(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386161
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】ユーザー装置、コンピュータ・プログラム及び方法
(51)【国際特許分類】
H04W 36/04 20090101AFI20180827BHJP
H04W 36/36 20090101ALI20180827BHJP
H04W 48/16 20090101ALI20180827BHJP
H04W 16/32 20090101ALI20180827BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20180827BHJP
【FI】
H04W36/04
H04W36/36
H04W48/16 131
H04W16/32
H04W84/10
【請求項の数】24
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-506846(P2017-506846)
(86)(22)【出願日】2015年6月19日
(65)【公表番号】特表2017-523734(P2017-523734A)
(43)【公表日】2017年8月17日
(86)【国際出願番号】US2015036687
(87)【国際公開番号】WO2016025078
(87)【国際公開日】20160218
【審査請求日】2017年2月7日
(31)【優先権主張番号】62/035,924
(32)【優先日】2014年8月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/669,662
(32)【優先日】2015年3月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514045555
【氏名又は名称】インテル アイピー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】イウ,キャンディ
(72)【発明者】
【氏名】ヘ,ユン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】フォン,モ−ハン
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン,ユイジエン
【審査官】
望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/034089(WO,A1)
【文献】
特開2009−141945(JP,A)
【文献】
特表2010−527183(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/171503(WO,A1)
【文献】
特開2014−27680(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/014859(WO,A1)
【文献】
特開2013−138448(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/004828(WO,A1)
【文献】
Intel Corporation,Way forward for load-balancing idle mode Ues[online], 3GPP TSG-RAN WG2#87 R2-143257,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_87/Docs/R2-143257.zip>,2014年 8月 9日
【文献】
Alcatel-Lucent, Verizon,Idle UE Distribution in Macro Only System and HetNets[online], 3GPP TSG-RAN WG2♯86 R2-142495,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_86/Docs/R2-142495.zip>,2014年 5月23日
【文献】
ZTE,Hash algorithm based idle UE distribution[online], 3GPP TSG-RAN WG2♯86 R2-142000,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_86/Docs/R2-142000.zip>,2014年 5月23日
【文献】
Ericsson, Verizon,Cell-specific prioritization for idle mode load balancing[online], 3GPP TSG-RAN WG2♯86 R2-142530,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_86/Docs/R2-142530.zip>,2014年 5月23日
【文献】
3rd Generetion Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E-UTRA); User Equipment(UE) procedures in idle mode (Release 12),3GPP TS 36.304 V12.1.0,2014年 6月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザー装置(UE)であって:
無線アクセス・ネットワークのうちの1つ又は複数のノードと無線周波数電気信号を送受信するように構成される物理レイヤ回路;及び
プロセシング回路;
を有し、前記プロセシング回路は:
セル固有優先度及び周波数優先度を指示するシステム情報を、ネットワークを介して受信し;
現在のサービング・セルのセル優先度より高いセル固有優先度を有し、現在のサービング・キャリア周波数の周波数優先度より高い周波数優先度を有し、及び、セル適性基準を充足する候補セルを識別し;及び
前記セル固有優先度及び周波数優先度を利用して、前記ネットワークと通信するための前記現在のサービング・セルを変更するために、識別された候補セルの中から候補セルを選択し、前記UEが高速UEとして識別される場合には前記候補セルの選択をディセーブルにする;
ように構成される、UE。
【請求項2】
前記プロセシング回路は、前記現在のサービング・キャリア周波数の優先度より低い周波数優先度を有するセルを候補セルとして識別し、及び、識別されたセルが前記現在のサービング・セルより高いセル固有優先度を有する場合に、前記現在のサービング・セルを、より低い周波数優先度の識別されたセルに変更するように構成される、請求項1に記載のUE。
【請求項3】
前記プロセシング回路は、前記現在のサービング・キャリア周波数の優先度より低い周波数優先度を有するセルを候補セルとして識別し、及び、前記現在のサービング・セルのセル固有優先度が前記現在のサービング・セルは前記UEにとって利用可能ではなくなることを示し且つ識別されたセルが前記現在のサービング・セルの周波数優先度より高いセル固有優先度を有する場合に、前記現在のサービング・セルを、より低い周波数優先度の識別されたセルに変更するように構成される、請求項1に記載のUE。
【請求項4】
前記プロセシング回路は、前記候補セルの周波数優先度が前記現在のサービング・キャリア周波数の周波数優先度に等しい場合、イントラ周波数セル再選択基準に従って前記候補セルを選択するように構成される、請求項1に記載のUE。
【請求項5】
前記プロセシング回路は:
複数の候補セルを識別することであって、前記複数の候補セルは、前記現在のサービング・セルのセル優先度より高い同じセル固有優先度を有し、指定されたセル適性基準を充足する、こと;及び
前記現在のサービング・セルを変更するために、識別された複数の候補セルの中から、候補セルをランダムに選択すること;
を行うように構成される、請求項1に記載のUE。
【請求項6】
前記プロセシング回路は:
スモール・セルとして指定される第1セルのキャリア周波数に割り当てられる第1周波数確率、及び、スモール・セルとして指定される第2セルのキャリア周波数に割り当てられる別の第2周波数確率を含む周波数選択確率情報を受信し;及び
UEが生成した乱数と受信した周波数選択確率情報とを利用して、前記現在のサービング・キャリア周波数を変更するためのキャリア周波数を選択する;
ように構成される、請求項1に記載のUE。
【請求項7】
