(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記マイクロコントローラが、ランダムアクセスメモリの保持に0.1マイクロアンペア以下の電気的エネルギーを必要とするマイクロコントローラを含む、請求項2に記載の方法。
前記マイクロコントローラが、リアルタイムクロックモード動作に0.8マイクロアンペア以下の電気的エネルギーを必要とするマイクロコントローラを含む、請求項2に記載の方法。
前記マイクロコントローラが、活性動作100万命令/秒当たり250マイクロアンペア以下の電気的エネルギーを必要とするマイクロコントローラを含む、請求項1に記載の方法。
前記マイクロコントローラによって実行可能で、前記コンタクトレンズを構成する構成要素の状態を変化させる、実行可能なコードを、前記データ格納部分内に格納するステップを更に含む、請求項11に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、内部に組み込んだマイクロコントローラを備える眼科用レンズを製造するための方法及び装置を含む。加えて本発明は、内部に組み込んだマイクロコントローラを備える眼科用レンズを含む。
【0011】
以下の項において、本発明の実施形態がより詳細に説明される。好ましい実施形態及び代替的実施形態の両方の説明とも、代表的な実施形態に過ぎず、当業者にとっては変形、修正、及び改変が明白であり得ると理解される。したがって、上述した代表的な実施形態は、基礎となる発明の範囲を限定するものではないと理解されるべきである。
【0012】
用語解説
本発明を目的とする本説明及び特許請求の範囲において、以下の定義が適用される、様々な用語が使用され得る。
【0013】
マイクロコントローラ:(マイクロコントローラユニット、MCU,又はμCと称されることもある)本明細書で使用する場合、中央演算処理装置(CPU)からなる集積回路で、水晶発振器、タイマ、ウォッチドッグタイマ、直列アナログI/Oなどの支援機能回路、不揮発性NOR型フラッシュメモリ又はこれもよく含まれるワンタイムプログラマブル読み出し専用メモリ(OTP ROM)の形態をとるプログラムメモリ、及びある程度の大きさのランダムアクセスメモリ(RAM)と組み合わされたものを指す。好適なマイクロコントローラには、4kHzという低いクロック周波数で動作し得るものもあるが、これは低い電力消費(ミリマット又はマイクロワット)を可能にし、多くの典型的な用途に適したものだからである。これらのマイクロコントローラは一般に、状態変化コントローラ又はその他の割り込みのようなイベントを待つ間、機能性を維持する能力を有する。
付勢された:本明細書で使用する場合、電流を供給することができるか、又は内部に蓄積された電気的エネルギーを有することができる状態であることを指す。
エネルギー:本明細書で使用する場合、仕事をするための物理的システムのキャパシティを指す。本発明においては多くの場合、仕事をする際に電気的動作を遂行できるという、上述のキャパシティとの関連で使用され得る。
エネルギー源:本明細書で使用する場合、エネルギーを供給することができるか、又は生体医学的装置を付勢された状態に置くことができる装置を指す。
エネルギーハーベスタ:本明細書で使用する場合、環境からエネルギーを抽出することができ、それを電気的エネルギーに変換することができる装置を指す。
レンズ:眼の内部又は眼の上にある任意の眼科用装置を指す。これらの装置は光学補正をもたらすことができるか、又は美容用であっても良い。例えば、レンズという用語は以下のものを指すことができる。コンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼用挿入物、光学挿入物、又は他の同様の、視力が補正若しくは変更される装置か、又は視力を妨げることなく目の生理機能が美容的に拡張される(例えば、虹彩色)装置。実施形態によっては、本発明の好ましいレンズは、シリコーンヒドロゲルを含むがこれに限定されないシリコーンエラストマー又はヒドロゲル、及びフルオロヒドロゲルから作製される、ソフトコンタクトレンズである。
レンズ形成混合物、又は「反応性混合物」又は「RMM」(反応性モノマー混合物):本明細書で使用される場合、硬化及び架橋することができるか、又は架橋して眼科用レンズを形成することができる、モノマー又はプレポリマー材料を指す。様々な実施形態において、紫外線遮断剤、染料、光開始剤又は触媒、及びコンタクト若しくは眼内レンズ等の眼科用レンズに望み得るその他の添加剤のような、1つ以上の添加剤を有する、レンズ形成混合物を含むことができる。
レンズ形成表面:レンズの成形に用いられる表面を指す。いくつかの実施形態では、任意のこのような表面103〜104は、光学品質表面仕上げを有することができ、光学品質表面仕上げとは、表面が十分に滑らかで、成型表面に接触しているレンズ形成材料の重合によって作られるレンズ表面が光学的に許容可能であるように形成されていることを示す。更に、いくつかの実施形態では、レンズ形成表面103〜104は、レンズ表面に所望の光学特性を付与するのに必要な幾何学形状を有することができ、所望の光学特性としては、限定することなく、球面、非球面、及び円筒屈折力、波面収差補正、角膜トポグラフィ補正などに加えて、これらの任意の組み合わせが挙げられる。
リチウムイオン電池:リチウムイオンがセルを通して動くことによって電気的エネルギーを生成する電気化学セルを指す。典型的には電池とよばれるこの電気化学セルは、その通常の状態に再付勢又は再充電され得る。
媒体挿入物:本明細書で使用される場合、眼科用レンズ内にエネルギー源を支持することができる、整形可能な、又は剛性の基材を指す。実施形態によっては、媒体挿入物はまた、1つ以上の可変光学レンズを含む。
成形型:未硬化配合物からレンズを形成するために使用可能な、剛性又は半剛性の物体を指す。いくつかの好ましい成形型は、前側湾曲部成形型部分及び後側湾曲部成形型部分を形成する、2つの成形型部分を含む。
光学ゾーン:本明細書で使用する場合、眼科用レンズの装用者がそこを通して見ることになる、眼科用レンズの領域を指す。
電力:本明細書で使用する場合、単位時間当たりになされる仕事又は移動するエネルギーを指す。
再付勢可能又は再充電可能:本明細書で使用する場合、仕事をするためのより高いキャパシティの状態へと復元可能な能力を指す。本発明においては多くの場合、特定の率で、特定の再度回復された時間の間、電流を流す能力は復元可能な能力との関連で使用され得る。
再付勢又は再充電する:仕事をするためのキャパシティがより高い状態へと復元することを指す。本発明においては多くの場合、特定の率で、特定の再度回復された時間の間、電流を流すことができるように、装置を復元することに関連して使用され得る。
成形型から取り外された:レンズが成形型から完全に分離されたか、又は軽い振動によって取り外すか若しくは綿棒を用いて押し外すことができるようにほんの軽く付着しているだけのいずれかであることを意味する。
