特許第6386206号(P6386206)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6386206ポリオレフィン系不織布用処理剤、ポリオレフィン系合成繊維、及びポリオレフィン系合成繊維の処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6386206
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】ポリオレフィン系不織布用処理剤、ポリオレフィン系合成繊維、及びポリオレフィン系合成繊維の処理方法
(51)【国際特許分類】
   D06M 13/224 20060101AFI20180827BHJP
   D06M 15/53 20060101ALI20180827BHJP
   D06M 13/292 20060101ALI20180827BHJP
   D06M 101/20 20060101ALN20180827BHJP
【FI】
   D06M13/224
   D06M15/53
   D06M13/292
   D06M101:20
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-114767(P2018-114767)
(22)【出願日】2018年6月15日
【審査請求日】2018年6月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000210654
【氏名又は名称】竹本油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】金子 一輝
(72)【発明者】
【氏名】武田 佳典
(72)【発明者】
【氏名】森田 昌武
(72)【発明者】
【氏名】小室 利広
【審査官】 斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/068671(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/068063(WO,A1)
【文献】 国際公開第2017/199702(WO,A1)
【文献】 特開2017−8460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M 13/00−15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系合成繊維処理剤中において、下記のエーテルエステル化合物、下記のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及び下記の長鎖アルキルリン酸エステル塩の含有割合の合計を100質量%とすると、前記エーテルエステル化合物を30〜98質量%、前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを1〜50質量%、及び前記長鎖アルキルリン酸エステル塩を1〜50質量%の割合で含有することを特徴とするポリオレフィン系不織布用処理剤。
エーテルエステル化合物:多価アルコールと一価脂肪酸Xとのエステル化合物1モルに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを1〜500モル付加させた化合物と、炭素数6〜26の一価脂肪酸Yとを縮合して得られる化合物。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル:炭素数2〜18の1〜4価アルコール1モルに対し、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも一種を合計で30〜300モル付加させた化合物。
長鎖アルキルリン酸エステル塩:炭素数8〜22のアルキル基を分子中に有する長鎖アルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩、及び炭素数2〜4のオキシアルキレン基から構成されるポリオキシアルキレン基と炭素数8〜12のアルキル基とを分子中に有する長鎖アルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一種。
【請求項2】
前記エーテルエステル化合物が、炭素数2〜6の2〜4価アルコールと炭素数10〜26の一価脂肪酸Xとのエステル化合物1モルに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを1〜200モル付加させた化合物と、炭素数6〜26の一価脂肪酸Yとを縮合して得られる化合物である請求項1に記載のポリオレフィン系不織布用処理剤。
【請求項3】
前記エーテルエステル化合物が、炭素数2〜6の2〜4価アルコールと炭素数10〜26の一価脂肪酸Xとのエステル化合物1モルに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを10〜100モル付加させた化合物と、炭素数6〜26の一価脂肪酸Yとを縮合して得られる化合物である請求項1又は2に記載のポリオレフィン系不織布用処理剤。
【請求項4】
前記エーテルエステル化合物が、炭素数2〜6の2〜4価アルコールと炭素数10〜26の一価脂肪酸Xとのエステル化合物1モルに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを10〜100モル付加させた化合物を1モルと、炭素数6〜26の一価脂肪酸Yとを2〜3モルの割合で縮合して得られる化合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリオレフィン系不織布用処理剤。
【請求項5】
