特許第6386185号(P6386185)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6386185短繊維強化熱硬化性樹脂複合製品の3D印刷製造方法
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  • 特許6386185-短繊維強化熱硬化性樹脂複合製品の3D印刷製造方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386185
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】短繊維強化熱硬化性樹脂複合製品の3D印刷製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/04 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   C08J5/04CES
   C08J5/04CFC
   C08J5/04CFF
   C08J5/04CFG
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-530287(P2017-530287)
(86)(22)【出願日】2015年5月20日
(65)【公表番号】特表2017-537199(P2017-537199A)
(43)【公表日】2017年12月14日
(86)【国際出願番号】CN2015079374
(87)【国際公開番号】WO2016127521
(87)【国際公開日】20160818
【審査請求日】2017年6月7日
(31)【優先権主張番号】201510075179.1
(32)【優先日】2015年2月12日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510268554
【氏名又は名称】▲華▼中科技大学
【氏名又は名称原語表記】HUAZHONG UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】▲いえん▼春澤
(72)【発明者】
【氏名】朱偉
(72)【発明者】
【氏名】史玉升
(72)【発明者】
【氏名】劉潔
【審査官】 深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2002/149137(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/050921(US,A1)
【文献】 国際公開第2002/055451(WO,A1)
【文献】 特表2015−525150(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第1752238(CN,A)
【文献】 米国特許第3384505(US,A)
【文献】 特開昭60−208273(JP,A)
【文献】 特表2008−545026(JP,A)
【文献】 特表2007−502713(JP,A)
【文献】 特表2004−525791(JP,A)
【文献】 特開2000−336403(JP,A)
【文献】 特表2011−514420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/04−5/10、5/24
B29B 11/16、15/08−15/14
B29C 41/00−41/52
B29C 70/00−70/88
B29C 64/00−64/40、67/00−67/08
B29C 67/24−69/02、73/00−73/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のステップを含むことを特徴とする短繊維強化熱硬化性樹脂複合製品の3D印刷製造方法。
1)選択的レーザー焼結3D印刷技術に適する複合粉末を調製する。前記の複合粉末体積比により高分子接着剤10〜50%及び短繊維90〜50%を含む。
2)選択的レーザー焼結技術により孔隙のあるブランク型の成形を行う。成形のブランク型は孔隙率が10〜60%、曲げ強度が0.3MPa以上にある。
3)ブランク型を液状の熱硬化性樹脂前駆体に入れて次の通りに浸潤後処理を行う。
3.1)粘度100mPa・s以下の液状の熱硬化性樹脂前駆体を調製する。
3.2)ブランク型を液状の熱硬化性樹脂前駆体に浸して液状の熱硬化性樹脂がブランク型の孔隙に浸潤するようにし、ブランク型の上端が液面から露出してブランク型の孔隙にあるガスが排出ようにする。
