【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、指定の要件を満たし、歯科目的のために最適な特性プロファイル、特にラジカル重合において高い重合速度を有する歯科材料を提供することである。また、歯科材料は重合後に良好な機械的特性を有さなければならない。それらはまた、歯の構造(象牙質、特にエナメル質)に対して高い接着性を有し、接着剤、セメント、複合材またはコーティング材料として特に好適でなければならない。さらに、極性溶媒における、および極性溶媒と水との混合物における良好な溶解性も望まれている。
【0013】
本目的は、一般式I
【化1】
(式中、
R
1、R
2は、各場合において互いに独立に、−O−、−S−、−CO−O−が介在し得る脂肪族C
1−C
15ラジカルであり、
Xはラジカル重合性基であり、
Yはラジカル重合性基または酸基であり、
n、mは、各場合において互いに独立に、1、2、または3である)
の少なくとも1つのウレア誘導体を含有する歯科材料による本発明によって達成される。
【0014】
好ましいラジカル重合性基は、CH
2=CR
3−CO−Z−またはR
4O−CO−C(=CH
2)−CH
2−Z−であって、ZはOもしくはNR
5であるか、または存在せず、R
3はHまたはCH
3であり、R
4およびR
5は、各場合において互いに独立に、HまたはC
1−C
7アルキルである。(メタ)アクリロイルオキシ基(CH
2=CR
3−CO−Z−であって、ZがOの場合)が特に好ましく、特に(メタ)アクリロイルアミノ基(CH
2=CR
3−CO−Z−であって、ZがNR
5の場合)およびR
4O−CO−C(=CH
2)−CH
2−Z−であり、Zは好ましくはOであり;R
3は、各場合においてHまたはCH
3であり、R
4およびR
5は、各場合において互いに独立に、CH
3またはC
2H
5である。
【0015】
好ましい酸基は、−PO(OH)
2、−O−PO(OH)
2、および−SO
3Hである。
【0016】
特に好ましい実施形態によれば、XおよびYは、以下の意味:
Xは、CH
2=CR
3−CO−Z−またはR
4O−CO−C(=CH
2)−CH
2−Z−であり、ZはOもしくはNR
5であるか、または存在せず、R
3はHまたはCH
3であり、R
4およびR
5は、各場合において互いに独立に、HまたはC
1−C
7アルキルであり、
YはCH
2=CR
3’−CO−Z’−またはR
4’O−CO−C(=CH
2)−CH
2−Z’−のいずれかであり、Z’はOもしくはNR
5’であるか、または存在せず、R
3’はHまたはCH
3であり、R
4’およびR
5’は、各場合において互いに独立に、HまたはC
1−C
7アルキルである;または−PO(OH)
2、−O−PO(OH)
2、−SO
3Hである、
を有する。
【0017】
R
1基およびR
2基は、ラジカルXでn回置換されているか、またはそれぞれがYでm回置換されている脂肪族基である。これらの基は、分岐鎖状または直鎖状であってもよい。式Iは、化学価の理論と合致する化合物のみをカバーしている。
【0018】
R
1およびR
2は、好ましくは線状脂肪族ラジカル、特に式(CH
2)
p(式中、pは1〜15、特に好ましくは2〜12、非常に特に好ましくは3〜10の整数である)を有するラジカルである。R
1およびR
2は、異なっていてもよく、または好ましくは同一であってもよい。nおよびmが1である各場合に、線状ラジカルが特に好ましい。nおよびmが1よりも大きい場合、R
1およびR
2は、好ましくは分岐構造を有する。この場合、いくつかのX基およびY基は、好ましくは主鎖および側鎖(単数または複数)に配置される。
【0019】
ラジカルがヘテロ原子または官能基で介在されるという指摘は、ヘテロ原子または官能基が、炭素鎖に挿入されてC原子で両側が隣接されていると理解されたい。ヘテロ原子および/または官能基の一連のつなぎは、この定義には入らない。
【0020】
好ましくは、R
1が介在されていないか、または1〜4個、特に1〜2個のヘテロ原子または官能基、特に好ましくは1または2のO原子が介在している。R
2は、好ましくは介在されていないか、または1〜4個、特に1〜2個のヘテロ原子または官能基、特に好ましくは1または2のO原子が介在している。
