特許第6386005号(P6386005)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6386005誘電体スタック、アイソレータ装置、およびアイソレータ装置を形成する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386005
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】誘電体スタック、アイソレータ装置、およびアイソレータ装置を形成する方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/32 20060101AFI20180827BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   H01F27/32 140
   H01F17/00 D
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-207031(P2016-207031)
(22)【出願日】2016年10月21日
(65)【公開番号】特開2017-85098(P2017-85098A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2016年12月6日
(31)【優先権主張番号】14/922,037
(32)【優先日】2015年10月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/179,741
(32)【優先日】2016年6月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515280067
【氏名又は名称】アナログ・デヴァイシズ・グローバル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マクローリン,コナー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】フリン,マイケル ジョン
(72)【発明者】
【氏名】オサリバン,ローレンス ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ガーリー,シェーン
(72)【発明者】
【氏名】オブライエン,ステフェン
(72)【発明者】
【氏名】ステンソン,バーナード ピー.
(72)【発明者】
【氏名】チェン,バオシン
(72)【発明者】
【氏名】キャロル,サラ
(72)【発明者】
【氏名】モリッシー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マックギネス,パトリック エム.
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー,パトリック ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】オシアク,ミカル ジェイ.
【審査官】 右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0252533(US,A1)
【文献】 特開平07−130567(JP,A)
【文献】 特開2008−277564(JP,A)
【文献】 特開2010−050177(JP,A)
【文献】 米国特許第8364195(US,B2)
【文献】 米国特許第8427844(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/32
H01F 17/00
H01P 1/36−1/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に隣接して形成される第1のタイプの誘電体の第1の層と、前記第1の層上に形成される前記第1の誘電体の第2の層と、を備える誘電体構造であって、前記第2の層が、外周部によって区切られ、前記第2の層の少なくともいくつかの部分が、前記第1の層の外周部までまたはそれを越えて延在せず、前記第1の誘電体の前記層のうちの最上位のものの上に形成される第2の誘電体の層をさらに含み、前記第2の誘電体の前記層が、前記第1の誘電体より高い誘電率を有する、誘電体構造を含むアイソレータであって、前記アイソレータの第1の導電体が前記第1の誘電体材料の前記第1の層の下に形成され、前記アイソレータの第2の導電体が前記第1の誘電体材料の最上層の上に形成される、アイソレータ
【請求項2】
前記第2の層の空間的範囲が、前記第1の層の空間的範囲内に含まれる、請求項1に記載のアイソレータ
【請求項3】
前記第2の層の前記空間的範囲が、前記第1の層の前記空間的範囲未満である、請求項2に記載のアイソレータ
【請求項4】
前記第1のタイプの誘電体の第3の層をさらに含み、前記第3の層の空間的範囲が、前記第2の層の空間的範囲内に含まれ、前記第2の層の前記空間的範囲未満である、請求項1に記載のアイソレータ
【請求項5】
以下a)第2の誘電体材料の前記層が、その中に形成される応力除去構造を含む、および/またはb)前記第2の誘電体材料の前記層の空間的範囲が、前記第1の誘電体材料に連続する部分の空間的範囲以下である、のうちの少なくとも1つが適用する、請求項1に記載のアイソレータ
【請求項6】
前記第2の誘電体層が、前記第2の誘電体の前記層の上に形成される中間導電構造の中に形成される1つ以上の溝を含む、請求項1に記載のアイソレータ
【請求項7】
