特許第6386082号(P6386082)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386082
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】液晶表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1337 20060101AFI20180827BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20180827BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20180827BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   G02F1/1337 505
   G02F1/1335 505
   G02F1/1368
   G02F1/13 101
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-561050(P2016-561050)
(86)(22)【出願日】2014年1月8日
(65)【公表番号】特表2017-501455(P2017-501455A)
(43)【公表日】2017年1月12日
(86)【国際出願番号】CN2014070307
(87)【国際公開番号】WO2015100759
(87)【国際公開日】20150709
【審査請求日】2016年6月30日
(31)【優先権主張番号】201310747803.9
(32)【優先日】2013年12月31日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515204720
【氏名又は名称】深▲セン▼市華星光電技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107847
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 聡
(72)【発明者】
【氏名】趙 勇
(72)【発明者】
【氏名】張 ▲キン▼
(72)【発明者】
【氏名】連 水池
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/106915(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0140858(US,A1)
【文献】 特開2013−225098(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/115937(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337
G02F 1/13 101
G02F 1/1335
G02F 1/1368
G02F 1/1343
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示装置であって、
ガラス基板(11)と、ゲート線(13)と、絶縁層(16)と、半導体層(17)と、データライン(12)と、鈍化層(180)と、第一電極層(15)と、該第一電極層(15)を覆う第一配向層(19)とを具備するTFTマトリックス基板(1)であって、その上にはブラックマトリックス(22)とフォトスペーサー(30)が設けられ、前記絶縁層(16)と鈍化層(180)との間にはカラーフィルタ層(18)が設けられているTFTマトリックス基板(1)と、
第二電極層(24)及び該第二電極層(24)を覆う第二配向層(29)を具備するCF基板(2)と、
前記TFTマトリックス基板(1)の第一配向層(19)と前記CF基板(2)の第二配向層(29)との間に配置される液晶層(3)とを含み、
前記第一配向層(19)と前記第二配向層(29)はいずれも、少なくとも一個の区域(10、20)に分けられ、各区域は複数個の配向区域(100、200)に分けられ、前記第一配向層(19)と前記第二配向層(29)の所定の配向区域(100、200)の所定の配向方向は互いに垂直であり、
前記第一配向層(19)と前記第二配向層(29)の各配向区域(100、200)に偏光方向が異なる線形偏光をそれぞれ照射するとき、前記各配向区域に照射する線形偏光の偏光方向と前記配向方向とが対応することにより、前記第一配向層(19)と前記第二配向層(29)上には配向区域(100、200)の所定の配向方向と対応する配向方向を有する配向層が形成され、
