(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記薬剤シリンジユニットの前記シリンジカバーの前端側の前記針装着部に装着された注射針を取り外す又は前記針装着部に注射針を装着するために、前記シリンジカバーを前記先端キャップに対して摺動範囲の前端側に移動させるスライド部を更に備え、
前記ユニット装着部に前記薬剤シリンジユニットの後端側が配置され、且つ前記スライド部によって前端側に移動された前記シリンジカバーの前記先端キャップに対する位置は、前記刺針位置よりも前側に突出している、
請求項7に記載の注射針着脱冶具。
前記薬剤シリンジユニットが装着可能なユニット装着部と、前記薬剤シリンジユニットの前記シリンジカバーの前端側の前記針装着部に装着される注射針を取り外す又は前記針装着部に注射針を装着するために、前記シリンジカバーを前記先端キャップに対して摺動範囲の前端側に移動させるスライド部を備えた注射針着脱冶具によって注射針が着脱される薬剤シリンジユニットであって、
前記シリンジカバーが前記先端キャップに対して前後方向に摺動する距離は、
前記薬剤シリンジユニットが前記薬剤注入装置本体に装着された場合と、
前記薬剤シリンジユニットが前記注射針着脱冶具の前記ユニット装着部に装着された場合とでは異なる、
請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の薬剤シリンジユニット。
前記薬剤シリンジユニットが前記注射針着脱冶具の前記ユニット装着部に装着された場合において、前記スライド部によって前記シリンジカバーが前記先端キャップに対して摺動範囲の前端側に移動した位置は、
前記薬剤シリンジユニットを前記薬剤注入装置本体に装着した場合における前記刺針位置よりも、前側に配置される、
請求項11に記載の薬剤シリンジユニット。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
(1.薬剤注入装置の概要)
図1は、本発明にかかる実施の形態1における薬剤注入装置の正面図である。
図1に示すように、本実施の形態の薬剤注入装置は、薬剤注入装置本体100と、薬剤シリンジユニット2とを備えている。薬剤シリンジユニット2は、薬剤注入装置本体100の本体ケース1の先端側(前端側ともいう。また、
図1において、向って左側)に着脱自在に装着するように構成されている。
【0015】
具体的には、薬剤シリンジユニット2は、両端に開口部を有する筒状の先端キャップ3と、その先端キャップ3の内部に配置される筒状のシリンジカバー4と、を有する。薬剤シリンジユニット2の両端の開口部とは、後述する
図2に示す先端開口部3cと、後端開口部3eである。
また、先端キャップ3は、薬剤を人体に注入する時に、その先端面3a側を皮膚に当接させて、注射位置及び注射深さを規制する役目も有している。
【0016】
先端キャップ3の内部に取り付けられているシリンジカバー4も、先端キャップ3と同様に、両端に開口部を有しており、また、その内部には、薬剤の入った薬剤シリンジ5を収納することが出来るように構成されている。
図1に示すように、薬剤注入装置の本体ケース1の後端側面には、電源ボタン6が設けられており、これを押すことにより、薬剤注入装置の電源をON/OFFすることができる。
【0017】
また、本体ケース1の正面外周には、注射ボタン7と、注射ボタン7の横に配置された表示部10と、表示部10の下方に配置されたエアー抜きボタン8と、表示部10の下方に配置された完了ボタン(確認ボタン)9が設けられている。
注射ボタン7は、薬剤の注入動作を起動する。表示部10は、注入量の表示やメッセージ表示などを行なう。エアー抜きボタン8は、エアー抜き動作を起動する。完了ボタン(確認ボタン)9は、設定動作の完了や処理の終了確認時等に使用する。
【0018】
なお、このエアー抜きボタン8及び完了ボタン9は、注入履歴の参照や設定データの選択などを行なう場合には、選択用のボタンとしても兼用される。
尚、本明細書では、先端面3a側を薬剤注入装置及び薬剤シリンジユニット2の前側又は先端側とし、その反対側(電源ボタン6側、
図5に示すX方向側)を後側とする。
【0019】
(2.薬剤注入装置の内部構成)
次に、
図2〜
図4に基づいて、薬剤注入装置の内部構成及び基本的な動作について、説明する。
図2は、薬剤シリンジユニット2を装着した状態の薬剤注入装置の内部構成を示した断面図であり、
図3は、内部の構成を簡略化した断面模式図である。
薬剤注入装置の先端側(
図2、3において、向って左側)には、薬剤シリンジ5を収納したシリンジカバー4が装着されるインナーケース11が設けられている。
また、この場合、シリンジカバー4を内包する先端キャップ3は、本体ケース1の先端側に係合されている(
図6、
図10B参照)。
【0020】
また、本体ケース1内の後方には、刺針及び抜針動作を行なうスライドモータ12と、ピストン13の駆動を行なうピストン駆動モータ15が設けられている。
ピストン駆動モータ15は、ピストン13の後方に配置されてピストン13を前後方向に移動させる。ピストン駆動モータ15によって、シリンジカバー4の後方開口部(ピストン挿入口)4bからピストン13が挿入され、内部に収納されている薬剤シリンジ5の後端部5aがピストン13によって
図2において左方向に押されることにより、内部の薬剤を先端側の注射針14から人体に所定量を注入させる。
【0021】
スライドモータ12及びピストン駆動モータ15は、これらのモータを駆動制御するモータドライブ回路16と接続されている(
図4参照)。
スライドモータ12によりインナーケース11を前後方向に移動させる場合に、インナーケース11が前方(先端側、
図2,3において、向かって左方向)に移動した位置(刺針位置)を確認するセンサ17と、インナーケース11が後方(後端側、
図2,3において、向かって右方向)に移動した位置(抜針位置)を確認するセンサ18が、本体ケース1内に設けられている。
【0022】
センサ17及びセンサ18は、反射型または透過型のフォトセンサなどから構成されており、インナーケース11と接続されて一緒に移動する遮蔽板50により、位置確認が行われる。即ち、センサ17及びセンサ18は、それぞれ、発光素子と受光素子から構成されており、その発光素子と受光素子の間を遮蔽板50が移動して、発光素子の光を遮ることにより、受光素子がその変化を検出し、位置を確認することができる。
【0023】
これにより、スライドモータ12の駆動・停止が行なわれる。
また、センサ17とセンサ18間の距離が、刺針位置と抜針位置との距離L1に該当する。つまり、距離L1は、スライドモータ12が、インナーケース11を前後方向に移動できる範囲を示すスライドストローク(移動距離)である(
図3参照)。
ピストン13を駆動するピストン駆動モータ15の近傍には、エンコーダ19が設けられている。薬剤の注入量はピストン13の移動量で確認することになるが、エンコーダ19により、ピストン13の移動量を求めることができる。これにより正確な注入量を確認しながら注入動作の制御が行われる。
【0024】
(3.薬剤注入装置の制御ブロック)
次に、
図4の制御ブロック図に基づいて、内部の電気制御系のブロック構成を説明する。
薬剤注入装置のメインの制御を行なう制御部20は、上記で示した電源ボタン6、注射ボタン7、エアー抜きボタン8及び完了ボタン9と接続されており、これらの各ボタンの入力信号を制御部20に取り込んでいる。
【0025】
また、制御部20は、センサ17、センサ18及びエンコーダ19とも接続されている。これらの信号が、制御する制御部20に入力されて、制御部20は、各駆動系の位置情報を入手している。
さらに、制御部20は、モータドライブ回路16及びモータ駆動系の異常などを検知する過電流検知回路22とも接続されており、モータ駆動系へ制御指示の出力を行なったり、モータ駆動系の異常を入力して、その対処動作を制御している。
【0026】
薬剤注入装置では、その他、表示部10、音などの聴覚的出力を行なうサウンダ23、振動出力を行うバイブレータ25、及び、薬剤注入装置の電源である電源(電池)21、設定データや注入履歴情報を格納しておくメモリ24も、制御部20と接続されている。
【0027】
(4.薬剤シリンジユニットと本体ケースの間の装着)
次に、
図5及び
図6を用いて、薬剤シリンジユニット2を本体ケース1に装着する部分について説明する。
図5及び
図6に示すように、薬剤シリンジユニット2を構成するシリンジカバー4には、本体ケース1の内部に配置されたインナーケース11の溝11aに係合する突起4aが設けられている。
図6では、突起4a、溝11aとも、それぞれ2つずつ設けられており、180度ずれた位置に配置されている例が示されているが、これは2つに限定されるものではなく、1つでも良いし、3つ以上でも構わない。
【0028】
これにより、本体ケース1に薬剤シリンジユニット2を装着する場合には、矢印Xの示す方向(円筒状のシリンジカバー4の軸と平行な方向で、本体ケース1へ向う方向)に向って、シリンジカバー4の突起4aがインナーケース11の溝11aにガイドされるように入っていく。その後、矢印Yの示す方向(上記、矢印Xの軸を中心にして右回転(時計回り)方向)に、薬剤シリンジユニット2を回転させると、溝11aに沿って、突起4aが奥まで入って行く。これにより、シリンジカバー4がインナーケース11に装着される。
【0029】
ここで、上記のシリンジカバー4の突起4aが、第2の係合部の一例に該当し、インナーケース11の溝11aが第2の被係合部の一例に該当する。
また、これと同時に、先端キャップ3が本体ケース1に装着される。
即ち、薬剤シリンジユニット2を構成する先端キャップ3の内周側にも、上記突起4aと同様、第1の係合部の一例である突起3b(
図10B参照)が設けられており、この先端キャップ3の突起3bと係合するように、本体ケース1にも、本体溝1a(
図6参照)が設けられている。
【0030】
ここで、溝11aは、軸方向と回転方向に突起4aをガイドするようにL字状に形成されている。また、本体溝1aは、軸方向と回転方向に先端キャップ3の内周側に構成した突起3b(
図10B参照)をガイドするようにL字状に形成されている。そして、突起4aを溝11aに挿入すると、先端キャップ3の内周側に形成された突起3b(