前記アイソレータが1次および2次巻線を有するトランスを備え、前記誘電体構造が前記1次巻線と前記2次巻線との間に配置される、請求項に記載のアイソレータ。
【請求項8】
前記第1の誘電体材料がポリイミドであり、かつ/または前記第2の誘電体材料が窒化ケイ素、二酸化ケイ素、サファイヤ、五酸化タンタル、チタン酸ストロンチウム、ビスマスフェライト、およびチタン酸バリウムストロンチウムのうちの1つである、請求項1に記載のアイソレータ
【請求項9】
アイソレータ装置であって、
第1および第2の導電体と、
前記第1の導電と第2の導電体との間の第1の誘電体材料の層と、
第1の誘電体材料の前記層と少なくとも前記第2の導電体との間の第2の誘電体材料の少なくとも1つの領域と、を備え、
前記第2の誘電体材料が、前記第1の誘電体材料より高い比誘電率を有し、前記第1の誘電体の前記層および第2の誘電体材料の前記領域のうちの1つが応力除去構造を含む、アイソレータ装置。
【請求項10】
第2の誘電体材料の前記少なくとも1つの領域が、前記第2の導電体の縁部近傍に位置し、ガード距離だけ前記縁部を越えて延在する、請求項に記載の装置。
【請求項11】
第2の誘電体材料の前記少なくとも1つの領域と前記第1および第2の導電体のうちの前記少なくとも1つとの間にさらなる層をさらに備える、請求項に記載の装置。
【請求項12】
前記さらなる層がパッシベーション層である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
第1の誘電体材料の前記層の厚さが、約10μm〜約80μmである、請求項に記載の装置。
【請求項14】
第2の誘電体材料の前記少なくとも1つの領域が、第1の誘電体材料の前記層を実質的に囲む、請求項に記載の装置。
【請求項15】
前記アイソレータは電極を有していて、前記第2の誘電体が前記電極上もしくはその周辺に直接形成されるか、または前記電極が前記第2の誘電体上もしくはその中に形成される、請求項1から8のうちのいずれか一項に記載のアイソレータ。
【請求項16】
前記装置は電極を有していて、前記第2の誘電体が前記電極上もしくはその周辺に直接形成されるか、または前記電極が前記第2の誘電体上もしくはその中に形成される、請求項9から14のうちのいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2016年6月10日に出願され、「Dielectric Stack, An Isolator Device and Method of Forming an Isolator Device」という表題の米国特許出願第15/179,741号に対する優先権を主張し、これは、2015年10月23日に出願され、「Isolator and Method of Forming an Isolator」という表題の米国特許出願第14/922,037号の米国特許法第120条の利益を主張する一部継続出願(CIP)である。前に列記した出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、例えば、アイソレータ装置で使用される誘電体層の改善に関する。本開示はまた、アイソレータ装置およびアイソレータ装置を製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
現在、ほとんどの電子回路は、集積回路または「チップ」と一般に呼ばれる超小型電子回路内に実装される。このようなチップは、プラスチックまたはセラミックケース内で封止化される超小型電子回路を支持する半導体ダイを備える。これは、より複雑な製品へと形成するために回路基板などへのチップの接合またははんだ付けを可能にする。超小型回路の多くの用途は、例えば、電源レールがほんの数ボルトのみ互いに異なり得る比較的低い電圧領域と、エネルギー、信号通信、自動化、通信、またはモータ制御領域で見られる場合があるより高い電圧構成要素を含むより高い電圧領域との間の信号の通信を必要とすることがある。このリストは、包括的ではない。モニタされている患者に対して、高電圧を回路から伝播させてはならない、医療用途などの安全性が重要な用途も存在する。こうした高電圧を意図的に発生させるわけではないが、これらはある種の故障モード、例えば、電源が故障を引き起こす場合、または落雷が過電圧過渡を装置への電力供給もしくはデータ接続に誘導する場合に起こる可能性がある。
【0004】
回路またはシステムの低電圧領域と高電圧領域とを「アイソレータ」を使用して互いに分離することが知られている。これらは通常、回路基板上で基板の低電圧側と基板の高電圧側との間に実装される別個の構成要素、例えば信号トランスを伴っている。ごく最近では、「チップスケール」アイソレータが利用可能となっている。「チップスケール」アイソレータ内において、回路の低電圧側または領域と高電圧側または領域との間を通信する構成要素が、デュアルインラインパッケージなどの集積回路の提供において知られているタイプのパッケージ内に提供される。このようなパッケージは、2つまたは3つのダイを含んでもよく、これらは装置がやはり集積回路としてユーザにそれ自体を示すように、共パッケージされる。
【0005】
チップスケールアイソレータの寸法が減少すると、非チップスケールアイソレータ、すなわち、別個の構成要素アイソレータに見られない絶縁破壊機構が生じ始める。アイソレータは多くの場合、絶縁破壊電圧と呼ばれる定格を与えられる。アイソレータの低電圧部分と高電圧部分との間の電圧差が絶縁破壊電圧を上回る場合、部分間の誘電体材料は、電気絶縁破壊を呈して導電性となり、有効な絶縁体としてもはや機能しない。絶縁破壊電圧を増大させるために、アイソレータは、電極間の誘電体材料のより厚い層によって製造することができる。
