特許第6386166号(P6386166)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼットティーイー マイクロエレクトロニクス テクノロジー カンパニー リミテッドの特許一覧

特許6386166IPv4とIPv6との間の翻訳方法及び装置
<>
  • 特許6386166-IPv4とIPv6との間の翻訳方法及び装置 図000002
  • 特許6386166-IPv4とIPv6との間の翻訳方法及び装置 図000003
  • 特許6386166-IPv4とIPv6との間の翻訳方法及び装置 図000004
  • 特許6386166-IPv4とIPv6との間の翻訳方法及び装置 図000005
  • 特許6386166-IPv4とIPv6との間の翻訳方法及び装置 図000006
  • 特許6386166-IPv4とIPv6との間の翻訳方法及び装置 図000007
  • 特許6386166-IPv4とIPv6との間の翻訳方法及び装置 図000008
  • 特許6386166-IPv4とIPv6との間の翻訳方法及び装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386166
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】IPv4とIPv6との間の翻訳方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/749 20130101AFI20180827BHJP
【FI】
   H04L12/749
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-510550(P2017-510550)
(86)(22)【出願日】2014年11月18日
(65)【公表番号】特表2017-530615(P2017-530615A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(86)【国際出願番号】CN2014091430
(87)【国際公開番号】WO2015117454
(87)【国際公開日】20150813
【審査請求日】2017年2月21日
(31)【優先権主張番号】201410419646.3
(32)【優先日】2014年8月22日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516010548
【氏名又は名称】セインチップス テクノロジー カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シ シェン
(72)【発明者】
【氏名】シュン クアン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ジュンホア
【審査官】 宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−061541(JP,A)
【文献】 特開2005−080146(JP,A)
【文献】 特表2008−543139(JP,A)
【文献】 特表2010−503081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/00−12/955
H04B7/24−7/26,H04W4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
IPv4とIPv6との間の翻訳方法であって、
ネットワークコアにBIHリンクトラッカとクイックトランスレータを設け、IPv4クライアントとIPv6サーバーとの間にリンクが確立されると、IPv4クライアントからIPv6サーバーへ送信するパケットを標準トランスレータにより翻訳してからIPv6サーバーへ送信し、BIHリンクトラッカは、双方のインタラクションのパケットからIPv4とIPv6のリンク情報及び翻訳情報を抽出して記録することと、
IPv4クライアントとIPv6サーバーとの間のリンク確立が完了した後、パケットの送信プロセス中に、前記パケットをクイックトランスレータへ送信し、前記クイックトランスレータは、BIHリンクトラッカによって記録されたリンク情報に対応する翻訳情報に応じて、前記パケットを翻訳してから送信することとを含み、
前記クイックトランスレータは、BIHリンクトラッカによって記録されたリンク情報に対応する翻訳情報に応じて、前記パケットを翻訳してから送信することは、
