特許第6386216号(P6386216)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386216
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】ノイズ除去回路およびノイズ除去方法
(51)【国際特許分類】
   H03K 5/1252 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   H03K5/1252
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-170073(P2013-170073)
(22)【出願日】2013年8月20日
(65)【公開番号】特開2015-41783(P2015-41783A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2016年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】山中 稔
(72)【発明者】
【氏名】桐生 直人
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 琢爾
(72)【発明者】
【氏名】新妻 一彦
【審査官】 及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−286685(JP,A)
【文献】 特開2011−009852(JP,A)
【文献】 特開2011−004072(JP,A)
【文献】 特開2008−182425(JP,A)
【文献】 特開2000−004147(JP,A)
【文献】 特公昭51−015412(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 5/00−5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロック信号に基づいて入力信号をラッチする第1のフリップフロップ回路と、
前記入力信号の‘H’状態によりセットされるセット優先の第3のフリップフロップと、前記入力信号‘L’状態によりセットされるセット優先の第4のフリップフロップを含み前記第3及び第4のフリップフロップの出力をイネーブル生成回路に入力するラッチ回路と、
前記第1のフリップフロップ回路の後段に設けられ、前記第1のフリップフロップ回路
の出力信号をイネーブル制御信号に従って後段回路へ伝播する第2のフリップフロップ回路と、
前記第1および第2のフリップフロップ回路の出力信号に基づいて前記入力信号の立ち
上がりエッジを検出する立ち上がり検出回路と、前記第1および第2のフリップフロップ回路の出力信号に基づいて前記入力信号の立ち下がりエッジを検出する立ち下がり検出回路からなる論理回路と、
前記第1および第2のフリップフロップ回路の出力信号が一致した場合に前記第1のフリップフロップ回路から前記第のフリップフロップ回路への前記入力信号の伝播をイネーブルする許可信号を前記イネーブル生成回路へ送る制御回路と、
前記許可信号がある場合に前記第2のフリップフロップ回路をイネーブルする前記イネーブル制御信号を前記第2のフリップフロップ回路へ送り、
前記第1および第2のフリップフロップ回路の出力信号が一致しない場合に、
前記第3のフリップフロップと前記立ち下がりエッジを検出する前記立ち下がり検出回路の出力と、前記第4のフリップフロップと前記立ち上がりエッジを検出する前記立ち上がり検出回路の出力、により前記第1のフリップフロップ回路から前記第2のフリップフロップ回路への前記入力信号の伝播を制御する前記イネーブル制御信号を前記第2のフリップフロップ回路へ送る前記イネーブル生成回路と、を有することを特徴とするノイズ除去回路。
【請求項2】
前記ラッチ回路は、前記クロック信号の遅延信号に基づいて生成された前記クロック信号の立ち上がり微分パルスの入力を受け付ける、請求項1に記載のノイズ除去回路。
【請求項3】
前記論理回路は、
一方の入力が前記第1のフリップフロップ回路の出力であり、他方の入力が前記第2のフリップフロップ回路の出力の反転信号である前記立ち上がり検出回路と、
一方の入力が前記第1のフリップフロップ回路の出力の反転信号であり、他方の入力が前記第2のフリップフロップ回路の出力である前記立ち下がり検出回路と、を備え、
前記立ち上がり検出回路及び前記立ち下がり検出回路の出力を前記イネーブル生成回路に入力する請求項1乃至に記載のノイズ除去回路。
【請求項4】
前記制御回路は、一方の入力が前記第1のフリップフロップ回路の出力であり、他方の
入力が前記第2のフリップフロップ回路の出力であり、出力を前記イネーブル生成回路に
入力するExNOR回路である、請求項1乃至のいずれか一項に記載のノイズ除去回路。
【請求項5】
前記イネーブル生成回路は、
