特許第6386140号(P6386140)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジタ医科器械の特許一覧

特許6386140生体情報モニタリングシステム、生体情報モニタリング方法および生体情報モニタリングプログラム
<>
  • 特許6386140-生体情報モニタリングシステム、生体情報モニタリング方法および生体情報モニタリングプログラム 図000002
  • 特許6386140-生体情報モニタリングシステム、生体情報モニタリング方法および生体情報モニタリングプログラム 図000003
  • 特許6386140-生体情報モニタリングシステム、生体情報モニタリング方法および生体情報モニタリングプログラム 図000004
  • 特許6386140-生体情報モニタリングシステム、生体情報モニタリング方法および生体情報モニタリングプログラム 図000005
  • 特許6386140-生体情報モニタリングシステム、生体情報モニタリング方法および生体情報モニタリングプログラム 図000006
  • 特許6386140-生体情報モニタリングシステム、生体情報モニタリング方法および生体情報モニタリングプログラム 図000007
  • 特許6386140-生体情報モニタリングシステム、生体情報モニタリング方法および生体情報モニタリングプログラム 図000008
  • 特許6386140-生体情報モニタリングシステム、生体情報モニタリング方法および生体情報モニタリングプログラム 図000009
  • 特許6386140-生体情報モニタリングシステム、生体情報モニタリング方法および生体情報モニタリングプログラム 図000010
  • 特許6386140-生体情報モニタリングシステム、生体情報モニタリング方法および生体情報モニタリングプログラム 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6386140
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】生体情報モニタリングシステム、生体情報モニタリング方法および生体情報モニタリングプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   A61B5/00 102B
   A61B5/00 102C
   A61B5/00ZDM
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-142727(P2017-142727)
(22)【出願日】2017年7月24日
【審査請求日】2017年7月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390012737
【氏名又は名称】株式会社フジタ医科器械
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】前多 宏信
(72)【発明者】
【氏名】田中 祥五
【審査官】 ▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】 特表2017−508532(JP,A)
【文献】 特表2015−530901(JP,A)
【文献】 特開2005−115799(JP,A)
【文献】 特開2013−078570(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0176230(US,A1)
【文献】 特開2014−036781(JP,A)
【文献】 特表2012−529351(JP,A)
【文献】 特表2015−521308(JP,A)
【文献】 特開2017−153607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00−5/01
G06Q 50/22
G16H 10/00−80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の対象者に取り付けられて該対象者の生体情報を測定する複数の測定機器と、該測定機器により測定された前記対象者の生体情報を表示するための観測者用の携帯可能な情報処理端末とを備える生体情報モニタリングシステムであって、
前記複数の測定機器は、
一の対象者に取り付けられ得る他の測定機器とともに予めセットとして管理され、
当該測定機器が含まれるセットを識別し、これにより当該セットの測定機器が取り付けられる対象者を識別可能な識別情報が予め付与され、
前記対象者の生体情報を測定する測定部と、
前記識別情報および前記測定部により測定された生体情報を記憶する機器記憶部と、
前記機器記憶部により記憶された識別情報を前記情報処理端末に送信する機器通信部と、
をそれぞれ有し、
前記情報処理端末は、
前記複数の対象者に取り付けられた複数の測定機器の機器通信部から送信された複数の識別情報を受信する端末通信部と、