クイックトランスレータは、前記パケットからIPv4のリンク情報を抽出し、前記リンク情報をBIHリンクトラッカによって記録されたリンク情報とマッチングし、マッチングされた場合、マッチングされたリンク情報に対応する順方向及び逆方向の翻訳情報に応じて、前記パケットをIPv4タイプからIPv6タイプへ翻訳してからIPv6サーバーへ送信すること、又は、
クイックトランスレータは、前記パケットからIPv6のリンク情報を抽出し、前記リンク情報をBIHリンクトラッカによって記録されたリンク情報とマッチングし、マッチングされた場合、マッチングされたリンク情報に対応する順方向及び逆方向の翻訳情報に応じて、前記パケットをIPv6タイプからIPv4タイプへ翻訳してからIPv4クライアントへ送信することを含む方法。
【請求項2】
前記BIHリンクトラッカは、双方のインタラクションのパケットからIPv4とIPv6のリンク情報及び翻訳情報を抽出して記録することは、
IPv4クライアントがIPv6サーバーへのリンク確立を開始する場合、翻訳デバイスは、IPv4クライアントのパケットを受信し、パケットに対してルーティング変更後プロセスを実行して、パケットをBIHリンクトラッカへ送信し、BIHリンクトラッカは、前記パケットからIPv4のリンク情報、ならびに順方向及び逆方向の翻訳情報を抽出して記録することと、
IPv6サーバーがリンク確立応答をIPv4クライアントへ返信する場合、翻訳デバイスは、IPv6サーバーのパケットを受信し、パケットに対してルーティング変更前プロセスを実行して、パケットをBIHリンクトラッカへ送信し、BIHリンクトラッカは、前記パケットからIPv6のリンク情報、ならびに順方向及び逆方向の翻訳情報を抽出して記録することとを含む
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記IPv4クライアントとIPv6サーバーとの間のリンク確立が完了した後、パケットの送信プロセス中に、前記パケットをクイックトランスレータへ送信することは、
IPv4クライアントとIPv6サーバーとの間のリンク確立が完了した後、翻訳デバイスは、パケットに対してルーティング変更前プロセスを実行する前に、パケットをクイックトランスレータへ送信することを含む
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
当該方法は、ドメイン名のAクラスのドメイン名サービス(DNS)への要求が失敗した場合、拡張ドメイン名リゾルバは、ドメイン名のAAAAクラスのDNS要求を構成し、IPv6アドレスを得る場合、コアインターフェースを介してアドレスマッパーに仮想IPv4アドレスを申請し、前記仮想IPv4アドレスをIPv4クライアントへ返信し、前記アドレスマッパーは、IPv6アドレスと仮想IPv4アドレスとの間のマッピング関係をIPアドレスマッピングテーブルに記録し、前記IPアドレスマッピングテーブルを標準トランスレータへ送信することをさらに含む
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
IPv4とIPv6との間の翻訳装置であって、
IPv4クライアントとIPv6サーバーとの間にリンクが確立されると、双方のインタラクションのパケットからIPv4とIPv6のリンク情報及び翻訳情報を抽出して記録するように構成されるBIHリンクトラッカと、
IPv4クライアントからIPv6サーバーへ送信するパケットを翻訳してからIPv6サーバーへ送信するように構成される標準トランスレータと、
IPv4クライアントとIPv6サーバーとの間のリンク確立が完了した後、パケットの送信プロセス中に、BIHリンクトラッカによって記録されたリンク情報に対応する翻訳情報に応じて、前記パケットを翻訳してから送信するように構成されるクイックトランスレータとを含み、
前記クイックトランスレータは、
パケットからIPv4のリンク情報を抽出し、前記リンク情報をBIHリンクトラッカによって記録されたリンク情報とマッチングし、マッチングされた場合、マッチングされたリンク情報に対応する順方向及び逆方向の翻訳情報に応じて、前記パケットをIPv4タイプからIPv6タイプへ翻訳してからIPv6サーバーへ送信するように構成され、又は、前記パケットからIPv6のリンク情報を抽出し、前記リンク情報をBIHリンクトラッカによって記録されたリンク情報とマッチングし、マッチングされた場合、マッチングされたリンク情報に対応する順方向及び逆方向の翻訳情報に応じて、前記パケットをIPv6タイプからIPv4タイプへ翻訳してからIPv4クライアントへ送信するように構成される装置。
