(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
電気及び電子装置を制御するためのネットワークシステム、プロトコル及び方法を提供する。スイッチを建造物の電力系統内の固定配線から解放する利点は多岐にわたる。例えば、家具の配置、部屋の使用形態、及び入居者の好みの変化に従ってスイッチを容易に移動できると同時に、配線及び再配線の費用及び混乱を低減又は回避することができる。さらに、複数の場所及び複数のコントローラから照明及び器具などの電気及び電子装置を制御することができる。建造物の固定配線計画を変更することなく、電気及び電子装置の制御方法を変更することもできる。
【0012】
開示するプロトコル及び方法を用いて、様々な電気及び電子装置を制御するネットワークシステムを容易に実装することができる。例えば、ネットワークシステムは、照明器具、家電製品(例えば、食洗機、レンジ、洗濯機、ドライヤー、サーモスタット、空調装置、排水ポンプ、並びに電動式ヒータ及び暖炉)、娯楽及び生産性装置(例えば、テレビ、メディアプレーヤ、コンピュータ及びオーディオシステム)、セキュリティ装置(例えば、警報システム及びビデオ監視装置)、及び/又はその他のあらゆるタイプの電動装置又は機器を制御することができる。本明細書では、このような装置及び機器を「ターゲット装置」と呼ぶことができる。また、本明細書では、アダプタに結合されたターゲット装置を「被制御装置」と呼ぶことができる。
【0013】
図1は、いくつかの実施形態による、ターゲット装置を制御するネットワークシステム100の概略図である。ネットワークシステム100は、1又は2以上の初期化/制御(「I/C」)装置110、スイッチ120、被制御装置130、及びブリッジ160を含むことができる。ネットワークシステム100は、例えば、住居建築物又は商業建築物、テント又はトレーラなどのあらゆる好適な固定構造又は可動構造内に設置することができる。本明細書では、I/C装置110、スイッチ120、被制御装置130の一部とすることができるアダプタ及びブリッジ160を、「ネットワークコンポーネント」と呼ぶことができる。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、I/C装置110は、ネットワークシステム100において二重機能の役割を果たすことができる。第1に、I/C装置110は、ネットワークシステム100の全てのコンポーネント(例えば、スイッチ120、被制御装置130内のアダプタ、ブリッジ160、及び他のI/C装置110)を構成するために使用することができる。これらのシステムコンポーネントの構成については、以下で
図5及び
図9に関して詳細に説明する。しかしながら、一般的に言えば、ユーザは、1又は2以上のI/C装置110上で実行中のコンピュータプログラムと相互作用して、どのスイッチ120がどの被制御装置130を制御するかを定めたり、被制御装置130の自動スケジュール動作を定めたりなどの、所望のシステム機能を定めることができる。
【0015】
第2に、I/C装置110は、様々なシステムコンポーネントの全部又は一部を制御するシステムコントローラとして使用することができる。従って、ユーザは、I/C装置110にインストールされたコンピュータプログラムと相互作用して、個々のスイッチ120及び/又は個々の被制御装置130を制御することができる。いくつかの実施形態では、ユーザが、コンピュータプログラムによって提供されるユーザインターフェイスと相互作用して、選択されたスイッチ120及び/又は個々の被制御装置130にコマンドを送信することができる。I/C装置110は、ネットワークシステム100内に存在する1又は複数の被制御装置のタイプに適した様々な制御機能の制御を容易にすることができる。
【0016】
I/C装置110として使用できる電子装置の例としては、スイッチ120及び被制御装置130と通信するあらゆる好適なタイプの電子装置を挙げることができる。例えば、I/C装置110としては、デジタルメディアプレーヤ、携帯電話機、スマートフォン、ポケットサイズパーソナルコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、タブレット、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、及び/又は他のいずれかの好適な電子装置を挙げることができる。
【0017】
I/C装置110とスイッチ120及び/又は被制御装置130との間の通信は、Wi−Fi(登録商標)(例えば、802.11プロトコル)、イーサネット(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、無線周波数システム(例えば、900MHz、2.4GHz及び5.6GHz通信システム)、セルラーネットワーク(例えば、GSM(登録商標)、AMPS、GPRS、CDMA、EV−DO、EDGE、3GSM、DECT、IS−136/TDMA、iDen、LTE、又は他のいずれかの好適なセルラーネットワーク又はプロトコル)、赤外線、TCP/IP(例えば、各TCP/IPレイヤで使用されるプロトコルのうちのいずれか)、その他の比較的局所化された無線通信プロトコル、又はこれらの組み合わせなどの、本明細書で説明するプロトコル及び/又は他のいずれかの好適な有線又は無線インターフェイスを介して実行することができる。いくつかの実施形態では、有線パスと無線パスの組み合わせを介して通信を行うことができる。以下で
図5〜
図7に関してさらに詳細に説明するように、I/C装置110は、スイッチ120及び被制御装置130と直接的に通信することも、或いは、例えばWi−Fi(登録商標)ルータなどの中間装置を介して間接的に通信することもできる。本明細書では、通信の実行に使用する1又は複数の特定の通信モードに関わらず、I/C装置110、スイッチ120、被制御装置130及びブリッジ160内に設けられる通信コンポーネントを「トランシーバ」と呼ぶことができる。
【0018】
ネットワークシステム100内には、ユーザ入力を検知して、この入力を1又は2以上の被制御装置130が実行する制御信号に変換するスイッチ120を設けることができる。制御信号は、スイッチのトランシーバを介して送信することができる。特定のスイッチによって生成される(単複の)制御信号のタイプは、このスイッチが制御するように構成された被制御装置に依存することができる。最も単純な例では、スイッチを、1又は2以上の被制御装置130の状態を切り替える(例えば、オン又はオフにする)ように構成することができる。従って、いくつかの実施形態では、スイッチ120が、1又は2以上の照明をオン及びオフに切り替えるように構成された1又は2以上の壁取り付け照明スイッチを含むことができる。スイッチ120は、例えば、照明調光器、ファンのコントローラ、サーモスタットのコントローラ、電気器具のコントローラ、及び/又は娯楽システムのコントローラなどのさらに複雑なスイッチを含むこともできる。これらのさらに複雑なスイッチは、物理制御要素(例えば、ダイヤル、スライダ及び/又はボタン)及び/又は仮想制御要素(例えば、オンスクリーンユーザインターフェイス要素)を利用して、1又は2以上の特定の被制御装置130に向けた制御信号を生成することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、スイッチ120が、構造物の固定高電圧電力系統の外部の、例えばバッテリなどの1又は2以上の電源によって給電を受けることができる。構造物の電力系統からスイッチ120を物理的に分離すると、しばしば移動が非常に困難なこれらの物理的コンポーネントを構造物全体にわたってあらゆる便利な場所に配置できるという利点が得られる。さらに、ネットワークシステム100にさらなるスイッチを追加する際には、このさらなるスイッチをネットワークシステム100の範囲内に配置して、1又は2以上の被制御装置130を制御するように構成しさえすればよい。
【0020】
構造物の既存の電力系統内に既に配線接続されている既存のスイッチは、建造物の電力系統によって給電を受け続けながら被制御装置130を制御するように構成することができると理解されたい。このような配線接続されたスイッチには、スイッチ120、被制御装置130、ブリッジ160及びI/C装置110間の通信を容易にするトランシーバを組み込むことができる。これらの実施形態では、従来の配線接続されているスイッチ機能を迂回してスイッチに一定の非切り替え電力を供給するために、被制御装置130及びスイッチ120の配線をわずかに変更するだけでよい。
【0021】
被制御装置130は、ターゲット装置及びアダプタという2つの主要コンポーネントを含むことができる。上述したように、ターゲット装置は、制御可能ないずれかの好適な電気又は電子装置とすることができる。アダプタは、I/C装置110及び/又はスイッチ120によって生成された制御信号を受け取って実行する様々なコンポーネントを含むことができる。例えば、アダプタは、I/C装置110及び/又はスイッチ120からの制御信号及び/又は初期化信号を受け取るトランシーバ、中央プロセッサ、メモリ、アンテナ、回線電源スイッチ及び/又は調光回路、1又は2以上のセンサ(例えば、熱センサ、動きセンサ)、複雑な制御コマンド(例えば、速度制御、動き制御、又はその他の複雑なコマンド)を実行する制御出力インターフェイスのうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。
【0022】
アダプタのメモリには、様々なアダプタ設定及び動作を定める命令を記憶することができる。例えば、これら命令は、アダプタがどのI/C装置110及び/又はスイッチ120に応答すべきか、自動制御スケジュール、及び/又はその他の動作を定めることができる。以下で