前記各区域(10、20)は2本の垂直の分離線(X軸とY軸)によって4個の配向区域に分けられ、4個の配向区域における液晶分子の配向方向において、第三象限の液晶分子とX軸との間にはa度の角度が形成され、第一象限の液晶分子とX軸との間には−a度の角度が形成され、第二象限の液晶分子とX軸との間には(a−180)度の角度が形成され、第四象限の液晶分子とX軸との間には(180−a)度の角度が形成され、
前記各区域(10、20)は2本の垂直の分離線によって4個の配向区域に分けられ、前記4個の配向区域のうち少なくとも2個の配向区域の所定の配向方向は異なっている液晶表示装置。
【請求項2】
前記ブラックマトリックス(22)は、前記TFTマトリックス基板(1)の鈍化層(180)上に設けられるか、或いは前記TFTマトリックス基板(1)のガラス基板(11)上、ゲートライン(13)の下に設けられるか、或いは前記TFTマトリックス基板(1)のガラス基板(11)上、ゲートライン(13)の両側に設けられるか、或いは前記TFTマトリックス基板(1)のカラーフィルタ層(18)とデータライン(12)との間に設けられる請求項に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記フォトスペーサー(30)は前記ブラックマトリックス(22)上に設けられるか或いは前記TFTマトリックス基板(1)の鈍化層(180)上に設けられる請求項に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第一電極層(15)は画素電極層であり、前記第二電極層(24)は共用電極層である請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
液晶表示装置であって、
ガラス基板(11)と、ゲート線(13)と、絶縁層(16)と、半導体層(17)と、データライン(12)と、鈍化層(180)と、第一電極層(15)と、該第一電極層(15)を覆う第一配向層(19)とを具備するTFTマトリックス基板(1)であって、その上にはブラックマトリックス(22)とフォトスペーサー(30)が設けられ、前記絶縁層(16)と鈍化層(180)との間にはカラーフィルタ層(18)が設けられているTFTマトリックス基板(1)と、
第二電極層(24)及び該第二電極層(24)を覆う第二配向層(29)を具備するCF基板(2)と、
前記TFTマトリックス基板(1)の第一配向層(19)と前記CF基板(2)の第二配向層(29)との間に配置される液晶層(3)とを含み、
前記第一配向層(19)と前記第二配向層(29)はいずれも、少なくとも一個の区域(10、20)に分けられ、各区域は複数個の配向区域(100、200)に分けられ、前記第一配向層(19)と前記第二配向層(29)の所定の配向区域(100、200)の所定の配向方向は互いに垂直であり、前記各区域(10、20)は2本の垂直の分離線によって4個の配向区域に分けられ、前記4個の配向区域のうち少なくとも2個の配向区域の所定の配向方向は異なっており、
前記第一配向層(19)と前記第二配向層(29)の各配向区域(100、200)に偏光方向が異なる線形偏光をそれぞれ照射するとき、前記各配向区域に照射する線形偏光の偏光方向と前記配向方向とが対応することにより、前記第一配向層(19)と前記第二配向層(29)上には配向区域(100、200)の所定の配向方向と対応する配向方向を有する配向層が形成され、
前記一個の区域はX軸とY軸によって4個の区域に分割され、液晶分子の配向方向において、第三象限の液晶分子とX軸との間にはa度の角度が形成され、第一象限の液晶分子とX軸との間には−a度の角度が形成され、第二象限の液晶分子とX軸との間には(a−180)度の角度が形成され、第四象限の液晶分子とX軸との間には(180−a)度の角度が形成され、
前記各区域(10、20)は2本の垂直の分離線によって4個の配向区域に分けられ、前記4個の配向区域のうち少なくとも2個の配向区域の所定の配向方向は異なっている液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
この出願は、出願日が2013年12月31日であり、出願番号が201310747803.9であり、発明の名称が「液晶表示装置及びその製造方法」である中国特許出願の優先権を主張し、該中国特許出願の全内容を本願に採用する。
【0002】
[技術分野]
