【文献】
MICHAEL, T et al.,International Journal of Pharmaceutics,1996年,133,47-58
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記溶解容器内の前記撹拌装置が、前記薬物タブレット、カプセル若しくは他の製剤形態を保持するように構成される、請求項10〜12のいずれか一項に記載のシステム。
前記溶解容器からの前記試料中の活性成分の量が、溶解のレベルを示し、前記デバイスからの前記試料中の活性成分の量が、透過のレベルを示す、請求項22に記載の方法。
前記溶解容器からの前記試料中の活性成分の量及び前記デバイスからの前記試料からの活性成分の量と、前記薬物内の活性成分の総量とを比較することを更に含む、請求項24に記載の方法。
前記溶解容器からの前記試料中の活性成分の量が、溶解のレベルを示し、前記溶解容器からの前記試料中の及び前記デバイスからの前記試料中の前記活性成分の量と、前記薬物内の前記活性成分の総量とを比較した差が、吸収のレベルを示す、請求項25に記載の方法。
前記システムが、2つ以上のデバイスを有し、第1のデバイスが、透過性バリア内に細胞層、組織層または人工膜層を有し、第2のデバイスが、透過性バリア内に細胞層、組織層または人工膜層を有さず、前記方法が、前記第1のデバイスから試料及び前記第2のデバイスから試料を取り出すことと、前記第1のデバイスからの前記試料中の活性成分の量と、前記第2のデバイスからの前記試料からの活性成分の量とを比較することと、を含む、請求項24に記載の方法。
前記溶解容器からの前記試料中の活性成分の量が、溶解のレベルを示し、前記第1のデバイスからの前記試料中の前記活性成分の量と、前記第2のデバイスからの前記試料からの前記活性成分の量との差が、吸収のレベルを示す、請求項27に記載の方法。
前記透過性バリアから前記細胞層、組織層または人工膜層を単離することと、前記細胞層、組織層または人工膜層内の活性成分の量を測定することと、を更に含む、請求項20〜28のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
開示されるデバイス、システム、及び方法は、本開示の一部を形成する添付図面と関連してなされる以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解することができる。開示されるデバイス、システム、及び方法は、本明細書に開示される及び/または示される特定のデバイス、システム、及び方法に限定されないこと、及び本明細書で使用される用語は、単なる一例として特定の実施形態を説明することを目的とするものであり、また、特許請求されるデバイス、システム、及び方法を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0009】
同様に、別途具体的に注記されていない限り、可能な作用の機構若しくはモード、または改善の理由は、単に例示的であることを意味するものであり、開示されるデバイス、システム、及び方法は、任意のそのような提案される作用の機構若しくはモードまたは改善の理由の正しさまたは間違いによって束縛されるものではない。
【0010】
値の範囲が表されているときに、別の実施形態は、1つの特定の値から、及び/またはもう1つの特定の値までを含む。更に、範囲で述べられる値への参照は、その範囲内のいずれの値も含む。すべての範囲は、包括的であり、組み合わせることができる。値が、先行詞「約」を使用することによって近似値として表されているときには、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。特定の数値に対する参照は、別途文脈が明確に指示しない限り、少なくともその特定の値を含む。
【0011】
明確にするために個別の実施形態の状況において本明細書で説明される、開示されるデバイス、システム、及び方法の或る特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることを認識されたい。逆に、簡潔にするため、単一の実施形態の状況において説明される、開示されるデバイス、システム、及び方法の様々な特徴はまた、別々に、または任意の部分的組み合わせで提供され得る。
【0012】
本明細書で使用するときに、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、複数形を含む。
【0013】
説明の態様に関連する様々な用語が、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して使用される。そのような用語は、別途指示されない限り、当技術分野におけるそれらの通常の意味が与えられる。他の具体的に定義された用語は、本明細書に提供される定義と一致する様式に解釈される。
【0014】
用語「約」は、数値範囲を参照して使用されるときに、記載された値が列記された値から最大10%まで変動し得ることを示すために、切り捨てまたは特定の値が使用される。したがって、用語「約」は、指定された値からの、±10%以下の変動、±5%以下の変動、±1%以下の変動、±0.5%以下の変動、±0.1%以下の変動を包含する。
【0015】
本明細書で使用するときに、「流体連通」は、デバイスの構成要素部品−すなわち、固定キャップ、透過性バリア、シール、及びチャンバ−の間を液体が流れる能力を指す。
【0016】
本明細書で使用するときに、「他の製剤形態」は、液体、固体、懸濁液、またはゲルの形態の製剤形態を含む。
【0017】
開示されるシステムはまた、インビトロ溶解吸収システム(IDAS)とも称することができる。
【0018】
薬物の溶解、吸収、及び透過を評価するためのデバイス
薬物の溶解、吸収、及び透過を評価するためのデバイスが本明細書で開示される。いくつかの実施形態において、薬物の溶解、吸収、及び透過を評価するためのデバイスは、チャンバと、透過性バリアと、固定キャップと、を備える。いくつかの実施形態において、薬物の溶解、吸収、及び透過を評価するためのデバイスは、チャンバ、透過性バリア、及び固定キャップからなる。いくつかの実施形態において、薬物の溶解、吸収、及び透過を評価するためのデバイスは、チャンバ、透過性バリア、シール、及び固定キャップからなる。いくつかの実施形態において、薬物の溶解、吸収、及び透過を評価するためのデバイスは、基本的にチャンバ、透過性バリア、及び固定キャップからなる。いくつかの実施形態において、薬物の溶解、吸収、及び透過を評価するためのデバイスは、基本的にチャンバ、透過性バリア、シール、及び固定キャップからなる。チャンバは、底部、少なくとも1つの側壁、及び中空の内部空間を有し、該側壁が開口部を有する、リザーバと、少なくとも1つの側壁、遠位端部、近位端部、及び中空の内部空間を有する延長部であって、遠位端部及び近位端部が、開口しており、近位端部が、開口部において側壁に取り付けられる、延長部と、を備える。透過性バリアは、少なくとも1つの側壁、開口した遠位端部、及び近位端部を備え、また、細胞、組織、または人工膜を保持するように構成される。透過性バリアの近位端部は、延長部の遠位端部に接触するように構成される。固定キャップは、少なくとも1つの側壁、遠位端部、近位端部、及び中空の内部空間を有し、遠位端部及び近位端部は、開口している。固定キャップは、透過性バリアまたは延長部に可逆的に取り付けるように構成される。固定キャップ、透過性バリア、及びチャンバは、流体連通している。本デバイスは、延長部の遠位端部と透過性バリアの近位端部との間に挿入するように構成されるシールを更に備えることができ、シールは、固定キャップ、透過性バリア、及びチャンバと流体連通している。
【0019】
薬物の溶解、吸収、及び透過を評価するための例示的なデバイス100は、
図1に例示される。本デバイスは、チャンバ110を備え、該チャンバは、底部114及び少なくとも1つの側壁116を有し、該側壁が開口部118を有するリザーバ112と、少なくとも1つの側壁132、遠位端部134、近位端部136、及び中空の内部空間138を有する延長部130と、を備え、遠位端部134及び近位端部136は、開口しており、近位端部136は、開口部118においてリザーバ112の側壁116に取り付けられる。本デバイスはまた、少なくとも1つの側壁152、開口した遠位端部154、及び近位端部156を有する透過性バリア150も備え、透過性バリア150は、細胞、組織、または人工膜を保持するように構成され、透過性バリア150の近位端部156は、延長部130の遠位端部134に接触するように構成される。随意のシール170は、延長部130の遠位端部134と透過性バリア150の近位端部156との間に挿入するように構成される。本デバイスは、少なくとも1つの側壁192、遠位端部194、近位端部196、及び中空の内部空間198を有する固定キャップ190を更に備えることができ、遠位端部194及び近位端部196は、開口しており、固定キャップ190は、延長部130に可逆的に取り付けるように構成される。固定キャップ190、透過性バリア150、シール170、及びチャンバ110は、流体連通している。