前記周波数選択確率情報は複数の周波数確率を含み、前記複数の周波数確率は、マクロ・セルとして指定されるセルのキャリア周波数に指定される少なくとも1つの周波数確率と、スモール・セルとして指定されるセルのキャリア周波数に指定される複数の周波数確率とを含む、請求項6に記載のUE。
【請求項8】
前記プロセシング回路は:
前記現在のサービング・キャリア周波数を変更する際にキャリア周波数を選択するために、ハッシュ・アルゴリズムが使用される指示を受信し;
セル識別子リストが前記システム情報に含まれる場合、前記ハッシュ・アルゴリズムに従って、前記セル識別子リストに含まれるセルのキャリア周波数からキャリア周波数を選択し;及び
前記セル識別子リストが前記UEにとって利用可能でない場合、前記ハッシュ・アルゴリズムに従って前記候補セルの全ての利用可能なキャリア周波数の中から、キャリア周波数を選択する;
ように構成される、請求項1に記載のUE。
【請求項9】
前記プロセシング回路により受信される前記システム情報は、セル識別子リストと、ハッシュ・アルゴリズムが前記サービング・セルとしてセルを選択するために使用される旨の指示とを含み、前記プロセシング回路は、前記セル識別子リストを利用して前記候補セルを識別し、前記ハッシュ・アルゴリズムに従って、前記現在のサービング・セルを変更するために、識別された候補セルからセルを選択するように構成される、請求項1ないし8のうち何れか一項に記載のUE。
【請求項10】
前記セル識別子リストは、スモール・セルとして指定されるセルを含む、請求項9に記載のUE。
【請求項11】
前記物理レイヤ回路に電気的に結合される1つ以上のアンテナを含む請求項9に記載のUE。
【請求項12】
ユーザー装置(UE)の1つ以上のプロセッサに処理を実行させるための命令を含むコンピュータ・プログラムであって、前記処理は:
セル固有優先度及び周波数優先度を指示するシステム情報を、ネットワークを介して受信すること;
現在のサービング・セルのセル優先度より高いセル固有優先度を有し、現在のサービング・キャリア周波数の周波数優先度より高い周波数優先度を有し、及び、セル適性基準を充足する候補セルを、現在のサービング・セルを変更するために識別すること;及び
前記セル固有優先度及び周波数優先度を利用して、前記ネットワークと通信するための現在のサービング・セルを変更するために、識別された候補セルの中から候補セルを選択し、前記UEが高速UEとして識別される場合には前記候補セルの選択をディセーブルにすること;
を含む、コンピュータ・プログラム。
【請求項13】
前記処理は:
前記現在のサービング・キャリア周波数の優先度より低い周波数優先度を有するセルを、候補セルとして識別すること;及び
識別されたセルのうち少なくとも1つが前記現在のサービング・セルより高いセル固有優先度を有する場合、又は、前記現在のサービング・セルのセル固有優先度が前記現在のサービング・セルは前記UEにとって利用可能ではなくなることを示し且つ識別されたセルが前記現在のサービング・キャリア周波数の周波数優先度より高いセル固有優先度を有する場合に、前記現在のサービング・セルを変更するように前記候補セルを選択すること;
を含む、請求項12に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項14】
前記処理は:
セル識別子リストと、前記サービング・セルを変更する際にセルを選択するためにハッシュ・アルゴリズムが使用される旨の指示とを受信すること;
前記セル識別子リストを利用して前記候補セルを識別すること;及び
前記ハッシュ・アルゴリズムに従って、前記現在のサービング・セルを変更するために、識別された候補セルの中からセルを検出すること;
を含む、請求項12又は13に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項15】
エンド−トゥ−エンドの通信ネットワークのユーザー装置(UE)を動作させるための方法であって:
セル固有優先度及び周波数優先度を指示するシステム情報を、ネットワークを介して受信するステップ;
現在のサービング・セルのセル優先度より高いセル固有優先度を有し、現在のサービング・キャリア周波数の周波数優先度より高い周波数優先度を有し、及び、セル適性基準を充足する候補セルを、現在のサービング・セルを変更するために識別するステップ;及び
前記UEが高速UEに指定される場合、セル固有優先度及び周波数優先度を利用する候補セルの選択をディセーブルにするステップ;
を有する方法。
【請求項16】
前記現在のサービング・キャリア周波数の優先度より低い周波数優先度を有するセルを候補セルとして識別するステップ;及び
識別されたセルのうち少なくとも1つが前記現在のサービング・セルより高いセル固有識別子を有する場合、又は、前記現在のサービング・セルのセル固有優先度が前記現在のサービング・セルは前記UEにとって利用可能ではなくなることを示し且つ識別されたセルが前記現在のサービング・キャリア周波数の周波数優先度より高いセル固有優先度を有する場合に、前記現在のサービング・セルを変更するように前記候補セルを選択するステップ;
を含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
候補セルを識別することは複数の候補セルを識別することを含み、前記複数の候補セルは、前記現在のサービング・セルのセル優先度より高い同じセル固有優先度を有し、かつ、指定されたセルの適性基準を充足し、前記候補セルを選択することは、識別された複数の候補セルの中から、候補セルをランダムに選択することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記システム情報は、スモール・セルとして指定される第1セルのキャリア周波数に割り当てられる第1周波数確率、及び、スモール・セルとして指定される第2セルのキャリア周波数に割り当てられる別の第2周波数確率を含む周波数選択確率情報を含み;及び
候補セルを選択することは、UEが生成した乱数と受信した周波数選択確率情報とを利用して、キャリア周波数を選択することを含む;
請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記周波数選択確率情報は複数の周波数確率を含み、前記複数の周波数確率は、マクロ・セルとして指定されるセルのキャリア周波数に指定される少なくとも1つの周波数確率と、スモール・セルとして指定されるセルのキャリア周波数に指定される複数の周波数確率とを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記システム情報は、キャリア周波数を選択するために、ハッシュ・アルゴリズムが使用される指示を含み、
候補セルを選択することは:
セル識別子リストが前記システム情報に含まれる場合、前記ハッシュ・アルゴリズムに従って、前記セル識別子リストに含まれるセルのキャリア周波数からキャリア周波数を選択すること;及び
前記セル識別子リストが前記UEにとって利用可能でない場合、前記ハッシュ・アルゴリズムに従って前記候補セルの全ての利用可能なキャリア周波数の中から、キャリア周波数を選択すること;
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記システム情報は、セル識別子リストと、ハッシュ・アルゴリズムが前記サービング・セルとしてセルを選択するために使用される旨の指示とを含み、前記候補セルは、前記セル識別子リストを利用して識別され、前記候補セルを選択することは、前記ハッシュ・アルゴリズムに従って、識別された候補セルからセルを識別することを含む、請求項15ないし20のうち何れか一項に記載の方法。
【請求項22】
エンド−トゥ−エンドの通信ネットワークのユーザー装置(UE)であって:
セル固有優先度及び周波数優先度を指示するシステム情報を、ネットワークを介して受信する手段;
現在のサービング・セルのセル優先度より高いセル固有優先度を有し、現在のサービング・キャリア周波数の周波数優先度より高い周波数優先度を有し、及び、セル適性基準を充足する候補セルを、現在のサービング・セルを変更する選択のために識別する手段;及び
前記UEが高速UEに指定される場合、セル固有優先度及び周波数優先度を利用する候補セルの選択をディセーブルにする手段;
を有するUE。
【請求項23】
前記現在のサービング・キャリア周波数の優先度より低い周波数優先度を有するセルを候補セルとして識別する手段;及び
識別されたセルのうち少なくとも1つが前記現在のサービング・セルより高いセル固有優先度を有する場合、又は、前記現在のサービング・セルのセル固有優先度が前記現在のサービング・セルは前記UEにとって利用可能ではなくなることを示し且つ識別されたセルが前記現在のサービング・キャリア周波数の周波数優先度より高いセル固有優先度を有する場合に、前記現在のサービング・セルを変更するように前記候補セルを選択する手段;