図5及び
図9に関して詳細に説明するように、これらの命令は、初期化処理中にアダプタのメモリにロードすることができる。
【0023】
ブリッジ160は、ネットワークシステム100にリモートインターフェイスを提供して、ネットワークの様々なネットワークコンポーネントの遠隔操作を可能にすることができる。このようにして、たとえI/C装置110が範囲外に存在する場合でも、集中コントローラを必要とせずにネットワークシステム100にアクセスして制御することができる。ブリッジ160は、例えばスイッチ120及び被制御装置130のようなさらに別のネットワークコンポーネントとして構成することもできるので、ネットワークシステム100の遠隔制御に集中コントローラは不要である。従って、ブリッジ160は、ゲートウェイ又は中央アクセスポイントとしてではなく、ネットワークのネットワークコンポーネントとしてネットワークシステム100へのアクセスを提供することができる。
【0024】
従って、ブリッジ160は、ネットワークシステム100と遠隔サーバとの間でメッセージを中継するように構成された低コストで単純な装置とすることができる。一般的に言えば、ブリッジ160は、たとえ遠隔装置がネットワークシステム100の範囲外に存在している間でも、様々な構成されたネットワークコンポーネントの現在の状態を遠隔装置を介して遠隔的に見えるようにし、遠隔サーバ及びブリッジ160を介して、1又は2以上のネットワークコンポーネントの状態をモニタ及び/又は変更するコマンドをネットワークシステム100に発行し、及び/又は一連のネットワークコンポーネントに一連のコマンドを送信することができる。ブリッジ160を介してネットワークシステム100にアクセスする際に(例えば、ネットワークセキュリティを促すために)認められないことがある機能の例としては、ネットワークコンポーネントの追加、削除又は認証、ユーザ名、パスワード又はセキュリティキーの更新、ネットワークコンポーネントのMACアドレスの取得、及びネットワークコンポーネントグループ又はシーンの作成又は修正を挙げることができる。一般に、シーンは、1又は2以上の被制御装置130の予め設定された制御設定(例えば、午前6時にキッチンの全ての照明とコーヒーメーカーをオンにし、午後8時にリビングルームの全ての照明を落とし、午後5時にオーブンを予熱してステレオをオンにすること)として理解することができる。
【0025】
ブリッジ160は、ネットワークのために設定されたプロトコルを用いて他の全てのネットワーク間の通信を可能にするトランシーバを含むことができる。ブリッジ160は、このトランシーバを介して、例えば、各ネットワークコンポーネントのアドレス及びその機能(例えば、コンポーネントがスイッチであるか、それとも被制御装置であるか、特定のコンポーネントが他のどのコンポーネントを制御し、又はどのコンポーネントに応答するか、など)を含め、ネットワーク100の全てのネットワークコンポーネントを見通すことができる。また、ブリッジ160は、例えば、上述したインターフェイスのうちの1つ又は2つ以上などの有線又は無線インターフェイスを用いて外部ネットワーク(例えば、インターネット)を介して遠隔サーバに接続することができ、又は接続可能とすることができる。
【0026】
この結果、遠隔装置が遠隔サーバに接続して、ブリッジ160を介してネットワークシステム100にアクセスすることができる。遠隔装置が遠隔サーバに接続すると、遠隔サーバを通じて、ネットワークシステム100に向けられたコマンドをブリッジ160のインターフェイスに中継することができる。ブリッジ160は、初期化処理中にネットワークシステム100に固定されるので、ブリッジ160のためのさらなるセキュリティは不要とすることができる。遠隔サーバは、当業で周知の認証手順(例えば、パスワード、二要素認証など)を用いて不正アクセスから保護することができる。ブリッジ160は、遠隔サーバとの通信を容易にするルータに接続するように構成することができ、この構成では、遠隔サーバにログインするためのセキュリティ証明書をブリッジに与えることができる。
【0027】
ブリッジ160は、中央プロセッサと、ネットワークシステム100における役割を定めることができる命令を記憶するメモリとをさらに含むことができる。例えば、これらの命令は、遠隔装置がネットワークシステム100の他のネットワークコンポーネントにアクセスできるようにするインターフェイスを定めることができる。従って、メモリは、例えば、どのスイッチ120がどの被制御装置130を制御するように構成されているかなどの様々なネットワークコンポーネント間の関係を含むデータベースを記憶して、スイッチ120及び被制御装置130の動作を可能にすることができる。命令は、初期化処理中にアダプタのメモリにロードすることができる。
【0028】
インターフェイスは、遠隔装置がブリッジ160を介してネットワークシステム100にアクセスするのを許可することができる。しかしながら、ネットワークのセキュリティを維持するために、インターフェイスの機能は、初期化処理中に予め定めた情報へのアクセスのみに限定することもできる。このようにして、遠隔ユーザは、遠隔サーバを通じてブリッジ160に接続し、ブリッジ160のデータベースに記憶されている構成データに従ってスイッチ120及び/又は被制御装置130を操作することができる。すなわち、ネットワークシステムのネットワークコンポーネントを遠隔的に制御できるようにする一方で、遠隔ユーザがブリッジ160を用いてネットワークシステム100の構成を変更するのを防ぐことができる。ブリッジ160は、初期化処理中に、ネットワークを構成する権限を有するアカウント所有者によって構成することができ、動作のためにはネットワークの範囲内に存在しなければならないので、装置が別個のセキュリティアクセスを有したり、或いはネットワークのセキュリティキーを与えられる必要はない。従って、ネットワークシステム100への遠隔アクセスは、遠隔アクセスを容易にするために集中コントローラ又は別の非ネットワークコンポーネント装置を必要とするシステムよりもはるかに安価かつ容易に可能にすることができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、ブリッジ160が、ネットワークシステム100の他のネットワークコンポーネントとの通信を容易にするトランシーバ(例えば、Bluetooth(登録商標)トランシーバ)と、例えばインターネットなどの外部ネットワークを介して遠隔サーバと通信することができる別個の装置(例えば、PC、タブレット又はラップトップコンピュータ)への通信インターフェイスとを含むことができる。1つの特定の例として、ブリッジ160を、例えば家庭用コンピュータなどのインターネット接続装置に接続できるユニバーサルシリアルバス(「USB」)「ドングル」として実装することができる。これらの実施形態では、別のネットワーク接続装置を用いて遠隔サービスに容易に接続できるので、ブリッジ160を比較的安価に製造できるという利点が得られる。しかしながら、遠隔サーバへのアクセスを維持するには、このネットワーク接続装置の電源をオンに保ち、外部ネットワークに接続したままにしておかなければならない。別の例では、ブリッジ160が、別個の装置との通信を容易にする第2のトランシーバ(例えば、Bluetooth(登録商標)トランシーバ)を含むことができる。
【0030】
別の実装では、ブリッジ160が、他のネットワークコンポーネントと通信するためのトランシーバ、及び外部ネットワークを介して遠隔サーバに接続する有線又は無線インターフェイスの両方を含むことができる。従って、ネットワークシステム100への遠隔アクセスは、別個のネットワーク接続装置の利用可能性に依存しなくてもよい。1つの例として、ブリッジ160を、Bluetooth(登録商標)トランシーバを介してネットワークシステム100の他のネットワークコンポーネントと通信し、Wi−Fi(登録商標)接続又は他の好適なインターネットへの有線又は無線ネットワーク接続(例えば、イーサネット(登録商標)、3G又は4G LTE接続)を介して遠隔サーバと通信するスタンドアロン型装置とすることができる。ブリッジ160がWi−Fi(登録商標)通信を行える場合には、I/C装置110を用いてWi−Fi(登録商標)接続を構成することができる。例えば、ブリッジ160は、利用可能なWi−Fi(登録商標)ネットワークのリストを認識し、(例えば、トランシーバを用いて)このリストをI/C装置110に提供し、I/C装置110から認証情報(例えば、パスワード)を受け取ることによって選択したWi−Fi(登録商標)ネットワークに接続することができる。
【0031】
さらなる実装では、例えば、(以下で詳細に開示する)1又は2以上のスイッチ120又はアダプタ140、或いは汎用ゲートウェイ装置のうちの1つなどのネットワーク100の既存のネットワークコンポーネントを、ブリッジ160の機能を実行するように構成することもできる。これらの実施形態では、遠隔装置がネットワークシステム100にアクセスして制御するのを許可するインターフェイスを提供するために、既存のネットワークコンポーネントにソフトウェア又はファームウェアをインストールすることができる。その後、ブリッジ機能を実装したネットワークコンポーネントは、ネットワークシステム100の通信プロトコル、又は別の好適な有線又は無線通信プロトコル(例えば、Wi−Fi(登録商標))のいずれかを用いて、例えば汎用ゲートウェイ又はルータなどの、外部ネットワークを介して遠隔サーバに接続する有線又は無線インターフェイスを有する装置と通信することができる。
【0032】
図2は、いくつかの実施形態による、被制御装置130の概略図である。被制御装置130は、(