本発明は、薄膜トランジスタ液晶表示装置(Thin Film Transistor liquid crystal display、TFT−LCD)に関し、特に液晶表示装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
図1は、従来のPSVAモード(高分子安定化垂直配向、Polymer Stabilization Vertical-Alignment)の液晶表示装置が常用する画素電極を示す図であり、図面には一個の画素電極が示されている。従来のPSVAモードの液晶表示装置において、画素電極は、「米」形に設けられ、かつ中央の垂直部分80と、水平部分81と、X軸との夾角が±45度であるか或いは±135度である分枝82とで構成される。垂直部分80と水平部分81は画素を4個の区域に等分し、各区域には傾斜が45度である分枝82が平行に配置されている。
【0004】
図2は、図1の画素電極に電圧を印加するときの液晶の移動を示す図である。図2は、図1の画素電極に4Vの電圧を印加するとき、液晶分子90が画素電極の外部から画素電極の中央へ移動することを示す図である。移動の角度は切口の方向に沿い(すなわち、分枝82の方向に沿い、図面の矢印が指す方向のとおりである)、4個の区域の液晶の移動方向はそれぞれ、±45度、±135度の方向に沿い、かついずれも画素の中央区域に向かう。図に示すとおり、液晶の移動方向とX軸との間の夾角において、第一象限は−135度であり、第二象限は−45度であり、第三象限は45度であり、第四象限は135度である。従来のPSVA製造方法において、画素電極を「米」形に形成することにより、液晶分子の配向を制御し、広視野角下の色偏差を改善することができる。
【0005】
しかしながら、上述した従来の方法は、電極の設計に強く依存し、かつ表示区域に明暗ラインが形成されることにより、光線の透過率が低下し、表示の効果と輝度に影響を与える欠点を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、配向の効果がよく、かつ広視野角下の色偏差と開口率を向上させることができる液晶表示装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を実現するため、本発明は液晶表示装置を提供する。液晶表示装置は、第一電極層及び該第一電極層を覆う第一配向層を具備するTFTマトリックス基板であって、その上にはブラックマトリックスとフォトスペーサーが更に設けられているTFTマトリックス基板と、第二電極層及び該第二電極層を覆う第二配向層を具備するCF基板と、前記TFTマトリックス基板の第一配向層と前記CF基板の第二配向層との間に配置される液晶層とを含む。前記第一配向層と前記第二配向層はいずれも、少なくとも一個の区域に分けられ、各区域は複数個の配向区域に分けられ、前記第一配向層と前記第二配向層の所定の配向区域の所定の配向方向は互いに垂直である。前記第一配向層と前記第二配向層の各配向区域に偏光方向が異なる線形偏光をそれぞれ照射するとき、前記各配向区域に照射する線形偏光の偏光方向と前記配向方向とが対応することにより、前記第一配向層と前記第二配向層上には配向区域の所定の配向方向と対応する配向方向を有する配向層が形成される。
【0008】
本発明の実施例において、前記TFTマトリックス基板は、ガラス基板、ゲート線、絶縁層、半導体層、データライン及び鈍化層を更に含み、前記絶縁層と鈍化層との間にはカラーフィルタ層が設けられる。
【0009】
本発明の実施例において、前記ブラックマトリックスは、前記TFTマトリックス基板の鈍化層上に設けられるか、或いは前記TFTマトリックス基板のガラス基板上、ゲートラインの下に設けられるか、或いは前記TFTマトリックス基板のガラス基板上、ゲートラインの両側に設けられるか、或いは前記TFTマトリックス基板のカラーフィルタ層とデータラインとの間に設けられる。
【0010】
本発明の実施例において、前記フォトスペーサーは前記ブラックマトリックス上に設けられるか或いは前記TFTマトリックス基板の鈍化層上に設けられる。
【0011】
本発明の実施例において、前記各区域は2本の垂直の分離線によって4個の配向区域に分けられ、前記4個の配向区域のうち少なくとも2個の配向区域の所定の配向方向は異なっている。
【0012】
本発明の実施例において、前記第一電極層は画素電極層であり、前記第二電極層は共用電極層である。
【0013】