【0021】
本明細書にて指定される可変基の好ましい定義は、互いに独立して選択することができる。しかし、本発明によれば、すべての可変基が好ましい定義の1つ、特別には特に好ましい定義の1つを有する化合物は、当然特に好ましい。
【0022】
Yが酸基である式Iの化合物を含有する歯科材料は、自己エッチング材料として、特に接着剤、セメント、フィッシャーシーラントとして特に好適である。好ましい酸性ウレア誘導体は、一般式Iの可変基が以下の意味:
R
1は−O−または−CO−O−により介在され得る脂肪族C
2−C
12ラジカルであり、
R
2は−O−または−CO−O−により介在され得る脂肪族C
1−C
10ラジカルであり、
XはCH
2=CR
3−CO−Z−またはR
4O−CO−C(=CH
2)−CH
2−Z−であり、ZはOまたはNR
5であり、R
3はHまたはCH
3であり、R
4およびR
5は、各場合において互いに独立に、HまたはC
1−C
3アルキルであり、
Yは−PO(OH)
2、−O−PO(OH)
2、−SO
3Hであり、
nは1または2であり、
mは1または2である、
を有する化合物である。
【0023】
可変基が以下の意味:
R
1、R
2は、各場合において互いに独立に、1または2の−O−により介在され得る線状脂肪族C
2−C
10ラジカルであって、R
1およびR
2が好ましくは同一であり、
XはCH
2=CR
3−CO−Z−(ここでZはOまたはNR
5である)またはR
4O−CO−C(=CH
2)−CH
2−Z−(ここでZはOである)であり、R
3はHまたはCH
3であり、R
4はメチルまたはエチルであり、R
5はH、メチルまたはエチルであり、
Yは−PO(OH)
2、−O−PO(OH)
2、−SO
3Hであり、
n、mはいずれの場合も1である、
を有する本実施形態の歯科材料が、特に好ましい。
【0024】
さらなる実施形態によれば、Yはラジカル重合性基である。このような場合、式Iのウレア誘導体は、架橋性を有している。そのような架橋誘導体を含有する歯科材料は、接着剤、コーティング材料、セメントまたは充填材料(複合材)として、特に接着剤およびセメントとして特に好適である。式Iの好ましい架橋ウレア誘導体は、可変基が以下の意味:
R
1は−O−または−CO−O−により介在され得る脂肪族C
2−C
12ラジカルであり、
R
2は−O−または−CO−O−により介在され得る脂肪族C
1−C
10ラジカルであり、
X、Yは、各場合において互いに独立に、CH
2=CR
3−CO−Z−またはR
4O−CO−C(=CH
2)−CH
2−Z−であり、ZはOまたはNR
5であり、R
3はHまたはCH
3であり、R
4およびR
5は、各場合において互いに独立に、HまたはC
1−C
3アルキルであり、XおよびYが好ましくは同一であり、
nは1または2であり
mは1または2であり;特に好ましくは、
R
1、R
2は、各場合において互いに独立に、1または2の−O−により介在され得る線状脂肪族C
2−C
10ラジカルであって、R
1およびR
2が好ましくは同一であり、
X、Yは、各場合において互いに独立に、CH
2=CR
3−CO−Z−(式中、ZはOまたはNR
5である)またはR
4O−CO−C(=CH
2)−CH
2−Z−(式中ZはOである)であり、R
3はHまたはCH
3であり、R
4はメチルまたはエチルであり、R
5はH、メチルまたはエチルであり、XおよびYが好ましくは同一であり、
n、mはいずれの場合も1である、
を有する化合物である。
【0025】
Yが酸基であり、nが1より大きいウレア誘導体はまた、酸基の自己エッチング作用および接着促進作用に加えて、架橋性を有し、架橋剤として使用することができる。しかし、1つのみの重合性基を有する式Iの酸性ウレア誘導体はまた、有利には、2つまたはそれより多い重合性基を有する式Iの非酸性ウレア誘導体と合わせることができる。架橋剤および式Iの酸性ウレア誘導体を同時に含有する組成物は、本発明によれば特に好ましい。
【0026】
一般式Iのモノマーを含有する重合性ウレア基は、容易に調製することができる。例えば、NH
2−官能化重合性(メタ)アクリレートまたは(メタクリル)アミドと、NH