前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが、炭素数2〜18の1〜4価アルコール1モルに対し、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを合計50〜150モル付加させた化合物であり、分子中のエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの付加モル比率の合計を100モル%とすると、エチレンオキサイドを0モル%超且つ50モル%以下、プロピレンオキサイドを50モル%以上且つ100モル%未満である請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリオレフィン系不織布用処理剤。
【請求項6】
前記長鎖アルキルリン酸エステル塩が、炭素数8〜12のアルキル基を分子中に有する長鎖アルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩、及び1〜10個の炭素数2〜3のオキシアルキレン基から構成されるポリオキシアルキレン基と炭素数8〜12のアルキル基とを分子中に有する長鎖アルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリオレフィン系不織布用処理剤。
【請求項7】
前記エーテルエステル化合物、前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及び前記長鎖アルキルリン酸エステル塩の含有割合の合計を100質量%とすると、前記エーテル
エステル化合物を40〜85質量%、前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを5〜30質量%、及び前記長鎖アルキルリン酸エステル塩を3〜30質量%の割合で含有する請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリオレフィン系不織布用処理剤。
【請求項8】
更に、炭素数2〜7の直鎖又は分岐のアルキル基を分子中に有する短鎖アルキルリン酸エステル塩、スルホネート塩、及びサルフェート塩から選ばれる少なくとも一種のアニオン界面活性剤を含有する請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリオレフィン系不織布用処理剤。
【請求項9】
前記エーテルエステル化合物、前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、前記長鎖アルキルリン酸エステル塩、及び前記アニオン界面活性剤の含有割合の合計を100質量%とすると、前記エーテルエステル化合物を30〜93質量%、前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを1〜50質量%、前記長鎖アルキルリン酸エステル塩を1〜50質量%、及び前記アニオン界面活性剤を5〜30質量%の割合で含有する請求項8に記載のポリオレフィン系不織布用処理剤。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリオレフィン系不織布用処理剤が付着していることを特徴とするポリオレフィン系合成繊維。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリオレフィン系不織布用処理剤を、ポリオレフィン系合成繊維に対し、ポリオレフィン系合成繊維処理剤として0.05〜3質量%の割合となるように付着させることを特徴とするポリオレフィン系合成繊維の処理方法。
【請求項12】
前記ポリオレフィン系不織布用処理剤を水で希釈して濃度0.5〜20質量%の水性液となし、該水性液を前記ポリオレフィン系合成繊維に対し、ポリオレフィン系合成繊維処理剤として0.1〜1質量%の割合となるよう付着させる請求項11に記載のポリオレフィン系合成繊維の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン系合成繊維に優れた初期親水性及び耐久親水性、特に長期保管後の初期親水性及び耐久親水性を付与でき、かつ乳化安定性及び不織布浸透性が良好であるポリオレフィン系不織布用処理剤に関する。さらには、かかる処理剤が付着したポリオレフィン系合成繊維及びかかる処理剤をポリオレフィン系合成繊維に付着させるポリオレフィン系合成繊維の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、紙おむつ等の衛生製品として、体液を吸収するために高吸収性高分子の表面にポリオレフィン系の合成繊維で被覆した製品が知られている。高吸収性高分子の表面を被覆する合成繊維は、特に体液をすばやく吸収する初期親水性、繰り返し体液をすばやく吸収する耐久親水性が要求される。ポリオレフィン系合成繊維において、上記特性を付与する観点から、ポリオレフィン系合成繊維の表面に界面活性剤等を含有するポリオレフィン系不織布用処理剤を付与する処理が行われることがある。
【0003】
従来、特許文献1に開示されるポリオレフィン系不織布用処理剤が知られている。特許文献1は、ポリオレフィン系不織布用処理剤として、水溶性高分子と、アルキルホスフェート塩と、ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステルとジカルボン酸との縮合物の少なくとも1つの水酸基を脂肪酸で封鎖したエステル等を含む構成について開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−31407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のポリオレフィン系不織布用処理剤では、この処理剤により親水化処理したポリオレフィン系繊維に求められる初期親水性及び耐久親水性、さらには乳化安定性及び不織布浸透性という各機能の両立を十分に図ることができなかった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ポリオレフィン系繊維に優れた初期親水性及び耐久親水性、特に長期保管後の初期親水性及び耐久親水性を付与でき、かつ乳化安定性及び不織布浸透性が良好であるポリオレフィン系不織布用処理剤、ポリオレフィン系合成繊維、及びポリオレフィン系合成繊維の処理方法を提供する処にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、特定のエーテルエステル化合物、特定のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及び特定の長鎖アルキルリン酸エステル塩のそれぞれを特定の割合で含有して成るポリオレフィン系不織布用処理剤が正しく好適であることを見出した。