【請求項6】
前記BIHリンクトラッカは、IPv4クライアントがIPv6サーバーへのリンク確立を開始する場合、IPv4クライアントにより送信されたパケットに対してルーティング変更後プロセスを実行して、前記パケットからIPv4のリンク情報、ならびに順方向及び逆方向の翻訳情報を抽出して記録するように構成され、
前記BIHリンクトラッカは、IPv6サーバーがリンク確立応答をIPv4クライアントへ返信する場合、IPv6サーバーにより送信されたパケットに対してルーティング変更前プロセスを実行して、前記パケットからIPv6のリンク情報、ならびに順方向及び逆方向の翻訳情報を抽出して記録するように構成される
請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、アドレスマッパーをさらに含み、
前記アドレスマッパーは、IPアドレスマッピングテーブルを前記標準トランスレータへ送信するように構成され、
前記標準トランスレータは、アドレスマッパーにより送信されたIPアドレスマッピングテーブルに応じて、パケットをIPv4ネットワークからIPv6ネットワークへ翻訳してからIPv6サーバーを送信するように構成される
請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、拡張ドメイン名リゾルバをさらに含み、
前記拡張ドメイン名リゾルバは、ドメイン名のAAAAクラスのDNS要求を構成し、IPv6アドレスを得る場合、コアインターフェースを介してアドレスマッパーに仮想IPv4アドレスを申請し、前記仮想IPv4アドレスをIPv4クライアントへ返信するように構成され、
前記アドレスマッパーは、IPv6アドレスと仮想IPv4アドレスとの間のマッピング関係をIPアドレスマッピングテーブルに記録し、前記IPアドレスマッピングテーブルを標準トランスレータへ送信するように構成される
請求項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はIPv4からIPv6への移行技術に関し、特に、IPv4とIPv6との間の翻訳方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイルインターネット、ユビキタスネットワークサービス及びネットワーク規模の発展に伴い、広く使用されたIPv4アドレスは、希少な資源になった。IPv4アドレスの不足に対処するために、インターネットエンジニアリングタスクフォース(IETF)は、IPv6アドレッシングモードを提出する。
【0003】
IPv6は、新しい世代のネットワークプロトコルであり、128ビットのアドレスフォーマットを採用し、アドレス空間が大きいため、IPv4アドレスの不足の問題を完全に解決することができる。十数年の研究、試験及び産業推進を経て、IPv6が現在に商用手配段階に達す。
【0004】
IPv4からIPv6への移行技術として、業界ではデュアルスタック、トンネル及び翻訳という3種類を分ける。
【0005】
1.IPv4/IP6デュアルスタック技術について
デュアルスタックノードは、IPv4ノードと通信する時にIPv4プロトコルスタックを使用し、IPv6ノードと通信する時にIPv6プロトコルスタックを使用する。
【0006】
2.トンネル技術について
2つのIPv6局がIPv4ネットワークを介して通信して接続する及び2つのIPv4局がIPv6ネットワークを介して通信して接続するという技術を提供する。
【0007】
3.IPv4とIPv6との間の翻訳技術について
IPv4ネットワークとIPv6ネットワークとの間の相互アクセス技術を提供する。
【0008】
中国移動は、IP通信量をIPv6に移行する理念を提唱し、革新的なIPv6移行技術(PNATにおいて、Prefix based NAT)を提出する。この技術において、BIH(Bump in Host)のホストベースの翻訳方式を採用し、サービス通信量のIPv6への移行を実現し、PNAT/BIHは、IPv4のアプリケーションがIPv6ネットワークで透過的に実行することをサポートするとともに、IPv4とIPv6ネットワークとの間の自由通信能力を満たす。
【0009】
中国移動からのBIH技術は、IPv6への移行技術におけるIPv4/IPv6の翻訳技術に属する。BIHは、プロトタイプシステムの開発を完了して、技術基準を形成し、現在にRFC6535に属する。
