【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、
(1)厚さが10〜40μmの薄フィルムを2層に折った包装素材を下方に送り出す工程と、
前記包装素材に、加速電圧が
200kV以下の低エネルギー電子線照射装置で電子線を一方より照射して、前記包装素材の重なり内面を殺菌する工程と、
折られた前記薄フィルムの内側に飲料などの無菌液を充填物として供給するためのノズルを挿入する工程と、
前記ノズルの挿入後の前記包装素材の側縁を側縁シールして筒体を形成する工程と、
前記筒体の外面に外層シートを供給して両側縁をシールすることにより、前記筒体を補強する外層シートを一体化する工程と、
前記薄フィルムの筒体の内部に飲料などの無菌液を前記ノズルの先端より充填する工程と、
前記筒体内に充填された前記充填物の上部にて、前記筒体を前記外層シートと共にシールして、前記充填物を前記筒体内に封止する工程と、
この封止した部分にて、前記筒体を切断する工程と、を有し、
前記充填物が充填された個別の無菌包装物を得ることを特徴とする飲料などの無菌液の無菌包装物を製造する方法。
(2)厚さが10〜40μmの薄フィルムからなる2枚の包装素材を下方に送り出す工程と、
前記2枚の包装素材の間にその上部より下方に延びる充填用ノズルを挿入する工程と、
この包装素材の両側縁を側縁シールして筒体に成形する工程と、
この包装素材に対して、
加速電圧が200kV以下の低エネルギー電子線照射装置で電子線を一方より照射して、前記包装素材の重なり内面を殺菌する工程と、
前記筒体の外面に外層シートを供給して両側縁をシールすることにより、前記筒体を補強する工程と、
前記薄フィルムの筒体の内部に飲料などの無菌液を前記ノズルの先端より充填する工程と、
前記筒体内に充填された前記充填物の上部にて、前記筒体を前記外層シートと共にシールして、前記充填物を前記筒体内に封止する工程と、
この封止した部分にて、前記筒体を切断する工程と、を有し、
前記ノズルは、前記電子線の照射領域の中で横方向に曲げて、前記ノズルが邪魔をして形成される前記電子線
の照射
領域の陰となる部分をノズルの長手方向に関して横方向にずらすものであり、
前記充填物が充填された個別の無菌包装物を得ることを特徴とする飲料などの無菌液の無菌包装物を製造する方法。
(3)厚さが10〜40μmの薄フィルムからなる包装素材を一体化した外層シートと、厚さが10〜40μmの他の薄フィルムからなる包装素材を下方に送り出す工程と、
前記
一体化した外層シートと薄フィルムの2層の片側一方の側縁を側縁シールして、片側縁が開いた包装素材に成形する工程と、
この包装素材に対して、
加速電圧が200kV以下の低エネルギー電子線照射装置で電子線を薄フィルム側より照射して、前記包装素材の重なり内面を殺菌する工程と、
前記薄フィルムと前記他の薄フィルムの内側部に飲料などの無菌液を充填物として供給するためのノズルを挿入する工程と、
前記ノズルの挿入後の前記包装素材の開いた側の側縁を側縁シールして筒体を形成する工程と、
前記筒体の他の薄フィルムの外面に他の外層シートを供給して両側縁をシールすることにより、前記筒体を補強する工程と、
前記筒体内に充填された前記充填物の上部にて、前記筒体を前記
一体化した外層シート及び他の外層シートと共にシールして、前記充填物を前記筒体内に封止する工程と、
この封止した部分にて、前記筒体を切断する工程と、を有し、
前記充填物が充填された個別の無菌包装物を得ることを特徴とする飲料などの無菌液の無菌包装物を製造する方法。
(4)厚さが10〜40μmの薄フィルムからなる包装素材を一体化した外層シートと、厚さが10〜40μmの他の薄フィルムからなる包装素材を下方に送り出す工程と、
前記包装素材の薄フィルムと他の薄フィルムとの間にその上部より下方に延びる充填用のノズルを挿入する工程と、
この包装素材の両側縁を側縁シールして筒体に成形する工程と、
この包装素材に対して、
加速電圧が200kV以下の低エネルギー電子線照射装置で電子線を薄フィルム側より照射して、前記包装素材の重なり内面を殺菌する工程と、
前記筒体の他の薄フィルムの外面に他の外層シートを供給して両側縁をシールすることにより、前記筒体を補強する工程と、
前記薄フィルムの筒体の内部に飲料などの無菌液を、充填物として前記ノズルの先端より充填する工程と、
前記筒体内に充填された前記充填物の上部にて、前記筒体を前記
一体化した外層シート及び他の外層シートと共にシールして、前記充填物を前記筒体内に封止する工程と、
この封止した部分の中にて、前記筒体を切断する工程と、を有し、
前記ノズルは、前記電子線の照射領域の中で横方向に曲げて、前記ノズルが邪魔をして形成される前記電子線
の照射
領域の陰となる部分をノズルの長手方向に関して横方向にずらすものであり、
前記充填物が充填された個別の無菌包装物を得ることを特徴とする飲料などの無菌液の無菌包装物を製造する方法。
(5)厚さが10〜40μmの薄フィルムからなる筒体の包装素材を下方に送り出す工程と、
この包装素材に対し、
加速電圧が200kV以下の低エネルギー電子線照射装置で電子線を一方より照射して、前記包装素材の重なり内面を殺菌する工程と、
カッターにより
前記筒体の側縁を切り、
前記筒体の内部に飲料などの無菌液を充填物として供給するためのノズルを挿入する工程と、
前記筒体の切られた側縁の部分を側縁シールする工程と、
前記筒体の外面に外層シートを供給して側縁シールバーにて両側縁を薄フィルムと共にシールして前記筒体を補強する工程と、