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様では、ポリオレフィン系合成繊維処理剤中において、下記のエーテルエステル化合物、下記のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及び下記の長鎖アルキルリン酸エステル塩の含有割合の合計を100質量%とすると、前記エーテルエステル化合物を30〜98質量%、前記ポリオキシアルキレンアルキル
エーテルを1〜50質量%、及び前記長鎖アルキルリン酸エステル塩を1〜50質量%の割合で含有することを特徴とするポリオレフィン系不織布用処理剤が提供される。
【0009】
エーテルエステル化合物は、多価アルコールと一価脂肪酸Xとのエステル化合物1モルに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを1〜500モル付加させた化合物と、炭素数6〜26の一価脂肪酸Yとを縮合して得られる化合物である。
【0010】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、炭素数2〜18の1〜4価アルコール1モルに対し、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも一種を合計で30〜300モル付加させた化合物である。
【0011】
長鎖アルキルリン酸エステル塩は、炭素数8〜22のアルキル基を分子中に有する長鎖アルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩、及び炭素数2〜4のオキシアルキレン基から構成されるポリオキシアルキレン基と炭素数8〜12のアルキル基とを分子中に有する長鎖アルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一種である。
【0012】
前記エーテルエステル化合物が、炭素数2〜6の2〜4価アルコールと炭素数10〜26の一価脂肪酸Xとのエステル化合物1モルに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを1〜200モル付加させた化合物と、炭素数6〜26の一価脂肪酸Yとを縮合して得られる化合物であることが好ましい。
【0013】
前記エーテルエステル化合物が、炭素数2〜6の2〜4価アルコールと炭素数10〜26の一価脂肪酸Xとのエステル化合物1モルに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを10〜100モル付加させた化合物と、炭素数6〜26の一価脂肪酸Yとを縮合して得られる化合物であることが好ましい。
【0014】
前記エーテルエステル化合物が、炭素数2〜6の2〜4価アルコールと炭素数10〜26の一価脂肪酸Xとのエステル化合物1モルに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを10〜100モル付加させた化合物を1モルと、炭素数6〜26の一価脂肪酸Yとを2〜3モルの割合で縮合して得られる化合物であることが好ましい。
【0015】
前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが、炭素数2〜18の1〜4価アルコール1モルに対し、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを合計50〜150モル付加させた化合物であり、分子中のエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの付加モル比率の合計を100モル%とすると、エチレンオキサイドを0モル%超且つ50モル%以下、プロピレンオキサイドを50モル%以上且つ100モル%未満であることが好ましい。
【0016】
前記長鎖アルキルリン酸エステル塩が、炭素数8〜12のアルキル基を分子中に有する長鎖アルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩、及び1〜10個の炭素数2〜3のオキシアルキレン基から構成されるポリオキシアルキレン基と炭素数8〜12のアルキル基とを分子中に有する長鎖アルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
【0017】
前記エーテルエステル化合物、前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及び前記長鎖アルキルリン酸エステル塩の含有割合の合計を100質量%とすると、前記エーテルエステル化合物を40〜85質量%、前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを5〜30質量%、及び前記長鎖アルキルリン酸エステル塩を3〜30質量%の割合で含有することが好ましい。
【0018】
更に、炭素数2〜7の直鎖又は分岐のアルキル基を分子中に有する短鎖アルキルリン酸エステル塩、スルホネート塩、及びサルフェート塩から選ばれる少なくとも一種のアニオン界面活性剤を含有することが好ましい。
【0019】
前記エーテルエステル化合物、前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、前記長鎖アルキルリン酸エステル塩、及び前記アニオン界面活性剤の含有割合の合計を100質量%とすると、前記エーテルエステル化合物を30〜93質量%、前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを1〜50質量%、前記長鎖アルキルリン酸エステル塩を1〜50質量%、及び前記アニオン界面活性剤を5〜30質量%の割合で含有することが好ましい。
