特許第6386173号(P6386173)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6386173血管漏出症候群の予防または治療用組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386173
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】血管漏出症候群の予防または治療用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/704 20060101AFI20180827BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20180827BHJP
   A61P 9/14 20060101ALI20180827BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20180827BHJP
【FI】
   A61K31/704
   A61P9/00
   A61P9/14
   A23L33/10
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-514496(P2017-514496)
(86)(22)【出願日】2016年5月19日
(65)【公表番号】特表2017-528482(P2017-528482A)
(43)【公表日】2017年9月28日
(86)【国際出願番号】KR2016005318
(87)【国際公開番号】WO2017010673
(87)【国際公開日】20170119
【審査請求日】2017年3月14日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0101239
(32)【優先日】2015年7月16日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515262971
【氏名又は名称】インテリジェント シンセティック バイオロジー センター
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】キム、ホ ミン
(72)【発明者】
【氏名】カン、ジ イン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソン チャン
(72)【発明者】
【氏名】ツイ、チャン ハオ
【審査官】 横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−322068(JP,A)
【文献】 特開2005−298510(JP,A)
【文献】 特開2004−018519(JP,A)
【文献】 特表2009−500432(JP,A)
【文献】 特表2012−533535(JP,A)
【文献】 特表2013−509401(JP,A)
【文献】 特表2014−520845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00−33/44
A61P1/00−43/00
A23L33/10
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Science Direct
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジンセノサイドF1、ジンセノサイドRh1、またはその組み合わせを有効成分として含む血管漏出症候群の予防または治療用薬学組成物。
【請求項2】
前記ジンセノサイドF1が、下記化学式1の構造を有する化合物である、請求項1に記載の組成物。
【化1】
【請求項3】
前記ジンセノサイドRh1が、下記化学式2の構造を有する化合物である、請求項1に記載の組成物。
【化2】
【請求項4】
前記薬学組成物が、薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤をさらに含むものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
ジンセノサイドF1、ジンセノサイドRh1、またはその組み合わせを有効成分として含む血管漏出症候群の予防または改善用食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管漏出症候群の予防または治療用組成物に関し、より具体的には、本発明は、ジンセノサイドF1またはRh1を含む血管漏出症候群の予防または治療用薬学組成物は、前記薬学組成物を用いて血管漏出症候群を治療する方法及びジンセノサイドF1またはRh1を含む血管漏出症候群の予防または改善用食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