前記観測者に、前記複数の識別情報を選択可能に表示するための表示情報を生成する処理部と、
前記観測者により、前記複数の識別情報から一の識別情報の選択を受け付ける選択受付部と、
を有し、
前記端末通信部は、前記選択受付部により受け付けられた一の識別情報を記憶する複数の測定機器が取り付けられた一の対象者の生体情報を送信させるための命令を前記機器通信部へ送信し、
前記機器通信部は、前記端末通信部から送信された送信命令に基づいて、前記一の識別情報を記憶する複数の測定機器が取り付けられた一の対象者の生体情報を、前記端末通信部に送信し、
前記処理部は、前記端末通信部が受信した生体情報を、前記情報処理端末の表示画面に表示するための表示情報を生成する生体情報モニタリングシステム。
【請求項2】
前記複数の測定機器と前記情報処理端末との間の情報の授受は、BLE無線通信技術を用いて行われることを特徴とする請求項に記載の生体情報モニタリングシステム。
【請求項3】
前記処理部は、前記観測者により選択された一の対象者に対応付けられた一の識別情報に対応付けられた生体情報を、一つの表示画面内で表示するための表示情報を生成することを特徴とする請求項1または2に記載の生体情報モニタリングシステム。
【請求項4】
前記処理部は、前記機器通信部が、前記端末通信部から送信された送信命令に基づいて、前記一の識別情報を記憶する複数の測定機器が取り付けられた一の対象者の生体情報を、前記端末通信部に送信するための、前記観測者からの指示を受け付けるための指示ボタンを前記表示画面に表示するための表示情報を生成する請求項1〜3のいずれか一項に記載の生体情報モニタリングシステム。
【請求項5】
前記情報処理端末は、サーバ記憶部を有するサーバ装置とネットワークを介して接続され、
前記サーバ記憶部は、前記識別情報と当該識別情報が記憶された測定機器が取り付けられた対象者とを対応付けて記憶する請求項1〜4のいずれか一項に記載の生体情報モニタリングシステム。
【請求項6】
前記複数の測定機器は、脳内酸素飽和度モニタ、心電計、血圧計、パルスオキシメータまたはエコーから選択される2以上の測定機器であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の生体情報モニタリングシステム。
【請求項7】
複数の対象者に取り付けられて該対象者の生体情報を測定する複数の測定機器と、該測定機器により測定された前記対象者の生体情報を表示するための観測者用の携帯可能な情報処理端末とを備える生体情報モニタリングシステムにおいて実行される生体情報モニタリング方法であって、
前記複数の測定機器は、一の対象者に取り付けられ得る他の測定機器とともに予めセットとして管理され、各測定機器は、当該測定機器が含まれるセットを識別し、これにより当該セットの測定機器が取り付けられる対象者を識別可能な識別情報が予め付与され、
前記複数の測定機器に、
前記対象者の生体情報を測定する測定ステップと、
前記識別情報および前記測定ステップにおいて測定された生体情報を記憶する機器記憶ステップと、
前記機器記憶ステップにおいて記憶された識別情報を前記情報処理端末に送信する機器通信ステップと、
をそれぞれ実行させ、
前記情報処理端末に、
前記複数の対象者に取り付けられた複数の測定機器の機器通信部から送信された複数の識別情報を受信する端末通信ステップと、
前記観測者に、前記複数の識別情報を選択可能に表示するための表示情報を生成する処理ステップと、
前記観測者により、前記複数の識別情報から一の識別情報の選択を受け付ける選択受付ステップと、
を実行させ、
前記情報処理端末は、前記選択受付ステップにおいて受け付けられた一の識別情報を記憶する複数の測定機器が取り付けられた一の対象者の生体情報を送信させるための命令を前記測定機器へ送信し、
前記測定機器は、前記情報処理端末により送信された送信命令に基づいて、前記一の識別情報を記憶する複数の測定機器が取り付けられた一の対象者の生体情報を、前記情報処理端末に送信し、
前記情報処理端末は、前記測定機器が送信して前記情報処理端末が受信した生体情報を、前記情報処理端末の表示画面に表示するための表示情報を生成する生体情報モニタリング方法。
【請求項8】
複数の対象者に取り付けられて該対象者の生体情報を測定する複数の測定機器と、該測定機器により測定された前記対象者の生体情報を表示するための観測者用の携帯可能な情報処理端末とを備える生体情報モニタリングシステムを実現するための生体情報モニタリングプログラムであって、
前記複数の測定機器は、一の対象者に取り付けられ得る他の測定機器とともに予めセットとして管理され、各測定機器は、当該測定機器が含まれるセットを識別し、これにより当該セットの測定機器が取り付けられる対象者を識別可能な識別情報が予め付与され、
前記情報処理端末に、
前記複数の対象者に取り付けられた複数の測定機器から送信された複数の識別情報を受信する端末通信機能と、
前記観測者に、前記複数の識別情報を選択可能に表示するための表示情報を生成する処理機能と、