【発明の概要】
【0006】
本開示の第1の態様によれば、基板に隣接して形成される第1のタイプの誘電体の第1の層と、第1の層上に形成される第1の誘電体の第2の層と、を備える誘電体構造であって、第2の層が、外周部によって区切られ、第2の層の少なくともいくつかの部分が、第1の層の外周部までまたはそれを越えて延在しない、誘電体構造が提供される。第2の誘電体材料の層は、第1の誘電体材料の最上層の上に形成される。
【0007】
本開示の第2の態様において、第1の態様のアイソレータ装置を含む電子装置が提供される。
【0008】
このように、第1および第2の導電構造と、第1および第2の導電構造間の第1の誘電体材料の本体と、第1の誘電体材料と第1および第2の導電構造のうちの少なくとも1つとの間の第2の誘電体材料の少なくとも1つの領域と、を備えるアイソレータ装置であって、第2の誘電体材料が、第1の材料より高い比誘電率を有し、第1の誘電体の本体が、テーパ形状またはテーパ形状の階段的近似を有するように形成される、アイソレータ装置を提供することができる。
【0009】
第3の態様によれば、基板の第1の領域の上に、第1の電極などの第1の導電体を形成することと、第1の領域の上に第1の誘電体材料の第1の層または本体を形成することと、第1の層の上に第2の電極などの第2の導電体を形成することと、を含むアイソレータ装置を形成する方法が提供される。第1の層の少なくとも一部が露出して残るように、配置されている第2の層を有する第1の誘電体の少なくとも2つの層を堆積することによって、第1の誘電体材料の本体が形成される。本方法は、第1の導電体と第1の誘電体材料の層との間に、および/または第1の誘電体材料の層と第2の電極との間に第2の誘電体材料の少なくとも1つの領域を形成することをさらに含む。
【0010】
したがって、本方法は、以下のうちの少なくとも1つをさらに含む:
【0011】
(i)第1の導電体の少なくとも一部の上に第2の誘電体材料の領域を形成し、その後第1の誘電体材料の層を形成すること;
【0012】
(ii)第1の誘電体材料の層の上に第2の誘電体材料の領域を形成し、その後第2の電極を形成すること;
【0013】
第2の誘電体材料が、第1の材料より高い比誘電率を有する。
【0014】
本開示のさらなる態様において、2つの異なる誘電体材料を含む誘電体スタックの両側の第1および第2の導電体素子を備える、構成要素であって、スタックが構成要素に対する応力に関連した損傷を回避するように、応力除去構造を含む、構成要素が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下、添付図面を参照して単なる非限定例として実施形態を説明する。
【0016】
図1は、信号伝送装置の実施例を示す。
【0017】
図2は、マイクロトランスアイソレータ装置の実施例を示す。
【0018】
図3は、アイソレータ装置の別の実施例を示す。
【0019】
図4は、例示的なアイソレータ装置内の電場のシミュレーションを示す。
【0020】
図5は、本開示の教示によるアイソレータ装置のさらなる実施形態の実施例を示す。
【0021】
図6は、図5に示す装置の誘電体スタックの縁部をより詳細に示す。
【0022】
図7は、第2の誘電体の層の化学気相堆積後の製造中の誘電体スタックの縁部を示す。
【0023】
図8は、第2の誘電体の層内に形成される応力除去構造の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、比較的高い電圧であってもよい、第1の電圧または第1の電圧範囲で入力信号を受信して、それをマイクロプロセッサなどのさらなる構成要素(図示せず)によって処理するためのより低い電圧で伝達するように作用する、例示的な信号アイソレータシステム10内の構成要素を概略的に示す。異なる電圧範囲は、異なる電圧領域であるとみなすことができる。このようなアイソレータシステム10は、入力信号を受信するための入力端子14および16を有する受信回路12と、信号を、アイソレーション構成要素20を介して伝送するのに好適な形態に変換するように作用する処理エレクトロニクス18と、を備える。処理エレクトロニクス18は、例えば、電圧を周波数領域に変換することによってそれをコード化することができ、または論理信号がアサートされる場合、高周波正弦波をアイソレーション構成要素に提供すること、および論理信号がアサートされないか、もしくは区別可能なパルスとして論理信号をコード化することができる場合、正弦波をアイソレーション構成要素に提供するのを抑制することによって、論理信号をコード化することができる。本実施例におけるアイソレーション構成要素20は、第1のトランスコイル22および第2のトランスコイル24を備えるマイクロトランスである。コイルは、絶縁材料によって分離される。駆動回路12に提供される入力信号の表示を再構成するために、さらなる電子回路32が第2のコイル24から受信される信号を処理する出力回路30にコイル22の出力が提供される。図1に示される構成は、非常に簡略化され、例えば信号を異なる方式で、または位相もしくは周波数変調方式で伝達することができるように、単一チャネルは2つのトランスを含んでもよい。加えて、回路30の低電圧側から高電圧側12まで信号を返送することが望ましくなることがあり、このため、各素子は双方向方式で提供されてもよく、アイソレータを使用して双方向方式で信号を伝達してもよく、またはいくつかのアイソレータが一方向におけるデータ送信専用であってもよく、他のアイソレータが第2の方向におけるデータ送信専用であってもよいように、追加のアイソレータが提供されてもよい。さらに、入力受信器回路12はそれが接続される機器から電力を得ることができない場合、トランス(または少なくともいくつかの他のマイクロトランス)を使用して受信器回路を作動するための電力を提供することも可能である。