血管壁の断面は、内皮細胞(endothelium)で構成された内層(tunica intima)、エラスチン、コラーゲン繊維などで構成された結合組織(connective tissue)、平滑筋で構成された中間膜(tunica media)及びコラーゲン繊維層で構成された血管外膜(tunica adventitia)で構成された非対称的な構造を示すが、このような血管の非対称的構造は、血栓の生成を抑制し、血管漏出を防止し、血管の流動性を付与すると知られている。特に、血管の内皮細胞で構成された内層は、糖成分の高分子が表面に蓄積されて糖質皮質層を形成するが、前記糖質皮質層は血流の流れを直接的に制御し、血液と内皮細胞が直接的に接触することを防止して、血液内の成分が内皮細胞に流入することを抑制する役割をする。それだけでなく、血管弾力(tone)の調節、血液と組織間の流体及び溶質の交換、白血球の移動、止血及び血液凝固、炎症反応などの多様な生理活性に関与することが知られている。
【0003】
このような糖質皮質層が破損した場合、一次的に血管の機能が損傷され、二次的には、血管に関連する生理活性機能が阻害されることが知られている。糖質皮質層の損傷により最も大きく影響を受けることは、血管機能の損傷であるが、キズ、手術などの機械的刺激により糖質皮質層が損傷した場合、血液内の成分が内皮細胞を通じて血管外部に離脱することができる。このような血液内の成分が血管外部に離脱する症状を血管漏出(vascular leakage)という。前記血管漏出は、前述したような機械的刺激以外にも、過度な酸素ラジカルにより誘発されることができ、消化器官の潰瘍、内出血、炎症、虚血、糖尿病などの多様な疾患によっても誘発されることができる。
【0004】
このような血管漏出を誘発する疾患の代表的な例としては、血管漏出症候群(vascular leak syndrome)を挙げることができる。前記血管漏出症候群は、血管壁を通じた血管外流出により血漿が血管外部に流出され、周辺組織の浮腫を誘発させる疾患を意味するが、概ねインターロイキン2を使用した治療の副作用として発症することが知られている。しかし、インターロイキン2を使用した治療により、すべての患者から発症されるものではないと知られており、患者個人の遺伝的な原因により発症する可能性が提起されたため、前記血管漏出症候群は、遺伝病の一種ともみなされる。しかし、血管漏出症候群が誘発された患者の試料は、容易に入手することができず、血管漏出症候群を通じた血管漏出症状の研究が容易ではないという問題があった。これに対し、血管漏出症候群の患者の代替として、血管漏出が頻繁に現れる糖尿病患者を対象に、多様な研究を行った結果、血管漏出は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF;Vascular endothelial growth factor)の過発現により誘発されることが究明された。即ち、糖尿病の発症時に誘発されるVEGFの過発現は、内皮細胞の接着連接部(adherens junction)で内皮細胞間の結合を維持するのに重要な役割をするVE−カドヘリン(cadherin)を分解し、内皮細胞間の結合減少及び糖質皮質層の損傷を誘発して、これにより、血管漏出が発生することが報告された。また、前記血管漏出は、心血管系疾患を治療するための手術の過程により誘発されることもできる。例えば、動脈壁が弱くなったり、動脈内側の圧力が増加するとき、動脈の一部が膨張する疾患である動脈瘤を治療する方法の一つとして、動脈瘤が発生した部位に含まれた正常血管の間にステントのような保形物を挿入し、膨張された部位にこれ以上血流が流入することを防止する手術方法が使用されているが、前記ステントの隣接部位で血管漏出が誘発されることができる。このように、動脈瘤の治療時に発生する血管漏出を別途に「血管漏出(endoleak)」ともいうが、前記血管漏出(endoleak)が発生した場合、再手術を必要とするという問題がある。このような血管漏出は、基本的には、血液の損失、血圧低下などをもたらし、これにより、貧血または虚血による二次的損傷を誘発させることができ、これを効果的に治療する方法を開発しようとする研究が活発に進められている。
【0005】
例えば、特許文献1には、血管漏出を防止することができる化合物が開示されており、特許文献2には、動脈瘤の治療時に、血管漏出を防止することができるステントが開示されており、特許文献3には、αA−クリスタリン(αA-crystallin)遺伝子を発現する組換えアデノウイルスを利用して、糖尿性網膜症を治療する方法が開示されており、特許文献4には、VEGF−誘導性VE−カドヘリン分解を抑制し、血管漏出を抑制するC−ペプチドが開示されている。しかし、前記開発された技術中、ステントは、動脈瘤の治療のみに限定して使用することができ、化合物またはC−ペプチドは副作用発生の可能性が懸念され、より安全で効果的に血管漏出を治療する製剤の開発が求められるのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2010−081172号
【特許文献2】韓国登録特許第958578号公報
【特許文献3】韓国登録特許第1239495号公報