【発明の概要】
【0010】
当該技術は、実際の応用において、以下の欠点が存在する。各パケットは、IPv4及びIPv6の全プロセスを経由する必要がある。特に、linuxのようなシステムにおいて、IPv4及びIPv6プロセスに多いHOOK関数がある。中国移動が発表したオープンソースに応じて、linuxシステムにおいてBIH実現を実行して、テストにおいて、パケットの処理時間が長く、性能が低く、ユーザー体験に影響するという課題を発見した。
【0011】
以上の技術的な課題を解決するために、本発明の実施例は、IPv4とIPv6との間の翻訳方法及び装置を提供する。
【0012】
本発明の実施例に係る技術案は、以下のように実現される。
【0013】
本発明の実施例は、IPv4とIPv6との間の翻訳方法を提供し、当該方法は、
ネットワークコアにBIHリンクトラッカとクイックトランスレータを設け、IPv4クライアントとIPv6サーバーとの間にリンクが確立されると、IPv4クライアントからIPv6サーバーへ送信するパケットを標準トランスレータにより翻訳してからIPv6サーバーへ送信し、BIHリンクトラッカは、双方のインタラクションのパケットからIPv4クライアントとIPv6サーバーのリンク情報及び翻訳情報を抽出して記録することと、
IPv4クライアントとIPv6サーバーとの間のリンク確立が完了した後、パケットの送信プロセス中に、前記パケットをクイックトランスレータへ送信し、前記クイックトランスレータは、BIHリンクトラッカによって記録されたリンク情報に対応する翻訳情報に応じて、前記パケットを翻訳してから送信することとを含む。
【0014】
本発明の実施例は、IPv4とIPv6との間の翻訳装置を提供し、当該装置は、
IPv4クライアントとIPv6サーバーとの間にリンクが確立されると、双方のインタラクションのパケットからIPv4クライアントとIPv6サーバーのリンク情報及び翻訳情報を抽出して記録するように構成されるBIHリンクトラッカと、
IPv4クライアントからIPv6サーバーへ送信するパケットを翻訳してからIPv6サーバーへ送信するように構成される標準トランスレータと、
IPv4クライアントとIPv6サーバーとの間のリンク確立が完了した後、パケットの送信プロセス中に、BIHリンクトラッカによって記録されたリンク情報に対応する翻訳情報に応じて、前記パケットを翻訳してから送信するように構成されるクイックトランスレータとを含む。
【0015】
本発明の実施例によって提供されたIPv4とIPv6との間の翻訳方法及び装置によれば、ネットワークコアにBIHリンクトラッカとクイックトランスレータを設け、IPv4クライアントとIPv6サーバーとの間にリンクが確立されると、IPv4クライアントからIPv6サーバーへ送信するパケットを標準トランスレータにより翻訳してからサーバーへ送信し、BIHリンクトラッカは、双方のインタラクションのパケットからIPv4クライアントとIPv6サーバーのリンク情報及び翻訳情報を抽出して記録し、IPv4クライアントとIPv6サーバーとの間のリンク確立が完了した後、パケットの送信プロセス中に、前記パケットをクイックトランスレータへ送信し、前記クイックトランスレータは、BIHリンクトラッカによって記録されたリンク情報に対応する翻訳情報に応じて、前記パケットを翻訳してから送信する。このように、追加されたBIHリンクトラッカがリンク情報及び翻訳情報を記録することで、この後の前記パケットのリンク情報がBIHリンクトラッカに存在する場合、クイックトランスレータは、前記パケットを直接に翻訳して送信することができ、従来のBIH技術において処理時間が長く、性能が低くという問題及び欠点を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】IPv4ネットワークとIPv6ネットワークとの間の翻訳のネットワークアーキテクチャを示す概略図である。
図2】本発明の実施例におけるIPv4とIPv6との間の翻訳のネットワークアーキテクチャを示す概略図である。
図3】本発明の実施例におけるIPv4とIPv6との間の翻訳方法のフローチャートである。
図4】本発明の実施例におけるリンク確立過程中のパケットのIPv4からIPv6への伝送の模式図である。
図5】本発明の実施例におけるリンク確立過程中のパケットのIPv6からIPv4への伝送の模式図である。
図6】本発明の実施例におけるリンク確立後のパケットのIPv4からIPv6への伝送の模式図である。