一方の入力が前記立ち上がり検出回路の出力であり、他方の入力が前記第4のフリップフ
ロップ回路の出力である第1のNAND回路と、
一方の入力が前記立ち下がり検出回路の出力であり、他方の入力が前記第3のフリップフ
ロップ回路の出力である第2のNAND回路と、
前記第1及び第2のNAND回路の出力を入力とするAND回路と、
前記AND回路及び前記制御回路の出力を入力とし、出力を前記第2のフリップフロップ
回路に入力するOR回路を備えた、請求項に記載のノイズ除去回路。
【請求項6】
入力信号の‘H’状態によりセットされるセット優先の第3のフリップフロップと、前記入力信号の‘L’状態によりセットされるセット優先の第4のフリップフロップを有し、前記第3及び第4のフリップフロップの出力を用いて入力信号の状態を監視する監視し、
第1のフリップフロップ回路の後段に設けられ、前記第1のフリップフロップ回路
の出力信号をイネーブル制御信号に従って後段回路の第2のフリップフロップ回路へ伝播し、
立ち上がり検出回路は前記第1のフリップフロップ回路および前記第2のフリップフロップ回路の出力信号に基づいて前記入力信号の立ち上がりエッジを検出し、立ち下がり検出回路は前記第1のフリップフロップ回路および前記第2のフリップフロップ回路の出力信号に基づいて前記入力信号の立ち下がりエッジを検出し、
前記第1および第2のフリップフロップ回路の出力信号が一致した場合に前記第1のフリップフロップ回路から前記第2のフリップフロップ回路への前記入力信号の伝播をイネーブルする許可信号を前記イネーブル生成回路へ送り、
前記許可信号がある場合に前記第2のフリップフロップ回路をイネーブルする前記イネーブル制御信号を前記第2のフリップフロップ回路へ送り、
前記第1および第2のフリップフロップ回路の出力信号が一致しない場合に、
前記第3のフリップフロップと前記立ち下がりエッジを検出する前記立ち下がり検出回路の出力と、前記第4のフリップフロップと前記立ち上がりエッジを検出する前記立ち上がり検出回路の出力、により前記第1のフリップフロップ回路から前記第2のフリップフロップ回路への前記入力信号の伝播を制御する前記イネーブル制御信号を前記第2のフリップフロップ回路へ送る、ことを特徴とするノイズ除去方法。
【請求項7】
入力信号の状態を監視する際に、前記クロック信号の遅延信号に基づいて生成された前記クロック信号の立ち上がり微分パルスの入力を受け付ける、請求項に記載のノイズ除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズ除去回路およびノイズ除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スパイクノイズ除去回路としては以下の構成が知られている。すなわち、フリップフロップ回路を複数段設けてデータを複数回サンプリングし、当該サンプリングの結果が全て一致している場合にはデータ、一致していない場合にはスパイクノイズと見なして後段回路へのスパイクノイズの伝播を抑制する構成である。
【0003】
また、スパイクノイズの周期がサンプリングクロックの周期よりも早い場合に不一致検出が行われないという問題を解決するために、動作クロックより早いサンプリングクロックをもう一系統設ける構成が用いられる。
【0004】
特許文献1には、外部制御信号をクロックの立ち上がりでサンプルする第1のデータ・ラッチ回路と、同じくクロックの立下りでサンプルする第2のデータ・ラッチ回路と、第1および第2のデータ・ラッチ回路の出力信号をゲートする回路とを有するノイズ除去回路が開示されている。クロックの立ち上がり時に発生しているノイズは、第1のデータ・ラッチ回路には入力制御信号とともに検出されてしまうが、第2のデータ・ラッチ回路には検出されないので、この2つの信号をゲート回路に入力すれば、ノイズが除去される。クロックの立下がり時に発生しているノイズについても同様である。
【0005】
特許文献2には、2個の遅延ゲートと、3個のアンドゲートと、1個のオアゲートを有するスパイクノイズ除去回路が開示されている。これにより、入力信号が0の時に発生するプラス方向のスパイクノイズと、入力信号が1の時に発生するマイナス方向のスパイクノイズの両方を取り除くことができる。
【0006】
特許文献3には、1段目のフリップフロップの入力端子に入力信号の片側だけ遅延して入力し、その出力を後段のフリップフロップに伝達して、遅延時間内のスパイクノイズを除去する論理回路が開示されている。
【0007】
特許文献4には、2つの遅延ゲート、1つの一致検出ゲート、1つのフリップフロップとから構成されるスパイクノイズ除去回路が開示されている。入力信号と、除去すべきノイズの最大パルス幅を遅延量として入力信号を遅延させた第1の遅延信号とのレベル一致検出を行い、この結果得られた信号で入力信号又は入力信号を遅延させた第2の遅延信号のいずれかをサンプリングすることで、入力信号のスパイクノイズを除去する。
【0008】
