(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386222
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】ネットワークシステム、被制御機器および被制御機器制御方法
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20180827BHJP
H04L 12/28 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
H04Q9/00 311A
H04L12/28 100H
H04L12/28 200A
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-228210(P2013-228210)
(22)【出願日】2013年11月1日
(65)【公開番号】特開2015-89064(P2015-89064A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 寛孝
【審査官】
西巻 正臣
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−190538(JP,A)
【文献】
特開2004−254163(JP,A)
【文献】
特開2009−124322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03J 9/00− 9/06
H04L 12/28、
12/44−12/46
H04Q 9/00− 9/16
H04W 8/26、
24/00、
28/02、
72/04、
74/04、
74/08、
84/12、
88/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ固有の機器アドレスが割り当てられた複数の被制御機器と、
制御機器と、
該制御機器と前記被制御機器との間で通信を行うためのネットワークと
から構成され、
前記制御機器は、
利用者が、前記複数の被制御機器のうちの所望の一つを選択被制御機器として選択するとともに、該選択被制御機器に関連する所望の動作内容および所望の条件を入力するための入力部と、
前記選択被制御機器に割り当てられた前記機器アドレスと、前記所望の動作内容を示す動作指示内容データと、前記所望の条件を示す動作可能条件データとを含む動作指示信号を生成する信号生成部と、
前記ネットワークに前記動作指示信号を送信する第1のネットワーク通信部と
を含み、
前記複数の被制御機器のそれぞれは、
自身の現在の状態が登録された機器状態テーブルと、
前記ネットワークから前記動作指示信号を受信し、該動作指示信号に含まれる前記機器アドレスが自身に割り当てられた前記機器アドレスと一致するか否かを検出する第2のネットワーク通信部と、
前記第2のネットワーク通信部が前記機器アドレスの一致を検出した場合、前記機器状態テーブルに登録された前記現在の状態が、前記動作指示信号に含まれる前記動作可能条件データで示される前記所望の条件を満足するか否かを判断し、前記所望の条件を満足するときには、前記動作指示信号に含まれる前記動作指示内容データで示される前記所望の動作内容に対応する動作の実行を関連回路部分に指示し、
前記所望の条件を満足しないときには、指示された動作が実行できなかったことを示す前記制御機器への応答情報に、前記所望の条件を含める信号解析部と
を含む
ことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項2】
前記動作指示信号は、前記制御機器に割り当てられた機器アドレスを含み、
前記信号解析部が、前記所望の条件を満足しないと判断した場合には、
前記第2のネットワーク通信部は、前記制御機器に割り当てられた前記機器アドレスと、前記所望の条件を満足しなかった旨の前記応答情報とを含む応答信号を前記第2のネットワーク通信部から前記ネットワークに送信し、
前記制御機器は、前記ネットワークから前記応答信号を受信し、該応答信号に含まれる前記機器アドレスが自身に割り当てられた機器アドレスと一致するか否かを検出し、該機器アドレスの一致を検出したときには、該応答信号に含まれる応答情報を表示部に表示する
ことを特徴とする請求項1記載のネットワークシステム。
【請求項3】
各前記被制御機器は、前記制御機器に割り当てられた機器アドレスを予め記憶しており、
前記信号解析部が、前記所望の条件を満足しないと判断した場合には、
前記第2のネットワーク通信部は、前記制御機器に割り当てられた前記機器アドレスと、
