(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386186
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】有機過酸化物を含む粉末混合物
(51)【国際特許分類】
C09D 201/00 20060101AFI20180827BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20180827BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20180827BHJP
C08K 5/14 20060101ALI20180827BHJP
C08K 3/30 20060101ALI20180827BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D7/61
C09D7/63
C08K5/14
C08K3/30
C08L101/00
【請求項の数】15
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-531205(P2017-531205)
(86)(22)【出願日】2015年12月15日
(65)【公表番号】特表2018-505247(P2018-505247A)
(43)【公表日】2018年2月22日
(86)【国際出願番号】EP2015079680
(87)【国際公開番号】WO2016096779
(87)【国際公開日】20160623
【審査請求日】2017年7月6日
(31)【優先権主張番号】14198583.8
(32)【優先日】2014年12月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509131443
【氏名又は名称】アクゾ ノーベル ケミカルズ インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】Akzo Nobel Chemicals International B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ステーンスマ,マリア
(72)【発明者】
【氏名】マヨール,マルクス オリヴェル
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン,マルティン ヘルマヌス マリア
(72)【発明者】
【氏名】ゾイデルダイン,アルベルト ロランド
(72)【発明者】
【氏名】デン ブラベル,アントニー
【審査官】
牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−101808(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第01136473(EP,A1)
【文献】
特開昭61−100560(JP,A)
【文献】
特開2005−027814(JP,A)
【文献】
特開平11−049748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00〜201/00
C08K 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記を含む粉末混合物。
・20〜90wt%の1つ又はそれ以上の粉末化された有機過酸化物、及び
・10〜80wt%の1つ又はそれ以上の粉末化されたフィラー材(ただし、その少なくとも60wt%が硫酸バリウムである)
【請求項2】
1〜30wt%の水を含む、請求項1に記載の粉末混合物。
【請求項3】
前記有機過酸化物が、ジベンゾイルペルオキシド、置換ジベンゾイルペルオキシド、ジ(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルペルオキシド、ジ(ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカルボナート、ジ(t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボナート、ジセチルペルオキシジカルボナート、ジミリスチルペルオキシジカルボナート及びジデカノイルペルオキシドからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の粉末混合物。
【請求項4】
前記有機過酸化物が、ジベンゾイルペルオキシド及び置換ジベンゾイルペルオキシドからなる群から選択される、請求項3に記載の粉末混合物。
【請求項5】
前記有機過酸化物がジ(4−メチルベンゾイル)ペルオキシドである、請求項4に記載の粉末混合物。
【請求項6】
硫酸バリウムが、0.5〜3ミクロンの範囲での平均粒子サイズ(d50)を有する一次粒子を含有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の粉末混合物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載される粉末混合物を調製するためのプロセスであって、20〜90wt%の1つ又はそれ以上の粉末化された有機過酸化物と、10〜80wt%の1つ又はそれ以上の粉末化されたフィラー材(ただし、その少なくとも60wt%が硫酸バリウムである)とが、200ミクロン未満の平均粒径(d50)が達成されるまで均質化され、解凝集させられる、プロセス。
【請求項8】