図3にさらに詳細に示す)1又は2以上の電力/制御線136によってアダプタ140に結合されたターゲット装置132を含むことができる。アダプタ140は、ネットワークシステム(例えば、
図1のネットワークシステム100)における信号の送信及び/又は受信に関与することができるアンテナ142と、ターゲット装置132に向けられた制御信号を実行する電力/制御ユニット144とを含むことができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、アダプタ140のアンテナ142、並びにプロセッサ及びメモリなどの他の低電圧コンポーネントを、電力/制御ユニット144に収容された高電圧コンポーネントと別個に収容することができる。アンテナ142を高電圧コンポーネントと別個に収容すると、ターゲット装置132、電力/制御ユニット144、電力/制御線136、及び/又は被制御装置130の他のいずれかの高電圧コンポーネントによって生じるRF干渉に起因する信号劣化を防ぐことができる。さらに、高電圧コンポーネントは、ターゲット装置132に適したサイズ及び形状を有する器具134内に配置することができる。例えば、ターゲット装置が埋め込み型照明である場合、器具134は、器具134の外部に位置するアンテナ142を干渉から保護できる缶体とすることができる。被制御装置130の高電圧コンポーネントを器具134内に収容すると、例えば電気的安全性の保証、視覚的隠蔽の改善及び利便性に役立つことができる。
【0034】
電力/制御ユニット144は、アンテナ142において受け取られた制御信号を実行する中央プロセッサを含むことができる。中央プロセッサは、例えばソフトウェア及び/又はファームウェア命令の実行に基づいて動作を行うように構成されたマイクロプロセッサ、或いは様々な動作を行うように構成されたASICなどのいずれかの好適な処理装置とすることができる。中央プロセッサによって行われる動作は、電力/制御ユニット144のメモリとの間におけるデータの読み出し及び/又は書き込みを含むことができる。例えば、中央プロセッサは、初期化処理中に、アドレス、どの制御信号を実装すべきかのうちの1つ又は2つ以上に関する命令、及び/又は被制御装置130の自動的に実行されるスケジューリング命令を受け取ることができる。動作中、中央プロセッサは、ターゲット装置132の制御機能を実行するために、メモリに記憶された情報にアクセスすることができる。
【0035】
アダプタ140は、アンテナ142において受け取られた信号を再送して、ネットワークシステムがピアツーピア、多対多の制御システムとして動作できるようにすることができる。すなわち、アダプタ140(及びネットワークシステム100の他の全てのネットワークコンポーネント)は、単にアンテナ142において受け取られた制御信号を実行する他に、受け取った制御信号をネットワークシステムの他のコンポーネント(例えば、他のスイッチ、アダプタ及びブリッジ)に再ブロードキャストすることもできる。このようにして、ネットワークシステムは、Bluetooth(登録商標)プロトコルで使用される信号のような比較的短距離の無線信号を用いて動作することができる。
【0036】
電力/制御ユニット144は、ターゲット装置132の単純な電力制御機能を実行する物理回路を含むことができる。例えば、ターゲット装置132が照明である場合、電力/制御ユニット144は、ターゲット装置132のオン/オフ及び調光制御をそれぞれ容易にする回線電力スイッチ及び/又は調光回路を含むことができる。さらに複雑なターゲット装置では、電力/制御ユニット144が、色、ファン速度、動作モードの変更などのさらに複雑な制御コマンドを実行する制御出力インターフェイスを含むことができる。いくつかの実施形態では、電力/制御ユニット144を、多くの異なるタイプのターゲット装置を制御できる汎用コントローラとすることができる。しかしながら、他の実施形態では、結合されているターゲット装置132に利用できるタイプの制御機能のみを特異的に実行する専用の電力/制御ユニット144を設けることもできる。
【0037】
図3は、いくつかの実施形態によるアダプタ140の概略図である。上述したように、中央プロセッサ145及びメモリ146は、アンテナ142と共に、電力/制御ユニット144とは別個に収容することができる。しかしながら、他の実施形態では、アンテナ142のハウジングに小型のフォームファクタを与えるために、中央プロセッサ145及び/又はメモリ146を電力/制御ユニット144内に制御回路と共に収容することもできる。
【0038】
ターゲット装置(例えば、
図2のターゲット装置132)のための電力信号及び制御信号は、電力/制御ユニット144内で生成し、電力/制御線136を介してターゲット装置132に送信することができる。電力/制御線136は、電力/制御ユニット144からターゲット装置に制御信号を運ぶための1又は2以上の制御線136aと、電力/制御ユニット144からターゲット装置にAC電力を運ぶためのAC出力線136bと、構造物の固定電気配線システムからAC電力を受け取るためのAC入力線136cと、AC共通(中立)線136dとを含むことができる。電力/制御ユニット144内には、AC出力線136bを介して供給される平均電力を変化させることによって単純なオン/オフ又は調光制御を実装することができる。さらに複雑な制御コマンドは、中央プロセッサ145によって生成し、制御線136aを介してターゲット装置の制御インターフェイスに運ぶことができる。ターゲット装置の利用可能な制御機能を実行するために、あらゆる好適な数の個々の制御線136aを設けることができる。
【0039】
図4A〜
図4Cは、いくつかの実施形態による、例示的なネットワークスイッチ120のそれぞれ断面平面図、正面平面図及び背面平面図である。スイッチ120は、ハウジング122と、入力センサ124と、バッテリ126と、通信ユニット128とを含むことができる。スイッチ120は、アダプタ140と同様に、ネットワークシステム(例えば、
図1のネットワークシステム100)内の他のコンポーネントに制御信号を送信、受信及び/又は再送するための、通信ユニット128内に収容できるアンテナを備えることができる。
【0040】
いくつかの動作モードでは、スイッチ120が、入力センサ124においてユーザ入力を受け取ったことに応答した時点などの最初の時点に制御信号を生成することができる。入力センサ124は、例えば、単極スイッチ、双極スイッチ、多方向スイッチ、タッチ感知式スイッチ(例えば、タッチ感知式容量又は抵抗センサ)、調光器、ダイヤル又はスライダなどの、ユーザ入力を検知できるあらゆるタイプの装置とすることができる。入力センサ124は、被制御装置130などの他のネットワーク装置に制御信号を供給するための仮想インターフェイス要素(例えば、仮想ボタン、スライダ、ダイヤルなど)を有するタッチセンサ式ディスプレイ画面として具体化することもできる。スイッチ120によって生成される制御信号は、ネットワークシステム100内の特定のアダプタ140にアドレス指定することができるが、このような信号は、範囲内の他の全てのスイッチ及びアダプタにブロードキャストすることもできる。この時、これらの他のスイッチ及びアダプタは、制御信号を実行することも、制御信号を無視することも、及び/又は制御信号をネットワークシステム100のさらなるコンポーネントに再送することもできる。
【0041】
他の動作モードでは、スイッチ120が、ネットワークシステム100の他のコンポーネントによって生成された制御信号を受動的に受け取り、この制御信号を範囲内の他のスイッチ120及びアダプタ140に再送することができる。従って、たとえネットワークシステム100が、いずれかの個々のネットワークコンポーネントによって送信された無線信号の範囲を超えて拡大した場合でも、最初のコンポーネントにおいて生成された制御信号は、最初の送信及びその後の再送を通じてネットワークシステム100内の他の全てのコンポーネントに到達することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、例えばI/C装置110、遠隔装置(例えば、ブリッジ160を介して)及び/又は他のスイッチなどの、ネットワークシステム100の別のコンポーネントを介してスイッチ120を制御することができる。ユーザにとっては、特にスイッチが複数の被制御装置130を制御するように構成されている場合には、個々のアダプタ140を制御するよりも個々のスイッチを(例えば、I/C装置110を用いて)制御する方が大幅に便利になり得る。従って、スイッチ120は、単に制御信号を生成して再送することに加え、ネットワークシステム100の他のコンポーネントから受け取られる制御信号を受け取って実行することもできる。
【0043】
スイッチ120は、構造物の固定電気配線システムの外部の電源による給電を受けることができ、従ってスイッチ120の設置又は移動は、コストが高く破壊的な建築作業を伴わずに容易に行うことができる。外部電源は、例えばバッテリ126などのバッテリとすることができる。
【0044】
しかしながら、いくつかの実施形態では、構造物の固定電気配線システム内に既に配線接続されている既存のスイッチに通信ユニット128を組み込んで、このようなスイッチとネットワークシステム100の他のコンポーネントとの通信を可能にすることもできる。これらの実施形態では、スイッチ120が使用する制御機構を、対応する被制御装置130を制御するように修正するために、スイッチ120及び被制御装置130の配線をわずかに変更するだけでよい。例えば、機械的スイッチ要素による回路の開閉を可能にすることなく、通信ユニット128に定電力が流れるように単極照明スイッチを配線し直せばよい。むしろ、機械的スイッチ要素は、ネットワークシステム100の他のネットワークコンポーネントに送信する信号を通信ユニット128に送信するように構成することができる。