【0020】
また、本発明の別の態様は、前記ポリオレフィン系不織布用処理剤が付着していることを特徴とするポリオレフィン系合成繊維が提供される。
【0021】
また、本発明の別の態様は、前記ポリオレフィン系不織布用処理剤を、ポリオレフィン系合成繊維に対し、ポリオレフィン系合成繊維処理剤として0.05〜3質量%の割合となるように付着させることを特徴とするポリオレフィン系合成繊維の処理方法が提供される。
【0022】
前記ポリオレフィン系不織布用処理剤を水で希釈して濃度0.5〜20質量%の水性液となし、該水性液を前記ポリオレフィン系合成繊維に対し、ポリオレフィン系合成繊維処理剤として0.1〜1質量%の割合となるよう付着させることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、ポリオレフィン系繊維に優れた初期親水性及び耐久親水性、特に長期保管後の初期親水性及び耐久親水性を付与でき、かつ乳化安定性及び不織布浸透性を良好にできる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
先ず、本発明に係るポリオレフィン系不織布用処理剤(以下、処理剤という)を具体化した第1実施形態について説明する。本実施形態の処理剤は、下記のエーテルエステル化合物、下記のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及び下記の長鎖アルキルリン酸エステル塩を所定の割合で含有する。かかる各成分の含有割合の合計を100質量%とすると、前記エーテルエステル化合物を30〜98質量%、前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを1〜50質量%、及び前記長鎖アルキルリン酸エステル塩を1〜50質量%の割合で含有して成るものである。
【0025】
エーテルエステル化合物は、多価アルコールと一価脂肪酸Xとのエステル化合物1モルに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを1〜500モル付加させた化合物と、炭素数6〜26の一価脂肪酸Yとを縮合して得られる化合物である。これらのエーテルエステル化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0026】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、炭素数2〜18の1〜4価アルコール1モルに対し、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも一種を合計で30〜300モル付加させた化合物である。これらのポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0027】
長鎖アルキルリン酸エステル塩は、炭素数8〜22のアルキル基を分子中に有する長鎖アルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩、及び炭素数2〜4のオキシアルキレン基から構成されるポリオキシアルキレン基と炭素数8〜12のアルキル基とを分子中に有する長
鎖アルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一種である。これらの長鎖アルキルリン酸エステル塩は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0028】
本実施形態の処理剤に供するエーテルエステル化合物の具体例としては、例えばポリオキシエチレン(15モル:アルキレンオキサイドの付加モル数を示す。以下同じ)ポリオキシプロピレン(6モル)ヒマシ油トリラウレート、ソルビタンと12−ヒドロキシステアリン酸とのエステルのポリオキシエチレン(20モル)付加物とラウリン酸との縮合物、ポリオキシエチレン(28モル)硬化ヒマシ油トリオレート、ポリオキシエチレン(30モル)ポリオキシプロピレン(12モル)硬化ヒマシ油トリステアレート、グリセリンとリシノール酸とのエステルのポリオキシエチレン(13モル)付加物とラウリン酸との縮合物、ポリオキシエチレン(28モル)硬化ヒマシ油トリラウレート、エチレングリコールと12−ヒドロキシステアリン酸とのエステルのポリオキシエチレン(32モル)付加物とオレイン酸との縮合物等が挙げられる。
【0029】
また、本実施形態の処理剤に供するエーテルエステルを構成する多価アルコールの具体例としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、グリセリン、2−メチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、ソルビタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。
【0030】
本実施形態の処理剤に供するエーテルエステルを構成する一価脂肪酸Xの具体例としては、例えばオクタン酸、2−エチルヘキサン酸、デカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、イソトリデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、イソオクタデカン酸、ヒドロキシオクタデカン酸、オクタデセン酸、ヒドロキシオクタデセン酸、オクタデカジエン酸、オクタデカトリエン酸、ドコサン酸等が挙げられる。
【0031】
本実施形態の処理剤に供するエーテルエステルを構成する炭素数6〜26の一価脂肪酸Yの具体例としては、例えばヘキサン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、デカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、イソトリデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、イソオクタデカン酸、12−ヒドロキシオクタデカン酸、オクタデセン酸、オクタデカジエン酸、オクタデカトリエン酸、ドコサン酸、ヘキサコサン酸等が挙げられる。