【0025】
図1に示すように、受信器回路12、アイソレータ20、および出力回路30は、それぞれの基板上に提供されている。少なくともいくつかの実施形態において、すべての基板は、同じチップスケールまたは集積回路パッケージにパッケージされる。示される実施例において、高電圧側12の受信器および低電圧出力側回路30の受信器はそれぞれの基板(例えば異なる半導電体ダイ)上に提供されるが、それらの基板のいずれもアイソレータ20を任意に組み込んでもよい。誘導結合トランスコイルを有する実施例として示されるが、代わりに本明細書において記載される実施形態を他の技術、例えばコイルの代わりに平板電極を使用する容量結合アイソレータに適用してもよい。
【0026】
図2は、アイソレータ20の実施形態による断面図である。ダイアグラムは尺度通りではなく、特に、基板50の厚みは図2に示すより大きくてもよい。図2に示される構成において、半導電体ウェハなどの基板50は、トランスベースの信号アイソレータを形成するために使用される絶縁構造のキャリアとして作用する。また、ガラスなどの他の材料を基板として使用してもよい。螺旋金属トラックとして形成される第1のコイル52を備える第1の導電構造は、基板50の表面の上に提供される。二酸化ケイ素などの絶縁体53の層は、金属トラックを基板50から絶縁する。金属トラックは、アルミニウム、金、または任意の他の好適な金属から形成されてもよい。また、他の導電材料を使用してもよい。螺旋トラックの性質は、螺旋52の半径方向の最外部54に接続され、かつ螺旋52の半径方向の最内部56にも接続されなければならないことである。最外部54への接続は、それがボンドパッド領域62に対して延在するトラック60を形成するような螺旋を形成するために使用される金属層を延在することによって容易に達成することができる。任意の好適な方式で螺旋の最内部56へ接続されてもよいが、本実施例では螺旋の平面の上下の平面に接続される。図2に示される構成において、例えば高ドープド領域または第1のビア72により最内部56に接続し、かつさらなるビア76により金属トラック74のさらなる区画に接続する、さらなる金属層70を形成することによって、相互接続70が螺旋導電体52の平面下で提供される。このように、さらなる絶縁酸化物層(図示せず)が金属層70の下に位置し、それを基板から絶縁してもよい。金属トラック74のさらなる区画は、ボンドパッド領域80に対して延在する。金属トラックは、パッシベーションがエッチング除去されるボンドパッド62および80の領域を除いて、パッシベーション82、例えば二酸化ケイ素またはいくつかの他の絶縁体の薄層によって覆ってもよい。このような構造の製作は、当業者に知られおり、ここでさらに説明する必要はない。
【0027】
電極52または任意の他の電極に接続する方式は、単なる例として示されるだけであり、他の接続技術を使用してもよい。
【0028】
絶縁体は通常、絶縁破壊が起こり、導電路が電極間の絶縁体層を通って開く前、その間の最大電場を耐えることができることは当業者に知られている。電場は、単位距離当たりの電圧で表され、それ故通常、より高い絶縁破壊電圧は絶縁体の厚みを増加することによって実現され得る。しかしながら、いくつかの領域、特に導電構造近傍の領域、すなわちトランス巻線における局所電場は、絶縁体の厚みを増加するのとともに絶縁破壊のリスクをやはりもたらし、装置の絶縁破壊を引き起こす。E電場強度は、曲率半径の減少とともに増加することが知られている。巻線を形成するトラックの縁部は、トラックの名目上の平坦な底面と比較して、曲率半径が減少した領域を表す。コイルの縁部などの導電構造に隣接した電場強度を減少させるために、このような材料は一般に、より低い絶縁破壊電圧を有するということにもかかわらず、より高い比誘電率εrを有する絶縁体の材料が選択されてもよい。
【0029】
一般原則の注意と同様に、半径Rの球をQクーロンの値で帯電させた場合、半径RでのE電場は、以下のように表すことができる。
【0030】
E=Q/4πεR
【0031】
これは、増加するεは電場強度を減少させ、減少するRはEを増加させる、一般原則を示している。
【0032】
ポリイミドは、μm当たり約800〜900ボルトの絶縁破壊電圧を有するために、絶縁体として使用するのに好適な化合物である。ポリイミドはまた、半導体製作プロセスの文脈内で扱うのが比較的容易であり、主に自己平坦化であり、かつ感光性である。ポリイミドは一般に、膜として堆積され、ポジ型フォトレジストが膜の上に塗布され、像形成されて下にあるポリイミド膜の所望のパターンを画定する。その後フォトレジストは、現像される。現像液は、ポリイミドのマスクされていない領域をウェットエッチングするように作用する。現像工程の完了後、ポリイミドは通常、すすいでから気温で芳香族ポリイミド膜に硬化する。集積回路製作に一般に使用される他の絶縁材料は、BCBおよびSU8を含む。他の絶縁性ポリマーおよび酸化物もまた使用できる。
【0033】