【特許文献4】国際公開第2014−025127号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、安全で効果的に血管漏出症候群を治療する製剤を開発するために鋭意研究努力した結果、高麗人参に由来した多様なジンセノサイド化合物が安全で効果的に血管漏出の症状を治療する効果を示し、その中でもジンセノサイドF1またはRh1が最も優れた血管漏出治療効果を示すことを確認し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの目的は、ジンセノサイドF1またはRh1を含む血管漏出症候群の予防または治療用薬学組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記薬学組成物を利用し、血管漏出症候群を治療する方法を提供することにある。
【0009】
本発明のもう一つの目的は、ジンセノサイドF1またはRh1を含む血管漏出症候群の予防または改善用食品組成物を提供することにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明で提供するジンセノサイドF1またはRh1は、血管新生を促進させることができるだけでなく、血管漏出を抑制することができるため、血管漏出症候群の効果的な予防または治療に広く活用されることができるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1a】10種のジンセノサイドを処理して培養したHUVECsを示す写真である。
図1b】前記10種のジンセノサイドを処理して培養したHUVECsで形成された導管の数を比較した結果を示すグラフである。
図2a】10種のジンセノサイドを処理して培養しれたHRMECsを示す写真である。
図2b】前記10種のジンセノサイドを処理して培養しれたHRMECsで形成された導管の数を比較した結果を示すグラフである。
図3a】ジンセノサイドF1またはRh1を濃度別に処理して培養したHUVECsを示す写真である。
図3b】前記ジンセノサイドF1またはRh1を濃度別に処理して培養したHUVECsで形成された導管の数を比較した結果を示すグラフである。
図4a】ジンセノサイドF1またはRh1を濃度別に処理して培養したHRMECsを示す写真である。
図4b】前記ジンセノサイドF1及びRh1を濃度別に処理して培養したHRMECsで形成された導管の数を比較した結果を示すグラフである。
図5】3種のジンセノサイドを濃度別(0、3.125、6.25、12.5または25μM)で処理し、培養したHUVECsの増殖水準を比較した結果を示すグラフである。
図6】3種のジンセノサイドを濃度別(0、6.25、12.5または25μM)で処理し、培養したHRMECsの増殖水準を比較した結果を示すグラフである。
図7a】3種のジンセノサイドを処理して培養したHUVECsを対象に、細胞移動性分析を行った結果を示す写真である。
図7b】3種のジンセノサイドを処理して培養したHUVECsを対象に、細胞移動性分析を行って得られた移動した細胞の割合を比較した結果を示すグラフである。
図8a】3種のジンセノサイドを処理して培養したHRMECsを対象に、細胞移動性分析を行った結果を示す写真である。
図8b】3種のジンセノサイドを処理して培養したHUVECsを対象に、細胞移動性分析を行って得られた移動した細胞の割合を比較した結果を示すグラフである。
図9】HUVECsにVEGF−Aを処理して誘発された血管漏出にジンセノサイドF1またはRh1の効果を比較した結果を示すグラフである。
図10a】マウスの耳においてVEGF−Aにより誘発された血管漏出症状に対するジンセノサイドF1またはジンセノサイドRh1の効果をEvans blue染色を介して目視で確認した結果を示す写真である。
図10b】マウスの耳においてVEGF−Aにより誘発された血管漏出症状に対するジンセノサイドF1またはジンセノサイドRh1の効果をEvans blue染色水準の定量分析を通じて確認した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明者らは、より安全で効果的に血管漏出症候群を予防または治療する製剤を開発するために、多様な研究を行っていた中、ジンセノサイドに注目するようになった。前記ジンセノサイド化合物は、高麗人参または紅参に含まれた化合物の一種であり、血管新生または血管損傷を伴う多様な疾患に対する治療効果を示すと言われているため、最も効果的に血管漏出症状を治療する効果を示すジンセノサイドを選抜しようとした。その結果、血管内皮細胞と類似した内皮細胞であるHUVECs(Human Umbilical Vascular Endothelial Cells)とHRMECs(Human Retinal Microvascular Endothelial Cells)に対して優れた水準で導管生成を促進させるジンセノサイドとして、ジンセノサイドF1またはRh1を選抜した。前記選抜されたジンセノサイドF1またはRh1の効果を検証した結果、濃度依存的に血管新生を促進し、細胞増殖を促進することができ、細胞移動を促進して、血管漏出を抑制することができることを確認した。
【0013】
このようなジンセノサイドF1またはRh1の血管漏出抑制効果は、これまで報告されておらず、本発明者により初めて究明された。
