(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386183
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】キャパシタンス管理を備えた電源トポロジ
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20180827BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20180827BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20180827BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20180827BHJP
【FI】
H02M3/155 P
H02M3/155 G
H02J7/34 B
H02J7/00 H
H02J7/02 F
【請求項の数】20
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-527548(P2017-527548)
(86)(22)【出願日】2015年8月31日
(65)【公表番号】特表2017-529827(P2017-529827A)
(43)【公表日】2017年10月5日
(86)【国際出願番号】US2015047748
(87)【国際公開番号】WO2016048594
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2017年2月8日
(31)【優先権主張番号】14/496,838
(32)【優先日】2014年9月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593096712
【氏名又は名称】インテル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】コーリー,ニコラス ピー.
(72)【発明者】
【氏名】サラスワット,ルチル
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドマン,リチャード ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ベルナード,デイビッド ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ウォルシュ,ゴードン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ランガン,マイケル
【審査官】
高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−504075(JP,A)
【文献】
特表2011−521612(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0105043(US,A1)
【文献】
特開2013−102645(JP,A)
【文献】
特開2012−065434(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0264890(US,A1)
【文献】
米国特許第7821244(US,B1)
【文献】
特表2015−532579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00 − 3/44
H02J 7/00 − 7/12
H02J 7/34 − 7/36
H03K 17/00 −17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源システムであって、
パワートレイン回路へ結合されている負荷回路へ電力を伝えるよう、第1の出力レベル制御信号及び第2の出力レベル制御信号に夫々少なくとも部分的に基づき、第1の出力電圧レベル及び第2の出力電圧レベルを生成するよう構成される前記パワートレイン回路と、
おおよそ前記第1の出力電圧レベルにプレチャージされるよう構成される第1のバルクキャパシタ回路、及びおおよそ前記第2の出力電圧レベルにプレチャージされるよう構成される第2のバルクキャパシタ回路と、
前記第1のバルクキャパシタ回路と前記第2のバルクキャパシタ回路とを、前記電源システムの前の動作周期の間にプレチャージし、前記第1の出力レベル制御信号に基づき前記第1のバルクキャパシタ回路を前記負荷回路へ結合するよう、あるいは、前記第2の出力レベル制御信号に基づき前記第2のバルクキャパシタ回路を前記負荷回路へ結合するよう構成される容量管理回路と
を有する電源システム。
【請求項2】
前記パワートレイン回路を制御して前記第1の出力電圧レベルを生成するように、前記第1の出力レベル制御信号に応答して第1のリファレンス信号を生成するよう、且つ、前記パワートレイン回路を制御して前記第2の出力電圧レベルを生成するように、前記第2の出力レベル制御信号に応答して第2のリファレンス信号を生成するよう構成されるリファレンス信号管理回路
を更に有する請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記パワートレイン回路は、前記第1のリファレンス信号及び前記第2のリファレンス信号を夫々、前記第1の出力電圧レベル及び前記第2の出力電圧レベルと比較するよう構成されるコンパレータ回路を有する、
請求項2に記載の電源システム。
【請求項4】
前記パワートレイン回路は、入力電圧源へ結合される電力スイッチ回路を更に有し、
前記電力スイッチ回路の導通状態は、前記第1の出力電圧レベル又は前記第2の出力電圧レベルを生成するように、前記コンパレータ回路の出力によって制御されるよう構成される、
請求項3に記載の電源システム。
【請求項5】
前記パワートレイン回路は、パルス幅変調(PWM)制御回路、ハイサイドスイッチ回路、及びローサイドスイッチ回路を更に有し、
前記PWM制御回路は、前記ハイサイドスイッチ回路の導通状態を制御するPWM信号、及び前記ローサイドスイッチ回路の導通状態を制御する相補PWM信号を生成するよう構成され、
前記PWM信号のデューティサイクルは、前記第1の出力電圧レベル又は前記第2の出力電圧レベルを生成するように、前記コンパレータ回路の出力によって制御される、
請求項3に記載の電源システム。
【請求項6】
前記第1のバルクキャパシタ回路は、複数のキャパシタを有し、
前記容量管理回路は、前記第1の出力レベル制御信号に応答して直列に、且つ、前記第2の出力レベル制御信号に応答して並列に、前記複数のキャパシタを結合するよう構成される、
請求項1に記載の電源システム。
【請求項7】
前記パワートレイン回路は、前記第1の出力レベル制御信号及び前記第2の出力レベル制御信号に夫々少なくとも部分的に基づき、前記第1の出力電圧レベルと前記第2の出力電圧レベルとの間を巡回するよう更に構成される、
請求項1に記載の電源システム。
【請求項8】
前記容量管理回路は、前記第2のバルクキャパシタ回路が前記負荷回路へ結合されるときに前記第1のバルクキャパシタ回路を前記負荷回路から切り離し、前記第1のバルクキャパシタ回路が前記負荷回路へ結合されるときに前記第2のバルクキャパシタ回路を前記負荷回路から切り離すよう更に構成される、