図2に示すように、絶縁体90の第1の層、例えばポリイミドは、基板50の領域および下に第1のコイル52が形成されるパッシベーション82の上に堆積する。パターニング、エッチング、および硬化後、ポリイミドなどの絶縁体の第2のオーバラップ層92は、絶縁体の付加的な厚みを構築するように、第1の領域90の上に形成される。領域92の縁部は、領域90の端部の周りに巻き付けてもよく、その結果、絶縁構造は深さおよび横方向の広がりともに増加する。各堆積工程は、ポリイミドの場合、例えば10〜16ミクロンだけ絶縁体の厚みを増加させてもよい。このように、2つの堆積工程後、絶縁体層90および92はともに20〜32のミクロン厚であってもよい。必要であるかまたは望ましい場合、さらなる層を堆積させてより厚い構造を形成することができる。次に、第2の金属層100を層92の上に堆積し、パターン化して、例えば第1の螺旋トラックと協働してトランスを形成する第2の螺旋トラックを形成する。第2の金属層100は、アルミニウムまたは金などの別の好適な金属であってもよい。第1の導電螺旋トラックと同様に、螺旋の最内部および縁部の両方に接続されてもよい。図表を簡易にするために、外縁部への接続を省略する一方、中心部はボンドパッド領域110に接続されてもよい。
【0034】
第2の螺旋導電トラック100の形成後、ポリイミドなどの絶縁体の第3の層112を第2の層92の上および螺旋トラック100の上に堆積する。層112は、第2の層92を越えて延在してオーバラップしてもよい。層112の形成後、マスキングされ、その後選択的にエッチングされて、ボンドパッド110への接続開口113を開ける。本発明者は、この構造を改善することができることを認識した。
【0035】
図3は、アイソレータ装置300の例示的実施形態を示す。アイソレータ装置は、図2に示されて上述のものと同様のいくつかの特徴を含み、これらの特徴は図2および3において同様の符号が付される。これらの特徴は、本明細書においてさらに説明されない。
【0036】
アイソレータ装置300は、示すように1つまたは2つの誘電体材料の付加的な層302、304、および任意の付加的なパッシベーション層306を包含することにより図2に示されるものと異なる。
【0037】
第2の誘電体材料302の第1の層は、第1のパッシベーション層82の上、かつ第1の誘電体材料(例えばポリイミド)の第1の層90の下に形成される。第2の誘電体材料は、ポリイミドまたは他の誘電体材料の層90および92より高い比誘電率(誘電率)を有する。第2の誘電体材料の例としては、窒化ケイ素(SiN)、サファイヤ(Al2O3)、五酸化タンタル(Ta2O5)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、ビスマスフェライト(BiFeO3)、二酸化ケイ素、およびチタン酸バリウムストロンチウム(BST)が挙げられる。しかしながら、これは包括的なリストではなく、他の材料を使用してもよい。加えてまたは代替として、高い比誘電率材料の異なる層は、異なる材料を使用することができる。
【0038】
このように、第2の誘電体材料の第1の層302は、パッシベーション層82(および第1の電極52の後)の後、かつ絶縁層または第1の誘電体材料の層の前に形成してもよい。第1の層302を形成するプロセスは、場合によっては他の層を形成するプロセスと組み合わせてもよい。例えば、開口部を形成してボンドパッド領域80を露出させるために、パッシベーション層82および第2の誘電体材料の第1の層302をマスキングして、同時にエッチングしてもよいが、これは、代替的に層ごとに別々に行うことができる。
【0039】
第2の誘電体材料の第2の層304は、第1の誘電体材料90および92の層の上に位置する。第2の層304は、第1の層302と同じ材料であってもよく、または異なる材料であってもよいが、層302および304はともに層90および92を形成するために使用される材料より高い比誘電率を有する。示される実施例では、層304の縁部は、層90および92の縁部の周りに巻き付けられる。このように、層90および92は、より高い比誘電率の材料の層302および304内に封止される。
【0040】
付加的なパッシベーション層306は、任意に層304の上に提供され、層304の縁部の周りに巻き付けられる。本実施例において、コイル100である第2の導電構造は、その後付加的なパッシベーション層306の上に形成され、好適な接続を含む。例えば、ボンドパッド110は、コイル100の内部に電気接続するために提供され、コイル100の外部に別の接続(図示せず)をすることもできる。
【0041】
図4は、本開示の実施形態によるアイソレータ装置400の断面内の電場のシミュレーションを示す。より暗い領域は、より強い電場を示す。アイソレータ装置400は、第1の電極402、第1のパッシベーション層404、第1の誘電体層406、1つ以上の第2の誘電体層408、第3の誘電体層410、第2のパッシベーション層412、および第2の電極414を含む。層408は、層406および408より低い比誘電率を有する。層406および408は、互いに同じ材料から形成されてもよく、そのため同じ比誘電率を有することができるが、いくつかの実施形態において、層406および408は異なる誘電体材料から作製されてもよい。したがって、これらは同じまたは異なる比誘電率を有してもよいが、やはり層408より高い。
【0042】
層404〜412は、電極402と414との間に対称の構成を有するように示され、層の例示的な厚みは以下の通りである:約0.1〜5ミクロン、例えば3ミクロン厚の第1のパッシベーション層404;1ミクロンの第1の誘電体層406;約10〜80ミクロン、例えば全体で20ミクロンの1つ以上の第2の誘電体層408;1ミクロンの第3の誘電体層410;および約0.1〜5ミクロン、例えば3ミクロンの第2のパッシベーション層412。しかしながら、代替的な実施形態において、層は、他の厚みを有してもよく、かつ/または電極402および414間に非対称の構成をさらに示してもよい。例えば、層406、410のうちの1つは、省略してもよい。