2−官能化亜リン酸エステル、リン酸エステル、またはスルホン酸エステルと、イソシアネート官能化重合性(メタ)アクリレートまたは(メタクリル)アミドを反応させることができ、亜リン酸エステル、リン酸エステル、またはスルホン酸エステルの場合には、次に酸基の放出が起き、一般式Iの化合物が形成される。NH
2−官能化重合性(メタ)アクリレートまたは(メタクリル)アミドは、対応するOH−保護アミノアルコールの(メタ)アクリル化、その後の保護基または対応するジアミンそれぞれの脱離によって調製することができる。NH
2−官能化亜リン酸エステルは、例えばα、ω−ジハロゲノアルカンから出発して、分子の一末端でのアルブゾフ反応、その後の第2のハロゲン原子でのガブリエル反応によって得ることができる。イソシアネート官能化重合性(メタ)アクリレートまたは(メタクリル)アミドは、対応するブロモアルキル(メタ)アクリレートまたはブロモアルキル(メタ)アクリルアミドそれぞれと、アルカリシアネートと反応させることにより調製することができる(C.Dubosclard−Gottardi,P.Caubere,Y Fort Tetrahedron 51(1995)2561−2572を参照)。
【化2】
【0027】
具体的には、XおよびYがラジカル重合性基である式Iの化合物は、例えば2−イソシアナトエチルメタクリレートと5−アミノペンチルメタクリルアミドを反応させることにより得ることができる。
【化3】
【0028】
Yが酸基であるウレア誘導体は、例えば2−イソシアナトブチルメタクリレートと5−アミノペンチルホスホン酸ジエチルエステルの反応、およびその後のホスホン酸基の放出により調製することができる。
【化4】
【0029】
本発明によれば、一般式Iのウレア基を含有する重合性モノマーの好ましい例としては、
【化5-1】
【化5-2】
【化5-3】
【化5-4】
である。
【0030】
一般式Iの重合性ウレア誘導体は、歯科材料、特に自己エッチング性を有する歯科材料、例えば接着剤およびセメント、複合材およびコーティング材料などの調製に特に好適である。それらは歯科材料における接着成分および/または架橋成分として使用することができる。それらはアルコール、例えばエタノールおよびイソプロパノールなどに、およびアセトンまたはその水性混合物に非常に可溶性である。
【0031】
驚くべきことに、本発明の一般式Iのウレア誘導体の溶液はゲル化しないことが分かっており、ウレア誘導体は、非常に良好なラジカル重合性によって特徴付けられる。酸性モノマー(Yが酸基)もまた、結果として象牙質および特に歯のエナメル質に対して非常に良好な結合値をもたらす。
【0032】
式Iのウレア誘導体は、歯科材料の全質量に対して好ましくは0.1〜50wt%、特に好ましくは1〜40wt%、非常に特に好ましくは2〜30wt%の量で使用される。
【0033】
本発明の歯科材料は、好ましくはさらにラジカル重合性モノマー(コモノマー)、特に好ましくは単官能性または多官能性の(メタ)アクリル酸誘導体を含有する。単官能モノマーとは1つのラジカル重合性基を有するモノマーを意味し、多官能性モノマーとは2つまたは2つより多くの、好ましくは2〜4つのラジカル重合性基を有するモノマーを意味する。この点における例としては、メチル、エチル、ヒドロキシエチル、ブチル、ベンジル、テトラヒドロフルフリル、またはイソボルニル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビス−GMA(メタクリル酸およびビスフェノールAジグリシジルエーテルの付加物)、UDMA(2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)および2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの付加物)、ジ−、トリ−またはテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ならびにグリセロールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレートまたは1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレートである。
