(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6386204
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】足場ユニット
(51)【国際特許分類】
E04G 3/24 20060101AFI20180827BHJP
E04G 5/04 20060101ALI20180827BHJP
E04G 7/02 20060101ALI20180827BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
E04G3/24 302D
E04G5/04 K
E04G7/02
H02G1/02
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-70876(P2018-70876)
(22)【出願日】2018年4月2日
【審査請求日】2018年4月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000226943
【氏名又は名称】日晴金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100117097
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 充浩
(72)【発明者】
【氏名】柴田 晴弘
【審査官】
兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】
実開平06−082322(JP,U)
【文献】
実公昭46−015166(JP,Y1)
【文献】
特開2017−093137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 1/00−7/34
H02G 1/00−1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形状の外周面を有する支柱に対し周方向から包囲した状態で止着する足場ユニットであって、
断面略コの字状に形成された足場ユニット本体を備え、
前記足場ユニット本体は、
前記支柱の外周面に押し当てた際にその支柱の外周面の略半円弧分に対し密着した状態で略半円弧の湾曲形状に塑性変形されるように前記足場ユニット本体の底部を長手方向へ延びる第1湾曲部を長手方向中間部に挟んだ状態で当該第1湾曲部の長手方向一側及び長手方向他側をそれぞれ長手方向へ延びる底部片と、
前記両底部片の短手方向一側辺よりそれぞれ略直角に折曲された一側折曲片と、
前記両底部片の短手方向他側辺より前記両一側折曲片と対向するようにそれぞれ略直角に折曲された他側折曲片と、
前記両一側折曲片及び前記両他側折曲片の第1湾曲部側端部にそれぞれ設けられ、前記第1湾曲部を塑性変形した際に残る前記支柱の外周面の残り略半円弧分のうちの略四分の一円弧分ずつに対し当該支柱の外周面に沿ってそれぞれ密着するように湾曲する第2湾曲部と、
を備えており、
前記両一側折曲片及び前記両他側折曲片は、前記支柱の半径と略一致する短手方向長さに設定され、
前記各第2湾曲部の近傍に位置する前記両底部片の第1湾曲部側端部には、前記第1湾曲部を塑性変形した際に前記両一側折曲片及び前記両他側折曲片の互いの反底部片側端同士を対峙させた状態で前記支柱の外周面に対し前記第1及び第2湾曲部を強固に密着させるように締め付ける締結部材を挿通する挿通孔が設けられていることを特徴とする足場ユニット。
【請求項2】
前記両一側折曲片は、前記第1湾曲部を塑性変形した際に、互いの反底部片側端を互いに向き合うように折曲させた一側折曲部を有し、かつその一側折曲部同士を対峙した状態で圧接させて足場としての機能を有している一方、
前記両他側折曲片は、前記第1湾曲部を塑性変形した際に、互いの反底部片側端を互いに向き合うように折曲させた他側折曲部を内側寄り部分に備えているとともに、その外側寄り部分において互いの反底部片側端同士を離間させた状態で前記両一側折曲片側へ折れ曲がるリップ部を備え、この両リップ部に対し脚部が係止された状態で前記両他側折曲片の短手方向へ延びる長尺材を支持する支持具の支持レールとしての機能を有している請求項1に記載の足場ユニット。
【請求項3】
前記両一側折曲片及び底部片の反第1湾曲部側端には、前記第1湾曲部を塑性変形した状態で短手方向に連続する切欠凹部が設けられている請求項1又は請求項2に記載の足場ユニット。
【請求項4】