4)液状の熱硬化性樹脂前駆体からブランク型を取り出してから硬化処理を行う。
5)硬化処理されたブランク型の仕上げ処理を行って完成品を取得する。
【請求項2】
ステップ1)に記載の複合粉末の粒径が10〜150μmにあることを特徴とする請求項1に記載の短繊維強化熱硬化性樹脂複合製品の3D印刷製造方法。
【請求項3】
ステップ1)に記載の短繊維の直径が6〜10μm、長さが10〜150μmにあることを特徴とする請求項1に記載の短繊維強化熱硬化性樹脂複合製品の3D印刷製造方法。
【請求項4】
ステップ2)で選択したレーザー焼結技術成形はレーザー出力が5〜15W、走査速度が1500〜3000mm/s、走査ピッチが0.08〜0.15mm、粉末舗装層の厚さが0.1〜0.2mm、予熱温度が50〜200℃にあることを特徴とする請求項1に記載の短繊維強化熱硬化性樹脂複合製品の3D印刷製造方法。
【請求項5】
ステップ3.2)のブランク型及び液状の熱硬化性樹脂前駆体を真空オーブンに入れて真空までに排気し、液状熱硬化性樹脂が速くブランク型の孔隙に浸潤するようにすることを特徴とする請求項1に記載の短繊維強化熱硬化性樹脂複合製品の3D印刷製造方法。
【請求項6】
ステップ4)での硬化処理の温度が50〜200℃、硬化時間が3〜48時間にあることを特徴とする請求項1に記載の短繊維強化熱硬化性樹脂複合製品の3D印刷製造方法。
【請求項7】
ステップ1)に記載の高分子接着剤がナイロン12、ナイロン6、ナイロン11、ポリプロピレン、エポキシ樹脂及び/またはフェノール樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の短繊維強化熱硬化性樹脂複合製品の3D印刷製造方法。
【請求項8】
ステップ1)に記載の短繊維が炭素繊維、ガラス繊維、ホウ素繊維、炭化ケイ素ウィスカー及び/またはアラミド繊維であることを特徴とする請求項1に記載の短繊維強化熱硬化性樹脂複合製品の3D印刷製造方法。
【請求項9】
ステップ3.1)に記載の液状の熱硬化性樹脂前駆体に用いられた熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、尿素ホルムアルデヒド樹脂または不飽和ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の短繊維強化熱硬化性樹脂複合製品の3D印刷製造方法。
【請求項10】
ステップ4)でブランク型を液状の熱硬化性樹脂前駆体から取り出して樹脂を除去してから硬化処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の短繊維強化熱硬化性樹脂複合製品の3D印刷製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は快速成形分野、更に具体的に、3D印刷製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
重要な軽質材料として、繊維強化熱硬化性樹脂複合材料は優れた物理的、化学的及び機械性能により在航空・宇宙飛行及び自動車などの分野で広く用いられている。例えば、高強度、軽質熱硬化性エポキシ樹脂/炭素繊維複合製品で大量に利用されている金属材料を代替するのは飛行機、自動車などの軽量化に達成する重要なルートであり、ボーイング社が最新の787型飛行機で大面積で熱硬化性エポキシ樹脂/炭素繊維複合製品を利用して大いに飛行機の重量を低減したので、大量の燃料を削減し、飛行の範囲を広くしている。製品性能の向上ために、航空・宇宙飛行、自動車などの分野の部品は構成が日増しに複雑になっていて、従来の成形方法による製造周期でもコストでも日増しに向上していて、成形できない最適化の設計構成さえもある。3D印刷(補強製造または快速成形製造とも呼ばれる)技術において層ごとの製造及び重ね合わせの原理を利用して直接にCADモデルから三次元の実体部品を製造できる。技術の進歩及び産業上の需要の推進に伴って、3D印刷技術は原型製造から直接製品または近製品製造までに成長しているが、複雑構成の快速成形がちょうど3D印刷技術の最も大きな長所である。
【0003】
従来、3D印刷による繊維強化樹脂複合製品に用いられる樹脂は主に熱可塑性樹脂及び紫外線硬化樹脂であり、プロセスが次の通りである。
【0004】
1)熱可塑性樹脂粉末(ナイロン及びポリエーテルエーテルケトンなど)と強化繊維粉末を混合させ、選択的レーザー焼結により3D印刷製造を行う。