を有する請求項22に記載のUE。
【請求項24】
前記システム情報を受信する手段は、キャリア周波数を選択するために、ハッシュ・アルゴリズムが使用される指示を受信する手段を含み;
前記UEは:
セル識別子リストが前記システム情報に含まれる場合、前記ハッシュ・アルゴリズムに従って、前記セル識別子リストに含まれるセルのキャリア周波数からキャリア周波数を選択する手段;及び
前記セル識別子リストが前記UEにとって利用可能でない場合、前記ハッシュ・アルゴリズムに従って前記候補セルの全ての利用可能なキャリア周波数のうちから、キャリア周波数を選択する手段;
を有する請求項22又は23に記載のUE。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は2015年3月26日付で出願された米国出願第14/669,662号による恩恵を享受し、その米国出願は2014年8月11日付で出願された米国仮出願第62/035,924号による恩恵を享受し、それらは何れも本件のリファレンスに組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
実施形態は無線アクセス・ネットワークを利用して音声データを送信することに関連する。一実施形態はモバイル・セルラ電話通信ネットワークに関連する。
【背景技術】
【0003】
無線アクセス・ネットワークは、モバイル・セルラ電話機又はスマートフォン等のようなユーザー装置に音声通信信号を届けるために使用されることが可能である。セルラ電話ネットワークは、地上に分散された固定位置にあるトランシーバを含む。ネットワークのセル・トランシーバは広い地上に応対するためにセル・タワーに含まれてもよいし、また、セル・トランシーバは、狭い領域に応対するように或いは例えば建物の内部でローカルなサービスを提供するように構成されてもよい。トランシーバ及びトランシーバが応対するエリアは、セルラ・ネットワークのセルと言及されることが可能である。ネットワーク・トラフィック又はセルが担う負荷は、セルに対するアクセスを要求するUEの数、及び、UEによるセル帯域幅の要請に依存する。セルが大量のトラフィックを体験する場合、UEは、通信における遅延又は待ち時間、或いは、ネットワーク・サービスにアクセスする際の遅延を感じるかもしれない。UEに対するサービスを最大化するように、ネットワークのセルの負荷のバランスをとることが望ましい。従って、UEとの通信に堅牢なプロトコルを提供し且つエンド−トゥ−エンドの音声通信で遅延又は中断を最小化するデバイス、システム及び方法に対する一般的な要請が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】一実施形態によるネットワークの様々なコンポーネントを有するロング・ターム・エボリューション(LTE)ネットワークのエンド−トゥ−エンド・ネットワーク・アーキテクチャの一部を例示する図。
【0005】
【0006】
【
図3】セルラ電話ネットワークが負担するネットワーク通信トラフィックの一例を部分的に示す図。
【0007】
【
図4】セルラ電話ネットワークが負担するネットワーク通信トラフィックの別の例を部分的に示す図。
【0008】
【
図5】一実施形態に従ってエンド−トゥ−エンド通信ネットワークでネットワーク通信トラフィックのバランスをとるための方法例のフローチャートを示す図。
【0009】
【
図6A】セルラ電話ネットワークが負担するネットワーク通信トラフィックの別の例を部分的に示す図。
【
図6B】セルラ電話ネットワークが負担するネットワーク通信トラフィックの別の例を部分的に示す図。
【0010】
【
図7】一実施形態によるエンド−トゥ−エンド通信ネットワークのセルに対する割当確率を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明及び図面は、特定の実施形態を当業者が実施できる程度に十分に実施形態を示している。他の実施形態は、構造的、論理的、電気的、プロセス的及びその他の変更を組み込んでもよい。実施形態の一部分及び特徴は、他の実施形態に包含されてもよいし、或いは、他の実施形態におけるものと置換されてもよい。特許請求の範囲に関連する実施形態は、それら請求項についての利用可能な全ての均等物を包含する。
【0012】
図1は、一実施形態によるネットワークの様々なコンポーネントを有するLTEネットワークのエンド−トゥ−エンド・ネットワーク・アーキテクチャの一部を例示している。ネットワーク100は、無線アクセス・ネットワーク(RAN)(例えば、図示されているようなE−UTRAN)101及びコア・ネットワーク120(例えば、図示されているようなEPC(エボルブド・パケット・コア))を有し、それらはSIインターフェース115により互いに結合される。便宜上簡単に、コア・ネットワーク120及びRAN100の一部分のみが例示的に示される。コア・ネットワーク120は、モビリティ管理エンティティ(MME)122、サービング・ゲートウェイ(サービングGW)124、及び、パケット・データ・ネットワーク・ゲートウェイ(PDN GW)126を含む。RANは、ユーザー装置(UE)102と通信するためのエンハンスト・ノードB(eNB)104を含む(eNBは基地局として動作する)。eNB104はマクロeNB及び低電力(LP)eNBを含んでもよい。
【0013】
MMEは、従来のサービングGPRSサポート・ノード(SGSN)の制御プレーンに機能的に類似している。MMEは、ゲートウェイの選択、及び、トラッキング・エリア・リストの管理などのようなアクセスにおける移動(又はモビリティ)の側面を管理する。サービングGW124は、RAN100に向かうインターフェースを終端し、RAN100及びコア・ネットワーク120の間でデータ・パケットをルーティングする。更に、それは、eNB間ハンドオーバのためのローカル・モビリティ・アンカー・ポイントであってもよく、3GPP間の移動のためのアンカーを提供してもよい。他の責務は、合法的なインターセプト、課金及び何らかのポリシー適用を含んでもよい。サービングGW124及びMME122は、1つの物理ノード又は別個の複数の物理ノードで実現されてもよい。「PDN GW」126は、パケット・データ・ネットワーク(PDN)に向かうSGiインターフェースを終端する。「PDN GW126」は、EPC120及び外部PDNの間でデータ・パケットをルーティングし、ポリシーの適用及び課金データ収集のための主要ノードであってよい。それは、非LTEアクセスとのモビリティに関してアンカー・ポイントを提供してもよい。外部PDNは、任意の種類のIPネットワークだけでなくIPマルチメディア・サブシステム(IMS)ドメインであるとすることが可能である。「PDN GW126」及びサービングGW124は、1つの物理ノードに実装されてもよいし、或いは、複数の物理ノードに実装されてもよい。
【0014】
eNB104(マクロ及びマイクロ)は、エア・インターフェース・プロトコルを終端し、UE102に対する最初の接点であってもよい。一実施形態において、eNB104はRAN100に対する様々な論理機能を発揮し、その機能は、無線ベアラ管理、アップリンク及びダウンリンクの動的なリソース管理、データ・パケット・スケジューリング及びモビリティ管理などのような無線ネットワーク・コントローラ機能(RNC)を含むが、これらの例に限定されない。一実施形態において、UE102は、OFDMA通信技術に従って、マルチキャリア通信チャネルにより、eNB104とOFDM通信信号を通信するように構成されてよい。OFDM信号は、複数の直交サブキャリアを含んでよい。
【0015】
SIインターフェース115は、RAN100及びEPC120を分離するインターフェースである。これは、S1−U及びS1−MMEという次の2つのパートに分割され、SI−UはeNB104及びサービングGW124の間でトラフィック・データを運び、S1−MMEはeNB104及びMME122の間のシグナリング・インターフェースである。X2インターフェースはeNB104同士の間のインターフェースである。X2インターフェースは、X2−C及びX2−Uという2つのパートを含む。X2−CはeNB104同士の間の制御プレーン・インターフェースであり、X2−UはeNB104同士の間のユーザー・プレーン・インターフェースである。
【0016】