前記所望の条件を満足しなかった旨の前記応答情報とを含む応答信号を前記第2のネットワーク通信部から前記ネットワークに送信し、
前記制御機器は、前記ネットワークから前記応答信号を受信し、該応答信号に含まれる前記機器アドレスが自身に割り当てられた機器アドレスと一致するか否かを検出し、該機器アドレスの一致を検出したときには、該応答信号に含まれる応答情報を表示部に表示する
ことを特徴とする請求項1記載のネットワークシステム。
【請求項4】
自身の現在の状態が登録された機器状態テーブルと、
ネットワークを介して制御機器から動作指示信号を受信し、該動作指示信号に含まれる機器アドレスが自身に割り当てられた機器アドレスと一致するか否かを検出するネットワーク通信部と、
ネットワーク通信部が前記機器アドレスの一致を検出した場合、前記機器状態テーブルに登録された前記現在の状態が、前記動作指示信号に含まれる動作可能条件データで示される、利用者により前記制御機器を介して入力された所望の条件を満足するか否かを判断し、前記所望の条件を満足するときには、前記動作指示信号に含まれる動作指示内容データで示される動作内容に対応する動作の実行を関連回路部分に指示し、前記所望の条件を満足しないときには、指示された動作が実行できなかったことを示す前記制御機器への応答情報に、前記所望の条件を含める信号解析部と
を含むことを特徴とする被制御機器。
【請求項5】
それぞれ固有の機器アドレスが割り当てられた複数の被制御機器のうちから利用者が選択した該被制御機器である選択被制御機器に割り当てられた該機器アドレスと、該選択被制御機器に関連する動作内容を示す動作指示内容データと、該選択被制御機器に関連する、利用者により制御機器を介して入力された所望の条件を示す動作可能条件データとを含む動作指示信号を生成する信号生成ステップと、
通信ネットワークに前記動作指示信号を前記制御機器から送信する第1の送信ステップと、
前記動作指示信号に含まれる前記機器アドレスが割り当てられた前記選択被制御機器が
前記通信ネットワークから前記動作指示信号を受信する受信ステップと、
前記選択被制御機器の現在の状態が登録された機器状態テーブルに登録された該現在の状態が、前記動作指示信号に含まれる前記動作可能条件データで示される前記所望の条件を満足するか否かを判断し、前記所望の条件を満足するときには、前記動作指示信号に含まれる前記動作指示内容データで示される前記動作内容に対応する動作の実行を前記選択被制御機器内の関連回路部分に指示し、前記所望の条件を満足しないときには、指示された動作が実行できなかったことを示す前記制御機器への応答情報に、前記所望の条件を含める動作実行指示ステップと
を含むことを特徴とする被制御機器制御方法。
【請求項6】
前記動作指示信号は、前記制御機器に割り当てられた機器アドレスを含み、
前記動作実行指示ステップにおいて、前記所望の条件を満足しないと判断された場合には、
前記選択被制御機器が、前記制御機器に割り当てられた前記機器アドレスと、前記所望の条件を満足しなかった旨の前記応答情報とを含む応答信号を前記通信ネットワークに送信する第2の送信ステップと、
前記応答信号に含まれる前記機器アドレスを割り当てられた前記制御機器が、前記通信ネットワークから前記応答信号を受信し、該応答信号に含まれる応答情報を前記制御機器に設けられた表示部に表示する表示ステップと
を含むことを特徴とする請求項5記載の被制御機器制御方法。
【請求項7】
各前記被制御機器は、前記制御機器に割り当てられた機器アドレスを予め記憶しており、
前記動作実行指示ステップにおいて、前記所望の条件を満足しないと判断された場合には、
前記選択被制御機器が、前記制御機器に割り当てられた前記機器アドレスと、前記所望の条件を満足しなかった旨の前記応答情報とを含む応答信号を前記通信ネットワークに送信する第2の送信ステップと、
前記応答信号に含まれる前記機器アドレスを割り当てられた前記制御機器が、前記通信ネットワークから前記応答信号を受信し、該応答信号に含まれる応答情報を前記制御機器に設けられた表示部に表示する表示ステップと
を含むことを特徴とする請求項5記載の被制御機器制御方法。
【請求項8】
動作指示信号に含まれる機器アドレスが割り当てられた被制御機器が通信ネットワークから前記動作指示信号を受信する受信ステップと、
当該被制御機器の現在の状態が登録された機器状態テーブルに登録された該現在の状態が、前記動作指示信号に含まれる動作可能条件データで示される、利用者により制御機器を介して入力され所望の条件を満足するか否かを判断し、前記所望の条件を満足するときには、前記動作指示信号に含まれる動作指示内容データで示される動作内容に対応する動作の実行を当該被制御機器内の関連回路部分に指示し、前記所望の条件を満足しないときには、指示された動作が実行できなかったことを示す前記制御機器への応答情報に、前記所望の条件を含める動作実行指示ステップと