請求項1に記載の電源システム。
【請求項9】
電源システムのバルクキャパシタンスを管理する方法であって、
前記電源システムの第1及び第2のバルクキャパシタを夫々、前記電源システムの前の動作周期の間に、おおよそ第1の出力電圧レベル及び第2の出力電圧レベルにプレチャージすることと、
前記第1の出力電圧レベルを前記電源システムによって生成するための第1のコマンド信号を受信することと、
前記電源システムへ結合されている負荷回路へ前記第1のバルクキャパシタを結合することと、
前記第2の出力電圧レベルを前記電源システムによって生成するための第2のコマンド信号を受信することと、
前記電源システムへ結合されている前記負荷回路へ前記第2のバルクキャパシタを結合することと
を有する方法。
【請求項10】
前記電源システムを制御して前記第1の出力電圧レベルを生成するように、前記第1のコマンド信号に応答して第1のリファレンス信号を生成することと、
前記電源システムを制御して前記第2の出力電圧レベルを生成するように、前記第2のコマンド信号に応答して第2のリファレンス信号を生成することと
を更に有する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のリファレンス信号及び前記第2のリファレンス信号を夫々、前記第1の出力電圧レベル及び前記第2の出力電圧レベルと比較すること
を更に有する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記比較の結果によって、前記第1の出力電圧レベル又は前記第2の出力電圧レベルを生成するよう電力スイッチ回路を制御すること
を更に有する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記比較の結果によって、ハイサイドスイッチ回路の導通状態を制御するPWM信号、及びローサイドスイッチ回路の導通状態を制御する相補PWM信号を生成するようPWM制御回路を制御すること
を更に有し、
前記PWM信号のデューティサイクルは、前記第1の出力電圧レベル又は前記第2の出力電圧レベルを生成するように、前記比較の結果によって制御される、
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のバルクキャパシタは、複数のキャパシタを有し、
当該方法は、前記第1のコマンド信号に応答して直列に、且つ、前記第2のコマンド信号に応答して並列に、前記複数のキャパシタを結合することを更に有する、
請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のコマンド信号及び前記第2のコマンド信号に夫々少なくとも部分的に基づき、前記第1の出力電圧レベルと前記第2の出力電圧レベルとの間を巡回すること
を更に有する請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のバルクキャパシタが前記負荷回路へ結合されるときに前記第1のバルクキャパシタを前記負荷回路から切り離し、前記第1のバルクキャパシタが前記負荷回路へ結合されるときに前記第2のバルクキャパシタを前記負荷回路から切り離すこと
を更に有する請求項9に記載の方法。
【請求項17】
請求項9乃至16のうちいずれか一項に記載の方法を実施するよう構成される少なくとも1つのデバイスを含むシステム。
【請求項18】
1つ以上のプロセッサによって実行される場合に、該1つ以上のプロセッサに、請求項9乃至16のうちいずれか一項に記載の方法を実施させるコンピュータプログラム。
【請求項19】
請求項18に記載のコンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ可読記憶デバイス。
【請求項20】
請求項9乃至16のうちいずれか一項に記載の方法を実施する手段を有するデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、キャパシタンス管理を備えた電源トポロジに関係がある。
【背景技術】
【0002】
例えば、ウェアラブルデバイス又はモノのインターネット(IoT;Internet of Things)デバイスでは、動作寿命を延ばすべくバッテリ電力を最低限とすることが望ましい。そのようなデバイスは、保持電力節約(retention power saving)とも時々呼ばれる状態を含む多数の動作モードを通常は有している。保持電力節約において、供給電圧は、保持情報には適合するがいずれの機能的活動にとっても低すぎるレベルに下げられる。供給電圧の低下の目的は、供給に関連する如何なる回路ブロックにも関連する有効電力及び漏れ電力の両方を低減することである。デバイスは、このモードにおいて相当な割合の時間を費やしうる。従って、電力の消耗(power drain)を最低限として、動作寿命を延ばすことを望ましい。例えば、割り込みに応答すること、又は第2のデバイスから信号を受信することは、電力供給が短期間の活動のために周的に保持(retention)から取り出されるそのようなデバイスの共通した特徴である。
【0003】
供給電圧は、供給デカップリングを提供するよう、大規模な、関連したバルクキャパシタを通常は有しているだろう。このバルクキャパシタと、保持状態からの繰り返しの出入りとの組み合わせは、バルクキャパシタの充電及び放電に関連した電力損失を生じさせる。バルクキャパシタ充電の影響は、問題としてこれまで考えられてこなかった。それは、従前の用途では、供給電圧が実際上安定していると考えられ、バルクキャパシタ充電に関連した如何なる電流も負荷電流と比較して取るに足りないからである。例えば、DVFS(voltage and frequency scaling)(電圧及び周波数スケーリング)は、有効電流がバルクキャパシタ充電電流よりもはるかに大きい通常動作モードにおける活動に応答して、供給電圧を下げるよう適用されてよい。この効果の正味の結果は、バッテリ寿命及び/又は再充電どうしの間の期間を望ましくなく短縮されることである。
【0004】
例えば、いくつかのプロセスノードでは、通常動作電圧は1.8Vであってよく、保持電圧は1.2Vであってよく、いくつかのウェアラブルデバイスでは、供給電圧は、1秒に10から100回はそれら2つの電圧ノードの間を移り変わってよく、バルクキャパシタンスは10μFであってよい。バルクキャパシタにおける電圧の移り変わりに関連した電力は、CMOSゲートをクロック制御することに関連したCMOS回路における電力と同じようである。これは、よく知られている式:電力=C
gate×V
cc2×周波数=V
cc×I
chargeから計算可能である。前述の条件を代入すると、I
charge=10μF×(1.8−1.2)×10=60μAである。
【0005】
従って、1秒に10回のバルクキャパシタの移り変わりに関連した平均電流流出(current drain)は、60マイクロアンペア(μA)である。これは、通常は<1μAである保持電流との関連で受け入れられない。
【0006】