セルラ・ネットワークとともに、スモール・セルは、屋外信号が届かない屋内エリアに対するカバレッジを拡張するため、又は、電車の駅などのように非常に過密に電話が利用されるエリアにネットワーク容量を追加するために使用される低電力セルである。本願で使用されるように、低電力(LP)eNBという用語は、フェムトセル、ピコセル又はマイクロセル等のように狭いセル(マクロセルより狭いセル)を実現する適切な任意の相対的に低電力のeNBを指す。フェムトセルeNBは、典型的には、住居に対するモバイル・ネットワーク・オペレータ又は企業顧客によって提供される。フェムトセルは、典型的には、住居のゲートウェイの大きさ又は更に小型の大きさを有し、一般的には、ユーザーのブロードバンド回線に接続する。いったんプラグインされると、フェムトセルは、モバイル・オペレータのモバイル・ネットワークにつながり、住居用フェムトセルの場合、典型的には30ないし50メートルの範囲内で外的なカバレッジを提供する。従って、「LP eNB」は、「PDN GW126」を介して結合されるので、フェムトセルeNBであってもよい。同様に、ピコセルは、例えば、建物の中(オフィス、ショッピング・モール、電車の駅など)又は最近では飛行機の中などのように、典型的には小さなエリアをカバーする無線通信システムである。ピコセルeNBは、一般に、X2リンクを介して他のeNBに、例えば、基地局コントローラ(BSC)機能部を介してマクロeNBに接続することが可能である。従って、「LP eNB」は、X2インターフェースを介してマクロeNBに結合されるので、ピコeNBとともに実現されてもよい。ピコeNB又は他の「LP eNB」は、マクロeNBの機能のうちの全部又は一部を組み込んでいてもよい。場合によっては、これは、アクセス・ポイント基地局又は企業フェムトセルなどと言及されてもよい。
【0017】
図2は一実施形態によるUEの機能ブロック図を示す。UE200は
図1に示される1つ以上の任意のUE102として使用することに適している。UE200は物理レイヤ(PHY)回路202を含み、PHY回路202は、PHY回路202に電気的イン結合される1つ以上のアンテナ201を利用して、eNB104(
図1)等のような無線アクセス・ネットワークのうちの1つ以上のノードとの間で無線周波数電気信号を送受信する。PHY回路202は、変調/復調、アップコンバージョン/ダウンコンバージョン、フィルタリング、増幅などのための回路を含んでもよい。UE200は、無線媒体に対するアクセスを制御し、無線媒体を介する通信のためのフレーム又はパケットを形成するための媒体アクセス制御レイヤ(MAC)回路204も含んでいてよい。UE200は、本願で説明されるオペレーションを実行するために、UEの様々な要素を設定するように構成されるプロセシング回路206及びメモリ208も含んでいてよい。メモリ208は、オペレーションを実行するようにプロセシング回路206を構成するための情報を保存するために使用されてもよい。
【0018】
一実施形態において、UE200は携帯用の無線通信デバイスの一部分であってもよく、そのデバイスは、例えば、パーソナル・ディジタル・アシスタント(PDA)、無線通信機能を備えたラップトップ又はポータブル・コンピュータ、ウェブ・タブレット、ワイヤレス・テレフォン、スマートフォン、ワイヤレス・ハンドセット、ページャ、インスタント・メッセージング・デバイス、ディジタル・カメラ、アクセス・ポイント、テレビジョン、医療デバイス(例えば、心拍モニタ、血圧モニタ等)、或いは、無線で情報を受信及び/又は送信するその他のデバイスである。一実施形態において、UE200は、キーボード、ディスプレイ、不揮発性メモリ・ポート、複数のアンテナ、グラフィックス・プロセッサ、アプリケーション・プロセッサ、スピーカ、及び、その他のモバイル・デバイス要素のうちの1つ以上を含んでもよい。ディスプレイは、タッチ・スクリーンを含むLCDスクリーンであってもよい。
【0019】
UE200により使用される1つ以上のアンテナ201は、1つ以上の指向性又は無指向性のアンテナを含み、そのアンテナは、例えば、ダイポール・アンテナ、モノポール・アンテナ、パッチ・アンテナ、ループ・アンテナ、マイクロストリップ・アンテナ、又は、RF信号の伝達に適した他のタイプのアンテナを含んでよい。一実施形態では、2つ以上のアンテナの代わりに、複数の開口を備えた単独のアンテナが使用されてもよい。その実施形態において、各々の開口は、個々のアンテナと考えられてよい。複数入力複数出力(MIMO)の実施形態において、アンテナは、空間ダイバーシチの恩恵及び異なるチャネル特性を得るために効果的に隔てられており、異なるチャネル特性は、各々のアンテナと送信局のアンテナとの間に生じるものである。MIMOの実施形態において、アンテナは波長の1/10程度又はそれ以上隔てられていてもよい。
【0020】
UE200は個々の機能要素を有するように示されているが、機能要素のうちの何れか又は複数個が組み合わせられてもよく、プロセシング要素などのようなソフトウェアで設定される要素の組み合わせによって実現されてもよく、プロセシング要素は、ディジタル信号プロセッサ(DSP)及び/又は他のハードウェア要素を含む。例えば、ある要素は、1つ以上のマイクロプロセッサ、DSP、特定用途向け集積回路(ASIC)、無線周波数集積回路(RFIC)、及び、本願で説明される機能を少なくとも実行するための様々なハードウェア及び論理回路の組み合わせを有してもよい。一実施形態において、機能要素は、1つ以上のプロセシング要素で動作する1つ以上のプロセッサを指してもよい。
【0021】
実施形態は、ハードウェア、ファームウェア及びソフトウェアのうちの何れか又はその組み合わせで実現されてもよい。実施形態は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に保存される命令として実現されてもよく、命令は、本願で説明されるペレーションを実行するために、少なくとも1つのプロセッサにより読み込まれて実行される。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、マシン(例えば、コンピュータ)により読み込むことが可能な形式で情報を保存する何らかの非一時的な仕組みを含んでよい。例えば、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、リード・オンリ・メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュ・メモリ・デバイス、その他の記憶装置及び媒体を含んでよい。これらの実施形態において、1つ以上のプロセッサは、本願で説明されるオペレーションを実行するように命令とともに構成されてもよい。
【0022】
アイドル・モードにある場合、UE200は、現在コネクションを有しておらず、そして、適切なセルを発見することでネットワーク100に対するサービスを発見及び維持することを試みる。UEは、パケット化された音声データ等のようなデータを伝送するのに適したセルを発見するために、eNBによりサポートされる周波数バンドをスキャンする。アイドル・モードからコネクション・モードへ移るために、UE200は、適性基準(suitability criterion)に従って適切なセルを識別し、適性基準はとりわけ受信信号電力を含む。eNBはUEによりスキャンする周波数の優先度を連絡する。UEは、より高い優先度の周波数、或いは、適性基準に従って低い周波数優先度の周波数に再選択してもよい。
【0023】
上述したように、セルが大量のトラフィックを体験する場合、UEは、通信における遅延又は待ち時間、或いは、ネットワーク・サービスへのアクセスにおける遅延を感じる。UEのサービスを最大化するために、ネットワークのセルの負荷のバランスを取ることが望ましい。周波数の優先性は或る程度のネットワーク・バランシングを提供するかもしれないが、本願の発明者等は、周波数の優先性だけでは、ネットワークのロード・バランシングに欠点を招くおそれがあることを認識するに至った。
【0024】
図3は、LTEネットワーク等のようなセルラ電話ネットワークが負担する不均衡なネットワーク・トラフィックの一例を示す。セルラ電話ネットワーク又はセル・ネットワークは、A,B,Cというラベルが付されたスモール・セルと、マクロ・セルD,Eとを利用して配備された複数のキャリア周波数を含む。マクロ・セルはマクロeNBであってもよく、スモール・セルはマイクロeNB又は「LP eNB」であってもよい。この例は、マクロ・セルEのうちの異なる領域に位置するUE1,UE2というラベルが付された複数のUEも示している。
【0025】