【0020】
透過性バリアは、細胞、組織、または人工膜を保持するように構成される。いくつかの実施形態において、透過性バリアは、組織層(組織の層)を保持するように構成される。ヒトにおける薬物の吸収の予測については、ヒトの腸組織(より具体的には、腸管粘膜)の関連性が最も高い。したがって、いくつかの態様において、透過性バリアは、ヒトの腸組織を保持するように構成される。いくつかの態様において、ヒトの腸組織は、腸管粘膜である。加えて、マウス、ネズミ、ウサギ、イヌ、ブタ、サル、その他からの組織を含む、動物からの腸組織もまた、開示されるデバイス及びシステムを使用して評価することができる。
【0021】
他の実施形態において、透過性バリアは、細胞の層(細胞層)を保持するように構成される。細胞の層は、多孔質膜上で成長させた成熟細胞単層とすることができる。したがって、透過性バリアは、多孔質膜上で成長させた成熟細胞単層を保持するように構成することができる。いくつかの態様において、細胞の層は、融合性細胞単層とすることができる。透過性バリアは、接着細胞を保持するように構成することができる。適切な接着細胞としては、C2BBel細胞(Caco−2細胞のサブクローン)、MDCK細胞、MDR−MDCK細胞、BCRP−MDCK細胞、Caco−2細胞、HT−29細胞、T−84細胞、またはこれらの任意の組み合わせなどの上皮細胞が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、透過性バリアは、C2BBel細胞の層を保持するように構成される。いくつかの態様において、透過性バリアは、MDCK細胞の層を保持するように構成される。いくつかの態様において、透過性バリアは、MDR−MDCK細胞の層を保持するように構成される。いくつかの態様において、透過性バリアは、BCRP−MDCK細胞の層を保持するように構成される。いくつかの態様において、透過性バリアは、Caco−2の細胞の層を保持するように構成される。いくつかの態様において、透過性バリアは、HT−29細胞の層を保持するように構成される。いくつかの態様において、透過性バリアは、T−84細胞の層を保持するように構成される。
【0022】
他の実施形態において、透過性バリアは、人工膜の層(人工膜層)を保持するように構成される。人工膜の層は、レシチン、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DOPC)またはリン脂質混合物などの、脂質溶液で処理された多孔質膜から調製することができる。
【0023】
組織の層、細胞の層または人工膜の層が透過性バリア内に存在するときに、デバイスの内側と外側との間(すなわち、チャンバのリザーバとキャップの外側との間)に、界面が形成される。それに応じて、デバイスは、薬物の溶解過程中に、細胞、組織、または人工膜層にわたって薬物の透過を評価することを可能にする。
【0024】
開示されるデバイスは、透過性媒体を受容するように構成される。例えば、透過性バリア中に組織層、細胞層、または人工膜層を有する、組み立てたデバイスは、組織層、細胞層、または人工膜層を含む透過性バリアが、デバイスの外への液体の通過を防止するように、透過性媒体をチャンバ内で受容し、保持するように構成される。したがって、デバイスが組み立てられ、組織、細胞、または人工膜の層を含むときに、「受容するように構成される」は、「保持するように構成される」と同義である。
【0025】
適切な透過性媒体は、例えば、塩化カルシウム(CaCl
2)、塩化カリウム(KCl)、リン酸一カリウム(KH
2PO
4)、塩化マグネシウム(MgCl
2)、硫酸マグネシウム(MgSO
4)、塩化ナトリウム(NaCl)、重炭酸ナトリウム(NaHCO
3)、リン酸二ナトリウム(Na
2HPO
4)、グルコース、ウシ血清アルブミン(BSA)、またはこれらの任意の組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態において、透過性媒体は、緩衝溶液とすることができる。適切な緩衝溶液としては、例えば、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)が挙げられる。いくつかの態様において、HBSSは、約1.26mMの塩化カルシウム(CaCl
2)、約5.33mMの塩化カリウム(KCl)、約0.44mMのリン酸一カリウム(KH
2PO
4)、約0.50mMの塩化マグネシウム(MgCl
2)、約0.41mMの硫酸マグネシウム(MgSO
4)、約138mMの塩化ナトリウム(NaCl)、約4.00mMの重炭酸ナトリウム(NaHCO
3)、約0.30mMのリン酸二ナトリウム(Na
2HPO
4)、約25mMのグルコースを含むことができ、また、約4.5%のウシ血清アルブミン(BSA)を補充することができる。
【0026】
透過性媒体の適切なpHとしては、約pH6.0〜約pH8.0が挙げられる。いくつかの実施形態において、透過性媒体のpHは、約pH7.4前後とすることができる。透過性媒体が緩衝溶液である態様において、媒体は、そのpHが7.4の0.05単位内であるように調整することができる。いくつかの態様において、透過性媒体のpHは、HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)で調整することができる。
【0027】
デバイスは、約3mL〜約10mLの最大量の透過性媒体を受容するように構成することができる。デバイスは、約4mL〜約10mLの最大量の透過性媒体を受容するように構成することができる。デバイスは、約5mL〜約10mLの最大量の透過性媒体を受容するように構成することができる。デバイスは、約6mL〜約10mLの最大量の透過性媒体を受容するように構成することができる。デバイスは、約7mL〜約10mLの最大量の透過性媒体を受容するように構成することができる。デバイスは、約8mL〜約10mLの最大量の透過性媒体を受容するように構成することができる。デバイスは、約9mL〜約10mLの最大量の透過性媒体を受容するように構成することができる。
【0028】
デバイスは、約3mLの最大量の透過性媒体を受容するように構成することができる。デバイスは、約4mLの最大量の透過性媒体を受容するように構成することができる。デバイスは、約5mLの最大量の透過性媒体を受容するように構成することができる。デバイスは、約6mLの最大量の透過性媒体を受容するように構成することができる。デバイスは、約7mLの最大量の透過性媒体を受容するように構成することができる。デバイスは、約8mLの最大量の透過性媒体を受容するように構成することができる。デバイスは、約9mLの最大量の透過性媒体を受容するように構成することができる。デバイスは、約10mLの最大量の透過性媒体を受容するように構成することができる。
【0029】
延長部の少なくとも1つの側壁、遠位端部、及び延長部、透過性バリアの少なくとも1つの側壁、遠位端部、及び近位端部、固定キャップの少なくとも1つの側壁、遠位端部、及び近位端部、並びに随意のシールは、円形、楕円形、正方形、長方形、三角形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形などが挙げられるが、これらに限定されない、いくつかの形状を有することができる。いくつかの実施形態において、延長部の遠位端部、透過性バリアの遠位端部及び/または近位端部、並びに固定キャップの近位端部は、デバイスを組み立てたときに、固定キャップの近位端部を透過性バリアの遠位端部に強固に取り付けら、その結果、延長部の遠位端部に強固に取り付けるように、または固定キャップの近位端部を延長部の遠位端部に強固に取り付けるように、互いに十分に類似する形状を有することができる。シールがデバイスの中に存在する実施形態において、シールは、デバイスを組み立てたときに、シールが延長部の遠位端部と透過性バリアの近位端部との間に強固なバリアを形成するように、延長部の遠位端部、透過性バリアの遠位端部及び/または近位端部、並びに固定キャップの近位端部に十分に類似する形状を有することができる。固定キャップの近位端部は、透過性バリアの遠位端部に強固に取り付け、その結果、延長部の遠位端部に強固に取り付けることができ、または固定キャップの近位端部を長部の遠位端部に強固に取り付ける。延長部及び透過性バリアが円形である実施形態において、例えば、シールは、円形とすることができる。いくつかの態様において、シールは、Oリングとすることができる。いくつかの態様において、シールは、多数のOリングとすることができる。延長部及び透過性バリアが円形以外の形状である実施形態において、シールは、類似する形状を有することができる。例えば、延長部及び透過性バリアが正方形であるいくつかの実施形態において、シールは、正方形とすることができる。シールの適切な形状としては、円形、楕円形、正方形、長方形、三角形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、及び十角形が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