加えて、利用において、電源レール(supply rail)は、例えば、保持電圧におけるより低い電流から恩恵を受けるよう、2つの電圧状態の間でスイッチドモードレギュレータによって動的に切り替えられる必要がある。それは、保持電流が、何らかの電力節約の恩恵をもたらすよう許容時間においてバルクキャパシタを放電するには、不十分であるからである。例えば、10ミリ秒(msec)における前述の例を考えると、1μAの電流は、1ミリボルト(mV)しか10マイクロファラッド(μF)のキャパシタを放電せず、従って、アクティブスイッチングによらないと、デバイスは決して保持電圧状態に入らない。放電のみで完全に移ることは、実際には6秒かかる(1μAの一定負荷を仮定。)。
【0007】
従って、保持電力節約は、電圧源が電圧レベル間を能動的に移り変わる手段を含まない限りは、デバイスが低周波(low Hz)の繰り返し率で保持設定を脱する用途において決して現実的に実施され得ないと言い得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
請求されている対象の特徴及び利点は、それらと相反しない実施形態の以下の記載から明らかだろう。記載は、添付の図面を参照して検討されるべきである。
【
図1】本開示の様々な実施形態に適合する電源システムを表す。
【
図2】
図1の電源システムのシミュレーション信号プロットを表す。
【
図3】本開示の様々な実施形態に適合する電源システムの他の例を表す。
【
図4】本開示の一実施形態に従う動作のフローチャートである。
【
図5】本開示の様々な実施形態に適合する電源システムの他の例を表す。 以下の詳細な説明は、実例となる実施形態を参照しながら進むだろう。なお、多くの代替案、変更及び変形例は、当業者に明らかだろう。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本開示の様々な実施形態に従う電源システム100の例を表す。この例において、電源システム100は、線形レギュレータ電源、例えば、アナログ(LDO)、デジタル又は混合信号線形レギュレータ、である。システム100は、出力レベル制御信号(Vout control)101に基づき少なくとも1つのリファレンス信号(Vref(1−n))103を生成するよう構成されるリファレンス電圧(Vref)管理回路102を含む。システム100は、出力電圧Vout107を示すか又はこれに比例するフィードバック信号109とリファレンス信号103を比較するよう構成されるコンパレータ回路104を更に含む。システム100は、入力電圧Vinに少なくとも部分的に基づき出力電圧Vout107を生成するよう構成される電力スイッチ回路106を更に含む。電力スイッチ回路106は、
図1ではBJTトランジスタとして表されている。しかし、他の実施形態では、電力スイッチ回路106は、MOSFET、SiC、などのような、スイッチトポロジを含んでよい。コンパレータ回路104の出力信号105は、リファレンス信号103の電圧レベルと実質的に一致した制御可能な出力電圧Vout107を生成するよう、電力スイッチ回路106の導通状態を制御するために使用されてよい。例えば、出力信号105は、制御された出力電圧107を供給するよう電力スイッチ回路106が線形領域で作動するように、電力スイッチ回路106のベース領域を制御するために使用されてよい。システム100は、Vout107とコンパレータ回路104との間に結合されているフィードバックループ回路108を更に含んでよい。フィードバックループ回路108は、例えば、Vout107のAC信号成分にフィルタをかけること、フィードバックループのゲイン安定性を制御して負帰還、レベルシフト及び/又はVoutの分割を確かにすること、などによって、フィードバックループのためのフィルタリング及び/又は位相シフトを提供するよう構成される。コンパレータ回路104、電力スイッチ回路106、及びフィードバックループ回路108は、本願で「パワートレイン回路(power train circuitry)」と集合的に呼ばれてよい。
【0010】
出力レベル制御信号101は、ベースバンド電力管理システム(例えば、ベースバンドコントローラ)(図示せず。)及び/又は他の電力管理システム(図示せず。)によって生成されてよく、一般に、所望の出力電圧Vout107を示すか、又はそれに比例する。例えば、出力制御信号101は、フルパワー状態を示す第1の出力レベル信号、及び低電力状態を示す第2の出力レベル信号を含んでよい。Vref管理回路102は、出力制御信号101に基づき、対応するリファレンス信号103を生成してよい。このようにして、Vref管理回路102は、出力電圧107が第1の出力電圧レベル(Vout1)であるように、フルパワー動作状態を示す第1のリファレンス信号103を、そして、出力電圧107が第2の出力電圧レベル(Vout2)であるように、保持電力節約状態を示す第2のリファレンス信号を生成してよい。このとき、Vout1>Vout2。
【0011】
出力電圧107は、負荷回路114に給電するために使用されてよい。負荷回路114は、例えば、IoT、ウェアラブル及び/又は他の低電力デバイスを含んでよい。なお、本開示は、パワートレイン回路へ結合され得る負荷のタイプに制限されない。本開示は、選択されて負荷回路114へ結合され得る複数のバルクキャパシタ112−1,・・・,112−nを含む。いくつかの実施形態において、バルクキャパシタ112−1,・・・,112−nの数は、出力制御信号101に基づき生成され得る異なったリファレンス信号103の数が反映されるように、電力状態の数に一般に対応してよい。システム100は、複数のバルクキャパシタ112−1,・・・,112−nのプレチャージを制御し、複数のバルクキャパシタ112−1,・・・,112−nの少なくとも1つを出力制御信号101に基づき負荷回路114へ結合するよう構成される容量管理回路110を更に含む。いくつかの実施形態において、容量管理回路110は、夫々のバルクキャパシタ112−1,・・・,112−nを対応する出力電圧レベルにプレチャージするよう構成される。例えば、容量管理回路110は、第1のバルクキャパシタ(例えば、112−1)を、第1のリファレンス電圧Vref1 103を用いて生成される第1の出力電圧(Vout1)107に対応する第1の電圧レベルに、そして、第2のバルクキャパシタ(例えば、112−2)を、第2のリファレンス電圧Vref2を用いて生成される第2の出力電圧(Vout2)107に対応する第2の電圧レベルに、以降同様に、プレチャージするよう構成されてよい。動作において、制御信号101は、Vref管理回路102に、出力電力状態を(例えば、Vout1からVout2へ、あるいは、その逆に)変更するよう命令してよく、容量管理回路110は、選択された出力電力状態にプレチャージされている選択されたバルクキャパシタ112−1,・・・,112−nを負荷回路114へ結合し、前の出力電力状態に関連するバルクキャパシタ112−1,・・・,112−nを負荷回路114から切り離してよい。このようにして、電力状態の間を巡回する場合にキャパシタ112−1,・・・,112−nを充電及び放電することに関連した電力の消耗は、低減又は排除され得、よって、相当の電力節約が、電力状態の間を移動(巡回)する場合に実現され得る。