【0034】
指定のコモノマーの混合物が好ましくは使用される。ビス−GMAおよび/またはUDMA、トリエチレングリコールジメタクリレート、またはデカンジオールジメタクリレートと混合された2−ヒドロキシエチルメタクリレートまたは2−ヒドロキシプロピルメタクリレートを含有する混合物が特に好ましい。
【0035】
さらに好ましいコモノマーは、N−単置換アクリルアミドまたはN−二置換アクリルアミド、例えばN−エチルアクリルアミド、N,N−ジメタクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドまたはN−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドなど、あるいはN−単置換メタクリルアミド、例えばN−エチルメタクリルアミドまたはN−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミドなど、ならびにN−ビニルピロリドンまたはアリルエーテルである。これらのモノマーは、高い加水分解安定性および比較的低い粘度によって特徴付けられるため、例えば希釈モノマーとして好適である。
【0036】
同様に好ましいコモノマーは、架橋ピロリドン、例えば1,6−ビス(3−ビニル−2−ピロリドニル)−ヘキサンなど、あるいは市販のビスアクリルアミド、例えばメチレンビスアクリルアミドもしくはエチレンビスアクリルアミドなど、またはビス(メタ)アクリルアミド、例えばN,N’−ジエチル−1,3−ビス(アクリルアミド)プロパン、1,3−ビス(メタクリルアミド)プロパン、1,4−ビス(アクリルアミド)ブタンもしくは1,4−ビス(アクリロイル)ピペラジンなどである。これらは対応するジアミンと(メタ)アクリル酸クロリドからの変換により合成することができる。これらのモノマーはまた、加水分解安定性によって特徴付けられる。これらは2つまたはそれより多いラジカル重合性基を含有するため、例えば架橋モノマーとして好適である。
【0037】
最後に、1つまたは1つより多くの上記モノマーと、さらに酸基を含有するラジカル重合性接着剤モノマーとの混合物も使用することができる。酸基を含有する好適なモノマーは、重合性カルボン酸、例えばマレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸無水物、10−メタクリロイルオキシデシルマロン酸、N−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)−N−フェニルグリシンまたは4−ビニル安息香酸などである。好適なホスホン酸モノマーの例としては、ビニルホスホン酸、4−ビニルフェニルホスホン酸、4−ビニルベンジルホスホン酸、2−メタクリロイルオキシエチルホスホン酸、2−メタクリルアミドエチルホスホン酸、4−メタクリルアミド−4−メチル−ペンチルホスホン酸、2−[4−(ジ−ヒドロキシホスホリル)−2−オキサ−ブチル]−アクリル酸または2−[4−(ジ−ヒドロキシホスホリル)−2−オキサ−ブチル]−アクリル酸エチルまたは−2,4,6−トリメチルフェニルエステルである。好適な酸性重合性リン酸エステルの例としては、リン酸一水素2−メタクリロイルオキシプロピルまたはリン酸二水素2−メタクリロイルオキシプロピル、リン酸一水素2−メタクリロイルオキシエチルまたはリン酸二水素2−メタクリロイルオキシエチル、リン酸水素2−メタクリロイルオキシエチルフェニル、ジペンタエリスリトールペンタメタクリロイルオキシホスフェート、リン酸二水素10−メタクリロイルオキシデシル、リン酸モノ−(1−アクリロイル−ピペリジン−4−イル)−エステル、リン酸二水素6−(メタクリルアミド)ヘキシルおよびリン酸二水素1,3−ビス−(N−アクリロイル−N−プロピル−アミノ)−プロパン−2−イルである。好適な重合性スルホン酸の例としては、ビニルスルホン酸、4−ビニルフェニルスルホン酸または3−(メタクリルアミド)プロピルスルホン酸である。
【0038】