を含むことを特徴とする被制御機器制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークシステム、制御機器、被制御機器および被制御機器制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家電機器(例えば、テレビ、エアコン、照明器具、火災センサおよび冷蔵庫)等の複数の被制御機器と、該複数の被制御機器の動作等を制御する制御機器とがLAN(ローカルエリアネットワーク)等の通信ネットワークを介して相互に接続されたネットワークステムが知られている。
【0003】
このようなネットワークシステムにおいて、制御機器が、ある被制御機器に対して、ある所望の動作の実行を指示するための動作指示信号を送信する場合には、該動作指示信号を送信する前に、その被制御機器が当該動作の実行が可能な状態にあるか否かを確認する必要がある。
【0004】
そのために、制御機器は、上記動作指示信号を送信する前に、当該被制御機器に状態要求信号を送信し、該状態要求信号の受信に応答して、当該被制御機器は自身の状態を示す機器状態信号を制御機器に返信する。
【0005】
制御機器は、受信した機器状態信号の内容に基づき、当該被制御機器が上記所望の動作の実行が可能な状態にあるか否かを判断し、上記所望の動作の実行が可能な状態にあると判断された場合にのみ、上記動作指示信号を当該被制御機器に送信する。
【0006】
こうして上記動作指示信号を受信した被制御機器は、上記動作指示信号により指示される動作を行う。
【0007】
尚、関連技術として、特許文献1には、家庭内ネットワーク10を介して接続された複数の家電機器12a乃至12eを制御する通信制御装置14において、家電機器の製造メーカ名や型番などの製品情報を該家電機器のアドレス情報と対応付けて記憶するための製品情報テーブル20と、家電機器の状態変化に対して連動動作を実行するための条件及び連動動作内容を家電機器の製品情報と対応付けて記憶するための連動動作テーブル22とを設け、家電機器から状態変化に関するパケットを受信したときに、該パケットに含まれる、当該パケットを送信した家電機器の、アドレス情報に基づき製品情報テーブル20から当該家電機器の製品情報を検索し、検索した製品情報に基づき連動動作テーブル22を参照して連動動作を実行するための条件を満たしているか否かを判定して、条件を満たしている場合に、連動動作テーブル22に登録されている連動動作内容を実行する技術が開示されている。
【0008】
また、特許文献2には、家庭内ネットワーク規格に準拠していない電気機器106が接続された、家庭内ネットワーク規格に準拠した、アダプタ102において、予め機器オブジェクト記憶部131に記憶されたオブジェクト構成情報と、アダプタ102に接続された電気機器106のオブジェクト構成情報とが一致した場合に、電気機器106を家庭内ネットワーク110に接続可能とする技術が開示されている。
【0009】
また、特許文献3には、サブネットワーク143または153に新たな装置が加わった場合でも、使用者がメインのネットワーク(IPネットワーク100)の通信装置等に、当該新たな装置の機器リストや機能情報を登録することなく、IPネットワーク100から当該新たな装置を制御できるようにする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−028477号公報
【特許文献2】特開2009−225481号公報
【特許文献3】特開2007−328799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述したネットワークシステムでは、制御機器が動作指示信号を送信する前に、状態要求信号および機器状態信号の送受信動作が必要となり、その結果、これらの信号の送受信による通信ネットワークのトラフィックの増大や被制御機器への所望の動作の実行指示の遅延等を招くという問題点がある。
【0012】
なお、特許文献1乃至3のいずれにも、被制御機器に対して、制御機器から所望の動作の実行を指示する場合に、当該被制御機器が当該所望の動作を実行できる状態であるか否かを判断するための技術については一切記載されていない。
【0013】