前記観測者により、前記複数の識別情報から一の識別情報の選択を受け付ける選択受付機能と
を実現させ、
前記端末通信機能は、前記選択受付機能において受け付けられた一の識別情報を記憶する複数の測定機器が取り付けられた一の対象者の生体情報を送信させるための命令を前記測定機器へ送信し、
前記処理機能は、前記測定機器が送信して前記端末通信機能が受信した生体情報を、前記情報処理端末の表示画面に表示するための表示情報を生成する生体情報モニタリングプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報モニタリングシステム、生体情報モニタリング方法および生体情報モニタリングプログラムに関し、特に、複数の対象者に取り付けられて該対象者の生体情報を測定する複数の測定機器と、該測定機器により測定された対象者の生体情報を表示するための観測者用の携帯可能な情報処理端末とを備える生体情報モニタリングシステム、該モニタリングシステムにおいて実行される生体情報モニタリング方法および該モニタリングシステムを実現させるための生体情報モニタリングプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の患者の状態を監視する生体情報監視装置として、医療機関においてナースステーションに設置されるセントラルモニタが知られている。セントラルモニタは、例えば特許文献1に示されるように、集中治療室や病室などに居る各患者のベッドサイドに設置されたベッドサイドモニタから各患者の生体情報(例えば、心電図、血圧、動脈血酸素飽和度など)を受信してそれを画面に表示するものである。同様に、特許文献2には、かかるセントラルモニタの基本画面の利用効率低下を抑制するための発明が開示されている。
【0003】
また、ベッドサイドモニタに関連し、特許文献3には、看護師が、患者の生体情報を、携帯可能な情報処理端末の表示画面で確認するための技術も開示されている。
【0004】
具体的には、特許文献3に開示された技術では、患者を識別するための手段として患者にリストバンド等のIDタグを装着させ、看護師は、ベッドに横たわる対象の患者の近くに立ち、対象の患者のIDタグから直接的に識別情報を取得する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−124903号公報
【特許文献2】特開2015−000177号公報
【特許文献3】特開2016−123573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、生体情報を取得すべき複数の対象者がいる場合、従来の手法では生体情報の収集は非常に煩雑である。また、複数の対象者それぞれに複数の測定機器が取り付けられている場合、その生体情報の収集の煩雑さはより高まることが予想される。
【0007】
したがって、本発明の目的は、複数の対象者の生体情報を簡易な方法で収集し、モニタリングするための生体情報モニタリングシステム、生体情報モニタリング方法および生体情報モニタリングプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の生体情報モニタリングシステムは、複数の対象者に取り付けられて該対象者の生体情報を測定する複数の測定機器と、該測定機器により測定された対象者の生体情報を表示するための観測者用の携帯可能な情報処理端末とを備える生体情報モニタリングシステムであって、複数の測定機器は、対象者の生体情報を測定する測定部と、対象者を特定するための識別情報および測定部により測定された生体情報を記憶する機器記憶部と、機器記憶部により記憶された識別情報を情報処理端末に送信する機器通信部とをそれぞれ有し、情報処理端末は、複数の対象者に取り付けられた複数の測定機器の機器通信部から送信された複数の識別情報を受信する端末通信部と、複数の識別情報を、観測者が選択可能に表示するための表示情報を生成する処理部と、観測者による複数の識別情報の中からの一の識別情報の選択を受け付ける選択受付部とを有し、端末通信部は、選択受付部により受け付けられた一の識別情報を記憶する複数の測定機器が取り付けられた一の対象者の生体情報を送信させるための命令を機器通信部へ送信し、機器通信部は、端末通信部から送信された送信命令に基づいて、一の識別情報を記憶する複数の測定機器が取り付けられた一の対象者の生体情報を、端末通信部に送信し、処理部は、端末通信部が受信した生体情報を、情報処理端末の表示画面に表示するための表示情報を生成することを特徴とする。
【0009】
一の対象者に取り付けられる複数の測定機器に記憶される識別情報は、該複数の測定機器が一の対象者に取り付けられていることが識別可能な識別情報とすることができる。
【0010】
複数の測定機器と情報処理端末との間の情報の授受は、BLE無線通信技術を用いて行われることができる。
【0011】
処理部は、観測者により選択された一の識別情報に対応付けられた生体情報を、一つの表示画面内で表示するための表示情報を生成することができる。