本発明は液晶表示装置を更に提供する。該液晶表示装置は、第一電極層及び該第一電極層を覆う第一配向層を具備するTFTマトリックス基板であって、その上にはブラックマトリックスとフォトスペーサーが更に設けられているTFTマトリックス基板と、第二電極層及び該第二電極層を覆う第二配向層を具備するCF基板と、前記TFTマトリックス基板の第一配向層と前記CF基板の第二配向層との間に配置される液晶層とを含む。前記第一配向層と前記第二配向層はいずれも、少なくとも一個の区域に分けられ、各区域は複数個の配向区域に分けられ、前記第一配向層と前記第二配向層の所定の配向区域の所定の配向方向は互いに垂直であり、前記各区域は2本の垂直の分離線によって4個の配向区域に分けられ、前記4個の配向区域のうち少なくとも2個の配向区域の所定の配向方向は異なっている。前記第一配向層と前記第二配向層の各配向区域に偏光方向が異なる線形偏光をそれぞれ照射するとき、前記各配向区域に照射する線形偏光の偏光方向と前記配向方向とが対応することにより、前記第一配向層と前記第二配向層上には配向区域の所定の配向方向と対応する配向方向を有する配向層が形成される。
【0014】
本発明は液晶表示装置の製造方法を更に提供する。該液晶表示装置の製造方法であって、
TFTマトリックス基板とCF基板を提供し、前記TFTマトリックス基板の第一電極層上に偏光反応材料を塗布することにより第一配向層を形成し、前記CF基板の第二電極層上に偏光反応材料を塗布することにより第二配向層を形成するステップと、
前記第一配向層と前記第二配向層を少なくとも一個の区域に分けるステップであって、各区域は複数個の配向区域を含み、前記第一配向層と前記第二配向層の所定の配向区域の所定の配向方向は互いに垂直であるステップと、
前記第一配向層と前記第二配向層の各配向区域に偏光方向が異なる線形偏光をそれぞれ照射するステップであって、前記各配向区域に照射する線形偏光の偏光方向と前記配向方向とが対応することにより、前記第一配向層と前記第二配向層上に各配向区域の所定の配向方向に対応する配向方向を有する配向層を形成するステップと、
前記TFTマトリックス基板上の第一電極とCF基板上の第二電極に電気を入れることにより、液晶部の液晶分子の配向を実施するステップと、
ブラックマトリックスを前記TFTマトリックス基板上に設けるステップと、
フォトスペーサーを前記TFTマトリックス基板上に設けるステップとを含む。
【0015】
本発明の実施例において、ブラックマトリックスをTFTマトリックス基板の鈍化層上に設けるか、或いはTFTマトリックス基板のガラス基板上、ゲートラインの下に設けるか、或いはTFTマトリックス基板のガラス基板上、ゲートラインの両側に設けるか、或いはTFTマトリックス基板のカラーフィルタ層とデータラインとの間に設ける。
【0016】
本発明の実施例において、前記フォトスペーサーを前記ブラックマトリックス上に設けるか或いは前記TFTマトリックス基板の鈍化層上に設ける。
【0017】
本発明の実施例において、前記TFTマトリックス基板上に偏光反応材料を塗布することにより第一配向層を形成する前、前記TFTマトリックス基板の絶縁層と鈍化層との間にカラーフィルタ層を設けるステップを更に含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、次のような発明の効果を奏することができる。
第一に、本発明の実施例において、偏光方向が異なる線形偏光をTFTマトリックス基板の第一配向層とCF基板の第二配向層の各配向区域に照射することにより、所定の配向方向を有する配向層を形成することができ、特に、画素電極を加工する必要がないので、従来の画素電極によって明暗ラインが形成されることを防止し、光線の透過率を向上させることができる。
第二に、本発明の実施例において、第一配向層の各区域の各配向区域の所定の配向方向と第二配向層の各区域の各配向区域の所定の配向方向を自由に設けることができるので、液晶部の各画素構造の4個の区域の配向を自由に制御し、広視野角下の色偏差を改善することができる。
第三に、TFTマトリックス基板上にブラックマトリックスが設けられていることにより、TFTマトリックス基板とCF基板の位置がずれるとき画素区域の開口率が低下する問題を防止することができる。
第四に、フォトスペーサーがTFTマトリックス基板上に設けられることにより、TFTマトリックス基板とCF基板の位置がずれるとき画素区域に明暗ラインが形成されることを防止することができる。