本発明の目的は、上述した問題点を解決したネットワークシステム、制御機器、被制御機器および被制御機器制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のネットワークシステムシステムは、
それぞれ固有の機器アドレスが割り当てられた複数の被制御機器と、
制御機器と、
該制御機器と前記被制御機器との間で通信を行うためのネットワークと
から構成され、
前記制御機器は、
利用者が、前記複数の被制御機器のうちの所望の一つを選択被制御機器として選択するとともに、該選択被制御機器に関連する所望の動作内容および所望の条件を入力するための入力部と、
前記選択被制御機器に割り当てられた前記機器アドレスと、前記所望の動作内容を示す動作指示内容データと、前記所望の条件を示す動作可能条件データとを含む動作指示信号を生成する信号生成部と、
前記ネットワークに前記動作指示信号を送信する第1のネットワーク通信部と、
を含み、
前記複数の被制御機器のそれぞれは、
自身の現在の状態が登録された機器状態テーブルと、
前記ネットワークから前記動作指示信号を受信し、該動作指示信号に含まれる前記機器アドレスが自身に割り当てられた前記機器アドレスと一致するか否かを検出する第2のネットワーク通信部と、
前記第2のネットワーク通信部が前記機器アドレスの一致を検出した場合、前記機器状態テーブルに登録された前記現在の状態が、前記動作指示信号に含まれる前記動作可能条件データで示される前記所望の条件を満足するか否かを判断し、前記所望の条件を満足するときには、前記動作指示信号に含まれる前記動作指示内容データで示される前記所望の動作内容に対応する動作の実行を関連回路部分に指示する信号解析部と
を含む。
【0015】
本発明の制御機器は、
利用者が、それぞれ固有の機器アドレスを割り当てられた複数の被制御機器のうちの所望の一つを選択被制御機器として選択するとともに、該選択被制御機器の状態が所望の条件を満足した場合にのみ該選択被制御機器に所望の動作を実行させるために、該所望の条件と該所望の動作の内容とを入力するための入力部と、
前記選択被制御機器に割り当てられた前記機器アドレスと、前記所望の動作の内容を示す動作指示内容データと、前記所望の条件を示す動作可能条件データとを含む動作指示信号を生成する信号生成部と、
前記複数の被制御機器と接続されたネットワークに前記動作指示信号を送信するネットワーク通信部と
を含む。
【0016】
本発明の被制御機器は、
自身の現在の状態が登録された機器状態テーブルと、
ネットワークを介して制御機器から動作指示信号を受信し、該動作指示信号に含まれる機器アドレスが自身に割り当てられた機器アドレスと一致するか否かを検出するネットワーク通信部と、
ネットワーク通信部が前記機器アドレスの一致を検出した場合、前記機器状態テーブルに登録された前記現在の状態が、前記動作指示信号に含まれる動作可能条件データで示される条件を満足するか否かを判断し、前記条件を満足するときには、前記動作指示信号に含まれる動作指示内容データで示される動作内容に対応する動作の実行を関連回路部分に指示する信号解析部と
を含む。
【0017】
本発明の第1の被制御機器制御方法は、
それぞれ固有の機器アドレスが割り当てられた複数の被制御機器のうちから利用者が選択した該被制御機器である選択被制御機器に割り当てられた該機器アドレスと、該選択被制御機器に関連する動作内容を示す動作指示内容データと、該選択被制御機器に関連する条件を示す動作可能条件データとを含む動作指示信号を生成する信号生成ステップと、
通信ネットワークに前記動作指示信号を制御機器から送信する第1の送信ステップと、
前記動作指示信号に含まれる前記機器アドレスが割り当てられた前記選択被制御機器が前記通信ネットワークから前記動作指示信号を受信する受信ステップと、
前記選択被制御機器の現在の状態が登録された機器状態テーブルに登録された該現在の状態が、前記動作指示信号に含まれる前記動作可能条件データで示される前記条件を満足するか否かを判断し、前記条件を満足するときには、前記動作指示信号に含まれる前記動作指示内容データで示される前記動作内容に対応する動作の実行を前記選択被制御機器内の関連回路部分に指示する動作実行指示ステップと
を含む。
【0018】
本発明の第2の被制御機器制御方法は、
それぞれ固有の機器アドレスが割り当てられた複数の被制御機器のうちから利用者が選択した該被制御機器である選択被制御機器に割り当てられた該機器アドレスと、該選択被制御機器の状態が指定の条件を満足した場合にのみ該選択被制御機器に指定の動作を実行させるために使用される前記指定の条件および前記指定の動作の内容を示すデータとを含む動作指示信号を生成する信号生成ステップと、