【0014】
ここで
図1を参照すると、埋め込みマイクロコントローラ111を備えた眼科用レンズ100はまた、エネルギーの蓄積手段としての電気化学セル又は電池などのエネルギー源109、並びに実施形態によっては、エネルギー源を構成する材料を眼科用レンズが配置される環境から封止及び分離する手段を含み得る。エネルギー源109は、マイクロコントローラを起動する電力を提供することができる。実施形態によっては、休止中(CPUクロック及び大部分の周辺装置がオフ)におけるマイクロコントローラの電力消費はわずかナノワットの程度であり得る。
【0015】
眼科用レンズのための代表的な成形型100の図が、マイクロコントローラ111とともに示されている。成形型は、レンズ形成混合物の反応又は硬化に際して所望の形状の眼科用レンズが製造されるように、中にレンズ形成混合物を分配することができるキャビティ105を有する形態100を含む。本発明の鋳型及び鋳型組立品100は、複数の「鋳型部分」又は「鋳型片」101〜102から構成される。鋳型部分101〜102を組み合わせて、キャビティ105を鋳型部分101〜102間に形成し、その中にレンズを形成することができるようにすることができる。このような鋳型部分101〜102の組み合わせは、一時的であることが好ましい。レンズが形成されたら、レンズを取り出すために鋳型部分101〜102を再び分離することができる。
【0016】
少なくとも1つの鋳型部分101〜102は、その表面103〜104の少なくとも一部がレンズ形成用混合物と接触していて、レンズ形成用混合物の反応又は硬化の際に、表面103〜104が所望の形状及び形態を表面が接触しているレンズ部分にもたらすようになっている。少なくとも1つの他の鋳型部分101〜102についても同じである。
【0017】
こうして、例えば、好ましい実施形態では、鋳型組立品100を、2つの部分101〜102、すなわち雌型の凹部片(前側片)102と雄型の凸部片(後側片)101(それらの間にキャビティが形成されている)から形成する。凹部表面104のレンズ形成混合物と接触する部分は、鋳型組立品100内に作製すべき眼科用レンズの前側湾曲部の湾曲を有するとともに、十分に滑らかであり、凹部表面104と接触しているレンズ形成混合物の重合によって形成された眼科用レンズの表面が光学的に許容できるものとなるように形成されている。
【0018】
レンズ形成表面は、光学品質表面仕上げとした表面103〜104を含むことができ、光学品質表面仕上げとは、表面が十分に滑らかで、成形型表面に接触しているレンズ形成材料の重合によって作られるレンズ表面が光学的に許容可能となるように形成されていることを示す。更に、実施形態によっては、レンズ形成表面103〜104は、レンズ表面に任意の所望の光学特性を付与するのに必要な幾何学形状を有することができる。このような形状としては、球面、非球面、及び円筒屈折力、波面収差補正、角膜トポグラフィ補正などに加えて、これらの任意の組み合わせが挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明によれば、光学特性がマイクロコントローラ111に呼応して働くことによって全体としての光学品質がもたらされ得る。
【0019】
本発明によれば、マイクロコントローラ111が眼科用レンズに組み込まれ、同様に眼科用レンズに組み込まれる構成要素又は装置を自動制御するために用いられる。本発明においては、マイクロコントローラ111のパッケージ寸法は2mm×2mm×0.3mm厚さ、好ましくは1.5mm×1.5mm×0.2mm厚さ未満、より好ましくは約1.3mm×1.3mm×0.2mm厚さ未満まで縮小される。より小さな寸法を用いることもできる。実施形態によっては、アナログ及びディジタル構成要素を統合するために混合信号マイクロコントローラを含むこともあり得る。マイクロコントローラ111は、レンズ内の埋め込みシステム内に包含される。
【0020】
マイクロコントローラ111の零入力電流は、スタンバイ/休止モードにおいて1マイクロアンペアより低いことが望ましい。より好ましいのは約500nA(ナノアンペア)未満、最も好ましいのは約250nA未満である。約3.6V未満の低電圧動作が好ましい。より好ましいのは、より低い、例えば0.9V DCのような低電圧での動作である。
【0021】
好ましい実施形態によっては、マイクロコントローラ111は眼内又は眼周囲のイベントを監視又は追跡し、イベントが生じた際にはそのイベントの生起に反応する。割り込みシステムがプロセッサに信号を送ることによって、最初の命令シーケンスの処理を一時停止させ、割り込み処理ルーチン(ISR又は「割り込みハンドラー」)を開始させることができる。このISRは、ISR内に含まれるプログラマブルコードに基づいて予めプログラムされたルーチンを遂行する。実施形態によっては、プロセッサはISRの実行後、最初の命令シーケンスに戻る。
【0022】
割り込み原因には、非限定的な例として、内部タイマの所定値への到達、磁気スイッチ又は光スイッチなどの入力における論理レベルの変化、及び通信回線を介するデータの受信などを挙げることができる。加えて、ISRは、マイクロコントローラを、プロセッサが停止させられている低電力休止状態からプロセッサが全面的に稼動できる活性状態へと遷移させる、電力管理ロジックを含むことができる。
【0023】
別の態様では、実施形態によっては、眼科用レンズの形成に先立ってマイクロコントローラ111のプログラミングを含むことができる。実行可能なプログラムが、マイクロプロセッサ内に含まれるか又はマイクロプロセッサとディジタル通信を行う、メモリ又は他の記憶装置内に格納される。一般に、好ましい実施形態では、メモリ装置をマイクロコントローラに対して外付けする場合には、このメモリ装置をマイクロコントローラに近接させ、バスを介して接続する。
【0024】
マイクロコントローラのメモリ内に格納するために、高水準言語及びアセンブラ言語コードをコンパクトな機械コードへとコンパイルすることも可能である。眼科用レンズの形成に用いる成形型部分内にマイクロコントローラ111を配置するに先立って、コンパイルしたコードをメモリに格納することが好ましいが、実施形態によっては、マイクロコントローラ111がコンタクトレンズ内に埋め込まれた状態で、実行可能なコードをマイクロコントローラ内に無線で送信することも可能である。したがって、様々な実施形態が、恒久的かつ読み出し専用で、眼科用レンズ内への配置に先立ってのみプログラムされ得る格納メモリ、又は比較的容易に改変可能なフラッシュ若しくは消去可能な読み出し専用メモリを含むプログラムメモリを備えた、マイクロコントローラを含み得る。
【0025】