図3の例に示されるように、マクロ・セルEにはキャリア周波数1が割り当てられ、まくろ・セルD及びスモール・セルCにはキャリア周波数2が割り当てられ、スモール・セルA及びスモール・セルBにはキャリア周波数3が割り当てられている。マクロ・セルD,Eに加えてスモール・セルAがネットワーク通信トラフィックに関してオーバーロード(又は過剰負荷)になっており、スモール・セルC,Bはアンダーロード(非過剰負荷)になっていると仮定する。好ましいソリューションは、通信トラフィックが、アンダーロードのセルに対して釣り合うようにすることである。しかしながら、周波数の優先性のみでは、最適に負荷のバランスがとれたソリューションに、常には至らない。
【0026】
例えば、
図3の例における周波数の優先性は、キャリア周波数2の優先性を、キャリア周波数1より高く設定することを引き起こしたとする。マクロ・セルEはオーバーロードなので、UE1は、その位置及び周波数の優先性に起因してスモール・セルCに再選択し、UE2はマクロ・セルDに再選択するであろう。UE1はビジーでないセルにリダイレクトされるが、UE2は依然としてハイレベルなトラフィックを体験し、このバランスの取り方は最適ではない。周波数の優先性が、キャリア周波数3の優先性を、キャリア周波数3より高く設定することを引き起こす場合、UE1はスモール・セルAに再選択し、UE2はスモール・セルBに再選択するであろう。その状況では、UE2はビジーでないセルにリダイレクトされるが、UE1は依然としてハイレベルなトラフィックを体験し、再び、周波数の優先性により提供されるソリューションは最適でないものでしかない。
【0027】
図4は、セル・ネットワークが負担する不均衡なネットワーク・トラフィックの別の例を部分的に示す。この例では、多数のUEがマクロ・セルEの同じエリアに位置しているように示されている。これは、例えばフットボール・ゲームやコンサート等のようなイベントにおいて生じるかもしれない。スモール・セルAもスモール・セルCもオーバーロードではなく、アンダーロードでると仮定する。イベントの終了の際、多数のユーザーは友人及び家族に電話をかけようとするであろう。多数のUEがアイドル・モードからコネクション・モードへ遷移しようとすると、マクロ・セルEはネットワーク・トラフィックのオーバーロード状態になる可能性がある。周波数の優先性のみの方式の場合、UEは、優先度に従って同じ周波数にキャンプしようとし、同じセルを(それがスモール・セルAであろうとスモール・セルCであろうとも)、オーバーロードにしてしまうであろう。より最適なソリューションは、併存しているセルA,C,Eの全ての中で、UEトラフィックを均一に分散させることであろう。
【0028】
図5は、エンド−トゥ−エンド通信ネットワークのネットワーク・トラフィックのバランスをとるための方法例500のフローチャートを示す。ネットワーク・トラフィックのバランスをとるために、セル固有の優先選択が、周波数の優先選択に追加される。505において、システム情報がネットワークを介してUEにより受信される。システム情報は、セル固有の優先度とキャリア周波数の優先度とを含む。このシステム情報は、例えば、システム情報ブロードキャスト(system information broadcast:SIB)のように、eNBから送信されることが可能である。一実施形態では、セル固有の優先度が、現在のサービング・セルのキャリア周波数の優先度より高い優先度に割り振られている場合、UEは、より高い優先度のセルに再選択する。セル固有の優先度は、キャリア周波数に加えてセルに優先順位を付けることをネットワークに許容することで、制御の別のレイヤを追加する。一実施形態では、セル固有の優先度は、セルの位置に応じて決定される。例えば、より密接に位置するセルは、遠く離れて位置するセルよりも高い優先度の割当を受けるかもしれない。
【0029】
510において、UEのプロセシング回路は、現在のサービング・セルを変更するための候補セルを識別する。候補セルは、現在のサービング・セルのセル優先度より高いセル固有優先度を有し、かつ、現在のサービング・キャリア周波数の周波数優先度より高い周波数優先度を有する。候補セルは、セル選択又はセル適性基準(例えば、UEにより測定されるような受信信号電力など)も充足する。一実施形態では、候補セルは、適性基準に合致するそれらのセルのうち最高のセル優先度と同じセル優先度を有する。一群の候補セルのうちから、UEのプロセシング回路は、ネットワークと通信するために、現在のサービング・セルと置き換わるセルを決定する。
【0030】
セル優先度情報の追加は、たとえ周波数優先度が選択を制約したとしても(従来なら選択できなかったとしても)、セル優先度に応じて、過剰負荷でないセルC及びBの選択をUE1及びUE2に供することにより、
図3の例に示すローディング問題を解決する。しかしながら、このアプローチは、依然として、全ネットワークの負荷バランス問題を解決しないかもしれず、一実施形態では、ロード・バランシングがディセーブルにされなければならないかもしれない。
【0031】
図6A及び6Bは、セル・ネットワークのネットワーク・トラフィック・ローディングの別の例を一部分に示す。この例では、ネットワークは、キャリア周波数1に割り当てられたマクロ・セルEを含む。ネットワークは、キャリア周波数2及び3に割り当てられた複数のスモール・セルを含む。スモール・セルは、ネットワーク・トラフィックについての過剰でない負荷(オーバーロードでない状態)又は過剰な負荷(オーバーロード状態)を体験する。オーバーロード状態のスモール・セルは、B,C,G,H及びIというラベルが付された影が付されたスモール・セルである。
図6A及び6Bに示されるUEは、高速UEを表す。高速UEは、UEが移動中の自動車又はその他の乗物の中で使用される等の場合における物理的に高速で進行しているUEを指す。
【0032】
UEがこれらのセルの間を進行すること、及び、ネットワーク負荷の均衡を図るために、セルには様々な優先度が指定されることが仮定されている。例えば、影が付いていないスモール・セルA,F,G,Jは高いセル優先度の割り振りを受け、その理由は、それらは少ないトラフィック量を経験しているからだあり、マクロ・セルEには中程度のセル優先度が割り振られており、影が付されたスモール・セルB,C,H,Iには低いセル優先度が割り振られている。
図6Aの例において、UEがマクロ・セルEの領域の中で左側から右側へ移動する際に、UEはスモール・セルAの領域に入り、スモール・セルAは高い優先度であることに起因して、マクロ・セルのキャリア周波数1から、スモール・セルAのキャリア周波数2を選択するように切り替わる。UEがスモール・セルAのエリアの端部に到達すると、UEはマクロ・セルEのキャリア周波数1に戻る。スモール・セルCは低い優先度を有するので、UEはキャリア周波数2には留まらず、また、スモール・セルBも低い優先度を有するので、UEはキャリア周波数3を選択しない。
【0033】
UEが負荷の少ないスモール・セルFに入ると、UEは、高い優先度のスモール・セルに割り振られているキャリア周波数3を選択する。UEがスモール・セルFのエリアの端部に到達すると、UEはスモール・セルGのキャリア周波数2を選択し、その理由は、そのスモール・セルはスモール・セルH又はマクロ・セルEより高い優先度を有するからである。UEがスモール・セルGのエリアの端部に到達すると、UEはマクロ・セルEに戻るように強制され、その理由は、マクロ・セルEがスモール・セルH及びIより高い優先度を有するからである。UEが負荷の少ないスモール・セルJのエリアに到達すると、UEはキャリア周波数3を選択する。
図6Aの具体例は、セル固有優先度に応じたセルの選択が、UEに、周波数セル再選択を行わせることを示している。これは高速UEでは大きな電力消費を招くおそれがあり、なぜなら、異なるセルのキャリア周波数に変わるまでの間に、UEがプラットフォーム測定を反復しなければならないからである。大きな電力消費は、UEの利用可能なバッテリ・エネルギーを急速に枯渇させてしまう。
【0034】
図6Bの例は、キャリア周波数1の割り振りを受けたマクロ・セルと、キャリア周波数2,3の割り振りを受けたスモール・セルとを示す。スモール・セルは、マクロ・セルより高いセル優先度の割り振りを受けているが、スモール・セルの配備は連続的ではなく、スモール・セルにより応対されるエリアの間にはギャップが存在する。UEがスモール・セルのエリアの端部に到達すると、他の利用可能なスモール・セルは存在しないので、UEはマクロ・セルEに戻るように強制される。図面は不連続なスモール・セルの配備例を示し、優先度に応じたスモール・セルの選択と、セル・カバレッジの欠如に起因するマクロ・セルの選択との間で、UEが行ったり来たりしている。
図6Aの例に示されるように、UEは頻繁にセル再選択を行い、そのような頻繁な再選択は、UEによる大きな電力消費を招く可能性がある。
【0035】
図6A及び6Bに示す例は、セル固有優先度を利用するロード・バランシングが、高速UEに対しては適切でないかもしれないことを示す。そこで、
