(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0046】
法廷要件を満たすために、特定的に本発明の実施形態の主題を本明細書で説明するが、この説明は、必ずしも特許請求の範囲を限定する意図はない。請求する主題は、他の方法で実施されてもよく、異なる要素または工程を含んでもよく、他の既存または将来の技術と併用されてもよい。この説明は、個々の工程の順序または要素の配置が明瞭に記載されている場合を除いて、様々な工程または要素の中または間の特定の順序または配置を示唆するものとして解釈すべきではない。
【0047】
ここで、電気制御可能なトランスミッションシステムの例を記載する。トランスミッションシステムのいくつかの例は、電気積層円板クラッチを用いて、モータから出力ハブに力を伝達する。本明細書で議論される例は、ロボットシステムの文脈で説明されているが、これらの例の多くの態様は、運動制御、電子機器、機械ツール、印刷機械、微小電気機械システム(MEMS)、ナノ電気機械システム(NEMS)、および、航空宇宙など、効率的かつ軽量なアクチュエータまたはマニピュレータを提供することが有利である様々な用途に適応されうる。
【0048】
例えば、ロボット工学の分野において、システムは、通例、自由度(DOF)当たり1モータで設計される。次いで、各モータは、そのDOFの最大負荷/出力要件に向けたサイズにされる。結果として得られるロボットは、あらゆる時点に必要になりうるよりも大きいモータ馬力を持つことになる。本開示の例のいくつかの態様は、ロボット全体の最大出力要求を満たすサイズのわずか1つのモータを有するアーキテクチャを可能にする。さらに、モータは、一定速度で動くことにより、効率を高めうる。本開示の例のいくつか態様は、単一の定速モータを有するにもかかわらず、動作範囲内で、出力ハブにおいて可変速度を生み出すためのトランスミッション方法を記載する。本開示に記載のトランスミッションシステムの例は、従来のシステムが、比較的遅くエネルギを消費するギア比変更方法を利用している点で、典型的な従来の連続可変トランスミッション(CVT)および無限可変トランスミッション(IVT)とは異なる。対照的に、本開示のトランスミッションシステムの例は、迅速なギア比変更方法を提供しうる。
【0049】
いくつかの例において、このトランスミッションシステムの出力ハブは、一方向にのみ回転しうるが、出力ハブの速度は、ゼロと最大値との間で連続的に変化しうる。いくつかの他の例において、トランスミッションシステムの出力ハブは、両方向に回転してもよく、出力の速度は、一方の回転方向における最大値と他方の回転方向における最大値との間で変化しうる。多くのロボットシステムの設計の目標は、総重量の最小化である。しかしながら、上述のように、ロボットが複数のモータを有し、各モータが自由度(DOF)の最大負荷/出力要件に向けたサイズにされている場合、総重量は、所望の重量よりも重くなりうる。したがって、本開示の例は、より軽量なロボットおよびその他のタイプの装置の実現を可能にする。
【0050】
本開示に記載されたトランスミッションシステムの例の一部で、いくつかの利点が実現されうる。例えば、本開示に記載されたアプローチを用いて作られたロボットは、はるかに少ないモータすなわちわずか1つのモータを有しうる。これは、ロボットの総重量の削減を可能にして、最大積載量または範囲の改善につながりうる。後述の例を用いて可能になる定速でモータを動かすことによって、効率の改善も実現されうる。その他の利点は、いくつかの例において、集中型モータシステムを用いることによって、ロボットアクチュエータシステムの四肢(ロボットアームなど)にもはやモータを配置する必要がなくなりうることを含みうる。これは、これらのアクチュエータシステムの慣性の低下につながり、それによっても、アームの効率化および高速化/高加速度化につながる。
【0051】
さらなる利点は、いくつかの例において、必要なモータが少ないことにより、過度の重量を追加することなしに、冗長性のためにロボット構造に追加のモータを備えることができることを含みうる。マルチモータシステムにおける余剰のモータは、各DOFが独自のモータに関連している場合には、実現困難になる。
【0052】
さらなる利点は、いくつかの例において、エネルギ回収を可能にするトランスミッションシステムを含みうる。例えば、二足歩行ロボットについて、片方の脚の減速が起こった時に、エネルギが回収されてよい。このエネルギは、もう一方の脚の加速の動力を供給するために用いられてよい。例の一部のこれらの利点およびその他の利点は、以下の説明で明らかになる。
【0053】
多くの従来の連続可変トランスミッション(CVT)および無限可変トランスミッション(IVT)が存在する。しかしながら、従来のトランスミッションとは異なり、本開示に記載の例は、電子制御下で変速比の迅速な変更を提供する。さらに、電子制御は、安価かつ軽量であり、駆動に必要な電力が非常に少ない装置(電気積層クラッチ)で実現されうる。これは、従来のCVTおよびIVTにおいて比を変更する重くてエネルギを消費する方法と対照的である。
【0054】
[機械式切り替え可変トランスミッションシステム]
【0055】
可変トランスミッションは、通例、迅速なギア比変更を達成することができないため、および、それらを実装するのに必要な体積および重量が大きいために、ロボットでは利用されない。しかしながら、以下に記載の例の態様を用いれば、迅速に広範囲の値にわたってギア比を変更できるトランスミッションを提供しつつ、体積および重量の要件が実用範囲まで低減される。これらの例の態様を理解する助けとして、電気的類似物を用いる。機械装置を説明するために電気的類似物を用いることはよく知られている。本開示では、以下の類似物が用いられる:スイッチの機械的類似物はクラッチであり、ダイオードの機械的類似物は、一方向オーバーランニングクラッチであり、インダクタの機械的類似物は、トーションバネであり、(接地に接続された)コンデンサの機械的類似物は、回転慣性(フライホイール)であり、電流の機械的類似物は、トルクであり、電圧の機械的類似物は、回転速度である。その他の類似物も可能である。可変トランスミッションの概念の理解を助けるために、2つの電気回路を以下で簡単に説明する。こうして、各回路は、可変トランスミッションの異なる実施形態に関連づけられる。これら2つの回路は、buck回路およびクラスD増幅回路であり、公開文献によく記載されているので、顕著な点のみをここに記載する。これら2つの回路は、密接に関連しているが、本開示に適切であるために記載されるいくつかの違いがあることにも注意されたい。
【0056】
図1Aは、buck回路を示している。回路の中心は、典型的に金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)でありうるパワーデバイス120である。トランジスタ120は、正電圧V+で電力供給される。トランジスタがV+に接続されるこの端子は、一般に、ソース端子と呼ばれる。入力信号110が、ゲート端子でトランジスタに供給される。さらに、ダイオード160が、第3端子に接続されており、その端子は、図で180の符号が付けられ、一般に、ドレインと呼ばれる。さらに、端子180は、図に示すように、ダイオードを介して電気的接地に接続されている。トランジスタ120は、端子180における電圧が、ゲート信号110に応じてV+と0との間で理想的に切り替わる点で、単にスイッチとして機能する。端子180における信号は、拡大された形態の信号110であり、図では130と示されている。端子180は、ローパスフィルタを形成するインダクタ140およびコンデンサ150にも接続されている。最後に、負荷170が、ローパスフィルタの出力に接続される。ローパスフィルタは、負荷が、より平滑な形の信号130のみを経験するように、急速に変化する信号をフィルタアウトする。この回路の機能については、後に詳述する。
【0057】
図1Bは、クラスD増幅器を示している。回路の中心は、2つのパワーデバイス225Aおよび225Bである。通例、これらのデバイスは、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)である。これらのデバイスは、バイナリスイッチとして作動され、理想的には完全にオンまたは完全にオフのいずれかであるが、一方のスイッチのみが任意の期間にオンになる。クラスD増幅器は、高効率で(すなわち、最小限の熱の発生で)入力信号を増幅するために用いられる。図面において、入力信号は、コンパレータ215への正弦曲線205として示されている。コンパレータの他方の入力は、正弦曲線よりもかなり大きい周波数を持つ三角波信号210である。コンパレータの出力は、二値信号245として示されており、ここで、各パルスの幅が、入力信号205を符号化する。信号245は、入力信号205の一表現であり、パルス幅変調信号と呼ばれる。信号245は、MOSFET225Aおよび225Bへの入力として供給される。図面で
250と示されているクラスD回路の出力は、V+またはV
−であってよく、ここで、V+およびV−は、電源電圧である。MOSFETおよびダイオード230Aおよび230Bの配列により、出力250は、信号245が増幅されたものになる。信号250は、信号250内の高周波成分を抑制するインダクタ235およびコンデンサ255(LC回路)によって形成されたローパスフィルタに供給される。最終的な出力信号は、負荷240に現れる260として示されている。信号260は、少量の重畳リップルを持つ増幅バージョンの入力信号205である。
【0058】
buck回路100およびクラスD回路200の記載から、2つの回路が或る程度類似していることが明らかでありうる。しかし、1つの違いは、buck回路の出力が、0〜V+の間または(電源が負電圧であるとすると)V−〜0の間で振れるのに対し、クラスD回路の出力が、V+〜V−の間で振れることである。以下で詳述する機械的類似物において、2つの回路間の出力の差は、一方向にのみ回転するbuck回路の機械的類似物の出力および両方向に回転するクラスD回路の機械的類似物の出力につながる。以下に記載の単純化した機械的モデルが、より詳細な説明を提供する。
【0059】
図2Aおよび
図2Bは、それぞれ、buck回路およびクラスD回路の単純化した機械的モデルを示している。類似性を強調するために、両方の図に示したいくつかの要素は、同じ符号を有する。両方の図は、単一の定速モータ305を図示している。
図2Aでは、モータと、buck回路の機械的類似物322との間には、単一の結合しかないが、
図2Bでは、モータは、クラスD回路の機械的類似物320に直接的および逆転ギア310を介して結合されている。
図2Aの端子317は、
図1AにおけるV+に対応し、端子315Aおよび315Bは、
図1BのV+およびV−に対応する。端子315Aおよび315Bと、電圧V+またはV−の極性との間の対応関係の順序は、この議論にとって重要ではない。
図2Aのスイッチ317は、
図1Aのトランジスタ120に対応し、
図2Bのスイッチ319Aおよび319Bは、
図1Bのトランジスタ225Aおよび225Bに対応する。インダクタ、抵抗器、および、ダイオードが、
図1Aと
図2Aとの間および
図1Bと
図2Bとの間で同様に図示されている。ボックス325は、負荷を表す。
図2Aおよび
図2Bは、buck回路が1つのスイッチのみを有し、一方、クラスD回路が2つのスイッチを有することを示している。後述する動作の際、クラスD回路のスイッチのいずれか1つが、buck回路の1つのスイッチと同じように動作するので、buck回路の動作を理解することにより、クラスD回路の動作を理解できる。最後に、