実施形態によっては、アナログディジタル変換器を備えるマイクロコントローラ111を含む。このアナログディジタル変換器は、マイクロコントローラへの入力をプロセッサが処理可能なディジタル形式へと変換するのに用いられる。別の態様では、ディジタルアナログ変換器を使用することにより、アナログ形式で制御を行う装置にプロセッサがデータを送信できるようにしてもよい。
【0026】
マイクロコントローラ111はまた、1つ以上のタイマを含み得る。タイマとしては、例えばプログラマブルインターバルタイマ(PIT)を挙げることができる。PITは、一定値から零までカウントダウンする。零に到達したところで、タイマは、カウントを終了したということを示す割り込みをプロセッサに送信する。実施形態によっては、マイクロコントローラ内のタイマを用いて、液体メニスカスレンズ部分を備えるレンズのような電気活性レンズを、活性状態への遷移命令の後で本来の状態へと戻すこともできる。例えば、活性化の際、マイクロコントローラからの命令によって、液体メニスカスレンズは活性状態に置かれる。この液体メニスカスレンズは所定時間の間、活性状態に留まり、その後、マイクロコントローラが液体メニスカスレンズ部分を本来の状態へと戻す。マイクロコントローラ内のタイマが、この所定時間を追跡する。実施形態によってはまた、タイマプロセッシングユニット(TPU)が用いられることもある。このTPUによって、マイクロコントローラはカウントダウンを行い、また入力イベントの検出、出力イベントの生成、及びその他の動作を行うことができるようになる。
【0027】
付加的な構成要素としては、例えば、短いタイマループ内で多くのCPUリソースを使用することなしにCPUがマイクロ装置を効率的に制御できるようにする専用のパルス幅変調(PWM)ブロック、及びCPUに対する負荷を極めて小さくしながらシリアル回線を介してデータを送受信するための万能非同期送受信機(UART)のうちの、1つ以上を含み得る。
【0028】
基本的に、マイクロコントローラはある種の付勢された眼科用レンズにおいて有利であるが、これは、マイクロコントローラが、4ビット、8ビット、32ビット、及び64ビットプロセッサを含む中央演算処理装置;個々のパーケージピンの論理状態の制御及び検出を可能にする個別の入力及び出力ビット;シリアルポート(UART)のようなシリアル入出力;PCのようなその他のシリアル通信インターフェース;イベントカウンタ、PWM発生器のようなタイマ;データ格納のための揮発性メモリ(RAM);プログラム及び動作パラメータ格納のためのROM、EPROM、EEPROM又はフラッシュメモリ;例えば計時水晶振動子又は共振子のための発信器のような1つ以上のクロック発生器;アナログディジタル変換器(ADC)、ディジタルアナログ変換器(DAC)、温度センサー、比較器、容量形触覚センサー、(UART、12C、SPIのような)通信プロトコル、又はユニバーサルシリアルバスのうちの、1つ以上とともに単一の集積回路としてパッケージ化され得るからである。マイクロコントローラは、1つ以上の内部発信器を有する必要があるが、この内部発信器としては、リアルタイムクロック又は「精密」発信器を挙げることができる。マイクロコントローラは、好ましくは少なくとも6つ、より好ましくは10の、最も好ましくは14の汎用I/Oを含む。
【0029】
マイクロコントローラにフィールドプログラマブル装置を使用することにより、レンズの形成後、患者がそのレンズを装着するに先立って、ファームウェアのプログラミングを特定の患者の必要性に適合したものとすることが可能である。プログラム可能性は様々な方法によって得ることができる。実施形態によっては、システムプログラミングは可撓性基板からマイクロコントローラへの外部接続によって得られる。付加的実施形態はワンタイムプログラマブル(OTP)装置を含む。更に別の実施形態は、マイクロコントローラの製造中におけるように、ウェハレベルでプログラムされる装置を含む。
【0030】
実施形態によっては、ダイの物理的寸法は約2mm×2mm×0.3mm厚さ未満、好ましくは約1.5mm×1.5mm×0.2mm厚さ未満、より好ましくは約1.3mm×1.3mm×0.2mm厚さ未満である。より小さな寸法のダイを用いることもあり得る。場合によっては、横寸法は2mmを超えることもあり、例えば太陽電池については2.4mmである。特定の一実施形態は、第1の寸法2.4mm及び第2の寸法1.6mmを有するマイクロコントローラを含む。
【0031】
実施形態によっては、眼科用レンズ内に配置されるべきマイクロコントローラのパッケージングには、裸のダイ及び金のスタッドバンプ、及び/若しくは半田バンプを付したフリップチップ、又はウェハレベルチップスケールパッケージ(WLCSP)が含まれる。半田バンプを付したフリップチップ上の半田バンプの好ましい寸法は約100マイクロメートル未満(公称ボール直径)であり、同様に好ましいのは約65マイクロメートル(公称ボール直径)である。相互接続のピッチは、望ましくは、高速ピックアンドプレイス装置が構成要素を高速動作で配置できるようなものであるべきである。ファインピッチについて現在の最高水準は約0.3mmピッチである。より細かいピッチにすることも可能であるが、装置の仕様はより厳しくなり、処理能力は減少する。
【0032】
実施形態によっては、オンボードプログラムメモリを含む。眼科用レンズの性質から、一般に寸法上の制約によって、マイクロコントローラ111とともに、又はその一部として含まれ得るメモリの容量は、限定される。一般に、現在利用可能な寸法上の制約では、ダイ領域を最小化するために、マイクロコントローラ111内のメモリの容量は約2kBに限定され得るが、基材製造の歴史が示すように、メモリチップの密度が上昇すれば、付加的メモリを含ませることも可能となる。
【0033】
マイクロコントローラ111により、眼科用レンズの範囲内からデータを操作することが可能となる。実施形態によっては、データ操作は、受信データに基づく、1つ以上の命令の生成を含み得る。実施形態によっては、受信データはレンズ付近の条件、例えば、レンズが曝露する水分量、レンズの表面温度、レンズ内に含まれる電気濡れ装置の状態、又はその他の条件を示すものであり得る。
付加的実施形態は、構成要素への電力供給のタイミングを計るのに用いられるカウンターの状況、又は構成要素によって受信される入力の状況など、レンズ内に含まれる構成要素の状態を含むことがある。受信入力としては、例えば、磁気パルス、光パターン、無線周波数信号、又はその他の形態の電気通信データを挙げることができる。
【0034】
付加的実施形態によってはまた、眼科用レンズ内の液体メニスカスレンズ部分108の状態を変化させる命令を発するマイクロコントローラを含むことができ、液体メニスカスレンズ部分の状態の変化によってレンズの光学品質が変化する。
【0035】