【0032】
本実施形態の処理剤に供するポリオキシアルキレンアルキルエーテルの具体例としては、例えばプロピレングリコールのポリオキシエチレン(20モル)ポリオキシプロピレン(85モル)ランダム付加物、n−ブタノールのポリオキシエチレン(42モル)ポリオキシプロピレン(96モル)ブロック付加物、トリメチロールプロパンのポリオキシエチレン(18モル)ポリオキシプロピレン(74モル)ブロック付加物、イソドデシルアルコールのポリオキシエチレン(27モル)ポリオキシプロピレン(32モル)ブロック付加物、ソルビタンのポリオキシエチレン(26モル)ポリオキシプロピレン(80モル)ランダム付加物、ステアリルアルコールのポリオキシエチレン(32モル)ポリオキシプロピレン(57モル)ランダム付加物等が挙げられる。
【0033】
本実施形態の処理剤に供する長鎖アルキルリン酸エステル塩の具体例としては、例えばオクチルリン酸エステルアルカリ金属塩、イソオクチルリン酸エステルアルカリ金属塩、2−エチルヘキシルリン酸エステルアルカリ金属塩、デシルリン酸エステルアルカリ金属
塩、ドデシルリン酸エステルアルカリ金属塩、トリデシルリン酸エステルアルカリ金属塩、ミリスチルリン酸エステルアルカリ金属塩、セチルリン酸エステルアルカリ金属塩、ステアリルリン酸エステルアルカリ金属塩、エイコシルリン酸エステルアルカリ金属塩、ベヘニルリン酸エステルアルカリ金属塩、ポリオキシエチレン(20モル)オクチルエーテルリン酸エステルアルカリ金属塩、ポリオキシエチレン(3モル)イソオクチルエーテルリン酸エステルアルカリ金属塩、ポリオキシエチレン(3モル)ポリオキシプロピレン(6モル)−2−エチルヘキシルエーテルリン酸エステルアルカリ金属塩、ポリオキシエチレン(2モル)デシルエーテルリン酸エステルアルカリ金属塩、ポリオキシエチレン(2モル)ポリオキシプロピレン(6モル)デシルエーテルリン酸エステルアルカリ金属塩等が挙げられる。
【0034】
上述したアルカリ金属塩の具体例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
【0035】
これらのアルキルリン酸エステルアルカリ金属塩の具体例には、例えばモノエステル体の単独物、ジエステル体の単独物、モノエステル体とジエステル体との混合物が含まれる。また、ジエステル体には、同一のアルキル基を有するジエステル体(対称形のジエステル)と、異なるアルキル基を有するジエステル体(非対称形のジエステル)とがある。
【0036】
本実施形態の処理剤に供するエーテルエステル化合物が、炭素数2〜6の2〜4価アルコールと炭素数10〜26の一価脂肪酸Xとのエステル化合物1モルに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを1〜200モル付加させた化合物と、炭素数6〜26の一価脂肪酸Yとを縮合して得られる化合物であることが好ましい。炭素数2〜6の2〜4価アルコールと炭素数10〜26の一価脂肪酸Xとのエステル化合物1モルに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを10〜100モル付加させた化合物と、炭素数6〜26の一価脂肪酸Yとを縮合して得られる化合物であるとより好ましい。前記エーテルエステル化合物が、炭素数2〜6の2〜4価アルコールと炭素数10〜26の一価脂肪酸Xとのエステル化合物1モルに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを10〜100モル付加させた化合物を1モルと、炭素数6〜26の一価脂肪酸Yとを2〜3モルの割合で縮合して得られる化合物であるとさらに好ましい。かかる構成により、より優れた初期親水性及び耐久親水性を付与できる。特に長期保管後にも低下しにくい初期親水性及び耐久親水性を付与できる。
【0037】
本実施形態の処理剤に供するポリオキシアルキレンアルキルエーテルが、炭素数2〜18の1〜4価アルコール1モルに対し、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを合計50〜150モル付加させた化合物であり、分子中のエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの付加モル比率の合計を100モル%とすると、エチレンオキサイドを0モル%超50モル%以下、プロピレンオキサイドを50モル%以上100モル%未満である化合物であることが好ましい。かかる構成により、より優れた初期親水性及び耐久親水性を付与できる。特に長期保管後にも低下しにくい初期親水性及び耐久親水性を付与できる。
【0038】
本実施形態の処理剤に供する長鎖アルキルリン酸エステル塩が、炭素数8〜12のアルキル基を分子中に有する長鎖アルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩、及び1〜10個の炭素数2〜3のオキシアルキレン基から構成されるポリオキシアルキレン基と炭素数8〜12のアルキル基とを分子中に有する長鎖アルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。かかる構成により、より優れた初期親水性を付与できる。特に長期保管後にも低下しにくい初期親水性を付与できる。
【0039】
本実施形態の処理剤における、前記エーテルエステル化合物、前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及び前記長鎖アルキルリン酸エステル塩の含有割合について、前記