延長部、透過性バリア、固定キャップ、及び/または随意のシールの少なくとも1つの側壁、遠位端部、及び近位端部は、デバイスの残りの構成要素と異なる形状を有することができる。例えば、限定することを意図せずに、リザーバ112の少なくとも1つの側壁116は、延長部130の少なくとも1つの側壁132の形状と異なる形状を有することができる。
【0031】
デバイスの様々な構成要素の内面は、構成要素の外面と同じ形状または異なる形状を有することができる。例えば、限定することを意図せずに、延長部130の少なくとも1つの側壁132の内面は、円形とすることができ、一方で、延長部130の少なくとも1つの側壁132の外面は、正方形とすることができる。
【0032】
図2は、構成要素部品が互いに十分に類似する形状を有する、例示的な組み立てたデバイス200を例示する。組み立てたデバイス200は、チャンバ110を備え、該チャンバは、開口部118を伴う少なくとも1つの側壁116を有するリザーバ112と、少なくとも1つの側壁132、遠位端部134、近位端部136、及び中空の内部空間138を有する延長部130と、を備え、近位端部136は、開口部118においてリザーバ112の側壁116に取り付けられる。遠位端部194、近位端部196、及び中空の内部空間198を有する固定キャップ190は、延長部130の遠位端部134に取り付けられる。透過性バリア(ラベルなし)及びシール(ラベルなし)は、固定キャップ190と延長部130の遠位端部134との間に載置される。固定キャップ190の遠位端部194及び近位端部196の開口部、透過性バリアの遠位端部154、シール、並びに延長部130の遠位端部134は、固定キャップ190、透過性バリア、シール、及びチャンバ110が流体連通するように整列される。
【0033】
いくつかの実施形態において、透過性バリアの近位端部は、延長部の遠位端部に取り付けるように構成することができ、固定キャップの近位端部は、透過性バリアの遠位端部に取り付けるように構成することができる。他の実施形態において、固定キャップの近位端部は、延長部の遠位端部に取り付けるように構成することができ、透過性バリアは、固定キャップが透過性バリアを取り囲むように、固定キャップと延長部との間に静置するように構成することができる。
【0034】
いくつかの実施形態において、固定キャップの遠位端部、透過性バリアの遠位端部、またはどちらも、延長部の遠位端部、随意のシール、透過性バリアの近位端部、及び固定キャップの近位端部の形状に十分に類似する形状を有することができる。例えば、すべての構成要素は、円形とすることができる。他の態様において、すべての構成要素は、正方形とすることができる。他の実施形態において、固定キャップの遠位端部、透過性バリアの遠位端部、またはどちらも、延長部の遠位端部、随意のシール、透過性バリアの近位端部、及び固定キャップの近位端部の形状と異なる形状を有することができる。このような実施形態において、構成要素は、固定キャップ、透過性バリア、随意のシール、及び延長部の開口部が整列され、流体連通するように、
図2について上で説明した構成要素に類似して組み立てられる。
【0035】
リザーバの頂部は、開口しているか、または開口可能であることが好ましい。いくつかの実施形態において、リザーバの頂部は、開口している。リザーバの頂部全体は、頂部開口部がリザーバの中空の内部空間とほぼ同じ寸法を有するように開口することができる。例えば、リザーバが円形である態様において、リザーバの頂部開口部は、円形とすることができ、また、リザーバの中空の内部空間とほぼ等しい直径を有することができる。リザーバが正方形である態様において、リザーバの頂部開口部は、正方形とすることができ、また、リザーバの開口部とほぼ等しいx及びy軸上の幅を有することができる。代替的に、リザーバの頂部の一部分だけを開口することができる。例えば、リザーバの頂部は、約95%開口すること、90%開口すること、80%開口することか、70%開口すること、60%開口すること、50%開口すること、40%開口すること、30%開口すること、20%開口すること、10%開口すること、または10%未満開口することができる。他の実施形態において、リザーバの頂部は、開口可能とすることができる。いくつかの態様において、例えば、リザーバの頂部は、リザーバの中空の内部空間を露出させるように取り外すまたは開口することができる、キャップまたは蓋を有することができる。
【0036】
いくつかの実施形態において、延長部は、リザーバに対して垂直とすることができる。したがって、延長部とリザーバとの間の角度は、約90°とすることができる。他の実施形態において、延長部は、リザーバに対して垂直以外とすることができる。したがって、延長部とリザーバとの間の角度は、90°よりも大きく、または小さくすることができる。
【0037】
デバイス及びその構成要素は、液体を保持し、該液体の中に浸すことができる任意の材料から作製することができる。適切な材料としては、アクリル、ポリ(メタクリル酸メチル)、ガラス、プラスチック、鋼、金属、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
薬物の溶解、吸収、及び透過を評価するためのシステム
また、本明細書では、薬物の溶解、吸収、及び透過を評価するためのシステムも開示される。開示されるシステムは、上で開示された薬物の溶解、吸収、及び透過を評価するためのデバイスのうちの少なくとも1つと、溶解媒体を保持するように構成される溶解容器と、溶解容器内の撹拌装置と、を備え、本システムは、完全な薬物タブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態の、またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態の一部分の溶解速度、タブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態からの、またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態の一部分からの活性成分の吸収、及び/またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態からの、またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態からの活性成分の膜透過性、を評価するように構成される。いくつかの実施形態において、開示されるシステムは、上で開示された薬物の溶解、吸収、及び透過を評価するためのデバイスのうちの少なくとも1つと、溶解媒体を保持するように構成される溶解容器と、溶解容器内の撹拌装置と、蓋と、で構成することができ、本システムは、完全なタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態の、またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態の一部分の溶解速度、タブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態からの、またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態の一部分からの活性成分の吸収、及び/またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態からの、またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態からの活性成分の膜透過性、を評価するように構成される。いくつかの実施形態において、開示されるシステムは、基本的に、上で開示した薬物の溶解、吸収、及び透過を評価するためのデバイスのうちの少なくとも1つと、溶解媒体を保持するように構成される溶解容器と、溶解容器内の撹拌装置と、蓋と、で構成され、本システムは、完全なタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態の、またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態の一部分の溶解速度、タブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態からの、またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態の一部分からの活性成分の吸収、及び/またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態からの、またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態からの活性成分の膜透過性、を評価するように構成される。