前述した目的を達成するために、本発明は、一つの様態としてジンセノサイドF1またはRh1を含む血管漏出症候群の予防または治療用薬学組成物を提供する。
【0014】
本発明の用語「ジンセノサイドF1」とは、20−O−β−D−グルコピラノシル−20(S)−プロトパナキサトリオールとも言い、C3662の化学式で示され、約638.87Daの分子量を有し、高麗人参から分離された下記化学式1の構造を有する化合物を意味する。
【0015】
【化1】
【0016】
本発明において、前記ジンセノサイドF1は、血管漏出を伴う疾患の予防または治療用薬学組成物の有効成分として使用することができる。
本発明の用語「ジンセノサイドRh1」とは、6−O−β−D−グルコピラノシド−20(S)−プロトパナキサトリオールともいい、C3662の化学式で示され、約638.87Daの分子量を有し、高麗人参から分離された下記化学式2の構造を有する化合物を意味する。
【0017】
【化2】
【0018】
本発明において、前記ジンセノサイドRh1は、血管漏出を伴う疾患の予防または治療用薬学組成物の有効成分として使用することができる。
本発明の用語「血管漏出症候群(vascular leak syndrome、vascular leakage syndrome)」とは、血管壁を通じた血管外流出により血漿が血管外部に流出される血管漏出症状により、周辺組織の浮腫を誘発させる疾患を意味するが、概ねインターロイキン2を使用した治療の副作用として発症し、遺伝的要因により発症の有無が決定されることが知られている。さらに、がん及び心血管疾患などの病的状態で分泌されたVEGFは、血管漏出を誘発し得る。
【0019】
本発明の用語「血管漏出(vascular leakage)」とは、血管を形成する構成要素中、血管内皮細胞の糖質皮質層の損傷、血管内皮細胞の結合力の損失などの多様な原因により血管壁の透過性が増加し、血液内の成分が血管外部に離脱する症状を意味するが、概ね低血圧、末梢浮腫、低アルブミン血症などを通じて間接的に診断することができる。前記血管漏出は、血管漏出症候群の主な症状であるものの、前記血管漏出症候群以外にも、血管の構成要素を直接的に損傷させる機械的刺激だけでなく、過度な酸素ラジカルにより誘発されることができ、消化器官の潰瘍、内出血、炎症、虚血、糖尿病などの多様な疾患によっても誘発されることができる。
【0020】
本発明の一実施例によれば、血管新生促進活性を示すジンセノサイドを選抜するために、10種のジンセノサイド化合物(CK、Rh2、Rg3、Rb1、F2、Rd、Re、Rg1、Rh1またはF1)中、HUVECs及びHRMECsで優れた血管新生促進活性を示すジンセノサイドを選抜した結果、高い水準で導管生成を促進する効果を示すジンセノサイドは、F1またはRh1であることを確認し(図1及び2)、これらをHUVECsに処理する場合には、濃度依存的に導管生成を促進する効果を示し(図3)、HUVECs及びHRMECsの細胞増殖を促進させ(図5及び6)、HUVECs及びHRMECsの細胞移動を促進させて(図7及び8)、HUVECsにVEGF−Aを処理して誘発された血管漏出の水準を抑制する効果を示すことを確認し(図9)、細胞レべる(図9)及び動物レベル(図10a及び10b)においてVEGF−Aを処理して誘発された血管漏出の水準を抑制する効果を示すことを確認した。
【0021】
したがって、ジンセノサイドF1またはRh1は、血管新生を促進するだけでなく、血管漏出を抑制する効果を示し、このような効果は、細胞レベルだけでなく、動物レベルにおいて示されることを確認したため、前記ジンセノサイドF1またはRh1は、血管漏出を伴う疾患を予防または治療する製剤として使用することができることが分かった。
【0022】
特に、VEGFは、がんと心血管系疾患のような病的な状態で分泌され、血管漏出を引き起こすだけでなく、非正常な血管を形成するのに大きな役割を果たすことが知られている。本発明で提供するジンセノサイドF1またはRh1は、血管を形成するとともに、血管漏出を抑制することができるため、前記ジンセノサイドF1またはRh1は、正常の新規血管を形成する新たな効果を示すと見ることができる。
【0023】
したがって、本発明で提供するジンセノサイドF1またはRh1は血管形成が抑制される多様な虚血性疾患だけでなく、VEGFの分泌により正常な血管の機能が消失し、非正常な血管が形成されるがんまたは心血管系疾患の治療で使用することができるだろう。
【0024】
一方、本発明の組成物は、薬学的組成物の製造に一般的に使用される適切な担体、賦形剤または希釈剤をさらに含む、血管漏出症候群の予防または治療用薬学組成物の形態で製造されうるが、前記担体は、非自然担体(non-naturally occuring carrier)を含むことができる。具体的には、前記薬学組成物は、それぞれ通常の方法により散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾルなどの経口型剤形、外用剤、坐剤及び滅菌注射溶液の形態で剤形化して使用することができる。本発明において、前記薬学的組成物に含めることができる担体、賦形剤及び希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルギン酸塩、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱物油を挙げることができる。