また、本発明の実施例において、カラーフィルタ層がTFTマトリックス基板上に設けられることにより、液晶部(液晶層)の上表面と下表面の平坦化を実現し、配向の効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の実施例または従来の技術の事項をより詳細に説明するため、以下、本発明の実施例または従来の技術に採用される図面を簡単に説明する。下記図面は本発明の一部分の実施例にしか過ぎないものであるため、本技術分野の技術者は本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計の変更等をすることができる。
図1】従来の技術のPSVAモードの液晶表示装置が常用する画素電極を示す図である。
図2図1の画素電極に電圧を印加するとき液晶の移動を示す図である。
図3】本発明の一実施例に係る液晶表示装置の画素構造を示す図である。
図4】本発明の一実施例に係る液晶表示装置において、図3のA−A線に沿う断面を示す図である。
図5】本発明の第一実施例に係る液晶表示装置の配向原理を説明するためTFTマトリックス基板の区域を示す図である。
図6】本発明の第一実施例に係る液晶表示装置の配向原理を説明するためCF基板の区域を示す図である。
図7】本発明の第一実施例に係る液晶表示装置の配向原理を説明するためCF基板の区域に対して偏光を照射することを示す図である。
図8】本発明の第一実施例に係る液晶表示装置の配向原理を説明するため液晶配向結果を示す図である。
図9】本発明の第二実施例に係る液晶表示装置の配向原理を説明するためTFTマトリックス基板の区域を示す図である。
図10】本発明の第二実施例に係る液晶表示装置の配向原理を説明するためCF基板の区域を示す図である。
図11】本発明の第二実施例に係る液晶表示装置の配向原理を説明するため液晶配向結果を示す図である。
図12】本発明の第三実施例に係る液晶表示装置の配向原理を説明するためTFTマトリックス基板の区域を示す図である。
図13】本発明の第三実施例に係る液晶表示装置の配向原理を説明するためCF基板の区域を示す図である。
図14】本発明の第三実施例に係る液晶表示装置の配向原理を説明するため液晶配向結果を示す図である。
図15】本発明の他の実施例に係る液晶表示装置を示す断面図である。
図16】本発明の他の実施例に係る液晶表示装置を示す断面図である。
図17】本発明の液晶表示装置の製造方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面により本発明の各実施例を説明し、下記実施例は本発明を実施することができる好適な実施例である。本発明に記載される方向用語、例えば、「上」、「下」、「前」、「左」、「右」、「内」、「外」及び「側面」などは、添付図面上の方向を示すものである。すなわち、これらの方向用語は、本発明を説明するものであるが、本発明を限定するものではない。
【0021】
図3図4は、本発明の実施例に係る液晶表示装置の構造を示す図である。該液晶表示装置は、
第一電極層15及び該第一電極層15を覆う第一配向層19を具備するTFTマトリックス基板1であって、その上にはブラックマトリックス(Black Matrix)22とフォトスペーサー(Photo Spacer)30が更に設けられているTFTマトリックス基板1と、
第二電極層24及び該第二電極層24を覆う第二配向層29を具備するCF(Color Filter、カラーフィルタ)基板2と、
TFTマトリックス基板1の第一配向層19とCF基板2の第二配向層29との間に配置される液晶層3とを含む。
前記第一配向層19と第二配向層29はいずれも、少なくとも一個の区域に分けられ、各区域は複数個の配向区域に分けられ、第一配向層19と第二配向層29の所定の配向区域の所定の配向方向は互いに垂直である。
第一配向層19と第二配向層29の各配向区域に偏光方向が異なる線形偏光をそれぞれ照射するとき、各配向区域に照射する線形偏光の偏光方向と配向方向とが対応することにより、第一配向層19と第二配向層29上には配向区域の所定の配向方向と対応する配向方向を有する配向層が形成される。
【0022】
以下、具体的な実施例により前記第一配向層と第二配向層の配向の原理と過程について説明する。
【0023】
図5図8には本発明の第一実施例が示されている。該実施例において、図5に示すとおり、TFTマトリックス基板1の第一配向層は複数個の区域10に分けられ、各区域10は複数個の配向区域100を含む。図5において、各区域10は2本の垂直の分離線によって4個の配向区域100に分けられる(図面には1個の区域10が4個の配向に分けられることが示されているが、これは本発明の例示にしか過ぎないものである)。各区域10には所定の配向方向が設けられ(図面の矢印を参照)、1つの区域10において、少なくとも2個の配向区域100の所定の配向方向は異なっている。左側の2個の配向区域100の所定の配向方向は上に向かい、右側の2個の配向区域100の所定の配向方向は下に向かう。