エーテルエステル化合物、前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及び前記長鎖アルキルリン酸エステル塩の含有割合の合計を100質量%とすると、エーテルエステル化合物を40〜85質量%、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを5〜30質量%、及び長鎖アルキルリン酸エステル塩を3〜30質量%であることがより好ましい。かかる構成により、特に長期保管後に低下しにくい初期親水性及び耐久親水性を付与できる。
【0040】
本実施形態の処理剤は、更に、炭素数2〜7の直鎖又は分岐のアルキル基を分子中に有する短鎖アルキルリン酸エステル塩、スルホネート塩、及びサルフェート塩から選ばれる少なくとも一種のアニオン界面活性剤を含んでいてもよい。これらのアニオン界面活性剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。かかる構成により、不織布浸透性をより向上させることができる。前記エーテルエステル化合物、前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、前記長鎖アルキルリン酸エステル塩、及び前記アニオン界面活性剤の含有割合は、特に限定されない。前記エーテルエステル化合物、前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、前記長鎖アルキルリン酸エステル塩、及び前記アニオン界面活性剤の含有割合の合計を100質量%とすると、エーテルエステル化合物を30〜93質量%、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを1〜50質量%、長鎖アルキルリン酸エステル塩を1〜50質量%、及びアニオン界面活性剤を5〜30質量%であることが好ましい。かかる構成により、不織布浸透性をより向上させることができる。また、特に長期保管後に低下しにくい耐久親水性を付与できる。
【0041】
炭素数2〜7の直鎖又は分岐のアルキル基を分子中に有する短鎖アルキルリン酸エステル塩の具体例としては、例えばエチルリン酸エステル塩、プロピルリン酸エステル塩、ブチルリン酸エステル塩、ペンチルリン酸エステル塩、ヘキシルリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0042】
スルホネート塩の具体例としては、例えばヘプチルスルホン酸ナトリウム塩、2−エチルヘキシルスルホン酸ナトリウム塩、オクチルスルホン酸ナトリウム塩、ノニルスルホン酸ナトリウム塩、デシルスルホン酸ナトリウム塩、ウンデシルスルホン酸ナトリウム塩、ドデシルスルホン酸ナトリウム塩、トリデシルスルホン酸ナトリウム塩、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ウンデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ペンタデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ヘキサデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム塩、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルカリウム塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩、ジオクチルスルホコハク酸カリウム塩、スルホコハク酸ジドデシルナトリウム塩、スルホコハク酸ジドデシルカリウム塩、スルホコハク酸ジヘキサデシルナトリウム塩、スルホコハク酸ジヘキサデシルカリウム塩等が挙げられる。
【0043】
サルフェート塩の具体例としては、例えば4−メチルペンチル硫酸ナトリウム塩、オクチル硫酸ナトリウム塩、オクチル硫酸カリウム塩、2−エチルヘキシル硫酸ナトリウム塩、イソノニル硫酸ナトリウム塩、デシル硫酸ナトリウム塩、デシル硫酸カリウム塩、1−メチルノニル硫酸ナトリウム塩、イソデシル硫酸ナトリウム塩、ドデシル硫酸ナトリウム塩、ドデシル硫酸カリウム塩、2−ブチルオクチル硫酸ナトリウム塩、テトラデシル硫酸ナトリウム塩、ペンタデシル硫酸ナトリウム塩、ペンタデシル硫酸カリウム塩、ヘキサデシル硫酸ナトリウム塩、ヘキサデシル硫酸カリウム塩、ヘプタデシル硫酸ナトリウム塩、3,9−ジエチルトリデカン−6−イル硫酸ナトリウム塩、オクタデシル硫酸ナトリウム塩、オクタデシル硫酸カリウム塩、ポリオキシエチレンドデシル硫酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル硫酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル硫酸カリウム塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナ
トリウム塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸カリウム塩等が挙げられる。
【0044】
(第2実施形態)
本実施形態に係るポリオレフィン系合成繊維は、第1実施形態の処理剤が付着しているポリオレフィン系合成繊維である。付着方法としては、公知の方法、例えば浸漬法、スプレー法、ローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法等が適用できる。また、付着させる工程としては、例えば浸漬法、噴霧法、ロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が挙げられる。
【0045】
ポリオレフィン系合成繊維としては、特に限定されず、例えばポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリブテン繊維等のポリオレフィン系繊維が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、芯鞘構造の複合繊維であって、芯、鞘部のいずれか又は両者がポリオレフィン系繊維である複合繊維、例えば鞘部がポリエチレン繊維であるポリエチレン/ポリプロピレン複合繊維、ポリエチレン/ポリエステル複合繊維等であってもよい。
【0046】