図5の515において、UEが高速UEに指定される場合、セル固有優先度及び周波数優先度を利用する候補セルの選択はディセーブルにされてもよい。所定の実施形態では、UEは、UEが高速UEであるか否かを判断する。UEは、セル・ネットワークと通信する間に使用されたセル数を数えるために、セル・カウントを決定してもよい。セル・カウントが、指定された(例えば、プログラムされた)時間期間の間にセル・カウント閾値を充足する場合に、UEのプロセシング回路は、高速UEとして自ら指定してもよい。所定の例では、UEを高速UEとして指定することは、ネットワークにより決定されてもよい。UEは、セル・カウントをネットワーク(例えば、
図1のE−UTRAN)に連絡し、ネットワークは、E−UTRANで指定されるセル・カウントに従ってセルを指定する。ネットワークは、UEに対して高速UEの指定を連絡し、セル固有優先度情報を利用するセル選択をUEがディセーブルにし、或いは、セル固有優先度情報を利用するセル選択をネットワークがディセーブルにしてもよい。所定の実施形態では、高速UEについては、全てのロード・バランシング・アルゴリズムがディセーブルにされる。
【0036】
高速UEの問題に加えて、セル固有優先度で負荷バランスを図ることによっては解決されない他の問題がある。例えば、周波数優先度にセル優先度を追加することは、
図4の例に示されるオーバーロードの問題を最適には解決しないかもしれない。例えば、UEが、セル優先度及び周波数優先度の情報のみを利用して、最高のセル優先度及び最高の周波数優先度を有するセルを選択する場合、同じ場所にある複数のUEは、すべて、最高優先度の同じセルにジャンプすることになり、UEは均一には再分散されない。
【0037】
図4に示す例のオーバーロードを解決するアプローチは、セルが現在のサービング・セルより高いセル優先度を有し且つ現在のサービング周波数より低い優先度の周波数が割り振られている場合に、それらを候補せるとして識別することをUEに許容する。そして、UEは、所定の条件の下で、現在のサービング・セルを変更するためにそのようなセルを選択するように許容される。これは、候補セルの数を増やし、
図4に示す多くの共存するUEをセルA,C,Eの間で分散することを、ネットワークに許容する。
【0038】
一実施形態において、以下の条件のうちの少なくとも1つが充足される場合に、UEは、現在のサービング・セルを変更するために、より低い周波数優先度の候補セルを選択する:
a)現在のサービング・セルのセル固有優先度がUEにとって利用可能であり、且つ、識別されたセルは、現在のサービング・セルより高いセル固有優先度を有すること;又は
b)現在のサービング・セルのセル固有優先度がUEにとって利用可能ではなく、且つ、識別されたセルは、現在のサービング周波数の周波数優先度より高いセル固有優先度を有すること。
一実施形態では、UEが現在のサービング・セルを選択して以来、指定された時間より長い時間が経過した場合に(例えば、再選択タイマーがタイム・アウトした場合に)、UEは、現在のサービング・セルを変更するために、より低い周波数優先度の候補セルの選択を開始する。このタイマー始動選択は、UEが同じセルを常に再選択してしまわないようにすることで、利用可能なセルの間でUEの分散を支援する。
【0039】
現在のセル固有優先度より高い様々なセル固有優先度を有する複数のセルが存在し、かつ、それら複数のセルが再選択の適性条件に合致する場合、より高い周波数優先度を有するセルへのセル再選択は、より低い周波数優先のセルへの再選択に先行して為されてもよい。そのような状況は、同じセル固有優先度を有する複数の候補セルが識別され、その優先度はセル固有優先度及び周波数優先度のうち最高のものである場合に生じ得る。セル固有優先度が現在のサービング・セルのセル優先度より高く、複数の候補セルが、指定されたセル適性基準を充足する場合、現在のサービング・セルを変更するための候補セルは、識別された複数の候補セルの中からランダムに選択されることが可能である。現在のサービング周波数の優先度に等しい周波数優先度を有する複数の候補セルが存在する状況に関し、セル選択は、イントラ周波数セル再選択に基づいてもよい(例えば、適性メジャーメントに基づくセル・ランキング)。
【0040】
一実施形態によれば、UEのプロセシング回路により受信されるシステム情報は、現在のサービング周波数を変更するためにキャリア周波数を選択する際に、ハッシュ・アルゴリズムが使用される旨の通知を含む。ハッシュ・アルゴリズムは、次の現在のサービング・キャリア周波数をランダムに選択するために、全てのキャリア周波数に適用されてもよい。これは、
図4に示すオーバーロードの問題を解決するために有用であり、その理由は、ランダム化される動作が、利用可能なキャリア周波数の中で、共存するUEの通信を分散することを、ネットワークに許容するからである。しかしながら、このハッシュ・アルゴリズムの適用は、
図3の例のオーバーロードでない場合の問題を解決するには理想的ではなく、その理由は、オーバーロードでないセルの優先順位をネットワークが決定できないからである。セル固有の優先度情報がシステム情報に含まれる場合、UEのプロセシング回路は、現在のサービング・セルより高いセル固有優先度を有するセルにハッシュ・アルゴリズムを適用し、ハッシュ・アルゴリズムに従って、次のサービング・セルを選択してもよい。
【0041】
一実施形態では、セル識別子リスト又はセルIDリストが、システム情報に包含されてもよい。セル識別子リストは、スモール・セルとして指定されるセルを含んでもよい。セル識別子リストがシステム情報に含まれる場合、UEは、適性基準を満たすセルとして候補セルを識別するようにメジャーメントを実行してもよい。そして、UEは、現在のサービング・セルを変更する際に候補セルの中から、適性基準を満たすセルを選択するために、ハッシュ・アルゴリズムを使用してもよい。所定の実施形態では、セル識別子リストは、スモール・セルそれ自身ではなく、スモール・セルのキャリア周波数を識別する。UEは、現在のサービング・キャリア周波数を選択するために、セル識別子リストにハッシュ・アルゴリズムを適用する。セル識別子リストが利用可能でない場合、上述したような全てのキャリア周波数に対してハッシュ・アルゴリズムが適用される。
【0042】
一実施形態によれば、UEのプロセシング回路により受信されるシステム情報は、現在のサービング・キャリア周波数を変更するためのキャリア周波数を選択するために確率が使用される指示を含む。システム情報は、スモール・セルとして指定される第1セルのキャリア周波数に対して割り振られる第1周波数確率と、スモール・セルとして指定される第2セルのキャリア周波数に対して割り振られる第2の別の周波数確率とを含んでもよい。仮に、複数のスモール・セルに関して異なる確率が設定されなかったならば、ネットワークはスモール・セルの優先順位を付けることができず、例えば、オーバーロードでないスモール・セルにトラフィックを移すことができなかったであろう(異なる確率が設定されるので、優先順位を付けて、トラフィックを移すことが可能になる)。
【0043】
図7はセルに確率を指定する具体例を示す。確率(Pm1,Pm2,...,Pmn)は、それぞれ、マクロ・セルとして指定されるセルのキャリア周波数(Fm1,Fm2,...,Fmn)に指定される。確率は、確率ビン(probability bins)のように言及されることが可能である。スモール・セルとして指定されるセルのグループのキャリア周波数に、複数の確率(Psm1,Psm2,...,Psmk)が指定される。グループ化は、スモール・セル識別子リストに含まれてもよい。リスト中のスモール・セル識別子は、物理セル識別子(PCI)又はグローバル・セル識別子を含むことが可能である。変形例において、スモール・セル識別子リストは、スモール・セルのグループに対して確率を指定する。
図7は、グループ・サイズが「1」又は「1セル」であり、各スモール・セルに確率が指定されている例を示す。UEのプロセシング回路は、UEが生成した乱数(例えば、0及び1の間に均一に分散する乱数)と、受信した周波数確率情報とを利用して、現在のサービング・キャリア周波数を変更するためのキャリア周波数を選択してもよい。スモール・セルの様々なグループ又は様々なスモール・セルに、様々な確率を指定できる能力は、オーバーロードでない又は余裕があるセルを利用する優先順位を付ける仕方をネットワークに提供する。
【0044】
本願で説明される幾つもの具体例は、無線アクセス・ネットワークにおける遅延を減らすため、或いは、サービスの中断を減らすために、ネットワーク通信トラフィックのバランスをとる。ネットワークは、余裕のあるセルを活用するために、或いは、利用可能な複数のセルにわたって一様にUEの通信を分散させることにより、ネットワーク・ロード・バランシングを実行する。