図7】本発明の実施例におけるリンク確立後のパケットのIPv4からIPv6への伝送の模式図である。
図8】本発明の実施例におけるIPv4とIPv6との間の翻訳装置の構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
BIH技術において、IPv4ネットワークとIPv6ネットワークとの間の翻訳がアプリケーションレイヤとネットワークコアにより実現される。図1に示すように、アプリケーションレイヤは拡張ドメイン名リゾルバを含み、ネットワークコアはアドレスマッパーとトランスレータを含み、内部ネットワーク端末のドメイン名サービス(DNS)要求について、拡張ドメイン名リゾルバは、AクラスのDNS要求(要求IPv4アドレス)が失敗した場合、AAAAクラスの要求(IPv6アドレスを要求する)を構成(construct)し、かつ前記AAAAクラスの要求をDNSサーバーへ送信し、IPv6アドレスを得る場合、コアインターフェースを呼び出してアドレスマッパーに仮想IPv4アドレスを申請し、内部ネットワーク端末へ返信し、同時に、アドレスマッパーは、IPv6アドレスと仮想IPv4との間のマッピング関係を記録する。内部ネットワーク端末とサーバーとの間にリンクが確立されたパケット(TCPの3回のハンドシェーク、UDPの1回の往復インタラクション)について、IPアドレスマッピングテーブルとマッチングされた後、トランスレータに進入してIPv4−>IPv6又はIPv6−>IPv4のパケット翻訳を行う。
【0018】
本発明の実施例において、ネットワークコアにBIHリンクトラッカとクイックトランスレータを設け、IPv4クライアントとIPv6サーバーとの間にリンクが確立されると、IPv4クライアントからIPv6サーバーへ送信するパケットを標準トランスレータにより翻訳してからサーバーへ送信し、BIHリンクトラッカは、双方のインタラクションのパケットからIPv4クライアントとIPv6サーバーのリンク情報及び翻訳情報を抽出して記録し、IPv4クライアントとIPv6サーバーとの間のリンク確立が完了した後、パケットの送信プロセス中に、前記パケットをクイックトランスレータへ送信し、前記クイックトランスレータは、BIHリンクトラッカによって記録されたリンク情報に対応する翻訳情報に応じて、前記パケットを翻訳してから送信する。
【0019】
以下、図面及び具体的な実施例を参照して本発明を詳しく説明する。
【0020】
本発明の実施例は、IPv4とIPv6との間の翻訳方法を実現し、図2図3に示すように、当該方法は以下のステップを含む。
【0021】
ステップ101において、ネットワークコアにBIHリンクトラッカとクイックトランスレータを設ける。
【0022】
ステップ102において、IPv4クライアントとIPv6サーバーとの間にリンクが確立されると、BIHリンクトラッカは、双方のインタラクションのパケットからIPv4クライアントとIPv6サーバーのリンク情報及び翻訳情報を抽出して記録する。
【0023】
具体的には、IPv4クライアントがIPv6サーバーへのリンク確立を開始する場合、図4に示すように、翻訳デバイスは、IPv4クライアントのパケットを受信し、パケットに対してルーティング変更後プロセスを実行し、パケットをBIHリンクトラッカへ送信し、BIHリンクトラッカは、前記パケットからIPv4リンク情報、ならびに順方向及び逆方向の翻訳情報を抽出して記録する。
【0024】
IPv6サーバーがリンク確立応答をIPv4クライアントへ返信する場合、図5に示すように、翻訳デバイスは、IPv6サーバーのパケットを受信し、パケットに対してルーティング変更前プロセスを実行し、パケットをBIHリンクトラッカへ送信し、BIHリンクトラッカは、前記パケットからIPv6サーバーのリンク情報、ならびに順方向及び逆方向の翻訳情報を抽出して記録する。
【0025】
上記の抽出することは、パケットヘッダのフィールドから抽出することであり、前記順方向及び逆方向の翻訳情報は、送信元IPアドレス、宛先IPアドレス、送信元MACアドレス、宛先MACアドレス、送信元ネットワーク機器のポート、宛先ネットワーク機器のポート等を含む。
【0026】
ステップ103において、IPv4クライアントからIPv6サーバーへ送信するパケットを標準トランスレータにより翻訳してからIPv6サーバーへ送信する。
【0027】