式Iの酸性ウレア誘導体は、好ましくは非酸性コモノマーと合わされ、式Iの非酸性ウレア誘導体は、酸性コモノマーと合わされるか、または好ましくは酸性コモノマーと非酸性コモノマーとの混合物と合わされる。式Iの酸性ウレア誘導体と非酸性コモノマーとの混合物において、非酸性コモノマーの割合は、好ましくは酸性ウレア誘導体(単数または複数)の質量に対して10〜300wt%の範囲である。式Iの非酸性ウレア誘導体と酸性コモノマーとの混合物において、酸性コモノマーの割合は、好ましくは非酸性ウレア誘導体および任意選択で非酸性コモノマーの質量の和に対して5〜100wt%の範囲である。
【0039】
式Iの酸性ウレア誘導体および酸性コモノマーを併用すれば、この混合物は、好ましくは主として、特に好ましくは独占的に式Iの酸性ウレア誘導体を含有する。
【0040】
式Iの架橋ウレア誘導体および架橋コモノマーを併用すれば、この混合物は、好ましくは主として、特に好ましくは独占的に式Iの架橋ウレア誘導体を含有する。
【0041】
ラジカル重合を開始するために、本発明の歯科材料は好ましくはラジカル重合開始剤を含有する。好ましくは、ベンゾフェノン、ベンゾインおよびそれらの誘導体またはα−ジケトンもしくはそれらの誘導体、例えば9,10−フェナントレンキノン、1−フェニル−プロパン−1,2−ジオン、ジアセチルもしくは4,4’−ジクロロベンジルなどが光重合のために使用される。カンファーキノンおよび2,2−ジメトキシ−2−フェニル−アセトフェノンが好ましく使用され、還元剤としてのアミン、例えば4−(ジメチルアミノ)−ベンゾエート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチル−sym.−キシリジンまたはトリエタノールアミンなどと合わせたα−ジケトンが特に好ましく使用される。ノリッシュI型光開始剤、とりわけアシルビスアシルホスフィンオキシド、モノアシルトリアルキルゲルマニウム化合物またはジアシルジアルキルゲルマニウム化合物、例えばベンゾイルトリメチルゲルマニウム、ジベンゾイルジエチルゲルマニウムまたはビス(4−メトキシベンゾイル)ジエチルゲルマニウムなども特に好適である。例えばカンファーキノンおよび4−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルと合わせたジベンゾイルジエチルゲルマニウムなど、様々な光開始剤の混合物も使用され得る。
【0042】
酸化還元−開始剤の組み合わせ、例えばN,N−ジメチル−sym.−キシリジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−3,5−ジ−tert−ブチルアニリンまたはN,N−ジエタノール−p−トルイジンとの過酸化ベンゾイルの組み合わせなどが、室温で行う重合のための開始剤として使用される。さらに、過酸化物またはヒドロ過酸化物および還元剤、例えばアスコルビン酸、バルビツレート、チオウレアまたはスルフィン酸などからなる酸化還元系もまた特に好適である。
【0043】
本発明の歯科材料は、好ましくは光開始剤、または光開始剤と酸化還元開始剤、好ましくは過酸化物との組み合わせを含む。二重硬化に特に有利な開始剤の組み合わせは、カンファーキノンと過酸化ベンゾイルとの混合物であり、これらの開始剤もまた好ましくはアミンと合わされる。
【0044】
本発明に使用される組成物にはさらに、好ましくは機械的特性を向上させるか、または粘度を調整するための有機充填剤粒子または無機充填剤粒子を含有する。機械的特性に適合させるための充填剤は、平均粒径が10nm〜10μm、好ましくは10nm〜1.0μmであることが好ましく、粘度を調整するための充填剤は、平均粒径が10〜1000nm、好ましくは10〜200nmであることが好ましい。これらの種類の充填剤を好ましくは併用する。特に断りのない限り、平均粒径は重量平均値である。
【0045】
好ましい無機粒子充填剤は、酸化物、例えばZrO
2およびTiO
2など、またはSiO
2、ZrO
2および/またはTiO