【0043】
図4の実施例において、高電圧が2つの電極402および414の間に印加されるシミュレーションが示される。最も暗い領域、したがって最も強い電場を有する装置内の領域が電極に近く、特に電極の縁部に近いことが分かる。層408より高い比誘電率を有する、層406および410の存在が、層408から離れかつパッシベーション層404および412内の最も強い電場の領域を限定する傾向があるということがさらに分かる。その結果、電極間の電圧は、層406および410を含まないアイソレータ装置と比較すると、誘電体層ひいては装置の絶縁破壊が発生する前にさらに増加することがある。
【0044】
図3および4に示されるより高い比誘電率の層は、単なる例としてそれらのアイソレータ装置に適用され、任意の好適なアイソレータ装置は、より高い比誘電率誘電体材料の1つ以上の層を含み、本明細書において記載される利点を提供することができる。より高い比誘電率を有する誘電体材料の1つ以上の層、例えば図4の層406および410ならびに図3の層302および304は、アイソレータ装置において付加的な利点を有することができる。例えば、選択される材料に応じて、これらの層はまた、電極とより低い比誘電率誘電体層との間の電荷注入障壁として作用することもでき、かつ/または防湿障壁として作用することもできる。加えてまたは代替として、いくつかの実施形態では、1つ以上のパッシベーション層は、存在しなくてもよい。そのような場合、異なる層は、電極とより高い比誘電率誘電体材料の領域との間に存在してもよいし、または、より高い比誘電率誘電体材料の領域は、電極上もしくはその周辺に直接形成されてもよいし、または、電極は、より高い比誘電率誘電体材料の領域上もしくはその中に直接形成されてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態において、より高い誘電率誘電体材料の層全体を堆積しなくてもよい。その代わりに、装置の特定の領域において選択された領域を形成してもよい。例えば、より高い誘電率誘電体材料の領域は、より低い比誘電率層から離れたピーク電場を押すために、導電構造の一方または両方の縁部近傍に形成されてもよく、より高い比誘電率領域は、導電構造間のより低い比誘電率の層の少なくとも一部内に存在しなくてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態は、より低い誘電率誘電体材料の層と電極のうちの1つとの間に、より高い比誘電率誘電体材料の1層のみを使用してもよく、これは図3および4に示されるものなどの2層の実施形態により提供される利点の少なくともいくつかを提供することができる。加えてまたは代替として、他の実施形態は、上述され図3および4に示されるものに、付加的な層を含む。
【0047】
変化において、図5に示すように、誘電体スタックの形状は変化してもよく、その結果、誘電体の少なくとも1つの次層は、前層にオーバラップせず、完全には囲まない。
【0048】
図5に示される構成において、ポリイミドの3層90、92、および94は、所要の厚さまで誘電体材料の本体を構築するように堆積させる。層90、92、および94によって形成されるポリイミドスタックの片側または両側は、図3に関して考察するように、より高い誘電率誘電体によって境界付けられてもよい。
【0049】
図5に示すように、誘電体材料の高誘電率層302は、パッシベーション82の上に形成される。例えば、層302は、図3に関して列記される窒化ケイ素、二酸化ケイ素、または他の材料により形成されてもよい。あるいは、層302を省略してもよい。
【0050】
次に、提供される場合、ポリイミドの層90はトランスの第1の巻線の領域の上、および層302の上に形成される。層90は、比較的高い誘電率誘電体層302の縁部302aと整合し得る縁部(すなわち外周部)90aを有する。あるいは、示すように、縁部90aは、オフセットされて段を形成してもよい。
【0051】
ポリイミドの第2の層92は、第1の層の上に形成され、第2の層のサイズおよび形状を画定するようにパターン化されて、エッチングされる。第2の層92が層90より面積において小さくなるように、第2の層92は、前層90の外周部90aからオフセットされる外周部92aを有する。本実施例において、ポリイミドである、第1のタイプの層の誘電体スタックは、深さにおいて2層に限定され得る(このことにより、例えば20〜32ミクロンのポリイミドの深さ、それ故18kV〜29kVの絶縁破壊電圧を提供する)。図5に示される実施例において、第1の誘電体、例えばポリイミドの第3の層94は、第2の層92の上に形成される。層94が層92より空間的に広範囲にならないように、第3の層94は、外周部92aからオフセットされる外周部94aを有する。このように、構造は、階段ピラミッドから数層を形成するとみなすことができる(けれども、構造は、複数のトランスが共用誘電体スタックの上に形成されてもよいために、細長くすることができる)。
【0052】
第1の誘電体の所要の深さが構築されると、構造は、比較的より高い誘電率誘電体、例えば窒化ケイ素または二酸化ケイ素などの第2のタイプの誘電体の層304で覆われる。層304は、外周部304aを有し、これは完成した装置を前誘電体層94の外周部94aと整合させるか、または層304が層94より空間的に広範囲にならない(より小さい)ように、外周部94aからオフセットしてもよい。