【0005】
2)強化繊維と熱可塑性樹脂を複合ワイヤーまたはプリプレグトウに作り、溶融積層法(FDM)により3D印刷製造を行う。
【0006】
3)強化繊維と紫外線硬化樹脂を均一に混合させ、光硬化(SLA)技術により3D印刷製造を行う。
【0007】
その中、方法1)による製品は強度が低く、方法2)でも3)でも片持ち構成の複雑な製品の成形が難しい。
【0008】
熱硬化性樹脂は反応性樹脂であり、所定の硬化温度及び圧力で硬化剤と数時間に硬化反応(化学架橋)をして安定なネットワーク架橋を形成することが必要である。架橋による産物は剛性が強く、硬度が高く、耐熱性がいい。熱硬化性樹脂は初期粘度が低く、硬化反応の進行につれて粘度が段々に向上する。3D印刷の原理によると、粘度が低すぎれば形状が保ちがたいが、粘度が高すぎれば、材料がノズルから押し出されることもレーザーによる加熱熔融も困難である。近頃、ハーバード大学では3D印刷に適するエポキシ樹脂を開発して三次元押出しにより初めて熱硬化性樹脂複合製品の3D印刷に達成した(Compton,B.G. & Lewis,J.A., Adv Mater, 2014, 26,34)。但し、その自身の原理に制限されて、この方法により片持ち構成などのある複雑な構成の直接な成形を行うことが困難である。よって、3D印刷技術により熱硬化性樹脂及びその複合製品の成形を行うことに多くの課題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の技術に関する上記の課題にかんがみ、本発明による短繊維強化熱硬化性樹脂複合製品の3D印刷製造方法により快速に複雑な形状と構成、軽質、高強度、高耐熱の繊維強化熱硬化性樹脂複合製品を製造できる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的に達成するために、本発明では次のステップを含む短繊維強化熱硬化性樹脂複合製品の3D印刷製造方法を提供する。
【0011】
1)選択的レーザー焼結3D印刷技術に適する複合粉末を調製する。前記の複合粉末体積比により高分子接着剤10〜50%及び短繊維90〜50%を含む。
【0012】
2)選択的レーザー焼結技術により孔隙のあるブランク型の成形を行う。成形のブランク型は孔隙率が10〜60%、曲げ強度が0.3MPa以上にある。
【0013】
3)ブランク型を液状の熱硬化性樹脂前駆体に入れて次の通りに浸潤後処理を行う。
【0014】
3.1)粘度100mPa・s以下の液状の熱硬化性樹脂前駆体を調製する。
【0015】
3.2)ブランク型を液状の熱硬化性樹脂前駆体に浸して液状の熱硬化性樹脂がブランク型の孔隙に浸潤するようにし、ブランク型の上端が液面から露出してブランク型の孔隙にあるガスが排出ようにする。
【0016】
4)液状の熱硬化性樹脂前駆体からブランク型を取り出してから硬化処理を行う。
【0017】
5)硬化処理されたブランク型の仕上げ処理を行って完成品を取得する。
【0018】
望ましくは、ステップ1)に記載の複合粉末の粒径が10〜150μmにある。
【0019】
望ましくは、ステップ1)に記載の短繊維の直径が6〜10μm、長さが10〜150μmにある。
【0020】
望ましくは、ステップ2)で選択したレーザー焼結技術成形はレーザー出力が5〜15W、走査速度が1500〜3000mm/s、走査ピッチが0.08〜0.15mm、粉末舗装層の厚さが0.1〜0.2mm、予熱温度が50〜200℃にある。
【0021】
望ましくは、ステップ3.2)でブランク型及び液状の熱硬化性樹脂前駆体を真空オーブンに入れて真空までに排気し、液状熱硬化性樹脂が速くブランク型の孔隙に浸潤するようにする。
【0022】
望ましくは、ステップ4)での硬化処理の温度が50〜200℃、硬化時間が3〜48時間にある。
【0023】
望ましくは、ステップ1)に記載の高分子接着剤がナイロン12、ナイロン6、ナイロン11、ポリプロピレン、エポキシ樹脂及び/またはフェノール樹脂である。
【0024】
望ましくは、ステップ1)に記載の短繊維が炭素繊維、ガラス繊維、ホウ素繊維、炭化ケイ素ウィスカー及び/またはアラミド繊維である。
【0025】
望ましくは、ステップ3.1)に記載の液状の熱硬化性樹脂前駆体に用いられた熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、尿素ホルムアルデヒド樹脂または不飽和ポリエステル樹脂である。
【0026】