【0039】
薬物の溶解、吸収、及び透過を評価するための例示的なシステムは、
図3に例示される。システム300は、薬物の溶解及び吸収を評価するための少なくとも1つのデバイス310と、溶解媒体370を保持するように構成される溶解容器320と、溶解容器320内の撹拌装置330と、蓋340と、を備える。少なくとも1つのデバイス310は、透過性媒体360を保持するように構成される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのデバイス310は、リザーバ内に撹拌翼350を有することができる。溶解媒体370及び透過性媒体360のレベルは、ほぼ等しく380することができる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのデバイス310は、蓋340に取り付けられるように構成することができる。
【0040】
当技術分野では、数多くの撹拌装置が知られている。いくつかの実施形態において、溶解容器内の撹拌装置は、撹拌翼とすることができる。他の実施形態において、溶解容器内の撹拌装置は、薬物のタブレット、カプセル、または他の製剤形態を保持するように構成される撹拌ケージとすることができる。更に他の実施形態において、溶解容器内の撹拌装置は、磁気撹拌子とすることができる。いくつかの態様において、例えば、撹拌装置は、磁気撹拌子とすることができ、システムは、撹拌プレート上に配置することができる。
【0041】
溶解容器は、溶解媒体を保持するように構成される。溶解媒体は、緩衝溶液とすることができる。適切な溶解媒体としては、例えば、米国薬局方協会、Chapter USP35、The Dissolution Procedure:Development and Validation(2012)675〜681ページで説明される、水性緩衝液が挙げられる。希塩酸、1.2〜7.5の生理学的pH範囲の緩衝液、擬似胃液または腸液(酵素を含む、または含まない)、水、並びにポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、及び胆汁酸などの界面活性剤を挙げることができる。Biorelevant社製溶解媒体は、E.Galia他のEvaluation of Various Dissolution Media for Predicting In Vivo Performance of Class I and II Drugs.Pharmaceutical Research(1998)15(5):698〜705で説明されているように、4:1のモル比の胆汁酸塩(タウロコール酸ナトリウム)及びリン脂質(レシチン)の複合物を含むことができる。いくつかの実施形態において、溶解媒体は、摂食前のヒトの小腸の内容物を擬似するために、絶食時擬似腸液(FaSSIF、組成:3mMのタウロコール酸ナトリウム、0.75mMのレシチン、28.65mMのNaH
2PO
4、8.7mMのNaOH、105.85mMのNaCl、pH6.5)とすることができる。いくつかの実施形態において、溶解媒体は、摂食後のヒトの小腸の内容物を擬似するために、摂食時擬似腸液(FeSSIF、組成:15mMのタウロコール酸ナトリウム、3.75mMのレシチン、144mMのCH
3COOH、101mMのNaOH、173mMのNaCl、pH5.0)とすることができる。いくつかの実施形態において、溶解媒体は、空腹時の胃液の内容物を擬似するために、絶食時擬似胃液(FaSSGF、組成:0.08mMのタウロコール酸ナトリウム、0.02mMのレシチン、34.2mMのNaCl、pH1.6)とすることができる。溶解媒体が緩衝溶液である態様において、媒体は、そのpHがpH1.2、pH1.6、pH5、pH6.5、pH6.8、pH7.2、またはpH7.5の0.05単位内であるように調整することができる。適切なpHとしては、約pH1.0〜約pH7.5が挙げられる。細胞適合性の擬似腸液、FaSSIF
cell及びFeSSIF
cellは、タウロコール酸ナトリウム及びレシチンを加えることによって、ハンクス平衡塩類溶液(HBSS、組成:1.26mMの塩化カルシウム(CaCl
2)、5.33mMの塩化カリウム(KCl)、0.44mMのリン酸一カリウム(KH
2PO
4)、0.50mMの塩化マグネシウム(MgCl
2)、0.41mMの硫酸マグネシウム(MgSO
4)、138mMの塩化ナトリウム(NaCl)、4.00mMの重炭酸ナトリウム(NaHCO
3)、0.30mMのリン酸二ナトリウム(Na
2HPO
4)、及び25mMグルコース)に基づいて調製することができる。FaSSIF
cellは、3mMのタウロコール酸ナトリウム、及び0.75mMのレシチンを含むことができる。FaSSIF
cellのpHは、HEPESによって6.5に調整することができる。FeSSIF
cellは、15mMのタウロコール酸ナトリウム、及び3.75mMのレシチンを含むことができる。FaSSIF
cellのpHは、HEPESによって5.0に調整されることができる。
【0042】
一般に、臨床薬物動態学的研究において、タブレット、カプセル、または他の製剤形態(液体、固体、懸濁液、またはゲルなど)は、コップ1杯の水(すなわち、8オンスまたは250mL以下)と共に取り込まれる。故に、いくつかの実施形態において、システムは、インビボでの投与量/体積比を反復するために、約250mLの溶解媒体を保持するように構成することができる。溶解容器は、ヒトの胃及び/または腸における平均液量にほぼ等しい溶解媒体の量を保持するように構成することができる。いくつか態様において、溶解容器は、絶食状態におけるヒトの胃液及び/または腸液の平均量にほぼ等しい溶解媒体の量を保持するように構成することができる。他の態様において、溶解容器は、摂食状態におけるヒトの胃液及び/または腸液の平均量にほぼ等しい溶解媒体の量を保持するように構成することができる。したがって、本システムは、インビボ条件を模倣し、絶食状態または摂食状態のいずれかにおけるヒトの溶解及び吸収を予測することができる。溶解容器は、成人のヒトの胃液及び/または腸液の平均量にほぼ等しい溶解媒体の量を保持するように構成することができる。例えば、限定することを意図せずに、絶食状態及び摂食状態における胃液の量は、それぞれ、約300mL及び500mLとすることができ、絶食状態及び摂食状態における小腸液の量は、それぞれ、約200mL及び1,000mLとすることができる。いくつかの態様において、溶解容器は、約250mLを保持するように構成することができる。いくつかの態様において、溶解容器は、約300mLを保持するように構成することができる。いくつかの態様において、溶解容器は、約400mLを保持するように構成することができる。いくつかの態様において、溶解容器は、約500mLを保持するように構成することができる。いくつかの態様において、溶解容器は、約750mLを保持するように構成することができる。いくつかの態様において、溶解容器は、約1,000mLを保持するように構成することができる。代替的に、溶解容器は、非成人のヒトの胃液及び/または腸液の平均量にほぼ等しい溶解媒体の量を保持するように構成することができる。非成人のヒトとしては、例えば、新生児、小児、子供、及び10代が挙げられる。いくつかの態様において、例えば、溶解容器は、約100mLを保持するように構成することができる。いくつかの態様において、溶解容器は、約150mLを保持するように構成することができる。いくつかの態様において、溶解容器は、約200mLを保持するように構成することができる。
【0043】
溶解容器は、約100mL〜約1,000mLの溶解媒体を保持するように構成することができる。いくつかの態様において、溶解容器は、約100mL〜約750mLを保持するように構成することができる。いくつかの態様において、溶解容器は、約100mL〜約500mLを保持するように構成することができる。いくつかの態様において、溶解容器は、約100mL〜約400mLを保持するように構成することができる。いくつかの態様において、溶解容器は、約100mL〜約250mLを保持するように構成することができる。いくつかの態様において、溶解容器は、約250mL〜約1,000mLを保持するように構成することができる。いくつかの態様において、溶解容器は、約250mL〜約750mLを保持するように構成することができる。いくつかの態様において、溶解容器は、約250mL〜約500mLを保持するように構成することができる。いくつかの態様において、溶解容器は、約250mL〜約400mLを保持するように構成することができる。いくつかの態様において、溶解容器は、約500mL〜約1,000mLを保持するように構成することができる。いくつかの態様において、溶解容器は、約500mL〜約750mLを保持するように構成することができる。
