特許第6386131号(P6386131)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6386131
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】電気柵用支柱
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/30 20110101AFI20180827BHJP
   A01M 29/24 20110101ALI20180827BHJP
   A01K 3/00 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   A01M29/30
   A01M29/24
   A01K3/00
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-90232(P2017-90232)
(22)【出願日】2017年4月28日
【審査請求日】2017年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】391024722
【氏名又は名称】タイガー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073689
【弁理士】
【氏名又は名称】築山 正由
(72)【発明者】
【氏名】尾田 英登
(72)【発明者】
【氏名】阿呉夢 相達
(72)【発明者】
【氏名】山田 勇人
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4303780(JP,B1)
【文献】 特開2010−246459(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第956036(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 − 99/00
F16B 7/04
F16B 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端が尖った下部支柱と、当該下部支柱の上部に接続される上部支柱と、上部支柱と下部支柱とを、その空洞部の両端から差し込み接合する筒状のジョイントとにより成る電気柵用支柱であって、
下部支柱の基端側端部及び上部支柱の先端側端部それぞれに、外周に凸部を備えた円筒形部材を嵌め込んだこと、
ジョイントの周面に設けた孔部内に延設された板体と、該板体の先端に延設方向に直行し、且つ、空洞部側に突設した板材とから成る爪を、上記各凸部に係止される形態で設けたこと、
を特徴とする電気柵用支柱。
【請求項2】
凸部が嵌まる溝を、ジョイントの内周面の両端部に設けた請求項1に記載の電気柵用支柱。
【請求項3】
下部支柱の上端及び上部支柱の上端それぞれに着脱可能な蓋を備えた請求項1又は請求項2に記載の電気柵用支柱。
【請求項4】
先端が尖った下部支柱と、当該下部支柱の上部に接続される上部支柱と、上部支柱と下部支柱とを、その空洞部の両端から差し込み接合する筒状のジョイントとにより成る電気柵用支柱であって、
下部支柱の基端側の外周、上部支柱の先端側の外周にそれぞれ凸部を設けたこと、
ジョイントの周面に設けた孔部内に延設された板体と、該板体の先端に延設方向に直行し、且つ、空洞部側に突設した板材とから成る爪を、上記各凸部に係止される形態で設けたこと、
を特徴とする電気柵用支柱。
【請求項5】
凸部が嵌まる溝を、ジョイントの内周面の両端部に設けた請求項5に記載の電気柵用支柱。
【請求項6】
下部支柱の上端及び上部支柱の上端それぞれに着脱可能な蓋を備えた請求項4又は請求項5いずれかに記載の電気柵用支柱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害動物類の侵入防止のために設置される電気柵を支持する支柱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、イノシシ、サル、シカなどの野生動物の個体数の増加や生息環境の変化に伴って、田畑や果樹園などの農作物を食い荒らす、いわゆる食害が大きな社会問題となっている。また、山林や牧場、ゴルフ場などにも動物類が侵入してさまざまな被害をもたらしている。
【0003】
このような有害動物による食害などを防止するために、従来から種々の方法が採用されているが、その代表的なものに電気柵と呼ばれる電気ショックにより痛みを感じさせることによって動物を退散させる方法がある。これは支柱などによって支えられた、それぞれがプラスあるいはマイナスの電極に接続された裸電線に高電圧のパルス電圧を印加し、これらの裸電線のプラス極とマイナス極に触れた動物に電気ショックによる痛みを感じさせることによって退散させ、侵入を防ぐものである。
【0004】