【0053】
その後、図3に関して上述したように、最上コイル100を形成することができる。コイル100は、その後絶縁体のさらなる層内に囲まれてもよい。ポリイミドは、扱うのが比較的容易なため好適な選択である。
【0054】
この設計は、図3に関して述べられる設計と比較して、最上誘電体層304の領域を減少させる。この代わりの設計は、層304内の欠陥または亀裂の発生を回避するまたは低下させるように層304に作用する応力または力を最小化しようとする。これは、いかなる欠陥も増加したE電場強度の位置になるため有利になることができ、それ故、完成された装置を普通なら耐えることができるこれらより低い電圧で絶縁破壊させることがある。
【0055】
例えば熱サイクルによる、チップを処理する結果としての応力が、基板からの距離の増加関数として減少するように、ピラミッド様構造はまた、層90、92などの中の応力を再分配させることもできる。加えて、仮定されるが、今のところまだ証明されていないため、ピラミッド構造が、各層が前層を囲む、より従来の構造よりポリイミド層からの発信を扱うことにより適しているというこの記述によって本発明者は、束縛されることを望むものではない。
【0056】
図6は、誘電体スタックの縁部領域をより詳細に示す。図6において、層302は堆積されなかった、それ故、第1のポリイミド層90は、層82と直接接触して堆積する。図6の断面図は、図5の断面図の平面に対して垂直であり、したがって、金属部74および53は、第1のポリイミド層90の縁部まで延在しない。第1のポリイミド層90を深さh1に堆積する。第2のポリイミド層を深さh2に堆積し、その外周部は距離d1だけ内部に段を付ける。提供される場合、第3のポリイミド層94を深さh3に堆積し、その外周部は距離d2だけ後部に段を付ける。
【0057】
本実施形態において、h1、h2、およびh3は10〜20ミクロンであり、d1およびd2は0ミクロン超であり、好ましくは5〜30ミクロンの範囲である。例えば、d1は、h1±10%、20%、30%、または50%などのマージンと同じであってもよい。d1、d2、およびd3の値は、h1、h2、およびh3の値と同様に互いに異なっていてもよい。
【0058】
製造中、化学気相堆積により、第2の誘電体304を第1の誘電体のスタックの上に堆積してもよい。したがって、層304は、図7に示すように、装置の上面全体をまず覆い、その後パターニングおよび選択エッチングによってエッチバックされる。これによって、この層の空間的範囲を比較的容易に画定することができる。このように、図5に示す装置を製作することができる。
【0059】
層304をパターン化しエッチングすることができる容易さは、さらなる応力除去を提供するために層304の形状をさらに改質する可能性を生じさせる。
【0060】
最大のE電場集中の領域は、巻線を形成する金属トラックの縁部で発生する−周知のように、縁部が曲率半径を表し、曲率半径の減少とともにE電場が増加するためである。コイルを形成するトラックは、完全に空間的に広範囲になることができ、隙間はコイルの隣接する曲がり角の間に存在する。このことから、層304内の応力は各「巻線」の縁部の近くでは避けなければならないことになる。これは、層304内の応力除去構造を形成することによって実現することができる。
【0061】
図8は、金属トラック100によって形成されるコイルの一部の平面図である。トラック100は、第2の誘電体の層304の上に形成される。しかしながら、トラックの縁部での応力蓄積を防止するために、応力除去は、層304内にチャネル320を形成することによって、さらに提供することができる。チャネル320は、層306内で不連続とみなすことができ、それ故、E電場はこれを利用して装置を絶縁破壊させるとみなすことができるが、チャネルは絶縁破壊のリスクを示さないために個々の導電体から離れて、十分な距離で形成される。さらに、巻線の各部分が同程度の電圧であるために、その後チャネル320は隣接する導電体100から実質的なE電場キャンセルの位置で形成される。チャネル100が層304の全体の深さを貫通する場合、その後チャネルはまた、ガス放出が起こる経路を提供するばかりでなく、金属トラックと関連する層304の領域に対して応力除去を提供する。
【0062】
このような除去チャネルの形成は、図5および6に示される構成ならびにさらに図3に示されるものとともに使用することができる。
【0063】
以下、実施形態の種々の非限定的な実施例を説明する。実施形態によれば、第1および第2の電極と、第1および第2の電極間の第1の誘電体材料の層と、第1の誘電体材料の層と第1および第2の電極のうちの少なくとも1つとの間の第2の誘電体材料の少なくとも1つの領域と、を備えるアイソレータ装置が提供される。第2の誘電体材料は、第1の誘電体材料より高い比誘電率を有する。
【0064】
いくつかの実施形態において、第2の誘電体材料の少なくとも1つの領域は、第1および第2の電極のうちの少なくとも1つの縁部近傍に位置する。いくつかの実施形態において、第2の誘電体材料の少なくとも1つの領域は、第1の誘電体材料の層と第1および第2の電極のうちの少なくとも1つとの間に、第2の誘電体材料の少なくとも1つの層を備える。いくつかの実施形態において、第2の誘電体材料の少なくとも1つの領域は、第1の誘電体材料の層と第1の電極との間の第2の誘電体材料の第1の領域を備え、装置は、第1の誘電体材料の層と第2電極との間の第3の誘電体材料の第2の領域をさらに備える。いくつかの実施形態において、第2の誘電体材料は、第3の誘電体材料と異なる。他の実施形態において、第2の誘電体材料は、第3の誘電体材料と同じである。いくつかの実施形態において、第3の誘電体材料は、第1の誘電体材料より高い比誘電率を有する。