望ましくは、ステップ4)中ブランク型を液状の熱硬化性樹脂前駆体から取り出して樹脂を除去してから硬化処理を行う。
【発明の効果】
【0027】
まとめて言うと、本発明による技術案は従来の技術より次の長所がある。
【0028】
1)本発明で選択したレーザー焼結技術は3D印刷技術の一種であり、直接にCADモデルに応じて層ごとに、選択的に所要エリアの粉末を焼結し、重ね合わせて部品の成形を行い、直接に片持ち構成のある複雑な構成のような複雑な形状と構成の部品を製造できる。従来の的熱硬化性樹脂複合製品の加工成型方法、手動成型、モールディング成型、樹脂トランスファー成型、射出成型及び連続フィラメントワインディングなどと比べて見ると、この技術は設計及び製造の周期が短く、金型が不要であり、全体で複雑な構成の部品を製造できる。
【0029】
2)3D印刷方法による熱可塑性樹脂複合材料と比べて見ると、本発明による熱硬化性樹脂複合材料は力学性能が更に優れていて、耐熱性能が更にいい。
【0030】
3)本発明による方法は適用範囲が広く、異なる強化繊維及び熱硬化性樹脂系に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明のプロセスチャート
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に図及び実例を利用して本発明の目的、技術案及び長所について詳細に説明する。ここに記載の具体的な実例は本発明を解釈するためのものだけであり、本発明を限定するものではない。なお、下記の本発明の各実施形態に関わる技術特徴は衝突しない限り組み合わせることができる。
【0033】
図1に示す次のステップを含む短繊維強化熱硬化性樹脂複合製品の3D印刷製造方法。
【0034】
1)選択的レーザー焼結3D印刷技術に適する複合粉末を調製する。前記の複合粉末体積比により高分子接着剤10〜50%及び短繊維90〜50%を含む。その中、前記の高分子接着剤/短繊維複合粉末の粒径が10〜150μmにあり、望ましい範囲が10〜100μmにある。普通、繊維は長ければ長いほど強化効果が向上するが、150μm以上になると、粉末舗装の品質に影響を及ぼし、最終部品の精度に影響を及ぼし、短すぎると、表面積の増加を引き起こし、ローラーに密着しやすい。ブランク型の基本的な強度を保証する前提で、高分子接着剤の含量が少なければ少ないほどブランク型の孔隙率が大きくなり、後期に滲み込む樹脂が多くなり、最終に強度が高くなるので、高分子接着剤は体積含量が更に望ましくは10〜30%にする。
【0035】
また、所用の高分子接着剤がナイロン12、ナイロン6、ナイロン11、ポリプロピレン、エポキシ樹脂及び/またはフェノール樹脂など所定の定耐熱性能のある高分子材料の一種または複数の組合せである。
【0036】
なお、所用の短繊維は炭素繊維、ガラス繊維、ホウ素繊維、炭化ケイ素ウィスカー及び/またはアラミド繊維などの高強度繊維であってもいい。その中、繊維は直径が6〜10μm、長さが10〜150μm、望ましくは50〜100μmにある。普通、繊維は長ければ長いほど強化効果が向上するが、150μm以上になると、粉末舗装の品質に影響を及ぼすものとなる。
【0037】
2)選択的レーザー焼結技術により孔隙のあるブランク型の成形を行う。最適化された選択的レーザー焼結技術のプロセスにより部品のブランク型の成形を行う。このブランク型は後継ぎ処理の強度需要に満たすことができる上、通じ合った大量の孔隙のある多孔構成である。
【0038】
その中、後継ぎ処理の強度需要に満たすために、ブランク型は曲げ強度が0.3MPa以上にあること。強度が低すぎれば、薄い壁の一部が破壊しやすい同時に、樹脂がブランク型に浸み込むことができるように、ブランク型に通じ合った孔隙が泣けれべいけない。且つ孔隙率が高ければ高いほど、滲み込む樹脂が多くなり、最終の性能もよくなり、普通、孔隙率が10〜60%にあること。孔隙率が低すぎれば、滲み込む樹脂が少なく、最終部品の強度が低く、孔隙率が高すぎれば、初期ブランク型の強度が低く、後処理の需要に満たすことができない。
【0039】
また、選択的レーザー焼結技術成形はレーザー出力が5〜15W、走査速度が1500〜3000mm/s、走査ピッチが0.08〜0.15mm、粉末舗装層の厚さが0.1〜0.2mm、予熱温度が50〜200℃にあり、具体的なプロセスは実際の加工に用いられる高分子接着剤及び短繊維の種類に応じる。
【0040】
3)ブランク型を液状の熱硬化性樹脂前駆体に入れて次の通りに浸潤後処理を行う。