前記第1湾曲部は、当該第1湾曲部を短手方向に複数の第1湾曲部分に分割するように長手方向へ延びるスリットを備えている請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の足場ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円形状の外周面を有する支柱に対し周方向から包囲した状態で止着する足場ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の足場ユニットとしては、電柱などの支柱に対し当接するベース部を踏み板部の基端に備えているとともに、所定角度内で上下揺動自在に枢着されて支柱に対し突張る突張り脚部を踏み板部の下部に備え、ベース部の一側に一端が取り付けられた帯状の巻回ベルトを支柱に回し、その支柱に回した巻回ベルトの他端をベース部の他側に設けられた巻取操作具により1ピッチずつ巻き取り操作することで、支柱に対し踏み板部を巻回ベルトの緊締により周方向から止着するようにしたものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2530101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来のものでは、巻回ベルト自体が可撓性を有するものであるため、高所で巻回ベルトに手を添えながら支柱に巻回ベルトを回す作業が非常に遣り難い上、支柱に回した巻回ベルトの他端を巻取操作具に対し巻き取り可能に係合させる作業も非常に煩わしく、足場ユニットを支柱に対し止着する際の作業効率が著しく悪いものとなる。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、支柱に対し周方向から止着する作業が簡単かつ容易に行えるようにして止着する際の作業効率の向上を図ることができる足場ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明では、円形状の外周面を有する支柱に対し周方向から包囲した状態で止着する足場ユニットを前提とし、断面略コの字状に形成された足場ユニット本体を備える。更に、前記足場ユニット本体に、前記支柱の外周面に押し当てた際にその支柱の外周面の略半円弧分に対し密着した状態で略半円弧の湾曲形状
に塑性変形されるように前記足場ユニット本体の底部を長手方向へ延びる第1湾曲部を長手方向中間部に挟んだ状態で当該第1湾曲部の長手方向一側及び長手方向他側をそれぞれ長手方向へ延びる底部片と、前記両底部片の短手方向一側辺よりそれぞれ略直角に折曲された一側折曲片と、前記両底部片の短手方向他側辺より前記両一側折曲片と対向するようにそれぞれ略直角に折曲された他側折曲片と、前記両一側折曲片及び前記両他側折曲片の第1湾曲部側端部にそれぞれ設けられ、前記第1湾曲部を塑性変形した際に残る前記支柱の外周面の残り略半円弧分のうちの略四分の一円弧分ずつに対し当該支柱の外周面に沿ってそれぞれ密着するように湾曲する第2湾曲部と、を備える。そして、前記両一側折曲片及び前記両他側折曲片を、前記支柱の半径と略一致する短手方向長さに設定し、前記各第2湾曲部の近傍に位置する前記両底部片の第1湾曲部側端部に、前記第1湾曲部を塑性変形した際に前記両一側折曲片及び前記両他側折曲片の互いの反底部片側端同士を対峙させた状態で前記支柱の外周面に対し前記第1及び第2湾曲部を強固に密着させるように締め付ける締結部材を挿通する挿通孔を設けることを特徴としている。
【0007】
また、前記両一側折曲片は、前記第1湾曲部を塑性変形した際に、互いの反底部片側端を互いに向き合うように折曲させた一側折曲部を備え、かつその一側折曲部同士を対峙した状態で圧接させて足場としての機能を有している一方、前記両他側折曲片は、前記第1湾曲部を塑性変形した際に、互いの反底部片側端を互いに向き合うように折曲させた他側折曲部を内側寄り部分に備えているとともに、外側寄り部分において互いの反底部片側端同士を離間させた状態で前記両一側折曲片側へ折れ曲がるリップ部を備え、この両リップ部に対し脚部が係止された状態で前記両他側折曲片の短手方向へ延びる長尺材を支持する支持具の支持レールとしての機能を有していてもよい。
【0008】
また、前記両一側折曲片及び底部片の反第1湾曲部側端に、前記第1湾曲部を塑性変形した状態で短手方向に連続する切欠凹部を設けていてもよい。
【0009】
更に、前記第1湾曲部に、当該第1湾曲部を短手方向に複数の第1湾曲部分に分割するように長手方向へ延びるスリットを設けていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
以上、要するに、支柱の外周面の略半円弧分に対し密着するように足場ユニット本体の底部片の長手方向中間部の第1湾曲部を支柱の外周面に押し当てた際に略半円弧の湾曲形状