通信ネットワークに前記動作指示信号を制御機器から送信する送信ステップと
を含む。
【0019】
本発明の第3の被制御機器制御方法は、
動作指示信号に含まれる機器アドレスが割り当てられた被制御機器が通信ネットワークから前記動作指示信号を受信する受信ステップと、
当該被制御機器の現在の状態が登録された機器状態テーブルに登録された該現在の状態が、前記動作指示信号に含まれる前記動作可能条件データで示される条件を満足するか否かを判断し、前記条件を満足するときには、前記動作指示信号に含まれる動作指示内容データで示される動作内容に対応する動作の実行を当該被制御機器内の関連回路部分に指示する動作実行指示ステップと
を含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明には、通信ネットワークを介して制御機器と通信を行う被制御機器の状態が所望の条件を満たしている場合にのみ該被制御機器に所望の動作を行わせるときにおける該通信ネットワークのトラフィックの低減および該被制御機器への所望の動作の実行指示の迅速化を達成できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】本発明の実施形態における被制御機器の現在の状態を記憶した機器状態テーブルの内容を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態における制御機器が、動作指示信号を被制御機器に送信する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】本発明の実施形態における制御機器から、利用者が被制御機器に対して機器選択や動作可能条件および動作指示内容の各データを入力する際の、表示部および入力部の様子を表す図である。
【
図5】本発明の実施形態における制御機器からの動作指示信号を受け取って、被制御機器自身に動作指示内容を設定する処理の流れを表すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態における異常発生状態が有の場合の、被制御機器の現在の状態を記憶した機器状態テーブルの内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態を示すブロック図である。
【0024】
図1を参照すると、本実施形態に係るネットワークシステムは、制御機器101と、それぞれ固有の機器アドレスが割り当てられた複数の被制御機器201、301、401および501と、無線または有線通信ネットワーク109とから構成される。
【0025】
制御機器101は、表示部102と、入力部103と、信号生成部104と、信号解析部105と、ネットワーク通信部108とを含む。制御機器101は、専用機器ではなく、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、携帯電話またはスマートフォン等であってもよい。
【0026】
また、被制御機器201は、機器状態テーブル202と、信号生成部204と、信号解析部205と、ネットワーク通信部208とを含む。なお、図示していないが、被制御機器301、被制御機器401および被制御機器501も同様に機器状態テーブルと、信号解析部と、ネットワーク通信部とを含む。
【0027】
また、被制御機器201、301、401および501は、例えば、エアコン、照明器具、テレビおよび空気清浄器等の電気機器である。
【0028】
さらに、被制御機器201、301、401および501は、上述した機器状態テーブル、信号解析部およびネットワーク通信部以外に、当然、当該被制御機器本来の機能を実現する構成要素(図示せず)も含む。
【0029】
ネットワーク109は、制御機器101のネットワーク通信部108と、被制御機器201、301、401および501のそれぞれのネットワーク通信部との間で通信を行うために使用される。
【0030】
次に、本実施形態の動作について
図1乃至
図5を参照して説明する。
【0031】
なお、以下では、被制御機器201が2つのエアコン(1)および(2)のうちのエアコン(1)である場合を例に説明する。
【0032】
図2は、被制御機器201の現在の状態を記憶した機器状態テーブル202の内容を示す図である。
【0033】
図2を参照すると、機器状態テーブル202は、「項目」欄と、「現在の状態」欄とから構成されている。
【0034】
「項目」欄には、「動作状態」、「異常発生状態」および「室温」という項目名が登録されており、「現在の状態」欄には、それぞれこれらの項目名「動作状態」、「異常発生状態」および「室温」に対応して「非動作中」、「無」および「30度」が登録されている。