図2Aおよび
図2Bの両方において、インダクタの機械的類似物は、バネであり、ダイオードの機械的類似物は一方向クラッチであることに注意されたい。
【0060】
図2Cは、2つのグラフ330および335を用いて
図2Aのbuck回路の動作を示す。グラフ330は、時間の関数としてスイッチ327のオン/オフシーケンスを示している。このスイッチが閉じている時(すなわち、クラッチが係合している時)、317における入力は、バネであるインダクタ235の機械的類似物に結合され、その結果、バネは、モータの方向に回転する。グラフ335を参照すると、このグラフは、バネに結合された負荷によって経験される状態についてのものである。負荷は、スイッチ327が閉じている時(あるいは、スイッチ327に対応するクラッチが係合している時)に印加トルクの上昇を経験する。バネは、スイッチが閉じている(あるいは、クラッチが係合している)期間中、特にTon期間中に、エネルギを蓄える。スイッチがオフである(あるいは、クラッチが係合していない)Toff期間中、バネは、そのエネルギを放出し、それでも、これらの期間中にグラフ335に示すように、経時的にトルクが減少するに伴って負荷を駆動する。したがって、スイッチを交互にオンまたはオフにし(あるいは、クラッチを交互に係合および係合解除させ)、TonおよびToff期間を適切に選択することにより、所望の平均トルク出力(グラフ335の340)が得られうるが、特定量のリップルが出力トルク中に存在しうることに注意されたい。バネは、バイアス状態から外れた時にエネルギを弾性的に蓄えて、バイアス状態に戻る時にエネルギを放出するバイアス部材の一形態であることに注意されたい。その他の形態のバイアス部材が、誘導エネルギの蓄積および放出を達成する様々な例で用いられてもよく、これは、当業者によって理解される。
【0061】
図2Dは、3つのグラフ337、338、および、339を用いて、
図2BのクラスD回路の動作を示す。
図2Bに示すように、クラスD回路には2つのスイッチがあるため、両方のオンオフシーケンスが、グラフ337および338に示されている。これら2つのスイッチは、オンになった時に直接モータ入力または逆モータ入力を回路の残り部分に結合する各クラッチに対応する。グラフ337および338からわかるように、一方のクラッチのみが、任意の期間にオンになる。
図2Bおよび
図2Dにおいて、クラッチ319Bは、グラフ337に対応しており、このクラッチがオンにされた時、正の方向すなわちモータ回転方向に負荷トルクの増大を引き起こす。同様に、クラッチ319Aは、グラフ338に対応しており、このクラッチがオンにされた時、負荷トルクの減少を引き起こす(すなわち、モータ回転方向と反対の方向である負の方向に近づく)。この説明により、クラッチ319Bがオンになり、クラッチ319Aがオフになった時、例えば、期間T1およびT3において、負荷は、トルクの増加を経験することがわかる。したがって、例えば、期間T2およびT4において、クラッチ319Bがオフになり、319Aがオンになった時、第1に、正のトルクが減少し、次いで、負の方向のトルクが増大する。そのため、この具体例について、負荷は、破線341によって示すように、平均トルクを経験する。したがって、両方のスイッチのオンオフシーケンスを適切に選択することにより、所望のトルクレベルが達成されうることがわかる。ここで、異なるオンオフシーケンスでのいくつかのさらなる例を記載する。
【0063】
任意の適切なトルクレベルが適切なオンオフシーケンスで達成されうることが、上述の説明からわかる。これは、buck回路類似物およびクラスD回路類似物に当てはまり、buck回路が一方向のトルクのみを提供でき、クラスDが両方向のトルクを提供できるという違いがある。以下に述べる例において、オンオフシーケンスは、様々な方法で選択されてよい。
図2E〜
図2Gは、様々なトルク出力を得るための様々なオンオフシーケンスを記載する。これらの図のこれらの入力シーケンスは、パルス化の周波数が同じに維持されるが、パルスの幅が変化するので、パルス幅変調信号のカテゴリに含まれる。buck回路に関連するグラフは、上述の利用可能なトルク方向の違いを除けば同じであるため、クラスDに関連するグラフのみを示す。
【0064】
図2Eは、クラッチオンオフ期間の代わりに、グラフ600がクラスDの場合について入力速度を出力速度に関連づけていることを除いて、
図2Dに記載したのと同じ状況を記載している。例えば、T1中に、正の(直接)入力がオンにされ、T2中に、負の入力がオンにされる。すべての期間が同じなので、破線605で示す平均出力速度はゼロである。T3およびT4を含むすべての期間が等しいと仮定されるので、パルス化の周波数は、1/(T1+T2)である。
【0065】
図2Fは、正の回転が逆回転よりも長い期間オンにされるがパルス化の周波数は
図2Eと同じに維持される状況を示す。図に示すように、T3がT1と等しく、T4がT2と等しいと仮定すると、T1は、期間T1+T2の75%であるが、それでも、パルスの周波数は1/(T1+T2)である。この場合、破線615で示す平均出力速度は、正の入力速度の半分に等しくなりうる。
【0066】
図2Gは、期間T1+T2のほぼ全体にわたって正回転がオンにされる状況を示す。破線625で示す平均出力速度は、正の入力速度とほぼ等しい。パルス化の周波数は、それでも、1/(T1+T2)である。
【0067】
したがって、
図2E〜
図2Gは、パルス幅変調スキームの様々な場合を示している。パルス周波数変調が用いられてもよく、簡単のために、buck回路に関連してこれを説明する。
【0069】
図2Hおよび
図2Iは、buck回路にパルス周波数変調を用いた例を示す。ここで、2つのグラフ630および640の間で、パルスの幅T1は、同じに保たれるが、1/(T1 +T2)である周波数は変更される。両方のグラフで、T3はT1に等しく、T4はT2に等しい。グラフ630において、平均出力速度は635と示され、グラフ640において、平均出力速度は645と示されている。グラフ640の平均出力速度は、オフ期間がオン期間よりも長いので、小さくなっている。期間T1+T2は、T1のパルス幅を同じに維持しつつ、変更されてよい。したがって、期間は変更されるがパルスの幅は同じに維持されるので、このスキームは、パルス周波数変調と呼ばれる。同じタイプのスキームが、クラスD回路にも適用されてよく、
図2Jおよび
図2Kに示される。
【0070】
図2Jおよび
図2Kにおいて、グラフ650は、クラスD類似物についての第1オンオフシーケンスを示す。第1クラッチは、期間T1でオンにされ、それにより、シャトルが、時計回りの入力の速度をとりうる。期間T2で、第2クラッチがオンにされてよく、それにより、シャトルは、反時計回りの入力の速度をとりうる。グラフ650に示すように、T1は、T2に等しくてよい。そして、周波数は、1/(T1+T2)である。比較すると、
図2Kのグラフ660を参照すると、T3がグラフ650のT2よりも大きいことを除けば、パルスの幅T1は同じままである。したがって、1/(T1+T3)であるグラフ660のシーケンスの周波数は、グラフ650のシーケンスの周波数よりも小さい。buck回路で上述したように、このスキームも、クラスD回路に適用可能なパルス周波数変調と呼ばれる。
【0071】
別の例において、パルス幅変調スキームおよびパルス周波数変調スキームを併用することも可能でありうる。
【0073】
図3A〜
図3Cは、クラスD増幅器の機械的類似物である装置を示す。
図3Aは断面図であり、
図3Bおよび
図3Cは斜視図である。この装置には、他の構成要素を整列させる中央シャフトすなわちパイロットシャフト405がある。
図1BにおけるV+およびV−入力に対応して、また、
図2Bの315Aおよび315Bにも対応して、2つの入力ハブ410Aおよび410Bがある。これらの入力ハブは、単一の定速モータの出力を装置に結合できる場所であり、一方の入力は、モータの方向に回転し、一方の入力は、反対方向に回転する。次に、装置は、トランジスタ(MOSFET)225Aと類似する2つの電気積層円板クラッチ415Aおよび415Bを備える。各クラッチは、参照開示に記載されたクラッチと同様の2つのプレートを有する。
図3Bにおいて、各電気積層クラッチの2つのプレートが明確に見える。電気積層クラッチは、プレートに電圧が印加された時の物理的接触に依存するので、電圧が印加された時に互いに向かうプレートの移動を可能にすると共に、電圧が印加されていない時に内側プレートの近くに外側プレートを保持するために、バネ420Aおよび420Bが、各クラッチの外側プレートに備えられる。電気積層クラッチの機能を可能にする電気回路は図示されていない。各クラッチについて、回路は、コンデンサに印加される電圧と同じだけ2つのプレートに電位を提供してよい。各クラッチのプレートに電圧を印加する多くの方法がある。一方法では、クラッチのプレートが回転するので、バッテリなどの電源と各プレートとの間の電気的接触は、ブラシまたはスリップリングでなされてよい。別のアプローチでは、(後に詳述する)シャトル425などの、2つの電気積層クラッチの間に図示された装置400の一部が、共通の電気的接地として用いられてもよいし、ブラシまたはスリップリングを介して電源に接続されてもよい。その後、各クラッチのコンパニオンプレートは、スリップリングまたはブラシを介して、スイッチおよびその他の必要な電気的構成要素を介して電源に接続されてよい。クラッチのプレートにどれだけの電圧が印加されるのかにかかわらず、各電気積層クラッチの(機械的)出力は、ダイオード230Aおよび230Bに対応する一方向クラッチ430Aおよび430Bに印加される。これらのクラッチは、シャトルがいずれの方向にも回転しうるが、駆動モータの速度と同じだけの速さでしか回転しないように、構成される。これらのクラッチの機能は、装置400のさらなる要素が説明されるにつれ、より明らかになる。
【0074】
装置400は、パイロットシャフト405に関して回転できるシャトル425を有する。シャトルは、
図3Bで明確にわかるように、トーションバネ431に結合されるが、その他の形態のバイアス部材を用いてもよい。バネの外端は、バネケース435に結合され、その中に収容される。シャトル、バネ、および、バネケースはすべて、パイロットシャフト405に関して回転できる。バネは、
図2Bのインダクタ235に類似する。装置の最終出力ハブは、ギア440である。これは、負荷抵抗器240が取り付けられた場所
236に類似する。コンデンサの類似物は、
図3A〜
図3Cに図示されていないが、必要であれば、フライホイール(コンデンサの類似物)が、出力として機能しうる。
【0075】
明確にするために、
図3A〜
図3Cは、バネケース435の詳細を示していないが、ここで、
図3Dにこれを示す。バネケースは、シャトル425およびパイロットシャフト405が同軸で通りうる中空チャンバ436からなってよい。バネ(この図には図示せず)は、一端でシャトルに結合され、他端で中空チャンバ436の壁に結合される。中空チャンバは、中空チャンバ内にバネを収容する蓋437を有してよい。蓋は、ボルト438によって中空チャンバに結合されてよい。出力ギア440は、バネケースに結合され、次に中空チャンバのいずれかの側に結合されてよい。上述のように、装置400は、反対方向に回転する2つの入力を有する。各入力は、対応する電気積層クラッチ415Aまたは415Bを作動させることによって、シャトルに結合されてよい。例えば、クラッチ415Aは、410Aでの入力と結合してよく、クラッチ415Bは、410Bでの入力と結合してよい。