【0044】
開示されるシステムは、少なくとも1つのデバイスを備える。いくつかの態様において、本システムは、1つのデバイスを有することができる。他の態様において、本システムは、2つのデバイスを有することができる。他の態様において、本システムは、3つのデバイスを有することができる。他の態様において、本システムは、4つのデバイスを有することができる。他の態様において、本システムは、5つのデバイスを有することができる。更に他の態様において、本システムは、5つを超えるデバイスを有することができる。
【0045】
本明細書で開示されるデバイスのいずれかは、開示されるシステムに組み込むことができる。故に、本システムは、形状、透過性媒体の量、細胞/組織/人工膜のタイプ、その他が挙げられるが、これらに限定されない、以前に開示された特性のいずれかを有する少なくとも1つのデバイスを有することができる。例えば、開示されるシステムのいくつかの実施形態において、少なくとも1つのデバイスは、約3mL〜約10mLの量の透過性媒体を保持するように構成することができる。
【0046】
透過性媒体の量及び溶解媒体の量は、媒体がシステム内でほぼ同じレベルであるようにすることができる。「同じレベル」は、システムを断面で見たときに、透過性媒体及び溶解媒体の高さがほぼ等しいことを意味することが意図される。
【0047】
少なくとも1つのデバイスは、リザーバ内に撹拌翼を有することができる。いくつかの実施形態において、システムは、1つのデバイスを有することができ、該1つデバイスは、リザーバの中に撹拌翼を有することができる。他の実施形態において、システムは、2つ以上のデバイスを有することができ、該2つ以上のデバイスのうちの少なくとも1つは、リザーバの中に撹拌翼を有することができる。更に他の実施形態において、システムは、2つ以上のデバイスを有することができ、該デバイスのすべてが、リザーバの中に撹拌翼を有する。
【0048】
本システムは、蓋を有することができる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのデバイスは、蓋に取り付けられるように構成される。
【0049】
本システムは、完全なタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態、またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態の一部分の溶解速度、並びに完全なタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態からの、またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態の一部分からの活性成分の細胞吸収及び膜透過性を評価するように構成される。故に、本システムは、タブレット、カプセル、または他の製剤形態を破砕する必要性を回避する。破砕したタブレット、カプセル、または他の製剤形態の投与は、胃の中で行われる一連の事象を模倣しないので、完全なタブレット、カプセル、及び他の製剤形態を評価する能力は、極めて有用であり、また、結果がインビボ吸収に相関するという可能性を減少させることができる。いくつかの実施形態において、完全なタブレット、カプセル、または他の製剤形態は、臨床的にサイズ決定されたタブレット、カプセル、または他の製剤形態である。本明細書で使用するときに、「その一部分」は、全体の薬物タブレット、カプセル、または他の製剤形態よりも小さいことを意味し、薬物タブレット、カプセル、または他の製剤形態の全体よりも小さいことは、完全である。したがって、システムは、全体よりも小さいがそれでも完全な薬物タブレット、カプセル、及び他の製剤形態の溶解速度、細胞吸収、及び/または膜吸収を評価するために使用することができる。
【0050】
開示されるデバイスを溶解容器に統合することによって、薬物製品の溶解と、活性成分の吸収及び透過性との間の相互作用のより良い理解を発展させることができるであろう。このシステムは、溶解試験と透過性試験とを繋げるだけでなく、生理学的成分をドナー区画(溶解容器)(例えば、胆汁酸)及び受容体区画(デバイスチャンバ)(例えば、血漿タンパク質)に加えることも可能にする。
【0051】
薬物の溶解、吸収、及び透過を付随測定するための方法
本明細書では、薬物の溶解、吸収、または透過を付随測定するための方法も提供され、該方法は、完全な薬物タブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態を、または薬物タブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態の一部分を、上で開示されたシステムのうちのいずれか1つの溶解容器に加えることであって、溶解容器が、溶解媒体を含み、デバイスが、透過性媒体を含み、透過性バリアが、細胞の層、組織の層、または人工膜の層を含む、加えることと、溶解媒体を混合することと、溶解容器、デバイス、または両方から試料を取り出すことと、溶解容器、デバイス、または両方からの試料を解析することと、を含む。
【0052】
上で開示されたシステム及びデバイスのうちのいずれかは、開示される方法において使用することができる。故に、開示される方法は、上で開示された特徴のうちのいずれかを有するデバイス(複数可)を有するシステムを有することができ、該特徴としては、該デバイスに組み込まれる溶解媒体の量、透過性媒体の量、デバイス構成要素の形状、細胞/組織/人工膜のタイプが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、本方法は、完全な薬物タブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態を、またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態の一部分を、開示されるシステムのうちのいずれか1つの溶解容器に加えることを含み、溶解容器は、溶解媒体を含む。適切な溶解媒体としては、上で開示されたものが挙げられる。同様に、デバイスは、透過性媒体を含む。適切な透過性媒体としては、上で開示されたものが挙げられる。
【0053】
溶解媒体、透過性媒体、またはどちらも、生理学的条件を模倣する構成要素を含むことができる。いくつかの態様では、例えば、胆汁酸塩(タウロコール酸ナトリウム)及びリン脂質(レシチン)を溶解媒体に加えることができる。いくつかの態様では、血漿タンパク質(ウシ血清アルブミン)を透過性媒体に加えることができる。
【0054】
本方法は、完全な薬物タブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態を、またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態の一部分を、溶解容器に加えることを含む。いくつかの実施形態において、単一の完全な薬物タブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態と、またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態の一部分を、溶解容器に加えることができる。他の実施形態では、多数の完全な薬物タブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態、またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態の一部分を、溶解容器に加えることができる。溶解容器に加えられる、完全な薬物タブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態、またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態の一部分の数は、容器内に存在する溶解媒体の量及び薬物タブレット、カプセル、または他の製剤形態の投与量に部分的に依存する。いくつかの実施形態では、薬物タブレット、カプセル、または他の製剤形態の推奨される投与量が、薬物によって消費される推奨される流体の量を有する溶解容器に加えられる。例えば、溶解容器は、約250mLの溶解媒体を含むことができる。そのような態様では、薬物を250mLの流体と共に取り込むことが推奨される場合、単一の完全な薬物タブレット、カプセル、または他の製剤形態を溶解容器に加えることができる。代替的に、溶解容器は、250mL以上の溶解媒体を含むことができる。そのような態様において、完全な薬物タブレット、カプセル、または他の製剤形態の量は、生理学的条件を維持するようにスケーリングすることができる。溶解容器が例えば500mLの溶解媒体を含み、薬物を250mLの流体と共に取り込むことが推奨される場合、本方法は、2錠の完全な薬物タブレット、カプセル、または他の製剤形態を溶解容器に加えることができる。溶解容器が750mLの溶解媒体を含み、薬物を250mLの流体と共に取り込むことが推奨される場合、本方法は、3錠の完全な薬物タブレット、カプセル、または他の製剤形態を溶解容器に加えることができる。溶解容器が1,000mLの溶解媒体を含み、薬物を250mLの流体と共に取り込むことが推奨される場合、本方法は、4錠の完全な薬物タブレット、カプセル、または他の製剤形態を溶解容器に加えることができる。などである。