<追加的なノード及び具体例>
【0045】
具体例1は、無線アクセス・ネットワークのうちの1つ又は複数のノードと無線周波数電気信号を送受信するように構成される物理レイヤ回路;及び、プロセシング回路;を有する(UEのような)対象事項を含むことが可能であり、プロセシング回路は:前記現在のサービング・セルのセル優先度より高いセル固有優先度を有し、現在のサービング周波数の周波数優先度より高い周波数優先度を有し、及び、セル適性基準を充足する候補セルを識別し;及び、前記ネットワークと通信するための前記サービング・セルを変更するために、識別された候補セルの中から、候補セルを決定する;ように構成される。
【0046】
具体例2においては、具体例1の対象事項が選択的にプロセシング回路を含むことが可能であり、前記プロセシング回路は、前記現在のサービング周波数の優先度より低い周波数優先度を有するセルを候補セルとして識別し、及び、識別されたセルが前記現在のサービング・セルより高いセル固有優先度を有する場合に、前記現在のサービング・セルを、より低い周波数優先度の識別されたセルに変更するように構成される。
【0047】
具体例3においては、具体例1及び2のうちの双方又は一方の対象事項がプロセシング回路を選択的に含み、前記プロセシング回路は、前記現在のサービング周波数の優先度より低い周波数優先度を有するセルを候補セルとして識別し、及び、前記現在のサービング・セルのセル固有優先度が前記UEにとって利用可能ではなく且つ識別されたセルが前記現在のサービング・セルの周波数優先度より高いセル固有優先度を有する場合に、前記現在のサービング・セルを、より低い周波数優先度の識別されたセルに変更するように構成される。
【0048】
具体例4においては、具体例1ないし3のうちの何れか又は任意の組み合わせによる対象事項が、プロセシング回路を選択的に含み、前記プロセシング回路は、前記候補セルの周波数優先度が前記現在のサービング・キャリア周波数の周波数優先度に等しい場合、イントラ周波数セル再選択基準に従って前記候補セルを選択するように構成される。
【0049】
具体例5においては、具体例1ないし4のうちの何れか又は任意の組み合わせによる対象事項が、プロセシング回路を選択的に含み、前記プロセシング回路は:複数の候補セルを識別することであって、前記複数の候補セルは、前記現在のサービング・セルのセル優先度より高い同じセル固有優先度を有し、指定されたセル適性基準を充足する、こと;及び、前記現在のサービング・セルを変更するために、識別された複数の候補セルの中から、候補セルをランダムに選択すること;を行うように構成される。
【0050】
具体例6においては、具体例1ないし5のうちの何れか又は任意の組み合わせによる対象事項が、プロセシング回路を選択的に含み、前記プロセシング回路は、前記UEが高速UEとして識別される場合には、セル固有優先度及び周波数優先度を利用する候補セルのUEによる選択をディセーブルする。
【0051】
具体例7においては、具体例1ないし6のうちの何れか又は任意の組み合わせによる対象事項が、プロセシング回路を選択的に含み、前記プロセシング回路は、スモール・セルとして指定される第1セルのキャリア周波数に割り当てられる第1周波数確率、及び、スモール・セルとして指定される第2セルのキャリア周波数に割り当てられる別の第2周波数確率を含む周波数選択確率情報を受信し;及び、UEが生成した乱数と受信した周波数選択確率情報とを利用して、前記現在のサービング・キャリア周波数を変更するためのキャリア周波数を選択する;ように構成される。
【0052】
具体例8においては、具体例7による対象事項が、複数の周波数確率を含む前記周波数選択確率情報を含み、前記複数の周波数確率は、マクロ・セルとして指定されるセルのキャリア周波数に指定される少なくとも1つの周波数確率と、スモール・セルとして指定されるセルのキャリア周波数に指定される複数の周波数確率とを含む。
【0053】
具体例9においては、具体例1ないし8のうちの何れか又は任意の組み合わせによる対象事項が、プロセシング回路を選択的に含み、前記プロセシング回路は:前記現在のサービング周波数を変更する際にキャリア周波数を選択するために、ハッシュ・アルゴリズムが使用される指示を受信し;前記セル識別子リストが前記システム情報に含まれる場合、前記ハッシュ・アルゴリズムに従って、セル識別子リストに含まれるセルのキャリア周波数からキャリア周波数を選択し;及び、前記セル識別子リストが前記UEにとって利用可能でない場合、前記ハッシュ・アルゴリズムに従って前記候補セルの全ての利用可能なキャリア周波数の中から、キャリア周波数を選択する;ように構成される。
【0054】
具体例10においては、具体例1ないし9のうちの何れか又は任意の組み合わせによる対象事項が、プロセシング回路により受信されるシステム情報を選択的に含み、システム情報は、セル識別子リストと、ハッシュ・アルゴリズムが前記サービング・セルとしてセルを選択するために使用される旨の指示とを含み、前記プロセシング回路は、前記セル識別子リストを利用して前記候補セルを識別し、前記ハッシュ・アルゴリズムに従って、前記現在のサービング・セルを変更するために、識別された候補セルからセルを選択するように構成される。
【0055】
具体例11においては、具体例10による対象事項が、セル識別子リストを選択的に含み、前記セル識別子リストは、スモール・セルとして指定されるセルを含む。
【0056】
具体例12においては、具体例1ないし11のうちの何れか又は任意の組み合わせによる対象事項が、前記物理レイヤ回路に電気的に結合される1つ以上のアンテナを選択的に含む。
【0057】
具体例13は、具体例1ないし12のうちの何れか又は任意の組み合わせにより構成されることが可能な対象事項又はそのような組み合わせ等によらない対象事項を含むことが可能であり、ユーザー装置(UE)の1つ以上のプロセッサにより実行するための命令を保存するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体のような対象事項を含み、命令はUEに処理を実行させ、処理は:セル固有優先度及び周波数優先度を指示するシステム情報を、ネットワークを介して受信すること;現在のサービング・セルのセル優先度より高いセル固有優先度を有し、現在のサービング・キャリア周波数の周波数優先度より高い周波数優先度を有し、及び、セル適性基準を充足する候補セルを、現在のサービング・セルを変更するために識別すること;及び、前記ネットワークと通信するための現在のサービング・セルを変更するために、識別された候補セルの中から、候補セルを決定すること;を含む。
【0058】
具体例14においては、具体例13による対象事項が、UEを構成するように処理を実行する命令を選択的に含むことが可能であり、処理は:前記現在のサービング・キャリア周波数の優先度より低い周波数優先度を有するセルを、候補セルとして識別すること;及び、識別されたセルのうち少なくとも1つが前記現在のサービング・セルより高いセル固有優先度を有する場合、又は、前記現在のサービング・セルのセル固有優先度が前記UEにとって利用可能ではなく且つ識別されたセルが前記現在のサービング周波数の周波数優先度より高いセル固有優先度を有する場合に、前記現在のサービング・セルを変更するように前記候補セルを選択すること;を含む。
【0059】
具体例15においては、具体例13及び14のうちの双方又は一方による対象事項が、UEを構成するように処理を実行する命令を選択的に含み、処理は:セル識別子リストと、前記サービング・セルを変更する際にセルを選択するためにハッシュ・アルゴリズムが使用される旨の指示とを受信すること;前記セル識別子リストを利用して前記候補セルを識別すること;及び、前記ハッシュ・アルゴリズムに従って、前記現在のサービング・セルを変更するために、識別された候補セルの中からセルを検出すること;を含む。
【0060】
具体例16は、(方法、処理を実行する手段、又は、マシンにより実行される場合に、マシンに処理を実行させる命令を含むマシン読み取り可能な媒体などのような)対象事項を含むことが可能であり、或いは、具体例1ないし12のうちの何れか又は任意の組み合わせによる対象事項と選択的に組み合わせられ、その対象事項は:セル固有優先度及び周波数優先度を指示するシステム情報を、ネットワークを介して受信するステップ;前記現在のサービング・セルのセル優先度より高いセル固有優先度を有し、現在のサービング・キャリア周波数の周波数優先度より高い周波数優先度を有し、及び、セル適性基準を充足する候補セルを、現在のサービング・セルを変更するために識別するステップ;及び、前記UEが高速UEに指定される場合、セル固有優先度及び周波数優先度を利用する候補セルの選択をディセーブルにするステップ;を有する。