特許文献5には、非同期入力信号を動作クロックC2の立ち上がりで取り込むフリップフロップ(FF)1と、非同期入力信号を動作クロックC2の立ち下がりで取り込むフリップフロップFF2と、FF1とFF2の出力信号の排他的論理和をとる排他的論理和回路(XOR)3とを有するグリッジ除去回路が開示されている。非同期入力信号の変化点を検出し、非同期入力信号に変化があったときだけ、非同期入力信号を動作クロックC2の立ち上がりで取り込んだ信号を、動作クロックC2の立ち下がりで取り込んだ信号に変換することで、動作クロックC2の周期の1/2の周期より短いグリッジノイズを除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭62−016615号公報
【特許文献2】特開平05−191226号公報
【特許文献3】特開平07−050557号公報
【特許文献4】再特WO2008/044639号公報
【特許文献5】特開2000−004147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、関連技術におけるノイズ除去回路には、サンプリングを行うタイミングにスパイクノイズが連続して発生すると、フリップフロップに誤ったデータが保持されてしまい、スパイクノイズが後段回路へ伝播するという問題点があった。例えば特許文献1では、クロックタイミングの立ち上がり及び立ち下がりの両方でノイズが発生した場合には、後段の回路にノイズが1パルス伝幡してしまう。
【0011】
本発明の目的は、上述の課題を解決するノイズ除去回路およびノイズ除去方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のノイズ除去回路は、クロック信号に基づいて入力信号をラッチする第1のフリップフロップ回路と、入力信号の状態を監視するラッチ回路と、第1のフリップフロップ回路の後段に設けられ、第1のフリップフロップ回路の出力信号を後段回路へ伝播する第2のフリップフロップ回路と、第1および第2のフリップフロップ回路の出力信号に基づいて入力信号の立ち上がりおよび立ち下がりエッジを検出する論理回路と、第1および第2のフリップフロップ回路の出力信号に基づいて第1のフリップフロップ回路から第のフリップフロップ回路への入力信号の伝播を制御する制御回路と、ラッチ回路、論理回路および制御回路の出力信号に基づいて第2のフリップフロップ回路のイネーブル制御を行うイネーブル生成回路と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明のノイズ除去方法は、入力信号の状態を監視する監視ステップと、第1のフリップフロップ回路と当該第1のフリップフロップ回路の後段に設けられた第2のフリップフロップ回路からの出力信号に基づいて入力信号の立ち上がりおよび立ち下がりエッジを検出する検出ステップと、監視ステップにおける監視結果および検出ステップにおける検出結果に基づいて第2のフリップフロップ回路のイネーブル制御を行うイネーブル生成ステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ノイズを連続してサンプリングしてしまった場合であっても、後段回路へのノイズの伝播を抑制することができるノイズ除去回路およびノイズ除去方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態にかかるノイズ除去回路10の構成を示す図である。
図2】第1の実施形態にかかるノイズ除去回路10の動作を示すタイミングチャート図である。
図3図2の一部を抜粋したタイミングチャート図である。
図4】第1の実施形態にかかるノイズ除去回路10の動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態にかかるノイズ除去回路10の構成を示す図である。
【0017】
本実施形態にかかるノイズ除去回路10は、フリップフロップ回路1と、ラッチ回路2と、フリップフロップ回路3と、論理回路4と、制御回路5と、イネーブル生成回路6とを有する。
【0018】
フリップフロップ回路1の一方の入力端子には入力信号(後述のDATA_IN)が入力され、他方の入力端子にはクロック信号が入力される。そして、フリップフロップ回路1からの出力信号は、後述のフリップフロップ回路3、論理回路4、制御回路5に入力される。フリップフロップ回路1は、入力信号をラッチしクロックタイミングでサンプリングする。
【0019】