【0076】
クラッチ415Aは、円板ペア416Aおよび417Aを備え、クラッチ415Bは、円板ペア416Bおよび417Bを備え、それらは、電気制御可能なクラッチを形成する。用いられる技術に応じて、各円板ペア内の円板の一方または両方が、円板ペアの円板の間の静止摩擦を高めてクラッチ415Aまたは415Bを係合させるために、電気的に作動されてよい。電気吸着が用いられる場合、各円板ペアの一方の円板が、
図10Aおよび
図10Bに関して詳述するように、静止摩擦を生むように作動されてよい。
【0077】
ここで、どの瞬間にも、一方のクラッチしか係合しえないことに注意して、一方のクラッチが係合される時の一連のイベントの説明を記載する。他方のクラッチが係合される時の一連のイベントも同様である。また、明確にするために、410Aでの入力は、時計回りすなわち正方向に回転する定速モータ(この図には図示せず)によって提供された正または時計回りの入力であると仮定される。入力の実際の方向は、時計回りでも反時計回りでも、他方の入力410Bが410Aでの入力の反対向きに回転していることが理解されている限りは、この議論にとって重要ではない。入力ハブ410Aが定速モータに直接結合されると仮定すると、クラッチ415Aは、係合された時(415Bは係合されない)、直接入力をシャトルに結合する。
【0078】
バネは、上記の仮定に従って時計回りである入力回転の方向に巻き込む。クラッチ415Aが係合されるこの段階において、バネは、エネルギを蓄え、さらに、出力ギア440に接続された負荷を駆動しうる。負荷は、
図2Dのグラフ339に示すように、モータ回転方向(正すなわち時計回り)でのトルクの上昇を経験しうる。次に、クラッチ415Aが係合解除され、クラッチ415Bが係合されると、バネは巻き戻されて、反時計回りすなわち負の方向に巻き込み始め、時計回り方向のトルクを減少させ、その後、反時計回りすなわち負の方向にトルクを印加する。したがって、先に説明したように、クラッチのオンオフシーケンスを適切に選択することにより、トルクの上限および下限の間の所望のトルクが得られうる。ここで、一方向クラッチの機能についてさらに説明する。
【0079】
電気積層クラッチ415Aが係合され、電気積層板415Bが係合されていない時のシナリオに戻ると、一方向クラッチ430Aは、電気積層クラッチ415Aが上記の例で仮定したように時計回りの入力回転方向にシャトルを駆動することを可能にする。したがって、バネは、時計回り方向に巻き込む。反時計回りすなわち負の入力に最も近いシャトルの他端も、一方向クラッチ430Bを有するが、シャトルが、係合されていない電気積層クラッチ415Bの逆回転する半分に隣接して時計回りに回転することを防止しない。しかしながら、電気積層クラッチ415Aが係合されず、電気積層クラッチ415Bが係合された時、電気積層クラッチ415Bの両方のプレートは、時計回りに巻き上がったバネの方向と逆の反時計回り方向に動いてよい。ここで、時計回りに巻き上がったバネは、反時計回りの方向に巻き戻されるが、反時計回りに回転する電気積層クラッチ415Bおよび一方向クラッチ430Bの速度以下の速度で巻き戻しうる。一方向クラッチ430Aは、関連する方向が逆であることを除けば、上記と同じように作用するため、これについては説明しない。上記の説明から、一方向クラッチの機能が明らかになった。
【0080】
一部の例においてフライホイールが装置400の出力ハブとして機能しうることを簡単に上述した。ここで、この構成に関する2つの考慮事項を提供する。第1の考慮事項において、
図1Bを参照すると、電気的クラスD回路は、増幅器出力端子236と電気的接地238との間に接続されたコンデンサ255を含む。電気的接地の機械的類似物は、慣性空間である。換言すると、(コンデンサの類似物として機能する)フライホイールの位置は、固定された基準系に関して測定される。システムのすべての他の慣性構成要素も、この共通の基準系に参照されてよい。
図1Bにおいて、共通の接地は238で示されている。
【0081】
第2の考慮事項において、フライホイールは、コンデンサの機械的類似物として上述した。フライホイールは、単に、慣性を有する構成要素として見られてよい。典型的なロボットにおいて、
図2Bを参照すると、出力端子236(例えば、回転シャフト)は、ロボットDOFの残り部分に接続されてよい。通例、これは、ロボット肢(例えば、アーム)が続くギヤトレインを備えうる。ロボットアームは、慣性負荷を運んでいても運んでいなくてもよく、
図1Bの抵抗負荷240に直接類似するさらなる粘性負荷を経験しうる。すべてのギヤトレインは、回転慣性と、摩擦および潤滑油による内部損失とを有する。慣性は、コンデンサに類似し、内部損失は、抵抗負荷に類似する。さらに、任意の慣性負荷と共にアームの慣性が、(ギア比による調整の後に)トランスミッション慣性へ効果的に追加される。粘性負荷は、トランスミッション損失に追加される。すべてのこれらの効果を考慮すると、応用例の具体的な要件によっては、しばしば、フライホイールまたは粘性構成要素を明確に含む
図3Aなどのメカニズムを利用することが実現可能でありうる。フライホイールを除外することにより、メカニズムの重量、サイズ、および、コストが削減され、これは、一般的に有利であるが、特にロボットの設計および製造において有利である。単一のフライホイールを備えたシステムが歳差の問題につながる場合、第2フライホイールが、反対方向に回転するように結合され、歳差を低減または排除してもよい。
【0082】
フライホイールを持たないことの利点に関する上記の議論にかかわらず、一部の応用例ではその利用が除外されないことを理解されたい。
【0084】
図2E〜
図2Gは、装置400の出力ギア440が負荷を駆動している時のグラフを示す。ほとんどのロボットで、特定の作業中、負荷は、トランスミッションを介してモータを駆動しうる。この例は、4つのグラフ700、705、710、および、715が示された
図4で説明される。グラフ700が示すように、ω
out≡0であるがω
out>0になるように、T1≡T2である。期間T1中、負荷がモータを駆動している場合、出力速度は正であってよいが、グラフ705に示すように出力トルクは負であってよく、その出力が逆流することを示す。この条件の別の説明は、定速モータが装置400を通して負荷に力を印加する代わりに、負荷が、モータに力を印加し戻しているということである。この力は、例えば、モータに関連するバッテリを充電するため、または、より高い速度までモータを加速するために用いられてよい。
図3Aを参照する次の説明のために、便宜上、図の
左側を正の側、図の
右側を負の側と呼ぶこととする。したがって、入力ハブ410Aは、正の入力ハブと呼ばれ、入力ハブ410Bは、負の入力ハブと呼ばれる。一方向クラッチ430Aは、正の一方向クラッチと呼ばれ、一方向クラッチ430Bは、負の一方向クラッチと呼ばれる。
【0085】
期間T1中、グラフ700が示すように、シャトル速度は、入力ハブの内の1つの速度をとる。グラフ700は、シャトルが期間T1中に正の入力ハブの速度をとることを示している。この期間中、
図3Aのバネ431は、シャトルの速度が、+ω
inであり、出力ハブの速度がほぼゼロであるので、巻き込んでいる。したがって、バネの正味の回転速度は、ω
shuttle−ω
outである。さらに、この場合、バネは出力トルクを
出力に伝え、
出力は、この同じトルクを
負荷に及ぼす。シャトルの速度が駆動モータの速度と等しい状態の負の出力トルクにより、正の一方向クラッチが係合され、出力トルクとほぼ等しいトルクを伝える。これは、グラフ710のT1中に示されている。このクラッチトルクは、モータによって後に経験される。結果として、モータは、モータ駆動信号によって引き起こされるトルクなど、任意の他のトルクなしに加速する。したがって、エネルギは、負荷からモータへ伝達され、モータの運動エネルギを増大させる。この期間T1中に、負の一方向クラッチ(すなわち、負の入力ハブに関連するクラッチ)は、シャトル速度が−ω
inよりも正の値である時に係合されないように設計されるので、トルクを経験しない。
【0086】
モータに伝達されたエネルギは、以下に記載の2つの方法のいずれか、または、その組み合わせの方法で利用されてよい:第1の方法において、運動エネルギは、バッテリエネルギの利用が少なくなるように、ロボットの次の運動に用いられてよい。例えば、深い膝の屈伸をするロボットでは、下降中に負荷から回収されたエネルギが、モータロータの運動エネルギとして蓄えられる。したがって、ロボットが上に動く時に、運動エネルギは、重力に抗して負荷を持ち上げるために用いられる。第2の方法において、エネルギは、モータが発電機として動作するので、バッテリを充電するために用いられてよい。ほとんどの従来のロボットは、上述した第2の方法を達成できるが、本開示に記載のクラスD類似メカニズムは、両方の方法を達成できる。
【0087】
完全を期すために、ここで、期間T2中の装置の挙動について説明する。この期間中、負の電気積層クラッチが係合される。このクラッチは、シャトル速度を、負の入力ハブの速度である−ω
inにする。このシャトル速度により、正の一方向クラッチは、係合されず、そのトルクは、グラフ710に示すようにゼロである。期間T2中、負のシャトルトルクは、負の電気積層クラッチを介してモータによって供給される。このトルクは、
図4には示されていない。
【0088】
したがって、特定の状況、例えば、バッテリの電力で動きうる人型ロボットにおいては、バッテリ寿命を延ばすためにエネルギを生成することが有利でありえ、上記の例は、この利点を実現するための方法になりうる。
【0090】
任意の回路またはメカニズムについて、電気積層クラッチの理想的な挙動および実際の挙動は、いくつかの面で異なる。特に、任意のタイプのすべてのクラッチについて、電気積層クラッチは、係合または係合解除の遅延を有しうる。換言すると、電気信号がクラッチを係合するために送信される時とクラッチが機械的に係合される時との間に、時間遅延が存在しうる。同様に、電気信号がクラッチを係合解除するために送信される時とクラッチが実際に機械的に係合解除される時との間に、遅延が存在しうる。時間遅延のいくつかの他の特徴は、係合および係合の解除の遅延が、互いに等しくない場合があることである。さらに、係合(または係合解除)の遅延は、或る係合(または係合解除)と別の係合(または係合解除)によって異なりうる。これらの時間遅延には、いくつかの影響がある。1つの影響は、これらの遅延がクラッチのオンオフシーケンスの点で許容されない場合、および、両方のクラッチが同時に効果的に係合される場合、効率の損失から装置の故障または破壊までの範囲の結果が起こりうる。これらの影響を避けるために、係合したクラッチが機械的に係合解除された後に、電気信号がクラッチの係合のために係合解除されたクラッチに供給されるように、「デッドタイム」が、クラッチのオンオフシーケンスに故意に導入されてよい。
図5は、この例を示している。グラフ800は、第1クラッチが係合状態から非係合状態へ移行する様子を示している。T
deadと示した期間は、グラフ810でクラッチがオンにされる前に経過することを許容される。これらのグラフは、瞬時にオンおよびオフする点でクラッチの理想的な挙動を示すが、アプローチは、T