製剤化する場合には、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を使用して調製される。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、前記抽出物とその分画物に少なくとも1つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)またはラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混ぜて調剤される。また、単純な賦形剤以外にステアリン酸マグネシウム、タルクなどのような潤滑剤も使用される。経口のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが該当されるが、よく使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外に多様な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれ得る。非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物油、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどが使用されることができる。坐剤の基剤としては、ウィテップゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用されることができる。
【0025】
本発明の薬学組成物に含まれた前記ジンセノサイドF1またはRh1の含有量は、特にこれに限定されないが、一例として、最終組成物の総重量を基準として0.0001〜50重量%、他の例として、0.01〜10重量%の含量で含まれ得る。
【0026】
前記本発明の薬学組成物は、薬学的に有効な量で投与されることができるが、本発明の用語「薬学的に有効な量」とは、医学的治療または予防に適用可能な合理的な受益/リスク比で疾患を治療または予防するのに十分な量を意味し、有効容量水準は、疾患の重症度、薬物の活性、患者の年齢、体重、健康、性別、患者の薬物に対する感度、使用された本発明組成物の投与時間、投与経路及び排出割合、治療期間、使用された本発明の組成物と配合または同時使用される薬物を含む要素及びその他の医学分野でよく知られている要素に応じて決定することができる。本発明の薬学組成物は、単独で投与したり、公知となった血管漏出症候群の予防または治療用製剤と併用して投与することができる。前記要素を全て考慮し、副作用のない、最小限の量で最大の効果を得る量を投与することが重要である。
【0027】
本発明の薬学組成物の投与量は、使用目的、疾患の重篤度、患者の年齢、体重、性別、既往歴、または有効成分として使用される物質の種類などを考慮して当業者が決定することができる。例えば、本発明の薬学組成物は、成人1人当たり約0.1ng〜約100mg/kg、好ましくは1ng〜約10mg/kgで投与することができ、本発明組成物の投与頻度は、特にこれに制限されないが、1日1回投与したり、または容量を分割して数回投与することができる。前記投与量は、いかなる面であれ、本発明の範囲を限定するものではない。
【0028】
本発明は、他の一つの様態として、前記薬学組成物を薬学的に有効な量で、血管漏出症候群が発症する可能性があるか、または発症した個体に投与する段階を含む血管漏出症候群の予防または治療方法を提供する。
【0029】
本発明の用語「個体」とは、血管漏出症候群が発症する可能性があるか、または発症したラット、家畜、ヒトなどを含む哺乳動物、養殖魚類などを制限なく含むことができる。
本発明の血管漏出症候群の予防または治療用薬学組成物の投与経路は、目的組織に到達することができる限り、いかなる一般的な経路を通じても投与することができる。本発明の薬学組成物は、特にこれに限定されないが、目的に応じて腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与、鼻内投与、肺内投与、直腸内投与などの経路をを通じて投与することができる。ただし、経口投与時には、胃酸により前記ジンセノサイドF1またはRh1が変性することができるため、経口用組成物は、活性薬剤をコーティングしたり、胃腸での分解から保護されるように剤形化することができる。また、前記組成物は、活性物質が標的細胞に移動することができる任意の装置により投与することができる。
【0030】
本発明は、もう一つの様態としてジンセノサイドF1またはRh1を含む血管漏出症候群の予防または改善用食品組成物を提供する。
前記血管漏出症候群の予防または治療用薬学組成物の有効成分であるジンセノサイドF1またはRh1は薬用天然物である高麗人参などの従来から漢方薬として使用され、その安全性が立証された天然物に由来したため、前記ジンセノサイドF1またはRh1は常食できながらも、血管漏出症候群の予防または改善を図ることができる食品の形態で製造されて摂取することができる。