前記筒体の内部に飲料などの無菌液を、充填物として前記ノズルの先端より充填する工程と、
前記筒体内に充填された前記充填物の上部にて、前記筒体を前記外層シートと共にシールして、前記充填物を前記筒体内に封止する工程と、
この封止した部分にて、前記筒体を切断する工程と、を有し、
前記充填物が充填された個別の無菌包装物を得ることを特徴とする飲料などの無菌液の無菌包装物を製造する方法。
(6)厚さが10〜40μmの薄フィルムからなる筒体を外層シートと一体にした包装素材を下方に送り出す工程と、
この包装素材に対し、
加速電圧が200kV以下の低エネルギー電子線照射装置で電子線を薄フィルムが露出した側より照射して、前記包装素材の重なり内面を殺菌する工程と、
カッターにより前記筒体の側縁を切り、
前記筒体の内部に飲料などの無菌液を充填物として供給するためのノズルを挿入する工程と、
筒体の切られた側縁の部分を側縁シールする工程と、
前記筒体の薄フィルムの外面に他の外層シートを供給して側縁シールバーにて両側縁をシールすることにより、前記筒体を補強する工程と、
前記筒体の内部に飲料などの無菌液を、充填物として前記ノズルの先端より充填する工程と、
前記筒体内に充填された前記充填物の上部にて、前記筒体を前記外層シート及び他の外層シートと共にシールして、前記充填物を前記筒体内に封止する工程と、
この封止した部分にて、前記筒体を切断する工程と、を有し、
前記充填物が充填された個別の無菌包装物を得ることを特徴とする飲料などの無菌液の無菌包装物を製造する方法
である。
【0015】
本発明は無菌包装物の製造の作業が簡便に、安全に、かつ完全に行われるために、小出力の低エネルギー電子線を使用することとし、使用する小出力の低エネルギー電子線の装置が小型であり簡便である反面、透過力が弱いという性質に対して、包装素材の最内面になる、電子線照射側の薄い包装材料、即ちEB照射側フィルムに、その外側に強度を持つために必要な外の層(以下、「外層シート」という)と分離した状態で、先に電子線照射側から電子線の照射(以下、「照射」という)を行い、合掌されている両内面を殺菌し後に外層シートと一致させて、側縁シールを行ない、無菌内部を形成するという方策を取り課題を解決させたものである。
【0016】
小出力の低エネルギー電子線においては、使用の制限が少ない、電子線照射装置も小型である、通常の充填包装の機器に対する安全配慮で通常の人で充分使用でき、放射線源が放射能物質である方式と異なり、スイッチを切ることのみで放射線である電子線の発生が止まるという安全性を持つ。しかし出力に対する透過力は、
図1のように加速電圧により顕著に変わる。
【0017】
70kVの電子線の透過力は、この図表から推測可能である。素材の比重1に換算して約40μm以上である。一方10〜40μmのPPフィルムは、十分充填の衝撃と内容液体の保持の強度を持つ。この2つの性質を組み合わせて利用した。
【0018】
70kV、100kV、150kV、200kV、300kVの低エネルギー電子線照射装置は、フィラメントから出された熱電子を加速電圧で加速し、シリコン、チタンまたはベリリウムの箔の窓から空気中に放射するもので、この電子線は空気と包装材料を透過することでエネルギーを消耗して消える。本来低エネルギー電子線照射装置は、高分子材料の表面改質のために作られたもので、この使用目的では、透過深さの浅いことが問題にはならない。
【0019】
しかし無菌包装物の製造に包装体の外側から使用する場合は、包装材料の厚さを透過して内面まで届く必要がある。それに合わせて、包装材料を薄くして、外面から透過した電子線が包装材料の内面に届き、なお内面と接する対面の殺菌のためにエネルギーを消費することを行う。
【0020】
この10〜40μmの薄い包装材料(以下、「薄フィルム」という)は、そのままでは流通に必要とする強度を持たないため、殺菌後に外層になる外層シートを添わせて、筒体を作り充填シールして無菌包装物を完成させる。
【0021】
薄フィルムは、PP、PE、PVC、NY、PVDC、PVAなどヒートシール性のあるものならいずれでも良くまた2層以上の複合フィルムでも良い。外層シートは、薄フィルムとのヒートシールが可能な裏面ラミネートまたは裏面コートした紙または樹脂シートが好ましいがこれに拘らない。AL箔がラミネートされているものは長期保存に適する。
【0022】
図3の如く、1枚の薄フィルムを2枚に折って合掌させてEB照射側から照射して、EB照射側フィルムと対面する2枚の内面を同時に殺菌する方法。
図6、
図7の如く、インフレーションチューブが折り重なっている時に照射してから側縁を切る方法。
図4の如く、電子線照射装置の照射幅を広げてその照射面の照射領域の中で充填パイプを曲げて通し、充填パイプに電子線の遮られるところを、2か所の離れた位置において照射して、均一に無菌内部を作る方法。
図5の如く、薄フィルムのEB照射側フィルムを充填前に一方から照射する方法。がある。
【0023】
この本発明の、EB照射側フィルムに薄フィルムを使用して、低エネルギー電子線照射により殺菌してから外層シートを添わせて一体にシール成形する方法により、簡便な低出力低エネルギーの電子線発生装置を使用することが可能となり、安全で安価な無菌包装物の製造を可能とし、先進国においてはエネルギー消費の少ない常温流通で、途上国においてはチルドチェーンの整はない地域にも常温流通により、腐敗しやすい食品や飲料を配布できるとしたものである。