【0012】
処理部は、複数の識別情報を、観測者が選択可能に表示するとともに、該識別情報に対応付けられた複数の測定装置の情報も選択可能に表示することができる。
【0013】
処理部は、機器通信部が、端末通信部から送信された送信命令に基づいて、一の識別情報を記憶する複数の測定機器が取り付けられた一の対象者の生体情報を、端末通信部に送信するための、観測者からの指示を受け付けるための指示ボタンを表示画面に表示するための表示情報を生成することができる。
【0014】
情報処理端末は、サーバ記憶部を有するサーバ装置とネットワークを介して接続され、サーバ記憶部は、識別情報と当該識別情報が記憶された測定機器が取り付けられた対象者とを対応付けて記憶し、処理部は、端末通信部が受信した複数の識別情報それぞれに対応付けられた対象者を、識別情報に代えて観測者が選択可能に表示するための表示情報を生成することができる。
【0015】
複数の測定機器は、脳内酸素飽和度モニタ、心電計、血圧計、パルスオキシメータまたはエコーから選択される2以上の測定機器とすることができる。
【0016】
本発明の生体情報モニタリング方法は、複数の対象者に取り付けられて該対象者の生体情報を測定する複数の測定機器と、該測定機器により測定された対象者の生体情報を表示するための観測者用の携帯可能な情報処理端末とを備える生体情報モニタリングシステムにおいて実行される生体情報モニタリング方法であって、複数の測定機器に、対象者の生体情報を測定する測定ステップと、対象者を特定するための識別情報および測定ステップにおいて測定された生体情報を記憶する機器記憶ステップと、機器記憶ステップにおいて記憶された識別情報を情報処理端末に送信する機器通信ステップとをそれぞれ実行させ、情報処理端末に、複数の対象者に取り付けられた複数の測定機器の機器通信部から送信された複数の識別情報を受信する端末通信ステップと、複数の識別情報を、観測者が選択可能に表示するための表示情報を生成する処理ステップと、観測者による複数の識別情報の中からの一の識別情報の選択を受け付ける選択受付ステップとを実行させ、情報処理端末は、選択受付ステップにおいて受け付けられた一の識別情報を記憶する複数の測定機器が取り付けられた一の対象者の生体情報を送信させるための命令を測定機器へ送信し、測定機器は、情報処理端末により送信された送信命令に基づいて、一の識別情報を記憶する複数の測定機器が取り付けられた一の対象者の生体情報を、情報処理端末に送信し、情報処理端末は、測定機器が送信して情報処理端末が受信した生体情報を、情報処理端末の表示画面に表示するための表示情報を生成することを特徴とする。
【0017】
本発明の生体情報モニタリングプログラムは、複数の対象者に取り付けられて該対象者の生体情報を測定する複数の測定機器と、該測定機器により測定された対象者の生体情報を表示するための観測者用の携帯可能な情報処理端末とを備える生体情報モニタリングシステムを実現するための生体情報モニタリングプログラムであって、情報処理端末に、複数の対象者に取り付けられた複数の測定機器から送信された複数の識別情報を受信する端末通信機能と、複数の識別情報を、観測者が選択可能に表示するための表示情報を生成する処理機能と、観測者による複数の識別情報の中からの一の識別情報の選択を受け付ける選択受付機能とを実現させ、端末通信機能は、選択受付機能において受け付けられた一の識別情報を記憶する複数の測定機器が取り付けられた一の対象者の生体情報を送信させるための命令を測定機器へ送信し、処理機能は、測定機器が送信して端末通信機能が受信した生体情報を、情報処理端末の表示画面に表示するための表示情報を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の生体情報モニタリングシステム、生体情報モニタリング方法および生体情報モニタリングプログラムによれば、複数の対象者の生体情報を簡易な方法でモニタリングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の生体情報モニタリングシステムのイメージの一例を示す概念図である。
図2】本発明の生体情報モニタリングシステムの構成の一例を示す構成図である。
図3】本発明に係るデータ構成の一例を示す構成図である。
図4】本発明に係る表示画面の一例を示す図である。
図5】本発明に係る表示画面の一例を示す図である。
図6】本発明の生体情報モニタリングシステムの構成の一例を示す構成図である。
図7】本発明に係るデータ構成の一例を示す構成図である。
図8】本発明の生体情報モニタリングシステムのイメージの一例を示す概念図である。
図9】本発明の生体情報モニタリング方法の流れを示すフロー図である。