【0012】
夫々のバルクキャパシタ112−1,・・・,112−nは、電源システム100の前の動作周期の間にプレチャージされてよい。これに関して、バルクキャパシタ112−1,・・・,112−nが負荷回路114から切り離される場合に、それは開回路構成のままであってよく、それにより、如何なる切り離されたバルクキャパシタ112−1,・・・,112−nにおける電荷も、次の電力周期の間、比較的に安定したままである。そのためには、夫々のバルクキャパシタ112−1,・・・,112−nのキャパシタンスは、バルクキャパシタに関連する時定数が出力電圧モード間のサイクル時間よりも大きくなるような大きさにされてよい。更なる他の実施形態では、
図1の電源システムは、初期化動作のために制御されてよく、その間に、バルクキャパシタ112−1,・・・,112−nは、適切なレベルに夫々充電される。
【0013】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのバルクキャパシタ112−1,・・・,112−nは、並列及び/又は直列配置において結合される複数の個別キャパシタから成ってよい。そのような実施形態において、容量管理回路110は、第1の出力電力状態については直列に、そして、第2の出力電力状態については並列に、バルクキャパシタ(例えば、112−1)の複数のキャパシタを結合するよう構成されてよい。また、そのような実施形態において、バルクキャパシタの複数のキャパシタの夫々は、同じレベル、例えば、Vout1にプレチャージされてよく、容量管理回路110は、制御信号101が第1の出力電圧(Vout1)を示すときに直列に、そして、制御信号101が第2の電圧レベル(例えば、Vout2)を示すときに並列に、複数のキャパシタを結合してよい。当然、他の実施形態では、直列/並列の複合的な結合が使用されてよい。そのような実施形態は、第1の出力電圧状態から第2の出力電圧状態へ切り替わるときに容量性負荷の如何なる瞬時損失も回避し、且つ、夫々のバルクキャパシタを別のプレチャージレベルにプレチャージすることを回避することができる。前述の例は、第1及び第2の出力電圧状態、ひいては、第1及び第2のキャパシタ112−1及び112−2を具体的に参照しているが、本開示の電源システム100は3つ以上の出力電圧レベルを有効にしてよく、よって、3つ以上のバルクキャパシタが使用されてよいことが理解されるべきである。
【0014】
図2は、
図1の電源システムのシミュレーション信号プロット200を表す。この例において、信号プロットは、例えば、第1の出力電力レベル(Vout1)から第2の出力電力レベル(Vout2)へ巡回する、いくつかの出力電力状態周期にわたって、表されている。
図2において、信号202は、
図1の電源トポロジの出力電圧を表し、信号204は、従来のLDOタイプの電源の出力電圧レベルを表し、信号206は、従来のLDOタイプの電源のバルクキャパシタンス充電電流を表し、信号208は、
図1の電源トポロジのバルクキャパシタンス充電電流を表す。この例において、
図1の電源トポロジの出力電圧(信号202)は、比較的速く且つ比較的完全に第1の出力電力状態210から第2の電力出力状態202へ、そしてその逆方向に、移る。対照的に、従来のLDOタイプの電源では、出力電圧(信号204)は、第1の(より低い)出力電力状態210から第2の(より高い)出力電力状態212へ移るときにラグ214がある。それは、バルクキャパシタがこの期間中に充電されなければならないからである。また、出力電圧(信号204)は、第2の(より高い)出力電力状態212から第1の(より低い)出力電圧状態210へ移るときにもラグ216がある(そして、実際には、決して第2の出力電力状態に達しない。)。それは、バルクキャパシタが放電しているからである。バルクキャパシタのこの充電及び放電は、従来のLDOタイプの電源において、移行期間の間に起こる信号206の負電流パルス218において反映される電流流出に相当する。対照的に、本開示のバルクキャパシタンス制御システムは、信号208で表されるように、充電電流の低減又は排除をもたらす(すなわち、信号208は、信号206と比べて相対的にフラットである。)。
【0015】
図3は、本開示の様々な実施形態に適合する電源システム300の他の例を表す。この例において、電源システム300は、スイッチドDC/DCコンバータ電源、例えば、バックコンバータ(buck converter)、ブーストコンバータ、バックブーストコンバータ、など、である。システム300は、出力制御信号(Vout control)301に基づき少なくとも1つのリファレンス信号(Vref(1−n))303を生成するよう構成されるリファレンス電圧(Vref)管理回路302を含む。システム300は、出力電圧Vout307を示すか又はこれに比例するフィードバック信号309とリファレンス信号303を比較するよう構成されるコンパレータ回路304を更に含む。システム300は、入力電圧Vinに少なくとも部分的に基づき出力電圧Vout307を生成するよう構成される電力スイッチ回路306を更に含む。この実施形態の電力スイッチ回路306は、パルス幅変調(PWM;pulse width modulation)制御回路316、ハイサイド電力スイッチ回路318A、ローサイド電力スイッチ回路318B、及びインダクタ回路320を含む。ハイサイド電力スイッチ回路318A、ローサイド電力スイッチ回路318Bは、MOSFETスイッチ及び/又は、BJT、SiC、などのような他のスイッチトポロジを夫々が含んでよい。PWM制御回路316は、ハイサイドスイッチ回路318Aの導通状態を制御するためのPWM制御信号、及びローサイドスイッチ回路318Bの導通状態を制御するための相補PWM制御信号を生成するよう構成される。いくつかの実施形態において、PWM制御回路316はまた、パルス周波数変調(PFW;pulse frequency modulation)信号を生成するよう構成されてよく、よって、電力スイッチ回路306は、電力スイッチ回路306の電力要求に基づき、連続(例えば、PWM、同期)及び/又は不連続(PFM)作動モードにおいて動作してよい。コンパレータ回路304の出力信号305は、PWM制御回路316のデューティサイクル、よって、PWM及び相補PWM信号のデューティサイクルを制御するために使用されてよい。出力信号305はまた、PWM制御回路316の周波数、よって、PWM信号及び相補PWM信号の周波数を制御するために使用されてよい。インダクタ回路320は、リファレンス信号303によって示される電圧レベルに実質的に一致した制御可能な出力電圧Vout307を生成する。システム300は、Vout307とコンパレータ回路304との間に結合されているフィードバックループ回路308を更に含んでよい。フィードバックループ回路308は、例えば、Vout307のAC信号成分にフィルタをかけること、フィードバックループのゲイン安定性を制御して負帰還、レベルシフト及び/又はVoutの分割を確かにすること、などによって、フィードバックループのためのフィルタリング及び/又は位相シフトを提供するよう構成される。コンパレータ回路304、電力スイッチ回路306、及びフィードバックループ回路308は、本願で「パワートレイン回路(power train circuitry)」と集合的に呼ばれてよい。