【0035】
次に、
図3を用いて、利用者が、制御機器101を介して、被制御機器201を制御する場合について説明する。
【0036】
図3は、制御機器101が、動作指示信号を被制御機器201(エアコン(1))に送信する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【0037】
まず、利用者は、以下で説明するように、「機器選択」ボタンの選択と、「動作可能条件」および「動作指示内容」の各項目の入力を行う(ステップS51)。
【0038】
すなわち、まず、利用者は,制御機器101の表示部102に表示された
図4に示す表示画面の「機器選択」領域に表示されている「エアコン(1)」と表示された「機器選択」ボタンを選択する。
【0039】
ここで、表示部102の表示画面には、
図4に示すように、当初、「機器選択」領域に、動作指示の対象となる各被制御機器の名称(例えば、エアコン(1)および(2)、照明(1)および(2)、テレビおよび空気清浄器等)が示された「機器選択」ボタンと、動作指示信号の送信を指示するための「送信」ボタンとが表示されている。
【0040】
これらのボタンの選択は、制御機器101がパーソナルコンピュータであり、入力部103がマウスであるとすれば、マウスを操作して表示部102の表示画面上でカーソルを所望のボタンの位置に移動させ、マウスでクリック操作をすることにより行われる。また、表示部102が入力部103を含むタッチパネル方式の表示装置である場合には、利用者の指等で、表示部102の表示画面に表示されている所望のボタンに触れることにより選択が行われる。ここで説明したボタンの選択は、一例であり、これらに限定されるものではない。
【0041】
こうして、「エアコン(1)」と表示された「機器選択」ボタンを選択すると、
図4に示すように、表示部102の表示画面の「動作指示入力」領域に、その選択された「機器選択」ボタン(すなわち、そのボタンに対応する被制御機器(「選択被制御機器」とも言う。))に対応する「動作可能条件」および「動作指示内容」として入力すべき項目が表示される。
【0042】
図4では、「動作可能条件」として入力すべき項目は、「異常発生:」、「動作状態:」および「室温:」であり、また、「動作指示内容」として入力すべき項目、「動作状態:」、「運転モード:」および「設定温度:」である。そして、利用者は、「動作可能条件」の項目「異常発生:」、「動作状態:」および「室温:」として、それぞれ「無」、「非動作中」および「28度以上」を、「動作指示内容」の項目「動作状態:」、「運転モード:」および「設定温度:」として、それぞれ「起動」、「冷房」および「25度」を入力したとする。
【0043】
なお、これらの項目への入力方法としては、例えば、これの項目を上述したボタンの選択と同様な方法で選択した時に表示されるプルダウンメニューから選択したり、マウスとキーボードとを利用して直接入力したり等の種々の方法の採用が可能である。
【0044】
次に、こうして利用者により入力された「動作可能条件」および「動作指示内容」の各項目の内容は、信号生成部104に渡され、信号生成部104は、渡された「動作可能条件」および「動作指示内容」の各項目の内容に基づき、動作可能条件データと動作指示内容データと被制御機器201(エアコン(1))の機器アドレスとを含む動作指示信号を生成する(ステップS52)。
【0045】
ここで、動作可能条件データは、「異常発生は無」、「動作状態は非動作中」および「室温は28度以上」という条件項目を示す情報からなり、動作指示内容データは、「動作状態は起動」、「運転モードは冷房」および「設定温度は25度」を示す情報からなる。
【0046】
次に、利用者が表示部102の表示画面に表示された「送信」ボタンを上述した方法と同様の方法で選択すると、ステップ52で生成された動作指示信号は、制御機器101のネットワーク通信部108からネットワーク109に送信される(ステップS53)。
【0047】
次に、
図5を参照して、被制御機器201の動作について説明する。
【0048】
被制御機器201(エアコン(1))のネットワーク通信部208は、ネットワーク109から上記動作指示信号を受信し、この信号に含まれる機器アドレスが自身(被制御機器201)に割り当てられた機器アドレスと一致するため、該動作指示信号を取り込む(ステップS71)。
【0049】
被制御機器201(エアコン(1))の信号解析部205は、該動作指示信号の内容を解析し(ステップS72)、該動作指示信号に含まれる動作可能条件データを取得する(ステップS73)。