【0024】
同様に、図6に示すとおり、CF基板2の第二配向層は複数個の区域20に分けられ、各区域20は複数個の配向区域200を含む。図6において、各区域20は2本の垂直の分離線によって4個の配向区域200に分けられる。各区域20には所定の配向方向が設けられ(図面の矢印を参照)、1つの区域20において、少なくとも2個の配向区域200の所定の配向方向は異なっている。上側の2個の配向区域200の所定の配向方向は右に向かい、下側の2個の配向区域100の所定の配向方向は左に向かう。
【0025】
第一配向層の各配向区域100と第二配向層の各配向区域200の所定の配向方向は互いに垂直である。
【0026】
図7は、線形偏光によって基板を照射することを示す図である。本実施例において、線形偏光として紫外線(UV)を採用する。図7は、紫外線によって図6中のCF基板2の第二配向層の1つの区域20の下側配向区域200を照射することを示す図である。図面において、矢印の方向は線形偏光の照射方向を示し、矢印上の黒色の横線は線形偏光の偏光方向を示す。本実施例において、線形偏光の偏光方向と第二配向層の区域20の下側配向区域200の所定の配向方向とが合う(例えば、同一)ようにすることにより、線形偏光の照射を実施し、前記配向区域200に所定の配向方向の配向層を形成することができる。
【0027】
同様に、偏光方向が異なる線形偏光を第二配向層の各区域20の他の配向区域200に照射することにより、第二配向層上に所定の配向方向の配向層を形成することができる。また、線形偏光によって第一配向層の各区域10の各配向区域100を照射することにより、第一配向層上に所定の配向方向の配向層を形成することができる。
【0028】
図8は、本発明の第一実施例に係る液晶表示装置の液晶配向構造を示す図である。配向層が形成された後、TFTマトリックス基板上の第一電極とCF基板上の第二電極に給電することにより、液晶部の液晶分子の配向を実施することができる。第一配向層の各配向区域100と第二配向層の各配向区域200の所定の配向方向が垂直であり、第一配向層と第二配向層の作用により、液晶部の各配向区域の液晶分子を移動させ、液晶分子の配向を実施することができる。図8は、図5図6の1つの区域の液晶分子の配向を示す図である。第三象限の液晶分子とX軸との間にa度の角度が形成され、第一象限の液晶分子とX軸との間に−a度の角度が形成され、第二象限の液晶分子とX軸との間に(a−180)度の角度が形成され、第四象限の液晶分子とX軸との間に(180−a)度の角度が形成されることにより、広視野角下の色偏差を改善することができる。他の区域の液晶分子の配向もこれに類似している。
【0029】
図9図11には本発明の第二実施例が示されている。該実施例における、TFTマトリックス基板1の第一配向層の1つの区域10において、上側の2個の配向区域100の所定の配向方向は下に向かい、下側の2個の配向区域100の所定の配向方向は上に向かう。CF基板2の第二配向層の所定の区域20において、右側の2個の配向区域200の所定の配向方向は左に向かい、左側の2個の配向区域100の所定の配向方向は右に向かう。液晶表示装置の所定の区域の液晶分子の配向が終わると、液晶分子はいずれも画素の中央に向かい(図11を参照)、第一象限の液晶分子とX軸との間にはc度の角度が形成される。
【0030】
図12図14には本発明の第三実施例が示されている。該実施例における、TFTマトリックス基板1の第一配向層の1つの区域10において、右側の2個の配向区域100の所定の配向方向は右に向かい、左側の2個の配向区域100の所定の配向方向は左に向かう。CF基板2の第二配向層の所定の区域20において、上側の2個の配向区域200の所定の配向方向は上に向かい、下側の2個の配向区域100の所定の配向方向は下に向かう。液晶表示装置の所定の区域の液晶分子の配向が終わると、液晶分子はいずれも画素の中央から離れる方向になり(図14を参照)、第一象限の液晶分子とX軸との間にはb度の角度が形成される。
【0031】
注意されたいことは、上述した3つの実施例は本発明の例示にしか過ぎないものである。本発明の他の実施例において、実施の需要により第一配向層の各区域の各配向区域の所定の配向方向を調節することができる。また、対応する第二配向層上の配向区域の所定の配向方向も適度に調節することができる。
【0032】