【0045】
通信ユニット128は、中央プロセッサ、メモリ及びトランシーバを含むことができる。これらのコンポーネントは、構造及び機能がアダプタ140の対応するコンポーネントに実質的に類似することができる。しかしながら、スイッチ120には被制御装置130の高電圧コンポーネントが存在しないので、トランシーバを他のスイッチコンポーネントと共に収容しても有害なRF干渉に遭遇することはないと考えられる。
【0046】
本明細書で開示するネットワークシステム、方法及びプロトコルには、学習モード、動作モード、遠隔モード及びコマンド転送モードという少なくとも4つの主要モードが存在する。これらの主要モードのうちの1つ又は2つ以上は、ネットワークシステムへの不正アクセスを防ぐためにパスワード保護することができる。
図5は、学習モード500の絵図である。ユーザアカウントが確立され、ユーザがネットワークシステム(例えば、
図1のネットワークシステム100)にアクセスして構成及び制御を行えるようになった後に、ユーザは、学習モード500を開始することができる。
【0047】
学習モード500では、ユーザが、I/C装置(例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット、又はスマートフォンなどの、
図1のI/C装置110のうちの1つ)にインストールされたコンピュータプログラムを用いてネットワークシステムの1又は2以上の所望の構成を定め、ネットワークシステムの各コンポーネント(例えば、I/C装置110、スイッチ120及び被制御装置130)にその役割を学習させることができる。学習モード500は、Bluetooth(登録商標)のマスタ/スレーブ通信セッションを介した、又は類似する通信プロトコルを用いた、I/C装置と構成対象のネットワークコンポーネントとの間の装置間通信セッションを利用することができる。
【0048】
I/C装置に正しいネットワークコンポーネントが接続されて学習の準備が整うことを確実にするために、ネットワークシステム内の各スイッチ及びアダプタは、装置間通信セッションにおいて正しいネットワークコンポーネントが接続されていることをユーザが確認できるようにするインジケータ(例えば、視覚及び/又は可聴信号)を有することができる。いくつかの実施形態では、以下の仕様に従って点滅するLEDの形で例示的な視覚信号を出力することができる。
【0049】
スイッチの仕様
学習モード500は、ネットワークシステムの各スイッチのアドレスを設定するために、以下のTeach_IDプロトコルを利用することができる。
表1:スイッチID学習サービス
【0050】
このスイッチID学習サービスを用いて、ネットワークシステムに1又は2以上のスイッチ(例えば、
図1のスイッチ120)を追加することができる。このサービスは、「未要求の」、すなわち未だネットワークシステムの一部として構成されていないスイッチに対して行うことができる。スイッチは、上記の表にTeach_Ids_Rq_P1特性として示すネットワークシステムのアドレスをネットワークコンポーネントのメモリに書き込むことによってネットワークシステムに関連付けることができる。その後、構成するネットワークコンポーネントに、ネットワークシステム内でスイッチをアドレス指定するための一意の装置IDを割り当てることができる。装置IDは、ネットワークシステムにネットワークコンポーネントが追加された時に、各ネットワークコンポーネントに連続的に、無作為に又は別様に割り当てることができる。いくつかの実施形態では、ユーザがスイッチの装置IDを手動で定めることができ、このことは、ネットワークコンポーネントを構成する前にネットワークシステムの制御動作を定める状況において有用となり得る。
【0051】
任意に、ネットワークシステムは、1又は2以上のパスワード保護レベルを有するように構成することができる。具体的には、ネットワークシステムの1又は2以上のコンポーネントは、管理者(admin)パスワード及び1又は2以上のユーザパスワードによって保護することができる。管理者パスワードを有するユーザには、ネットワークシステム構成の全ての態様を規定又は変更する完全な権利を与えることができるのに対し、個人的ユーザ権利しか有していないユーザは、これよりも制限することができる。例えば、管理者は、新たなネットワークコンポーネントを追加して構成することや、ネットワークシステムからネットワークコンポーネントを削除することや、ネットワークコンポーネントをリセットすることや、ネットワークシステム診断を実行することなどを行う権利を有することができるのに対し、個人ユーザには、特定のスイッチに対応する(単複の)被制御装置の追加又は構成を行う権利のみを与えることができる。さらに、異なるユーザには、ネットワークシステムの態様を規定又は変更するための異なるレベルの権利を認めることができる。ユーザ及び/又は管理者パスワードは、スイッチID学習サービス中に提供して、スイッチID学習サービスを実行しているユーザが望ましい行動を取るための正しいクレデンシャルを有することを確実にすることができる。
【0052】
スイッチが追加されると、以下のTeach Targetプロトコルを用いて、ネットワークシステムにおけるその役割を定めることができる。
表2:Target学習サービス
【0053】
Target学習サービスは、ネットワークシステムに追加された、又はネットワークシステムによって要求された(すなわち、ネットワークコンポーネントのロケーションIDがネットワークシステムに対して正しく定められている)いずれかのスイッチに対して実行することができる。具体的には、Target学習サービスを用いて、スイッチがどの(単複の)被制御装置を制御できるかを定めることができる。従って、ユーザは、Target学習サービス中に、特定の被制御装置の装置IDとして、又は一群の被制御装置に割り当てられるグループIDとしてTeach_Target_Rq特性を定めることができる。その後、Target学習サービスは、Type Flagを設定し、このフラグが、アドレスが装置IDであることを示すか、それともグループIDであることを示すかに基づいて正しいアドレスを解決することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、スイッチを、ジェスチャに基づく入力を受け取るように構成することができる。以下の表に、スイッチ(例えば、
図4A〜
図4Cのスイッチ120)に入力を行うための一連の例示的なジェスチャを示す。
表3:例示的なスイッチジェスチャ定義
【0055】
この結果、ユーザは、I/C装置110のうちの1つとスイッチ120の各々との間の装置間通信セッションを開始することができる。通信セッション中には、定められた(単複の)構成に基づいて、各スイッチ120に、ネットワークシステムにおける識別に使用するアドレスを割り当てることができる。各スイッチ120には、他のどのネットワークコンポーネント(例えば、I/C装置110、ブリッジ160及び/又はスイッチ120)を制御すべきかを、例えばネットワークシステム内のこれらのコンポーネントのアドレスに基づいて学習させることもできる。いくつかの実施形態では、同様のサービスを用いて、時間に基づくオン/オフ切り替え動作などの自動スケジュール動作をスイッチ120に学習させることもできる。
【0056】
アダプタの仕様
学習モード500は、ネットワークシステムの各アダプタのアドレスを設定するために以下のTeach_IDプロトコルを利用することができる。
表4:アダプタID学習サービス
【0057】
このアダプタID学習サービスを用いて、ネットワークシステムに1又は2以上のアダプタ(例えば、
図2のアダプタ140)を追加することができる。このサービスは、「未要求の」、すなわち未だネットワークシステムの一部として構成されていないアダプタに対して行うことができる。アダプタは、上記の表にAdaptor_Teach_Ids_Rq特性として示すネットワークシステムのアドレスをネットワークコンポーネントのメモリに書き込むことによってネットワークシステムに関連付けることができる。その後、構成するネットワークコンポーネントに、ネットワークシステム内でアダプタをアドレス指定するための一意の装置IDを割り当てることができる。スイッチの装置IDの割り当てと同様に、アダプタの装置IDも、ネットワークシステムにネットワークコンポーネントが追加された時に、各ネットワークコンポーネントに連続的に、無作為に又は別様に割り当てることができる。いくつかの実施形態では、ユーザがアダプタの装置IDを手動で定めることができ、このことは、ネットワークコンポーネントを構成する前にネットワークシステムの制御動作を定める状況において有用となり得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、アダプタID学習サービスを用いて、アダプタに要求コードを割り当てることができる。この要求コードは、ネットワークシステムから削除するアダプタを識別するために使用する識別子とすることができる。
【0059】
スイッチと同様に、個々のアダプタもパスワードで保護することができる。適用可能なパスワードは、ネットワークコンポーネントにアクセスしようと試みるユーザを認証できるようにアダプタのメモリに保存することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、アダプタをグループ化して、単一のスイッチに複数の被制御装置(例えば、1つの室内の複数の照明)を制御させることが望ましい状況を可能にすることができる。1又は2以上の被制御装置を(例えば、三路スイッチとして動作する)2又は3以上のスイッチによって制御させることが望ましい場合にも、スイッチに対して同様のサービスを行うことができる。