【0041】
3.1)粘度が大きすぎれば、液体が流れる場合に抵抗が大きくなるので、温度向上または希釈剤添加の方法で粘度を調節し、粘度100mPa・s以下の液状の熱硬化性樹脂前駆体を調製する。液状の熱硬化性樹脂前駆体は樹脂箱で調製する。その中、液状の熱硬化性樹脂前駆体に用いられる熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、尿素ホルムアルデヒド樹脂または不飽和ポリエステル樹脂など低粘度液状前駆体に調製できる熱硬化性樹脂であってもいい。浸潤粘度が更に望ましく50mPa・s以下に制御される場合、液状樹脂は流動性がよく、順調に初期ブランク型の孔隙に滲み込むことができる。
【0042】
3.2)ブランク型を液状の熱硬化性樹脂前駆体に浸して液状の熱硬化性樹脂がブランク型の孔隙に浸潤するようにし、ブランク型の上端が液面から露出してブランク型の孔隙にあるガスが排出ようにする。浸潤の過程は空気で行うことができるが、望ましくは、次の通りに真空の環境で行うことができる。ブランク型及び液状の熱硬化性樹脂前駆体のある樹脂箱を共に真空オーブンに入れ、真空までに排気し、液状熱硬化性樹脂が速くブランク型の孔隙に浸潤するようにする。
【0043】
4)完全に浸透してから液状の熱硬化性樹脂前駆体からブランク型を取り出し、ブラシまたは板で余った樹脂を除去して洗浄を行ってから硬化処理を行う。望ましくは、硬化処理の温度が50〜200℃、硬化時間が3〜48時間にある。
【0044】
5)硬化処理されたブランク型の仕上げ処理を行って完成品を取得する。
【0045】
まとめて言うと、本発明は全体的考え方が主に2つの方面を含む。その一として、選択的レーザー焼結技術により高分子に接着され、高い孔隙率のある強化相骨架ブランク型の成型を行うことであり、その二として、熱硬化性樹脂がブランク型に浸潤するようにし、高温硬化架橋をしてから短く切断された繊維に強化された熱硬化性樹脂基複合製品を取得できる。
【実施例1】
【0046】
(1)溶剤沈殿法で溶剤沈殿法でナイロン12と短く切断された炭素繊維との複合粉末を調製する。その中、ナイロン12の体積パーセントが20%であり、選出により粒径が10〜100μmにある複合粉末を取得して選択的レーザー焼結成形のために準備する。
【0047】
(2)選択的レーザー焼結技術により孔隙のあるブランク型の成形を行う。選択的レーザー焼結はレーザー出力が5W、走査速度が2000mm/s、走査ピッチが0.1mm、粉末舗装層の厚さが0.1mm、予熱温度が168℃であり、成形によりナイロン12/炭素繊維複合製品のブランク型を取得し、測定によると、その曲げ強度が1.5MPa、開口孔隙率が58%である。
【0048】
(3)100:91でフェノールエポキシ樹脂F〜51と硬化剤メチルナジエ酸無水物を混合させ、重量がエポキシ樹脂の0.1%である硬化促進剤2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(「DMP-30」と略す)を入れて130℃までに加熱し、均一して混合するまで激しく攪拌し、浸潤体系の粘度を20mPa・sに調節する。その中、F〜51フェノールエポキシは岳陽巴陵石化製、メチルナジエ酸無水物及びDMP-30は上海成誼高新科技発展有限公司製である。
【0049】
(4)樹脂箱を真空オーブンに入れてからブランク型を直接に前駆液に浸すが、浸潤中にブランク型にある空気がその上端から排出できるように、ブランク型の上端が液面から露出するようにする。樹脂がブランクに浸潤することに有利であるように、真空までに排気し、浸潤されたブランク型を取出し、表面の余った樹脂を除去する。
【0050】
(5)浸潤された部品をオーブンに入れて相次ぎに150℃、200℃でそれぞれ5時間に硬化させ、部品がオーブンと共に冷却してからそれを取出し、表面仕上げ処理をしてから炭素繊維に強化されたフェノールエポキシ樹脂基複合製品の部品を取得できる。
【実施例2】
【0051】
(1)溶剤沈殿法でナイロン12と短く切断されたガラス繊維との複合粉末を調製する。その中、ナイロン12の体積パーセントが25%であり、選出により粒径が20〜150μmにある複合粉末を取得し、選択的レーザー焼結成形のために準備する。
【0052】
(2)選択的レーザー焼結技術により孔隙のあるブランク型の成形を行う。 選択的レーザー焼結はレーザー出力が8W、走査速度が2500mm/s、走査ピッチが0.1mm、粉末舗装層の厚さが0.15mm、予熱温度が168℃であり、成形によりナイロン12/ガラス繊維複合製品のブランク型を取得する。測定によると、その曲げ強度が2.0 MPa、開口孔隙率が53%である。