deadがクラッチの係合および係合解除の遅延を許容するように調整されうることである。デッドタイムは、約0.5〜10ミリ秒であってよいが、その他の値も可能である。さらに、この値は、後述するように、装置400のクラッチおよびその他の部材の挙動の詳細な理解に基づいて選択されうる。
【0091】
図3Aを参照しつつ、ここで、クラッチ415Aが係合され、415Bが係合していない状況を考慮する。415Bが係合され、415Aが係合
していない状況は、基本的に概念が同じであるため、説明しない。クラッチ415Aを係合解除するための第1電気信号が印加される。デッドタイム期間の後、クラッチ415Bを係合するための信号が印加される。クラッチ415Aの係合解除遅延に基づいて、このクラッチは、機械的に係合解除され、シャトル
425は自由に回転できる。415Aが係合された時、バネが時計回りに巻き上げられると仮定すると、係合解除された時、バネは、反時計回り方向に巻き戻り、負のトルク(反時計回り方向)をシャトルに印加する。シャトルは、入力ハブ410Bの反時計回りの速度に達するまで、バネの影響下で迅速な負の加速を経験する。この時点で、一方向クラッチ430Bは係合して、シャトルに入力ハブ410Bと同じ速度で回転させる。ここで、クラッチ430Bが係合されている間、クラッチ415Bは、自身の係合遅延が経過した後に機械的に係合する。機械的係合の瞬間に、クラッチ415Bの2つのプレートの速度差は、ゼロまたはゼロに近くなりうる。この結果として、クラッチ摩擦によって失われるエネルギは、ゼロまたはゼロに近くなり、クラッチの摩耗が最小限になることが好ましい。したがって、ガイドラインとして上記の議論を用いると、T
deadは、クラッチ
の結合および非結合のオンオフシーケンスがメカニズムの寿命および効率を最大化することを保証するように有利に選択されうる。
【0092】
ここで、両方のクラッチが同時に係合されないことを保証するためのいくつかの方法を記載する。
図5Bにおいて、コンピュータ825が、一対のオンオフシーケンスを生成し、出力830および835を介してこれらのシーケンスを出力する。出力830および835は、それぞれ、両矢印860によって示されるように、互いに通信しうるハードウェア回路840および845に接続されている。次いで、ハードウェア回路の
入力ハブは、クラッチ850および855(あるいは、装置400のクラッチ415Aおよび415B)に接続されてよい。この例の第1の変形例において、コンピュータプログラムは、オンオフシーケンスが適切であり、2つのクラッチが決して同時にオンにならないことを簡単に保証しうる。しかしながら、フェイルセーフ方法を提供するために、ハードウェア回路は、いつでも、一方のクラッチ850またはクラッチ855のみがオンにされうることを保証しうる。様々な周知の方法が、このタイプの結果を達成することを知られている。
図5Cに、方法を一つだけ示す。コンピュータからの2つの出力830および835の各々は、インバータに接続されてよい。したがって、出力830は、インバータ865と接続されてよく、出力835は、インバータ860と接続されてよい。インバータの出力は、ANDゲートの一端に入力されてよい。したがって、ANDゲート870が、出力830と反転出力835との間の論理AND演算を実行してよい。同様に、ANDゲート875が、出力835と反転出力830との間の論理ANDを実行してよい。ANDゲートの出力は、クラッチ850および855(あるいは、装置400のクラッチ415Aおよび415B)を作動させるために用いられる。
図5Cの構成は、両方の出力830および835が高い時にANDゲートの出力が低いことを保証し、これは、
図3Aの装置400の動作にとって許容可能な状態である。
【0093】
[機械式切り替え可変トランスミッションの交互構造]
【0094】
図3A〜
図3Cは、上述のようにクラスD増幅器の機械的類似物である機械式切り替え可変トランスミッションを示す。また、上述のように、buck回路はクラスD回路に近く、2つの回路については
図1Aおよび
図1Bに記載した。ここで、別の例において、buck回路に基づく装置が、
図6A〜
図Bに図示されている。予想されるように、この装置は、
図3Aの装置400に類似している。図
3Aの装置400および
図6Aの450の類似点を強調するために、2つの装置間で類似する構成要素には、同じ符号を与えた。2つの装置間の類似により、以下では差異について説明する。
図6Aの装置450は、buck回路の類似物であり、410Aで示した1つの入力ハブのみを有しうる。その結果、装置450は、一方向にだけトルクを提供しうる。入力ハブが1つだけなので、装置450は、415Aおよび430Aとして示した1つだけの電気積層クラッチおよび1つだけの一方向クラッチを有しうる。装置の他方の側(入力ハブを有する側の反対側)において、装置450は、装置400と同様に、出力ギアすなわちハブ440を有しており、これは、この例では一方向にのみ回転する。また、装置400と同様に、装置450は、ベアリング432を中心に回転するシャトル425を有する。
図6Aに見られるように、シャトルの左端には、一方向クラッチ430Bが、回転しないカラー433とシャトルとの間で動作するように取り付けられている。これは、
図1Aのダイオード160に類似する。
図6Bは、
図6Aの装置の分解図を示す。装置450の機能は、上述しており、トルクおよび回転の利用可能な方向を除けば、装置400(クラスD類似物)の機能と類似する。さらに、電気積層クラッチ415Aのプレートへの電圧の印加は、
図3Aの装置400と同様に達成される。
【0095】
[交互タイプのクラッチを用いる装置]
【0096】
別の例において、装置400および450は、電気積層板を利用可能なクラッチ以外の交互タイプのクラッチを用いてもよい。一例として、これらの装置は、
図6Cおよび
図6Dに示すように、ラップスプリングクラッチを用いてもよい。装置900は、ラップスプリングクラッチを用いることが図示されていることを除けば、
図3A〜
図3Cの装置400と同様である。ラップスプリングクラッチは、910Aおよび910Bとして示されており、作動されると2つのシャフトを結合しうる。装置900は、クラスD類似物であるので、2つの入力401Aおよび410Bを有する。図
6Cの
左側では、ラップスプリングクラッチ910Aが、入力410Aおよびシャトル
425を結合する。同様に、図の
右側では、ラップスプリングクラッチ910Bが、入力410Bおよびシャトル
425を結合する。その他のすべての詳細は、装置400および装置900の間で同じままである。
図6A〜
図6Bに示したbuck回路類似物が、電気積層円板クラッチの代わりにラップスプリングクラッチを用いてもよいことにも注意されたい。装置400および450と同様に、ラップスプリングクラッチの電気作動は、スリップリングまたはブラシを介して達成されてよい。
【0098】
別の例において、二方向に引っ張る方法を実現するために、2つのbuck回路類似物が、機械回路内で用いられてよい。二方向に引っ張ることは、例えば、アームが対向または対立する方向に制御される必要がありうるロボットのアームなど(これに限定されない)、多くの状況で有利な特徴である。
図7Aは、この例の一変形例である。
図7Aの構成要素の多くは、
図2Aおよび
図2Bの構成要素と同様であるため、同じ符号を用いている。305は、定速モータであり、310は逆転ギアである。1005Aおよび1005Bは、buck回路の機械的類似物であり、
図2Aの322と類似するが、説明を明確にするために、異なる符号を用いる。1010Aおよび1010Bは、1005Aおよび1005Bの出力をステップダウントランスミッション1015に結合しうるクラッチである。この配列の最終出力は1020として示され、出力ハブであってよい。クラッチ1010Aおよび1010Bは、電気積層円板クラッチまたはラップスプリングクラッチなど、本開示に記載されたタイプであってよい。市販のものなど、他のタイプであってもよい。1005Aおよび1005B内のインダクタは、バネに対応し、ダイオードは、上述のような一方向クラッチに対応する。明確にするために、モータ305の出力1025Aを時計回りであると仮定し、出力1025Bを反時計回りであると仮定できる。実際の方向は逆であってもよく、その後の議論にとって重要ではない。
図7Aの構成は、2つのbuck回路により、最終出力ハブ1020が、時計回りまたは反時計回りの方向に動くようにされることを示している。buck回路類似物1005Aがオンにされ、1005Bがオフにされた時、出力ハブ1020は、時計回り方向に動きうる。同様に、buck回路類似物1005Bがオンにされ、1005Aがオフにされた時、出力ハブ1020は、反時計回り方向に動きうる。ここで、クラッチ1010Aおよび1010Bの機能について説明する。buck回路1005Aがオンにされ、1005Bがオフにされた時の具体例を用いて、これらのクラッチの機能を説明する。この状況では、時計周りの入力が、出力ハブ1020に結合される。しかしながら、この状況において、クラッチ1010Bが係合解除されていない場合、1005Bの一方向クラッチは、出力ハブが時計回り方向に回転するのを防ぐ。この状況は、出力ハブが反時計回り方向に動くことに関して同様である。したがって、出力ハブ1020を任意の特定の方向に回転させるためには、他方の方向に関連するクラッチが係合解除される必要がある。出力ハブの回転速度は、buck回路類似物1005Aおよび1005Bに印加されるパルスシーケンスに依存する。出力ハブ1020の回転を止めるために、1005Aおよび1005Bがオフにされるが、クラッチ1010Aおよび1010Bが係合したままにされた場合、1005Aおよび1005Bの一方向クラッチは、出力ハブ1020が回転するのを防ぐ。したがって、二方向の回転が、上述の構成でどのように達成されうるのかは明らかである。
【0099】
さらに別の例において、二方向に引っ張ることは、
図7Bに示す構成によって達成されてもよい。この場合、1つだけのbuck回路類似物1005Aが、定速モータの時計回りの出力1025Aに結合される。次いで、buck回路類似物1005Aの1つの出力が、クラッチ1010Aに結合される。しかしながら、buck回路の出力は、別のクラッチ1010Bに結合された逆転ギア310にも結合される。したがって、最終出力ハブ1020は、2つのクラッチ1010Aまたは1010Bのどちらがオンにされるかによって、時計回りまたは反時計回りの方向に動かされうる。クラッチ1035は、クラッチの片側が接地に結合されるように図に示されている。このクラッチは、構成1030が出力ハブ1020の回転を止めることを可能にする。さらに、出力ハブの回転速度は、buck回路類似物1005Aに印加されるパルスシーケンスに依存する。したがって、二方向の回転が、上述の構成でどのように達成されうるのかは明らかである。
【0100】
さらに別の例において、
図7Aに示した構成
2000の変形例で、別の構成が
図7Cに示されている。この構成では、バックラッシュが排除されうる。2つのステップダウントランスミッション1017Aおよび1017Bが、この構成で設けられており、各ステップダウンの出力は小型ギア1018Aおよび1018Bに結合される。小型ギアは両方とも、1つの大型ギア出力ハブ1019に結合される。ここで、バックラッシュの排除について具体例を用いて説明する。buck回路1005Aがオンにされ、モータ305の時計回りの出力を小型ギア1018Aに結合すると仮定すると、出力ギア1019は、反時計回りに回転する。この例において、小型ギア1018Bもオンにされうるが、トルクは小さい。したがって、大きいトルクで一方向に一方の小型ギアを駆動し、小さいトルクで反対方向に他方の小型ギアを駆動することにより、バックラッシュが排除されうる。