表5:グループID学習サービス
【0061】
学習モード500では、グループID学習サービスを用いて、アダプタをグループIDに関連付けることができる。ユーザは、Teach_Ids_Rq_P2特性を用いて、2又は3以上のネットワークコンポーネントのグループIDを定めることができる。いくつかの実施形態では、グローバルId特性が存在しないこともあり、従って装置ID特性に共用アドレスを読み込むことによって複数のネットワークコンポーネントをグループ化することができる。
【0062】
学習モード500では、ユーザが、ネットワークシステム内の各アダプタの自動動作を定めることもできる。以下の2つの表に示す例示的な学習可能な動作は、日時の設定、日々のタイミング動作、及びこれらのタイミング動作をユーザが在宅中であるか、それとも外出中であるかによって異ならせるかどうかなどの、アダプタ動作の制御、並びに、例えばオン/オフ命令、カラーバランス及び調光命令を含む制御仕様を含むことができる。
表6:アダプタ時刻設定サービス
表7:アダプタスケジュール学習サービス
表8:在宅及び外出学習サービス
【0063】
この結果、ユーザは、被制御装置130の各々との装置間通信セッションを開始することができる。通信セッション中には、定められた(単複の)構成に基づいて、各被制御装置130に、ネットワークシステムにおける識別に使用するアドレスを割り当てることができる。いくつかの実施形態では、各被制御装置130に、他のどのネットワークコンポーネント(例えば、I/C装置110、ブリッジ160及び/又はスイッチ120)に応答すべきかを、例えばネットワークシステム内のこれらのコンポーネントのアドレスに基づいて学習させることもできる。さらに、各被制御装置130には、時間に基づくオン/オフ、カラーバランス及び調光動作などの自動スケジュール動作を学習させることもできる。
【0064】
いくつかの実施形態では、いずれかのスイッチ又は被制御装置をネットワークに追加する前に、ネットワークシステムの1又は2以上の所望の構成を定めることができる。例えば、ユーザは、I/C装置を用いて、ネットワークシステムの一部となることが予想されるネットワークコンポーネントのアドレス及び制御動作を定めることによってネットワーク構成を設定することができる。従って、ユーザは、ネットワークシステムが最初に15個のスイッチと10個の被制御装置とを含むことが分かっている場合、(1)各スイッチ及び各被制御装置のアドレスを定め、(2)どの1又は複数のスイッチに対応すべきかを被制御装置毎に定め、(3)どの1又は複数の被制御装置を制御すべきかをスイッチ毎に定めることができる。その後、I/C装置は、特定のネットワークコンポーネントの装置間通信セッション中に、被制御装置の装置ID/グループIDが既に確立されているかどうかに関わらず、Id学習サービス及びTarget学習サービスを両方同時に実行することができる。従って、I/C装置とネットワークシステム内の他の各ネットワークコンポーネントとの間の装置間通信セッションを確立し、その間に(例えば、Id学習サービスを介して)アドレス、(例えば、Target学習サービスを介して)他のどのネットワークコンポーネントを制御すべきか、及び自動的にスケジュールされた制御動作などの他の様々な動作を各ネットワークコンポーネントが「学習する」ようにすることができる。
【0065】
ユーザは、各1又は2以上のブリッジ160との装置間通信セッションを開始することもできる。通信セッション中には、定められた(単複の)構成に基づいて、各ブリッジ160に、ネットワークシステムにおける識別に使用するアドレスを割り当てることができる。ブリッジ160は、例えばスイッチ120と被制御装置130との間のマッピングを含むことができる、ネットワークシステム100の構成を含むデータベースを記憶することもできる。
【0066】
学習モード中には、さらなるI/C装置110を、1又は2以上のネットワークコンポーネントを制御するように構成することができる。I/C装置の各々は、ネットワークシステム内のネットワークコンポーネントの全部又は一部を制御することができる。1つの特定の例では、構造物内に居住するスマートフォンを持った子どもに対し、スマートフォンを用いて自分の部屋の照明を制御することは許可するものの、スマートフォンを用いて、例えばオーブン、レンジ、電気自動車の充電器、食洗機、或いはかまど、排水ポンプ又は給湯器などの他の重要なシステムコンポーネントを制御することを制限することができる。
【0067】
図6は、いくつかの実施形態による動作モード600の絵図である。ネットワークシステムは、各ネットワークコンポーネントにネットワークシステム内での役割を学習させた後、動作モード600に入ることができる。動作モードは、I/C装置、集中コントローラ、Wi−Fi(登録商標)ネットワーク又はインターネット接続の存在又は不在に関わらず、スイッチとアダプタが互いに通信できる自律状態とすることができる。例えば、スイッチ120は、被制御装置130のオン/オフ切り替え、調光、速度変更、動作優先順位の調整、又は他の制御機能の実行を行うための制御信号を生成してアダプタ140に送信することができる。なお、スイッチ120及びアダプタ140は、I/C装置110が存在せずに通信することができるが、これらの装置は、個々のアダプタ、一群のアダプタ、個々のスイッチ又は一群のスイッチに制御信号を送信することもできる。
【0068】
図7Aは、いくつかの実施形態による遠隔モード700Aの絵図である。遠隔モード700Aは、学習モード500及び/又は動作モード600の別の実装を表すことができる。遠隔モード700Aでは、例えばホームルータなどのインターネット接続装置が、インターネット又はその他のソースを介して受け取った制御信号を、スイッチ120及びアダプタ140のための制御信号を生成できる送信機によって送信される無線コマンドに変換することができる。このようにして、学習モード500及び動作モード600を遠隔位置から制御することができる。
【0069】
図7Bは、いくつかの実施形態による遠隔モード700Bの絵図である。遠隔モード700Bでは、遠隔装置(例えば、遠隔サーバ162と通信できるI/C装置110又は他のいずれかの電子装置)が遠隔サーバ162、インターネットなどの外部ネットワーク及びブリッジ160を介してネットワークシステム100に遠隔的にアクセスすることができる。学習モード500中にネットワークシステム100のネットワークコンポーネントとして構成できるブリッジ160は、ネットワークシステム100の他のネットワークコンポーネントと通信するトランシーバと、外部ネットワークへの有線又は無線インターフェイスとを有するスタンドアロン型装置として、或いは、例えばPCなどの中間のネットワーク接続装置を介して外部ネットワークに接続できる「ドングル」タイプの装置として実装することができる。いずれの場合にも、I/C装置110又は他のいずれかの好適なネットワーク接続装置は、ネットワークシステム100の様々なネットワークコンポーネントを制御するために遠隔サーバ162を介してブリッジ160に接続することができる。
【0070】
図8は、いくつかの実施形態によるコマンド転送モード800の絵図である。スイッチ120及びアダプタ140は、学習モード500、動作モード600、遠隔モード700A又は遠隔モード700B中に、制御信号又はその他のメッセージを再送して、直接的な装置間通信の範囲から外れていたはずのコンポーネントにコマンドが到達できるようにすることにより、1つのネットワークコンポーネントから別のネットワークコンポーネントに制御信号を転送することができる。この転送は、単純にメッセージを再ブロードキャストすることによって行われ、個々のスイッチ120又はアダプタ140を具体的にアドレス指定する必要性、又は個々のスイッチ120又はアダプタ140との双方向通信セッションを確立する必要性をなくすことができる。
【0071】
図9は、いくつかの実施形態による、ネットワークシステムの例示的な学習モード実装処理900のフローチャートである。処理900は、ステップ901から開始し、少なくとも1つのI/C装置(例えば、
図1のI/C装置110のうちの少なくとも1つ)、少なくとも1つのスイッチ(例えば、
図1のスイッチ120のうちの少なくとも1つ)、及び少なくとも1つの被制御装置(例えば、
図1の被制御装置130のうちの少なくとも1つ)を含むネットワークコンポーネントを有するネットワークシステム(例えば、ネットワークシステム100)を準備することができる。I/C装置は、本明細書に開示するプロトコル又は他のいずれかの好適な有線又は無線通信プロトコルを用いて、(単複の)スイッチ及び(単複の)被制御装置と通信できるあらゆるタイプのコンピュータ装置を含むことができる。これらのスイッチは、1又は2以上の被制御装置の動作を制御するようにI/C装置によって制御することができる。被制御装置は、アダプタ(例えば、
図2のアダプタ140)に通信可能に結合されたいずれかの好適な制御可能装置を含むことができる。
【0072】
ステップ903において、ネットワークコンポーネントの所望の制御動作を定めることができる。所望の制御動作を定めるステップは、ネットワークシステムに追加すべきアダプタとスイッチとの間のマッピングを構築するステップを含むことができる。例えば、ユーザは、I/C装置を用いて、ネットワークシステムに追加すべき各スイッチ及び各被制御装置のアドレス、各アダプタがどの1又は複数のスイッチに応答するかについてのマッピング、各スイッチがどの1又は複数の被制御装置を制御すべきかについてのマッピングのうちの少なくとも1つを定めることによってネットワーク構成を設定することができる。ステップ903は、このステップが任意であることを示すように破線で示している。具体的には、ネットワークコンポーネントを構成する前にネットワークシステムの所望の制御動作が定められていない実施形態では、処理900は、ステップ901から直接ステップ905に進むことができる。