本発明の一実施例において、第一電極層15は画素電極層であり、第二電極層24は共用電極層である。配向層の各区域のサイズはTFTマトリックス基板1の画素構造のサイズ及び位置に対応する。
【0033】
以下、本発明の液晶表示装置の構造について具体的に説明する。図3図4に示すとおり、前記TFTマトリックス基板1は、ガラス基板11と、該ガラス基板11上に形成されたゲート線13及び共用電極14とを更に含む。その(ゲート線13と共用電極14の)上には絶縁層16が設けられ、ゲート線13の真上に位置する絶縁層16上には半導体層17が更に設けられ、半導体層17にはドレインとソースを形成するためのデータライン12が設けられ、データライン12上には一層の鈍化層180が設けられ、鈍化層180上には画素電極15が形成され、画素電極15上には第一配向層19が設けられている。
【0034】
液晶部(液晶層)の上表面と下表面の平坦化を実現するため、カラーフィルタ層18をTFTマトリックス基板1の絶縁層16と鈍化層180との間に設ける必要がある。
【0035】
CF基板2は、具体的に、ガラス基板21と該ガラス基板21上に形成された共用電極層24とを更に含む。第二配向層29は共用電極層24上に設けられる。
【0036】
液晶層3は、具体的に、液晶分子(図示せず)とフォトスペーサー30を含む。
【0037】
本発明において、TFTマトリックス基板1とCF基板2の位置がずれることにより画素区域の開口率が低下する問題を防止するため、TFTマトリックス基板上にブラックマトリックス22を設ける。
【0038】
図4に示すとおり、本実施例において、ブラックマトリックス22はTFTマトリックス基板1の鈍化層180上に設けられ、CF基板2上にはブラックマトリックスが設けられていない。
【0039】
図15は本発明の他の実施例に係る液晶表示装置を示す断面図である。本実施例と図4に示された実施例の相違点は、本実施例のブラックマトリックス22がTFTマトリックス基板1のガラス基板1上、ゲートライン13の下に設けられることである。CF基板2上にはブラックマトリックスが設けられていない。本実施例の他の構造は、図4に示された実施例の構造と一致しており、図4の説明を参照することができるので、ここでは再び説明しない。
【0040】
図16は本発明の他の実施例に係る液晶表示装置を示す断面図である。本実施例と図4に示された実施例の相違点は、本実施例のブラックマトリックス22がTFTマトリックス基板1のガラス基板1上、ゲートライン13の両側に設けられることである。CF基板2上にはブラックマトリックスが設けられていない。本実施例の他の構造は、図4に示された実施例の構造と一致しており、図4の説明を参照することができるので、ここでは再び説明しない。
【0041】
他の実施例において、実際に需要によりブラックマトリックス22をTFTマトリックス基板1の他の位置に設けることもできる。例えば、ブラックマトリックス22をTFTマトリックス基板1上のカラーフィルタ層18とデータライン12との間に設けることができる。これが設けられる位置について、上述した説明を参照することができ、かつ同一の効果を奏することができるので、ここでは再び説明しない。
【0042】
図4図15及び図16を参照すると、本発明のTFTマトリックス基板1上にフォトスペーサー(Photo Spacer)30を更に設けることができる。具体的に、図4において、フォトスペーサー30をブラックマトリックス22上に設け、図15図16において、フォトスペーサー30を鈍化層180上に設けることができる。フォトスペーサー(Photo Spacer)30をTFTマトリックス基板1上に設ける目的は、TFTマトリックス基板1とCF基板2の位置がずれることによって画素区域に明暗ライン(disclination line)が形成されることを防止するためである。フォトスペーサー30の高さが高いことにより、この付近に位置する液晶部の平坦化に悪い影響を与えるおそれがある。通常、フォトスペーサー30を表示区域から所定の距離離れている箇所に設けることができるが、フォトスペーサー30がCF基板2上に設けられ、かつCF基板2とTFTマトリックス基板1の位置がずれるとき、フォトスペーサー30がTFTマトリックス基板1の表示区域に入ることによって配向が悪くなるおそれがある(暗いラインは液晶の配向が悪いことによって形成されるものである)。フォトスペーサー30はCF基板2に当接するか或いは所定の距離離れることができる。
【0043】
上述した配向の形成原理、過程及び液晶表示装置の構造に基づいて、本発明は該液晶表示装置の製造方法を更に提供する。図17は本発明の一実施例に係る該液晶表示装置の製造方法を示す流れ図であり、本実施例の製造方法は次のステップを含む。