図10B参照)と本体溝1aが合致するように、突起4a並びに溝11aと、突起3bと本体溝1aの位相を合わせている(位置関係を合わせているともいえる)ので、上述のX方向、Y方向の操作をすれば、先端キャップ3が本体ケース1に装着され、シリンジカバー4がインナーケース11に装着される。上記のインナーケース11は、本体ケース1の内部に配置されており、本体ケース1に対して摺動(スライド動作)可能であり、薬剤シリンジユニット2を本体ケース1に装着すると、シリンジカバー4は、インナーケース11とともに、摺動可能となる。
【0031】
(5.刺針位置と抜針位置)
図1、及び
図7は、上述のようにして、本体ケース1の先端側に薬剤シリンジユニット2を装着した状態を示している。
図8、及び
図9は、シリンジカバー4の先端側(の針装着部28、
図11〜13他参照)に注射針14を装着した状態を示している。
注射針14のシリンジカバー4への装着については、後で
図16〜
図22を用いて詳細に説明するが、注射針14をシリンジカバー4に装着しただけの状態では、
図8に示すように、注射針14の先端は先端キャップ3の先端面3aから露出していない状態となる。これにより、注入動作時以外において、注射針14が不用意に人体に穿刺されることが防止されている。
【0032】
そして、
図8の状態で、先端キャップ3の先端面3aを皮膚に当接させ、その状態で、注射ボタン7を操作すれば、上述したスライドモータ12(刺針・抜針用駆動部とも言う)によって、インナーケース11が先端側に移動し、それに伴いインナーケース11に装着されているシリンジカバー4、及び、シリンジカバー4の針装着部28に装着されている注射針14も、先端側に移動する。その結果として、注射針14は、
図9に示すように、先端キャップ3の先端面3aから突出し、皮膚への穿刺が行なわれる。
【0033】
これが、刺針動作である。刺針動作が完了したとき、すなわちセンサ17によって遮蔽板50の検知が行なわれたときのインナーケース11及びシリンジカバー4の位置が、刺針位置となる。
その刺針の状態で、次に、ピストン駆動モータ15(注入用駆動部とも言う)の駆動によって、ピストン13が先端側に移動され、薬剤シリンジ5の後端部5aが先端側に押される。これにより、薬剤シリンジ5内の薬剤が、注射針14を介して、人体に注入される(
図3参照)。
【0034】
その後、エンコーダ19などにより注入量の確認をしながら、所定量の薬剤注入が完了すると、制御部20はピストン駆動モータ15を停止させ、ピストン13が停止する。
この動作が、注入動作である。
ピストン13が停止すれば、次に、スライドモータ12により、インナーケース11が後端側に移動され、これにより、シリンジカバー4も後端側に移動するとともに、その先端の針装着部28に取り付けられた注射針14も先端キャップ3の先端面3aより内部に移動する。
【0035】
つまり、皮膚から抜針(注射針14を抜くこと)が行なわれることになり、これが抜針動作である。抜針動作が完了したとき、すなわちセンサ18によって遮蔽板50の検知が行なわれたときのインナーケース11及びシリンジカバー4の位置が、抜針位置となる。
なお、薬剤シリンジ5内の薬液が無くなった時はピストン駆動モータ15により、ピストン13が後端側に引き戻され、ピストン13は、その初期位置である原点位置まで後退される。
【0036】
このような、薬剤の注入後、本実施形態においては、薬剤シリンジユニット2が本体ケース1から取外され、次にシリンジカバー4から注射針14が取り外されて、
図10A及び
図10Bの状態とされ、この状態で、保存ケースに収納して冷蔵庫などの冷所に保管される。
つまり、薬剤シリンジ5は、シリンジカバー4に収納され、シリンジカバー4は先端キャップ3に収納された状態でユニット化され(これが、薬剤シリンジユニット2である)、この状態で、保管されるようになっている。この時、先端キャップ3からシリンジカバー4が離脱せず、また、シリンジカバー4から薬剤シリンジ5が離脱することの無いような構成となっている。
【0037】
(6.薬剤シリンジユニット)
次に、薬剤シリンジユニットの構成について説明する。
図10A及び
図10Bに示すように、本実施の形態の薬剤シリンジユニット2は、先端キャップ3と、その内側に先端キャップ3に対して前後方向に移動可能に配置されたシリンジカバー4とを備えている。
【0038】
(7.先端キャップ)
先端キャップ3は、上述したように、略筒状であり、前端側に先端開口部3c(
図2参照)を有し、後端側に後端開口部3eを有している。また、先端面3aは、刺針時に人体に当接する。
また、詳しくは後述するが、先端キャップ3の内側であって、後端開口部3eの外周側には、本体ケース1に薬剤シリンジユニット2を装着した際にシリンジカバー4の移動を規制する規制部29が開放される機構が設けられている(
図13参照)。
【0039】
(8.シリンジカバー)
次に、シリンジカバー4の構成について説明する。
図11は、シリンジカバー4の平面図である。シリンジカバー4は、略円筒状のシリンジカバー本体4iを有している。このシリンジカバー本体4iには、前端側に前方開口部4j(
図3参照)が形成されており、後端側には後方開口部4bが形成されている。
【0040】
前方開口部4jには、注射針14が装着され、後方開口部4bには、ピストン13が挿入される。また、
図11に示すように、シリンジカバー本体4iは、その側面から外側に向かって突出するように形成された板状の鍔27を有している。鍔27は、その平面がシリンジカバー本体4iの中心軸Oに沿うように配置されている。また、鍔27は、2つ設けられており、これら鍔27は、シリンジカバー本体4iの中心軸Oに対して対称に配置されている。詳しくは後述するが、鍔27は、ガイド部26に嵌っている。
【0041】
また、シリンジカバー4は、
図10Bに示すように、回動リング4cを有している。回動リング4cは、シリンジカバー本体4iの外側であって、後方開口部4bの周縁に取り付けられている。この回動リング4cは、シリンジカバー4の中心軸に対して回動可能であり。内周に向って突起(図示せず)を有している。
さらに、シリンジカバー4は、保持爪4dを有している。保持爪4dは、シリンジカバー本体4iの内側に取り付けられ、薬剤シリンジ5を保持しない状態ではシリンジカバー本体4iの内周面側に沿うように広がっており、薬剤シリンジ5の後端部5aに引っかからないように構成されている。
【0042】
薬剤シリンジ5を交換するときは、回動リング4cを反時計方向に回動することによって回動リング4cの突起が保持爪4dを内側に押さない位置に移動し、保持爪4dが薬剤シリンジ5の後端部5aに引っ掛からない状態となる。
一方、薬剤シリンジ5をシリンジカバー4に挿入して保持するときは、回動リング4cを時計方向に回動することによって回動リング4cの突起が保持爪4dを内側に押す位置に移動し、保持爪4dが薬剤シリンジ5の後端部5aに引っ掛かる状態となる。
【0043】
なお、回動リング4cを上記と逆の回動方向で同様の機能を持たせても良い。
また、回動リング4cおよび保持爪4dが、薬剤シリンジを保持する保持部の一例に対応する。
【0044】
(9.先端キャップのシリンジカバー保持構成)
上述したが、
図11に示すように、シリンジカバー4の外周左右には、先端キャップ3に設けた溝状のガイド部26に前後方向にガイドされる鍔27(被ガイド部に相当)が設けられている。
図11においては、鍔27は、上下に2つ設けられているが、これに限られない。
ガイド部26は、鍔27が嵌るガイド溝26bと、鍔27がガイド溝26bから抜けることを防止するストッパ部60a、60bとを有している
図6、
図7、および
図10A〜
図10Dに示すように、ガイド部26は、先端キャップ3の内側に配置された板状の立壁26aによって形成されている。この立壁26aの上下方向における略中央に、前後方向に沿って、立壁26aを貫通して溝状のガイド溝26bが形成され、ガイド溝26bの前側の立壁26aの部分がストッパ部60aを形成し、ガイド溝26bの後側の立壁26aの部分がストッパ部60bを形成している。
【0045】
詳しく説明すると、
図7、
図10A〜
図10Dから理解されるように、先端キャップ3を上下に分割した上部材3gと下部材3dのそれぞれの内部に、ガイド部26を形成するための立壁26a1、26a2が設けられている。この立壁26a1は、上部材3gの内側から下方に向って形成されており、その下端に前後方向に沿って窪み26b1が形成されている。立壁26a2は、先端キャップ3の下部材3dの内周から上方に向って形成されており、その上端に前後方向に沿って窪み26b2が形成されている。
【0046】
これら立壁26a1、26a2を上下方向から当接させることで、立壁26aが形成され、両方の立壁26a1、26a2の当接部に形成した窪み26b1、26b2で、溝状のガイド溝26bが形成される。このガイド部26内において、上記シリンジカバー4の鍔27が、前後方向に摺動可能にガイドされる。
また、この鍔27がガイド部26内に存在していることで、シリンジカバー4が、先端キャップ3から離脱することが防止されている。
【0047】
つまり、ガイド溝26bの前後には、立壁26a1、26a2が当接することによってストッパ部60a、60bが形成された状態となっているので、鍔27は、立壁26a1、26a2を越えて、前後に摺動することは無く、これにより、シリンジカバー4が、先端キャップ3から離脱することを防止する構成となっている。
尚、ガイド部26は、2つの鍔27に対応するように、左右に設けられている。
【0048】
また、本実施形態においては、
図13に示すように、薬剤シリンジユニット2を構成する先端キャップ3を、薬剤注入装置の本体ケース1に装着(係合)させた状態では、シリンジカバー4の先端キャップ3の先端側への摺動が許容されている。また、
図12に示すように、先端キャップ3を薬剤注入装置の本体ケース1から取り外した(非係合)状態では、シリンジカバー4の先端キャップ3の先端側への摺動が、上述した規制部29によって規制されている。この規制部29は、先端キャップ3の後部内方に設けられている。尚、
図12では、説明のために、先端キャップ3の上部材3gが取外されている。
【0049】
規制部29について、さらに、詳細に説明すると、この規制部29は、先端キャップ3の後端開口部3eの外側の縁から前方向に向って形成された規制爪30を有している。規制爪30は、先端キャップ3からシリンジカバー4の外周部側に付勢される。