生成される命令としては、眼科用レンズ内に含まれる構成要素を制御する命令、又は眼科用レンズからデータを送信する命令を挙げることができる。非限定的な例の方法として、眼科用レンズ内に含まれる構成要素を制御する命令として、眼科用レンズ内に包含される1つ以上の構成要素を活性化する外部信号を受信するための、所定のポーリングサイクルを挙げることができる。活性化スイッチとして機能する磁気検知スイッチ又は光受容体のような一定の構成要素の効率を向上させるために、このような構成要素を特定の間隔でスイッチが入るように、プロセッサをプログラムすることが可能である。このような方法により、例えば磁気検知スイッチは毎分わずか10秒間(又はその他の間隔)しかエネルギーを消費しないようにすることができる。別の実施形態では、マイクロコントローラ111は、レンズの温度;レンズの表面張力;レンズ上の圧力;又は電子的に、電気機械的に、又はMEMS装置(マイクロマシン装置)によって測定可能なその他のパラメータを検知する構成要素からの入力を受信するようにすることもできる。
【0036】
マイクロコントローラ111には、非限定的な例として、超低電力マイクロコントローラ16ビット又は32ビットRISC混合信号プロセッサを含むことができる。マイクロコントローラは、セラミック又はその他の不透過性の材料中に密封するなどして封止することが好ましい。電力消費は活性状態で250マイクロアンペア/MIPSのように低いことが好ましい。一実施例には、Texas Instruments MSP 430マイクロプロセッサを含む。
【0037】
付加的実施形態によっては、マイクロコントローラは可変焦点レンズを制御する命令を発することができる。この制御によって、2つの非混和性液体を包含する内部容積をほぼ平行に区切る、2つ以上の透明な境界間にわたって電流を印加することができる。2つの非混和性液体は異なる光学指数を有する。弾性要素を、液体の圧力変化に応じて変形するように位置づける。液体の圧力は、マイクロコントローラからの命令によって1つ又は双方の液体全体に位置する電荷に生じる変化に応じて、変化する。
【0038】
実施形態によっては、マイクロコントローラ111によって制御される可変レンズは、2つ以上の液体の容積を保持するための液体包含セルを含む液体メニスカスレンズを含むことができる。非平面である下面は、円錐又は円筒形の凹部又はくぼみ(デルタ軸)を含み、ここに1滴の絶縁液体が包含される。セルの残部は、絶縁液体とは非親和性で異なる屈折率を有し、実施形態によっては絶縁液体と類似又は同一の密度を有する、導電性液体を含む。くぼみに面して開いた環状電極が、下部プレートの後面上に位置づけられる。別の電極が導電性液体に接触して配置される。電極全体の電圧の印加を利用して、電気的な濡れを生じさせ、また2つの液体相互間のインターフェースの曲率を、電極間の印加電圧(V)に応じて変化させる。上部プレート及び下部プレートに垂直にセルを透過して液滴領域に入る光速は、電極に印加される電圧に応じて、より大きな、又は小さな程度に収束する。導電性液体は典型的には水性液体であり、絶縁液体は典型的には油性の液体である。一般に、マイクロコントローラが液体メニスカスレンズ部分の電極全体の電圧の印加を制御し、それによって眼科用レンズの光学特性を制御する。マイクロコントローラはまた、液体メニスカスレンズ部分に関係する変数、例えば光学特性の現在の状態を監視し追跡することもある。
【0039】
ユーザーによって制御される調整装置を用いることにより、マイクロコントローラとインターフェースをとり、またそれによってレンズの焦点を制御することが可能である。調整装置としては、非限定的な例として、磁気活性スイッチ、光学活性スイッチ、焦点を合わせるための眼内信号を検知する電気センサー、無線周波数送信装置、又はユーザーによって与えられる命令をプロセッサに提供する、その他の任意の電子装置若しくは受動装置を挙げることができる。
【0040】
実施形態によっては、マイクロコントローラ111を備えるレンズは、剛性の中心部部分の軟性周縁部を有する設計の媒体上に配置されるが、このマイクロコントローラ111を含む中心の剛性光学素子は、大気及び角膜表面とそれぞれ前面及び後面上で直接接触し、レンズ材料(典型的にはヒドロゲル材料)からなる軟性の周縁部が剛性の光学素子の周囲に付着される。剛性の光学素子はまた、媒体挿入物として機能し、得られる眼科用レンズにエネルギー及び機能性を提供する。
【0041】
付加的実施形態によっては、ヒドロゲルマトリックス内に完全に封入された剛性又は整形可能なレンズ挿入物を含む媒体挿入物内に配置されたマイクロコントローラ111を含むものもある。剛性又は整形可能なレンズ挿入物は、例えばマイクロ射出成形技術を用いることによって製造し得る。
【0042】
マイクロ射出成形による実施形態は、例えば、直径が約6mm〜10mm、前面半径が約6mm〜10mm、後面半径が約6mm〜10mm、中心厚さが約0.050mm〜0.5mmのポリ(4−メチルペンテン−1)コポリマー樹脂(poly(4-methylpent-1-ene copolymer resin)を含み得る。代表的な実施形態は、直径が約8.9mm、前面半径が約7.9mm、後面半径が約7.8mm、中心厚さが約0.100mm、端部断面の半径が約0.050mmの挿入物を含む。マイクロ成形マシンの一代表例としては、Battenfield Inc.によって提供されるMicrosystem 50 4.54Mg(5トン)システムを挙げることができる。
【0043】
媒体挿入物上又はその内部に配置されたマイクロコントローラ111を、眼科用レンズの形成に用いられる成形型部分101〜102内に配置することができる。成形型部分101〜102の材料には、例えばポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、及び変性ポリオレフィンのうちの、1つ以上のポリオレフィンを挙げることができる。その他の成形型には、セラミック又は金属材料を含むことも可能である。
【0044】
好ましい脂環式コポリマーは、2種の異なる脂環式ポリマーを含み、Zeon Chemicals L.P.によってZEONORの商品名で販売されている。ZEONORには、複数の異なる等級がある。種々の等級には、105℃〜160℃の範囲のガラス転移温度があっても良い。特に好ましい材料は、ZEONOR 1060Rである。
【0045】
1つ以上の添加剤と組み合わせて、眼科用レンズの成形型を形成し得る他の成形型材料には、例えば、Zieglar−Nattaポリプロピレン樹脂(しばしばznPPと称される)が含まれる。代表的なジーグラナッタポリプロピレン樹脂は、PP 9544 MEDという名で入手可能である。PP 9544 MEDは、FDA regulation 21 CFR(c)3.2により清浄成形のための透明化ランダムコポリマーであり、ExxonMobile Chemical Companyにより入手可能である。PP 9544 MEDは、エチレン基を有するランダムコポリマー(znPP)である(以下、9544 MED)。他の代表的なZieglar−Nattaポリプロピレン樹脂としては、Atofinaポリプロピレン3761及びAtofinaポリプロピレン3620WZが挙げられる。