【0044】
ステップS10において、TFTマトリックス基板とCF基板を提供する。TFTマトリックス基板の第一電極層上に偏光反応材料を塗布することにより第一配向層を形成し、CF基板の第二電極層上に偏光反応材料を塗布することにより第二配向層を形成する。
【0045】
ステップS11において、第一配向層と第二配向層を少なくとも一個の区域に分ける。各区域は複数個の配向区域を含み、第一配向層と第二配向層の所定の配向区域の所定の配向方向は互いに垂直である。
【0046】
ステップS12において、第一配向層と第二配向層の各配向区域に偏光方向が異なる線形偏光をそれぞれ照射する。各配向区域に照射する線形偏光の偏光方向と配向方向とが対応することにより、第一配向層と第二配向層上に各配向区域の所定の配向方向に対応する配向方向を有する配向層を形成する。
【0047】
ステップS13において、TFTマトリックス基板上の第一電極とCF基板上の第二電極に給電することにより、液晶部の液晶分子の配向を実施する。
【0048】
ステップS14において、ブラックマトリックスをTFTマトリックス基板上に設ける。
【0049】
ステップS15において、フォトスペーサーをTFTマトリックス基板上に設ける。
【0050】
具体的に、ステップS14において、ブラックマトリックスをTFTマトリックス基板の鈍化層上に設けるか、或いはTFTマトリックス基板のガラス基板上、ゲートラインの下に設けるか、或いはTFTマトリックス基板のガラス基板上、ゲートラインの両側に設けるか、或いはTFTマトリックス基板の他の位置、例えばTFTマトリックス基板上のカラーフィルタ層とデータラインとの間に設けることができる。
【0051】
ステップS15において、フォトスペーサーをブラックマトリックス上に設けるか或いはTFTマトリックス基板の鈍化層上に設けることができる。
【0052】
注意されたいことは、本発明の製造方法は、TFTマトリックス基板上に偏光反応材料を塗布することにより第一配向層を形成する前、行われるステップを更に含む。
すなわち、TFTマトリックス基板の絶縁層と鈍化層との間にカラーフィルタ層を設けるステップを更に含む。本発明は、カラーフィルタ層をTFTマトリックス基板内に設けることにより、液晶部の上表面と下表面の平坦化を実現し、ステップS13においてより良い配向の効果を奏することができる。
【0053】
本発明の一実施例において、第一電極層15は画素電極層であり、第二電極層24は共用電極層である。配向層の各区域のサイズはTFTマトリックス基板1の画素構造のサイズ及び位置に対応する。
【0054】
第一配向層と第二配向層の配向の形成原理及び過程について、図5〜14の説明を参照することができるので、ここでは再び説明しない。
【0055】
本発明により、次のような発明の効果を奏することができる。
第一に、本発明の実施例において、偏光方向が異なる線形偏光をTFTマトリックス基板の第一配向層とCF基板の第二配向層の各配向区域に照射することにより、所定の配向方向を有する配向層を形成することができ、特に、画素電極を加工する必要がないので、従来の画素電極によって明暗ラインが形成されることを防止し、光線の透過率を向上させることができる。
第二に、本発明の実施例において、第一配向層の各区域の各配向区域の所定の配向方向と第二配向層の各区域の各配向区域の所定の配向方向を自由に設けることができるので、液晶部の各画素構造の4個の区域の配向を自由に制御し、広視野角下の色偏差を改善することができる。
第三に、TFTマトリックス基板上にブラックマトリックスが設けられていることにより、TFTマトリックス基板とCF基板の位置がずれるとき画素区域の開口率が低下する問題を防止することができる。
第四に、フォトスペーサーがTFTマトリックス基板上に設けられることにより、TFTマトリックス基板とCF基板の位置がずれるとき画素区域に明暗ラインが形成されることを防止することができる。
また、本発明の実施例において、カラーフィルタ層がTFTマトリックス基板上に設けられることにより、液晶部(液晶層)の上表面と下表面の平坦化を実現し、配向の効果を向上させることができる。
【0056】
以上、本発明の好適な実施例を詳述してきたが、本発明の構成は上記の実施例に限定されるものではない。本技術分野の当業者は本発明の要旨を逸脱しない範囲内で設計の変換等を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17