前記粉末化された有機過酸化物が5〜70wt%の水を含有する、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記有機過酸化物が、ジベンゾイルペルオキシド、置換ジベンゾイルペルオキシド、ジ(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルペルオキシド、ジ(ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカルボナート、ジ(t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボナート、ジセチルペルオキシジカルボナート、ジミリスチルペルオキシジカルボナート及びジデカノイルペルオキシドからなる群から選択される、請求項7又は8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記有機過酸化物が、ジベンゾイルペルオキシド及び置換ジベンゾイルペルオキシドからなる群から選択される、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記有機過酸化物がジ(4−メチルベンゾイル)ペルオキシドである、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
請求項1から6のいずれか一項に記載される粉末混合物を含む被覆組成物。
【請求項13】
ラジカル硬化性熱硬化性樹脂を硬化させるための、請求項1から6のいずれか一項に記載される粉末混合物の使用。
【請求項14】
被覆組成物を硬化させるための、請求項1から6のいずれか一項に記載される粉末混合物の使用。
【請求項15】
ラジカル重合プロセスにおける開始剤としての、請求項1から6のいずれか一項に記載される粉末混合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機過酸化物を含む粉末混合物に関する。本発明はまた、そのような混合物を調製するためのプロセス、及び、被覆組成物を含む様々な用途におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な有機過酸化物が、様々な用途において、例えば、重合反応(例えば、(メタ)アクリラート、スチレン及びビニルクロリドの重合)の開始、ゴム及びエラストマーの架橋、並びに、(メタ)アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の硬化などにおいて幅広く使用されている。
【0003】
有機過酸化物はどちらかと言えば、分解しやすいという意味で不安定な化合物である。有機過酸化物を、ラジカル重合反応及び硬化反応を開始させるために好適にしているのが、この不安定性である。しかし、この不安定性はまた、安全上の様々な危険を引き起こす可能性がある。多くの有機過酸化物は、貯蔵及び輸送が安全な様式で行われ得るためには希釈される必要がある。
【0004】
この希釈は、鈍化とも呼ばれており、液体の鈍化剤を用いて行うことができ(これにより、過酸化物の前記鈍化剤における溶液、ペースト、乳化物又は懸濁物が生じる)、又は固体の鈍化剤を用いて行うことができる。有機過酸化物自体が固体形態であるならば、固体鈍化剤による希釈は、有機過酸化物と固体鈍化剤との固体混合物をもたらすことになる。
【0005】
鈍化処理された有機過酸化物は十分に長い期間にわたって安定であることが、当然のことながら、重要であり、このことは、両方の成分が均一な混合物のままであり、かつ、分離して別個の相を形成しないことを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
固体有機過酸化物のための公知の固体鈍化剤の1つが炭酸カルシウムである。炭酸カルシウムの長所が、炭酸カルシウムは比較的安価で、かつ、取り扱いやすいことであり、一方、短所がその吸湿性及び酸感受性である。
【0007】
その吸湿性のために、この物質は、被覆組成物において使用されることになる有機過酸化物のための鈍化剤としてあまり適していない。これは、この物質が、そのような被覆組成物を、水、湿気環境及び汚れの影響を非常に受けやすいものにするからである。この問題はまた、他の吸湿性物質、例えば、硫酸マグネシウムに関しても存在する。
【0008】
また、その酸感受性のために、CaCO
3は被覆用途においてあまり適しておらず、より具体的には、酸と接触することがある被覆又は酸性成分を含有する被覆にはあまり適していない。例えば、CaCO
3含有被覆と酸との接触により、被覆を劣化させ、また、被覆からのCO
2の発生をもたらすことになる反応が引き起こされる。このことは明らかに望ましくなく、CaCO
3含有過酸化物組成物を、酸と接触することがある被覆における使用には不適当にしている。そのことはまた、被覆組成物の他の成分の選択を制限している。すなわち、他の成分は非酸性でなければならない。
【0009】
これらの同じ問題が、他の炭酸塩、例えば、炭酸マグネシウム又は炭酸バリウムを含有する過酸化物配合物に関してもまた遭遇することになる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
今回、分離に対して安定であり、かつ、被覆用途にはより良好に適している鈍化処理された有機過酸化物粉末が、硫酸バリウムを鈍化剤として使用することによって調製され得ることが見出されている。
【0011】
BaSO
4は吸湿性も酸感受性も有しておらず、この物質の小さな一次粒子は透明であり、したがって、被覆組成物及び透明な複合材システムにおける適用には理想的である。
【0012】
さらには、予想に反して、安定な粉末混合物を、サイズ及び密度が著しく異なる2つの粉末から調製することが可能であることが見出された。安定な粉末混合物は、下記の実施例において記載されるような加速分離試験で分離しない混合物である。