具体的には、翻訳デバイスは、IPv4クライアントからIPv6サーバーへ送信するパケットを標準トランスレータへ送信し、前記標準トランスレータは、アドレスマッパーが送信したIPアドレスマッピングテーブルに応じて、前記パケットをIPv4タイプからIPv6タイプへ翻訳してからIPv6サーバーへ送信する。
【0028】
ステップ104において、IPv4クライアントとIPv6サーバーとの間のリンク確立が完了した後、パケットの送信プロセス中に、前記パケットをクイックトランスレータへ送信する。
【0029】
具体的には、IPv4ネットワークとIPv6ネットワークとの間のリンク確立が完了した後、IPv4クライアントがIPv6サーバーへのデータ伝送を開始する場合、図6に示すように、翻訳デバイスは、パケットに対してルーティング変更前プロセスを実行する前に、パケットをクイックトランスレータへ送信し、IPv6サーバーがIPv4クライアントへのデータ伝送を開始する場合、図7に示すように、翻訳デバイスは、パケットに対してルーティング変更前プロセスを実行する前に、パケットをクイックトランスレータへ送信する。
【0030】
ステップ105において、クイックトランスレータは、BIHリンクトラッカによって記録されたリンク情報に対応する翻訳情報に応じて、前記パケットを翻訳してから送信する。
【0031】
具体的には、クイックトランスレータは、前記パケットからIPv4クライアントのリンク情報を抽出し、前記リンク情報をBIHリンクトラッカによって記録されたリンク情報とマッチングし、マッチングされた場合、マッチングされたリンク情報に対応する順方向及び逆方向の翻訳情報に応じて、前記パケットをIPv4タイプからIPv6タイプへ翻訳してからIPv6サーバーへ送信する。
【0032】
又は、クイックトランスレータは、前記パケットからIPv6サーバーのリンク情報を抽出し、前記リンク情報をBIHリンクトラッカによって記録されたリンク情報とマッチングし、マッチングされた場合、マッチングされたリンク情報に対応する順方向及び逆方向の翻訳情報に応じて、前記パケットをIPv6タイプからIPv4タイプへ翻訳してからIPv4クライアントへ送信する。
【0033】
図6に示すように、クイックトランスレータは、パケットのリンク情報がBIHリンクトラッカによって記録されたリンク情報とマッチングされた場合、マッチングされたリンク情報に対応する順方向及び逆方向の翻訳情報に応じて、前記パケットをIPv4タイプからIPv6タイプへ翻訳してからIPv6サーバーへ送信する。
【0034】
図7に示すように、クイックトランスレータは、パケットのリンク情報がBIHリンクトラッカによって記録されたリンク情報とマッチングされた場合、マッチングされたリンク情報に対応する順方向及び逆方向の翻訳情報に応じて、前記パケットをIPv6タイプからIPv4タイプへ翻訳してからIPv4クライアントへ送信する。
【0035】
図6図7からわかるように、パケットは、翻訳デバイスが実行する必要があるルーティング変更前プロセス(PREROUTING)、ルーティング決定プロセス(ROUTING DECISION)、フォワードプロセス(FORWARD)、ルーティング変更後プロセス(POSTROUTING)をスキップして、対向側へ直接に送信されることができ、多く処理時間を節約し、伝送効率を向上させることができる。
【0036】
上記の方法において、ステップ101の前に、ドメイン名のAクラスDNSへの要求が失敗した場合、拡張ドメイン名リゾルバは、ドメイン名のAAAAクラスのDNS要求を構成し、IPv6アドレスを得る場合、コアインターフェースを呼び出してアドレスマッパーに仮想IPv4アドレスを申請し、前記仮想IPv4アドレスをIPv4クライアントへ返信し、前記アドレスマッパーは、IPv6アドレスと仮想IPv4アドレスとの間のマッピング関係をIPアドレスマッピングテーブルに記録し、前記IPアドレスマッピングテーブルを標準トランスレータへ送信することをさらに含む。
【0037】
上記の方法を実現するために、本発明の実施例はまたIPv4とIPv6との間の翻訳装置を提供し、当該装置が翻訳デバイス例えばルータ、交換機等に設けられ、図8に示すように、当該装置は、BIHリンクトラッカ81、標準トランスレータ82、クイックトランスレータ83を含む。
【0038】
BIHリンクトラッカ81は、IPv4クライアントとIPv6サーバーとの間にリンクが確立されると、双方のインタラクションのパケットからIPv4クライアントとIPv6サーバーのリンク情報及び翻訳情報を抽出して記録するように構成される。
【0039】