【0073】
ステップ905において、ネットワークコンポーネントとI/C装置との間のマスタ/スレーブ通信セッション中に、各ネットワークコンポーネントにネットワークシステム内のアドレスを学習させることができる。各ネットワークコンポーネントにそのアドレスを学習させるステップは、(例えば、スイッチID学習サービス及びアダプタID学習サービスを用いて)I/C装置とネットワークシステム内の各スイッチ及びアダプタとの間の装置間通信セッションを確立するステップと、ネットワークコンポーネントにネットワークシステムのロケーションIDを関連付けるステップと、ネットワークコンポーネントに一意のアドレスを割り当てるステップとを含むことができる。
【0074】
ステップ907において、各スイッチに、どの(単複の)被制御装置(すなわち、ターゲット)を制御すべきかを学習させることができる。ステップ907は、例えば上述したTarget学習サービスを用いて行うことができる。いくつかの実施形態では、アダプタにも、(例えば、1又は2以上のスイッチからの制御を実行するようにアダプタに指示するTarget学習サービスと同様のサービスを用いて)どの(単複の)スイッチの制御信号を実行すべきかを学習させることができる。
図5に関して上述したように、ターゲットは、単一のアダプタとして(すなわち、装置IDを用いて)、又は一群のアダプタに対して(すなわち、グループIDを用いて)定めることができる。
【0075】
ステップ909において、各アダプタにグループIDを学習させることができる。アダプタには、例えば上述したグループID学習サービスを用いてグループIDを学習させることができる。ステップ909は、このステップが任意であることを示すように破線で示している。例えば、被制御装置のグループが定められていない場合、ステップ909は省略することができる。
【0076】
ステップ911において、各アダプタに、1又は2以上のスケジュール動作を学習させることができる。スケジュール動作は、上述したアダプタ時刻設定サービス、アダプタスケジュール学習サービス及び在宅/外出学習サービスを用いて学習させることができる。ステップ909は、このステップが任意であることを示すように破線で示している。例えば、スケジュール動作が定められていない場合、ステップ909は省略することができる。いくつかの実施形態では、上述したアダプタの動作をスケジュールするサービスと同様のサービスを用いて1又は2以上のスイッチにスケジュール動作を学習させることもできる。
【0077】
図10は、いくつかの実施形態による、ネットワークシステムの例示的な動作処理1000のフローチャートである。処理1000は、ステップ1001から開始し、I/C装置、スイッチ及び被制御装置を含むネットワークコンポーネントを有するネットワークシステム(例えば、
図1のネットワークシステム100、I/C装置110、スイッチ120及び被制御装置130)を準備することができる。いくつかの実施形態では、
図9の処理900を用いてネットワークシステムを構成することができる。
【0078】
ステップ1003において、ネットワークシステムの全てのネットワークコンポーネントに制御信号をブロードキャストすることができる。制御信号は、例えば1つのスイッチ又は1つのI/C装置から送信することができ、(例えば、装置IDを用いて)被制御装置のアダプタ又は(例えば、グループIDを用いて)一群のアダプタにアドレス指定することができる。いくつかの好ましい実施形態では、例えばBluetooth(登録商標)などの短距離無線通信プロトコルを用いて、I/C装置又はスイッチのトランシーバから制御信号を送信することができる。これらの実施形態では、たとえ最初に1又は2以上のネットワークコンポーネントが制御信号の発信元であるI/C装置又はスイッチの通信範囲外に存在する場合でも、制御信号がネットワークシステムの全てのネットワークコンポーネントに伝搬できるように、ネットワークシステムの各ネットワークコンポーネントが制御信号を受け取って再送することができる。このようにして、集中コントローラを必要とせずにネットワークシステムの制御を行うことができる。
【0079】
ステップ1005において、制御信号のアドレス指定先である少なくとも1つの被制御装置が制御信号を実行することができる。制御信号が単一のアダプタにアドレス指定されている場合、このアドレス指定されたアダプタがその関連するターゲット装置を介して制御信号を受け取って実行することができる。一方で、制御信号が一群のアダプタにアドレス指定されている場合には、各アダプタがその関連ターゲット装置を介して制御信号を受け取って実行することができる。
【0080】
図11は、いくつかの実施形態による、例示的なブリッジ構成処理1100のフローチャートである。ステップ1101において、ネットワークコンポーネントは、ネットワークシステムのブリッジとして機能するための構成命令を受け取ることができる。
図1に関して上述したように、ブリッジ(例えば、ブリッジ160)は、ネットワークシステムの既存のネットワークコンポーネント(例えば、ネットワークシステム100のスイッチ120又はアダプタ140)、外部ネットワークに接続された装置(例えば、インターネットに通信可能に結合されたデスクトップコンピュータ)を通じて遠隔サーバと通信できるドングルタイプの装置、或いはネットワークシステムの通信プロトコルを介して他のネットワークコンポーネントと通信できるとともに、別個の通信インターフェイス(例えば、ホームルータへのWi−Fi(登録商標)接続)を介して外部ネットワークとも通信できるスタンドアロン型コンポーネントとすることができる。
【0081】
ブリッジを構成する初期化処理は、上述した初期化/制御装置を用いてネットワークシステムの他のネットワークコンポーネントを初期化するために使用する処理に類似することができる。従って、ブリッジは、ネットワークシステムの他のネットワークコンポーネントにアクセスして制御信号を送受信することができ、これによってブリッジに通信可能に結合された遠隔装置がネットワークコンポーネントを遠隔的に制御できるようにすることができる。一方で、ブリッジの初期化処理は、外部ネットワークへの利用可能な接続をスキャンする要求をブリッジにおいて受け取るステップと、外部ネットワーク及び/又は遠隔サーバにアクセスするために必要となり得るいずれかの認証クレデンシャルをブリッジに提供するステップとを含むこともできる。これらの追加ステップは、ブリッジをネットワークシステムのネットワークコンポーネントとして構成するために使用する初期化/制御装置などの初期化/制御装置を用いて実行することができる。
【0082】
ステップ1103において、ブリッジは、外部ネットワークへの利用可能な接続をスキャンすることができる。ブリッジがWi−Fi(登録商標)通信インターフェイスを備えている実施形態では、利用可能なWi−Fi(登録商標)ネットワークをスキャンできるWi−Fi(登録商標)エンドポイントにブリッジを割り当てることができる。所望のWi−Fi(登録商標)ネットワークが選択されると、ブリッジは、必要に応じて、Wi−Fi(登録商標)ネットワークに接続するための認証クレデンシャルを受け取ることができる。ブリッジがEthernet接続などの有線接続を備えている実施形態では、追加認証を伴わずに外部ネットワークへの接続を利用することができる。同様に、ブリッジが、外部ネットワークへの接続が確立されている別の装置と通信するドングルタイプの装置として具体化されている場合、ブリッジ装置は、外部ネットワークに接続するための追加認証を必要としなくてもよく、従ってネットワークシステムのネットワークコンポーネントとして構成されるだけでよい。
【0083】
ステップ1105において、ブリッジは、外部ネットワークを介して遠隔サーバに接続することができる。遠隔サーバは、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又は、例えばスイッチ120及びアダプタ140を含むハードウェアなどのネットワークシステム100の1又は2以上のコンポーネントを提供する実体によって運営されるサーバとすることができる。この結果、遠隔サーバは、サーバに通信可能に接続された正しい認証クレデンシャルを有するいずれかの電子装置によるアクセスを受けることができる。
【0084】
ステップ1107において、ブリッジは、外部ネットワーク及び遠隔サーバを介して遠隔装置と通信することができる。正しく認証された遠隔装置が遠隔サーバに接続すると、ブリッジは、ネットワークシステムの様々なネットワークコンポーネントの状態を表して1又は2以上のネットワークコンポーネントの操作を容易にすることができるインターフェイスを(遠隔サーバを通じて)遠隔装置に提供することができる。この結果、遠隔装置は、このインターフェイスを表示し、ネットワークシステムの1又は2以上のネットワークコンポーネントを動作させるコマンドを受け取って遠隔サーバを介してブリッジ装置に転送することができる。
【0085】
いくつかの実施形態によれば、ネットワークシステム100内のネットワークコンポーネントが、新規の通信プロトコルを用いて互いに通信することができる。このプロトコルは、標準的なBluetooth(登録商標)プロトコルのコンポーネントを組み込み、このコンポーネントの上部に構築され、又はこのコンポーネントを別様に利用することができる。Bluetooth(登録商標)プロトコルの少なくとも一部を用いたネットワークシステム100のコンポーネント間の通信の実行は、既にBluetooth(登録商標)トランシーバを備えている装置(例えば、I/C装置110)が至る所に存在し、スイッチ120及びアダプタ140において使用される個々のBluetooth(登録商標)トランシーバは安価で広く入手可能であるため有利となり得る。