【0013】
BaSO
4の一次粒子は有機過酸化物粒子よりもはるかに小さい。加えて、BaSO
4は、固体の有機過酸化物(1.0〜1.3g/ml)よりもはるかに大きい密度(4.5g/ml)を有する。したがって、これらの粉末の混合物は不安定であることが予想されるであろう。驚くべきことに、この混合物は、不安定なものではない。
【0014】
したがって、本発明は、下記の粉末:
・20〜90wt%の1つ又はそれ以上の粉末化された有機過酸化物、及び
・10〜80wt%の1つ又はそれ以上の粉末化されたフィラー材(ただし、その少なくとも60wt%が硫酸バリウムである)
を含む粉末混合物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この粉末混合物は粉末の形態を有する。すなわち、この粉末混合物はペースト又は懸濁物ではない。
【0016】
上記粉末混合物は、少なくとも10wt%の、より好ましくは少なくとも20wt%の、一層より好ましくは少なくとも40wt%の、最も好ましくは少なくとも50wt%の上記粉末化されたフィラー材を含む。上記粉末混合物は、最大でも80wt%の、最も好ましくは最大でも70wt%の上記粉末化されたフィラー材を含む。
【0017】
上記粉末化されたフィラー材の少なくとも60wt%が、より好ましくは少なくとも70wt%が、一層より好ましくは少なくとも80wt%が、一層より好ましくは少なくとも90wt%が、最も好ましくは100wt%が硫酸バリウムからなる。
【0018】
硫酸バリウム以外の好適なフィラー材には、好ましくは無機フィラー材が挙げられる。その例には、炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及び炭酸バリウムなど、シリカ、カオリナイト及びリン酸カルシウムが含まれる。
【0019】
本発明による粉末混合物に存在し得る有機過酸化物には、20℃において固体である有機過酸化物が挙げられる。そのような有機過酸化物には、ジベンゾイルペルオキシド、置換ジベンゾイルペルオキシド、ジ(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルペルオキシド、ジ(ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカルボナート、ジ(t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボナート、ジセチルペルオキシジカルボナート、ジミリスチルペルオキシジカルボナート及びジデカノイルペルオキシドが含まれる。
【0020】
より好ましい有機過酸化物がジベンゾイルペルオキシド及び置換ジベンゾイルペルオキシドである。置換ジベンゾイルペルオキシドは下記の式を有する:
【化1】
【0021】
式中、R
1は、ハロゲン(Cl、Br又はF)原子、並びに、O、P、S及び/又はSiを含有する官能基で場合により置換される、1個〜10個の炭素原子を有する直鎖型又は分岐型のアルキル基、アリール基又はアラルキル基から選択され、
R
2は、ハロゲン(Cl、Br又はF)原子、並びに、O、P、S及び/又はSiを含有する官能基で場合により置換される、1個〜10個の炭素原子を有する直鎖型又は分岐型のアルキル基、アリール基又はアラルキル基から選択され、
n及びmは個々に、0〜5の範囲における整数から選択され、
n+mは少なくとも1である。
【0022】
より好ましい実施形態において、n=m=1である。
【0023】
さらなる好ましい実施形態において、R
1及びR
2はともに、1個〜6個の炭素原子を有するアルキル基である。一層より好ましくは、R
1及びR
2はともにメチル基である。
【0024】
最も好ましくは、有機過酸化物はベンゾイルペルオキシド又はジ(4−メチルベンゾイル)ペルオキシドである。ジ(4−メチルベンゾイル)ペルオキシドが、最も好ましい有機過酸化物である。
【0025】
粉末混合物は、少なくとも20wt%の、最も好ましくは少なくとも30wt%の上記粉末化された有機過酸化物を含む。粉末混合物は、最大でも90wt%の、より好ましくは最大でも80wt%の、一層より好ましくは最大でも60wt%、最も好ましくは最大でも40wt%の上記粉末化された有機過酸化物を含む。
【0026】
本発明による粉末混合物は好ましくは1〜30wt%の水を含み、より好ましくは1〜20wt%の水を含み、最も好ましくは5〜15wt%の水を含む。この水は、過酸化物が分解したときに放出されるエネルギーを吸収することによって混合物の安全性をさらに高めるために役立つ。したがって、水の存在は粉末混合物のより良い輸送分類を可能にする。
【0027】
硫酸バリウムは好ましくは、平均粒径(d50)が少なくとも0.1ミクロン(より好ましくは少なくとも0.5ミクロン)である一次粒子を含有する。平均一次粒径(d50)は好ましくは20ミクロン未満であり、一層より好ましくは10ミクロン未満であり、より好ましくは5ミクロン未満であり、最も好ましくは3ミクロン未満である。
【0028】
用語「平均一次粒径」は体積メジアン(d50)を示す。平均一次粒径は、20wt%の界面活性剤(Teepol CH30)と、5〜25wt%の間での光学濃度で測定されることになる粒子とを含む超音波前処理された水性懸濁液を使用して、レーザー光回折(SYMPATEC GmbHによって製造され、QUIXEL湿式分散モジュールを備えるHELOSレーザー光回折分析装置)により求めることができる。
【0029】