【0016】
図1の実施形態と同様に、出力レベル制御信号301は、ベースバンド電力管理システム(例えば、ベースバンドコントローラ)(図示せず。)及び/又は他の電力管理システム(図示せず。)によって生成されてよく、一般に、所望の出力電圧Vout307を示すか、又はそれに比例する。例えば、出力制御信号301は、フルパワー状態を示す第1の信号、及び低電力状態を示す第2の信号を含んでよい。Vref管理回路302は、出力制御信号301に基づき、対応するリファレンス信号303を生成してよい。このようにして、Vref管理回路302は、出力電圧307が第1の出力電圧レベル(Vout1)であるように、フルパワー動作状態を示す第1のリファレンス信号303を、そして、出力電圧307が第2の出力電圧レベル(Vout2)であるように、保持電力節約状態を示す第2のリファレンス信号を生成してよい。このとき、Vout1>Vout2。
【0017】
同じく
図1の実施形態と同様に、出力電圧307は、負荷回路314に給電するために使用されてよい。負荷回路314は、例えば、IoT、ウェアラブル及び/又は他の低電力デバイスを含んでよい。なお、本開示は、パワートレイン回路へ結合され得る負荷のタイプに制限されない。本開示は、選択されて負荷回路314へ結合され得る複数のバルクキャパシタ312−1,・・・,312−nを含む。いくつかの実施形態において、バルクキャパシタ312−1,・・・,312−nの数は、出力制御信号301に基づき生成され得る異なったリファレンス信号103の数が反映されるように、電力状態の数に一般に対応してよい。システム300は、複数のバルクキャパシタ312−1,・・・,312−nのプレチャージを制御し、複数のバルクキャパシタ312−1,・・・,312−nの少なくとも1つを出力制御信号301に基づき負荷回路314へ結合するよう構成される容量管理回路310を更に含む。いくつかの実施形態において、容量管理回路310は、夫々のバルクキャパシタ312−1,・・・,312−nを対応する出力電圧レベルにプレチャージするよう構成される。例えば、容量管理回路310は、第1のバルクキャパシタ(例えば、312−1)を、第1のリファレンス電圧Vref1 303を用いて生成される第1の出力電圧(Vout1)107に対応する第1の電圧レベルに、そして、第2のバルクキャパシタ(例えば、312−2)を、第2のリファレンス電圧Vref2を用いて生成される第2の出力電圧(Vout2)107に対応する第2の電圧レベルに、以降同様に、プレチャージするよう構成されてよい。動作において、制御信号301は、Vref管理回路302に、出力電力状態を(例えば、Vout1からVout2へ、あるいは、その逆に)変更するよう命令してよく、容量管理回路310は、選択された出力電力状態にプレチャージされている選択されたバルクキャパシタ312−1,・・・,312−nを負荷回路314へ結合し、前の出力電力状態に関連するバルクキャパシタ312−1,・・・,112−nを負荷回路314から切り離してよい。このようにして、電力状態の間を巡回する場合にキャパシタ312−1,・・・,312−nを充電及び放電することに関連した電力の消耗は、低減又は排除され得、よって、相当の電力節約が、電力状態の間を移動(巡回)する場合に実現され得る。
【0018】
電力状態間の切り替えは、PWM及び/又はPFM信号の開始に同期されてよい。よって、いくつかの実施形態において、容量管理回路316は、PWM信号周期の開始を示す制御情報をPWM制御回路316から受信してよく、PWM制御回路316からの制御情報に少なくとも部分的に基づき、適切なバルクキャパシタ312−1,・・・,312−nへ切り替えてよい。
【0019】
同じく
図1の実施形態と同様に、夫々のバルクキャパシタ312−1,・・・,312−nは、電源システム300の前の動作周期の間にプレチャージされてよい。これに関して、バルクキャパシタ312−1,・・・,312−nが負荷回路314から切り離される場合に、それは開回路構成のままであってよく、それにより、如何なる切り離されたバルクキャパシタ312−1,・・・,312−nにおける電荷も、次の電力周期の間、比較的に安定したままである。そのためには、夫々のバルクキャパシタ312−1,・・・,312−nのキャパシタンスは、バルクキャパシタに関連する時定数が出力電圧モード間のサイクル時間よりも大きくなるような大きさにされてよい。更なる他の実施形態では、
図3の電源システムは、初期化動作のために制御されてよく、その間に、バルクキャパシタ312−1,・・・,312−nは、適切なレベルに夫々充電される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのバルクキャパシタ312−1,・・・,312−nは、並列及び/又は直列に結合される複数の個別キャパシタから成ってよい。そのような実施形態において、容量管理回路310は、第1の出力電力状態については直列に、そして、第2の出力電力状態については並列に、バルクキャパシタ(例えば、312−1)の複数のキャパシタを結合するよう構成されてよい。また、そのような実施形態において、バルクキャパシタの複数のキャパシタの夫々は、同じレベル、例えば、Vout1にプレチャージされてよく、容量管理回路310は、制御信号301が第1の出力電圧(Vout1)を示すときに直列に、そして、制御信号301が第2の電圧レベル(例えば、Vout2)を示すときに並列に、複数のキャパシタを結合してよい。当然、他の実施形態では、直列/並列の複合的な結合が使用されてよい。そのような実施形態は、第1の出力電圧状態から第2の出力電圧状態へ切り替わるときに容量性負荷の如何なる瞬時損失も回避し、且つ、夫々のバルクキャパシタを別のプレチャージレベルにプレチャージすることを回避することができる。前述の例は、第1及び第2の出力電圧状態、ひいては、第1及び第2のキャパシタ312−1及び312−2を具体的に参照しているが、本開示の電源システム300は3つ以上の出力電圧レベルを有効にしてよく、よって、3つ以上のバルクキャパシタが使用されてよいことが理解されるべきである。
図2の信号プロットは、
図3のスイッチド電源300と従来のスイッチド電源との間の比較を同じように表す。
【0020】
図4は、本開示の一実施形態に従う動作のフローチャート400である。この実施形態は、所望の出力電圧レベルに基づきバルクキャパシタを切り替える動作を表し、第1及び第2の動作状態、例えば、第1及び第2の出力電力状態(Vout1及びVout2)を有している
図1のレギュレータ電源及び/又は
図3のスイッチド電源に適用してよい。この実施形態の動作は、第1のバルクキャパシタをおおよそ第1の出力電圧レベル(Vout1)にプレチャージし、第2のバルクキャパシタをおおよそ第2の電圧レベル(Vout2)にプレチャージすること402を含んでよい。動作は、Vout1を生成するための第1のコマンドを受信すること404を更に含んでよい。動作は、Vout1を生成するようVout1に対応する第1のリファレンス信号を生成し、第1のバルクキャパシタを選択して該第1のバルクキャパシタを負荷回路へ結合すること406を更に含む。動作は、Vout2を生成するための第2のコマンドを受信すること408を更に含んでよい。動作は、Vout2を生成するようVout2に対応する第2のリファレンス信号を生成し、第2のバルクキャパシタを選択して該第2のバルクキャパシタを負荷回路へ結合すること410を更に含んでよい。動作は、第1のバルクキャパシタを負荷回路から切り離すこと412を更に含んでよい。これらの動作は、Vout1とVout2との間を電源が巡回するように、繰り返されてよい。