【0086】
装置間通信は、現在の動作モードに応じて異なるBluetooth(登録商標)通信モードを使用することができる。例えば、学習モード500では、I/C装置110が、各コンポーネントにネットワークシステム100における役割をさらに「学習させる」ために、各スイッチ120及びアダプタ140とのマスタ/スレーブ通信セッションを開始することができる。
【0087】
各コンポーネントが学習すると、ピアツーピア構成でBluetooth(登録商標)ブロードキャストメッセージを用いて実行コマンド(例えば、制御信号)を通信することができる。従って、各ネットワークコンポーネントは、全てのメッセージを受け取ることができるが、特定のコンポーネントは、自機にアドレス指定されたメッセージしかリスンして実行することができない。Bluetooth(登録商標)ブロードキャストメッセージを用いてネットワークシステム100内のコンポーネント間でメッセージを搬送すると、ネットワークシステムの集中コントローラを必要せずに複雑な緊急動作を行うことができる。さらに、ネットワークコンポーネントがそれぞれの役割を学習したら、特定の装置間メッセージは不要である。
【0088】
ブロードキャストメッセージは、非常に素早く送信することができ、複数の装置にわたる場合であってもほぼ瞬間的なコマンド送信が可能である。さらに、ネットワーク内では全ての要素がピアであるため、あらゆる数の装置がスイッチ及びアダプタとして機能することができる。ネットワーク内での役割は、これらの本来の設計よりもむしろ、学習した役割によって定めることができる。この方法は、干渉を引き起こし又はバッテリ寿命を縮める可能性のある過度の無駄なネットワークトラフィックを伴わずに現行のBluetooth(登録商標)仕様内で機能しながら、高性能な多対多のネットワーク形成を可能にすることができる。
【0089】
本開示の新規のプロトコルの例示的な実施形態に関する詳細については、付属書1〜3に見出すことができる。
【0090】
図12は、いくつかの実施形態による、ソフトウェア同期クロックを提供する高レベル概略図である。ソフトウェア同期クロックは、AC電力線信号1236を入力として受け取り、電力/制御ユニット1244によって使用されるクロック出力1260を生成することができる。米国では、住宅用顧客及び商業用顧客に分配する電力の発電に60Hzの周波数が使用されている。この60Hz信号を電力/制御ユニット1244において受け取り、このユニットにインストールされたソフトウェアを用いてクロック出力1260に変換することができる。その後、電力/制御ユニット144は、自動スケジュールの実装などのタイミング依存用途にクロック出力1260を使用することができる。
【0091】
図13は、いくつかの実施形態による、例示的なソフトウェア同期クロック提供処理1300のフローチャートである。処理1300は、ステップ1301から開始し、電力/制御ユニット(例えば、
図2の電力/制御ユニット144又は
図12の電力/制御ユニット1244)を1又は2以上の電力制御線(例えば、
図2の電力/制御線136)に結合することができる。
【0092】
ステップ1303において、電力/制御ユニットは、1又は2以上の電力/制御線を介してAC電力信号を受け取ることができる。このAC信号は、US標準の60Hz、又は他のいずれかの好適な配電周波数で動作することができる。
【0093】
ステップ1305において、電力/制御ユニットは、ACサイクル数をカウントすることができる。例えば、AC信号のピーク(又は他のいずれかの定期的に生じる部分)が検出される度に、ソフトウェア又はファームウェアで実装された1又は2以上のカウンタを増分することができる。各カウンタを用いて、(例えば、電力/制御ユニットによって制御される照明を自動的にオン/オフに切り替えたり、このような照明を規定の間隔で点滅させたり、又はサーモスタットなどの複雑な電化製品のための複雑な時間制御機能を実行したりなどの)異なる目的で時間を記録することができる。
【0094】
ステップ1307において、電力/制御ユニットは、カウントしたACサイクルに基づいてソフトウェア同期クロック出力を生成することができる。いくつかの実施形態では、このクロック出力を、電力/制御ユニットが複雑なタイミング用途のために参照できるリアルタイムクロックとすることができる(又はリアルタイムクロックを含むことができる)。他の実施形態では、電力/制御ユニットが、1又は2以上のカウンタを単純に参照して、2つの基準点間の経過時間を決定することができる。従って、電力/制御ユニットによって制御される照明が、規定の期間後に自動的にオフになるように設定されている場合、この照明は、カウンタがこの期間に関連する値に達したらオフになることができる。時間とACサイクル数は、以下の方程式によって関連付けることができる。
(1)
【0095】
現在のサーモスタットは、同時に1つの部屋の温度、占有率又は湿度しか測定しないことに起因して精度に限界がある。この状況は、過剰な又は不十分な冷暖房、エネルギーの浪費、及び/又は一般的な快適性の低下を招くことが多い。上記に開示したシステムのようなピアツーピア、多対多の制御システムを用いれば、構造物の各部屋において多くのHVAC関連変数を測定できる冷暖房空調設備(HVAC)システムを設計することができる。
【0096】
図14は、いくつかの実施形態による、HVACシステムの快適性及び効率性を高めるネットワークシステム200の概略図である。ネットワークシステム200は、I/C装置210、センサ220、冷房装置230、集中冷房装置232、暖房装置240、集中暖房装置242、及びサーモスタット250を含むことができる。ネットワークシステム200の各コンポーネントは、上述したネットワークシステム100と同様のピアツーピア、多対多の制御システムにおける他のコンポーネントと通信するためのトランシーバを含むことができる。従って、例えば上記で開示した学習モード500のような初期化処理などを使用することによってネットワークシステム200の各コンポーネントが構成されると、これらのコンポーネントは、集中コントローラを必要とせずに互いに通信することができる。
【0097】
I/C装置210は、
図1のI/C装置110と多くの点で類似することができる。従って、I/C装置210を用いて、ネットワークシステム200の全てのコンポーネントを構成し、様々なシステムコンポーネントの全部又は一部を、ネットワークシステム200内に存在するコンポーネント又は装置のタイプに適するように制御することができる。
【0098】
ネットワークシステム200内には、近傍の1又は2以上の環境変数を検知するようにセンサ220を設けることができる。例えば、センサ220は、当業で周知の検知技術を用いて、温度、湿度、大気圧、占有率、光、空気流、空気品質及び騒音レベルのうちの1つ又は2つ以上を検知することができる。ネットワークシステム200の各コンポーネントは、ネットワークシステム200のコンポーネントであるという理由で、センサ220において検知されたデータをほぼ瞬時に利用することができる。従って、全てのI/C装置210、センサ220、HVACコンポーネント230、232、240及び242は、センサ220によって収集されネットワークシステム200を介して共有される履歴データに瞬時にアクセスすることができる。センサ220は、上述した単純な初期化処理を用いてネットワーク220に追加することができ、従って建造物のHVACシステムを制御する際に収集される環境示度の範囲、タイプ、精度及び細粒度を、特に単一のサーモスタット(又は1区域に1つのサーモスタット)に基づくHVACシステムを介して大幅に改善することは大げさなことではないと考えることができる。個々のHVACコンポーネント230、232、240及び242は、センサ220から収集されたデータに基づいて、快適性の最大化、エネルギー消費量の最小化、又はこれらの組み合わせを実施するための正しい温度設定をより正確に制御するように個別に制御することができる。
【0099】
システム200は、特にHVACシステムに関連するものであるが、本明細書で説明したシステム、方法及びプロトコルは、あらゆる好適なタイプの遠隔測定用途における使用に適合することができると理解されたい。例えば、構造物全体に動きセンサ、侵入センサ及び/又はカメラを設けて警報システムにおいて使用することができる。各センサは、(例えば、上述した学習モード500を用いて)他の各センサと通信するとともに、例えば警報クラクションなどの被制御装置、(例えば、ユーザや、警察又は監視会社などの第三者に通報するための)携帯又は電話機に基づく通知システム、及び/又はI/C装置とも通信するように構成することができる。
【0100】
別の例では、凍結しやすい配管上に温度センサを配置して、氷点に近づいている配管内の水の流れを制御できるアダプタにネットワークシステムのネットワークコンポーネントを介して信号を送信できるようにすることができる。
【0101】
全ての異なるタイプのセンサは、単一ネットワークシステムの一部として構成することができると理解されたい。従って、ネットワークシステム100及びネットワークシステム200は、被制御装置及びHVACを制御する単一のネットワークシステムとして構成することができる。このような複合システムには、いかなる時でも、例えば学習モード500を用いて他のあらゆるセンサ及び被制御装置を追加することができる。
【0102】