標準トランスレータ82は、IPv4クライアントからIPv6サーバーへ送信するパケットを翻訳してからIPv6サーバーへ送信するように構成される。
【0040】
クイックトランスレータ83は、IPv4クライアントとIPv6サーバーとの間のリンク確立が完了した後、パケットの送信プロセス中に、BIHリンクトラッカ81に記録されたリンク情報に対応する順方向及び逆方向の翻訳情報に応じて、前記パケットを翻訳してから送信するように構成される。
【0041】
IPv4クライアントがIPv6サーバーへのリンク確立を開始する場合、前記BIHリンクトラッカ81は、具体的には、IPv4クライアントにより送信されたパケットに対してルーティング変更後プロセスを実行して、前記パケットからIPv4リンク情報及び翻訳情報を抽出して記録するように構成される。
【0042】
IPv6サーバーとするクライアントがリンク確立応答をIPv4クライアントへ返信する場合、前記BIHリンクトラッカ81は、具体的には、IPv6サーバーにより送信されたパケットに対してルーティング変更前プロセスを実行して、前記パケットからIPv6リンク情報、ならびに順方向及び逆方向の翻訳情報を抽出して記録するように構成される。
【0043】
前記順方向及び逆方向の翻訳情報は、送信元IPアドレス、宛先IPアドレス、送信元MACアドレス、宛先MACアドレス、送信元ネットワーク機器のポート、宛先ネットワーク機器のポート等を含む。
【0044】
前記クイックトランスレータ83は、具体的には、パケットからIPv4クライアントのリンク情報を抽出し、前記リンク情報をBIHリンクトラッカ81に記録されたリンク情報とマッチングし、マッチングされた場合、マッチングされたリンク情報に対応する順方向及び逆方向の翻訳情報に応じて、前記パケットをIPv4タイプからIPv6タイプへ翻訳してIPv6サーバーへ送信し、又は、前記パケットからIPv6サーバーのリンク情報を抽出し、前記リンク情報をBIHリンクトラッカ81に記録されたリンク情報とマッチングし、マッチングされた場合、マッチングされたリンク情報に対応する順方向及び逆方向の翻訳情報に応じて、前記パケットをIPv6タイプからIPv4タイプへ翻訳してからIPv4クライアントを送信するように構成される。
【0045】
前記標準トランスレータ82は、具体的には、アドレスマッパーにより送信されたIPアドレスマッピングテーブルを応じて、パケットをIPv4タイプからIPv6タイプへ翻訳してからIPv6サーバーへ送信するように構成される。
【0046】
それに対応し、当該装置は、IPアドレスマッピングテーブルを前記標準トランスレータ82へ送信するように構成されるアドレスマッパー84を含む。
【0047】
IPv4ネットワークとIPv6ネットワークとの間のリンク確立が完了した後、前記クイックトランスレータ83は、具体的には、ルーティング変更前プロセスを実行する前に、パケットのリンク情報をBIHリンクトラッカによって記録されたリンク情報とマッチングし、マッチングされた場合、マッチングされたリンク情報に対応する順方向及び逆方向の翻訳情報に応じて、前記パケットをIPv4タイプからIPv6タイプへ翻訳してから送信するように構成される。
【0048】
当該装置は、拡張ドメイン名リゾルバ85とをさらに含む。
【0049】
拡張ドメイン名リゾルバ85は、コアインターフェースを呼び出してアドレスマッパー84に仮想IPv4アドレスを申請し、前記仮想IPv4アドレスをIPv4クライアントへ返信するように構成される。
【0050】
前記アドレスマッパー84は、具体的には、IPv6アドレスと仮想IPv4アドレスとの間のマッピング関係をIPアドレスマッピングテーブルに記録し、前記IPアドレスマッピングテーブルを標準トランスレータ82へ送信するように構成される。
【0051】
以下、具体的な情景実施例を使用して本発明の方法を説明する。
【0052】
本実施例において、MIFI/CPEタイプの機器上での実現をベースとして(linuxシステムを採用する)、具体的な設定シーンは、PC内部ネットワーク端末(IPv4アドレスが192.168.0.100である)がMIFI機器(内部ネットワークIPv4アドレスが192.168.0.1であり、外部ネットワークIPv6アドレスが1:1:1:102b::1である)を介してIPv6サーバー(ドメイン名:www.IPv6.com、IPv6アドレス:2011::30)にアクセスすることである。IPv4とIPv6との間の翻訳方法は、主に以下のステップを含む。