【0055】
完全な薬物タブレット、カプセル、若しくは製剤形態、またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態の一部分は、溶解容器に直接加えることができる。例えば、完全な薬物タブレット、カプセル、若しくは製剤形態、またはこれらの一部分は、薬物が容器の底部に位置するように溶解容器の中へ配置することができる。代替的に、システムが撹拌装置として撹拌ケージを含む実施形態では、完全なタブレット、カプセル、若しくは製剤形態、またはこれらの一部分は、撹拌ケージ内に配置することができる。
【0056】
溶解試験は、1段階または2段階構成で行うことができる。1段階構成では、完全な薬物タブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態、またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態の一部分を、5.0〜6.5の範囲のpHを有する擬似腸液(例示的な擬似腸液は、本明細書において上で説明される)を含む溶解容器に直接加えることができる。2段階構成では、最初に、完全な薬物タブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態、またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態の一部分を、1.0〜2.0の範囲のpHを有する擬似胃液(例示的な擬似胃液は、本明細書において上で説明される)を含む溶解容器に直接加え、予め選択した10〜60分の期間の後に、溶解媒体を、5.0〜6.5の範囲のpHを有する擬似腸液に調整する。
【0057】
本方法は、溶解媒体を混合することを含む。混合工程は、システム内に存在する撹拌装置を使用して行われる。システムは、例えば、撹拌装置として撹拌翼、撹拌ケージ、磁気撹拌子、またはこれらの任意の組み合わせを含むことができる。本方法は、適切な速度でこれらの撹拌装置のいずれかを動作させて、溶解媒体を混合することを含む。適切な速度としては、25rpm、50rpm、75rpm、及び100rpmが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
システムは、少なくとも2つの区画、すなわち、溶解媒体を含む溶解容器を備えるドナー区画、及び透過性媒体を含むデバイスを備える受容体区画を含む。完全なタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態、またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態の一部分を、システムに加える際に、開示される方法は、細胞、組織、または人工膜層にわたる溶解及び透過、溶解及び細胞吸収、並びに細胞、組織、または人工層にわたる溶解、細胞吸収、及び透過、の付随測定を可能にする。
【0059】
本方法は、溶解及び透過を測定することを含むことができる。いくつかの実施形態において、本方法は、溶解容器、デバイス、または両方から試料を取り出すこと、及び溶解容器、デバイス、または両方からの試料を解析することを含む。溶解容器からの試料中の活性成分の量は、溶解のレベルを示し、一方で、デバイスからの試料の活性成分の量は、透過のレベルを示す。
【0060】
本方法はまた、溶解及び吸収を測定することも含むことができる。いくつかの実施形態において、本方法は、溶解容器、デバイス、または両方から試料を取り出すこと、及び溶解容器、デバイス、または両方からの試料を解析することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、溶解容器からの試料中の活性成分の量及びデバイスからの試料からの活性成分の量と、薬物内の活性成分の量とを比較することを更に含むことができる。溶解容器からの試料中の活性成分の量は、溶解のレベルを示し、溶解容器からの試料中の及びデバイスからの試料中の活性成分の量と、薬物内の活性成分の総量とを比較した差が、吸収のレベルを示す。
【0061】
他の実施形態において、システムは、2つ以上のデバイスを備えることができ、第1のデバイスは、透過バリア内に細胞層、組織、人工膜層を有し、第2のデバイスは、透過バリア内に細胞層、組織層、または人工膜層を有しない。本方法は、溶解容器並びに第1及び第2のデバイスから試料を取り出すことと、第1のデバイスからの試料中の活性成分の量と、第2のデバイスからの試料からの活性成分の量とを比較することと、を含むことができる。溶解容器からの試料中の活性成分の量は、溶解のレベルを示す。第1のデバイスからの試料中の、及び第2のデバイスからの試料中の活性成分の量の差は、吸収のレベルを示す。
【0062】
更に他の実施形態において、本方法は、透過性バリアから細胞層、組織層、または人工膜層を単離することと、細胞層、組織層、または人工膜層内の活性成分の量を測定することと、を更に含むことができる。
【0063】
試料は、完全なカプセル、タブレット、若しくは他の製剤形態、またはカプセル、タブレット、若しくは他の製剤形態の一部分を溶解容器に加える前の、及び/または加えた後の任意の適切な時点で、溶解容器、デバイス、または両方から取り出すことができる。試料は、例えば、1分間隔、5分間隔、10分間隔、15分間隔、20分間隔、25分間隔、30分間隔、1時間間隔、またはこれらの任意の組み合わせで取り出すことができる。
【0064】
本方法は、約2時間〜約4時間にわたって行うことができる。いくつかの実施形態において、本方法は、約2時間にわたって行うことができる。他の実施形態において、本方法は、約3時間にわたって行うことができる。更に他の実施形態において、本方法は、約4時間にわたって行うことができる。
【0065】
いくつかの態様において、本方法は、1分間隔で溶解容器及び/またはデバイスから試料を取り出すことを含む。いくつかの態様において、本方法は、5分間隔で溶解容器及び/またはデバイスから試料を取り出すことを含む。いくつかの態様において、本方法は、10分間隔で溶解容器及び/またはデバイスから試料を取り出すことを含む。いくつかの態様において、本方法は、15分間隔で溶解容器及び/またはデバイスから試料を取り出すことを含む。いくつかの態様において、本方法は、20分間隔で溶解容器及び/またはデバイスから試料を取り出すことを含む。いくつかの態様において、本方法は、25分間隔で溶解容器及び/またはデバイスから試料を取り出すことを含む。いくつかの態様において、本方法は、30分間隔で溶解容器及び/またはデバイスから試料を取り出すことを含む。いくつかの態様において、本方法は、1時間間隔で溶解容器及び/またはデバイスから試料を取り出すことを含む。いくつかの態様において、本方法は、上記の任意の組み合わせの間隔で溶解容器及び/またはデバイスから試料を取り出すことを含む。
【0066】
試料は、同じ時間間隔で溶解容器及びデバイスから取り出すことができる。代替的に、試料は、異なる時間間隔で溶解容器及びデバイスから取り出すことができる。他の態様では、いくつかの試料を同じ時間間隔で溶解容器及びデバイスから取り出すことができ、一方で、更に他の試料を異なる時間間隔で溶解容器及びデバイスから取り出すことができる。例えば、限定することを意図せずに、本方法は、最初の10分間にわたって1分間隔で溶解容器から試料を取り出すことと、次の1時間にわたって5分間隔で溶解容器及びデバイスの両方から試料を取り出すことと、次の1時間にわたって5分間隔でデバイスから試料を取り出すことと、を含むことができる。
【0067】
溶解容器、デバイス、または両方から試料が取り出されたときに、取り出された量と同等の量の溶解媒体及び/または透過性媒体を、それぞれ、溶解容器及びデバイスに加えることができる。
【0068】
取り出された試料は、当技術分野で知られているいくつかの技法を使用して解析することができる。適切な分析技法は、蛍光検出、紫外可視(UV)分析、液体クロマトグラフィ−UV(LC−UV)、液体クロマトグラフィ−質量分析(LC−MS)、LC−MS/MS、放射性シンチレーション計数、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