【0101】
[バネ設計のための数理解析および手順]
【0102】
後のセクションでは、以下の数理解析に基づいてさらなる例を記載する。装置
450がよりよく設計されうるように、異なるケースを考慮する。以下の数理解析では、以下の用語を用いる:
ω
in トランスミッションの入力速度
ω
out トランスミッションの出力速度
T
in トランスミッションの入力トルク
T
out トランスミッションの出力トルク
T
r トルクリップル
T
max トランスミッション出力での最大トルク
c T
maxに対するT
rの比
t
1 クラッチの最小係合時間
t
2 クラッチの最小係合解除時間
k トーションバネのばね定数
σ
max バネの最大設計応力
E バネのヤング率
b トーションバネの軸長
h トーションバネの厚み
l トーションバネの長さ
ρ トーションバネ材料の密度
M
0 バネに作用するモーメント
Q 慣性モーメント
【0104】
ケース1:ω
out≒0であるがω
out>0、かつ、T
out=T
a、ここでT
a<T
max。
図8Aを参照すると、期間t
1中、バネは以下の角度だけ巻かれる:
θ=t
1ω
in 式7
【0106】
ΔT=T
r=Kθ=kt
1ω
in 式8
【0107】
T
rは、トルクリップルであり、
図8Aに示されている。より円滑なトルク出力は、T
rがT
maxのほんの一部cであることを必要とする。通例、cは、0.01≦c≦0.1の範囲で選択されてよいが、その他の範囲も可能である。したがって、
kt
1ω
in=T
r<cT
max 式9
【0108】
および
k<(cT
max)/(t
1ω
in) 式10
【0109】
ケース2:ω
out≒ω
inであるがω
out<ω
in、かつ、T
out=T
a、ここでT
a<T
max。
図8Bを参照すると、期間t
2中、バネは以下の角度だけ巻き戻される:
θ=−t
2ω
out≡−t
2ω
in 式11
【0110】
対応するトルクの減少は:
ΔT=T
r=Kθ=−kt
2ω
in 式12
【0112】
ケース1と同じ工程を用いて、以下の結論に達しうる:
k<(cT
max)/(t
2ω
in) 式13
【0113】
式10および式13は、t
2≡t
1である場合に、ケース2のバネ定数が、ケース1について計算された値と同様であることを示す。
【0114】
ケース3:ω
out=ω
in/2、かつ、t
1=t
2
【0115】
このケースにおいて、係合中、トーションバネの一端はω=ω
inで回転するが、バネの出力端はω=ω
in/2で回転する。したがって、正味の巻き込み速度は:
巻き込み速度:ω
in−ω
in/2=ω
in/2 式14
【0116】
同様に、クラッチの係合解除中、巻き戻し速度は:
巻き戻し速度:−ω
in/2 式15
【0117】
したがって、ネジが巻き戻る角度は:
θ=(−t
2ω
in)/2 式16
【0118】
このケースでのトルクリップルは:
T
r=kθ=(kt
2ω
in)/2 式17
【0119】
式17を式8および式12と比較することにより、トルクリップルが半分になり、有利であることがわかる。後に或る程度詳細に説明するように、係合および係合解除の過程中のエネルギ損失は、パルスの周波数に比例する。これは、t
1=t
2である場合には容易に理解できるが、t
1が常にt
2と等しい必要はない。したがって、例えば、それを半減させることで周波数を減少させることにより、エネルギ損失が半減されうる。トルクリップルが半減され、エネルギ損失が低くなりうる時に装置を動作させることが、有利な動作モードである。
【0121】
係合および係合解除中のエネルギ損失を分析するために、以下のさらなる変数を定義できる:
【0122】
I
s クラッチ駆動円板、シャトル、および、シャトルに取り付けられたバネの端部の合計慣性
【0123】
T
e クラッチによって伝達されるトルク
【0126】
係合中、
(dω
d)/dt=T
e/I
s 式18
【0127】
ω
inが、クラッチによって掛けられた負荷にかかわらず一定であると仮定すると、以下の式によって与えられる時間t
eの後に、ω
dはω
inに達する。
t
e=(ω
inI
s)/T
e 式19
【0128】
仮定は、慣性が大きいモータに合致する。これらの議論のために
、t
e<<t
1であることにも注意されたい。
【0129】
t
eに等しい期間にわたって継続する係合処理の間、モータによって供給されるエネルギは、動力持続時間である。したがって:
ΔE
motor=T
eω
int
e=T
e(ω
in2I
s)/T
e=I
sω
in2 式20
【0130】
係合前に、クラッチ円板およびシャトルが停止しており、係合後に、ω
inの速度で回転すると仮定して、クラッチ/シャトルアセンブリによって得られるエネルギは、以下によって与えられうる:
ΔE
shuttle=0.5I
sω
in2 式21
【0132】
式21に基づいて、摩擦(
ΔE
eng.friction)によるエネルギ損失は、以下のようになると結論づけることができる:
ΔE
eng.friction=Δ
Emotor−ΔE
shuttle=(I
sω
in2)/2 式22
【0133】
したがって、式22から、摩擦によるエネルギ損失は、クラッチ係合期間t
eまたはトルクT
eから独立していることがわかる。これは、クラッチ係合が非弾性衝突に類似しうるという事実の結果である。
そのような衝突では、エネルギ損失量は、衝突自体の詳細な時間履歴から独立している。
【0135】
係合解除中のエネルギ損失を分析するために、以下のさらなる変数を定義できる:
【0137】
T
d 係合解除中にクラッチによって掛けられるトルク
【0138】
クラッチ係合解除によるエネルギ損失を分析するために、一定トルクT
dがクラッチによって掛けられるという仮定をする必要はない。係合のケースとは違って、係合解除期間t
dは、式(t
eの式19など)によって制約されない。変数t
dは、基本的に、クラッチの特性である。t
d<<t
1またはt
2というさらなる仮定が、係合解除中のエネルギ損失の理解を明確にするためになされる。この係合解除過程中、シャトルは、期間t
d中に著しくは減速しない。しかしながら
、分析を完了するために、
この期間tdの後の入力とシャトルとの速度差に関して、別の仮定をすることが必要になる。係合解除中のエネルギ損失に関する控えめな評価を得るために、速度差の過大評価がなされうる。このシナリオを理解するための別の方法は、シャトルが係合解除後に大きく速度を緩めないことである。したがって、これらの仮定により、係合解除中のクラッチ摩擦によるエネルギ損失は、以下のように書かれうる:
ΔE
dis.friction≦T
d(ω
in−(9ω
in)/10)t
d 式23
ΔE
dis.friction≦(T
dt
dω
in)/10 式24
【0139】
式19から
t
e=(ω
inI
s)/T
e 式25
【0140】
t
d=t
eおよびT
d=T
eと仮定すると、
t
d=(ω
inI
s)/T
e 式26
【0141】
式24に式26を代入すると、
ΔE
dis.friction≦T
d((ω
inI
s)/T
e)ω
in)/10 式27
ΔE
dis.friction≦(I
sω
in2)/10 式28
【0142】
式28を式22と比較すると、以下の式が得られる:
ΔE
dis.friction≦(1/5)ΔE
eng.friction 式29
【0143】
ここで、式29から、クラッチ係合解除時のエネルギ損失は、係合中のエネルギ損失と比較して小さいかまたは無視できるものでありうることがわかる。先の分析から、クラッチ操作によるエネルギ損失は、I
sに比例するということもできる。したがって、慣性I
sを低減することが有利でありうる。低慣性シャトルに関する例を、本開示の後のセクションに記載する。
【0145】
以下の手順は、上記の式からのkの計算後に、実際のバネを設計する方法を記載する。
螺旋トーションバネに対し、ケントのハンドブック
(コリン・カーマイケル(Colin Carmichael)編、「ケントの機械エンジニアのハンドブック(Kent’s Mechanical Engineer’s Handbook)」、設計と生産の巻(Design and Production Volume)、第12版、1950年、p.11−26からp.11−28)から、
θ=(M
0l)/(EQ) 式30
【0147】
式31に式30を代入すると、
k=(EQ)/l 式32
【0148】
ケントのハンドブックから、
Q=(bh
3)/(12) 式33
【0149】
式32に式33を代入すると、
k=(Ebh
3)/(12l) 式34
【0150】
また、ケントのハンドブックから、
σ
max=(6M
0)/(bh
2) 式35
【0151】
これに基づいて、バネを設計する以下の方法に従うことができる。
【0153】
工程2:式35に基づいてhを計算する。
h=√((6M
0)/(bσ
max))=√((6T
max)/(bσ
max)) 式36
【0154】
工程3:hが応用例にとって妥当でない場合、新たなbを選んで、工程2を繰り返す。そうでない場合には、工程4へ進む。
【0155】
工程4:lを計算する。
l=(Ebh
3)/(12k) 式37
【0157】
式22に戻ると、クラッチの係合によるエネルギ損失は、シャトルの慣性に比例することが示された。したがって、シャトルの慣性を最小化することが有利である。
図3Aでわかるように、トーションバネ431は、シャトル425に結合され、それと共に動きうる。便宜上、シャトルに結合されたバネの端部を「内側端」と呼ぶこととする。バネの他方の端部は、バネケース435に結合されてよい。簡便宜上、バネケースに結合されたバネの端部を「外側端」と呼ぶこととする。バネの外側端は、内側端に比べて比較的ゆっくりと動きうる。したがって、バネの内側端の慣性は、シャトルの慣性と同じ程度までエネルギ損失に寄与しうるが、外側端の慣性は、低いエネルギ損失への影響を有しうる。以下の例では、内側端および外側端の間の差が利用される。他の例においては、重さを軽くして慣性を小さくすることができるように、シャトルサイズが縮小される。
【0158】
図9Aは、低慣性を有するシャトルを備えた駆動メカニズムの例を示しており、バネの内側端および外側端の間の慣性の差が利用される。
図9Aは、クラスD機械的類似物に関する例を示すが、同じアプローチが、buck回路機械的類似物に適用されてもよい。
図9Aは、装置1200の断面図を示す。
図9Aにおいて、シャトルは、1205で示されている。シャトルは、2つの一方向クラッチ1210Aおよび1210Bの
一方に結合されてよい。入力ハブは、1215Aおよび1215Bとして示されており、一方向クラッチ1210Aおよび1210Bの
反対側に結合されてよい。入力ハブは、定速モータなどの外部アクチュエータにも結合されてよい。上述のように、一方の入力ハブは、外部モータの方向に回転してよく、もう一方は、逆転ギアが外部モータの出力と入力ハブとの間に存在しうるので、反対方向に回転してよい。外部モータの入力ハブへの結合は、
ギア1220Aおよび1220Bで示されている。入力ハブの回転は、電気積層円板クラッチ、
または、機械式または電気積層作動
ラップバネクラッチを含むがこれらに限定されない様々なメカニズムによってシャトルに結合されてよい。図には、