図10】本発明の生体情報モニタリングプログラムの機能構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の生体情報モニタリングシステム、生体情報モニタリング方法および生体情報モニタリングプログラムについて図面を参照しながら以下に詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の生体情報モニタリングシステム1000のイメージを表した概念図である。図1に示すように、生体情報モニタリングシステムは、複数の対象者A,Bに取り付けられて該対象者A,Bの生体情報を測定する複数の測定機器100と、該測定機器100により測定された対象者の生体情報を表示するための観測者X用の携帯可能な情報処理端末200とを備える。
【0022】
図1では複数の対象者として2人の対象者A,Bのみを示しているが、対象者の数は特に限定されるものではない。同様に、図1では一人の対象者に対して取り付けられる複数の測定機器として5つの測定機器のみを示しているが、測定機器の数は特に限定されるものではなく、必要に応じて様々な測定機器を取り付けることができる。
【0023】
図2は、本発明の生体情報モニタリングシステム1000の各部の構成の詳細を表した構成図である。
【0024】
複数の測定機器100は、図2に示すように、測定部110と、機器記憶部120と、機器通信部130とをそれぞれ有する。
【0025】
上記測定部110は、対象者の生体情報を測定する。
【0026】
ここでいう生体情報とは、対象者のバイタルサインであって、例えば、脳内酸素飽和度モニタ、心電計、血圧計、パルスオキシメータまたはエコー等の測定機器によって測定される情報とすることができる。
【0027】
上記機器記憶部120は、対象者を特定するための識別情報および測定部110により測定された生体情報を記憶する。
【0028】
ここでいう識別情報とは、対象者を特定するための情報であって、この対象者の特定は、直接的であってもよいし、間接的であってもよい。この特定の方法については後述する。
【0029】
また、識別情報は、具体的には、数字やアルファベットで示される識別番号等とすることができる。また、この識別情報は、一の対象者に対して取り付けられる複数の測定機器が一つのセットと識別できるよう付与されるのが好ましい。
【0030】
図3は、機器記憶部120が記憶する識別情報に関するデータ構成を示すデータ構成図である。図3に示されるように、識別番号「000001」が付与されるセットに含まれるそれぞれの測定機器には、この識別番号「000001」の冒頭に、脳内酸素飽和度モニタを示す「TOS」、心電計を示す「HB」、血圧計を示す「BP」、パルスオキシメータを示す「SP」等のアルファベットを付した機器識別番号を付与しておくことができる。この場合、機器識別情報「000001」を有する測定機器のセットとして、これら複数の測定機器のセットが識別できるとともに、それぞれの測定機器の種類までも識別することができる。
【0031】
機器通信部130は、機器記憶部120により記憶された識別情報を情報処理端末200に送信する。
【0032】
この送信は、無線通信等を用いて行われることができるが、通信手段の具体例については後述する。
【0033】
上記情報処理端末200は、端末通信部210と、処理部220と、選択受付部230とを有する。
【0034】
端末通信部210は、複数の対象者に取り付けられた複数の測定機器100の機器通信部130から送信された複数の識別情報を受信する。
【0035】
処理部220は、複数の識別情報を、観測者が選択可能に表示するための表示情報を生成する。
【0036】
選択受付部230は、観測者による複数の識別情報の中からの一の識別情報の選択を受け付ける。
【0037】
そして、端末通信部210は、選択受付部230により受け付けられた一の識別情報を記憶する複数の測定機器100が取り付けられた一の対象者の生体情報を送信させるための命令を機器通信部130へ送信する。
【0038】
機器通信部130は、端末通信部210から送信された送信命令に基づいて、一の識別情報を記憶する複数の測定機器が取り付けられた一の対象者の生体情報を、端末通信部210に送信する。
【0039】
処理部220は、端末通信部210が受信した生体情報を、情報処理端末200の表示画面に表示するための表示情報を生成する。
【0040】
かかる構成によれば、観測者は、携帯可能な情報処理装置の表示画面に表示された複数の識別情報の中から一の識別情報の選択を行うという簡易な操作だけで、当該一の識別情報を記憶する複数の測定機器が取り付けられた一の対象者の生体情報を収集し、表示画面でモニタリングすることができるようになる。
【0041】
一の対象者に取り付けられる複数の測定機器に記憶される識別情報は、該複数の測定機器が一の対象者に取り付けられていることが識別可能な識別情報とすることができる。識別情報の詳細は上述したとおりである。
【0042】
複数の測定機器と情報処理端末との間の情報の授受は、BLE無線通信技術を用いて行われることができる。
【0043】
BLE無線通信技術は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)を用いる無線方式の無線通信である。本通信技術を用いることにより、例えば、約10mの範囲で約256個の測定機器を識別可能に接続することができるが、この最大同時接続数はBLE機器の性能に依存するため、この数に限定されるものではない。