に塑性変形しておくことで、可撓性を有する巻回ベルトに高所で手を添えながら支柱に回す作業が不要となる。その上、支柱の半径と略一致する短手方向長さの両一側折曲片及び両他側折曲片の反底部片側同士を対峙させた状態で両底部片の第1湾曲部側端部の挿通孔に挿通した締結部材により締め付ければ、第1湾曲部並びに両一側折曲片及び両他側折曲片の第2湾曲部同士がそれぞれ強固に密着するので、巻回ベルトの他端を巻取操作具に対し巻き取り可能に係合させる作業も不要となる。これにより、支柱に対し足場ユニットを周方向から止着する作業が簡単かつ容易に行えることになり、足場ユニットを支柱に対し止着する際の作業効率の向上を図ることができる。
【0011】
また、両一側折曲片にその互いの反底部片側端の一側折曲部同士及び両他側折曲片の反底部片側端の内側寄り部分の他側折曲部同士を対峙させた状態で圧接させて足場としての機能を備える一方、両他側折曲片の外側寄り部分にその互いの反底部片側端同士を離間させた状態で両一側折曲片側へ折れ曲がるリップ部に対し脚部が係止された状態で長尺材を支持する支持具の支持レールとしての機能を備えることで、配管やダクトなどの長尺材を支持する支持具の支持レールとしても足場ユニットを併用でき、実施する上で非常に有利なものとなる。
【0012】
また、第1湾曲部を塑性変形した状態で短手方向に連続する切欠凹部を両一側折曲片及び底部片の反第1湾曲部側端に設けることで、足場として用いた足場ユニットの切欠凹部にペンキなどの缶材や作業道具などの持ち手を引っ掛けておくことも可能となり、作業効率の向上に貢献することもできる。
【0013】
更に、第1湾曲部に当該第1湾曲部を短手方向に複数の第1湾曲部分に分割するように長手方向へ延びるスリットを設けることで、スリットにより分割された複数の第1湾曲部分が個々に略半円弧状に湾曲変形して支柱の外周面に沿って緊密に密着し、支柱の外周面に対する各第1湾曲部分の密着度がより一層高められることになる。これにより、支柱に対し足場ユニットを止着する作業がより簡単かつ容易に行えることになり、足場ユニットを支柱に対し止着する際の作業効率の向上をさらに図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係る足場ユニットを足場として利用する場合の第1湾曲部を塑性変形する前の状態での足場ユニット本体の斜視図及び第1湾曲部を塑性変形して支柱に対し止着した状態での足場ユニット本体の斜視図である。
【
図2】
図1の足場ユニット本体を金属板から切り抜いて第1湾曲部を塑性変形する前の状態を示す正面図である。
【
図7】
図2の第1湾曲部を塑性変形した状態を示す足場ユニット本体の正面図である。
【
図10】
図7の足場ユニット本体の右側面図である。
【
図11】
図7の足場ユニット本体の左側面図である。
【
図12】
図1の足場ユニットを支持具の支持レールとして利用する場合の第1湾曲部を塑性変形して支柱に対し止着する状態を示す斜視図である。
【
図13】
図12の第1湾曲部を塑性変形する前の状態を示す足場ユニット本体の斜視図及び第1湾曲部を塑性変形して支柱に対し止着する状態を示す足場ユニット本体の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る足場ユニットを図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明の実施の形態に係る足場ユニットを足場として利用する場合の第1湾曲部を塑性変形する前の状態での足場ユニット本体の斜視図及び第1湾曲部を塑性変形して支柱に対し止着した状態での足場ユニット本体の斜視図をそれぞれ示している。この
図1において、符号1で示す足場ユニットは、円形状の外周面を有する支柱Sに対し周方向から包囲した状態で止着するものであって、図示しない一枚の金属板より切り抜いた切り抜き片を断面略コの字状に折曲して形成された足場ユニット本体10を備えている。この場合、金属板としては、板状の状態のままであれば、湾曲する外周面を有する対象物(支柱S)に対し押し当てた際に当該対象物の外周面に則して容易に湾曲形状に塑性変形するような材質のものが適用されている。
【0017】
図2は
図1の足場ユニット本体10を金属板から切り抜いて第1湾曲部を塑性変形する前の状態を示す正面図、
図3は
図2の足場ユニット本体10の背面図をそれぞれ示している。また、
図4は
図2の足場ユニット本体10の平面図、
図5は
図2の足場ユニット本体10の底面図、
図6は
図2の足場ユニット本体10の右側面図をそれぞれ示している。
【0018】
図2〜