この規制爪30は、その先端に内側に向って形成された第1の突起31と、前後方向の略中央に内側に向って形成された第2の突起32とを有している。
【0050】
図12に示すように、先端キャップ3を薬剤注入装置の本体ケース1に装着していない(非係合)状態では、第1の突起31によって、シリンジカバー4の先端キャップ3の先端側への摺動が規制される。また、
図13に示すように、先端キャップ3を薬剤注入装置の本体ケース1に装着した(係合させた)状態では、第2の突起32によって、規制爪30はシリンジカバー4の外周方向に移動され、シリンジカバー4の先端キャップ3の先端側への摺動の規制が解除された状態となる。
【0051】
より詳細には、シリンジカバー4の外周部には、規制爪30の第1の突起31が係合するフランジ33が設けられている。また、薬剤シリンジユニット2を構成する先端キャップ3を、
図5のY方向に回動させた状態、つまり、本体ケース1に薬剤シリンジユニット2を装着した状態で、
図13に示すように、第2の突起32を外方に押し出す突起34が本体ケース1に形成されている。
【0052】
つまり、
図13の状態では、本体ケース1に、薬剤シリンジユニット2の先端キャップ3が装着された状態であるので、この時には、
図8から
図9に示すように、注射針14をシリンジカバー4とともに先端側に移動させる必要がある。そのため、規制部29の第1の突起31が外周側に移動させられ、第1の突起31がシリンジカバー4の外周に設けたフランジ33と係合されない状態となる。
【0053】
これに対して、
図12は、本体ケース1から薬剤シリンジユニット2を取り外した状態であるので、この時には
図12に示すように規制部29の第1の突起31が内周側に移動し(シリンジカバー4の軸の中心方向に近づけること)、第1の突起31がシリンジカバー4の外周に設けたフランジ33と係合される。ここで、係合されるとは、
図12に示すようにフランジ33の前側近傍に第1の突起31が位置し、シリンジカバー4の若干量の前方への移動によって第1の突起31と係合される状態も含むものとする。
【0054】
これにより、シリンジカバー4の先端側への移動が防止される。
このように、薬剤の注入後、本実施形態においては、薬剤シリンジユニット2が本体ケース1から取外され、次にシリンジカバー4から注射針14が取り外されて、
図12、
図10Aまたは
図10Bの状態とし、この状態(薬剤シリンジユニット2に薬剤シリンジ5が収納された状態)で、保存ケースに収納して冷蔵庫などの冷所に保管される。
【0055】
つまり、薬剤シリンジ5は、シリンジカバー4に収納され、シリンジカバー4は先端キャップ3に収納された状態でユニット化され(薬剤シリンジユニット2に該当)、この状態で、保存ケースに収納して冷蔵庫に保管される。この時、先端キャップ3からシリンジカバー4が離脱せず、さらに、シリンジカバー4から薬剤シリンジ5が離脱することの無いように薬剤シリンジユニット2が構成されている。
【0056】
(10.注射針14及びそれを含む針ユニット35)
次に、薬剤シリンジ5内に封入されている薬剤を本発明の薬剤注入装置で、人体に注入する場合に使用する注射針14及びこれを含む針ユニット35について、
図14及び
図15に基づいて説明する。
図14及び
図15は、針ユニット35の分解斜視図を示しており、この
図14および
図15に示すように、針ユニット35は、注射針14と、その針先端部分を覆う針キャップ36と、注射針14と針キャップ36を覆う針ケース37から構成されている。
【0057】
注射針14の本体部分である針基体38は円筒形状をしており、この外周面には、凹凸に形成された凹凸部38aを有し、これが針ケース37の内周部に設けている突起37aと係合する。
この突起37aは、注射針14を取付けたり、取り外したりする時に、注射針14に針ケース37を被せたままで操作できるようにするために設けられているものであり、これにより、使用者が、直接、注射針14を指で掴む必要は無く安全に操作が出来るように考慮されている。
【0058】
また、針ケース37は、その一方側に、径の大きな径大部37bを有しており、その径大部37bに繋がる部分には、ローレット加工部37cが設けられている。
これにより、使用者が針ケース37を指で操作する時にも、この径大部37bが掴み易い大きさであり、且つ、ローレット加工部37cにより、針ケース37と注射針14を一緒に扱え、指が引っ掛かりやすく、操作性に優れている。
【0059】
また、注射針14の針基体38の内周側には、ネジ溝38bが設けられている(
図15参照)。このネジ溝38bと、シリンジカバー本体4iの先端部に設けられた針装着部28のネジ山28aが、螺合することにより、注射針14が針装着部28に取り付けられる(
図11〜
図13及び
図20,21参照)。
なお、薬剤の注入後、注射針14を取り外して廃棄する場合は、針キャップ36は使用されず、注射針14は、直接、針ケース37によって覆われる。
【0060】
(11.薬剤注入方法)
次に、
図16及び
図17を用いて、薬剤シリンジユニット2が薬剤注入装置の本体ケース1に装着され、実際に薬剤が注入される方法について説明する。
まず、本体ケース1に装着される前の状態の薬剤シリンジユニット2について説明すると、
図10A、
図10B、
図12、
図18及び
図19に示すように、シリンジカバー4内に薬剤シリンジ5が収納され、その状態で、薬剤シリンジ5が、シリンジカバー4の内部に保持される。
【0061】
また、この薬剤シリンジ5を保持したシリンジカバー4は、先端キャップ3の内部に装着されて、薬剤シリンジユニット2を構成する。
この時、
図12及び
図13に示すように、先端キャップ3の溝状のガイド部26に、シリンジカバー4の外周に設けた鍔27が係合することにより、針装着部28とは反対側の方向(後側)へのシリンジカバー4の移動がストッパ部60bによって規制される。これにより、薬剤シリンジユニット2を構成する先端キャップ3から、シリンジカバー4が離脱することが防止されるのである。
【0062】
従って、薬剤シリンジ5がシリンジカバー4に保持され、シリンジカバー4が先端キャップ3に規制されることにより、薬剤シリンジ5が薬剤シリンジユニット2から離脱したり、抜け落ちたりすることが防止される。
このように、薬剤シリンジユニット2は、この薬剤シリンジ5を保持した状態で、専用の保存ケースに収納し冷蔵庫などに保管したり、また保存ケースや冷蔵庫から取り出して薬剤注入装置の本体ケース1に装着したりすることが出来、非常に使い勝手の良いものとなっている。
【0063】
次に、薬剤シリンジ5を装着した状態の薬剤シリンジユニット2が、
図5及び
図6に示すように、本体ケース1に装着される。
この時に、シリンジカバー4が、本体ケース1のインナーケース11に係合することになる。また、インナーケース11内を移動するピストン13が、薬剤シリンジユニット2の後方開口部4bを通して、シリンジカバー4の内部に収納された薬剤シリンジ5の後端に対向する位置に配置される(
図3、
図4参照)。
【0064】
つまり、シリンジカバー4のピストン挿入口である後方開口部4bを通過してシリンジカバー4の内部に収納された薬剤を封入している薬剤シリンジ5の後端部5aに対向する位置に、薬剤注入装置のピストン13が配置される。
従って、ピストン駆動モータ15を駆動し、このピストン13を移動することにより、後端部5aが先端側に押され、結果として、薬剤シリンジ5内の薬剤が人体に注入可能となる。
【0065】
このように、薬剤シリンジ5を薬剤シリンジユニット2に装着したままの状態で、薬剤注入装置の本体ケース1に簡単に装着することにより、薬剤注入の準備ができ、注入後は、薬剤シリンジ5を装着したままの薬剤シリンジユニット2を保存ケースに収納し冷蔵庫などに保管することができ、確実性と作業性が高いものとなっている。
(12.注射針装着状態の薬剤シリンジユニット)
続いて、注射針14及びこれを含む針ユニット35を装着した場合の薬剤シリンジユニット2の特徴について、
図16〜
図22を使用して説明する。
【0066】
本発明は薬剤注入装置用に開発されたものであり、当然、薬剤注入時には、注射針14を使用して、人体に薬剤を注入させる。
図16と
図17は、シリンジカバー4の先端部に設けた針装着部28に、使用前の針ユニット35(注射針14、針キャップ36及び針ケース37から構成される)または、使用後の注射針14を包含する針ケース37が装着された状態の薬剤シリンジユニット2を示している。
図16、
図17では、針ケース37が図示されているが、針ケース37の代わりに針ユニット35が装着されていてもよい。
図16は、薬剤シリンジユニット2が、薬剤注入装置の本体ケース1から取り外されている状態を示し、
図17は、薬剤シリンジユニット2が本体ケース1に装着されている状態を示す図である。
【0067】
また、
図18は、
図16に対応しており、同様に、
図19が
図17に対応している。
つまり、
図18は、
図16の状態から、針キャップ36や針ケース37を取り外した状態であり、
図19は、
図17の状態から、針キャップ36、針ケース37を取り外した状態を示している。その他の部分については、同一符号で示す部分は同一の構成である。
まず、
図16及び
図18を使用して、薬剤注入装置の本体ケース1から針キャップ36または針ケース37が取り外された状態における薬剤シリンジユニット2について説明する。
【0068】
薬剤シリンジユニット2は、先端キャップ3およびシリンジカバー4から構成されており、シリンジカバー4の内部には、薬剤シリンジ5が収納・保持されている。
薬剤シリンジ5を収納・保持したシリンジカバー4は、その半分以上の部分が、先端キャップ3の内部に入り込むようにして先端キャップ3に保持されている。
つまり、先端キャップ3のガイド部26にシリンジカバー4の鍔27がガイドされ、前後方向に移動可能な状態でシリンジカバー4は先端キャップ3に保持されている。具体的には、ガイド部26を構成する複数の立壁26a1、26a2に挟まれて、シリンジカバー4の鍔27が、ガイド部26の窪み26b1、26b2に留まるように構成されている。
【0069】
図16〜22では、2つの鍔27が、2組の立壁26a1、26a2に挟まれるように、2つのガイド部26にガイドされている。
従って、シリンジカバー4は、このガイド部26を形成する窪み26b1、26b2の範囲(ストッパ部60aとストッパ部60bの間ともいえる)で摺動可能となる。