【0021】
図5は、本開示の様々な実施形態に適合する電源システム500の他の例を表す。このシステム実施形態において、負荷回路114′/314′は、プロセッサ回路502、メモリ回路504及びベースバンド管理コントローラ(BMC;baseband management controller)モジュール506を含むウェアラブル及び/又はIoTデバイスである。電源回路100′/300′は、負荷回路114′/314′の少なくとも1つの要素へ電力を供給するよう構成され、更には、BMCモジュール506と通信して、例えば、出力電圧制御信号101′/301′を受信するよう、及び/又はプロセッサ回路502と通信するよう構成される。
【0022】
上記は、例となるシステムアーキテクチャ及びメソッドロジとして与えられているが、本開示に対する変更は可能である。いくつかの実施形態において、Vref管理回路102/302及び/又は容量管理回路110/310は、バス(図示せず。)を介して出力制御信号101/301へ結合されてよい。バスは、2002年7月22日付けで公開され、アメリカ合衆国オレゴン州ポートランドにあるPCI分科会(Special Interest Group)から入手可能であるペリフェラル・コンポーネント・インターコネクト(PCI;Peripheral Component Interconnect)エクスプレス基本仕様改訂1.0(PCI Express Base Specification Revision 1.0)に適合するバス(以降、「PCI Expressバス」と呼ばれる。)を有してよい。代替的に、バスは、2000年7月24日付けで公開され、アメリカ合衆国オレゴン州ポートランドにある前述のPCI分科会から入手可能であるPCI−X仕様改訂1.0aに適合するバス(以降、「PCI−Xバス」と呼ばれる。)を代わりに有してよい。また、代替的に、バスは、本開示から逸脱することなしに、他のタイプ及び構成のバスシステムを有してよい。
【0023】
図5のプロセッサ回路502及びメモリ回路504に加えて、Vref管理回路102/302及び/又は容量管理回路110/310は、メモリ及び/又はプロセッシングシステムを含んでよい。メモリは、次のタイプのメモリの中の1つ以上を有してよい:半導体ファームウェアメモリ、プログラム可能メモリ、不揮発性メモリ、リードオンリーメモリ、電気的プログラム可能メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、磁気ディスクメモリ、及び/又は光ディスクメモリ。加えて、又は代替的に、メモリは、他の及び/又は今後開発されるタイプのコンピュータ可読メモリを有してよい。
【0024】
本願で記載される動作の実施形態は、1つ以上のプロセッサによって実行される場合に方法を実施する命令を記憶している記憶デバイスにおいて実装されてよい。プロセッサは、例えば、Vref管理回路102/302及び/又は容量管理回路110/310、且つ/あるいは、電源システムと通信するか又はそれと関連した他の回路、におけるプロセッシングユニット(例えば、プロセッサ502)及び/又はプログラム可能な回路を含んでよい。このように、本願で記載される方法に従う動作は、いくつかの異なる物理的位置にあるプロセッシング構造体のような、複数の物理デバイスにわたって、分散されてよい。記憶デバイスは、あらゆるタイプの有形な非一時的記憶デバイス、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、光ディスク、コンパクトディスク・リードオンリーメモリ(CD−ROM)、コンパクトディスク・リライタブル(CD−RW)、及び光学磁気ディスクを含むあらゆるタイプのディスク、リードオンリーメモリ(ROM)、動的及び静的RAMのようなランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能なプログラム可能リードオンリーメモリ(EPROM)、電気的消去可能なプログラム可能リードオンリーメモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、磁気若しくは光学カードのような半導体デバイス、あるいは、電子命令を記憶するのに適したあらゆるタイプの記憶媒体を含んでよい。
【0025】
いくつかの実施形態において、ハードウェア記述言語は、本願で記載される様々な回路構成のための回路及びロジック実施を特定するために使用されてよい。例えば、一実施形態において、ハードウェア記述言語は、本願で記載される1つ以上の回路及び/又はモジュールの半導体製造を可能にし得る超高速集積回路(VHSIC;very high speed integrated circuit)ハードウェア記述言語(hardware description language)(VHDL)に従ってよい。VHDLは、IEEE標準1076−1987、IEEE標準1076.2、IEEE1076.1、VHDL−2006のIEEEドラフト3.0、VHDL−2008のIEEEドラフト4.0、及び/又はIEEE VHDL標準の他のバージョン、並びに/あるいは他のハードウェア記述標準に従ってよい。
【0026】
本願におけるいずれかの実施形態において使用される「回路(circuitry)」は、例えば、ハードワイヤード回路、プログラマブル回路、状態機械回路、及び/又はプログラマブル回路によって実行される命令を記憶するファームウェアを、単独で、又はあらゆる組み合わせにおいて、有してよい。
【0027】
本開示の例は、以下で論じられるように、方法、該方法の動作を実施する手段、デバイス、マシンによって実行される場合に該マシンに方法の動作を実施させる命令を含む少なくとも1つのマシン読み出し可能なデバイス、又は電源システムにおいてバルクキャパシタンスを管理する装置若しくはシステムのような、対象を含む。
【0028】
[例]
本開示の例は、以下で論じられるように、方法、該方法の動作を実施する手段、デバイス、1つ以上のプロセッサによって実行される場合に前記方法の動作を生じさせる命令を記憶しているコンピュータ可読記憶デバイス、又はキャパシタンス管理を備えた電源トポロジに関連した装置若しくはシステムのような、対象を含む。
【0029】
[例1]
この例に従って、パワートレイン回路へ結合されている負荷回路へ電力を伝えるよう、第1の出力レベル制御信号及び第2の出力レベル制御信号に夫々少なくとも部分的に基づき、第1の出力電圧レベル及び第2の出力電圧レベルを生成するよう構成される前記パワートレイン回路と、おおよそ前記第1の出力電圧レベルにプレチャージされるよう構成される第1のバルクキャパシタ回路、及びおおよそ前記第2の出力電圧レベルにプレチャージされるよう構成される第2のバルクキャパシタ回路と、前記第1の出力レベル制御信号に基づき前記第1のバルクキャパシタ回路を前記負荷回路へ結合するよう、あるいは、前記第2の出力レベル制御信号に基づき前記第2のバルクキャパシタ回路を前記負荷回路へ結合するよう構成される容量管理回路とを有する電源システムが提供される。