ラッチ回路2は、入力信号の‘H’状態を監視するフリップフロップ回路21と、‘L’状態を監視するフリップフロップ回路22とを含む。入力信号の‘H’状態を監視するフリップフロップ回路21の一方の入力端子には入力信号が入力され、他方の入力端子にはクロック信号とクロック信号の遅延(DELAY)反転信号との論理積(AND)の結果、すなわちクロック信号の立ち上がり微分パルスが入力される。入力信号の‘L’状態を監視するフリップフロップ回路22の一方の入力端子には入力信号の反転信号が入力され、他方の入力端子にはクロック信号の立ち上がり微分パルスが入力される。クロック信号の立ち上がり微分パルスは、サンプリング結果の不一致検出を行うために用いられる。そして、それぞれのフリップフロップ回路からの出力信号は、後述のイネーブル生成回路6に入力される。
【0020】
フリップフロップ回路3は、フリップフロップ回路1の後段に設けられる。フリップフロップ回路3の第1の入力端子には、フリップフロップ回路1からの出力信号が入力される。第2の入力端子には、後述のイネーブル生成回路6からの出力信号が入力される。第3の入力端子には、クロック信号が入力される。そして、フリップフロップ回路3からの出力信号は、後述の論理回路4、制御回路5、後段回路(図示せず)に入力される。
【0021】
論理回路4には、後述のreg0信号の立ち上がりを検出するAND回路41と、reg0信号の立ち下がりを検出するAND回路42とが含まれる。reg0信号の立ち上がりを検出するAND回路41においては、フリップフロップ回路1からの出力信号とフリップフロップ回路3からの出力信号の反転信号との論理積(AND)がとられて後述のイネーブル生成回路6に入力される。reg0信号の立ち下がりを検出するAND回路42においては、フリップフロップ回路1からの出力信号の反転信号とフリップフロップ回路3からの出力信号との論理積(AND)がとられてイネーブル生成回路6に出力される。論理回路4は、1段目のフリップフロップ回路1と2段目のフリップフロップ回路3からの出力信号に基づいて入力信号の立ち上がりおよび立ち下がりエッジを検出する。
【0022】
制御回路5の一方の入力端子には、フリップフロップ回路1からの出力信号が入力され、他方の入力端子にはフリップフロップ回路3からの出力信号が入力される。制御回路5にてこれらの信号の負論理排他的論理和(ExNOR)がとられて後述のイネーブル生成回路6に入力される。制御回路5は、1段目のフリップフロップ回路1から2段目のフリップフロップ回路3へのデータの伝播を制御する。
【0023】
イネーブル生成回路6には、ラッチ回路2、論理回路4、制御回路5からの出力信号が入力される。イネーブル生成回路6のNAND回路61及び62でラッチ回路2からの出力信号と論理回路4からの出力信号との否定論理積(NAND)がとられる。そして、AND回路63でNAND回路61及び62からの出力信号の論理積(AND)がとられる。論理和(OR)回路64でAND回路63からの出力信号と制御回路5からの出力信号との論理和(OR)がとられ、フリップフロップ回路3に入力される。イネーブル生成回路6は、2段目のフリップフロップ回路3を制御する。
【0024】
次に、ノイズ除去回路にて伝播される信号について説明する。
【0025】
CLKは、ノイズ除去回路に入力されるクロック信号である。
【0026】
DATA_INは、1ビットのシリアル入力信号である。
【0027】
reg0は、フリップフロップ回路1にて保持される信号である。
【0028】
reg1は、フリップフロップ回路3にて保持される信号であり、ノイズ除去されたシリアルデータの最終的な出力である。
【0029】
reg1_enは、OR回路64にて保持される信号であり、reg1のイネーブル信号である。OR回路64は、reg1_enが‘H’状態ならばreg0の値を後段回路へ出力する。入力信号にノイズが含まれる場合には、reg1_enが‘L’状態になることで後段回路へノイズを伝播させないようにする。
【0030】
agreeは、制御回路5にて保持される信号であり、reg1_enの出力制御信号である。reg0とreg1の値が一致した場合には、agreeが‘H’状態となり、reg1_enが‘H’状態となる。また、reg0とreg1の値が不一致となった場合には、agreeが‘L’状態となり、後述のγイネーブル制御を有効にする。
【0031】
hi_modは、AND回路41にて保持される信号であり、reg0の立ち上がり検出信号である。AND回路41は、reg1が‘L’状態の場合にreg0が‘H’状態へと変化した変化点を検出する。reg1が‘L’状態であり、reg0でサンプリングした信号が‘H’状態となった場合は、サンプリングした信号がノイズかデータかに関わらずhi_modは‘H’状態となる。
【0032】