2の混合酸化物、ナノ粒子状または超微粒充填剤、例えば焼成ケイ酸または沈降ケイ酸など、ならびにミニ充填剤、例えば平均粒径が0.01〜1μmである石英、ガラスセラミックまたはガラス粉末など、ならびにX線不透過性充填剤、例えば三フッ化イッテルビウムまたはナノ粒子状酸化タンタル(V)または硫酸バリウムなどに基づく、非晶質球状材料である。好ましい有機充填剤は、ポリ(メタ)アクリレート、例えばPMMAなど、またはセルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースなどに基づく充填剤であり、これらは硬化後に上記の粒子サイズに粉砕される。有機充填剤としては、指定の無機充填剤で充填することができる。
【0046】
溶媒含有歯科材料は、本発明のさらに好ましい実施形態を示す。ここで、水および極性有機溶媒、例えばアセトン、イソプロパノール、特にエタノールなど、ならびにこれらの溶媒の混合物が好ましい。水と極性有機溶媒との混合物が特に好ましく、より好ましくは水とエタノール、水とアセトン、または水とエタノールとアセトンとの混合物である。溶媒含有歯科材料は、接着剤、フィッシャーシーラントまたはコーティング材料としての使用に特に好適である。接着剤は、好ましくは、イソプロパノール、エタノールおよび/またはアセトン、または指定の溶媒と水との混合物を含有する。好ましくは、水を含まない極性有機溶媒のみが、フィッシャーシーラントまたはコーティング材料のために使用される。
【0047】
任意選択で、本発明に従って使用される組成物は、さらに添加剤、例えば安定剤、香味料、色素、殺菌活性成分、フッ素イオン放出添加剤、蛍光増白剤、可塑剤および/またはUV吸収剤などを含有し得る。
【0048】
ウレア基を含有する重合性モノマーに基づく、本発明の歯科材料は、好ましくは以下の組成:
a)0.1〜50wt%、好ましくは1〜40wt%、特に好ましくは2〜30wt%の一般式Iのモノマーを含む重合性ウレア基、
b)0.01〜10wt%、特に好ましくは0.1〜3.0wt%の開始剤、
c)0〜80wt%、好ましくは0〜60wt%、特に好ましくは5〜50wt%の1つまたは1つより多くの他のモノマー、
d)0〜80wt%の充填剤、
e)任意選択で0〜10wt%、好ましくは0.1〜3wt%の添加剤、および
f)0〜70wt%、好ましくは0〜60wt%、特に好ましくは0〜50wt%の溶媒
を有する。
【0049】
接着剤を調製するために、式Iの酸性モノマーは非酸性コモノマーと合わせることができ、式Iの非酸性モノマーは酸性コモノマーと合わせることができ、式Iの酸性モノマーは式Iの非酸性モノマーと合わせることができる。
【0050】
接着剤として使用するための歯科材料は、好ましくは以下の成分:
a)0.1〜50wt%、好ましくは1〜40wt%、特に好ましくは2〜30wt%の一般式Iのウレア誘導体(Yは酸基である)、
b)0.01〜10wt%、特に好ましくは0.1〜3.0wt%の開始剤、
c)0〜80wt%、好ましくは0〜60wt%、特に好ましくは5〜50wt%の1つまたは1つより多くの他のモノマー、
d)0〜20wt%の充填剤、
e)任意選択で、0〜10wt%、好ましくは0.1〜3wt%の添加剤、および
f)0〜70wt%、好ましくは6〜60wt%、特に好ましくは10〜50wt%の溶媒、好ましくは水および/またはエタノール、イソプロパノールまたはアセトン
を含有する。
【0051】
代替的な実施形態によれば、接着剤は、好ましくは以下の成分:
a)0.1〜50wt%、好ましくは1〜40wt%、特に好ましくは2〜30wt%の一般式Iのウレア誘導体(Yは重合性基である)、
b)0.01〜10wt%、特に好ましくは0.1〜3.0wt%の開始剤、
c1)0.1〜50wt%、好ましくは1〜40wt%、特に好ましくは2〜30wt%の1つまたは1つより多くの他の酸性モノマー、
c2)0〜80wt%、好ましくは0〜60wt%、特に好ましくは5〜50wt%の1つまたは1つより多くの他の非酸性モノマー、
d)0〜20wt%の充填剤、
e)任意選択で、0〜10wt%、好ましくは0.1〜3wt%の添加剤、および
f)0〜70wt%、好ましくは6〜60wt%、特に好ましくは10〜50wt%の溶媒、好ましくは水および/またはエタノール、イソプロパノールまたはアセトン
を含有する。
【0052】
さらなる代替的な実施形態によれば、接着剤は、好ましくは以下の成分:
a1)0.1〜50wt%、好ましくは1〜40wt%、特に好ましくは2〜30wt%の一般式Iのウレア誘導体(Yは酸基である)、