薬剤シリンジユニット2を本体ケース1から取り外す際は、注射針14に針ケース37を被せ、注射針14及び針ケース37を取り除いてから、あるいは注射針14に針ケース37を被せてから、本体ケース1からの薬剤シリンジユニット2の取外しが基本的に行なわれる。
【0070】
また、
図16及び
図18に示すように、先端キャップ3が薬剤注入装置の本体ケース1から取り外された(非係合)状態においてシリンジカバー4の先端キャップ3の先端側への摺動を規制する規制部29が、先端キャップ3の後部内方に設けられている。
この規制部29は、上述したように、先端キャップ3からシリンジカバー4の外周部側に付勢される規制爪30を有し、この規制爪30の先端部分には、第1の突起31が設けられている。この第1の突起31がシリンジカバー4の外周に設けられているフランジ33を規制することにより、シリンジカバー4の先端キャップ3の先端側への移動が規制される。
【0071】
このような構成により、シリンジカバー4の鍔27が先端キャップ3の立壁26aの後端側(ストッパ部60b)に規制された状態で、先端キャップ3の規制爪30の第1の突起31によってシリンジカバー4のフランジ33の先端側への移動が規制されることになる。このため、結果として、シリンジカバー4が、先端キャップ3の内部で保持されることになる。
【0072】
したがって、シリンジカバー4の先端部の針装着部28に装着された注射針14は、
図18に示すように、先端キャップ3の先端側の先端面3aから露出することは無く、安全性の高いものとなる。
なお、
図16のように針ケース37が装着されている場合は上記先端面3aからは、その針ケース37の一部は露出するようになる。
【0073】
これは、針ケース37を注射針14に被せた状態のまま、シリンジカバー4から取り外す場合を考慮したものである。
次に、
図17及び
図19を使用して、薬剤シリンジユニット2が薬剤注入装置の本体ケース1に装着された状態について説明する。なお、
図17と
図19の違いは、注射針14に針ケース37が装着されているか否かだけである。
図17が、注射針14に針ケース37が装着されている状態であり、
図19が、注射針14に針ケース37が装着されていない状態である。
【0074】
ここでは、上記の
図16と
図18で記載した内容で、重複する部分の説明は省略する。
図17及び
図19は、薬剤シリンジユニット2が本体ケース1に装着されている(係合させた)状態を示す。この時、本体ケース1の一部に設けられた突起34が、先端キャップ3の後方内方に設けた規制爪30の第2の突起32に当たり、第2の突起32は、突起34によって外方に押し出される。
【0075】
すなわち、本体ケース1の突起34と規制爪30の第2の突起32が係合することにより、
図17及び
図19に示すように、シリンジカバー4のフランジを規制していた規制爪30が外方(シリンジカバー4の軸中心方向と反対の方向)に押される。
それに伴い、シリンジカバー4のフランジ33を保持・規制していた第1の突起31の規制が解除され、先端キャップ3のガイド部26のガイド溝26bの範囲内で、シリンジカバー4の摺動が可能となる。
【0076】
即ち、本体ケース1に薬剤シリンジユニット2が装着された状態では、刺針または抜針の動作を可能とするために、注射針14を装着したシリンジカバー4が摺動可能とされている。シリンジカバー4は、本体ケース1に構成したインナーケース11に接続しており、摺動範囲はインナーケース11により規制される。したがって、窪み26b1、26b2の範囲(ガイド部26の範囲、又はストッパ部60aとストッパ部60bの間)はインナーケース11の摺動範囲より若干大きめに設定するのが良い。
【0077】
つまり、
図13及び
図17に示すように、薬剤注入装置の本体ケース1に薬剤シリンジユニット2が装着されている時には、シリンジカバー4の摺動範囲は、薬剤注入装置の刺針・抜針のストローク(
図13、
図17のL1に該当)であり、スライドモータ12によって移動するセンサ17とセンサ18間の距離に相当し、上記のインナーケース11の摺動範囲に対応する。また、L1は、刺針位置と抜針位置の間の距離ともいえる。
【0078】
一方、ガイド部26の可動範囲であるストローク(窪み26b1、26b2の前後方向の範囲ともいえる)は、
図17、
図19などに示すL2に該当する。また、L2は、シリンジカバー4の可動範囲ともいえる。
L1とL2は、以下の関係である。
(1) L2 > L1
このように、インナーケース11のストローク:L1と、ガイド部26のストローク:L2の関係が、後述する針交換治具による作業性の向上に応用できる。
【0079】
なお、
図17及び
図19は、刺針状態を示している。この刺針状態とは、シリンジカバー4の鍔27が、ガイド部26の立壁26aの先端側に当接する手前の位置に前進している状態、つまりインナーケース11が刺針方向にスライドした状態であり、先端キャップ3の先端面3aから注射針14が突出した状態となる。
つまり、薬剤注入時に、注射針14が皮膚に刺さった状態で、この後、薬剤の注入が開始できる状態を示している。
【0080】
また、抜針状態とは、
図12、
図13及び
図16、
図18に示すように、シリンジカバー4の鍔27が、ガイド部26の後端側の立壁26aに当接する位置に後退している状態、つまりインナーケース11が抜針方向にスライドした状態を示しており、この時は、注射針14は先端キャップ3の先端面3aから露出しない位置である。つまり、薬剤注入が完了し、注射針14を皮膚から引き抜いた状態を示している。尚、
図17、および
図19に、抜針位置(後端側に移動したときの位置)における鍔27の位置が点線で示されている。
【0081】
(13.注射針の装着・取外し)
次に、
図20及び
図21を使用して、薬剤シリンジユニット2のシリンジカバー4の針装着部28への針ユニット35の装着方法、及び、注射針14を包含する針ケース37の針装着部28からの取外し方法について説明する。
図20及び
図21にも、後端側に移動したときの鍔27の位置が点線で示されている。
【0082】
通常は、上述の
図13に示すように、薬剤シリンジユニット2が薬剤注入装置の本体ケース1に装着された状態で、注射針14を含む針ユニット35(注射針14と針キャップ36及び針ケース37から構成されている)を装着したり、注射針14を包含した針ケース37を取り外したりするのが一般的であるが、この注射針14の着脱(装着及び取外し)時には、注射針14を装着するシリンジカバー4は、抜針状態の位置(先端方向から一番後退した位置)にあるため、着脱操作はできるものの、余り簡便とは言えない。
【0083】
そこで、
図20〜
図23に示す構成は、薬剤シリンジユニット2を薬剤注入装置の本体ケース1から取り外した状態でも、容易に注射針14を着脱する操作方法を提示している。
図20は、保存ケース(
図24、
図25参照)や薬剤注入装置の収納ケースなどに設けられた注射針着脱治具70を示す図である。注射針着脱治具70は、薬剤シリンジユニット2の注射針14を着脱するための治具として働く。注射針着脱冶具70は、薬剤シリンジユニット2が載置される固定部41(ユニット装着部の一例)と、シリンジカバー4を移動させるためのスライド部42を備える。
【0084】
つまり、固定部41は、薬剤シリンジユニット2を装着して、シリンジカバー4を規制している規制爪30を解除して、シリンジカバー4を摺動可能にすることを目的としている。
また、スライド部42は、上記の固定部41により、薬剤シリンジユニット2内のシリンジカバー4の保持が解除されて摺動可能になった後、このスライド部42を先端方向に移動することにより、注射針14を装着する針装着部28を有するシリンジカバー4を先端側に移動させることができる。
【0085】
即ち、固定部41には、本体ケース1と同様に、薬剤シリンジユニット2を構成する先端キャップ3の内側に設けられた規制爪30を外方(シリンジカバー4の軸中心に向う方向と反対の方向)へ移動させて、シリンジカバー4のフランジ33との係合を解除するための突起40が設けられている。固定部41に薬剤シリンジユニット2を装着した時に、この突起40が、規制爪30に設けられた第2の突起32を押すことにより、規制爪30が外方に拡がるように移動し、結果として、規制爪30の第1の突起31がシリンジカバー4のフランジ33の規制を開放することになる。これにより、注射針14を装着する針装着部28を有するシリンジカバー4が、ガイド部26の所定の範囲で摺動可能な状態となる。
【0086】
その後、スライド部42を先端側にスライドさせることで、シリンジカバー4が先端キャップ3の先端面3a側に移動される。
この時、シリンジカバー4の鍔27は、
図20に示すように、ガイド部26の先端側の立壁26aに当接する位置(ストッパ部60aに当接する位置)(L2のストローク)まで移動しており、注射針14を含む針ユニット35や針ケース37を容易に着脱することができる。上述したが、L2は、ガイド部26(窪み26b1、26b2)のストロークであり、シリンジカバー4の可動範囲に該当している。
【0087】
具体的には、注射針14をシリンジカバー4の針装着部28に装着する場合は、注射針14を含む針ユニット35を、矢印Zの方向から挿入し、矢印Rの方向に右回転(時計回り)すれば、針装着部28のネジ山28aに、針ユニット35の内部に収納している注射針14の針基体38のネジ溝38bが螺合するため(
図20参照)、簡単に装着することができる。
【0088】
また、注射針14を針装着部28から取外す場合は、針ケース37を摘んで、針装着部28に装着されている注射針14に被せ、その後、矢印Rと反対方向(反時計回り)に回転させると、上記の針装着部28のネジ山28aと注射針14のネジ溝38bの螺合が解除され、針ケース37内に注射針14が入る。そして、矢印Zと反対の方向に、針ケース37を引き抜くことで、簡単に注射針14を取外すことができる。
【0089】
この場合、針ケース37の内周に設けた突起37aが注射針14を構成する針基体38の外周に設けた凹凸部38aを係合するため、針ケース37の回転に伴い、注射針14も回転し、針装着部28との装着及び取外しが容易に行なえる(
図15参照)。
次に、本願発明の簡易型の変形例を
図21に示す。
この
図21に示す薬剤シリンジユニット2’は、