【0046】
更にまた、いくつかの実施形態では、本発明の鋳型には、ポリマー、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、主鎖に脂環式部分を含む変性ポリオレフィン、及び環状ポリオレフィンが含まれる場合もある。このブレンドを、成形型半片の一方又は両方に対して用いることができるが、このブレンドを後側湾曲部に用いて前側湾曲部は脂環式コポリマーからなることが好ましい。
【0047】
本発明により成形型100を作る好ましい方法では、既知の技術に従って射出成型を用いる場合もあるが、実施形態には、例えば旋盤加工、ダイヤモンド切削、又はレーザー切断をはじめとする他の技術によって作られる成形型を含むこともできる。
【0048】
通常、レンズを、両方の鋳型部分101〜102の少なくとも1つの表面上に形成する。しかしながら、いくつかの実施形態では、レンズの片方の表面は、鋳型部分101〜102から形成され得、レンズの他方の表面は、旋盤法、又は他の方法を用いて形成することができる。
【0049】
レンズ
ここで
図2を参照すると、マイクロコントローラ204を含む媒体挿入物201を備えた、活性化された眼科用レンズ200の素子が示されている。図示のように、媒体挿入物201は、ヒドロゲルレンズ材料207中に埋め込まれている。活性化因子205を用いることにより、マイクロコントローラ204内の記憶装置内に含まれる1つ以上の実行可能なプログラムを実行することができる。実施形態によっては、マイクロコントローラ204を介して実行されるプログラムが、構成要素203内の状態の変化をもたらす場合もある。記憶装置には、ランダムアクセスメモリ半導体;読み出し専用メモリ半導体;スタティックメモリ;消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ;又はディジタルデータを格納し命令に応じて提供することができるその他の構成要素を含み得る。
【0050】
リチウム系電池又はキャパシタなどのエネルギー源208を充電するために、光受容体202のようなエネルギーハーベスタを備えてもよい。マイクロコントローラ204を用いて再付勢プロセスを管理することができる。例えば、プロセッサはエネルギー源208内の電荷量を示すデータを受信し、回路を開いて、エネルギーハーベスタ202、例えば光受容体からの電流がエネルギー源208へと流れるようにすることができる(他の実施例では磁気又は誘導装置を含み得る)。別の態様では、プロセッサはまた、エネルギーハーベスタ202がエネルギー源208を充電するのに十分な電流を提供できる時を監視し、そのような充電に適した回路を介する電気的経路を与えるようにプログラムされることもできる。充電のための電気回路には、例えば、スイッチとして機能するトランジスタ及び電流の適切な流れを確保するためのダイオードを含み得る。
【0051】
ここで
図7を参照すると、本発明のある種の実施形態の斜視図が示されている。この図は、エネルギーハーベスタ701及びエネルギー源702の実施形態を示すが、両者はそれぞれ導電回線経路706を介してマイクロコントローラ704と電気的導通状態にある。その他の構成要素707は、媒体挿入物内に含まれる回路内で一定の役割を果たす、様々な半導体、固体、能動的又は受動的な装置であり得る。実施形態によっては、回線経路706、構成要素707、エネルギーハーベスタ701、エネルギー源702及びマイクロコントローラ704、センサー及びその他の装置を、可撓性基材705上に搭載してもよい。
【0052】
図7には更に、媒体挿入物700上の視覚ゾーン内に位置する液体メニスカスレンズ部分703が示されている。
【0053】
実施形態によっては、好ましいレンズ材料としてシリコーン含有成分が挙げられる。「シリコーン含有成分」は、モノマー、マクロマー又はプレポリマー中に少なくとも1個の[−Si−O−]単位を含有する成分である。好ましくは、総Si及び結合Oは、シリコーン含有成分中に、そのシリコーン含有成分の総分子量の約20重量%より大きい、更に好ましくは30重量%より大きい量で存在する。有用なシリコーン含有成分は、好ましくは、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニル、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド及びスチリル官能基等の重合性官能基を含む。
【0054】
好適なシリコーン含有成分は、式Iの化合物を含み:
【化1】
式中、
R
1は、独立して、一価の反応基、一価アルキル基、又は一価アリール基から選択され、前述のいずれかは、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロゲン、又はこれらの組み合わせから選択される官能性を更に含んでよく、1〜100のSi−Oの反復単位を含む一価シロキサン鎖は、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、ハロゲン又はこれらの組み合わせから選択される官能性を更に含んでよく、
式中、b=0〜500であり、bが0以外のときに、bは、表示値と同等のモードを有する分布であると理解され、
ここで、少なくとも1個のR
1が一価の反応基を含み、幾つかの実施形態では、1〜3個のR
1が一価の反応基を含む。
【0055】
本明細書に使用されるとき、「一価反応基」は、フリーラジカル及び/又はカチオン重合を受けることができる基である。フリーラジカル反応性基の非限定的な例としては、(メタ)アクリレート、スチリル、ビニル、ビニルエーテル、C
1〜6アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、C
1〜6アルキル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、C
2〜12アルケニル、C
2〜12アルケニルフェニル、C
2〜12アルケニルナフチル、C
2〜6アルケニルフェニル、C
1〜6アルキル、O−ビニルカルバメート及びO−ビニルカーボネートが挙げられる。カチオン反応性基の非限定的な例としては、ビニルエーテル又はエポキシド基及びこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、フリーラジカル反応基には、(メタ)アクリレート、アクリルオキシ、(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物が含まれる。
【0056】
好適な一価のアルキル基及びアリール基には、置換及び非置換のメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−ヒドロキシプロピル、プロポキシプロピル、ポリエチレンオキシプロピル、これらの組み合わせなどの、非置換の一価のC