図6にも示すように、足場ユニット本体10は、当該足場ユニット本体10の底部を長手方向(
図2〜
図5では左右方向)へ延びる第1湾曲部11と、この第1湾曲部11を長手方向中間部に挟んだ状態で当該第1湾曲部11の長手方向一側及び長手方向他側をそれぞれ長手方向へ延びる底部片12,12とを備えている。第1湾曲部11は、円形状の外周面を呈する支柱S(後述する対象物)に対し押し当てた際に当該支柱Sの外周面に則して容易に湾曲形状に塑性変形し易い平板状に形成され、支柱Sの外周面に押し当てた際に当該支柱Sの外周面の略半円弧分に対し密着するように半円弧の湾曲形状
に塑性変形される。
【0019】
また、足場ユニット本体10は、両底部片12,12の短手方向一側辺(
図2〜
図4及び
図6では下側辺)よりそれぞれ略直角に折曲された一側折曲片13,13を備えている。更に、足場ユニット本体10は、両底部片12の短手方向他側辺(
図2〜
図4及び
図6では上側辺)よりそれぞれ両一側折曲片13,13と対向するように略直角に折曲された他側折曲片14,14を備えている。また、足場ユニット本体10は、両一側折曲片13,13及び両他側折曲片14,14の第1湾曲部11側端(内側端)にそれぞれ設けられた第2湾曲部15,15を備えている。
【0020】
各第2湾曲部15は、第1湾曲部11が支柱Sに密着した際に残る支柱Sの外周面の残り略半円弧分のうちの半分となる略四分の一円弧分ずつに対し当該支柱Sの外周面に沿ってそれぞれ密着するように略四分の一円弧状に湾曲している。また、各第2湾曲部15は、第1湾曲部11が支柱Sに密着した際に残る支柱Sの外周面の残り略半円弧分のうちの略四分の一円弧分よりも若干小さい円弧分に設定されている。この場合、支柱Sの外周面に対し密着する第1湾曲部11及び各第2湾曲部15は、支柱Sの外周面の曲率と同じ曲率に形成されている。
【0021】
図7は
図2の第1湾曲部11を塑性変形した状態を示す足場ユニット本体10の正面図、
図8は
図7の足場ユニット本体10の平面図をそれぞれ示している。また、
図9は
図7の足場ユニット本体10の底面図、
図10は
図7の足場ユニット本体10の右側面図、
図11は
図7の足場ユニット本体10の左側面図をそれぞれ示している。更に、
図12は
図1の足場ユニット1を支持具の支持レールとして利用する場合の第1湾曲部11を塑性変形して支柱Sに対し止着する状態を示す斜視図、
図13は
図12の第1湾曲部11を塑性変形する前の状態を示す足場ユニット本体10の斜視図及び第1湾曲部11を塑性変形して支柱Sに対し止着する状態を示す足場ユニット本体10の分解斜視図をそれぞれ示している。
【0022】
図7〜
図11にも示すように、両一側折曲片13,13は、支柱Sの半径と略一致する短手方向長さに設定されている。一方、両他側折曲片14,14は、各第2湾曲部15の近傍に位置する内側寄り部分16,16においてのみ支柱Sの半径と略一致する短手方向長さに設定されている。そして、
図12及び
図13に示すように、両他側折曲片14,14の内側寄り部分16に対応する両底部片12,12の第1湾曲部11側端部には、締結部材としてのボルト部材21を挿通する略矩形状の挿通孔22,22がそれぞれ設けられている。このボルト部材21は、支柱Sの外周面に対し第1湾曲部11及び各第2湾曲部15を強固に密着させるように、両一側折曲片13,13及び両他側折曲片14,14の内側寄り部分16の互いの反底部片12側端同士の間を、互いに対峙させた状態でワッシャ23及びスプリングワッシャ24を介してナット部材25により締め付けている。
【0023】
両一側折曲片13,13は、第1湾曲部11を塑性変形した際に互いの反底部片12側端を互いに向き合うように折曲する一側折曲部31をそれぞれ備えている。一方、両他側折曲片14,14の内側寄り部分16も、第1湾曲部11を塑性変形した際に互いの反底部片12側端を互いに向き合うように折曲する他側折曲部32をそれぞれ備えている。そして、両一側折曲片13,13の一側折曲部31及び両他側折曲片14,14の内側寄り部分16の他側折曲部32は、互いの反底部片12側端同士を対峙させた際のズレをそれぞれの折曲部31,32同士の当接により確実に防止して円滑に圧接され、両一側折曲片13,13による足場としての機能を有している。
【0024】
一方、両他側折曲片14,14の内側寄り部分16よりも外側の外側寄り部分17は、支柱Sの半径よりも小さい短手方向長さに設定され、互いの反底部片12側端同士を離間させた状態で両一側折曲片13,13の一側折曲部31側へ向くようにそれぞれ略60°程度の鈍角に折れ曲がるリップ部33,33を備えている。この両リップ部33,33には、両他側折曲片14,14の短手方向へ延びる長尺材としての配管Hを支持する支持具4の脚部41,41,…が係止されている。