図20に示した薬剤シリンジユニット2のようなシリンジカバー4のフランジ33を規制する規制部29は有していない。
【0090】
しかしながら、
図20の薬剤シリンジユニット2と同様に、薬剤シリンジユニット2’は、先端側と後端側に、開口部を有する先端キャップ3と、この先端キャップ3内において、前後に摺動可能状態で保持されたシリンジカバー4と、を備え、先端キャップ3は、シリンジカバー4を所定の範囲で前後に摺動させるガイド部26を設けている。このため、薬剤シリンジを内包できるシリンジカバー4は、ガイド部26のストローク:L2の範囲で摺動することができるが、先端キャップ3から離脱することは無い。
【0091】
また、
図21の例では、保存ケース(
図24、
図25参照)や薬剤注入装置の収納ケースなどに、この薬剤シリンジユニット2’の注射針14を着脱するための治具として働く固定部39(ユニット装着部の一例)が設けられている。
この固定部39に薬剤シリンジユニット2’を装着することにより、シリンジカバー4は、先端キャップ3のガイド部26の先端側に当接している(つまり、シリンジカバー4の鍔27がガイド部26の先端側の立壁26a(
図17など参照)に当接している状態(ストッパ部60aに当接している状態ともいえる)となり、注射針14を含む針ユニット35や針ケース37を容易に着脱することができる。
【0092】
この固定部39の中央部分は、凹形状に形成されており、その底部分がシリンジカバー4を前方にスライドさせるスライド部391として機能する。すなわち、薬剤シリンジユニット2を固定部39に配置することにより、シリンジカバー4の後端がスライド部391によって前方に押され、シリンジカバー4が前方に移動する。ここで、凹形状の深さを調節することにより、薬剤シリンジユニット2を固定部39に配置したときに、シリンジカバー4の鍔27をストッパ部60aの方向に移動させることができる。
【0093】
つまり、
図20で上述したと同様に、注射針14をシリンジカバー4の針装着部28に装着する場合は、注射針14を含む針ユニット35を、矢印Zの方向から挿入し、矢印Rの方向に右回転(時計回り)すれば、針装着部28のネジ山28aに、針ユニット35の内部に収納している注射針14の針基体38のネジ溝38bが螺合するため(
図15参照)、簡単に注射針14を装着することができる。
【0094】
また、注射針14を針装着部28から取外す場合は、針ケース37を摘んで、針装着部28に装着されている注射針14に被せ、その後、矢印Rと反対方向(反時計回り)に回転させると、上記の針装着部28のネジ山28aと注射針14のネジ溝38bの螺合が解除され、針ケース37内に注射針14が入り、矢印Zと反対の方向に、針ケース37を引き抜くことで、簡単に注射針14を取外すことができる。
【0095】
次に、
図22に基づいて、薬剤シリンジユニット2への針ユニット35の装着及び注入動作終了後の針ケース37を使用した注射針14の薬剤シリンジユニット2からの取外し方法及びその有効性について、説明する。
図22は、上述の
図20に示すと同様に、保存ケース(
図24、
図25参照)や薬剤注入装置の収納ケースなどに設けられた注射針交換機構、または、専用の注射針着脱冶具70が有する固定部41に薬剤シリンジユニット2(薬剤シリンジ5を内包するシリンジカバー4及びそのシリンジカバー4を覆う先端キャップ3から構成されている。
図10A及び
図10B参照)の後端部を装着し、スライド部42を先端側にスライドさせた状態において、薬剤シリンジユニット2内に配置されたシリンジカバー4の針装着部28に針ユニット35(注射針14、針キャップ36及び針ケース37から構成されている。
図14及び
図15参照)を装着した状態を示している。
【0096】
また、
図22は、薬剤の注入が完了した後、薬剤シリンジユニット2を薬剤注入装置から取りはずし、固定部41に装着し、スライド部42を先端側にスライドさせた状態で、注射針14を覆う針ケース37を被せた状態も示している。
図22にも、後端側に移動したときの鍔27の位置が点線で示されている。
この状態におけるシリンジカバー4の位置であるが、
図22に示すように、固定部41側に設けられた突起40と、先端キャップ3の内周に有する規制部29側に設けられた第2の突起32が当接して、規制部29が外周方向に押されることにより、シリンジカバー4のフランジ33と規制部29の第1の突起31の係合が外れ、シリンジカバー4は先端側に移動することになる。
【0097】
図20及び
図22の薬剤シリンジユニット2を注射針着脱冶具70の固定部41に装着し、スライド部42が先端側にスライドされた状態では、シリンジカバー4は先端側に移動させられ、シリンジカバー4に設けられた鍔27が、先端キャップ3の内部に設けられたガイド部26内を摺動し、先端側の立壁26a(ストッパ部60a)と鍔27が当接した状態になる。
【0098】
このように、
図22の状態では、シリンジカバー4は、ガイド部26の全範囲に摺動が可能となる。つまり、シリンジカバー4は、
図22に示すガイド部26のスライドストローク:L2の範囲で摺動する。
一方、薬剤注入装置の本体ケース1に薬剤シリンジユニット2を装着した場合には、スライドモータ12のストローク:L1の範囲でインナーケース11が摺動することになる。従って、インナーケース11に装着されるシリンジカバー4は、ガイド部26の先端側の立壁26a(ストッパ部60a)には当接しない(
図17など参照)。
【0099】
以上のガイド部26のストローク:L2>スライドモータ12のストローク:L1の関係から、シリンジカバー4は、薬剤注入装置に装着したときのストローク:L1よりも、固定部41に装着したときのストローク:L2の方が、先端側に突出することが出来る(実施例では、2mm程度長くしているが、1〜10mmの範囲で有効である)。
即ち、薬剤シリンジユニット2を固定部41に装着したときの方が、薬剤注入装置に装着したときよりも、針ユニット35などが先端開口部3cから先端キャップ3の先端面3aから外により大きく露出するようになる。
【0100】
従って、針ユニット35をシリンジカバー4の針装着部28へ装着する作業は、
図22に示すように、針ユニット35を構成する針ケース37のローレット加工部37cの部分を指48で摘むことによって行なうことが出来る。このローレット加工部37cは、針ケース37の細い先端部分より径の大きい径大部37bに向かって徐々に径が大きくなるような傾斜部分、及び、指48に引っ掛かるような凸部を有しているため、指48で摘み易く、且つ注射針14を交換するために回転させる場合にも、指48で回し易い。
【0101】
同様に、薬剤注入終了後、薬剤シリンジユニット2を薬剤注入装置から取外し、薬剤注入装置の収納ケースもしくは保存ケースに設けた注射針交換機構または注射針着脱冶具70の固定部41に装着した場合も、スライド部42のスライドによりシリンジカバー4は、L2のストローク範囲で摺動する。このため、針ユニット35を装着した場合と同じように、スライド部42を先端側にスライドさせ、シリンジカバー4の鍔27がガイド部26の先端側の立壁26a(ストッパ部60a)に当接する位置まで移動させた状態で、注射針14に被せた針ケース37毎、指48でローレット加工部37cを含む部分を掴み、装着時とは逆方向(反時計方向)に回転させることにより、容易に針ケース37を被せた注射針14を取り外し、そのままの状態で、簡単に廃棄することができる。
【0102】
次に、
図23に示す薬剤シリンジユニット2’について、説明する。
図23は、上記の
図21で説明した簡易型の薬剤シリンジユニット2’が保存ケース(
図24及び
図25参照)などに設けられた簡易型の注射針交換機構または注射針着脱冶具80の固定部39に装着される例を示している。
薬剤シリンジユニット2’は、規制部29を有していないものであり、また注射針交換機構の方も、固定部39のみで、
図20及び
図22に示すようなスライド部42は設けられていない。
【0103】
図23では、薬剤シリンジユニット2’を固定部39に装着することにより、シリンジカバー4は、先端キャップ3のガイド部26の先端側(ガイド部26のストローク:L2、この時、シリンジカバー4の鍔27は、ガイド部26の先端側の立壁26a(ストッパ部60a)に当接する位置にある)まで移動することになり、注射針14を内包する針ケース37や針ユニット35を容易に交換することができる。
図23にも、後端側に移動したときの鍔27の位置が点線で示されている。
【0104】
即ち、薬剤シリンジユニット2’を固定部41に装着したときの方が、薬剤注入装置に装着したときよりも、針ユニット35または針ケース37が先端開口部3cから先端キャップ3の先端面3aの外部より大きく露出するようになる。
従って、針ユニット35を、薬剤シリンジユニット2’を構成するシリンジカバー4の針装着部28へ装着する作業のときに、
図23に示すように、針ケース37のローレット加工部37cの部分を指48で摘み易く、且つ注射針14を交換するために回転させる場合にも、指48で回し易いものになっている。
【0105】
同様に、薬剤注入終了後、薬剤シリンジユニット2’を薬剤注入装置から取外し、固定部39に装着することにより、注射針14に被せた針ケース37毎、指48でローレット加工部37cを含む部分を掴み、装着時とは逆方向(反時計方向)に回転させることにより、容易に針ケース37を被せた注射針14を取り外し、そのままの状態で、簡単に廃棄することができる。
【0106】
以上のように、本発明では、薬剤シリンジユニット2’(または、薬剤シリンジユニット2)を薬剤注入装置から取り外した場合には、シリンジカバー4の可動範囲が広がる(より前方へ移動可能となるともいえる)ために、注射針14及び針ユニット35、針ケース37を含めた交換を行なう際の作業の操作性に優れたものになっている。
(14.保存ケース)
次に、
図24A〜
図24D及び
図25A〜
図25Cに基づいて、本発明の針交換治具を保存ケースに適用した場合の例について説明する。
【0107】
図24A,24B、24C、24Dは、薬剤シリンジユニット2’ (または薬剤シリンジユニット2)に針ユニット35を装着し、その後、薬剤シリンジユニット2‘を薬剤注入装置に装着する手順を示した斜視図である。
図24Aは、薬剤シリンジユニット2’が収納されている保存ケース43の斜視図を示しており、保存ケース43は、ベース部44と蓋45から構成されている。
【0108】