このように電気ショックによる痛みを与えることで有害動物を退散させる方法は、痛みを感じて退散させるという効果だけではなく、たびたび痛みを受けることによる学習効果で近寄らなくなるという効果も併せ持っていること、設置と運転が容易で、コストも比較的低いことなどから最近よく利用されている。
【0005】
このような電気柵には、図28に示すように、地面(アース)とプラス電極に接続された裸電線、あるいはマイナス電極に接続された裸電線とプラス電極に接続された裸電線との間の電気絶縁性を得るために電気絶縁性を有する支柱1と碍子2が用いられている。支柱1は、電気絶縁性のある合成樹脂を表面に被覆した鋼管や合成樹脂製の棒などを用いている。碍子2は、多くの場合、支柱1に固定するための部分と、沿面放電を防ぐための溝と裸電線3を巻き付けたり、引っ掛けて取り付けるための溝が設けられた部分からなっている。この支柱1に猪4その他の動物の侵入してくる側に向けて絶縁性の碍子2を固定し、この碍子2の溝部分5に裸電線3を巻き付けるか、引っ掛けるなどして取り付けている。
【0006】
上記の通り構成される電気柵であるが、シカなどの跳躍力に富む動物や、サルなどの登攀能力に富む動物は、電気柵やネット等を飛び越えたり、あるいは支柱をよじ登ったりして、田畑に侵入することがある。そこで、かかる事態を防ぐため上部に返し部材を設ける(特許文献1)、支柱を延長する(特許文献2)といった方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−90680号公報
【特許文献2】特開2009−195229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明もまた、サルなどの登攀能力に富む動物が、電気柵やネット等を飛び越えたりすることを抑制することを目的とするものであり、より具体的には支柱を延長可能なものとすることで、サルなどが登攀出来ない程度の高さまで電気柵やネットを張ることが可能であり、しかも設置が容易な電気柵用支柱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成する本考案の構成は以下の通りである。
【0010】
(1) 請求項1に記載の発明は、先端が尖った下部支柱と、当該下部支柱の上部に接続される上部支柱と、上部支柱と下部支柱とをその空洞部の両端から差し込み接合する筒状のジョイントとにより成る電気柵用支柱において、下部支柱の基端側端部及び上部支柱の先端側端部それぞれに、外周に凸部を備えた円筒形部材を嵌め込み、ジョイントの空洞部周面に、それぞれが上記各凸部に係止される爪を設けて構成した。
【0011】
(2) 請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電気柵用支柱において、凸部が嵌まる溝をジョイントの空洞部周面に設けて構成した。
【0012】
(3) 請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の電気柵用支柱において、円筒形部材の外周に、ジョイントの溝に嵌まる突部を設けて構成した。
【0013】
(4) 請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3いずれかに記載の電気柵用支柱において、下部支柱の上端及び上部支柱の上端それぞれに着脱可能な蓋を備えて構成した。
【0014】
(5) 請求項5に記載の発明は、先端が尖った下部支柱と、当該下部支柱の上部に接続される上部支柱と、上部支柱と下部支柱とをその空洞部の両端から差し込み接合する筒状のジョイントとにより成る電気柵用支柱において、下部支柱の基端側の外周、上部支柱の先端側の外周にそれぞれ凸部を設け、ジョイントの空洞部周面に、それぞれが凸部に係止される爪を設けて構成した。
【0015】
(6) 請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の電気柵用支柱において、凸部が嵌まる溝を、ジョイントの空洞部周面に設けて構成した。
【0016】
(7) 請求項7に記載の発明は、請求項5又は請求項6に記載の電気柵用支柱において、下部支柱の基端側の外周、上部支柱の先端側の外周にそれぞれ溝に嵌まる突部を設けて構成した。
【0017】
(8) 請求項8に記載の発明は、請求項5乃至請求項7いずれかに記載の電気柵用支柱において、下部支柱の上端及び上部支柱の上端それぞれに着脱可能な蓋を備えて構成した。
【発明の効果】
【0018】
上記のように構成される本発明が、如何に作用して課題を解決するかを図面を参照しながら概説する。
【0019】
請求項1乃至請求項4にかかる電気柵用支柱は、図11に示すようにジョイント10の両端に上部支柱20及び下部支柱30を差し込むことで、上部支柱20と下部支柱30とを連結し、長尺なものとなすことが可能となる。
【0020】