特にポリオレフィン系合成繊維不織布に付与すると、得られる不織布の耐久親水性及び初期親水性の各効果の発現がより大きくなるため好ましい。特に長期保管後にも低下しにくい初期親水性及び耐久親水性を付与できる。不織布の種類としては、特に限定されないが、例えばスパンボンド、メルトブローン、スパンボンドとメルトブローンの複合不織布等が挙げられる。
【0047】
(第3実施形態)
本実施形態に係るポリオレフィン系合成繊維の処理方法(以下、処理方法という)は、第1実施形態の処理剤を、ポリオレフィン系合成繊維に対し付着させることを特徴とするポリオレフィン系合成繊維の処理方法である。
【0048】
本実施形態の処理方法は、第1実施形態の処理剤を、ポリオレフィン系合成繊維に対し溶媒を含まない第1実施形態の処理剤として0.05〜3質量%の割合となるようにポリオレフィン系合成繊維に対し付着させることを特徴とするポリオレフィン系合成繊維の処理方法である。
【0049】
第1実施形態の処理剤を合成繊維に付着させる際の形態としては、例えば有機溶媒溶液、水性液等が挙げられる。
【0050】
本実施形態の処理方法は、第1実施形態の処理剤を水で希釈して濃度0.5〜20質量%の水性液となし、該水性液をポリオレフィン系合成繊維に対し、溶媒を含まない第1実施形態の処理剤として0.1〜1質量%の割合となるよう付着させるポリオレフィン系合成繊維の処理方法であることが好ましい。
【0051】
上記実施形態の処理剤、ポリオレフィン系合成繊維、及び処理方法によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0052】
(1)上記実施形態では、上記のエーテルエステル化合物、上記のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及び上記の長鎖アルキルリン酸エステル塩を所定の割合で含有する処理剤を構成した。したがって、ポリオレフィン系繊維に優れた初期親水性及び耐久親水性を付与できる。特に長期保管後にも低下しにくい初期親水性及び耐久親水性を付与できる。また、処理剤の乳化安定性を良好にすることができる。さらには処理剤の不織布浸透性を良好にできる。
【0053】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0054】
・上記実施形態の処理剤には、本発明の効果を阻害しない範囲内において、処理剤の品質保持のための安定化剤や制電剤として、つなぎ剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の通常処理剤に用いられる成分をさらに配合してもよい。
【実施例】
【0055】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
【0056】
<試験区分1>
・エーテルエステル化合物(A−1)の合成
ヒマシ油933g(1モル)に対し、触媒として水酸化ナトリウム2gをオートクレーブに仕込み、エチレンオキシド660g(15モル)とプロピレンオキシド348g(6モル)との混合物を圧入し、エーテル化を行った。さらに一価脂肪酸Yとしてラウリン酸600g(3モル)とエステル化を行うことでエーテルエステル化合物(A−1)を得た。
【0057】
エーテルエステル化合物(A−1)と同様にして、表3に記載のエーテルエステル化合物(A−2)及び(A−6)〜(A−9)及び(A−15)〜(A−20)及び(A−22)〜(A−24)及び(A−28)〜(A−30)及び(A−33),(A−34)を合成した。
【0058】
・エーテルエステル化合物(A−3)の合成
多価アルコールとしてエチレングリコール62g(1モル)と、一価脂肪酸Xとして12−ヒドロキシステアリン酸600g(2モル)を反応容器に仕込み、エステル化を行った。このエステル化合物をオートクレーブに仕込み、触媒として水酸化カリウム2gを添加した。エチレンオキシド1408g(32モル)を圧入し、エーテル化を行った。その後に、さらに一価脂肪酸Yとしてオレイン酸847g(3モル)とエステル化を行うことでエーテルエステル化合物(A−3)を得た。
【0059】
エーテルエステル化合物(A−3)と同様にして、表3に記載のエーテルエステル化合物(A−4),(A−5)及び(A−10)〜(A−13)及び(A−21)及び(A−25)〜(A−27)及び(A−31),(A−32)を合成した。表3において、エーテルエステル化合物(A−1)〜(A−34)について、原料となる多価アルコールの種類、一価脂肪酸Xの種類及び縮合モル数、アルキレンオキサイドの種類及び付加モル数、一価脂肪酸Yの種類及び縮合モル数をそれぞれ示す。
【0060】
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(B−1)の合成
プロピレングリコール77g(1モル)及び触媒として水酸化カリウム2gをオートクレーブに仕込み、窒素ガスでパージ後、140℃に加温した。さらに、エチレンオキサイド880g(20モル)及びプロピレンオキサイド4930g(85モル)の混合物を3時間かけて圧入し、反応させることによりポリオキシアルキレンアルキルエーテル(B−1)を合成した。
【0061】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(B−1)と同様にして、表4に記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテル(B−2)〜(B−16)を合成した。表4において、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(B−2)〜(B−16)について、原料となる
脂肪族アルコールの種類、アルキレンオキサイドの種類及び付加モル数、及びそれらの合計付加モル数をそれぞれ示す。
【0062】
その他表5において、ポリオレフィン系不織布用処理剤で使用される長鎖アルキルリン酸エステル塩(C−1)〜(C−12)について、構成するアルキル基、アルカリ金属塩、ポリオキシアルキレン基の種類及び個数をそれぞれ示す。また、表6において、ポリオレフィン系不織布用処理剤で使用されるアニオン界面活性剤(D−1)〜(D−4)の種類を示す。