【0044】
処理部220は、観測者により選択された一の識別情報に対応付けられた生体情報を、一つの表示画面内で表示するための表示情報を生成することができる。
【0045】
図4は、表示画面の例を表したものである。図4に示すように、表示画面240には、一の識別情報に対応付けられた複数の生体情報が一つの画面に表示されることができる。
【0046】
処理部220は、複数の識別情報を、観測者が選択可能に表示するとともに、該識別情報に対応付けられた複数の測定装置200の情報も選択可能に表示することができる。
【0047】
図5は、表示画面の例を表したものである。図5に示すように、表示画面250には、複数の識別情報が観測者が選択可能に表示されるとともに、複数の測定機器の情報も選択可能に表示されている。
【0048】
複数の測定機器の情報は、その機器の情報を受信していることを示す情報とすることができる。このとき、このアイコンを選択することにより、この機器からの生体情報のみを確認可能に表示することも可能である。
【0049】
図5に示すように、処理部220は、機器通信部が、端末通信部から送信された送信命令に基づいて、一の識別情報を記憶する複数の測定機器が取り付けられた一の対象者の生体情報を、端末通信部に送信するための、観測者からの指示を受け付けるための指示ボタン251を表示画面に表示するための表示情報を生成することができる。
【0050】
また、図6に示すように、情報処理端末200は、サーバ装置300とネットワークを介して接続されることができる。
【0051】
サーバ装置300は、サーバ記憶部310を有する。
【0052】
そして、サーバ記憶部310は、識別情報と当該識別情報が記憶された測定機器100が取り付けられた対象者とを対応付けて記憶し、処理部220は、端末通信部210が受信した複数の識別情報それぞれに対応付けられた対象者を、識別情報に代えて観測者が選択可能に表示するための表示情報を生成することができる。
【0053】
図7は、上記サーバ記憶部310に記憶されるデータ構成の一例を示す図である。図7に示すようなデータを記憶することにより、観測者は、識別情報と対象者の氏名とを関連付けて認識することができる。なお、対象者は、自身の識別番号または氏名を観測者が目視可能な状態・手段で表記しておくのが好ましいが、この手段は特に限定されるものではなく、観測者の目視が不要な状態で電磁的な手段を用いることも可能である。
【0054】
複数の測定機器100は、脳内酸素飽和度モニタ、心電計、血圧計、パルスオキシメータまたはエコーから選択される2以上の測定機器とすることができる。
【0055】
また、予め用意された測定機器のセットに新たな機器が追加された場合でも、この新たな機器に、このセットに対応した識別情報を持たせることで、何ら新たな設定等を必要とすることなく、観測が可能である。
【0056】
また、本発明は、対象者が多数いる災害現場などで用いる場合により有利な効果を奏する。図8は、災害現場のイメージを示したものであるが、このような多数の対象者A〜Fが近距離でいる場合、観測者X,Yは各測定機器からの情報を取り違えることなく観測する必要がある。このような場合であっても、予め機器に識別情報が付与されることにより、観測者X、Yは、自身が所持する情報処理端末で観測したい対象者を選択することで、対象者の生体情報を確認することができる。
【0057】
続いて、本発明の生体情報モニタリング方法について図9を参照しながら説明する。図9は、本発明の生体情報モニタリング方法の流れを示すフロー図である。
【0058】
図9に示すように、本発明の生体情報モニタリング方法は、複数の対象者に取り付けられて該対象者の生体情報を測定する複数の測定機器と、該測定機器により測定された対象者の生体情報を表示するための観測者用の携帯可能な情報処理端末とを備える生体情報モニタリングシステムにおける生体情報モニタリング方法であって、複数の測定機器に、測定ステップS101と、機器記憶ステップS102と、機器通信ステップS103とをそれぞれ実行させ、情報処理端末に、端末通信ステップS104と、処理ステップS105と、選択受付ステップS106とを実行させることを特徴とする。
【0059】
測定ステップS101は、対象者の生体情報を測定する。測定ステップS101は、上述した測定部110により実行されることができる。
【0060】
機器記憶ステップS102は、対象者を特定するための識別情報および測定ステップS101において測定された生体情報を記憶する。機器記憶ステップS102は、上述した機器記憶部120により実行されることができる。
【0061】
機器通信ステップS103は、機器記憶ステップS102において記憶された識別情報を情報処理端末に送信する。機器通信ステップS103は、上述した機器通信部130により実行されることができる。