しかも、図5に示すようにジョイント10に差し込むだけで、円筒形部材40の凸部41が、ジョイント10に設けた爪11に係止される構造となている。つまりはかかる簡単な作業で、上部支柱20と下部支柱30を連結することが可能となるのである。これにより、サルなどが登攀出来ない程度の高さまで電気柵やネットを張ることが可能となる。
【0021】
請求項2に記載の電気柵用支柱は、円筒形部材40に設けた凸部41が、図3に示されるジョイント10の溝12に嵌る構造となっている。かかる構造ゆえに円筒形部材40が嵌めこまれ、円筒形部材40に対して固定された上部支柱20及び下部支柱30が、ジョイント10内で回転することが抑制させる。これにより上部支柱20と下部支柱30を強固に固定することが可能となるのである。
【0022】
請求項3に記載の電気柵用支柱は、円筒形部材40の外周に設けた突部42が、ジョイント10の溝12に嵌まる構造となっている。かかる構造ゆえに円筒形部材40が嵌めこまれ、円筒形部材40に対して固定された上部支柱20及び下部支柱30が、ジョイント10内で回転することが抑制させる。これにより上部支柱20と下部支柱30をより強固に固定することが可能となるのである。
【0023】
請求項4に記載の電気柵用支柱は、図21図22図25図26に示すように下部支柱30の上端及び上部支柱20の上端それぞれに、蓋70が着脱自在なものである。かかる構造とすることで、下部支柱30を地面にハンマー等で打ち込む際には、下部支柱30の上端に蓋70を被せて下部支柱30を保護して打ち込むことが可能となる。つまりハンマー等が直接当接するのは蓋70であり、下部支柱30が直接打ちつけられるものではないので、下部支柱30の破損を抑制することが可能となる。下部支柱30を打ち込んだ後に、蓋70を外し、上部支柱20の上端に被せれば、上部支柱20の保護にもなるものである。
【0024】
請求項5乃至請求項8にかかる電気柵用支柱は、図12に示すようにジョイント10の両端に上部支柱50及び下部支柱60を差し込むことで、上部支柱50と下部支柱60とを連結し、長尺なものとなすことが可能となる。
【0025】
しかも、図6に示すようにジョイント10に差し込むだけで、上部支柱50の凸部51及び下部支柱60の凸部61が、ジョイント10に設けた爪11にそれぞれ係止される構造となている。つまりはかかる簡単な作業で、上部支柱50と下部支柱60を連結することが可能となるのである。これにより、サルなどが登攀出来ない程度の高さまで電気柵やネットを張ることが可能となるものである。
【0026】
請求項6に記載の電気柵用支柱は、上部支柱50に設けた凸部51及び下部支柱60に設けた凸部61がそれぞれ、図3に示されるジョイント10の両端にそれぞれ設けられた、溝12に嵌る構造となっている。かかる構造ゆえに上部支柱50及び下部支柱60が、ジョイント10内で回転することが抑制させる。これにより上部支柱50と下部支柱60を強固に固定することが可能となるのである。
【0027】
請求項7に記載の電気柵用支柱は、上部支柱50に設けた突部52及び下部支柱60に設けた凸部62がそれぞれ、、ジョイント10の溝12に嵌まる構造となっている。かかる構造ゆえに上部支柱50及び下部支柱60が、ジョイント10内で回転することが抑制させる。これにより上部支柱50と下部支柱60をより強固に固定することが可能となるのである。
【0028】
請求項8に記載の電気柵用支柱は、図23図24図25図26に示すように下部支柱60の上端及び上部支柱50の上端それぞれに、蓋70が着脱自在なものである。かかる構造とすることで、下部支柱60を地面にハンマー等で打ち込む際には、下部支柱60の上端に蓋70を被せて下部支柱60を保護して打ち込むことが可能となる。つまりハンマー等が直接当接するのは蓋70であり、下部支柱60が直接打ちつけられるものではないので、下部支柱60の破損を抑制することが可能となる。下部支柱60を打ち込んだ後に、蓋70を外し、上部支柱50の上端に被せれば、上部支柱50の保護にもなるものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】ジョイントの正面図
図2】同、左側面図
図3】同、平面図
図4】A−A線断面図
図5】ジョイントに支柱を差し込んだ状態を示す説明断面図
図6】ジョイントに支柱を差し込んだ状態を示す説明断面図
図7】円筒形部材の正面図
図8】同、平面図
図9】同、左側面図
図10】同、斜視図
図11】ジョイントへの差込工程を示す説明図
図12】ジョイントへの差込工程を示す説明図
図13】下部支柱の正面図
図14】同、左側面図
図15】上部支柱の正面図
図16】同、左側面図
図17】下部支柱の正面図
図18】同、左側面図
図19】上部支柱の正面図
図20】同、左側面図
図21】下部支柱への蓋の取付け工程を示す説明図
図22】下部支柱への蓋の取付け工程を示す説明図
図23】下部支柱への蓋の取付け工程を示す説明図
図24】下部支柱への蓋の取付け工程を示す説明図