【0025】
図14は
図12の支持具4の正面図、
図15は
図14の支持具4の底面図、
図16は
図14の支持具4の右側面図をそれぞれ示している。
図14〜
図16に示すように、支持具4は、金属板により成形され、略長方形状の基体42を備えている。また、各脚部41は、基体42の左右両側の前端(
図16では右端)及び後端(
図16では左端)よりそれぞれ略90°屈曲されて延設され、それぞれの延設端に略30°の傾斜角度で外向きに湾曲する湾曲片43が設けられている。
【0026】
この各湾曲片43は、支持具4を両他側折曲片14,14の外側寄り部分17に取り付ける際に各脚部41と共に内向きに弾性変形し、各リップ部33を乗り越えた際に当該各リップ部33に対し係止される。また、各脚部41のうちの前後の脚部41,41は略半円弧状のアーチ44によってそれぞれ連結され、左右のアーチ44,44に配管Hを包持した状態でそれぞれ各湾曲片43が各リップ部33に係止されることで配管Hを支持している。このとき、両他側折曲片14,14の外側寄り部分17は、配管Hを支持する支持具4の支持レールとしての機能を有している。
【0027】
また、基体42の中央には、下向きにねじの山数を確保するバーリング加工が施されたねじ孔部45が設けられている。このねじ孔部45にはねじ46が螺着され、この螺着されるねじ46の先端が、アーチ44,44に包持された配管Hを押圧して基体42を配管Hに対し相対的に離間させることで、各リップ部33に対する各脚部41の湾曲片43の係止をより強固にして足場ユニット本体10に対する配管Hの支持強度が高められるようにしている。
【0028】
更に、両一側折曲片13,13の反第1湾曲部11側端には、第1湾曲部11を塑性変形した状態で短手方向から見て略U字状に切り欠いた切欠凹部51,51が短手方向へ連続して設けられている。この切欠凹部51に対応する両一側折曲片13,13の一側折曲部31も切り欠かれている。
【0029】
また、第1湾曲部11の短手方向中央部には、当該第1湾曲部11を短手方向に2つの第1湾曲部分111,111に分割するように長手方向へ延びるスリット47が設けられている。このスリット47は、第1湾曲部11を短手方向に略三等分するような短手方向の寸法に設定されている。
【0030】
したがって、本実施の形態では、断面略コの字状に折曲して形成した足場ユニット本体10は、支柱Sの外周面の略半円弧分に対し密着するように底部片12の長手方向中間部の第1湾曲部11が支柱Sの外周面に押し当てた状態で略半円弧の湾曲形状に予め塑性変形されているので、可撓性を有する巻回ベルトに高所で手を添えながら支柱Sに回す作業が不要となる。その上、支柱Sの半径と略一致する短手方向長さの両一側折曲片13,13の一側折曲部31,31同士及び両他側折曲片14,14の内側寄り部分16の他側折曲部32,32同士を対峙させた状態で底部片12,12の第1湾曲部11側端部の挿通孔22に挿通したボルト部材21をワッシャ23及びスプリングワッシャ24を介してナット部材25により締め付ければ、第1湾曲部11並びに両一側折曲片13,13及び両他側折曲片14,14の第2湾曲部15同士がそれぞれ強固に密着するので、巻回ベルトの他端を巻取操作具に対し巻き取り可能に係合させる作業も不要となる。これにより、支柱Sに対し足場ユニット1を周方向から止着する作業が簡単かつ容易に行えることになり、足場ユニット1を支柱Sに対し止着する際の作業効率の向上を図ることができる。
【0031】
しかも、一枚の金属板より切り抜いた切り抜き片を断面略コの字状に折曲して足場ユニット本体10を形成していることにより、足場ユニット本体10を切り抜き片単体により構成して足場ユニット1の構造の簡素化及び低廉化に伴う生産性の向上を図ることができる。
【0032】
また、足場ユニット1は、両一側折曲片13,13の互いの反底部片12側端の一側折曲部31,31同士及び両他側折曲片14,14の内側寄り部分16の他側折曲部32,32同士をそれぞれ対峙させた状態でボルト部材21及びナット部材25による締め付けにより圧接させて足場としての機能を両一側折曲片13,13に備えている。一方、両他側折曲片14,14の外側寄り部分17の互いの反底部片12側端同士を離間させた状態で一側折曲部31側へ向くようにそれぞれ略60°程度の鈍角に折れ曲がるリップ部33,33を両他側折曲片14,14に備えている。これにより、足場として用いた足場ユニット1を上下反転させると、両他側折曲片14,14の短手方向へ延びる配管Hなどを支持する支持具4の支持レールとしても併用でき、実施する上で非常に有利なものとなる。