【0031】
この時、前記の食品に含まれる前記ジンセノサイドF1またはRh1の含有量は、特にこれに限定されないが、食品組成物の総重量に対して0.001〜50重量%、より好ましくは0.1〜10重量%で含まれ得る。食品が飲料である場合には、100mlを基準に1〜10g、好ましくは2〜7gの割合で含まれ得る。また、前記組成物は、食品組成物に通常使用されて臭い、味、視覚などを向上させる追加の成分を含むことができる。例えば、ビタミンA、C、D、E、B1、B2、B6、B12、ナイアシン(niacin)、ビオチン(biotin)、葉酸(folate)、パントテン酸(panthotenic acid)などを含むことができる。また、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、銅(Cu)などのミネラルを含むことができる。また、リジン、トリプトファン、システイン、バリンなどのアミノ酸を含むことができる。また、防腐剤(ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、デヒドロ酢酸ナトリウムなど)、殺菌剤(さらし粉と高度さらし粉、次亜塩素酸ナトリウムなど)、酸化防止剤(ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)など)、着色剤(タール色素など)、発色剤(亜硝酸ナトリウム、亜酢酸ナトリウムなど)、漂白剤(亜硫酸ナトリウム)、調味料(MSGグルタミン酸ナトリウムなど)、甘味料(ズルチン、シクラメート、サッカリン、ナトリウムなど)、香料(バニリン、ラクトン類など)、膨張剤(ミョウバン、D−酒石酸水素カリウムなど)、強化剤、乳化剤、増粘剤(糊料)、カプセル材料、ガム基礎剤、泡抑制剤、溶剤、改良剤などの食品添加物(food additives)を添加することができる。前記添加物は、食品の種類に応じて選別され、適切な量で使用される。
【0032】
一方、前記ジンセノサイドF1またはRh1を含む血管漏出症候群の予防または改善用食品組成物を用いて血管漏出症候群の予防または改善用健康機能性食品を製造することができる。
【0033】
具体的な例として、前記食品組成物を用いて血管漏出症候群を予防または改善させる加工食品を製造することがあるが、例えば、お菓子、飲料、酒類、発酵食品、缶詰、牛乳加工食品、食肉加工食品または麺加工食品の形態である健康機能性食品として製造することができる。この時、お菓子はビスケット、パイ、ケーキ、パン、キャンディ、ゼリー、ガム、シリアル(穀物フレークなどの食事代用品類を含む)などを含む。飲み物は、飲料水、炭酸飲料、機能性イオン飲料、ジュース(例えば、リンゴ、梨、ブドウ、アロエ、柑橘類、桃、ニンジン、トマトジュースなど)、甘酒などを含む。酒類は、清酒、ウイスキー、焼酎、ビール、洋酒、果実酒などを含む。発酵食品は、醤油、味噌、コチュジャンなどを含む。缶詰は、水産物缶詰(例えば、マグロ、サバ、サンマ、サザエの缶詰など)、畜産物缶詰(牛肉、豚肉、鶏肉、七面鳥缶詰など)、農産物缶詰(トウモロコシ、桃、パインアップル缶詰など)を含む。乳加工食品は、チーズ、バター、ヨーグルトなどを含む。食肉加工食品は、とんかつ、ビーフカツ、チキンカツ、ソーセージ。酢豚、ナゲット類、ノビアニなどを含む。密封包装生麺などの麺を含む。それ以外にも、前記組成物は、レトルト食品、スープ類などに使用することができる。
【0034】
本発明の用語「健康機能性食品(functional food)」とは、特定保健用食品(food for special health use, FoSHU)と同じ用語であり、栄養供給以外にも、生体調節機能が効率的に示されるように加工された医学、医療効果の高い食品を意味するが、前記食品は、血管漏出症候群の予防または改善に有用な効果を得るために、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、液状、丸などの多様な形態で製造することができる。
【0035】
以下、本発明を実施例を通じてより詳しく説明する。しかし、これら実施例は、本発明を例示的に説明するためのもので、本発明の範囲がこれら実施例に限定されるものではない。
【0036】
実施例1:血管新生促進活性を示すジンセノサイドの選抜
10種のジンセノサイド化合物(CK, Rh2, Rg3, Rb1, F2, Rd, Re, Rg1, Rh1またはF1)を利用してHUVECs(Human Umbilical Vascular Endothelial Cells)及びHRMECs(Human Retinal Microvascular Endothelial Cells)の血管新生促進活性を比較した。即ち、前記HUVECsまたはHRMECsをそれぞれ2%のFBS、EGM−2(Lonza, Walkersville, MD)培地を用いて、5%のCO2で維持される37℃の培養器で培養した。96−well plateにmatrigel(BD Biosciences)で1時間コーティングし、HUVECsまたはHRMECsを10個/wellで25μMのジンセノサイド化合物(CK, Rh2, Rg3, Rb1, F2, Rd, Re, Rg1, Rh1またはF1)がそれぞれ処理された0.1%のFBS添加EBM−2培地と混合した後、matrigelがコーティングされた96−well plateにシーディングした。4時間培養した後、導管形成分析法(Tube formation assay)を行い、顕微鏡で観察及び写真撮影をして生成された導管の数を比較した(図1a、1b、2a、及び2b)。この時、陰性対照群としてはジンセノサイドの代わりにDMSOを処理して培養した細胞を使用し、陽性対照群は、血管新生を促進することが知られているVEGF−Aを処理して培養した細胞を使用した。シーディング