図24Bは、保存ケース43の蓋45を矢印方向(上向き)に開いた状態を示しており、ベース部44には、薬剤シリンジ5及びシリンジカバー4を内包する薬剤シリンジユニット2'が入っている。
また、蓋45の内側には、薬剤注入中に外しておき、注入後、注射針14を覆うために使用する針ケース37を保管しておく、針ケース置き場46が設けられており、薬剤注入作業中は、針ケース37が針ケース置き場46に置かれる。
【0109】
さらに、ベース部44の内部には、薬剤シリンジユニット2’(または、薬剤シリンジユニット2)を収納する薬剤シリンジユニット収納部47が設けられている。
この薬剤シリンジユニット収納部47は、
図21及び
図23に示す注射針着脱冶具80を有している。
蓋45を開いた後、薬剤シリンジユニット2’を構成するシリンジカバー4の針装着部28に針ユニット35が装着される。
【0110】
この場合、
図24Cに示す矢印の方向(時計回り)に回転することにより、針ユニット35を構成する注射針14の針基体38の内周に設けられたネジ溝38bと、シリンジカバー4の先端側に設けられた針装着部28のネジ山28aが係合し、針ユニット35が薬剤シリンジユニット2に装着される(
図15及び
図21など参照)。
ここで、この
図24B及び
図24Cの状態は、
図21及び
図23に示す断面図の状態と同じである。
【0111】
即ち、薬剤シリンジユニット収納部47の下部に設けられた固定部39に薬剤シリンジユニット2’を装着することにより、注射針14を装着する針装着部28を有するシリンジカバー4が、ガイド部26の先端側に(
図21または
図23の例では、ガイド部26の先端側の立壁26aに、シリンジカバー4の鍔27が当接する位置に)摺動(移動)される状態となる。
【0112】
薬剤シリンジユニット2’を薬剤シリンジユニット収納部47に保管している状態は、
図21と同様で、固定部39により、シリンジカバー4が先端方向に押し出されており、シリンジカバー4の鍔27が、先端キャップ3内に設けられたガイド部26の先端側の立壁26a(ストッパ部60a)に当接する位置まで移動している(
図21に示すL2の距離だけ先端側に移動していることになる)。
【0113】
これは、薬剤注入装置に装着した状態の移動範囲:L1よりも広い。したがって、針ユニット35や針ケース37は先端キャップ3の先端面3a側により突き出た状態になっているため、針ユニット35や針ケース37を容易に装着することができるようになっている。
続いて、針ユニット35を装着した薬剤シリンジユニット2’が、薬剤注入装置の本体ケース1の先端側に装着される。
【0114】
つまり、シリンジカバー4の後端側の外周に設けた突起4aが、本体ケース1内のインナーケース11のL字形状の溝11aに係合して、固定化される(
図6参照)。
つまり、薬剤注入装置の先端側から薬剤シリンジユニット2’(または、薬剤シリンジユニット2)を挿入し、その後、
図24Dの矢印の示す方向に回転させて、薬剤注入装置に薬剤シリンジユニット2’を装着・固定することになる。
【0115】
また、この時、先端キャップ3の内周部に設けた突起3bが、本体ケースの先端側に設けた本体溝1aに係合される(
図6及び
図10参照)。
その後、針ユニット35を構成している針ケース37が取り外されて、針ケース37は、蓋45内の針ケース置き場46に保管される。
この場合、針ケース37は、先端側が下になるように置くことで、安定し、また、注入後の注射針14に再装着する場合に作業し易くなる。
【0116】
さらに、針キャップ36を取り外すと、注射針14が露出するが、この時点では、薬剤注入装置のインナーケース11の位置は、抜針位置(
図3において、センサ18の位置)に後退しているので、先端キャップ3の先端面3aから前側に突出していない。
上記のように、薬剤注入の準備が出来た時点で、薬剤注入装置の電源ボタン6を押して、電源をONにする。なお、電源ONの操作は、上記の針ケース37を取り外す前に行なっても構わない。
【0117】
その後、必要に応じて、エアー抜きボタン8を押して、エアー抜き動作が実施される。
続いて、薬剤注入装置を先端側(先端キャップ3の先端面3a)を注射する部位に当接させて、薬剤注入装置の本体ケース1に設けられた注射ボタン7を押すことにより、上述した一連の注入作業が行われる。
即ち、注射ボタン7が押されると、薬剤注入装置の制御部20は、モータドライブ回路16を経由して、スライドモータ12を駆動させ、インナーケース11を先端方向に移動する。
【0118】
これにより、インナーケース11の先端側に装着したシリンジカバー4も一緒に先端側に移動し、それに伴い、シリンジカバー4の先端部の針装着部28に装着させた注射針14が、先端キャップ3の先端開口部3cから突出し、皮膚に注射針14を刺すことになる。
図3において、センサ17を遮蔽板50が遮ることで検知し、スライドモータ12を停止する。この動作が刺針動作である。
【0119】
皮膚に注射針14を刺針後、次に、制御部20は、モータドライブ回路16経由で、ピストン駆動モータ15を駆動させ、ピストン13を先端側に移動させ、シリンジカバー4の後端部の後方開口部4b(ピストン挿入口)を通過して、内部に収納している薬剤シリンジ5の後端部5aを押していく。
この薬剤シリンジ5の後端部5aがピストン13に先端側に押されることにより、注射針14から人体に薬剤が注入される。
【0120】
予め設定されていた注入量に相当するピストン移動量分、ピストン13を移動させると、制御部20は、ピストン駆動モータ15を停止させる(これによりピストン13も停止する)。この動作が注入動作である。
これに続いて、制御部20は、モータドライブ回路16を経由して、スライドモータ12を駆動させて、インナーケース11を後端方向に移動させる。
【0121】
これにより、インナーケース11の先端側に装着したシリンジカバー4も一緒に後端側に移動し、それに伴い、シリンジカバー4の先端部の針装着部28に装着させた注射針14が皮膚から抜かれる。
図3において、センサ17から遮蔽板50が移動し、センサ18を遮ることで検知し、スライドモータ12を停止する。この動作が抜針動作である。なお、この抜針動作完了時は、注射針14の先端は、先端キャップ3の先端面よりは突出しない状態となる。
【0122】
以上の刺針動作、注入動作、抜針動作の一連の注入作業が終了した後の注射針14などの取外し方法について、説明する。
図25A,25B、25Cは、薬剤シリンジユニット2’(又は薬剤シリンジユニット2)を薬剤注入装置から取外し、その後、薬剤シリンジユニット2’から注射針14を取外す手順を示した斜視図である。
【0123】
ユーザは、薬剤注入装置の先端キャップ3を当接していた皮膚から外し、
図24Dに示す針ケース置き場46に置かれている針ケース37に対し、薬剤注入装置の先端側を向けて、下向きにそのまま押し込むようにする。
即ち、薬剤注入装置の先端側には注射針14が装着されているので、その注射針14に針ケース37を被せるようにするのである。
【0124】
この場合、針ケース37は、先端部分より後端の方の径が徐々に大きくなっており、後端部分には径が大きくなっている径大部37bがあり、この径大部37bが設けられている後端側から、注射針14を挿入していくことになるので、注射針14を薬剤注入装置に装着した状態でも、容易に、針ケース37を注射針14に被せることが可能となる(
図25A参照)。また、薬剤シリンジユニット2' (又は薬剤シリンジユニット2)の外形を、保存ケース43の蓋45の内側に構成した形状でガイドする事で、さらに操作しやすくしている。
【0125】
その後、
図25Aに示すように薬剤注入装置を真直ぐ引き上げ、針ケース37を注射針14に被せた状態で、薬剤シリンジユニット2’(または、薬剤シリンジユニット2)を
図25Aに示す回転方向(
図24Dに示す方向とは逆の方向)に回転させ、薬剤シリンジユニット2’が、薬剤注入装置から取外される。
即ち、シリンジカバー4の後端側の外周に設けた突起4aと、本体ケース1内のインナーケース11のL字形状の溝11aの係合が外され、固定が解除される(
図6参照)。
【0126】
また、この時、先端キャップ3の内周部に設けた突起3bと、本体ケース1の先端側に設けた本体溝1aの係合も解除されることになる(
図6及び
図10参照)。
取り外した薬剤シリンジユニット2’(先端側に装着されている注射針14は針ケース37に覆われた状態である)は、ベース部44内の薬剤シリンジユニット収納部47に、先端側を上方に向けて(針ケース37を上向きにして)置かれる(
図25B参照)。
【0127】
その後、
図25Cに示す矢印の方向(反時計回り:
図24Cに示す回転方向とは逆の方向)に、針ケース37を回転することにより、針ケース37及びそれに覆われている注射針14が薬剤シリンジユニット2’から取り外される。
即ち、反時計周りに針ケース37を回転させることにより、針ケース37と一緒に注射針14も回転し、注射針14の針基体38の内周に設けられたネジ溝38bと、シリンジカバー4の先端側に設けられた針装着部28のネジ山28aの係合が解除されることになり、結果的に、針ケース37を被せた注射針14が薬剤シリンジユニット2’から取外される(
図15及び
図21など参照)。
【0128】
ここで、この
図25B及び
図25Cの状態は、
図21及び
図23に示す断面図の状態と同じであり、薬剤シリンジユニット収納部47の下部に設けられた固定部39に薬剤シリンジユニット2’を装着することにより、注射針14を装着する針装着部28を有するシリンジカバー4が、先端側に(
図21及び
図23の例では、ガイド部26の先端側の立壁26a(ストッパ部60a)に、シリンジカバー4の鍔27が当接する位置に)摺動(移動)される状態となる。
【0129】
したがって、
図25B、
図25Cにおける薬剤シリンジユニット2’を薬剤シリンジユニット収納部47に保管している状態は、
図21または
図23と同様に、固定部39により、シリンジカバー4が先端方向に押し出されており、シリンジカバー4の鍔27が、先端キャップ3内に設けられたガイド部26の先端側の立壁26a(ストッパ部60a)に当接する位置まで移動している(
図21または
図23に示すL2の距離だけ先端側に移動していることになる)。
【0130】
このガイド部26の移動範囲(ストローク):L2は、薬剤注入装置に装着した状態の移動範囲:L1よりも広い。したがって、先端キャップ3の先端面3a側により突き出た状態になっているため、針ケース37を容易に取外すことができるようになっている。