いくつかの実施形態において、本方法は、単一タイプの細胞層、組織層、または人工膜層の中への吸収、及び/またはこれらにわたる透過を測定するために使用することができる。例えば、システムは、1つ以上のデバイスを含むことができ、各デバイスは、同じ細胞層、組織層、または人工膜層を含むことができる。他の実施形態において、本方法は、2つ以上のタイプの細胞層、組織層、または人工膜層の中への吸収、及び/またはこれらにわたる透過を測定するために使用することができる。例えば、システムは、2つ以上のデバイスを含むことができ、デバイスのうちの少なくとも2つは、異なるタイプの細胞層、組織層、または人工膜層を含むことができる。したがって、開示される方法は、多数のタイプの細胞、組織、または人工膜の中への吸収、及び/またはこれらにわたる透過を測定するために使用することができる。
【0070】
開示される方法を行うための好適な温度としては、約34℃〜約41℃が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、開示される方法は、約37℃で行われる。
【実施例】
【0071】
開示されるデバイスの組み立て及び使用
デバイス(複数可)は、
図1に例示されるように組み立てることができ、各デバイスは、容器の蓋に取り付けることができる。溶解媒体及び透過性媒体は、それぞれ、溶解容器及び透過性チャンバに加えることができるが、溶解媒体及び透過性媒体がほぼ同じレベルにあることを確実にする。システムは、37±0.5℃に平衡させることができる。薬物の投与単位(薬物タブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態、またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態の一部分)は、投与単位の表面からの気泡を排除するように注意しながら、溶解媒体の中へ配置することができ、そして、システムは、指定された速度で直ちに動作させることができる。指定される時間間隔内で、または述べられるいくつかの時間の各々で、標本は、溶解媒体の表面と回転翼の頂部との間の中間の区域で、容器の壁から1cm以上で、溶解容器から取り出すことができる。容器は、試験の期間にわたって覆った状態を保つことができる。指定された時間間隔内で、または述べられるいくつかの時間の各々で、標本は、透過性媒体の中間の区域で、透過性チャンバから取り出すことができる。多数の試料採取時間が指定される場合、解析のために取り出される量は、37℃で、等しい量の新鮮な(溶解または透過性)媒体と置き換えることができ、または媒体の置換が不要であることが示される場合、量の変化は、任意のその後の解析において考慮することができる。溶解媒体及び透過性媒体の試料は、適切なアッセイ方法を使用して解析することができる。
【0072】
薬物の溶解、吸収、及び透過を付随測定するための方法
材料
プロプラノロールタブレット、10mg強度は、Qualitest Pharmaceuticals(Huntsville、AL)によって製造された。ワルファリンタブレット、1mg強度は、Barr Laboratories Inc.(Champaign、IL)によって製造された。C2BBe1[Caco−2細胞のクローン]は、American Type Culture Collection(ATCC(登録商標)CRL−2102(商標))(Manassas、VA)から入手した。タウロコール酸ナトリウム及びD−グルコースは、Sigma−Aldrich(登録商標)(St.Louis、MO、USA)から入手した。レシチンは、Fisher Scientific(登録商標)(Pittsburg、PA、USA)から入手した。4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、15mMのグルコース(HBSSg)を補充したハンクス平衡塩類溶液、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、ダルベッコリン酸塩緩衝生理食塩水(DPBS)、ウシ胎児血清(FBS)、ペニシリン−ストレプトマイシン混合物、非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、トリプシン、G418、及びL.M.P.アガロースは、Life Technologies(Grand Island、NY、USA)から入手した。酪酸ナトリウムは、Alfa Aesar(登録商標)(Ward Hill、MA、USA)から購入した。ラット尾コラーゲンタイプ1は、BD Gentest(商標)(Woburn、MA、USA)から購入した。Costar(登録商標)Snapwellプレート(12ウエルフォーマット、1.13cm
2の挿入面積、0.4μmのポアサイズ)は、Corning(登録商標)Life Sciences(Corning(登録商標)、NY、USA)から購入した。ギ酸(88%、v/v)は、JTBaker(登録商標)(Center Valley、PA、USA)から購入した。メタノール、アセトニトリル、及びジメチルスルホキシド(DMSO)は、EMD Millipore(Billerica、MA、USA)から購入した。
【0073】
Caco−2細胞の培養
Caco−2細胞は、加湿恒温器(37°C、5%のCO
2)において、10%のFBS、1%のNEAA(非必須アミノ酸)溶液、4mMのLグルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウム、100IU/mLのペニシリン、及び100μg/mLのストレプトマイシンを含むDMEMの中に維持した。培養培地は、週3回取り替えて、細胞の成長は、顕微鏡検査によって観察した。保存培養が80%以下の融合性であるとき、細胞は、トリプシン処理によって収穫し、Costar(登録商標)Snapwellプレート(1.13cm
2の挿入面積、0.4μmのポアサイズ、Corning(登録商標)Life Sciences、Corning(登録商標)、NY)において、コラーゲンを被覆したポリカーボネート膜の上へ播種して、透過性の研究のために細胞単層を成長させた。播種密度は、60,000細胞/cm
2であった。プレートは、加湿恒温器(37°C、5%のCO
2)の中に配置し、培養培地は、使用(播種後の20〜28日)まで1日おきに取り替えた。
【0074】
溶解及び透過の付随測定
開示されるシステム(IDAS−インビトロ溶解吸収システム)は、口腔薬物吸収、並びに薬物の溶解及び透過過程を同時に評価することを可能にする。これらの研究では、薬物の溶解及び吸収を評価するための2つのデバイスを備えるシステム(
図3において例示される)を使用した。Caco−2細胞の単層を溶解容器とIDASとの間の界面に載置した。15mMのグルコースを補充したハンクス平衡塩類溶液を基礎溶液として使用した。絶食時擬似腸液(FaSSIF)を溶解媒体として使用し、3mMのタウロコール酸ナトリウム及び0.75mMのレシチンを基礎溶液に補充し、HEPESによってpHを6.5に調整することによって調製した。500mLの溶解媒体を溶解容器に加えた。4.5%(w/v)のウシ血清アルブミン(pHを7.4に調整)を含むHBSSgを透過媒体として使用し、そのうちの8mlを各デバイスに加えた。システムは、10分間37℃に予め加温し、溶解媒体は、50rpmで絶えず撹拌した。時間ゼロにおいて、2つの薬物(プロプラノロールまたはワルファリン)を溶解容器に加えた。予め選択した時点(すなわち、5、15、30、60、90、及び120分)で、試料を溶解容器及び各デバイスから収集した。各試料採取時点で、0.1mLの試料を溶解容器から収集し、0.2μmのMillex−FGシリンジフィルタユニット(EMD Millpore、Billerica、MA)を通過させて、未溶解の残留物取り除いた。各試料採取時点で、0.5mLの試料を各デバイスから収集し、同じ量(0.5mL)の新鮮な透過媒体をデバイスの中へ戻した。
【0075】
試料解析
薬物濃度は、トリプル四重極型タンデム質量分析(LC−MS/MS)方法によって、液体クロマトグラフィを使用して決定した。高性能液体クロマトグラフィ機器は、LEAP CTC HTS PAL自動試料採取器(LEAP Technologies、Carrboro、NC)及びAgilent1100ポンプ(Agilent Technologies、Santa Clara、CA)で構成した。クロマトグラフィは、30×内径2.1mm、3μmのThermo Hypersil BDS C18カラム(Thermo Fisher Scientific)を使用して周囲温度で行った。移動相緩衝液は、25mMのギ酸アンモニウム緩衝液(pH3.5)であり、水相は、90%の脱イオン水及び10%の移動相緩衝液(v/v)で構成し、有機相は、90%のアセトニトリル及び10%の移動相緩衝液で構成した。勾配は、250μL/分の流量で、5%の有機相から開始し、1.5分にわたって100%の有機相まで直線的に変化させた。注入量は、10μLであり、合計実行時間は、3.5分であった。質量分析は、Turbo IonSpray interface (Applied Biosystems(登録商標)、Foster City、CA)を使用して、多重反応モニタリングモードで、Sciex API4000(商標)トリプル四重極型質量分析計上で行った。