1〜C
16アルキル基、C
6〜C
14アリール基が挙げられる。
【0057】
1つの実施形態ではbは零であり、1つのR
1は一価の反応基であり、少なくとも3個のR
1が1〜16個の炭素原子を有する一価のアルキル基から選択され、別の実施形態では1〜6個の炭素原子を有する一価のアルキル基から選択される。本発明のシリコーン構成成分の非制限的な例には、2−メチル−、2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキザニル]プロポキシ]プロピルエステル(「SiGMA」)、
2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルオキシプロピル−トリ(トリメチルシロキシ)シラン、
3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(「TRIS」)、
3−メタクリルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、及び
3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサンが挙げられる。
【0058】
別の実施形態では、bは、2〜20、3〜15、又は幾つかの実施形態では、3〜10であり、少なくとも1つの末端R
1は、一価の反応基を含み、残りのR
1は、1〜16個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択され、別の実施形態では、1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択される。更に、別の実施形態では、bは、3〜15であり、1つの末端R
1は、一価の反応基を含み、他方の末端R
1は、1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基を含み、残りのR
1は、1〜3個の炭素原子を有する一価アルキル基を含む。本実施形態のシリコーン成分の制限されない例には、(モノ−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピル)−プロピルエーテル末端のポリジメチルシロキサン(400〜1000MW))(「OH−mPDMS」)、モノメタクリルオキシプロピル末端のモノ−n−ブチル末端のポリジメチルシロキサン(800〜1000MW)、(「mPDMS」)が含まれる。
【0059】
別の実施形態では、bは5〜400又は10〜300であり、両方の末端R
1は一価反応基を含み、残りのR
1は炭素原子間のエーテル結合を有することもあり、ハロゲンを更に含むこともある、1〜18個の炭素原子を有する一価アルキル基から独立して選択される。
【0060】
シリコーンヒドロゲルレンズが望ましい一実施形態では、本発明のレンズは、ポリマーを作製する反応性モノマー成分の総重量に対して、少なくとも約20、好ましくは、約20重量%〜70重量%のシリコーン含有成分を含む、反応性混合物から作製される。
【0061】
別の実施形態では、1〜4のR
1はビニルカーボネート又は以下の式のカルバメートを含む。
【化2】
式中、YはO−、S−又はNH−を意味し、
Rは、水素又はメチルを意味し、dは1、2、3又は4、そしてqは0又は1である。
【0062】
シリコーン含有ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマーとしては、具体的には、1,3−ビス[4−(ビニルオキシカルボニルオキシ)ブト−1−イル]テトラメチル−ジシロキサン、3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルメチルビニルカーボネートが挙げられ、
【化3】
約200以下の弾性率を有する生物医学的デバイスが所望される場合、1個のR
1のみが一価の反応性基を含むものとし、残りのR
1基のうちの2個以下は、一価シロキサン基を含む。
【0063】
別の種類のシリコーン含有成分は、次式のポリウレタンマクロマーを含む。
式IV〜VI
(
*D
*A
*D
*G)
a*D
*D
*E
1;
E(
*D
*G
*D
*A)
a*D
*G
*D
*E
1又は
E(
*D
*A
*D
*G)
a*D
*A
*D
*E
1
式中、
Dは炭素原子6〜30個を有するアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アリールジラジカル又はアルキルアリールジラジカルを示し、
Gは炭素原子1〜40個を有するアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、アリールジラジカル又はアルキルアリールジラジカルを示し、これらは主鎖中にエーテル、チオ又はアミン結合を含有できる。
*はウレタン又はウレイド結合を意味する。
aは、少なくとも1である。
Aは次の式の2価のポリマーラジカルを意味する。
【化4】
R
11は独立してアルキル又は1〜10個の炭素原子を有するフルオロ置換アルキル基を意味し、これは炭素原子間にエーテル結合を含んでよく、yは少なくとも1であり、pは400〜10,000の部分重量を与え、E及びE
1はそれぞれ独立して次式に示される重合性不飽和有機ラジカルを意味する。
【化5】
式中、R
12は水素又はメチルであり、R
13は水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキルラジカル又は−CO−Y−R
15ラジカルで、Yは−O−、Y−S−又は−NH−であり、R
14は1〜12個の炭素原子を有する二価ラジカルであり、Xは−CO−又は−OCO−を意味し、Zは−O−又は−NH−を意味し、Arは6〜30個の炭素原子を有する芳香族ラジカルを意味し、wは0〜6であり、xは0又は1であり、yは0又は1であり、zは0又は1である。
【0064】
1つの好ましいシリコーン含有成分は、以下の式で示されるポリウレタンマクロマーである。
【化6】
R
16は、イソフォロンジイソシアネートのジラジカルなどイソシアネート基除去後のジイソシアネートのジラジカルである。別の好適なシリコーン含有マクロマーは、フルオロエーテル、ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、イソホロンジイソシアネート及びイソシアネートエチルメタクリレートの反応によって形成される式X(式中、x+yは10〜30の範囲の数である)の化合物である。
【化7】
【0065】