【0030】
[例2]
この例は、例1の要素を含み、更には、前記パワートレイン回路を制御して前記第1の出力電圧レベルを生成するように、前記第1の出力レベル制御信号に応答して第1のリファレンス信号を生成するよう、且つ、前記パワートレイン回路を制御して前記第2の出力電圧レベルを生成するように、前記第2の出力レベル制御信号に応答して第2のリファレンス信号を生成するよう構成されるリファレンス信号管理回路を含む。
【0031】
[例3]
この例は、例2の要素を含み、前記パワートレイン回路は、前記第1のリファレンス信号及び前記第2のリファレンス信号を夫々、前記第1の出力電圧レベル及び前記第2の出力電圧レベルと比較するよう構成されるコンパレータ回路を有する。
【0032】
[例4]
この例は、例3の要素を含み、前記パワートレイン回路は、入力電圧源へ結合される電力スイッチ回路を更に有し、該電力スイッチ回路の導通状態は、前記第1の出力電圧レベル又は前記第2の出力電圧レベルを生成するように、前記コンパレータ回路の出力によって制御されるよう構成される。
【0033】
[例5]
この例は、例3の要素を含み、前記パワートレイン回路は、パルス幅変調(PWM)制御回路、ハイサイドスイッチ回路、及びローサイドスイッチ回路を更に有し、前記PWM制御回路は、前記ハイサイドスイッチ回路の導通状態を制御するPWM信号、及び前記ローサイドスイッチ回路の導通状態を制御する相補PWM信号を生成するよう構成され、前記PWM信号のデューティサイクルは、前記第1の出力電圧レベル又は前記第2の出力電圧レベルを生成するように、前記コンパレータ回路の出力によって制御される。
【0034】
[例6]
この例は、例1乃至5のうちいずれか一例に従う要素を含み、前記第1のバルクキャパシタ回路は、複数のキャパシタを有し、前記容量管理回路は、前記第1の出力レベル制御信号に応答して直列に、且つ、前記第2の出力レベル制御信号に応答して並列に、前記複数のキャパシタを結合するよう構成される。
【0035】
[例7]
この例は、例1乃至5のうちいずれか一例に従う要素を含み、前記パワートレイン回路は、前記第1の出力レベル制御信号及び前記第2の出力レベル制御信号に夫々少なくとも部分的に基づき、前記第1の出力電圧レベルと前記第2の出力電圧レベルとの間を巡回するよう更に構成される。
【0036】
[例8]
この例は、例1乃至5のうちいずれか一例に従う要素を含み、前記容量管理回路は、前記第2のバルクキャパシタ回路が前記負荷回路へ結合されるときに前記第1のバルクキャパシタ回路を前記負荷回路から切り離し、前記第1のバルクキャパシタ回路が前記負荷回路へ結合されるときに前記第2のバルクキャパシタ回路を前記負荷回路から切り離すよう更に構成される。
【0037】
[例9]
この例に従って、電源システムのバルクキャパシタンスを管理する方法が提供される。当該方法は、前記電源システムの第1及び第2のバルクキャパシタを夫々、おおよそ第1の出力電圧レベル及び第2の出力電圧レベルにプレチャージすることと、前記第1の出力電圧レベルを前記電源システムによって生成するための第1のコマンド信号を受信することと、前記電源システムへ結合されている負荷回路へ前記第1のバルクキャパシタを結合することと、前記第2の出力電圧レベルを前記電源システムによって生成するための第2のコマンド信号を受信することと、前記電源システムへ結合されている前記負荷回路へ前記第2のバルクキャパシタを結合することとを有する。
【0038】
[例10]
この例は、例9の要素を含み、更には、前記電源システムを制御して前記第1の出力電圧レベルを生成するように、前記第1のコマンド信号に応答して第1のリファレンス信号を生成することと、前記電源システムを制御して前記第2の出力電圧レベルを生成するように、前記第2のコマンド信号に応答して第2のリファレンス信号を生成することとを含む。
【0039】
[例11]
この例は、例10の要素を含み、更には、前記第1のリファレンス信号及び前記第2のリファレンス信号を夫々、前記第1の出力電圧レベル及び前記第2の出力電圧レベルと比較することを含む。
【0040】
[例12]
この例は、例11の要素を含み、更には、前記比較の結果によって、前記第1の出力電圧レベル又は前記第2の出力電圧レベルを生成するよう電力スイッチ回路を制御することを含む。
【0041】
[例13]
この例は、例11の要素を含み、更には、前記比較の結果によって、ハイサイドスイッチ回路の導通状態を制御するPWM信号、及びローサイドスイッチ回路の導通状態を制御する相補PWM信号を生成するようPWM制御回路を制御することを含み、前記PWM信号のデューティサイクルは、前記第1の出力電圧レベル又は前記第2の出力電圧レベルを生成するように、前記比較の結果によって制御される。
【0042】
[例14]
この例は、例9乃至13のうちいずれか一例に従う要素を含み、前記第1のバルクキャパシタは、複数のキャパシタを有し、当該方法は、前記第1のコマンド信号に応答して直列に、且つ、前記第2のコマンド信号に応答して並列に、前記複数のキャパシタを結合することを更に有する。
【0043】
[例15]
この例は、例9乃至13のうちいずれか一例に従う要素を含み、更には、前記第1のコマンド信号及び前記第2のコマンド信号に夫々少なくとも部分的に基づき、前記第1の出力電圧レベルと前記第2の出力電圧レベルとの間を巡回することを含む。
【0044】
[例16]
この例は、例9乃至13のうちいずれか一例に従う要素を含み、更には、前記第2のバルクキャパシタが前記負荷回路へ結合されるときに前記第1のバルクキャパシタを前記負荷回路から切り離し、前記第1のバルクキャパシタが前記負荷回路へ結合されるときに前記第2のバルクキャパシタを前記負荷回路から切り離すことを含む。
【0045】
[例17]
この例は、1つ以上のプロセッサによって実行される場合に次の動作を生じさせる命令を記憶しているマシン読み出し可能な記憶デバイスを含む。動作は、電源システムの第1及び第2のバルクキャパシタを夫々、おおよそ第1の出力電圧レベル及び第2の出力電圧レベルにプレチャージすることと、前記第1の出力電圧レベルを前記電源システムによって生成するための第1のコマンド信号を受信することと、前記電源システムへ結合されている負荷回路へ前記第1のバルクキャパシタを結合することと、前記第2の出力電圧レベルを前記電源システムによって生成するための第2のコマンド信号を受信することと、前記電源システムへ結合されている前記負荷回路へ前記第2のバルクキャパシタを結合することとを含む。
【0046】
[例18]
この例は、例17の要素を含み、前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行される場合に次の更なる動作を生じさせる。更なる動作は、前記電源システムを制御して前記第1の出力電圧レベルを生成するように、前記第1のコマンド信号に応答して第1のリファレンス信号を生成することと、前記電源システムを制御して前記第2の出力電圧レベルを生成するように、前記第2のコマンド信号に応答して第2のリファレンス信号を生成することとを含む。