【0063】
<試験区分2>
・ポリオレフィン系不織布用処理剤(実施例1)の調製
・不織布用処理剤(実施例1)の10質量%水性液の調製
A成分としてエーテルエステル化合物(A−1)28g、B成分としてポリオキシアルキレンアルキルエーテル(B−1)7.5g、C成分として長鎖アルキルリン酸エステル塩(C−1)10.5g及びD成分としてアニオン界面活性剤(D−1)4gを混合し、450gの水を加え、10質量%水性液を得た。
【0064】
・ポリオレフィン系不織布用処理剤(実施例2〜57及び比較例1〜15)の調製
実施例1と同様に不織布用処理剤10質量%水性液(実施例2〜57及び比較例1〜15)を調製した。
【0065】
表1,2において、各例で使用したエーテルエステル化合物(A)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(B)、長鎖アルキルリン酸エステル塩(C)、アニオン界面活性剤(D)の種類及び処理剤中における各成分の含有比率(%)を示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】
【表5】
【0071】
【表6】
<試験区分3>
・ポリオレフィン系合成繊維へのポリオレフィン系不織布用処理剤の付着
調製した各処理剤の水性液を更に水で希釈して0.25質量%の濃度の水性液とした。かかる水性液を用いて処理浴(浴温25℃)を準備し、この処理浴に、ポリプロピレンスパンボンド不織布(目付け20g/m)を5分間浸漬して取り出した。このポリプロピレンスパンボンド不織布2gに対して水溶液の付着量が4gとなるようにマングルにて絞り率を調整して絞った後、80℃×30分間送風乾燥して下記評価用の処理不織布とした。尚、処理不織布への処理剤の付着量は、該処理不織布をソックスレー抽出機を用いてメタノール/キシレン(50/50容量比) 混合溶剤で抽出することにより測定した。かかる測定結果を表1,2に示した。
【0072】
<試験区分4(ポリオレフィン系不織布用処理剤の評価)>
・初期親水性の評価(評価用の処理不織布の調製直後)
評価用の処理不織布を10cm×15cmの小片に裁断し、20℃で相対湿度60%の恒温室内にて24時間温調した。トイレットペーパーを10枚重ねて吸収体とし、その上に評価用の処理不織布を配置した。45℃傾斜板上に評価用の処理不織布とトイレットペーパーを設置し、不織布の上方1cmの高さより37℃の生理食塩水0.05gを滴下した。
【0073】
評価用の処理不織布一枚に対して、滴下点から吸収終了までの流長を5回測定し、その平均値を45°傾斜流長(mm)とした。かかる測定結果を表1,2に示した。
【0074】
・初期親水性の評価基準
流長30mm未満:◎。
流長30mm以上且つ50mm未満:○。
流長50mm以上:×。
【0075】
・耐久親水性の評価(評価用の処理不織布の調製直後)
評価用の処理不織布を10cm×25cmの小片に裁断し、20℃で相対湿度60%の恒温室内にて24時間温調した。トイレットペーパーを10枚重ねて吸収体とし、その上に評価用の処理不織布をセットした。不織布の上にさらに直径2cmの穴を等間隔に開けた415gのステンレス板を置いた。不織布の上方1cmの高さより37℃の生理食塩水0.05gを滴下した。同一の不織布に対して20か所測定し、10秒以内に吸収された穴の数を数えた。3分経過後、同様に滴下し、吸収される穴の数を数えた。同様の操作を5回繰り返し、測定5回目で吸収された穴の数により耐久親水性を評価した。かかる測定結果を表1,2に示した。
【0076】
・耐久親水性の評価基準
18個以上:◎。
12個以上且つ18個未満:○。
12個未満:×。
【0077】
・経時評価(長期保管後の初期親水性及び耐久親水性の評価)
評価用の処理不織布を恒温器に入れ、70℃にて2週間保管した。
【0078】
保管後、上記初期親水性及び耐久親水性の評価を行い、長期保管後の初期親水性及び耐久親水性を評価した。かかる測定結果を表1,2に示した。
【0079】
・不織布浸透性の評価
処理剤の付与されていない不織布を20℃で相対湿度60%の恒温室内にて24時間温調した。不織布上に各処理剤の1%エマルション(水性液)を5μL不織布上に滴下し、完全に浸透するまでの時間を記録した。かかる測定結果を表1,2に示した。
【0080】
・不織布浸透性の評価基準
10秒未満で浸透:◎。
10秒以上且つ60秒未満で浸透:○。
60秒以上で浸透:×。
【0081】
・乳化安定性の評価
各処理剤の10%エマルション(水性液)を作成し、20℃で相対湿度60%の恒温室内にて24時間温調した。処理剤成分の分離を目視で評価した。かかる測定結果を表1,2に示した。
【0082】
・乳化安定性の評価基準
分離なし:◎。
分離あり:×。
【0083】
表1,2の結果からも明らかなように、本発明によれば、ポリオレフィン系繊維に優れた初期親水性及び耐久親水性を付与でき、かつ乳化性、及び不織布浸透性が良好であり、しかも長期保管後にも初期親水性及び耐久親水性が低下しにくいという効果があることが確認された。
【要約】
【課題】ポリオレフィン系繊維に優れた初期親水性及び耐久親水性、特に長期保管後の初期親水性及び耐久親水性を付与でき、かつ乳化安定性及び不織布浸透性が良好であるポリオレフィン系不織布用処理剤、ポリオレフィン系合成繊維、及びポリオレフィン系合成繊維の処理方法を提供する。
【解決手段】本発明のポリオレフィン系合成繊維処理剤は、特定のエーテルエステル化合物、特定のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及び特定の長鎖アルキルリン酸エステル塩の含有割合の合計を100質量%とすると、前記エーテルエステル化合物を30〜98質量%、前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを1〜50質量%、及び前記長鎖アルキルリン酸エステル塩を1〜50質量%の割合で含有することを特徴とする。
【選択図】なし