ラップバネクラッチが示されている。バネ1225Aおよび1225Bは、それぞれ、入力ハブ1215Aおよび1215Bをシャトル1205に結合することが示されている。バネ1225Aおよび1225Bの各々は、それぞれの入力ハブおよびシャトルの一端に巻き付いている。例えば、バネ1225Aは、入力ハブが回転した場合に、バネ1225Aがそれと共に回転し、シャトルの左部分に巻き付き、結果として、入力と同じ方向にシャトルに回転を与えるように、入力ハブ1215Aおよびシャトル1205の左部分に巻き付く。他方の入力ハブ1215Bは、入力ハブ1215Aと反対方向に回転しうることに注意して、バネ1225Bは、同様にシャトルの右部分に運動を伝える。各バネは、タブ1228Aおよび1228Bを有しており、それぞれのタブは、リング1227Aおよび1227Bに固定的に結合されてよい。リング1227Aおよび1227Bは、ギア付きであってよく、所定の位置に保持された時に入力ハブと共に動きうるか、または、入力ハブに対して滑りうるように、入力ハブに結合されてよい。リング1227Aおよび1227Bのギアは、係合メカニズム1229Aおよび1229Bと係合する。ここで、リング1227Aおよび1227Bと係合メカニズム1229Aおよび1229Bとの機能について、リング1227Aの一部と係合メカニズム1229Aとの正面図を示す
図9Bを用いて説明する。他方のリングおよび係合メカニズムは同一であるため、図示しない。係合メカニズムは、矢印1276に沿って二方向に移動されうる。係合メカニズムは、ギア付きリングの歯と係合し、リングの回転を止めることができる。あるいは、係合メカニズムは、ギア付きリングから離されることで、位置リングの回転を可能にしうる。
【0159】
図9Aに戻ると、例えば、係合メカニズム1229Aがリング1227Aと係合すると、バネ1225Aのタブは、所定の位置に保持され、バネは、入力ハブ1215Aに巻き付くことができなくなる。これが起きると、シャトルに回転が与えられない。係合メカニズム1229
Aがリング1227Aから係合解除されると、タブ1228Aは、もはや所定の位置に保持されず、バネは、入力ハブおよびシャトルを締め付けて、入力ハブの回転がシャトルに与えられるようにする。係合メカニズム1229Bおよびリング1227Bの動作は、正確に同じであるため、説明しない。係合メカニズム1229Aおよび1229Bは、適切なモータによる機械的方法またはソレノイドによる電磁気的手段を含むがこれらに限定されない多くの周知の方法の1つで作動されてよい。したがって、上記のメカニズムにより、シャトルに回転が与えられうる。
【0160】
シャトル1205は、管1265に固定的に結合されてよく、管1265は、装置1200のハウジング内で1238などのベアリングに支持されて回転してよい。明確にするために、ベアリングの一部のみが図示されている。ハウジングは、1232で示されており、シャトルの両側にある。ハウジングは、独立した部材であってもよいし、ロボットのフレームなど、より大きいシステムの一部であってもよい。管1265は、2つの部分1235および1240を有してよい。概してシャトルの左側に図示された管1265の部分1235は、シャトルおよび入力ハブ1215Aが回転するための機械的支持を提供する。したがって、図に示すように、入力ハブ1215Aは、ベアリング上の管の部分1235上で回転しうる。概してシャトルの右側に図示された管1265の部分1240は、管状のトーションバネであってよい。シャトル、管の部分1235および管の部分1240のすべてが、物理的にワンピースであってよいが、各部材が、異なる構成要素でできていてもよい。さらに、管1265の部分1235および1240は、スナップリング1230Aおよび1230Bを配置するための構造を提供してよい。これらのスナップリングは、入力ハブおよびシャトルを所定の位置に保持する手段を提供しうる。上述の部分1235は、単に、バネ様の性質を持たない管であるため、シャトルが回転するのと同様に回転しうる。しかしながら、上述のように、部分1240は、管状のトーションバネであってよく、その動作について以下に述べる。
【0161】
図に見られるように、管1265の部分1240は、シャトルから別のハブ1245まで伸びる。便宜上、ハブ1245を「中間ハブ」と呼ぶこととする。中間ハブ1245は、後にバネケース1250に囲まれてよいトーションバネ1255に結合されてよい。バネケースは、中間ハブ上にベアリング1238によって支持されてよい。バネケースは、出力ギアまたはハブ1260に結合されてよい。ギア1260は、別のギア1275を駆動してよく、別のギア1275は、装置1200の最終出力ハブを形成してよく、負荷に結合されてよい。出力ギアは、ハウジング1232上にベアリン
グによって支持されてよい。出力ギアを支持するハウジングは、シャトルおよび入力ハブを支持するハウジングと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0162】
ここで、装置1200の動作について説明する。バネ1225Aおよび1225Bは、
図2で上述したのと同様に作動されてよい。したがって、バネ1225Aおよび1225Bの係合および係合解除の適切なシーケンスを適用することにより、シャトル1205は、所望の速度および方向に回転させられうる。しかしながら、この装置のシャトルは、
図3Aのシャトルよりも特に幅の寸法が小さくなりうる。幅の寸法は、図の矢印1271によって示されている。シャトルが小さいほど、重量が軽く、慣性が小さくなる結果として、バネ1225Aおよび1225Bの係合過程でのエネルギ損失が小さくなる。さらに、シャトルは、
図3Aのトーションバネの代わりにトーション管1240に結合されており、これは、慣性ひいてはエネルギ損失に影響がある。当業者に周知のように、トーション管は、通例、所与の重さについてトーションバネよりも多くのエネルギを蓄える。これは、トーション管およびトーションバネの両方が同じエネルギを蓄える必要があるとすると、シャトルの内側部分に結合されたトーション管の重量が、同じシャトルに結合されうるトーションバネよりも小さくなりうることを意味する。上述のように、バネの内側部分は、シャトルとしてエネルギ損失に寄与するが、より軽い重量のトーション管を用いることによって、エネルギ損失が削減される。さらに、図に示すように、トーションバネが用いられてよい装置の外側部分は、シャトルから部分的に分離されてよい。トーションバネの重量にかかわらず、シャトル慣性への影響が低減されうる。トーション管を用いることにより、より小さいシャトルを利用でき、バネの内側部分および外側部分の間の差を利用して、エネルギ損失が低減される装置を提供できることがわかる。
【0163】
周知のように、トーション管は、トーションバネよりも効率的にエネルギを蓄えるが、トーション管の長さは長くなりうる。また、周知のように、トーション管は、一つには長さのために、座屈を起こしやすい場合がある。したがって、いくつかの例において、リブ(これに限定されない)などの支持構造が、座屈を防ぐために、トーション管に結合されてよい。
図9Aにおいて、リブは、1280で示されている。これらの支持構造は、管の外側に配置されてもよいし、いくつかの他の構成においては、管の内側に配置されてもよい。1またはいくつかの支持構造があってよい。
【0164】
いくつかの応用例において、長いトーション管を組み込むことが便利ではない場合がある。
図9Aにおいて、トーション管の長さは、矢印1272で示されている。したがって、管の長さを短くできる別の例を以下に記載する。
図9Cは、かかる例を示している。
図9Cは、同軸トーション管を示している。トーション管の部分のみが図示されている。図は、3つの部分を備えた管を示しているが、より多くの部分が存在してもよい。部分1310は、トーション管1240が
図9Aにおいてシャトルに結合されうるのと同様に、シャトル1205に結合されてよい。部分1310は、図に示すように、フランジ1315を有してよい。フランジ部分は、ネジまたはナットを収容するための穴(ネジ穴など)を有してよい。両側に1つずつのフランジ1325および1326を備えた第2部分1320(これもトーション管)が、第1部分を覆って同軸に配置されてよい。部分1320のフランジも、部分1310の穴と同様の穴(ネジ穴など)を有してよい。第2部分は、その主長さ方向が、部分1310の主長さ方向に比べて逆になるように配置される。第1および第2部分は、ネジまたはナットを収容するための穴を有しうる円板1335によって結合されてよい。1340などのナットが、第1および第2部分を結合するために用いられてよい。円板1335の正面図を
図9Dに示しており、穴は1341で示されている。1つの穴のみが符号を付されている。結合板1345が
図9Eに示すリングであってよいことを除いて同様に、これもトーション管であってよい第3部分が、第2部分と同軸に結合されてよい。
図9Cにおいて、第3部分は、
図9Aの中間ハブ1245に結合される。ただし、いくつかの例において、4以上の部分があってもよい。
図9Cは、同様の壁厚を有する各部分を示しているが、別の例において、各部分の壁厚が異なっていてもよい。さらに、
図9Cは、耐座屈支持構造を示していないが、
図9Cのこの構成にも同様に存在してよい。概して、
図9Cは、同軸管を用いることにより、矢印1350で示す突出長さが、
図9Aの矢印1272によって示した長さよりも短くなりうることを示している。突出長さは、1300の折り返しの特徴を無視する。したがって、入力部分および出力部分の間の距離が短いことが求められる応用例においては、
図9Cの構成が利用されてよい。
【0166】
図10Aおよび
図10Bは、
図2Bのクラッチ319Aおよび319B、
図3Aの415Aおよび415B、ならびに、
図7Aの1010Aおよび1010Bなど、電気制御可能なクラッチとして利用できる電気積層クラッチの例を示す図である。電気制御可能なクラッチ装置における効果的な結合を高めるために、様々な手段が用いられうる。当業者が理解するように、様々な電気制御可能な結合技術が、電気制御可能なトランスミッションの異なる例での利用に適合されうる。
【0167】
例えば、電気積層効果、電気吸着、静電グリップ、および、関連用語は、一般に、静電力を用いた2つの物体の機械的結合を指す。電気吸着は、本明細書で説明するように、静電力を電気的に制御することで、2つの物体間の一時的かつ着脱可能な連結を可能にする。この電気吸着は、印加された電場によって生じる静電力によって、これらの物体の2つの表面を結び付ける、または、2つの物体間の静止摩擦または摩擦を増大させる。電気吸着の特徴は、一般に、非作動時の小さい滑り、高いせん断力、および、低い剥離力を含む。
【0168】
上述したクラッチの円板の間の係合技術の一例において、電気積層効果は、表面の間(この場合にはクラッチ円板の間)の静電力に依存して、円板の間のクランプを達成する。例えば、
図10A〜
図10Bにおける円板416および417の対向する面が、2つの電気積層面を形成しうる。これらの構成により、クラッチ415が、制御可能かつ可逆的に係合される。或るアプローチにおいて、電気吸着すなわち電気制御された可逆的な吸着は、
図10A〜Bの円板416および417の対向する面の間に電圧差(高レベルDC電圧など)を印加することによって得られ、円板間の静止摩擦力を高める静電引力を生み出しうる。例えば、
図11の電圧制御回路1380は、円板416および417と電気的に接続されており、高電位差を印加することで、円板に電気積層効果を誘導し、それらをクランプする。