本発明での使用に好適な他のシリコーン含有成分には、ポリシロキサン、ポリアルキレンエーテル、ジイソシアネート、ポリフッ素化炭化水素、ポリフッ素化エーテル、及び多糖類基を含有するマクロマー、末端のジフルオロで置換された炭素原子に結合する水素原子を有する、極性のフッ素化グラフト又は側基を有するポリシロキサン、エーテルを含有する親水性シロキサニルメタクリレート、並びにポリエーテル及びポリシロキサニル基を含有するシロキサニル結合及び架橋性モノマーが含まれる。また、前述のポリシロキサンのいずれも、シリコーン含有成分として本発明に使用することもできる。
【0066】
方法
以下の方法の工程は、本発明のいくつかの態様により実施してもよいプロセスの例として与えられる。本方法の工程が示される順番は限定を意図するものではなく、他の順番を使用して本発明を実施し得ることを理解されるべきである。加えて、本発明を実施するためにすべての工程を必要とするわけではなく、また本発明の種々の実施形態には付加的な工程を含んでもよい。
【0067】
ここで
図4を参照すると、フローチャートによって、本発明を実施するために用い得る代表的なステップを示している。401でマイクロコントローラをコーティングすることにより、装用者の眼内環境が曝される条件からマイクロコントローラを封止する。例えば、マイクロコントローラパッケージの寸法を縮小するために、従来のパッケージング層をマイクロコントローラから取り除く(あるいは、この層をマイクロコントローラの周囲に全く配置しない)こともあり得る。本発明はマイクロコントローラを、また実施形態によっては構成要素及びエネルギー源を装着した可撓性基材全体を、封止することを教示する。封止は、例えばシリコーンのコンフォーマルコーティングによって達成し得る。
【0068】
402で、可撓性回路の一方又は両方は完全に実装済みであり、マイクロコントローラを封入することによって、マイクロコントローラ構成要素及び回路の保護を更に確実にすることができる。封入は1つ以上の既知の可撓性材料によってよい。好ましい封入材は、ここでもシリコーンである。403で封入材を処理することにより、シリコーンヒドロゲルなどのレンズ材料との整合性を改善してもよい。
【0069】
404で、マイクイロコントローラを成形型部分内に配置する。実施形態によっては、マイクロコントローラは媒体挿入物内に含まれるか、又は媒体挿入物上に取り付けられていてもよい。媒体挿入物は剛性又は可撓性であってよい。実施形態によっては、可撓性基材にはポリアミドフィルム、例えばDupont Incorporatedが提供するKaptonフィルムを含む。この可撓性基材は可撓性プリント回路を含むことができ、更に1つ以上の構成要素を包含することもあれば包含しないこともある。可撓性挿入物のその他の材料としては、ポリスチレン及びポリジメチルアクリルアミド(PDMA)の一方又は両方が挙げられる。
【0070】
405では、反応性モノマー混合物を成形型部分内に堆積させることができる。
【0071】
406で、マイクロコントローラを成形型部分内に配置する。好ましい実施形態によっては、マイクロコントローラは機械的配置を介して成形型部分内に配置される。機械的配置には、例えば、表面実装構成要素を配置するのに業界で知られているもののような、ロボット又はその他の自動操作部が含まれ得る。マイクロコントローラの人的な配置もまた、本発明の範囲内である。したがって、成形型部分に包含される反応性混合物の重合化によって、得られる眼科用レンズ内に可変視覚素子が含まれるように、マイクロコントローラをエネルギー源とともに注型成形型部分内に配置するのに有効な任意の機械的配置。
【0072】
実施形態によっては、プロセッサ装置、MEMS、NEMS又はその他の構成要素をもまた、マイクロコントローラ内に、エネルギー源と電気的に接続して配置することもある。
【0073】
407では、レンズを形成するために第1の成形型部分を第2の成形型部分に近接させて配置し、反応性モノマー混合物の少なくともいくらか及びエネルギー源を内部に備える、キャビティを形成することができる。
【0074】
408で、キャビティ内の反応性モノマー混合物を重合化させることができる。重合化は、例えば、化学線及び熱のいずれか一方又は両方に曝露させることによって達成することができる。409で、レンズを成形型部分から取り外す。
【0075】
本発明を使用して、任意の既知のレンズ材料、又はそのようなレンズの製造に好適な材料から製造されるハード又はソフトコンタクトレンズを提供し得るが、好ましくは、本発明のレンズは、約0〜約90パーセントの含水量を有する、ソフトコンタクトレンズである。更に好ましくは、レンズは、モノマー含有ヒドロキシ基、カルボキシル基、又はこれらの両方から製造される、若しくは、シロキサン、ヒドロゲル、シリコーンヒドロゲル、及びこれらの組み合わせ等のシリコーン含有ポリマーから製造される。本発明のレンズを形成するのに有用な材料は、重合開始剤等の添加剤に加えて、マクロマー、モノマー、及びこれらの組み合わせの混合物を反応させることによって、製造し得る。好適な材料は、シリコーンマクロマー及び親水性モノマーから製造されるシリコーンヒドロゲルを含むが、これらに限定されない。
【0076】
404において第1の成形型部分を第2の成形型部分に近接させて位置づけることにより、レンズキャビティ内に反応性モノマー混合物及び可変レンズを備えたレンズキャビティを形成する。
【0077】
409で、マイクロコントローラを組み込んだ眼科用装置を、成形型部分から取り外す。
【0078】
ここで
図5を参照すると、501で、上述したようにマイクロコントローラを眼科用レンズ内に配置する。502で、マイクロコントローラをエネルギー源と電気的導通状態に置く。電気的導通は、例えばマイクロコントローラに組み込まれた回路を介して、又はインクジェット若しくはその他の方法でレンズ材料上に直接形成された経路を介して、得ることができる。
【0079】
503で、眼科用レンズ内に組み込まれたマイクロコントローラを通して電気的エネルギーが送られる。エネルギーは、例えば、電荷を導電することが可能な電気回路を介して、送ることができる。504では、可変視覚素子が、眼科用レンズ内に包含される少なくとも1つの構成要素の状態を変化させる。例えば、マイクロコントローラが電気光学レンズの状態を変化させ、レンズの光学品質を変化させることができる。
【0080】
装置
ここで
図3を参照すると、1つ以上の移送インターフェース311を備えた自動装置310が示されている。図示のように、複数の成形型部分のそれぞれは、パレット313内に包含される成形型部分レセプタクル314に対応しており、移送インターフェース311へと伝えられる。移送インターフェース311は、プロセッサ、又はプロセッサを包含する挿入物を、眼科用レンズの形成に使用される成形型部分内に配置する。実施形態は、マイクロコントローラを個別に配置する単一インターフェース、又は、プロセッサを複数の成形型部分内に、また実施形態によっては各成形型部分に、同時に配置する多重インターフェース(図示せず)を含むことができる。
【0081】