本発明による粉末混合物は、上記2つの粉末の混合物を均質化し、解凝集することによって調製することができる。上記粉末は、上記で記載されるようなレーザー光回折法により求められるように、平均一次粒径(d50)が200ミクロン未満に達するまで粉砕される。
【0030】
様々な装置を、混合物の均質化及び解凝集を行うために使用することができる(例えば、ハンマーミル、ターボミル又はピンミル)。
【0031】
水が混合物に存在するならば、その一部が、所望の水分含有量が得られるまで、(例えば、穏やかな加熱による)エバポレーションによって粉砕時又は粉砕後に除かれる場合がある。
【0032】
好ましい方法において、水が、水を含有する粉末化された有機過酸化物の形態で混合物に加えられる。
【0033】
一層より好ましい方法において、5〜70wt%の水、より好ましくは10〜50wt%の水、最も好ましくは20〜40wt%の水を含有する粉末化された(置換)ジベンゾイルペルオキシドが、無機フィラー材の存在下で粉砕される。
【0034】
驚くべきことに、安定な粉末混合物を2つの粉末(これらは密度が大きく異なる)から調製することが可能であることが見出されている。室温において、硫酸バリウムの密度が4.5g/mlであり、これに対して、固体有機過酸化物の密度が1.0〜1.3g/mlの範囲にある。
【0035】
本発明による粉末混合物は、被覆組成物における硬化剤として、ポリエステル樹脂及び他のラジカル硬化性熱硬化性樹脂における硬化剤として、また、ラジカル重合プロセス、例えば、(メタ)アクリル樹脂の重合における開始剤として適用が見出される。
【実施例】
【0036】
実施例1
ジ(4−メチルベンゾイル)ペルオキシドと硫酸バリウムとからなる3つの異なる組成物を、硫酸バリウムをジ(4−メチルベンゾイル)ペルオキシドと手作業で混合することによって調製した。得られた混合物を、1.5mmのふるいを備えるハンマーミルにより処理して、均一な混合物を得た。
【0037】
これらの組成物は、過酸化物含有量及び硫酸バリウムのタイプ(天然又は合成)が異なった。
【0038】
組成物A:65wt%の合成BaSO
4(Blanc Fixe micro(Sachtleben Chemie GmbH);d50=0.7ミクロン)及び35wt%のジ(4−メチルベンゾイル)ペルオキシド。
【0039】
組成物B:60wt%の天然BaSO
4(CIMBAR EX(CIMBAR Performance Minerals);d50=0.8〜1.4ミクロン)及び40wt%の25wt%含水ジ(4−メチルベンゾイル)ペルオキシド。
【0040】
組成物C:60wt%の天然BaSO
4(CIMBAR UF(CIMBAR Performance Minerals);d50=1.6〜5.8ミクロン)及び40wt%の25wt%含水ジ(4−メチルベンゾイル)ペルオキシド。
【0041】
それぞれの組成物を、15°の角度で傾けられるステンレススチール製シリンダー(直径:10〜11cm、長さ:50cm)に入れ、ステンレススチール製シリンダーをその軸の周りに20±0.5分間、ゆっくり(7±1min
−1)回転させることによって分離安定性について試験した。
【0042】
シリンダーの上部部分、中間部部分及び下部部分から、サンプルを採取し、それぞれのサンプルの活性酸素含有量をヨウ素滴定によって求めた。これらの活性酸素含有量を分離試験前の組成物(「出発サンプル」)の活性酸素含有量と比較した。
【0043】
混合物は、下記の場合には分離すると見なされる:
【数1】
式中、p
o=出発サンプルの活性酸素含有量
p
u=上部層サンプルの活性酸素含有量
p
m=中間部層サンプルの活性酸素含有量
p
l=下部層サンプルの活性酸素含有量
M=許容相対偏差(10%)
【0044】
上記3つの組成物についての結果は以下の通りであった:
【表1】
【0045】
したがって、3つのすべてのサンプルが、分離に対して安定であると見なされた。
【0046】
実施例2
過酸化物と硫酸バリウムとからなる2つの異なる組成物を、硫酸バリウムを過酸化物と手作業で混合することによって調製した。得られた混合物を、1.5mmのふるいを備えるハンマーミルにより処理して、均一な混合物を得た。
【0047】
組成物D:70wt%の合成BaSO
4(Blanc Fixe micro(Sachtleben Chemie GmbH);d50=0.7ミクロン)及び30wt%のジ(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン。
【0048】
組成物E:70wt%の天然BaSO
4(Blanc Fixe micro(Sachtleben Chemie GmbH);d50=0.7ミクロン)及び30wt%のジクミルペルオキシド。
【0049】
それぞれの組成物を、実施例1に記載される試験を使用して分離安定性について試験した。結果が下記の通りであった。
【表2】
【0050】
両方のサンプルが、分離に対して安定であると見なされた。
【0051】
比較例
30wt%のジ(4−メチルベンゾイル)ペルオキシドと70wt%の硫酸マグネシウム七水和物(Sigma Aldrch)とを含む組成物を、硫酸マグネシウムをジ(4−メチルベンゾイル)ペルオキシドと手作業で混合することによって調製した。この混合の直後、粉砕することができなかった非常に湿った混合物が得られた。これは、硫酸マグネシウムの吸湿性のためであった。したがって、粉末混合物を得ることができなかった。
【0052】
無水硫酸マグネシウムを使用することは選択肢ではなかった。無水硫酸マグネシウムは非常に吸湿性であり、水又は湿気と発熱反応する。結果として、水又は湿気との接触は組成物の温度を上昇させることになり、ジ(4−メチルベンゾイル)ペルオキシドの分解を引き起こす場合がある。