【0169】
図10Aおよび
図10Bは、電気吸着の例を示しており、ここで、電極が、円板416および417の一方に設けられ、電気吸着電圧が、円板間の静止摩擦を高めるために、それらの電極に印加される。
図10Aの例において、円板417には、少なくとも一対の隣接する電極1350および1352を設けられ、それらは互いに電気的には絶縁されており、ここで、例えば、各電極は、円板417に埋め込まれた導電材料のループである
。図10Aの例に示すように、複数対の電極が円板417に設けられてよいことに注意されたい。例えば、電圧
調整回路138
6によって生み出された静電吸着電圧は、電気吸着効果を生むために隣接する電極1350および1352に印加される交互の正
電圧および負
電圧を有する。電圧は、リングおよびブラシなどの様々な技術を通して電極1350および1352に印加されてよく、これは、当業者には容易に理解される。
【0170】
電極1350および1352の間の電圧差の結果として、電場が円板417の誘電体表面に形成される。電場は、誘電材料を局所的に分極させるため、電極1350および1352ならびに円板417と、円板416の誘導材料に誘導された電荷との間に、静電吸着を引き起こす。誘導電荷は、誘電分極の結果であるか、または、弱い導電材料および漏れ電流から生じうるが、電気制御可能な係合技術の例は、図示された例によって限定されない。例えば、誘導された静電力は、ジョンソン・ラーベック効果を用いて、より低い電力レベルにおいて、さらに大きい力を提供してもよい。
【0171】
したがって、静電吸着電圧は、円板417と円板416の表面の下の材料との間に静電力を提供して、それらの間の静止摩擦を高め、クラッチ415を係合させる。静電吸着電圧を取り除くと、円板416および417の間の静電吸着力が止まり、これは、それらの間の静止摩擦を低減し、クラッチを係合解除する。静電吸着電圧は、
図2C〜K、
図4、および、
図5Aの波形に関して上述したように、オン期間中にクラッチの円板を係合させるために印加され、オフ期間中に円板を係合解除するために取り除かれる。
【0172】
図10Bは、別の例を示しており、1または複数対の隣接する電極1350および1352が円板416に提供されている。電極1350および1352に印加された静電吸着電圧は、円板417の誘電材料を局所的に分極させて電極1350および1352と円板416および円板417の誘電材料に誘導された電荷との間の静電吸着を引き起こす電場を円板416の誘電体表面に形成する。したがって、円板416および417の間の静止摩擦力は、電極1350および1352への静電吸着電圧の選択的印加によって電気的に制御されてよい。
【0173】
図11は、電圧制御回路1380の単純化した一例を示しており、ここで、例えば、マイクロプロセッサまたはマイクロコントローラであってよい制御回路1382が、電極1350および1352を介してクラッチの円板に印加される静電吸着電圧信号を調整しうる調整回路1386を制御する。電源1384(例えば、バッテリまたは電力供給部など)が、電圧制御回路1380に動作電力を供給し、電極に印加される静電吸着電圧信号のための電力を供給する。制御回路1382が、調整回路1386にクラッチの円板への静電吸着電圧を出力させることによってトランスミッションを係合し、調整回路1386に静電吸着電圧の生成を止めさせることによってトランスミッションを係合解除しうる。この構成は、図
10Bのクラッチ415の円板416および417など上述したクラッチの円板が、電圧制御回路1380の制御下で制御可能および可逆的に結合されるようにする。
【0174】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載された静電吸着は、迅速な係合および係合解除の時間を可能とし、ほとんど瞬時といってもよい。係合および係合解除の速さは、いくつかの手段によって増大されてよい。電極が、より狭い線幅および近い間隔で構成されている場合、静電吸着力を確立するために電荷が流れるのに必要な時間が短くなるので、速度は、導電性または弱い導電性の基板(例えば、電極を含まないクラッチ円板416および417)を用いて高められる。基本的に、電極および基板を備えた両方の電気吸着装置(例えば、円板416または417など)を含む分布抵抗容量回路のRF時定数が低減される。より高い電圧を用いて、より迅速に所与のレベルの静電吸着力を確立することも可能であり、電圧を一時的にオーバードライブして電荷分布および適応を迅速に確立することによって、速さを増大させることも可能である。係合解除の速さを増大させるために、一定の速度で電極の極性を効果的に逆転させる駆動電圧が利用されてよい。かかる電圧は、電荷が、誘電体基板材料内に蓄積することを防止するため、より速い係合解除を可能にする。あるいは、必要な駆動電力を追加して、放電時間を速くするために、電極の間に、中程度の導電性の材料を用いてもよい。これらの形態の静電吸着電圧は、
図2C〜K、
図4、および、
図5Aの波形に関して上述したように、オン期間中にクラッチの円板を係合するために印加され、オフ期間中に円板を係合解除するために取り除かれてよい。
【0175】
本明細書で用いられているように、静電吸着電圧とは、静電吸着装置(例えば、電極を備えた円板)を基板(例えば、誘電体表面材料を備えた円板)に結合するために適切な静電力を発生させる電圧を意味する。電気吸着装置に必要な最小電圧は、以下の多くの要因で変化する:例えば、電気吸着装置のサイズ;電極の材料導電率および間隔;電極間の絶縁材料;誘電体表面材料;ほこり、その他の粒子、または、湿気など、電気吸着への任意のかく乱要因の存在;電気吸着装置に機械的に結合された任意の構造の重さ;電気吸着装置の適合性;基板の誘電特性および抵抗特性;ならびに、電極と基板との間の関連ギャップ。一実施形態では、静電吸着電圧は、約500ボルト〜約10キロボルトの電極間の差動電圧を含む。特定の実施形態では、差動電圧は、約2キロボルト〜約5キロボルトの間である。1つの電極の電圧はゼロになりうる。また、交互の正および負の電荷が、隣接する電極に印加されてもよい。
【0176】
図11の例に戻ると、制御回路1380は、適切な静電吸着電圧が電極1350および1352に印加される時を決定するよう構成されている。回路1380は、静電吸着電圧が印加される時と、電圧信号の特性の一部(大きさなど)とを決定するオン/オフ信号を供給するプロセッサまたはコントローラ1382を備えてよい。回路1380は、静電吸着装置の充放電サイクルに関する時間を決定してもよい。制御回路1382の制御下で生成されうるオン/オフ信号スキームの例は、
図2C〜K
、図4および
図5Aに関連して図示および上述している。
【0177】
調整回路1386は、以下の動作の内の1または複数を実行するよう構成された任意の回路を含みうる、電圧逓増(電極1350および1352に電圧を印加する際に利用される)、ACおよびDC電力間の変換、電圧の平滑化、ならびに、蓄積された静電エネルギの回収。調整回路1386は、低電圧バッテリが電源1384として用いられる場合に、かかるバッテリから電力を受けるよう設計されてよい。例えば、ロボット工学用途では、調整回路1386は、従来のバッテリ(40ボルト未満のものなど)から電圧を受けて、その電圧を、1キロボルトを超える静電吸着電圧に上昇させてよい。バッテリなどの低電圧電源の代わりに、多くの手持ち式の計算機で利用されているものと同様の小型太陽電池パネルなど、別の電源を用いてもよい。一実施形態では、調整回路1386は、本明細書に記載した静電吸着電圧への電圧逓増を実現するよう構成された変圧器またはスイッチング電源を備える。具体的な一実施形態では、調整回路1386は、カリフォルニア州サッタークリーク、フォレストプロダクツロード70のEMCO High Voltage社が提供するモデルNo.Q50−5を含む。導電性のリードが、調整回路1386から電極1350および1352へ伸びる。
【0178】
静電吸着装置の構成によっては、より複雑な充電制御回路が開発されてもよく、
図11の例には限定されない。また、回路機能の一部が統合されてもよい。例えば、1つの集積回路が、制御
回路1382
および調整回路1386の制御を実行してもよい。
【0179】
電気吸着装置に供給される電圧は、様々であってよい。一実施形態では、AC駆動が電極に対して用いられる。一部の例では、誘電基板における静電力は、安定したDC駆動下で時定数にわたって緩和しうる。この現象は、電荷をトラップした場合の絶縁体でも起こりうる。しかしながら、電極の各々における電荷の極性を高頻度で交代させることにより、静電力を維持または強化することができる。具体的な一実施形態では、AC信号は、1Hz以上の周波数を有する。それよりも高いまたは低い他の周波数が用いられてもよい。別の実施形態では、複数セットの電極が、時間オフセットまたは位相シフトされた複数のAC電圧を印加されて利用される。これは、あるセットのAC電圧が一時的に0電圧差を通過する時に、別のセットの電極が静電吸着力を維持することを可能にする。別の実施形態では、DC駆動が、電極に提供されてよい。DC駆動の例の一部では、電圧がオフに切り替えられた時に迅速な解除を実現するために、適度に低い絶縁体の抵抗が、漏れ経路を提供してよい。別の例では、所望の時に解除を行うために、DC駆動と逆極性の一定量の電荷が、電極にパルス供給されてよい。この場合、一定量の電荷は、電気吸着装置(例えば、電気制御可能なクラッチの円板)と等しい静電容量を有する外部のコンデンサまたは調整回路1386の一部であるコンデンサから供給されてよい。
【0180】
電気吸着装置の切り替え時間および応答時間は、電気装置、および、電極に印加される信号によって異なる。例えば、5Hzの信号は、時間周期の10分の1の電圧上昇時間を有し、20ミリ秒の充放電サイクルを提供しうる。
【0181】
一般に、電気吸着は、電気吸着装置(例えば、電極を備えた円板)と、誘電体基板(例えば、誘電体円板)との間の静止摩擦力を高めるために、少量の電力を必要とする。静電吸着は、主に、容量性の効果と考えてよいため、所要電力は小さい。これは、漏れ電流を最小限に抑えるために絶縁材料の適切な選択をすれば、無効電力が小さいままになることを示している。絶縁材料の抵抗率は、漏れ電流が許容可能である限りは、トラップされた電荷が問題になる場合に、低減されてよい。
【0182】
本明細書に記載の電気的制御可能な動力トランスミッションの様々な例での利用に適しうるいくつかの静電吸着電圧に関するさらなる情報は、同一出願人による米国特許第7,551,419号「Electroadhesion」、ならびに、米国特許第7,554,787号および第7,773,363号および米国特許出願公開第20130010398号に記載されており、これらは、すべての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0183】
静電技術の他の例が、ここに記載した電気制御可能なトランスミッションでの利用に適しうる。例えば、静電グリップが、半導体製造を含む多様な業界で長年にわたって用いられており、その例は、米国特許第5,103,367号「Electrostatic Chuck Using A.C. Field Excitation」、米国特許第5,325,261号「Electrostatic Chuck with Improved Release」、米国特許第6,922,324 号「Remote Powering of Electrostatic Chucks」に示されている。