【0061】
具体例17においては、具体例16の対象事項が、選択的に、前記現在のサービング・キャリア周波数の優先度より低い周波数優先度を有するセルを候補セルとして識別するステップ;及び、識別されたセルのうち少なくとも1つが前記現在のサービング・セルより高いセル固有識別子を有する場合、又は、前記現在のサービング・セルのセル固有優先度が前記UEにとって利用可能ではなく且つ識別されたセルが前記現在のサービング周波数の周波数優先度より高いセル固有優先度を有する場合に、前記現在のサービング・セルを変更するように前記候補セルを選択するステップ;を含むことが可能である。
【0062】
具体例18においては、具体例16及び17のうちの双方又は一方の対象事項が、選択的に、候補セルを識別することは複数の候補セルを識別することを含み、前記複数の候補セルは、前記現在のサービング・セルのセル優先度より高い同じセル固有優先度を有し、かつ、指定されたセルの適性基準を充足し、前記候補セルを選択することは、識別された複数の候補セルの中から、候補セルをランダムに選択することを含む。
【0063】
具体例19においては、具体例16ないし18のうち何れか又は任意の組み合わせによる対象事項が、周波数選択確率情報を含むシステム情報を選択的に含み、前記システム情報は、スモール・セルとして指定される第1セルのキャリア周波数に割り当てられる第1周波数確率、及び、スモール・セルとして指定される第2セルのキャリア周波数に割り当てられる別の第2周波数確率を含む周波数選択確率情報を含み;及び、候補セルを選択することは、UEが生成した乱数と受信した周波数選択確率情報とを利用して、キャリア周波数を選択することを含む。
【0064】
具体例20においては、具体例19による対象事項が、選択的に、複数の周波数選確率を含む周波数選択確率情報を含み、前記複数の周波数確率は、マクロ・セルとして指定されるセルのキャリア周波数に指定される少なくとも1つの周波数確率と、スモール・セルとして指定されるセルのキャリア周波数に指定される複数の周波数確率とを含む。
【0065】
具体例21においては、具体例16ないし20のうち何れか又は任意の組み合わせによる対象事項が、選択的に、システム情報を含み、前記システム情報は、キャリア周波数を選択するために、ハッシュ・アルゴリズムが使用される指示を含み、候補セルを選択することは:前記セル識別子リストが前記システム情報に含まれる場合、前記ハッシュ・アルゴリズムに従って、セル識別子リストに含まれるセルのキャリア周波数からキャリア周波数を選択すること;及び、前記セル識別子リストが前記UEにとって利用可能でない場合、前記ハッシュ・アルゴリズムに従って前記候補セルの全ての利用可能なキャリア周波数の中から、キャリア周波数を選択すること;を含む。
【0066】
具体例22においては、具体例16ないし21のうち何れか又は任意の組み合わせによる対象事項が、選択的に、システム情報を含み、前記システム情報は、セル識別子リストと、ハッシュ・アルゴリズムが前記サービング・セルとしてセルを選択するために使用される旨の指示とを含み、前記候補セルは、前記セル識別子リストを利用して識別され、前記候補セルを選択することは、前記ハッシュ・アルゴリズムに従って、識別された候補セルからセルを識別することを含む。
【0067】
具他例23は、ある対象事項を含むことが可能であり、又は、具体例1ないし22のうち何れか又は任意の組み合わせによる対象事項と選択的に組み合わせられることが可能であり、そのような対象事項は:セル固有優先度及び周波数優先度を指示するシステム情報を、ネットワークを介して受信する手段;前記現在のサービング・セルのセル優先度より高いセル固有優先度を有し、現在のサービング・キャリア周波数の周波数優先度より高い周波数優先度を有し、及び、セル適性基準を充足する候補セルを、現在のサービング・セルを変更するために識別する手段;及び、前記UEが高速UEに指定される場合、セル固有優先度及び周波数優先度を利用する候補セルの選択をディセーブルにする手段;を有する。
【0068】
具体例24においては、具体例25の対象事項が、選択的に、前記現在のサービング・キャリア周波数の優先度より低い周波数優先度を有するセルを候補セルとして識別する手段;及び、識別されたセルのうち少なくとも1つが前記現在のサービング・セルより高いセル固有優先度を有する場合、又は、前記現在のサービング・セルのセル固有優先度が前記UEにとって利用可能ではなく且つ識別されたセルが前記現在のサービング周波数の周波数優先度より高いセル固有優先度を有する場合に、前記現在のサービング・セルを変更するように前記候補セルを選択する手段;を含むことが可能である。
【0069】
具体例25においては、具体例23及び24のうち何れか又は双方による対象事項が、選択的に、キャリア周波数を選択するために、ハッシュ・アルゴリズムが使用される指示を受信する手段を含み;前記UEは:前記セル識別子リストが前記システム情報に含まれる場合、前記ハッシュ・アルゴリズムに従って、セル識別子リストに含まれるセルのキャリア周波数からキャリア周波数を選択する手段;及び、前記セル識別子リストが前記UEにとって利用可能でない場合、前記ハッシュ・アルゴリズムに従って前記候補セルの全ての利用可能なキャリア周波数のうちから、キャリア周波数を選択する手段;を有する。
【0070】
非限定的な具体例は、任意の置換又は組み合わせにおいて組み合わせられることが可能である。
【0071】
上記の詳細な記述は、詳細な説明の一部を為す添付図面を参照することを含む。図面は、例示として、本発明が実施されることが可能な特定の実施形態を示す。これらの実施形態も「具体例」として言及される。本文献に対して言及される全ての刊行物、特許及び特許文献は、たとえそれらが個々に引用されていたとしても、本願に全体的にリファレンスとして組み込まれる。これらの文献と本文献との間で利用の仕方が矛盾する場合、組み込まれるリファレンスにおける利用の仕方は、本文献に対する補足的なものとして解釈されるべきであり、相容れない矛盾については、本願による利用の仕方が優先する。
【0072】
本願で記述される方法例は、少なくとも部分的にマシン又はコンピュータにより実現されることが可能である。そのようなものに対する具体例は、上記の例で説明されたような方法を実行するために電子デバイスを構成するように動作することが可能な命令とともにエンコードされるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体又はマシン読み取り可能な記憶媒体を包含することが可能である。そのような方法の実現手段は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高級言語コード等のようなコードを含むことが可能である。そのようなコードは、様々な方法を実行するためのコンピュータ読み取り可能な命令を含むことが可能である。コードはコンピュータ・プログラムプロダクトの一部を形成してもよい。コードは、実行中又は他の時間において、1つ又は複数の揮発性の、非一時的な、又は不揮発性の有形のコンピュータ読み取り可能な媒体に具体的に保存されることが可能である。これらの有形のコンピュータ読み取り可能な媒体の具体例は、ハードディスク、取り外し可能な磁気ディスク、取り外し可能な光ディスク(例えば、コンパクト・ディスク、ディジタル・ビデオ・ディスク等)、磁気カセット、メモリカード又はスティック、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリ・メモリ(ROM)等を含むことが可能であるが、これらに限定されない。
【0073】
要約は読者が技術的な開示の本質及び要旨を把握できるようにすることを要約に要求する37C.F.R.Section1.72(b)を遵守するように提供される。要約は特許請求の範囲の目的又は意味を限定又は解釈するためには使用されない理解の下で提出されている。特許請求の範囲の請求項に係る事項は明細書にも組み込まれており、それぞれの対象事項は別個の実施形態として成立する。また、請求項において、「含む」及び「有する」等のような用語は開放的であり、すなわち、請求項の中でそのような用語の後に列挙されるものに追加的な要素を含むシステム、デバイス、製品又はプロセスも、その請求項の範囲に属するように考えられる。更に、請求項において、「第1」「第2」「第3」等のような用語は(存在する場合)、単にラベルとして使用されているに過ぎず、対象に対する数値的な条件を課すように解釈されるべきでない。