【0065】
いくつかの実施形態において、第2の誘電体材料の少なくとも1つの領域は、第1および第2の電極のうちの少なくとも1つと接触しない。いくつかの実施形態において、装置は、第2の誘電体材料の少なくとも1つの領域と第1および第2の電極のうちの少なくとも1つとの間のさらなる層をさらに備える。 いくつかの実施形態において、さらなる層は、パッシベーション層である。いくつかの実施形態において、第2の誘電体材料の少なくとも1つの領域は、約0.1μm〜約5μmだけ第1および第2の電極のうちの少なくとも1つから分離される。第1および第2の電極それぞれは、プレートまたはコイルを備える。いくつかの実施形態において、第1の誘電体材料の層の厚さは、約10μm〜約80μmである。いくつかの実施形態において、第2の誘電体材料の少なくとも1つの領域の厚さは、約1μmである。第1および第2の電極のうちの1つは、基板上に形成される。いくつかの実施形態において、第1の誘電体材料はポリイミドであり、かつ/または第2の誘電体材料は、窒化ケイ素、サファイヤ、五酸化タンタル、チタン酸ストロンチウム、ビスマスフェライト、およびチタン酸バリウムストロンチウムのうちの1つである。第2の誘電体材料の少なくとも1つの領域は、第1の誘電体材料の層を実質的に囲む。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、基板の上に第1の電極を形成することと、第1の領域の上に第1の誘電体材料の層を形成することと、第1の層の上に第2の電極を形成することと、を含むアイソレータ装置を形成する方法が提供される。本方法は、(i)第1の電極の少なくとも一部の上に第2の誘電体材料の領域を形成し、その後第1の誘電体材料の層を形成することと、(ii)第1の誘電体材料の層の上に第3の誘電体材料の領域を形成し、その後第2の電極を形成することと、のうちの少なくとも1つをさらに含み、第2の誘電体材料および第3の誘電体材料が、第1の材料より高い比誘電率を有する。
【0067】
いくつかの実施形態において、第1の層の上に第2の誘電体材料の第2の領域を形成することが、第2の電極を形成する前に行われる。いくつかの実施形態において、本方法は、第2の電極を形成する前に第2の領域の上に二酸化ケイ素または他の絶縁材料の層を形成することをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、第1の電極の上にパッシベーション層を形成し、その後第1の誘電体材料の層および第2の誘電体材料の領域を形成することをさらに含む。
【0068】
いくつかの実施形態において、本方法は、第3の誘電体材料の領域の上にパッシベーション層を形成し、その後第2の電極を形成することをさらに含む。
【0069】
いくつかの実施形態において、本方法は、第1の電極の少なくとも一部の上に第2の誘電体材料の領域を形成し、その後第1の誘電体材料の層を形成することと、第1の誘電体材料の層の上に第3の誘電体材料の領域を形成し、その後第2の電極を形成することと、をさら含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、第2の誘電体材料は、第3の誘電体材料と異なるが、他の実施形態において、それらは同じである。
【0071】
いくつかの実施形態において、第2の誘電体材料の領域は、第1の誘電体材料の層を実質的に囲む。いくつかの実施形態において、第1の誘電体材料はポリイミドであり、かつ/または、第2の誘電体材料は、窒化ケイ素、サファイヤ、五酸化タンタル、チタン酸ストロンチウム、ビスマスフェライト、およびチタン酸バリウムストロンチウムのうちの1つであり、かつ/または、第3の誘電体材料は、窒化ケイ素、サファイヤ、五酸化タンタル、チタン酸ストロンチウム、ビスマスフェライト、およびチタン酸バリウムストロンチウムのうちの1つである。
【0072】
いくつかの実施形態において、第1の誘電体材料の層は、複数の処理工程において形成される。
【0073】
いくつかの実施形態において、アイソレータ装置を含む電子装置であって、アイソレータ装置が、第1および第2の導電部、例えば、電極、第1および第2の電極間の第1の誘電体材料の層、ならびに第1の誘電体材料の層と第1および第2の電極のうちの少なくとも1つとの間の第2の誘電体材料の少なくとも1つの領域を備える、電子装置が提供される。いくつかの実施形態において、第2の誘電体材料は、第1の誘電体材料より高い比誘電率を有する。
【0074】
上述の説明は、例示を意図するものであり、本開示の範囲および保護の範囲を限定するものではなく、これらは添付の請求項によって定められる。他の実施形態は、請求項の範囲内である。本明細書において記載される態様および実施形態は、このような態様および/または実施形態が相互排他的と記載されない限り、2つ以上の任意の組合せで組み合わされてもよい。
【0075】
また、本明細書において示されるあらゆる請求項は、明らかに実行不可能でない限り、同じタイプの先行する請求項のいずれかに依存することができることを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
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図7
図8