【0053】
(3)100:85でエポキシ樹脂CYD-128と硬化剤メチルテトラヒドロフタル酸無水物を混合させ、重量がエポキシ樹脂の0.1%である硬化促進剤2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(「DMP-30」と略す)を入れて110℃までに加熱し、均一して混合するまで激しく攪拌し、浸潤体系の粘度を30 mPa・s以下に調節する。その中、エポキシ樹脂CYD-128は岳陽巴陵石化製、メチルテトラヒドロフタル酸無水物及びDMP-30は上海成誼高新科技発展有限公司製である。
【0054】
(4)樹脂箱を真空オーブンに入れてからブランク型を直接に前駆液に浸すが、浸潤中にブランク型にある空気がその上端から排出できるように、ブランク型の上端が液面から露出するようにする。樹脂がブランクに浸潤することに有利であるように、真空までに排気し、浸潤されたブランク型を取出し、表面の余った樹脂を除去する。
【0055】
(5)浸潤された部品をオーブンに入れて相次ぎに130℃で3時間、150℃で5時間、200℃で10時間に硬化させ、部品がオーブンと共に冷却してからそれを取出し、表面仕上げ処理をしてからガラス繊維に強化されたエポキシ樹脂基複合製品の部品を取得できる。
【実施例3】
【0056】
(1)機械混合法で調製ポリプロピレンと短く切断されたアラミド繊維が均一して混合した複合粉末を調製する。その中、ポリプロピレンの体積パーセントが30%であり、選出により粒径が10〜80μmにある複合粉末を取得する選択的レーザー焼結成形のために準備する。
【0057】
(2)選択的レーザー焼結技術により孔隙のあるブランク型の成形を行う。選択的レーザー焼結はレーザー出力が11W、走査速度が2500mm/s、走査ピッチが0.1mm、粉末舗装層の厚さが0.1mm、予熱温度が105℃であり、成形によりポリプロピレン/アラミド繊維複合製品のブランク型を取得する。測定によると、その曲げ強度が1.3 MPa、開口孔隙率が43%である。
【0058】
(3)100:1で不飽和ポリエステル樹脂と硬化剤メチルエチルケトン過酸化物を混合させ、重量比0.1%の硬化促進剤ナフテン酸コバルトを入れて45℃に加熱し、均一して混合するまで激しく攪拌し、浸潤体系の粘度を30〜40 mPa・sに調節する。その中、不飽和ポリエステル樹脂は金陵帝斯曼製Synolite 4082-G-33N、メチルエチルケトン過酸化物は江陰市前進化工有限公司製、ナフテン酸コバルトは市販品である。
【0059】
(4)樹脂箱を真空オーブンに入れてからブランク型を直接に前駆液に浸すが、浸潤中にブランク型にある空気がその上端から排出できるように、ブランク型の上端が液面から露出するようにする。樹脂がブランクに浸潤することに有利であるように、真空までに排気し、浸潤されたブランク型を取出し、表面の余った樹脂を除去する。
【0060】
(5)浸潤された部品をオーブンに入れて100℃で24時間に硬化させ、部品がオーブンと共に冷却してからそれを取出し、表面仕上げ処理をしてからアラミド繊維に強化された不飽和ポリエステル樹脂基複合製品の部品を取得できる。
【実施例4】
【0061】
(1)機械混合法でナイロン11と短く切断されたホウ素繊維を均一して混合させた複合材料粉末を調製する。その中、ナイロン11の体積パーセントが25%であり、選出によりSLS成形のための粒径10〜100μmの複合粉末を取得する。
【0062】
(2)選択的レーザー焼結技術により孔隙のあるブランク型の成形を行う。選択的レーザー焼結はレーザー出力が11W、走査速度が2000mm/s、走査ピッチが0.1mm、粉末舗装層の厚さが0.15mm、予熱温度が190℃であり、成形によりナイロン11/ホウ素繊維複合材料の初期ブランク型を取得する。測定によると、その曲げ強度が0.8 MPa、開口孔隙率が48%である。
【0063】
(3)1:1の質量比でフェノール樹脂とアルコールをフェノール樹脂溶液に調製して恒温水槽に入れて40〜60℃に加熱し、浸潤体系の粘度を50 mpa・s以下に調節する。所用のフェノール樹脂は西安太航阻燃有限公司製ホウ素変性フェノール樹脂製品、タイプがTHC‐400であり、アルコールは市販品である。
【0064】