その後、注射針14を内包する針ケース37を廃棄すればよく、衛生的にも作業的においても、非常に優れたものとなっている。
【0131】
即ち、本実施形態においては、先端キャップ3内のシリンジカバー4の摺動範囲(L2)が、薬剤注入装置の刺針位置と抜針位置の距離(L1)よりも大きいことから、注射針の装着または取外しの際には、先端キャップ3の先端開口部3cから、注射針14の中心軸より離れた(針ケース37の)ローレット加工部37c及び径大部37bまで露出することができる。これにより、保護カバーである針ケース37を指48で掴む場合にも掴み易く、且つ、装着・取外しのための回転操作の場合も簡単に回転させることができ、注射針14を含む針ユニット35又は針ケース37の装着・取外し操作の作業性が、極めて良いものとなるのである。
【0132】
(実施の形態2)
以下に、本発明にかかる実施の形態2における薬剤注入装置について説明する。
本実施の形態2の薬剤注入装置は、実施の形態1の薬剤注入装置と基本的な構成は同じであるが、規制部の構成が異なっている。そのため、以下の本実施の形態2の説明では、実施の形態1との相違点を中心に説明する。なお、実施の形態1と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0133】
図26は、本実施の形態の薬剤注入装置の内部構成を示す図である。
図26に示すように、本実施の形態の薬剤注入装置は、薬剤注入装置本体220と、薬剤シリンジユニット200と、を備えている。薬剤注入装置本体220は、本体ケース110を有している。本実施の形態の薬剤シリンジユニット200は、実施の形態1の薬剤シリンジユニット2と比較して、実施の形態1で説明した規制部29を有しておらず、その代わりに規制部210を有している。また、本実施の形態2の本体ケース110は、実施の形態1の本体ケース1と比較して、実施の形態1で説明した規制部29に係合する突起40を有しておらず、後述する突出部110bを有している。
【0134】
(1.未装着状態の薬剤シリンジユニット)
はじめに、薬剤注入装置本体220の本体ケース110から取り外された状態の薬剤シリンジユニット200について説明する。
図27は、薬剤注入装置本体220の本体ケース110から取り外された状態の薬剤シリンジユニット200の内部構成を示す図である。
図27では、先端キャップ3を構成する上部材3g(
図10B参照)が取り外されている(
図28も同様)。
図28は、
図27のA―A’間の矢示断面図である。
【0135】
図27および
図28に示すように、本実施の形態2の薬剤シリンジユニット200は、規制部210を有している。
規制部210は、ストッパガイド201と、ストッパ202と、ストッパバネ203と、を有している。
ストッパガイド201は、後方から前方に向かって形成されたガイド溝201aを形成している。ガイド溝201aの後端側は開口されており、ガイド溝201aの前端側は塞がれている。
【0136】
ストッパ202は、ガイド溝201aに、その後端から挿入されている。ストッパ202は、その後端に上方に向かって突出した突起202aを有している。また、ストッパ202は、その下面に下方に向かって突出した突起202bを有している。この突起202bは、先端キャップ3を構成する下部材3dの内周面に前後方向に沿って形成された溝204に挿入されている。この溝204によってストッパ202の前後方向にスライドする可動範囲が規制される。
【0137】
ストッパバネ203は、ガイド溝201a内に設けられている。ストッパバネ203の前端は、ストッパガイド201の前部201bに係止されており、後端は、ストッパ202の前端に係止されている。
このように、薬剤シリンジユニット200が薬剤注入装置本体220の本体ケース110から取り外された状態において、ストッパ202の突起202aがシリンジカバー4の外周に設けられたフランジ33と若干の隙間(約0.5mm程度)を保って位置するようにストッパ202およびストッパバネ203は構成されている。
【0138】
図28に示すように、前側から視て(
図28において左方向から見て)、突起202aはフランジ33にオーバーラップする位置に設けられている。このため、薬剤注入装置本体220の本体ケース110から薬剤シリンジユニット200が取り外された状態では、シリンジカバー4が前端側に移動しようとしても、フランジ33が突起202aに干渉し、突起202aはストッパバネ203によって後方に付勢されているため、シリンジカバー4の前方への移動が妨げられる。
【0139】
このように、シリンジカバー4のスライド動作はストッパバネ203の荷重(付勢力)によって、先端方向への移動が規制される。
すなわち、薬剤注入装置に未装着状態の薬剤シリンジユニット200において、シリンジカバー4の先端側に注射針14が装着された場合でも、ストッパバネ203などから構成されている規制部210により、注射針14が先端キャップ3の先端面3aから露出することは無く、安全性が確保される構成となっている。
なお、ストッパバネ203は、シリンジカバー4のスライド動作を規制できる程度の荷重の軽いもの(数十グラム程度、0.2〜0.5N程度)に設定されている。
【0140】
(2.装着状態の薬剤シリンジユニット)
次に、薬剤注入装置本体220の本体ケース110に取付けられた状態の薬剤シリンジユニット200について説明する。
【0141】
(2−1.抜針位置)
はじめに抜針位置における薬剤シリンジユニット200について説明する。
図29は、薬剤注入装置本体220の本体ケース110に取付けられた状態の薬剤シリンジユニット200の内部構成を示す図である。
図30は、
図29のB―B’間の矢示断面図である。
図31は、
図29から説明のためにシリンジカバー4を取り除いた状態を示す図である。なお、
図29および
図30は、注射針14が抜針位置に配置されている状態を示している。
【0142】
図29および
図30に示すように、薬剤シリンジユニット200を本体ケース110に装着すると、本体ケース110がストッパ202の突起202aを前方へ押す。ストッパ202はストッパバネ203によって後方に付勢されているが、その付勢力に逆らって本体ケース110によりストッパ202は前方へ移動する。詳細には、本実施の形態では、
図30に示すように、本体ケース110の下方側(先端キャップ3の下部材3d側)の先端には、前方に向かって突出した突出部110bが形成されており、その突出部110bによって、ストッパ202が前方に押される。
【0143】
この突出部110bによってストッパ202が前方に押される状態においても、注射針14が先端側に装着されているシリンジカバー4(内部に薬剤シリンジ5を内蔵している)は、薬剤注入装置の本体ケース110に装着され、本体ケース110内のスライドモータ12(上述の
図4参照)によって、後方に保持された状態(抜針位置に配置されている状態)であり、注射針14は先端キャップ3の先端面3aから露出することは無い。
【0144】
つまり、上記のように薬剤シリンジユニット200を薬剤注入装置本体220に装着した場合は、突出部110bによりストッパ202が前方に押された状態でも、
図30に示すように、シリンジカバー4のフランジ33と、先端キャップ3内に設けられている規制部210のストッパ202の後端(突起202a)との間にはスライドモータ12のストロークより大きい間隔d(
図30参照)が形成されている。これにより、ストッパ202とフランジ33との干渉は解除されている状態となる。
【0145】
(2−2.刺針位置)
次に、刺針位置における薬剤シリンジユニット200について説明する。
図32は、シリンジカバー4が刺針位置に移動した状態の薬剤シリンジユニット200の内部構成を示す図である。
図33は、
図32のC―C’間の矢示断面図である。
注射ボタン7(
図1及び
図4など参照)が操作されることによって、スライドモータ12(
図4参照)が駆動し、インナーケース11が抜針位置から刺針位置に向かって先端側にスライドするように移動する。シリンジカバー4はインナーケース11とともに移動する。シリンジカバー4の先端側への移動により、シリンジカバー4の先端に装着されている注射針14が先端キャップ3の先端開口部3cを介して先端面3aから突出する(
図32、
図33参照)。
【0146】
図32および
図33に示すように、刺針位置においてシリンジカバー4のフランジ33は、突起202aに接触していない(
図33の隙間S参照)。
すなわち、刺針位置から抜針位置に向かってシリンジカバー4が前方に移動しても、ストッパ202の突起202aはフランジ33とは干渉しない。このように、ストッパ202が本体ケース110の突出部110bによって前方へ移動されていることにより、シリンジカバー4の刺針・抜針動作に伴うスライド動作がストッパ202によって妨げられない。
つまり、刺針位置と抜針位置間の距離(これが、スライドモータ12のストロークになるが)よりも、ストッパ202の突起202aとフランジ33との距離(間隔d(
図30参照))の方が大きく設定されているためである。
【0147】
(3.薬剤シリンジユニットの動作)
薬剤シリンジユニット200を本体ケース110から取り外すと、本体ケース110の突出部110bが突起202aを押さなくなるため、ストッパバネ203の付勢力によって、ストッパ202は後方に移動する。
【0148】
これによって、
図28に示すように、ストッパ202の突起202aがシリンジカバー4のフランジ33の動きを阻害し、通常の操作では注射針14が先端キャップ3の先端面3aから突出しない。ここで、通常の操作とは、ストッパバネ203の荷重(付勢力)を超えないような操作のことである。
すなわち、本実施の形態2の薬剤シリンジユニット200では、ストッパバネ203の荷重によってシリンジカバー4の動きを規制しているだけであるため、薬剤シリンジユニット200を本体ケース110に装着する場合のようにストッパバネ203の荷重以上の力を加えると、シリンジカバー4を先端方向に移動させることが出来る。
【0149】
これは、上述した保存ケース43に薬剤シリンジユニット200を配置する場合も同様である。詳しくは後述するが、薬剤注入装置本体220の本体ケース110から取り外された状態の薬剤シリンジユニット200を、保存ケース43のベース部44に設けられている注射針着脱冶具80の固定部39(