【0047】
[例19]
この例は、例18の要素を含み、前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行される場合に次の更なる動作を生じさせる。更なる動作は、前記第1のリファレンス信号及び前記第2のリファレンス信号を夫々、前記第1の出力電圧レベル及び前記第2の出力電圧レベルと比較することを含む。
【0048】
[例20]
この例は、例19の要素を含み、前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行される場合に次の更なる動作を生じさせる。更なる動作は、前記比較の結果によって、前記第1の出力電圧レベル又は前記第2の出力電圧レベルを生成するよう電力スイッチ回路を制御することを含む。
【0049】
[例21]
この例は、例19の要素を含み、前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行される場合に次の更なる動作を生じさせる。更なる動作は、前記比較の結果によって、ハイサイドスイッチ回路の導通状態を制御するPWM信号、及びローサイドスイッチ回路の導通状態を制御する相補PWM信号を生成するようPWM制御回路を制御することを含み、前記PWM信号のデューティサイクルは、前記第1の出力電圧レベル又は前記第2の出力電圧レベルを生成するように、前記比較の結果によって制御される。
【0050】
[例22]
この例は、例17乃至21のうちいずれか一例に従う要素を含み、前記第1のバルクキャパシタは、複数のキャパシタを有し、前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行される場合に次の更なる動作を生じさせる。更なる動作は、前記第1のコマンド信号に応答して直列に、且つ、前記第2のコマンド信号に応答して並列に、前記複数のキャパシタを結合することを含む。
【0051】
[例23]
この例は、例17乃至21のうちいずれか一例に従う要素を含み、前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行される場合に次の更なる動作を生じさせる。更なる動作は、前記第1のコマンド信号及び前記第2のコマンド信号に夫々少なくとも部分的に基づき、前記第1の出力電圧レベルと前記第2の出力電圧レベルとの間を巡回することを含む。
【0052】
[例24]
この例は、例17乃至21のうちいずれか一例に従う要素を含み、前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行される場合に次の更なる動作を生じさせる。更なる動作は、前記第2のバルクキャパシタが前記負荷回路へ結合されるときに前記第1のバルクキャパシタを前記負荷回路から切り離し、前記第1のバルクキャパシタが前記負荷回路へ結合されるときに前記第2のバルクキャパシタを前記負荷回路から切り離すことを含む。
【0053】
[例25]
この例に従って、1つ以上のプロセッサによって実行される場合に、例9乃至16のうちいずれか一例に従う方法を含む動作を生じさせる命令を記憶しているマシン読み出し可能な記憶デバイスが提供される。
【0054】
[例26]
本開示の他の例は、例9乃至16のうちいずれか一例の方法を実施するよう構成される少なくとも1つのデバイスを含むシステムである。
【0055】
[例27]
本開示の他の例は、例9乃至16のうちいずれか一例の方法を実施する手段を含むデバイスである。
【0056】
[例28]
この例は、例9乃至16のうちいずれか一例に従う要素を含み、前記パワートレイン回路は、線形レギュレータ電源である。
【0057】
[例29]
この例は、例9乃至16のうちいずれか一例に従う要素を含み、前記パワートレイン回路は、スイッチドDC/DCコンバータ電源である。
【0058】
[例30]
この例は、システムを含む。当該システムは、電源システム及び負荷回路を含み、前記電源システムは、パワートレイン回路へ結合されている負荷回路へ電力を伝えるよう、第1の出力レベル制御信号及び第2の出力レベル制御信号に夫々少なくとも部分的に基づき、第1の出力電圧レベル及び第2の出力電圧レベルを生成するよう構成される前記パワートレイン回路と、おおよそ前記第1の出力電圧レベルにプレチャージされるよう構成される第1のバルクキャパシタ回路、及びおおよそ前記第2の出力電圧レベルにプレチャージされるよう構成される第2のバルクキャパシタ回路と、前記第1の出力レベル制御信号に基づき前記第1のバルクキャパシタ回路を前記負荷回路へ結合するよう、あるいは、前記第2の出力レベル制御信号に基づき前記第2のバルクキャパシタ回路を前記負荷回路へ結合するよう構成される容量管理回路とを有し、前記負荷回路は、プロセッサ回路及びメモリ回路を有する。
【0059】
[例31]
この例は、例30に従う要素を含み、前記第1のバルクキャパシタ回路は、複数のキャパシタを有し、前記容量管理回路は、前記第1の出力レベル制御信号に応答して直列に、且つ、前記第2の出力レベル制御信号に応答して並列に、前記複数のキャパシタを結合するよう構成される。
【0060】
[例32]
この例は、例30に従う要素を含み、前記パワートレイン回路は、前記第1の出力レベル制御信号及び前記第2の出力レベル制御信号に夫々少なくとも部分的に基づき、前記第1の出力電圧レベルと前記第2の出力電圧レベルとの間を巡回するよう更に構成される。
【0061】
[例33]
この例は、例30に従う要素を含み、前記容量管理回路は、前記第2のバルクキャパシタ回路が前記負荷回路へ結合されるときに前記第1のバルクキャパシタ回路を前記負荷回路から切り離し、前記第1のバルクキャパシタ回路が前記負荷回路へ結合されるときに前記第2のバルクキャパシタ回路を前記負荷回路から切り離すよう更に構成される。
【0062】
[例34]
この例は、例30に従う要素を含み、前記負荷回路は、モノのインターネット(IoT;Internet of Things)デバイスである。
【0063】
[例35]
この例は、例30に従う要素を含み、前記負荷回路は、ウェアラブルデバイスである。
【0064】
[例36]
この例は、例30に従う要素を含み、前記負荷回路は、前記第1の出力レベル制御信号及び前記第2の出力レベル制御信号を生成するよう構成されるベースバンド管理コントローラ回路を更に有する。
【0065】
[例37]
この例は、例30に従う要素を含み、前記パワートレイン回路は、線形レギュレータ電源である。
【0066】
[例38]
この例は、例30に従う要素を含み、前記パワートレイン回路は、スイッチドDC/DCコンバータ電源である。
【0067】
本願で用いられている用語及び表現は、記載の点から使用され、限定ではなく、そのような用語及び表現の使用において、図示及び記載されている特徴(又はその部分)の如何なる均等物も除外する意図はなく、様々な変更が、特許請求の範囲の適用範囲内で可能であると認められる。然るに、特許請求の範囲は、全てのそのような均等物をカバーするよう意図される。