まず、図1aは10種のジンセノサイドを処理して培養したHUVECsを示す写真であり、図1bは前記10種のジンセノサイドを処理して培養したHUVECsで形成された導管の数を比較した結果を示すグラフある。図1で示されるように、HUVECsの培養時にジンセノサイドCK、Rb2、またはRg3は導管生成を抑制する効果を示し、ジンセノサイドRb1またはF2は特に差を示さず、ジンセノサイドRd、Re、Rg1、Rh1またはF1は導管生成を促進する効果を示すことを確認した。
【0037】
次に、図2aは10種のジンセノサイドを処理して培養したHRMECsを示す写真であり、図2bは前記10種のジンセノサイドを処理して培養したHRMECsで形成された導管の数を比較した結果を示すグラフである。図2で示されるように、HRMECsの培養時にジンセノサイドCK、Rb2、またはRg3は導管生成を抑制する効果を示し、ジンセノサイドRe、Rb1、Rg1、Rd、F1、F2、またはRh1は導管生成を促進する効果を示すことを確認した。
【0038】
また、前記HUVECsまたはHRMECsの培養時に共通して導管生成を促進する効果を示すジンセノサイドはRe、Rd、F1またはRh1であり、このうち、2種類の細胞培養時に陽性対照群よりも高いレベルで導管生成を促進する効果を示すジンセノサイドは、F1またはRh1であることを確認した。
【0039】
したがって、前記ジンセノサイドF1またはRh1を選抜してそれ以後の実験に使用した。
実施例2:ジンセノサイド処理濃度による血管新生促進効果
前記実施例1の方法で培養されたHUVECsまたはHRMECsに、前記実施例1で選抜したジンセノサイドF1またはRh1を多様な濃度(12.5、25、または50μM)で4時間処理して培養し、導管形成分析法を行って生成された導管の数を比較した(図3及び4)。この時、陰性対照群としてはジンセノサイドの代わりにDMSOを処理して培養した細胞を使用し、陽性対照群は、血管新生を促進することが知られているVEGF−Aを処理して培養した細胞を使用した。
【0040】
図3aは2種のジンセノサイドを濃度別に処理して培養したHUVECsを示す写真であり、図3bは前記2種のジンセノサイドを濃度別に処理して培養したHUVECsで形成された導管の数を比較した結果を示すグラフである。図3で示されるように、HUVECsの培養時、2種のジンセノサイドはいずれも濃度依存的に導管生成を促進し、50μMで処理した場合には、陽性対照群よりも高いレベルで導管を形成することを確認した。
【0041】
図4aは2種のジンセノサイドを濃度別に処理して培養したHRMECsを示す写真であり、図4bは前記2種のジンセノサイドを濃度別に処理して培養したHRMECsで形成された導管の数を比較した結果を示すグラフである。図4で示されるように、HRMECsの培養時、2種のジンセノサイドは濃度依存的に導管生成を促進する効果を顕著には表されなかったが、全濃度で陽性対照群よりも高いレベルで導管を形成することを確認した。
【0042】
実施例3:ジンセノサイド処理濃度による細胞増殖促進効果
前記実施例1の方法で培養されたHUVECsまたはHRMECsに、前記実施例1で導管形成を促進することが確認された3種のジンセノサイド(F1、Rh1またはRg1)を、多様な濃度(0、3.125、6.25、12.5または25μM)で48時間処理して培養し、培養された細胞を対象にMTT分析法を行い、細胞増殖水準を比較した(図5及び6)。この時、陰性対照群としてはジンセノサイドの代わりにDMSOを処理して培養した細胞を使用し、陽性対照群は、血管新生を促進することが知られているVEGF−Aを処理して培養した細胞を使用した。
【0043】
図5は、3種のジンセノサイドを濃度別(0、3.125、6.25、12.5または25μM)に処理し、培養されたHUVECsの増殖水準を比較した結果を示すグラフである。図5で示されるように、HUVECsの培養時、ジンセノサイドF1は、約20%、ジンセノサイドRh1は約100%及びジンセノサイドRg1は約60%の細胞増殖を促進させることを確認した。
【0044】
図6は、3種のジンセノサイドを濃度別(0、6.25、12.5または25μM)に処理し、培養されたHRMECsの増殖水準を比較した結果を示すグラフである。図6で示されるように、HRMECsの培養時、3種のジンセノサイドはすべて約20%の細胞増殖を促進させることを確認した。
【0045】
実施例4:ジンセノサイドの細胞移動促進効果