lo_latchは、フリップフロップ回路22にて保持される信号であり、入力信号が‘L’状態のラッチ信号である。フリップフロップ回路22は、入力信号の‘H’状態の出力イネーブルのマスクを行う。フリップフロップ回路22は、入力信号の‘L’状態を監視し、入力信号が‘L’状態に変化した場合にlo_latchを‘H’状態にセットする。また、CLKの立ち上がりエッジにて入力信号が‘H’状態に変化した場合にlo_latchを‘L’にリセットする。入力信号がノイズかデータかによって信号がセットされるまでの期間(‘L’期間)が異なり、この期間の差異によってイネーブル信号をマスクする。入力信号がデータの場合、入力信号が1CLK幅以上であれば、クロックタイミングで‘L’にリセットされたlo_latchは次のクロックタイミングまで‘L’状態を維持する。一方、入力信号がノイズの場合、クロックタイミングで‘L’にリセットされたlo_latchはノイズにより次のクロックタイミングより早く‘H’にセットされる。よって入力信号がノイズの場合は、データであった場合に比べlo_latchの‘L’期間が短くなる。
【0033】
lo_modは、AND回路42にて保持される信号であり、reg0の立ち下がり検出信号である。AND回路42は、reg1が‘H’状態の場合に、reg0が‘L’状態に変化した変化点を検出する。reg1が‘H’状態であり、reg0でサンプリングした信号が‘L’状態に変化した場合は、サンプリングした信号がノイズかデータかに関わらずlo_modは‘H’状態となる。
【0034】
hi_latchは、フリップフロップ回路21にて保持される信号であり、入力信号が‘H’状態のラッチ信号である。フリップフロップ回路21は、信号の‘L’状態の出力イネーブルのマスクを行う。フリップフロップ回路21は、入力信号の‘H’状態を監視し、入力信号が‘H’状態に変化した場合にhi_latchを‘H’状態にセットする。また、CLKの立ち上がりエッジにて入力信号が‘L’状態に変化した場合にhi_latchを‘L’状態にリセットする。
【0035】
αは、hi_modとlo_latchのNAND信号であり、‘H’状態の信号の出力イネーブルである。αは、NAND回路61にて保持される信号である。
【0036】
βは、lo_modとhi_latchのNAND信号であり、‘L’状態の信号の出力イネーブルである。βは、NAND回路62にて保持される信号である。
【0037】
γは、αとβのAND信号であり、reg1の総イネーブル制御に用いられる。reg0とreg1の信号が変化し、agreeが‘L’状態である場合にのみ、γイネーブル制御が有効になる。γは、AND回路63にて保持される信号である。
【0038】
次に、本実施形態にかかるノイズ除去回路10の動作について説明する。
【0039】
図2は、本実施形態にかかるノイズ除去回路10の動作を示すタイミングチャート図である。
【0040】
図2では、1ビットの入力信号DATA_INに対し、H/Lそれぞれの状態でノイズが含まれる場合を示している。すなわち、CLKのC2、C3のタイミングでは入力信号‘L’状態に対して‘H’状態のノイズを連続して取り込んだ場合の動作を示している。一方、C7、C8のタイミングでは入力信号‘H’状態に対して、‘L’状態のノイズを連続して取り込んだ場合の動作を示している。C1、C4〜C6、C9〜C11では、ノイズが含まれていない。
【0041】
まず、論理回路4は、DATA_INをラッチするフリップフロップ回路1とイネーブル制御フリップフロップ回路3とからなる2段のフリップフロップの出力reg0、reg1に基づいて、入力信号の立ち上がり及び立ち下がりのエッジ検出を行う。
【0042】
また、このエッジ検出とは別にフリップフロップ回路21及びフリップフロップ回路22の2つのセット優先フリップフロップを用いて、DATA_INの‘H’状態、‘L’状態を監視する。DATA_INが‘H’状態のラッチ信号、すなわちhi_latchであれば、DATA_INが‘L’状態から‘H’状態へと変化した場合に‘H’状態にセットされ、クロックエッジのタイミングで入力信号が‘L’状態であれば、‘L’状態にリセットされる。
【0043】
ここで、ノイズが含まれていないクロックタイミングC5を例として説明する。
【0044】
DATA_INが‘L’状態から‘H’状態に変化した場合、クロックC5はその‘H’状態を捉えてフリップフロップ回路1へ‘H’状態を伝える。この時点で信号reg1はまだ‘L’状態を維持している。
【0045】
reg0が‘H’状態へと変化したタイミングでAND回路41は信号の立ち上がりを検出しhi_modを‘H’状態にセットする。一方、DATA_INが‘L’状態の場合にはlo_latchは‘H’状態を維持しているが、フリップフロップ回路1が‘H’状態を捉えたタイミングでフリップフロップ回路22により‘L’にリセットされる。
【0046】
このときreg0とlo_latchの状態は同じタイミングで変化しreg0とlo_latchのNAND信号αは‘H’状態となる。そして、これに基づいて生成されるreg1_enは‘H’状態を維持する。
【0047】
ここで、DATA_INが次のクロックタイミングC6まで‘H’状態を維持していれば、その場合は正しい入力データの変化であり、reg1のイネーブル信号reg1_enは‘H’状態を維持する。そして、フリップフロップ回路3は、‘H’状態のreg1信号を最終出力DATA_OUTに出力する。