(4)直接にブランク型をフェノール樹脂溶液に浸すが、浸潤中にブランク型にあるガスその上表面から排出できるように、その上表面が液面から露出するようにする。多孔構成が完全に充填されるまで数回に繰り返して浸潤し、樹脂槽を真空オーブンに入れて真空までに排気し、樹脂がブランクに浸潤することに更に有利である。浸潤されたブランク型を取出し、表面の余った樹脂を除去する。
【0065】
(5)浸潤された部品をオーブンに入れて180℃で24時間に硬化させ、部品がオーブンと共に冷却してからそれを取出し、表面仕上げ処理をしてからホウ素繊維に強化されたフェノール樹脂基複合材料の部品を取得できる。
【実施例5】
【0066】
(1)機械混合法でナイロン6と炭化ケイ素ウィスカーを均一して混合させた複合粉末を調製する。その中、ナイロン6の体積パーセントが50%であり、選出により粒径が10〜100μmにある複合粉末を取得して選択的レーザー焼結成形のために準備する。
【0067】
(2)選択的レーザー焼結技術により孔隙のあるブランク型の成形を行う。選択的レーザー焼結はレーザー出力が15W、走査速度が1500mm/s、走査ピッチが0.08mm、粉末舗装層の厚さが0.2mm、予熱温度が200℃であり、成形によりナイロン6/炭化ケイ素ウィスカー複合製品のブランク型を取得する。測定によると、その曲げ強度が1.6MPa、開口孔隙率が60%である。
【0068】
(3)イソシアネート及び多価アルコールはポリウレタン熱硬化性樹脂の主な構成である。質量比100:100:0.4:0.6:0.1でポリエーテルポリオール、ポリアリールポリイソシア(PAPI)、オクタン酸第一スズ、トリス(2-ヒドロキシエチル)アミン及び水を均一して混合させ、40℃に加熱し、粘度を100mPa・s以下に調節し、ポリウレタン樹脂前駆体溶液を取得する。
【0069】
(4)樹脂箱を真空オーブンに入れてからブランク型を直接に前駆液に浸すが、浸潤中にブランク型にある空気がその上端から排出できるように、ブランク型の上端が液面から露出するようにする。樹脂がブランクに浸潤することに有利であるように、真空までに排気し、浸潤されたブランク型を取出し、表面の余った樹脂を除去する。
【0070】
(5)浸潤された部品をオーブンに入れて100℃で24時間に硬化させ、部品がオーブンと共に冷却してからそれを取出し、表面仕上げ処理をしてから炭化ケイ素ウィスカー強化的ポリウレタン基複合製品の部品を取得できる。
【実施例6】
【0071】
(1)機械混合法でエポキシ樹脂と短く切断されたガラス繊維の複合粉末を調製する。その中、エポキシ樹脂のパーセントが10%であり、選出により粒径が10〜100μmにある複合粉末を取得して選択的レーザー焼結成形のために準備する。
【0072】
(2)選択的レーザー焼結技術により孔隙のあるブランク型の成形を行う。選択的レーザー焼結はレーザー出力が8W、走査速度が3000mm/s、走査ピッチが0.15mm、粉末舗装層の厚さが0.1mm、予熱温度が50℃であり、成形によりエポキシ樹脂/短く切断されたガラス繊維複合製品のブランク型を取得する。測定によると、その曲げ強度が0.8 MPa、開口孔隙率が57%である。
【0073】
(3)アルカリ-酸-アルカリにより低粘度の尿素ホルムアルデヒド樹脂前駆体を合成する。36%のホルムアルデヒド溶液500mlを調製し、ヘキサメチレンテトラミンの8gを入れ、油浴で55℃に加熱し、1回目に尿素の50gを入れ、60分に反応させ、続いて90℃に加熱して反応させ、2回目に尿素の70gを入れ、反応中に20%水酸化ナトリウムでPHを5〜6に調節して40分に反応させ、PHを7〜8に調節して3回目に尿素の20gに入れ、20分に反応させ、反応が停止するまでPHを7〜8に調節して、低粘度の尿素ホルムアルデヒド樹脂前駆体を取得する。
【0074】
(4)樹脂箱を真空オーブンに入れてからブランク型を直接に前駆液に浸すが、浸潤中にブランク型にある空気がその上端から排出できるように、ブランク型の上端が液面から露出するようにする。樹脂がブランクに浸潤することに有利であるように、真空までに排気し、浸潤されたブランク型を取出し、表面の余った樹脂を除去する。
【0075】
(5)浸潤された部品をオーブンに入れて50℃で48時間に硬化させ、部品がオーブンと共に冷却してからそれを取出し、表面仕上げ処理をしてからガラス繊維に強化された尿素ホルムアルデヒド樹脂基複合製品の部品を取得できる。
【0076】
前記は本発明の望ましい実例だけであり、本発明を制限するものではなく、本発明の精神及び原則に基づくすべての改訂、同等引換または改善などは本発明に属する。
図1