図23参照)に配置することにより、シリンジカバー4がスライド部391によって先端方向に押し出され、ストッパバネ203が縮み、針装着部28が先端側に移動する(
図21参照)。このため、針装着部28への注射針14の装着および針装着部28からの注射針14の取り外し作業(針ケース37の注射針14への装着や、その後の針ユニット35の取り外しなどの一連の作業)を容易に行うことが出来る。
【0150】
以上のように、本実施の形態2の薬剤シリンジユニット200は、本体ケース110から取り外した状態では、規制部210によってシリンジカバー4のスライド動作を簡易的に規制し通常の動作では注射針14が先端キャップ3の先端面3aから露出させないという安全性を確保するとともに、薬剤シリンジユニット200を固定部39に押し込む動作だけでシリンジカバー4を先端側に移動でき、注射針の交換作業における作業性の向上が図れるものである。
【0151】
(4.注射針の装着・取り外し)
次に、
図34〜
図37を用いて、薬剤シリンジユニット200の針装着部28への針ユニット35の装着方法、および注射針14の針装着部28からの取り外し方法について説明する。
実施の形態1でも説明したが、薬剤シリンジユニット200が本体ケース110に装着された状態で、注射針14を含む針ユニット35を装着、または注射針14を包含した針ケース37を取り外すことが一般的ではある。しかしながら、注射針14の着脱時には、シリンジカバー4は抜針状態の位置に配置されているため、着脱操作は出来るものの容易とは言い難い。
【0152】
また、
図34に示すように、薬剤シリンジユニット200が薬剤注入装置の本体ケース1から取り外された状態では、ストッパバネ203の付勢力によりフランジ33が後端開口部3e側に押されるため、針装着部28は先端キャップ3の奥に位置している。そのため、この場合も着脱操作は出来るものの容易とは言い難い。
そこで、本実施の形態では、
図35に示す注射針着脱冶具80を用いることによって、注射針14の着脱操作を容易に出来る。
【0153】
図35は、薬剤注入装置本体220から取り外された薬剤シリンジユニット200を実施の形態1で説明した注射針着脱冶具80に載置している状態を示す図である。
図36は、
図35の状態から先端キャップ3が注射針着脱冶具80側に押された状態を示す図である。
図37は、
図36の状態において針ケース37が装着されている状態を示す図である。
【0154】
薬剤注入装置本体220から取り外された状態では、上述したように、薬剤シリンジユニット200は、ストッパバネ203の付勢力によりフランジ33が後端開口部3e側に押され、シリンジカバー4が先端キャップ3に対して後端方向(
図34おいて右方向)にスライドしている。いいかえると、先端キャップ3は、ストッパバネ203の付勢力によりシリンジカバー4に対して先端方向(
図34において左方向)にスライドしているともいえる。
【0155】
注射針14の着脱を行う際には、
図35に示すように、薬剤シリンジユニット200が注射針着脱冶具80に配置される。具体的には、注射針着脱冶具80の固定部39に形成されているスライド部391の凹形状にシリンジカバー4の後端が挿入されるように、薬剤シリンジユニット200が注射針着脱冶具80に配置される。
スライド部391の凹形状にシリンジカバー4の後端を配置した状態では、先端キャップ3はストッパバネ203により先端方向(注射針着脱冶具80の反対側)に付勢されている。このため、先端キャップ3は、固定部39に接触していない。
【0156】
次に、
図36に示すように、先端キャップ3の先端面3aを指48bで注射針着脱冶具80側(矢印Z2参照)に押すと、先端キャップに組み込まれているストッパバネ203が縮み、シリンジカバー4の針装着部28が先端開口部3cに近づく。
この状態にすると、先端開口部3cを通して針装着部28のネジ山28aへの針ユニット35の装着およびネジ山28aからの注射針14の取り外しが容易になる。
【0157】
具体的には、注射針14をシリンジカバー4の針装着部28に装着する場合、注射針14を含む針ユニット35を矢印Z1の方向から挿入し、矢印Rの方向に右回転(時計回り)することによって、針装着部28のネジ山28aに針ユニット35の内部に収納している注射針14の針基体38のネジ溝38bが螺合し、注射針14が針装着部28に装着される。このとき、
図37に示すように、ローレット加工部37cの部分まで先端開口部3cに位置しているため、指48aで掴むことができ、針ケース37を回転させやすい。
【0158】
一方、注射針14を針装着部28から取り外す場合は、針装着部28に装着されている注射針14に針ケース37が被せられた状態において、矢印Rと反対方向(反時計回り)に回転させると、上記の針装着部28のネジ山28aと注射針14のネジ溝38bの螺合が解除され、針ケース37内に注射針14が入る。そして、矢印Z1(
図36参照)と反対の方向に、針ケース37を引き抜くことで、簡単に注射針14を取外すことができる。このとき、
図37に示すように、ローレット加工部37cが先端開口部3cに位置しているため、指48aで掴むことができ、ネジ山28aとネジ溝38bの螺合を解除させやすい。
【0159】
なお、実施の形態1と同様に、
図37に示すL1は、薬剤注入装置本体220に薬剤シリンジユニット200を装着した際のシリンジカバー4のスライドモータ12によるストロークを示す。また、L2は、ガイド部26のスライドストロークを示す。L2の方がL1よりも長く形成されており、スライドモータ12による駆動では、インナーケース11に装着されるシリンジカバー4は、ガイド部26の先端側の立壁26a(ストッパ部60a)には当接しない(
図17など参照)。
【0160】
このように、L2>L1の関係から、シリンジカバー4は、薬剤注入装置本体220に装着したときよりも、固定部39に装着したときの方が、先端側に突出することが出来る(実施例では、2mm程度長くしているが、1〜10mmの範囲で有効である)。
即ち、薬剤シリンジユニット2を固定部39に装着したときの方が、薬剤注入装置に装着したときよりも、針ユニット35などが先端開口部3cから外により大きく露出するようになる。
【0161】
このため、上述したように、ローレット加工部37cを先端開口部3cに位置させることが出来、注射針14の着脱を行いやすい。
(5.保存ケース)
次に、
図38〜
図40に基づいて、本実施の形態の注射針着脱冶具を保存ケース43に適用した場合の例について説明する。本実施の形態2の保存ケース43は、基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため適宜説明を省略する。
【0162】
図38は、保存ケース43の蓋45を上向きに開いた状態を示している。保存ケース43のベース部44の内部には、薬剤シリンジユニット収納部47が設けられている。また、薬剤シリンジユニット収納部47は、
図35〜
図37に示す注射針着脱冶具80を有している。
次に、保存ケース43に配置された薬剤シリンジユニット200に注射針14を装着する動作について説明する。
【0163】
蓋45を開くと、
図38に示すように、保存ケース43のベース部44には、薬剤シリンジユニット200が配置されている。このとき、薬剤シリンジユニット200は、
図35に示す状態となっており、
図35の右方向が
図38の下方に対応する。
この状態において、
図39Aに示すように、先端キャップ3の先端面3a近傍を指48bで下方に押すことによって、先端開口部3cに針装着部28のネジ山28aが近づく(
図36参照)。
【0164】
次に、
図39Bに示すように、針ユニット35がシリンジカバー4の先端側に設けられた針装着部28のネジ山28aに螺合されて、
図40に示すように針ユニット35が薬剤シリンジユニット200に装着される。
図40に示す状態は、
図37に示す状態に対応する。
具体的には、針ユニット35は、
図39Bに示すように下方に移動されて先端キャップ3の先端開口部3cを通して針装着部28に挿入される(矢印E参照)。その後、針ユニット35は右回り方向(時計回り、矢印R参照)に回転させながらネジ山28aに装着される。このとき、針ケース37のローレット加工部37cが先端開口部3cに位置するため、ローレット加工部37cを指48aで掴むことができ、針ケース37を回転させやすい。
【0165】
次に、保存ケース43に配置された薬剤シリンジユニット200から注射針14を取り外す動作について説明する。実施の形態1でも説明したが、薬剤の注入動作が終了すると、注射針14を覆うように針ケース37が薬剤シリンジユニット200に装着される。その後、薬剤シリンジユニット200は薬剤注入装置本体220から取り外されて、針ケース37側を上方に向けて薬剤シリンジユニット収納部47に配置されている。
【0166】
このように保存ケース43に配置された薬剤シリンジユニット200に対して先端キャップ3を指48bで下方に押すことによって、ストッパバネ203が圧縮されて、針装着部28が先端開口部3e近傍に位置する。このため、
図37および
図40に示すように、針ケース37のローレット加工部37cの部分が、先端開口部3cに位置し、指48aで掴むことができ、針ケース37を回転させやすい。
【0167】
そして、針ケース37を反時計回りに回転することによって、注射針14も回転し、注射針14とネジ山28aの螺合が解除される。その後、針ケース37ごと注射針14を上方に移動させることによって、注射針14を薬剤シリンジユニット200から取り外すことができる。
また、実施の形態1の薬剤シリンジユニット2では、冶具として固定部41(
図22参照)を使用してシリンジカバー4を先端側に移動する場合、薬剤シリンジユニット2を固定部41に装着した後、スライド部42を動かせてシリンジカバー4を先端側に移動させる必要がある。このように、実施の形態1では、固定部41への装着とスライド部42の移動という2段階の操作が必要である。
【0168】
しかしながら、本実施の形態2の薬剤シリンジユニット200では、固定部39に装着する際、薬剤シリンジユニット200を固定部39に押し込む動作だけでシリンジカバー4を先端側に移動できる。すなわち、本実施の形態2の薬剤シリンジユニット200では、1回の動作でシリンジカバー4を先端側に移動させることが出来るため、より操作が簡易になる。