【0048】
次に、図3及び図4を用いてノイズが混入した場合のノイズ除去回路10の動作を説明する。図3は、図2の一部を抜粋したタイミングチャート図である。図4は、ノイズ除去回路10の動作を示すフローである。
【0049】
クロックタイミングC2を例として入力信号DATA_INが‘L’状態の場合に‘H’状態のノイズが入力された場合の動作を説明する。
【0050】
DATA_INにスパイクノイズが連続して混入した場合、ノイズ混入により‘H’状態となったDATA_INは、次のクロックタイミングC3の前に‘L’状態にリセットされる。すなわち、DATA_INは1CLK幅よりも短い周期で変動する。AND回路41は、DATA_INが‘H’状態から‘L’状態へ変化した場合であっても、reg0の立ち上がりを検出した場合にはhi_modとして1CLK幅の立ち上がりエッジパルスを出力する(図4のS1)。一方、フリップフロップ回路22は、クロックタイミングC2でDATA_INが‘H’状態であるため、lo_latchを‘L’状態にリセットする。しかし、DATA_INがノイズ混入により次のクロックタイミングC3を待たずに‘L’状態に変化するため、これに応じてlo_latchを‘H’状態にセットする(S2)。すなわちhi_modおよびlo_latchが‘H’状態となる。そして、NAND回路61は、hi_modおよびlo_latchのNANDをとり、αが‘L’状態に変化して(S3)reg1_enが‘L’状態に変化する。このようにreg1_enが‘L’状態に変化したことで、フリップフロップ回路3は誤ってサンプリングされたreg0の‘H’状態を最終出力DATA_OUTに出力しない。
【0051】
なお、S1とS2の順序は問わない。
【0052】
次に、クロックタイミングC7を例として入力信号DATA_INが‘H’状態の場合に‘L’状態のノイズが入力された場合の動作を説明する。
【0053】
DATA_INにスパイクノイズが連続して混入した場合、ノイズ混入により‘L’状態となったDATA_INは、次のクロックタイミングC8の前に‘H’状態にセットされる。AND回路42は、DATA_INが‘H’状態から‘L’状態へ変化した場合であっても、reg0の立ち下がりを検出した場合にはlo_modとして1CLK幅の立ち上がりエッジパルスを出力する。一方、フリップフロップ回路21は、クロックタイミングC7でDATA_INが‘L’状態であるため、hi_latchを‘L’状態にリセットする。しかし、DATA_INがノイズ混入により次のクロックタイミングC8を待たずに‘H’状態に変化するため、これに応じてhi_latchを‘H’状態にセットする。すなわちlo_modおよびhi_latchが‘H’状態となる。そして、NAND回路62は、lo_modおよびhi_latchのNANDをとり、βが‘L’状態に変化してreg1_enが‘L’状態に変化する。このようにreg1_enが‘L’状態に変化したことで、フリップフロップ回路3は、誤ってサンプリングされたreg0の‘L’状態を最終出力DATA_OUTに出力しない。
【0054】
以上のイネーブル制御により、入力信号のノイズが除去される。
【0055】
本実施形態にかかるノイズ除去回路は、入力信号の立ち上りおよび立ち下りエッジの検出値と2段構成のフリップフロップ回路が保持している値とに基づいて後段回路へデータを伝播するフリップフロップ回路を制御する。これにより、スパイクノイズを連続してサンプリングしてしまった場合であっても、後段回路へのスパイクノイズの伝播を抑制することができる。
【0056】
また、関連技術におけるノイズ除去回路には、スパイクノイズの周期がサンプリングクロックの周期よりも短い場合に、サンプリングの結果の不一致検出が行われないという問題があった。これに対し、本実施形態にかかるノイズ除去回路は、クロック信号の遅延(DELAY)信号に基づいて立ち上がり微分パルスを生成する。これにより、フリップフロップ回路21、22は、DATA_INがノイズ混入によりサンプリングクロックの周期よりも短い周期で変化する場合であっても、この変化に追従することができる。この結果、動作クロックより早いサンプリングクロックをさらに一系統設けることなく、動作クロックより早い周期のスパイクノイズを検出することができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含むことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0058】
10 ノイズ除去回路
1 フリップフロップ回路
2 ラッチ回路
3 フリップフロップ回路
4 論理回路
5 制御回路
6 イネーブル生成回路
21 フリップフロップ回路
22 フリップフロップ回路
41 AND回路
42 AND回路
61 NAND回路
62 NAND回路
63 AND回路
64 OR回路
図1
図2
図3
図4