a2)0.1〜50wt%、好ましくは1〜40wt%、特に好ましくは2〜30wt%の一般式Iのウレア誘導体(Yは重合性基である)、
b)0.01〜10wt%、特に好ましくは0.1〜3.0wt%の開始剤、
c)0〜80wt%、好ましくは0〜60wt%、特に好ましくは5〜50wt%の1つまたは1つより多くの他のモノマー、
d)0〜20wt%の充填剤、
e)任意選択で、0〜10wt%、好ましくは0.1〜3wt%の添加剤、および
f)0〜70wt%、好ましくは6〜60wt%、特に好ましくは10〜50wt%の溶媒、好ましくは水および/またはエタノール、イソプロパノールまたはアセトン
を含有する。
【0053】
セメントまたは充填材料として使用するための歯科材料は、好ましくは以下の成分:
a)0.1〜50wt%、好ましくは1〜40wt%、特に好ましくは2〜30wt%の一般式Iのウレア誘導体(Yは重合性基である)、
b)0.01〜10wt%、特に好ましくは0.1〜3.0wt%の開始剤、
c)0〜80wt%、好ましくは0〜60wt%、特に好ましくは5〜50wt%の1つまたは1つより多くの他のモノマー、
d)20〜80wt%の充填剤、および任意選択で、
e)0〜10wt%、好ましくは0.1〜3wt%の添加剤
を含有する。
【0054】
コーティング材料として使用するための歯科材料は、好ましくは以下の成分:
a)0.1〜50wt%、好ましくは1〜40wt%、特に好ましくは2〜30wt%の一般式Iのウレア誘導体(Yは重合性基である)、
b)0.01〜10wt%、特に好ましくは0.1〜3.0wt%の開始剤、
c)0〜80wt%、好ましくは0〜60wt%、特に好ましくは5〜50wt%の1つまたは1つより多くの他のモノマー、
d)0〜80wt%の充填剤
e)任意選択で、0〜10wt%、好ましくは0.1〜3wt%の添加剤、および
f)0〜70wt%、好ましくは6〜60wt%、特に好ましくは10〜50wt%の溶剤、好ましくはエタノール、イソプロパノールおよび/またはアセトン
を含有する。
【0055】
フィッシャーシーラントとして使用するための歯科材料は、好ましくは以下の成分:
a)0.1〜50wt%、好ましくは1〜40wt%、特に好ましくは2〜30wt%の一般式Iのウレア誘導体(Yは重合性基である)、
b)0.01〜10wt%、特に好ましくは0.1〜3.0wt%の開始剤、
c)0〜80wt%、好ましくは0〜60wt%、特に好ましくは5〜50wt%の1つまたは1つより多くの他のモノマー、
d)0〜60wt%の充填剤、
e)任意選択で、0〜10wt%、好ましくは0.1〜3wt%の添加剤、および
f)0〜70wt%、好ましくは0〜60wt%、特に好ましくは0〜50wt%の溶媒、好ましくはエタノール、イソプロパノールおよび/またはアセトン
を含有する。
【0056】
指定の成分からなるこれらの歯科材料が特に好ましい。
【0057】
特に断りのない限り、すべてのパーセンテージは組成物の総質量に関連する。開始剤の量は、すべての開始剤成分、例えば実際の開始剤、還元剤などの質量を含む。
【0058】
本発明の歯科材料は、損傷した歯を修復するための歯科医による口腔内使用に特に好適である(臨床歯科材料)。しかし、それらはまた口腔外、例えば歯科修復物の調製または補修(技術歯科材料)にも使用することができる。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
歯科材料であって、一般式I:
【化16】
(式中、
R1、R2は、各場合において互いに独立に、−O−、−S−、−CO−O−により介在され得る脂肪族C1−C15ラジカルであり、
Xはラジカル重合性基であり、
Yはラジカル重合性基または酸基であり、
n、mは、各場合において互いに独立に、1、2、または3である)
にしたがうウレア誘導体を含有することを特徴とする、歯科材料。
(項目2)
Xは、CH2=CR3−CO−Z−またはR4O−CO−C(=CH2)−CH2−Z−であり、ZはOもしくはNR5であるか、または存在せず、R3はHまたはCH3であり、R4およびR5は、各場合において互いに独立に、HまたはC1−C7アルキルであり、および/または、