【0033】
また、第1湾曲部11を塑性変形した状態で短手方向に連続する切欠凹部51が両一側折曲片13,13及び底部片12の反第1湾曲部11側端に設けられているので、足場として用いた足場ユニット1の切欠凹部51にペンキなどの缶材や作業道具などの持ち手を引っ掛けておくことも可能となり、作業効率の向上に貢献することもできる。
【0034】
更に、第1湾曲部11に当該第1湾曲部11を短手方向に2つの第1湾曲部分111,111に分割するように長手方向へ延びるスリット47が設けられているので、スリット47により分割された2つの第1湾曲部分111,111が個々に略半円弧状に湾曲変形して支柱Sの外周面に沿って緊密に密着し、支柱Sの外周面に対する各第1湾曲部分111の密着度がより一層高められることになる。これにより、支柱Sに対し足場ユニット1を止着する作業がより簡単かつ容易に行えることになり、足場ユニット1を支柱Sに対し止着する際の作業効率の向上をさらに図ることができる。
【0035】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含している。例えば、前記実施の形態では、一枚の金属板より切り抜いた切り抜き片を断面略コの字状に折曲して足場ユニット本体10を形成したが、塑性変形可能な金属板や樹脂板により底部片のうちの少なくとも第1湾曲部が成形され、足場ユニット本体の残る部分が塑性変形不能でかつ剛性強度を備えた金属材や樹脂材などにより成形されていてもよい。
【0036】
また、前記実施の形態では、第1湾曲部11を短手方向に2つの第1湾曲部分111,111に分割するスリット47を設けたが、支柱の外周面の略半円弧分に対し密着して塑性変形し易い材質であれば、スリットは必ずしも必要ではなく、複数の第1湾曲部分に分割されない単一の第1湾曲部であってもよい。これとは逆に、支柱の外周面の略半円弧分に対し密着して塑性変形し難い材質であれば、第1湾曲部を短手方向に3つ以上の第1湾曲部分に分割する2つ以上のスリットが設けられていてもよい。
【0037】
また、本実施の形態では、長尺材として配管Hを適用したが、両他側折曲片の短手方向へ延びる長尺材であればなんでもよく、ダクトやケーブルなどであってもよい。
【0038】
また、本実施の形態では、各第2湾曲部15を支柱Sの外周面の略四分の一円弧分ずつにそれぞれ密着するように略四分の一円弧状に湾曲させたが、支柱の外周面の略四分の一円弧分ずつに対しそれぞれ断続的に密着するように歯状の突起部の先端を略四分の一円弧の湾曲状に並べた第2湾曲部であってもよい。
【0039】
また、本実施の形態では、足場として用いた足場ユニット1を上下反転させて支持具4の支持レールとして用いたが、足場として用いた足場ユニットを上下反転させずにそのまま下面側に位置する両他側折曲片のリップ部を支持具の支持レールとして用いてもよい。
【0040】
更に、本実施の形態では、比較的小径な支柱Sに対し止着される足場ユニット1について述べたが、支柱の径に応じて第1湾曲部の長手方向の長さ及び第2湾曲部の径が設定されていればよく、どのような径の支柱に対しても適用可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0041】
1 足場ユニット
10 足場ユニット本体
11 第1湾曲部
111 第1湾曲部分
12 底部片
13 一側折曲片
14 他側折曲片
15 第2湾曲部
17 外側寄り部分
21 ボルト部材(締結部材)
22 挿通孔
31 一側折曲部(一側折曲片の反底部片側端)
32 他側折曲部(他側折曲片の反底部片側端)
33 リップ部
4 支持具
41 脚部
47 スリット
51 切欠凹部
H 配管(長尺材)
S 支柱
【要約】
【課題】支柱に対し止着する作業が簡単かつ容易に行えるようにして作業効率の向上を図ることができる足場ユニットを提供する。
【解決手段】円形状の支柱Sに対し周方向から包囲して止着される足場ユニット1に、一枚の金属板より切り抜いた切り抜き片を断面略コの字状に折曲して形成した足場ユニット本体10を備える。足場ユニット本体10に、支柱Sの外周面に押し当てた際に略半円弧の湾曲形状
に塑性変形される第1湾曲部11を底部片12,12の中央に備え、各底部片12の一側折曲片13及び他側折曲片14の第2湾曲部15を第1湾曲部11と共に支柱Sに対しそれぞれ密着させるように、支柱Sの半径と略一致する短手方向長さに設定した両一側折曲片13及び両他側折曲片14の外側寄り部分17の互いの一側及び他側折曲部31,32同士を対峙させた状態で両底部片12の第1湾曲部11側端部同士の間をボルト部材21により締め付ける。
【選択図】
図1