【0184】
米国特許第7,592,727号「Quiet Load for Motor Testing」に記載された渦電流ブレーキング、または、米国特許第5,856,710号「Inductively Coupled Energy and Communication Apparatus」に記載された誘導結合など、電気制御可能な結合の他の形態が、本明細書に記載の電気制御可能なトランスミッションの例での利用におそらく適合されうる。例えば、別の円板の電磁石と係合する電磁石を外面に隣接して備えた円板を備え、電磁石が、円板の間のトルク伝達を提供するために交互の極性を有するよう構成された別の電気制御可能な結合アプローチが、いくつかの例に適合されてもよい。磁気結合に関するさらなる情報は、Magnetically Coupled Drive−OpenROV R&D(https://forum.openrov.com/t/magnetically−coupled−drive/30)に記載されており、米国特許第5,569,967号「Magnetic Gear and Gear Train Configuration」に磁気ギアリング技術の一例が記載されている。これらの参照文献も、すべての目的のためにその全体が参照によって組み込まれる。
【0185】
本明細書に引用した出版物、特許出願、および、特許を含むすべての参照文献は、各参照文献が、参照によって組み込まれることを個別に具体的に示されているおよび/または本明細書にその全体が明記されているかのように、同程度まで参照によって本明細書に組み込まれる。
【0186】
本明細書および以下の特許請求の範囲における用語「a」および「an」および「the」ならびに同様の指示語は、本明細書に別段の指示もなく、文脈との明らかな矛盾もない限りは、単数および複数の両方を網羅すると解釈されるべきである。明細書および以下の特許請求の範囲における用語「having」、「including」、「containing」、および、同様の指示語は、特に断りのない限りは、開放型用語(例えば、「〜を含むが、〜に限定されない」ことを意味するもの)として解釈されるべきである。本明細書の値の範囲の記載は、本明細書に別段の指示がない限りは、範囲内に包括的に収まる各個別の値を個々に参照する簡単な方法として機能することを単に意図されたものであり、各個別の値は、本明細書に個々に記載されたかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載のすべての方法は、別段の指示もなく、文脈との明らかな矛盾もない限りは、任意の適切な順序で実行できる。本明細書におけるあらゆる例、または、例示語(例えば、「など」)の利用は、本発明の実施形態をより理解しやすくするよう意図されたものにすぎず、他の方法で請求されていない限りは本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中の表現は、本発明の各実施形態に不可欠な非請求の要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0187】
図示または上述した構成要素の異なる構成、ならびに、図示も記載もされていない構成要素および工程も可能である。同様に、いくつかの特徴およびサブコンビネーションが有用であり、他の特徴およびサブコンビネーションへの参照なしに利用されてよい。本発明の実施形態は、限定ではなく例示のために記載されており、別の実施形態が、本特許の読者にとって明らかになる。したがって、本発明は、上述または図示した実施形態に限定されず、様々な実施形態および変形例が、本発明の範囲から逸脱することなしに実現可能である。
本発明は以下の適用例としても実現できる。
[適用例1]
電気制御可能なトランスミッションシステムであって、
動力源から動力を受けるための第1入力ハブと、
前記第1入力ハブに結合されるよう構成された第1部分と第2部分とを有する第1電気制御可能クラッチであって、前記第1および第2部分は、動力が前記第1部分から前記第2部分に伝達されるように、電気制御可能に互いに結合されるよう構成されている、第1電気制御可能クラッチと、
前記第1電気制御可能クラッチの前記第2部分に結合されたシャトルと、
前記シャトルを固定シャーシに結合するよう構成された第1一方向クラッチと、
出力ハブと、
前記シャトルを前記出力ハブに結合するバイアス部材と、
を備える、システム。
[適用例2]
適用例1に記載の電気制御可能なトランスミッションシステムであって、
前記電気制御可能クラッチの前記第1および第2部分は、電気吸着で係合されるよう構成されている、システム。
[適用例3]
適用例2に記載の電気制御可能なトランスミッションシステムであって、
前記第1電気制御可能クラッチは、さらに、電気積層円板クラッチ、電気積層作動ラップスプリングクラッチ、および、電磁作動ラップスプリングクラッチの内の1つを含む、システム。
[適用例4]
適用例1に記載の電気制御可能なトランスミッションシステムであって、
前記シャトルを前記出力段に結合するバイアス部材は、さらに、トーションバネおよびトーション管の内の少なくとも1つを含む、システム。
[適用例5]
適用例1に記載の電気制御可能なトランスミッションシステムであって、
前記システムは、さらに、buck回路およびクラスD回路の少なくとも一方の機械的等価物を用いて、前記第1電気制御可能クラッチの係合期間および係合解除期間を制御するよう構成された制御回路を備える、システム。
[適用例6]
適用例5に記載の電気制御可能なトランスミッションシステムであって、
前記制御回路は、パルス幅変調およびパルス周波数変調の一方を用いて前記出力ハブでのトルクレベルを維持するために、前記第1電気制御可能クラッチの前記係合期間および係合解除期間を制御するよう構成されている、システム。
[適用例7]
適用例1に記載の電気制御可能なトランスミッションシステムであって、
前記第1一方向クラッチは、代わりに、前記シャトルを前記第1入力ハブに結合し、前記システムは、さらに、
前記動力源から動力を受けるための第2入力ハブと、
前記第2入力ハブに結合されるよう構成された第1部分と第2部分とを有する第2電気制御可能クラッチであって、前記第1および第2部分は、動力が前記第1部分から前記第2部分に伝達されるように、電気制御可能に互いに結合されるよう構成されている、第2電気制御可能クラッチと、
前記第2電気制御可能クラッチの前記第2部分を前記第2入力ハブに結合する第2一方向クラッチと、
を備え、
前記シャトルは、前記第1入力ハブが或る回転方向に回転し、前記第2入力ハブが逆の回転方向に回転するように、前記第1および第2電気制御可能クラッチの前記第2部分を接続する、システム。
[適用例8]
適用例7に記載の電気制御可能なトランスミッションシステムであって、
前記システムは、さらに、buck回路およびクラスD回路の少なくとも一方の機械的等価物を用いて、前記第1および第2電気制御可能クラッチの係合期間および係合解除期間を制御するよう構成された制御回路を備える、システム。
[適用例9]
適用例8に記載の電気制御可能なトランスミッションシステムであって、
前記制御回路は、さらに、パルス幅変調およびパルス周波数変調の一方を用いて前記出力ハブでのトルクレベルを維持するために、前記第1および第2電気制御可能クラッチの前記係合期間および係合解除期間を制御するよう構成されている、システム。
[適用例10]
モータから動力を電気制御可能に伝達するための方法であって、
動力源からの動力を第1入力ハブで受ける工程と、
動力が前記第1入力ハブからシャトルへ電気制御可能に伝達されるように、前記第1入力ハブを前記シャトルへ電気制御可能に結合する工程と、
前記シャトルと固定シャーシとの間の一方向回転を提供する工程と、
エネルギが蓄積され、出力ハブが回転した時にバイアス部材から放出されるように、前記バイアス部材で前記シャトルを前記出力ハブに結合する工程と、
を備える、方法。
[適用例11]
適用例10に記載の動力を電気制御可能に伝達するための方法であって、
前記第1入力ハブを前記シャトルへ電気制御可能に結合する工程は、さらに、前記第1入力ハブを前記シャトルへ電気吸着で結合する工程を含む、方法。
[適用例12]
適用例11に記載の動力を電気制御可能に伝達するための方法であって、
前記第1入力ハブを前記シャトルへ電気制御可能に結合する工程は、さらに、電気積層円板クラッチ、電気積層作動ラップスプリングクラッチ、または、電磁作動ラップスプリングクラッチの内の1つを用いる工程を含む、方法。
[適用例13]
適用例10に記載の動力を電気制御可能に伝達するための方法であって、
前記シャトルを前記出力ハブに結合する工程は、さらに、トーションバネおよびトーション管の少なくとも一方を用いて、前記シャトルを前記出力ハブに結合する工程を含む、方法。
[適用例14]
適用例10に記載の動力を電気制御可能に伝達するための方法であって、
前記第1入力ハブを前記シャトルへ電気制御可能に結合する工程は、さらに、buck回路およびクラスD回路の少なくとも一方の機械的等価物を用いて、前記第1入力ハブとシャトルとの係合期間および係合解除期間を制御する工程を含む、方法。
[適用例15]
適用例14に記載の動力を電気制御可能に伝達するための方法であって、
前記第1入力ハブとシャトルとの係合期間および係合解除期間を制御する工程は、さらに、パルス幅変調およびパルス周波数変調の一方を用いて、前記係合期間および係合解除期間を制御する工程を含む、方法。
[適用例16]
適用例10に記載の動力を電気制御可能に伝達するための方法であって、さらに、
前記動力源からの動力を第2入力ハブで受ける工程と、
動力が前記第2入力ハブから前記シャトルへ電気制御可能に伝達されるように、前記第2入力ハブを前記シャトルへ電気制御可能に結合する工程と、
前記第2入力ハブと前記シャトルとの間の一方向回転を提供する工程と、
を備え、
前記シャトルと固定シャーシとの間の一方向回転を提供する一方向回転を提供する工程は、さらに、前記第1入力ハブが或る回転方向に回転し、前記第2入力ハブが逆の回転方向に回転するように、前記第1入力ハブと前記シャトルとの間の一方向回転を提供する工程を含む、方法。
[適用例17]
適用例10に記載の動力を電気制御可能に伝達するための方法であって、さらに、
前記出力ハブでのトルクレベルを維持するために、前記第1および第2入力ハブとシャトルとの係合期間および係合解除期間を制御する工程を備える、方法。
[適用例18]
適用例17に記載の動力を電気制御可能に伝達するための方法であって、
前記第1および第2入力ハブとシャトルとの係合期間および係合解除期間を制御する工程は、さらに、パルス幅変調およびパルス周波数変調の一方を用いて、前記第1および第2入力ハブとシャトルとの係合期間および係合解除期間を制御する工程を含む、方法。
[適用例19]
電気制御可能な動力トランスミッション装置であって、
動力が第1入力ハブからシャトルへ電気制御可能に伝達されるように、前記第1入力ハブを前記シャトルへ電気制御可能に結合するための手段と、
前記シャトルと固定シャーシとの間の一方向回転を提供するための手段と、
エネルギが蓄積され、出力ハブが回転した時にバネから放出されるように、バイアス部材で前記シャトルを前記出力ハブに結合するための手段と、
を備える、装置。
[適用例20]
適用例19に記載の電気制御可能な動力トランスミッション装置であって、
さらに、前記出力ハブでのトルクレベルを維持するために、前記第1入力ハブとシャトルとの係合期間および係合解除期間を制御するための手段を含む、装置。