YはCH2=CR3’−CO−Z’−またはR4’O−CO−C(=CH2)−CH2−Z’−のいずれかであり、Z’はOもしくはNR5’であるか、または存在せず、R3’はHまたはCH3であり、R4’およびR5’は、各場合において互いに独立に、HまたはC1−C7アルキルである;または−PO(OH)2、−O−PO(OH)2、−SO3Hである、
項目1に記載の歯科材料。
(項目3)
R1は−O−または−CO−O−により介在され得る脂肪族C2−C12ラジカルであり、
R2は−O−または−CO−O−により介在され得る脂肪族C1−C10ラジカルであり、
XはCH2=CR3−CO−Z−またはR4O−CO−C(=CH2)−CH2−Z−であり、ZはOまたはNR5であり、R3はHまたはCH3であり、R4およびR5は、各場合において互いに独立に、HまたはC1−C3アルキルであり、
Yは−PO(OH)2、−O−PO(OH)2、−SO3Hであり、
nは1または2であり、
mは1または2である、
項目1または2に記載の歯科材料。
(項目4)
R1、R2は、各場合において互いに独立に、1または2の−O−により介在され得る線状脂肪族C2−C10ラジカルであって、R1およびR2が好ましくは同一であり、
XはCH2=CR3−CO−Z−(ここでZはOまたはNR5である)またはR4O−CO−C(=CH2)−CH2−Z−(ここでZはOである)であり、R3はHまたはCH3であり、R4はメチルまたはエチルであり、R5はH、メチルまたはエチルであり、
Yは−PO(OH)2、−O−PO(OH)2、−SO3Hであり、
n、mはいずれの場合も1である、
項目3に記載の歯科材料。
(項目5)
R1は−O−または−CO−O−により介在され得る脂肪族C2−C12ラジカルであり、
R2は−O−または−CO−O−により介在され得る脂肪族C1−C10ラジカルであり、
X、Yは、各場合において互いに独立に、CH2=CR3−CO−Z−またはR4O−CO−C(=CH2)−CH2−Z−であり、ZはOまたはNR5であり、R3はHまたはCH3であり、R4およびR5は、各場合において互いに独立に、HまたはC1−C3アルキルであり、XおよびYが好ましくは同一であり、
nは1または2であり、
mは1または2である、
項目1または2に記載の歯科材料。
(項目6)
R1、R2は、各場合において互いに独立に、1または2の−O−により介在され得る線状脂肪族C2−C10ラジカルであって、R1およびR2が好ましくは同一であり、
X、Yは、各場合において互いに独立に、CH2=CR3−CO−Z−(ここでZはOまたはNR5)またはR4O−CO−C(=CH2)−CH2−Z−(ここでZはOである)であり、R3はHまたはCH3であり、R4はメチルまたはエチルであり、R5はH、メチルまたはエチルであり、XおよびYが好ましくは同一であり、
n、mはいずれの場合も1である、
項目5に記載の歯科材料。
(項目7)
さらにラジカル重合のための少なくとも1つの開始剤を含有する、項目1〜6の1項に記載の歯科材料。
(項目8)
さらに少なくとも1つのさらなるラジカル重合性モノマーを含有する、項目1〜7の1項に記載の歯科材料。
(項目9)
さらなるモノマーとして、1つまたは1つより多くの単官能性もしくは多官能性(メタ)アクリル酸誘導体および/または(メタ)アクリルアミド誘導体を含有する、項目8に記載の歯科材料。
(項目10)
さらに少なくとも1つの溶媒、好ましくは水または水と極性有機溶媒との混合物を含有する、項目1〜9の1項に記載の歯科材料。
(項目11)
a)0.1〜50wt%の一般式Iのウレア誘導体、
b)0.01〜10wt%の開始剤、
c)0〜80wt%のさらなるモノマー、
d)0〜80wt%の充填剤、
e)任意選択で、0〜10wt%、好ましくは0.1〜3wt%の添加剤、
e)0〜70wt%の溶媒、
を含有する、項目7〜10の1項に記載の歯科材料。
(項目12)
0〜20wt%の充填剤を含有する、接着剤として使用するための項目11に記載の歯科材料。
(項目13)
20〜80wt%の充填剤を含有する、セメント、充填材料またはコーティング材料として使用するための項目11に記載の歯科材料。
(項目14)
口腔内使用のための項目1〜13の1項に記載の歯科材料。
(項目15)
歯科修復物の口外製造または補修のための項目1〜13の1項に記載の歯科材料の使用。