【0076】
結果
プロプラノロールタブレットの同時に測定した溶解及び透過の結果は、表1に列記され、それぞれ、
図4A及び
図4Bにおいてグラフ様式で例示される。
表1:プロプラノロールタブレットの溶解及び透過の結果
【0077】
ワルファリンタブレットの同時に測定した溶解及び透過の結果は、表2に列記され、それぞれ、
図5A及び
図5Bにおいてグラフ様式で例示される。
表2:ワルファリンタブレットの溶解及び透過の結果
【0078】
本明細書で開示されるデバイス、システム、及び方法は、いくつかの用途を有し、該用途としては、薬物−製品溶解と活性成分吸収と透過性との関係の理解を容易にすること、新しい分子的実体の製剤形態をスクリーニングするのに時間がかかり、倫理的な問題をもたらす、イヌの研究の数を低減させること、ジェネリック及びイノベーターまたは基準の薬物製品の間の生物学的同等性を示すために必要とされる臨床試験の数を低減させために、インビトロでの製剤形態を最適化すること、及び以前の研究で、最も一般的に使用されるモデルであるイヌがヒトにおいては食品の影響の不適当な予測手段であるので、US FDAの要件を満たすために、BCSクラス2(低溶解性、高透過性)薬物の口腔吸収に対する食品の影響を評価すること、が挙げられる。
【0079】
当業者は、数多くの変更及び修正を好ましい実施形態に対して行うことができ、そのような変更及び修正は、開示されるデバイス、システム、及び方法の趣旨から逸脱することなく、行うことができることを認識するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、デバイス、システム、及び方法の趣旨及び範囲の範囲内に入る、すべてのそのような均等のバリエーションを網羅することを意図する。
【0080】
この文書において引用または説明される各特許、特許出願、及び公報の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
実施形態
以下の実施形態のリストは、これまでの説明を置き換えるもの、または破棄するものではなく、補足することを意図するものである。
実施形態1.薬物の溶解、吸収、及び透過を評価するためのデバイスであって、該デバイスは、
チャンバであって、
底部、少なくとも1つの側壁、及び中空の内部空間を有し、側壁が開口部を有する、リザーバと、
少なくとも1つの側壁、遠位端部、近位端部、及び中空の内部空間を有する延長部であって、遠位端部及び近位端部が開口しており、近位端部が開口部において側壁に取り付けられる、延長部と、を備える、チャンバと、
少なくとも1つの側壁、開口した遠位端部、及び近位端部を有する透過性バリアであって、透過性バリアが細胞、組織、または人工膜を保持するように構成され、透過性バリアの近位端部が延長部の遠位端部に接触するように構成される、透過性バリアと、
少なくとも1つの側壁、遠位端部、近位端部、及び中空の内部空間を有する固定キャップであって、遠位端部及び近位端部が開口しており、固定キャップが透過性バリアまたは延長部に可逆的に取り付けるように構成され、
固定キャップ、透過性バリア、及びチャンバが流体連通している、固定キャップと、を備える。
実施形態2.リザーバの頂部が、開口している、実施形態1に記載のデバイス。
実施形態3.延長部が、リザーバに対して垂直である、実施形態1または2に記載のデバイス。
実施形態4.延長部の遠位端部と透過性バリアの近位端部との間に挿入するように構成されるシールを更に備える、実施形態1〜3のいずれか1つに記載のデバイス。
実施形態5.シールが、Oリングである、実施形態4に記載のデバイス。
実施形態6.透過性バリアが、細胞の層を保持するように構成される、実施形態1〜5のいずれか1つに記載のデバイス。
実施形態7.透過性バリアが、組織層を保持するように構成される、実施形態1〜6のいずれか1つに記載のデバイス。
実施形態8.透過性バリアが、人工膜層を保持するように構成される、実施形態1〜7のいずれか1つに記載のデバイス。
実施形態9.デバイスが、透過性媒体を受容するよう構成される、実施形態1〜8のいずれか1つに記載のデバイス。
実施形態10.薬物の溶解、吸収、及び透過を評価するためのシステムであって、該システムは、
実施形態1〜9のいずれか1つに記載の少なくとも1つのデバイスと、
溶解媒体を保持するように構成される溶解容器と、
溶解容器内の撹拌装置と、を備え、
本システムは、完全な薬物タブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態の、またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態の一部分の溶解速度、タブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態からの、またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態の一部分からの活性成分の吸収、及び/またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態からの、またはタブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態からの活性成分の膜透過性、を評価するように構成される。
実施形態11.少なくとも1つのデバイスが、リザーバ内に撹拌翼を有する、実施形態10に記載のシステム。
実施形態12.溶解容器内の撹拌装置が、撹拌翼である、実施形態10または11に記載のシステム。
実施形態13.溶解容器内の撹拌装置が、薬物テーブル、カプセル、または他の製剤形態を保持するように構成される、実施形態10〜12のいずれか1つに記載のシステム。
実施形態14.溶解容器が、約100mL〜約1,000mLの溶解媒体を保持するように構成される、実施形態10〜13のいずれか1つに記載のシステム。
実施形態15.少なくとも1つのデバイスが、約3mL〜約10mLの量の溶解媒体を保持するように構成される、実施形態10〜14のいずれか1つに記載のシステム。
実施形態16.蓋を更に備える、実施形態10〜15のいずれか1つに記載のシステム。
実施形態17.少なくとも1つのデバイスが、蓋に取り付けられるように構成される、実施形態16に記載のシステム。
実施形態18.薬物の溶解、吸収、及び/または透過を付随測定するための方法であって、該方法は、
完全な薬物タブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態を、または薬物タブレット、カプセル、若しくは他の製剤形態の一部分を実施形態10〜17のいずれか1つに記載のシステムの溶解容器に加えることであって、溶解容器が、溶解媒体を含み、デバイスが、透過性媒体を含み、透過性バリアが、細胞の層、組織の層、または人工膜の層を含む、加えることと、
溶解媒体を混合することと、
溶解容器、デバイス、または両方から試料を取り出すことと、
溶解容器、デバイス、または両方からの試料を解析することと、を含む。
実施形態19.薬物タブレット、カプセル、または他の製剤形態が、完全である、実施形態18に記載の方法。
実施形態20.該方法が、溶解及び透過を測定することを含む、実施形態18または19に記載の方法。
実施形態21.溶解容器からの試料中の活性成分の量が、溶解のレベルを示し、デバイスからの試料中の活性成分の量が、透過のレベルを示す、実施形態20に記載の方法。
実施形態22.該方法が、溶解及び吸収を測定することを含む、実施形態18または19に記載の方法。
実施形態23.溶解容器からの試料中の活性成分の量及びデバイスからの試料からの活性成分の量と、薬物内の活性成分の総量とを比較することを更に含む、実施形態22に記載の方法。
実施形態24.溶解容器からの試料中の活性成分の量が、溶解のレベルを示し、溶解容器からの試料中の及びデバイスからの試料中の活性成分の量と、薬物内の活性成分の総量とを比較した差が、吸収のレベルを示す、実施形態23に記載の方法。
実施形態25.システムが、2つ以上のデバイスを有し、第1のデバイスが、透過バリア内に細胞層、組織層、または人工膜層を有し、第2のデバイスが、透過バリア内に細胞層、組織層、または人工膜層を有さず、該方法が、第1のデバイスから試料及び第2のデバイスから試料を取り出すことと、第1のデバイスからの試料中の活性成分の量と、第2のデバイスからの試料からの活性成分の量とを比較することと、を含む、実施形態22に記載の方法。
実施形態26.溶解容器からの試料中の活性成分の量が、溶解のレベルを示し、第1のデバイスからの試料中の活性成分の量と、第2のデバイスからの試料からの活性成分の量との差が、吸収のレベルを示す、実施形態25に記載の方法。
実施形態27.透過性バリアから細胞層、組織層、または人工膜層を単離することと、細胞層、組織層、人工膜層内の活性成分の量を測定することと、を更に含む、実施形態18〜26のいずれか1つに記載の方法。