【0053】
ステップ901において、MIFI機器は、内部ネットワーク端末のドメイン名www.IPv6.comへのAクラスの要求を受信し、拡張ドメイン名リゾルバは、まず、Aクラスの要求をDNSサーバー転送し、DNSサーバーが失敗メッセージを返信する又は応答しない場合、拡張ドメイン名リゾルバは、AAAAクラスの要求を構成(construct)し、DNSサーバーへ送信する。
【0054】
ステップ902において、拡張ドメイン名リゾルバは、AAAAクラスの応答を受信した後、ドメイン名に対応するIPv6アドレス即ち2011::30を抽出し、インターフェースを介してアドレスマッパーに通知し、アドレスマッパーは、仮想IPv4アドレスプール(192.0.0.1−192.0.255.255)から未使用のIPv4アドレス即ち192.0.0.1を選択し、2011::30と192.0.0.1のマッピング関係を確立し、さらに、192.0.0.1を拡張ドメイン名リゾルバへ返信し、拡張ドメイン名リゾルバは、AクラスのDNS応答を構成し内部ネットワーク端末へ返信する。
【0055】
ステップ903において、内部ネットワーク端末は、仮想アドレス192.0.0.1にTCPリンクを確立し、TCPの3回ハンドシェークの3つのパケットをBIH全プロセスで翻訳し、同時に、MIFI機器において、BIHリンクトラッカは、リンク及び翻訳情報を記憶する。
【0056】
順方向パケット即ちリンクされたIPv4クライアントからIPv6サーバーへ送信するパケットについて、IPv4プロセスのPOSTROUTINGにおいて、まず、BIHリンクトラッカで、IPv4リンク情報、ならびに順方向及び逆方向翻訳情報を抽出するが、翻訳処理を行わなく、次に標準トランスレータで、IPv4パケットをIPv6パケットに翻訳し、IPv6処理プロセスに移行し、IPv6プロセスのPOSTROUTINGにおいて、同様に、まずBIHリンクトラッカで、IPv6リンク情報を抽出し、さらに、翻訳情報例えば送信元MACアドレス、宛先MACアドレス、送信元ネットワーク機器のポート、宛先ネットワーク機器のポート等の情報を補足する。
【0057】
リンク確立する際の逆方向パケットについて、IPv6プロセスのPREROUTINGにおいて、まず、BIHリンクトラッカで、IPv6リンク情報、ならびに順方向及び逆方向翻訳情報を抽出するが、翻訳処理を行わなく、次に標準トランスレータで、IPv6パケットをIPv4パケットに翻訳し、IPv4処理プロセスに移行し、IPv4プロセスのPOSTROUTINGにおいて、同様に、まずBIHリンクトラッカで、IPv4リンク情報を抽出し、さらに、翻訳情報例えば送信元MACアドレス、宛先MACアドレス、送信元ネットワーク機器のポート、宛先ネットワーク機器のポート等の情報を補足する。IPv4パケットをIPv6パケットに翻訳し、IPv4プロセスに進入し、最終に内部ネットワーク端末から発信する。
【0058】
ステップ904において、確立されたリンクにおける順方向IPv4パケットについて、パケットの受信入力において、MIFI機器におけるクイックトランスレータに進入し、リンク情報を抽出してマッチングし、マッチングされた順方向翻訳情報を直接に使用してIPv6パケットを構成し、記録されたWANポートから発信する。
【0059】
ステップ905において、確立されたリンクにおける逆方向IPv6パケットについて、パケットの受信入力において、MIFI機器におけるクイックトランスレータに進入し、リンク情報を抽出してマッチングし、マッチングされた逆方向翻訳情報を直接に使用してIPv4パケットを構成し、記録されたLANポートから発信する。
【0060】
以上は、本発明の最適的な実施例に過ぎなく、本発明を制限せず、本分野の当業者に対して、本発明が各種類の変更と変化がある。本発明の主旨精神と原則以内に、いかなる改修、同等入れ替わり、改良等が、本発明の保護範囲以内に含まれるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の実施例に係る技術案によれば、追加されたBIHリンクトラッカがリンク情報及び翻訳情報を記録することで、この後の前記パケットのリンク情報がBIHリンクトラッカにある場合、クイックトランスレータが前記パケットを直接に翻訳して送信することができ、従来のBIH技術において処理時間が長く、性能が低くという問題及び欠点を解決することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8