沿って傾斜し、前記積木本体(第1積木本体10)を他の積木本体(他の積木本体10)と積み重ねた際、前記他の積木本体(他の積木本体10)の突起部13の周面13aに接触するリブ傾斜面15bが形成されている構成とした。
これにより、下に位置する積木本体同士の接触面積を増加させ、位置決め安定性をより向上させることができる。
【0080】
(6) 前記第1面(天面11)及び前記第2面(底面14)が長方形に形成されて直方体形状を呈すると共に、長手方向寸法L
L1が自身の短手方向寸法L
S1の2倍の長さに設定された第1積木本体10と、
前記第1面(天面11)及び前記第2面(底面14)が長方形に形成されて直方体形状を呈すると共に、長手方向寸法L
L2が自身の短手方向寸法L
S2の2倍の長さに設定され、且つ、短手方向寸法L
S2が前記第1積木本体10の短手方向寸法L
S1の√2倍の長さに設定された第2積木本体20と、
を有する構成とした。
これにより、第1積木本体10の長手方向と、第2積木本体20の長手方向が45度ずれた状態で積み上げることができ、積み上げ状態のバリエーションを増やすことができる。
【0081】
以上、本発明の積木玩具を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0082】
上記実施例1では、第1積木本体10及び第2積木本体20が、いずれも天面11,21に形成された平坦面16,26の延在方向に対して、延在方向が斜めになった隙間部17,27を有し、突起部13,23がいずれも三角柱形状を呈している。しかしながら、これに限らず、例えば
図12に示す積木本体30のように、天面31の周縁に形成された平坦面36に囲まれた領域を長手方向に四等分する位置と、短手方向に二等分する位置とに隙間部37を設け、平坦面36の延在方向に対して、隙間部37の延在方向を平行又は直交させるだけでも良い。
この場合では、各突起部33が四角柱形状を呈し、
図13に示すように、複数の積木本体30を積み上げた際、各積木本体30の長手方向は、平行又は直交した状態となる。
【0083】
さらに、実施例1では、積木本体の上に他の積木本体を積み上げる例を示したが、これに限らない。例えば、
図14に示すように、多数の突起3が形成されたプレート部材4の上に、複数の第1積木本体10や複数の第2積木本体20を積み上げてもよい。
この場合であっても、最下層に位置する第1,第2積木本体10,20の傾斜面12b,22bが、プレート部材4に形成された突起3の周面に接触し、位置ずれを防止して、整然と積み上げていくことができる。
【0084】
そして、実施例1では、天面11,21及び底面14,24が長方形であって、直方体形状を呈した第1,第2積木本体10,20を示したが、これに限らない。天面及び底面が正方形や三角形等の多角形であってもよいし、
図15に示すように天面41及び底面が円形の円柱体や、天面及び底面が楕円形や星形などであってもよい。さらに、天面11,21に形成される突起部13,23も複数でなくてもよく、
図15に示す積木本体40のように、天面41に突起部43を一つだけ設けたものであってもよい。
この場合であっても、積み重ねた積木本体40同士の位置決めができ、容易に揃えた状態で積み上げることができる。また、簡単に崩すことも可能である。
【0085】
そして、実施例1では、第2面である底面14,24が開放した例を示したが、これに限らず、例えば、
図16に示す積木本体50ように、第2面51が閉鎖されていてもよい。この場合、平坦な第2面51の周縁から脚部52が突出し、脚部52の先端には先端面52a及び傾斜面52bが形成されている。一方、第1面53には、図示しない平坦面と複数の突起部54が形成されている。
【0086】
さらに、実施例1では、第1,第2積木本体10,20を積み重ねる際、積木本体の天面11,21上に、他の積木本体を載置する例を示したが、積み重ね方はこれに限らない。すなわち、下側に位置する積木本体の第2面の上に、他の積木本体を載置することで、複数の積木本体を積み重ねてもよい。つまり、突起部が形成された第1面と、脚部が形成された第2面とは、どちらを上方に向けて積み重ねてもよい。いずれの場合であっても、突起部と脚部とが干渉し、積み上げ時に位置ずれを防止して容易に揃えることができる。
【0087】
また、実施例1では、第1,第2積木本体10,20の長手方向の一方の端部を、他方の端部よりも重たくするため、厚肉部材18,28を設けた例を示した。しかし厚肉部材18,28を側面12,22と一体に形成してもよい。なお、側面12,22を肉厚にすることで、厚みによってはひけの発生が懸念される。そのため、実施例1のように、厚肉部材18,28を、側面12,22に対して別部品とすることが好ましい。
また、重量を重たくするためには、例えば天面11,21の裏面11b,21bにボルトや金属プレートを設けることで積木本体の長手方向の一方の端部を重たくしたり、天面11,21や側面12,22の一部に肉抜き部分(穴やへこみ等)を設けることで長手方向一方の端部を軽くしたりしてもよい。すなわち、直方体形状に形成された積木本体の長手方向の重量バランスを不均等にすることで、複数の積木本体が上下にずれた状態であっても安定して積み上げることができる。
【0088】
さらに、実施例1の第1積木本体10及び第2積木本体20では、長手方向の方向性を示す目印Mを、天面11に設けた「矢印」と、側面12に設けた「動物の顔面イラスト」とし、重たくなっている方の長手方向端部を示す例を示した。しかし、これに限らず、例えば天面11の一部をへこませたり、側面12の一部の色を変えたりすることで目印としてもよい。また、目印は、軽くなるように設定された方の手方向端部を示すものであってもよい。
【0089】
そして、実施例1では、第1,第2積木本体10,20は、いずれも長手方向寸法が自身の短手方向寸法の2倍の長さに設定されている。また、第2積木本体20は、第1積木本体10に対して縦横寸法をそれぞれ√2倍に設定され、高さ寸法が1.5倍に設定されている。しかしながら、各積木本体の寸法の比率はこれに限らず、任意に設定することができる。これにより、様々な大きさの積木本体を形成することができ、さらに遊びの幅を広げることができる。