【0062】
端末通信ステップS104は、複数の対象者に取り付けられた複数の測定機器の機器通信部から送信された複数の識別情報を受信する。端末通信ステップS104は、上述した端末通信部210により実行されることができる。
【0063】
処理ステップS105は、複数の識別情報を、観測者が選択可能に表示するための表示情報を生成する。処理ステップS106は、上述した処理部220により実行されることができる。
【0064】
選択受付ステップS106は、観測者による複数の識別情報の中からの一の識別情報の選択を受け付ける。選択受付ステップS106は、上述した選択受付部230により実行されることができる。
【0065】
情報処理端末は、選択受付ステップS106において受け付けられた一の識別情報を記憶する複数の測定機器が取り付けられた一の対象者の生体情報を送信させるための命令を測定機器へ送信する(S107)。
【0066】
測定機器は、情報処理端末により送信された送信命令に基づいて、一の識別情報を記憶する複数の測定機器が取り付けられた一の対象者の生体情報を、情報処理端末に送信する(S108)。
【0067】
情報処理端末は、測定機器が送信して情報処理端末が受信した生体情報を、情報処理端末の表示画面に表示するための表示情報を生成する(S109)。
【0068】
以上の構成によれば複数の対象者の生体情報を簡易な方法で収集し、モニタリングすることができる。
【0069】
最後に、本発明の生体情報モニタリングプログラムについて図10を参照しながら説明する。図10は、本発明の生体情報モニタリングプログラムの機能構成を示す機能構成図である。
【0070】
図10に示すように、本発明の生体情報モニタリングプログラムは、複数の対象者に取り付けられて該対象者の生体情報を測定する複数の測定機器100と、該測定機器100により測定された対象者の生体情報を表示するための観測者用の携帯可能な情報処理端末200とを備える生体情報モニタリングシステムを実現するための生体情報モニタリングプログラムであって、情報処理端末200に、端末通信機能と、処理機能と、選択受付機能とを実現させるものである。
【0071】
端末通信機能は、複数の対象者に取り付けられた複数の測定機器から送信された複数の識別情報を受信する。この端末通信機能は、端末通信回路210により実現されることができる。
【0072】
処理機能は、複数の識別情報を、観測者が選択可能に表示するための表示情報を生成する。この処理機能は、処理回路220により実現されることができる。
【0073】
選択受付機能は、観測者による複数の識別情報の中からの一の識別情報の選択を受け付ける。この選択受付機能は、選択受付回路230により実現されることができる。
【0074】
端末通信機能は、選択受付機能において受け付けられた一の識別情報を記憶する複数の測定機器が取り付けられた一の対象者の生体情報を送信させるための命令を測定機器へ送信する。
【0075】
処理機能は、測定機器が送信して端末通信部が受信した生体情報を、情報処理端末の表示画面に表示するための表示情報を生成する。
【0076】
以上の構成によれば複数の対象者の生体情報を簡易な方法で収集し、モニタリングすることができる。
【0077】
上述した本発明のコンピュータプログラムは、プロセッサが読み取り可能な記録媒体に記録されていてよく、記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。
【0078】
なお、上記コンピュータプログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)などのスクリプト言語、Objective-C、Java(登録商標)などのオブジェクト指向プログラミング言語、HTML5などのマークアップ言語などを用いて実装できる。
【符号の説明】
【0079】
1000 生体情報モニタリングシステム
100 測定機器
110 測定部
120 機器記憶部
130 機器通信部
200 情報処理端末
210 端末通信部
220 処理部
230 選択受付部
240 表示画面
250 表示画面
300 サーバ装置
310 サーバ記憶部
【要約】
【課題】 複数の対象者の生体情報を簡易な方法でモニタリングするための生体情報モニタリングシステム、生体情報モニタリング方法および生体情報モニタリングプログラムを提供する。
【解決手段】 複数の対象者に取り付けられて該対象者の生体情報を測定する複数の測定機器と、該測定機器により測定された前記対象者の生体情報を表示するための観測者用の携帯可能な情報処理端末とを備え、機器通信部は、前記端末通信部から送信された送信命令に基づいて、前記一の識別情報を記憶する複数の測定機器が取り付けられた一の対象者の生体情報を、前記端末通信部に送信し、処理部は、前記端末通信部が受信した生体情報を、前記情報処理端末の表示画面に表示するための表示情報を生成する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10