図25】上部支柱への蓋の取付け工程を示す説明図
図26】上部支柱への蓋の取付け工程を示す説明図
図27】a 蓋の正面図 b 同平面図 c 同底面図 d B−B線断面図
図28】電気柵の説明図
【発明を実施するための形態】
【0030】
一、 以下、好ましい発明の一実施形態につき、図面を参照しながら概説する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属
する限り種々の形態を採りうる。
【0031】
二、 請求項1乃至請求項4に記載の電気柵用支柱
(1) 図13は下部支柱30の正面図であり、図14はその左側面図である。下部支柱30の上端すなわち基端側には、円筒形部材40がその内部の空洞面を下部支柱30に嵌め込む形状で固定されている。この実施形態においては、下部支柱の長さは1282mm、外径は31mmとしているが、電気柵の設置場所、害獣の種類等に応じて適宜設計変更が可能である。
【0032】
この実施形態においては、下部支柱30は、FRPで作製した中空円筒形状の芯材と、芯材の外周をABS樹脂で被覆した被覆層とで構成されている。但し、下部支柱30はは、所定の強度を有し、裸電線に流れる電流を絶縁できるようになされていれば、ポリプロピレン樹脂やその他どのような材料で構成してもよい。
【0033】
下部支柱30の先端には先細り状の先端部31が取り付けてある。先端部31は超硬樹脂、具体的にはポリカーボネートで構成してある。但し、先端部31は、所定の強度を有するものであれば、どのような材料で構成してもよい。
【0034】
下部支柱30の外周面には、裸電線を係止可能なように、上部に向けて開放されたフック32が複数設けられている。
【0035】
(2) 図15は上部支柱20の正面図であり、図16はその左側面図である。上部支柱20の下端すなわち先端側には、円筒形部材40がその内部の空洞面を上部支柱20に嵌め込む形状で固定されている。この実施形態においては、上部支柱の長さは1200mm、外径は31mmとしているが、電気柵の設置場所、害獣の種類等に応じて適宜設計変更が可能である。
【0036】
この実施形態においては、上部支柱20は、FRPで作製した中空円筒形状の芯材と、芯材の外周をABS樹脂で被覆した被覆層とで構成されている。但し、上部支柱20はは、所定の強度を有し、裸電線に流れる電流を絶縁できるようになされていれば、ポリプロピレン樹脂やその他どのような材料で構成してもよい。
【0037】
上部支柱20の外周面には、裸電線を係止可能なように、上部に向けて開放されたフック21が複数設けられている。
【0038】
(3) 図7乃至図10は円筒形部材40を示すものである。円筒形部材40は中空の円筒体であり、その外周面には突起物である凸部41、同じく突起物である突部42が、それぞれ二箇所に設けてある。凸部41はジョイント10の爪11に係止しやすいように、端部に向かって先細りに形成してある。
【0039】
また、凸部41の幅H1及び突部42の幅H2は、図3に示されるジョイント10の溝12の幅H3よりも若干短く形成してある。
【0040】
円筒形部材40は超硬樹脂、具体的にはポリカーボネートで構成してある。但し、円筒形部材40は、所定の強度を有し、裸電線に流れる電流を絶縁できるようになされていれば、どのような材料で構成してもよい。
【0041】
(4) 図1はジョイント10の正面図であり、図2は同左側面図、図3は同平面図、図4図1におけるA−A線断面図を示すものである。なお、背面図は正面図と、右側面図は左側面図と、底面図は平面図と、それぞれ同一に表れるものである。
【0042】
ジョイント10は中空の円筒形体であり、正面が及び背面側にそれぞれ2箇所ずつ爪11が設けてある。爪11は、ジョイント10の周面に設けた孔部13内に延設された板体11aの先端に、延設方向に直行する板材11bを設けて構成してある。板体11aの弾力性ゆえに、図5に示すように、上部支柱20や下部支柱30をジョイント10内に差し込んだ際に、円筒形部材40の凸部41の差込及び係止が可能となるのである。
【0043】
図3図4に示すように、ジョイント10の空洞部14の端部には合計4箇所に溝12が設けてある。この溝12に添って凸部41及び突部42がジョイント10内に差し込まれるものである。
【0044】
ジョイント10は超硬樹脂、具体的にはポリカーボネートで構成してある。但し、ジョイント10は、所定の強度を有し、裸電線に流れる電流を絶縁できるようになされていれば、どのような材料で構成してもよい。
【0045】
(5) 図27は蓋70を示すものである。蓋70は空洞部71を備えた略円筒形体であり、上部支柱20の基端側端部、下部支柱30の基端側端部に着脱自在に被せることが可能なものである。
【0046】
三、請求項5乃至請求項8に記載の電気柵用支柱