HUVECsまたはHRMECsを対象に、前記実施例1で導管形成を促進することが確認された3種のジンセノサイドが細胞移動性に及ぼす影響を確認するために、細胞移動性分析を行った。
【0046】
具体的には、挿入物(Culture-insert)が備えられた培養容器(Culture-insert ofμ-dish, Ibidi)を0.1%のゼラチンでコーティングし、EGM−2培地を加えた後、前記実施例1の方法で培養されたHUVECsまたはHRMECsを接種し、90%の飽和度になるまで培養して、前記挿入物を除去した。その後、培地を3種のジンセノサイド(F1、Rh1またはRg1)25μMと0.1%のFBSが含まれたEBM−2培地で交換し、さらに12時間培養した後、顕微鏡でHUVECsまたはHRMECs細胞の移動水準を分析した(図7a、7b、8a及び8b)。その時、陰性対照群としてはジンセノサイドの代わりにDMSOを処理して12時間培養した細胞を使用し、陽性対照群は、血管新生を促進することが知られているVEGF−Aを処理して12時間培養した細胞を使用し、基準対照群として培養されていない細胞を使用した。
【0047】
図7aは3種のジンセノサイドを処理して培養されたHUVECsを対象に、細胞移動性分析を行った結果を示す写真であり、図7bは移動された細胞の割合を比較した結果を示すグラフである。図7で示されるように、3種のジンセノサイドがすべてHUVECsの移動性を促進させることを確認した。
【0048】
図8aは3種のジンセノサイドを処理して培養されたHRMECsを対象に、細胞移動性分析を行った結果を示す写真であり、図8bは移動された細胞の割合を比較した結果を示すグラフである。図8で示されるように、3種のジンセノサイドがすべてHRMECsの移動性を促進させることを確認した。
【0049】
実施例5:ジンセノサイドの血管漏出抑制効果
実施例5−1:細胞レベルにおいてジンセノサイドF1またはRh1が血管漏出に及ぼす効果分析
前記実施例1の方法で培養されたHUVECsに、前記実施例1で選抜されたジンセノサイドF1またはRh1を25μMで1時間前処理した後、血管漏出を誘導することが知られているVEGF−Aを処理し、血管透過性分析(Vascular permeability assay)を行った(図9)。その時、陰性対照群としてはジンセノサイドの代わりにDMSOを処理して培養した細胞を使用し、陽性対照群は、血管新生を促進することが知られているVEGF−Aを処理して培養した細胞を使用し、比較群としては、ジンセノサイドF1またはRh1を前処理し、VEGF−Aを処理していない細胞を使用した。
【0050】
図9は、HUVECsにVEGF−Aを処理して誘発された血管漏出にジンセノサイドF1またはRh1の前処理が及ぼす効果を比較した結果を示すグラフである。図9で示されるように、HUVECsにVEGF−Aを処理した場合には、高い水準の血管漏出が発生したが、これはジンセノサイドF1またはRh1の前処理により抑制されることを確認した。また、HUVECsにジンセノサイドF1またはRh1の前処理した後、VEGF−Aを処理すると、HUVECsにジンセノサイドF1またはRh1のみを処理した場合よりも、血管漏出の水準がさらに減少することを確認した。
【0051】
実施例5−2:生体内でジンセノサイドF1またはRh1が血管漏出に及ぼす効果の分析
7週齢のICR雄性マウスの尾静脈に1%のEvans blue染色剤200μlを注入し、10分間反応させ、血液を青く染めた。
【0052】
次いで、マウスの耳に陰性対照群であるPBS、陽性対照群であるVEGF−A250μg、ジンセノサイドF11.25μM、ジンセノサイドRh1 1.25μM、VEGF−A250μg/ジンセノサイドF1 1.25μMまたはVEGF−A250μg/ジンセノサイドRh1 1.25μMをそれぞれ10μlずつ皮内注射した。
【0053】
30分後、マウスを安楽死させ、耳を摘出し、血液漏出の量を目視で確認した後(図10a)、ホルムアミドに入れて、37℃で24時間固定した後、620nmで吸光度を測定し、F1及びRh1の血液漏出抑制効能を定量的に評価した(図10b)。
【0054】
図10aはマウスの耳においてVEGF−Aにより誘発された血管漏出症状に対するジンセノサイドF1またはジンセノサイドRh1の効果をEvans blue染色を通じて目視で確認した結果を示す写真であり、図10bはマウスの耳においてVEGF−Aにより誘発された血管漏出症状に対するジンセノサイドF1またはジンセノサイドRh1の効果をEvans blue染色水準の定量分析を通じて確認した結果を示すグラフである。
【0055】
図10a及び10bで示されるように、ジンセノサイドF1またはジンセノサイドRh1は、マウスのような生体内でもVEGF−Aにより誘導された血管漏出症状を効果的に抑制することを確認した。
【0056】
したがって、前記結果からジンセノサイドF1またはRh1は、細胞レベルだけでなく、動物レベルにおいても血管新生を促進するだけでなく、血管漏出を抑制する効果を示すことが認められた。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6
図7a
図7b
図8a
図8b
図9
図10a
図10b