ネットワークシステム200は、局所冷房装置230(例えば、独立型空調設備、窓取り付け型空調設備又は壁取り付け型空調設備、及びミニスプリット型空調設備)、集中冷房装置232(例えば、ダクト式空調機)、局所暖房装置240(例えば、電気式室内暖房具、天然ガス式室内暖房具、プロパン式室内暖房具、灯油式室内暖房具又はウッドペレット式室内暖房具)、及び集中暖房装置242(例えば、強制温風、水循環又は蒸気循環熱供給システムを用いた暖房炉)を含む様々なHVACコンポーネントを含むことができる。各HVACコンポーネントは、I/C装置210、センサ220、他のHVACコンポーネント及び/又はサーモスタット250との通信を容易にするトランシーバを含み、又はこのようなトランシーバに別様に通信可能に結合することができる。いくつかの実施形態では、センサ220を、ネットワーク全体の快適性及び効率性を最適化するために、特定のHVACコンポーネント又は一群のHVACコンポーネントを自動調温制御するように構成することができる。ネットワークシステム100と同様に、センサ220は、外部入力を検知して別のネットワークコンポーネントに制御信号を送信する点でスイッチ120に類似することができ、HVACコンポーネント230、232、240及び242は、別のネットワークコンポーネントによって(例えば、アダプタ140などのアダプタ、又は一体的に設けられたトランシーバ及び電力/制御モジュールを用いて)供給された制御信号を受け取って実行できる点で被制御装置130に類似することができる。
【0103】
たとえ集中空調設備及び集中暖房設備を有するネットワークであっても、HVACシステムを局所暖房及び冷房装置で補ってシステムの効率を高め、及び/又は構造物全体にわたる快適性レベルをより良好に制御することは有利となり得る。例えば、住宅の1室に特に隙間風が入る場合、この部屋に局所暖房装置を配置して住居全体にわたる快適性を最大化することにより、集中暖房ユニットが、隙間風が入る部屋を快適な温度に維持するために住宅の残り部分を加熱し過ぎる必要性がなくなる。実際に、建造物内の全ての部屋(さらには部屋の一部)は、その固有の微気候を有することができ、これらの特性を理解し、HVACコンポーネントを個別に提供して制御することによって効率性及び快適性を最大化することができる。
【0104】
ネットワークシステム200は、集中冷房装置232及び集中暖房装置242、並びに局所冷房装置230、局所暖房装置240及びセンサ220を各部屋に有する形で示している。このようなシステムは、各部屋を極めて正確に冷却し加熱することができるが、このような過剰な設備は費用がかかり、邪魔になり、及び/又は温度調整の面で不要な場合もある。従って、いくつかの実施形態によれば、センサ220は、様々なタイプのHVACコンポーネントに関連する先行設置コスト及びエネルギーコストを含む、快適性及び効率性を最大化するために補助冷暖房装置(すなわち、局所冷房装置230及び局所暖房装置240)をどこに配置すべきかを判断するのに役立つデータを提供することができる。センサ220は、集中冷房装置232又は集中暖房装置242が存在しない建造物について、このようなシステムの設置がHVACによる建造物の効率的な解決策の一部になり得るかどうかを判断するのに役立つこともできる。
【0105】
説明例として、ネットワークシステム200を組み込んだ住宅は、集中冷房装置232(例えば、ダクト式集中空調設備)と、集中暖房装置242(例えば、強制温風式暖房装置)と、集中冷房装置232及び/又は集中暖房装置242のオン又はオフを切り替える信号を送信する、従来の設定点に基づくHVAC制御装置とすることができるサーモスタット250とを最初に備えることができる。センサ220は、住宅の1又は2以上の部屋での初期化処理中に、現在の様々な微環境を特定するように構成することができる。センサ220からのデータをセンサ220とサーモスタット250との間で共有して、サーモスタット250のみを用いた場合に考えられるよりも正確な温度調整を行うことができる。住宅全体にわたって複数のセンサを配置すれば、サーモスタットのみに依拠するよりも良好な指示をサーモスタット250に与えることが可能になる。従って、サーモスタットにおいて測定された単一の温度測定値に基づく住宅全体(又は住宅の区域全体)の過熱又は過冷却の問題を避けることができる。
【0106】
従って、サーモスタット250は、常に特定のセンサ(例えば、主な生活圏内のセンサ)からの入力に基づいて動作することも、異なる時点に様々な個々のセンサ(例えば、日中は主な生活圏内のセンサ、夜間は寝室のセンサ)からの入力に基づいて動作することも、或いはネットワーク内の1又は2以上のセンサの組み合わせ(例えば、ネットワーク内の各センサ又はネットワーク内のセンサの定められた一部によって読み取られた温度の平均)に基づいて動作することもできる。これらの動作モードの実行は、サーモスタット250の能力に依存することができる。例えば、サーモスタット250が従来の機械式又は電子式サーモスタットである場合、センサ220からの入力によってサーモスタット250の設定点を調整することができる。一方で、サーモスタット250は、センサ220からの様々な温度測定値を、定められた1又は複数の設定点と比較するための入力温度として使用することもできる。
【0107】
さらに、ネットワークシステム200は、集中冷房装置232及び集中暖房装置242を用いた住宅の加熱又は冷却時に、様々なセンサ220間の差異を検知することもできる。プロセッサは、収集されたデータに基づいて、住宅の1又は2以上の部屋に局所冷房装置又は暖房装置を追加することによって効率性及び/又は快適性を最適化できるかどうかを判断することができる。プロセッサは、例えばI/C装置210のうちの1つなどのネットワークシステム200のコンポーネントのうちの1つ、或いはネットワークシステム200がアクセスできる遠隔サーバ内に存在することができる。例えば、センサ220から提供されたデータの分析が、冬の間に住宅内の寝室の1つが住宅の残り部分よりも大幅に寒いことを示すことがある。従って、HVACシステムの最適化にとっては、個別に制御できる局所暖房装置をこの部屋に配置して部屋を快適にする一方で、住宅の残り部分の過熱を避けることが必要になり得る。
【0108】
センサ220によって提供されたデータを分析して、ネットワークシステム200によるサービスを受けている建造物内の快適性及び効率性を最適化するために1又は2以上の局所暖房装置又は冷房装置を供給すべきかどうかを判断するステップは、例えば、ネットワークシステム200内の各センサ220の温度測定値とネットワークシステム200内の残りのセンサの温度測定値との間の差分を広範囲の温度にわたって(例えば、全てのセンサ220又は残りのセンサによって検知された平均温度及び/又は中間温度を参照して)求めるステップと、各センサ220によって検出された湿度を、ネットワークシステム200内の他のセンサと比較するステップと、集中冷房装置232及び集中暖房装置242を補うために使用できる局所暖房装置及び/又は冷房装置にとって必要な電力定格を計算するステップと、提案した局所暖房装置及び冷房装置の先行コスト、これらの予想エネルギー使用コスト、及び特に暖かい又は寒い部屋を補うための過熱又は過冷却に関連するコストに少なくとも基づいて、集中冷房装置232及び集中暖房装置242を提案する局所暖房及び冷房装置で補うための投資利益率(ROI)を計算するステップとを含むことができる。
【0109】
いくつかの実施形態では、局所暖房装置又は冷房装置を追加せずに、ネットワークシステム200全体にわたる様々な地点における集中冷房装置232及び/又は集中暖房装置242の出力を調整することもできる。例えば、集中冷房装置232及び/又は集中暖房装置242のダクトに通じている通気口を、住宅の特定の範囲への調整空気の送出を調整するように個別に制御することができる。例えば、他のネットワークからの制御信号を受け取るように構成された、
図1のアダプタ140などのアダプタが各通気口に備わっている場合、必要に応じてこれらの通気口を開放又は閉鎖して、ネットワークシステム200によるサービスを受けている建造物全体のより良好な局所的気候制御を行うことができる。
【0110】
上述した例では、ネットワークが集中暖房装置及び冷房装置を有していたが、局所暖房装置及び冷房装置のみを有するネットワークを用いて同様の気候制御を実装することもできると理解されたい。
【0111】
ネットワークシステム200の動作中、ネットワークコンポーネントは、建造物全体の効率的なHVAC制御を行うように協働することができる。HVAC制御は、ネットワークシステム200内の利用可能なコンポーネントに依存して、(1)サーモスタット250への新たな設定点の通信、(2)無線又は有線外部ネットワーク接続を介してネットワークシステム200に接続されたエネルギー制御システムへの遠隔サーバベースのインターフェイスとの通信、(3)集中冷房装置232及び/又は集中暖房装置242の制御パネルへの直接通信、及び(4)1又は2以上の局所冷房装置230及び/又は局所暖房装置240への直接通信を含む多くの方法で機能することができる。従って、ネットワークシステム200は、集中暖房又は空調システムを伴わずに、又はこのようなシステムと連動して、さらには暖房及び冷房のための従来のサーモスタット制御を伴わずに住宅全体の快適性を管理することもできる。
【0112】
ターゲット装置を制御するネットワークシステム、プロトコル及び方法について説明したが、本発明の思想及び範囲から逸脱することなく多くの変更を行うことができると理解されたい。現在知られている又は後から考案される、当業者から見た本主題からのわずかな変化も、同等に特許請求の範囲に含まれることが明確に想定される。従って、現在当業者に知られている、及び将来的に当業者に知られる明らかな置換も、規定の要素の範囲に含まれるものとして定められる。説明した本発明の実施形態は、限定目的ではなく例示目的で示したものである。