(1) 図17は下部支柱60の正面図であり、図18はその左側面図である。下部支柱60の基端側外周面には突起物である凸部61、同じく突起物である突部62が、それぞれ二箇所に設けてある。凸部61はジョイント10の爪11に係止しやすいように、端部に向かって先細りに形成してある。この実施形態においては、下部支柱の長さは1282mm、外径は31mmとしているが、電気柵の設置場所、害獣の種類等に応じて適宜設計変更が可能である。
【0047】
この実施形態においては、下部支柱60は、FRPで作製した中空円筒形状の芯材と、芯材の外周をABS樹脂で被覆した被覆層とで構成されている。但し、下部支柱60はは、所定の強度を有し、裸電線に流れる電流を絶縁できるようになされていれば、ポリプロピレン樹脂やその他どのような材料で構成してもよい。
【0048】
下部支柱60の先端には先細り状の先端部63が取り付けてある。先端部63は超硬樹脂、具体的にはポリカーボネートで構成してある。但し、先端部63は、所定の強度を有するものであれば、どのような材料で構成してもよい。
【0049】
下部支柱60の外周面には、裸電線を係止可能なように、上部に向けて開放されたフック64が複数設けられている。
【0050】
(2) 図19は上部支柱50の正面図であり、図20はその左側面図である。上部支柱50の下端すなわち先端側には、突起物である凸部51、同じく突起物である突部52が、それぞれ二箇所に設けてある。凸部51はジョイント10の爪11に係止しやすいように、端部に向かって先細りに形成してある。この実施形態においては、上部支柱50の長さは1200mm、外径は31mmとしているが、電気柵の設置場所、害獣の種類等に応じて適宜設計変更が可能である。
【0051】
この実施形態においては、上部支柱50は、FRPで作製した中空円筒形状の芯材と、芯材の外周をABS樹脂で被覆した被覆層とで構成されている。但し、上部支柱50はは、所定の強度を有し、裸電線に流れる電流を絶縁できるようになされていれば、ポリプロピレン樹脂やその他どのような材料で構成してもよい。
【0052】
上部支柱50の外周面には、裸電線を係止可能なように、上部に向けて開放されたフック53が複数設けられている。
【0053】
(3) 図1はジョイント10の正面図であり、図2は同左側面図、図3は同平面図、図4図1におけるA−A線断面図を示すものである。なお、背面図は正面図と、右側面図は左側面図と、底面図は平面図と、それぞれ同一に表れるものである。
【0054】
ジョイント10は中空の円筒形体であり、正面が及び背面側にそれぞれ2箇所ずつ爪11が設けてある。爪11は、ジョイント10の周面に設けた孔部13内に延設された板体11aの先端に、延設方向に直行する板材11bを設けて構成してある。板体11aの弾力性ゆえに、図6に示すように、上部支柱60や下部支柱50をジョイント10内に差し込んだ際に、上部支柱50に設けた凸部51や下部支柱60に設けた凸部61の差込及び係止が可能となるのである。
【0055】
図3図4に示すように、ジョイント10の空洞部14の端部には合計4箇所に溝12が設けてある。この溝12に添って凸部51,61及び突部52,62がジョイント10内に差し込まれるものである。
【0056】
ジョイント10は超硬樹脂、具体的にはポリカーボネートで構成してある。但し、ジョイント10は、所定の強度を有し、裸電線に流れる電流を絶縁できるようになされていれば、どのような材料で構成してもよい。
【0057】
(4) 図27は蓋70を示すものである。蓋70は空洞部71を備えた略円筒形体であり、上部支柱50の基端側端部、下部支柱60の基端側端部に着脱自在に被せることが可能なものである。
【符号の説明】
【0058】
10・・ジョイント
11・・爪
12・・溝
13・・孔部
14・・空洞部
20・・上部支柱
30・・下部支柱
31・・先端部
32・・フック
40・・円筒形部材
41・・凸部
42・・突部
50・・上部支柱
51・・凸部
52・・突部
53・・フック
60・・下部支柱
61・・凸部
62・・突部
63・・先端部
64・・フック
70・・蓋
71・・空洞部
【要約】
【目的】サルなどが登攀出来ない程度の高さまで電気柵やネットを張ることが可能であり、しかも設置が容易な電気柵用支柱を提供すること。
【構成】先端が尖った下部支柱と、当該下部支柱の上部に接続される上部支柱と、上部支柱と下部支柱とをその空洞部の両端から差し込み接合する筒状のジョイントとにより成る電気柵用支柱において、下部支柱の基端側端部及び上部支柱の先端側端部それぞれに、外周に凸部を備えた円筒形部材を嵌め込み、ジョイントの空洞部周面に、それぞれが上記各凸部に係止される爪を設けて構成した。また、凸部が嵌まる溝をジョイントの空洞部周面に設けて構成した。更には円筒形部材の外周に、ジョイントの溝に嵌まる突部を設けて構成した。また、下部支柱の上端及び上部支柱の上端それぞれに着脱可能な蓋を備えて構成した。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28