ある種の実施形態の別の態様は、マイクロコントローラを含む媒体挿入物を、これらの構成要素の周囲に眼科用レンズ本体が成形される間、支持する装置を含む。実施形態によっては、エネルギー源をレンズ成形型内の保持点(図示せず)に固定することもある。保持点は、レンズ本体を形成するものと同種の重合材料によって固定してよい。
【0082】
図6を参照すると、本発明のいくつかの実施形態で使用し得るコントローラ600を図示する。コントローラ600はプロセッサ610を含むが、このプロセッサは、通信装置620に結合した1つ以上のプロセッサ構成要素を含み得る。実施形態によっては、コントローラ600を用いて、眼科用レンズ内に配置されたエネルギー源にエネルギーを伝送することができる。
【0083】
コントローラは、通信チャネルを介して論理信号を通信するように構成された通信装置と結合された、1つ以上のプロセッサを含むことができる。この通信装置を用いて、マイクロコントローラ及び可撓性媒体の眼科用レンズ内への配置、並びに構成要素又はマイクロコントローラを操作する命令の送信のうちの、1つ以上を、電気的に制御し得る。
【0084】
通信装置620を使用することによってまた、例えば、1つ以上のコントローラ装置又は製造機器構成要素と通信してもよい。
【0085】
プロセッサ610は、記憶装置630とも通信する。記憶装置630は、磁気記憶装置(例えば、磁気テープ及びハードディスクドライブ)、光学式記憶装置、及び/又はランダムアクセスメモリ(RAM)装置及びリードオンリーメモリ(ROM)装置等の半導体記憶装置を含む、任意の適切な情報記憶装置を備えてもよい。
【0086】
記憶装置630は、プロセッサ610を制御するためのプログラム640を格納することができる。プロセッサ610は、プログラム640の命令を遂行し、それによって、本発明に従って動作を行う。例えば、プロセッサ610は、可変視覚挿入物の配置、処理装置の配置などのようなものを記述する情報を受信し得る。記憶装置630はまた、1つ以上のデータベース650〜660内に眼科関連データを記憶することもできる。データベースは、カスタマイズされた媒体挿入物の設計、計測学上のデータ、及び媒体挿入物に出入りするエネルギーを制御するための具体的な制御シーケンスを含み得る。
【0087】
結論
本発明は、上述したように、また以下の特許請求の範囲によって更に定義されるように、マイクロコントローラを備えた眼科用レンズを提供する方法及びそのような方法を実施するための装置、並びに内部にマイクロコントローラを備えて形成される眼科用レンズを、提供する。
【0088】
〔実施の態様〕
(1) 眼科用レンズを形成する方法であって、前記方法が、
マイクロコントローラ及びエネルギー源を含む媒体挿入物を第1の成形型部分に近接して配置する工程と、
前記第1の成形型部分内に反応性モノマー混合物を堆積させる工程と、
マイクロコントローラ及びエネルギー源を含む前記挿入物を前記反応性モノマー混合物に接触させて位置づける工程と、
前記第1の成形型部分を第2の成形型部分に近接させて位置づけることにより、前記可変視覚挿入物及び反応性モノマー混合物の少なくともいくらかを内部に備えるレンズキャビティを形成する工程と、
前記反応性モノマー混合物を化学線に曝露させる工程と、を含む、方法。
(2) 前記マイクロコントローラがデータ格納部分を含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記マイクロコントローラが、ランダムアクセスメモリの保持に約0.1マイクロアンペア以下の電気的エネルギーを必要とするマイクロコントローラを含む、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記マイクロコントローラが、リアルタイムクロックモード動作に約0.8マイクロアンペア以下の電気的エネルギーを必要とするマイクロコントローラを含む、実施態様2に記載の方法。
(5) 前記マイクロコントローラが、活性動作100万命令/秒当たり約250マイクロアンペア以下の電気的エネルギーを必要とするマイクロコントローラを含む、実施態様1に記載の方法。
(6) 前記マイクロコントローラ及び前記媒体のいずれか一方又は両方をコンフォーマルコーティングするステップを更に含む、実施態様2に記載の方法。
(7) 前記マイクロコントローラ及び前記媒体のいずれか一方又は両方を封入コーティングするステップを更に含む、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記電気化学セルがリチウムイオン電池を含む、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記電気化学セルが再充電可能な材料を含む、実施態様7に記載の方法。
(10) 前記電気化学セルがナノスケール結晶を含むカソードを含む、実施態様7に記載の方法。
【0089】
(11) 前記媒体挿入物がポリアミド可撓性回路を含む、実施態様1に記載の方法。
(12) 前記マイクロコントローラが、アナログディジタル変換器を更に含む、実施態様2に記載の方法。
(13) 前記マイクロコントローラが、タイマを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記マイクロコントローラが、タイマを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(15) 前記プロセッサによって実行可能で、前記眼科用レンズを構成する構成要素の状態を変化させる、実行可能なコードを、前記メモリ内に格納するステップを更に含む、実施態様14に記載の方法。
(16) 眼科用レンズを製造するための装置であって、前記装置が、
第1の成形型部分に近接させた状態、又はこれに接触させた状態のいずれか一方又は両方で、マイクロコントローラを含む媒体挿入物を配置するための自動装置と、
反応性モノマー混合物を前記第1の成形型部分内に堆積させるための分配器と、
前記反応性モノマー混合物のための化学線源と、を含む、装置。
(17) 第2の成形型部分を前記第1の成形型部分に近接して配置することにより、前記可変視覚挿入物及び前記反応性モノマー混合物の少なくともいくらかを内部に備えるレンズ形成キャビティを生成するように機能する自動装置を、更に含む、実施態様16に記載の眼科用レンズを製造するための装置。
(18) 複数の第1の成形型部分を保持するパレットと、
前記パレットを動かして前記化学線源に近接させる自動装置と、を更に含む、実施態様17に記載の眼科用レンズを製造するための装置。
(19) 前記自動装置を制御するためのプロセッサと、
要求に応じて実行可能なソフトウェアを含むディジタル記憶装置と、を更に含み、前記ソフトウェアが、前記プロセッサとともに機能して前記装置が、
マイクロコントローラを含む前記媒体挿入物を、前記第1の成形型部分に近接させ、又は接触させて配置するようにする、実施態様16に記載の眼科用レンズを製造するための装置。