【0050】
信号解析部205は、ステップS73で取得した動作可能条件データが示す条件情報を解析し、満足すべき条件が、項目「動作状態」、「異常発生状態」および「室温」がそれぞれ「非動作中」、「無」および「28度以上」であることを認識し、被制御機器201(エアコン(1))の状態がこれらの条件項目を全て満足するかを、
図2に示す機器状態テーブル202を参照することにより確認する(ステップS74)。
【0051】
具体的には、項目「動作状態」はいずれも「非動作中」で条件を満足しており、項目「異常発生状態」はいずれも「非動作中」で条件を満足しており、項目「室温」に関する条件は「28度以上」であり、機器状態テーブル202に登録された「室温」は28度以上の「30度」であるためこれも条件を満足している。すなわち、被制御機器201(エアコン(1))の状態は、動作可能条件データが示す全ての条件項目を満足している。
【0052】
被制御機器201(エアコン(1))の信号解析部205は、ステップS74において、全ての条件項目が満足された場合(ステップS74にてYES。)にのみ、動作指示信号に含まれる動作指示内容データにより示される動作を行うよう被制御機器201(エアコン(1))内の関連回路部分に指示する(ステップS75)。
【0053】
具体的には、被制御機器201(エアコン(1))の信号解析部205は、動作指示内容データを解析し、動作指示内容データが「動作状態は起動」、「運転モードは冷房」および「設定温度は25度」を示していることを認識し、25度の設定温度で冷房運転を開始するよう被制御機器201(エアコン(1))の関連回路部分に指示する。
【0054】
一方、ステップS74において、状態機器テーブル202の内容が、
図6に示すように、項目「動作状態」、「異常発生状態」および「室温」に対応して「非動作中」、「有」および「30度」が登録されている場合には、動作可能条件データが示す条件情報の解析結果から得られる満足すべき条件項目のうちの項目「異常発生状態」に対する条件が「無」であるのに対して、状態機器テーブル202においては、「項目」欄の項目「異常発生状態」に対応して「現在の状態」欄に「有」が登録されており、この条件項目を満足しない(ステップS74にてNO)。
【0055】
そのため、信号生成部204は、指示された動作が実行できなかったことを示す応答情報を生成し、ネットワーク通信部208に渡す(ステップS76)。
【0056】
ネットワーク通信部208は、信号生成部204が生成した応答情報を受け取り、該応答情報に、制御機器101の機器アドレス(各被制御機器は制御機器101の機器アドレスを予め記憶しているものとする。)を付加した応答信号をネットワーク109に送信する(ステップS77)。
【0057】
尚、それぞれ固有の機器アドレスが割り当てられた複数の制御機器が存在する場合には、各制御機器は、動作指示信号を送信する際に、該動作指示信号に、自身の機器アドレスも付加して送信し、自身の機器アドレスを含む動作指示信号を受信した被制御機器は、該動作指示信号に含まれる制御機器の機器アドレスを取得し、この取得した機器アドレスを応答情報に付加した応答信号をネットワーク109に送信する。
【0058】
制御機器の101のネットワーク通信部108は、該応答信号を受信し、該応答信号に含まれる機器アドレスが自身に割り当てられた機器アドレスと一致することを検出し、該応答信号を信号解析部105に渡す。信号解析部105は該応答信号内の応答情報を解析し、応答情報の内容を表示部102の表示画面に表示させ、利用者は、指示した動作が実行されなかったことを知ることができる。
【0059】
なお、上記応答情報には、いずれの条件が満足されなかったために指示した動作が実行されなかったかを示す情報を含めてもよい。
【0060】
以上、本実施形態には、通信ネットワークを介して制御機器と通信を行う被制御機器の状態が所望の条件を満たしている場合にのみ該被制御機器に所望の動作を行わせるときにおける該通信ネットワークのトラフィックの低減および該被制御機器への所望の動作の実行指示の迅速化を達成できるという効果がある。
【0061】
その理由は、被制御機器の状態が所望の条件を満たしている否かを該被制御機器に事前に確認するための信号の授受を制御装置と該被制御装置との間で行わずに、該制御機器から、該被制御機器へ、所望の条件を示す動作可能条件データと該所望の動作を指示する動作指示内容データとを含む動作指示信号のみを送信するだけで、該被制御機器が、該動作可能条件データに基づき、自身が該所望の動作を実行可能か否かを判断し、実行可能であれば該所望の動作を実行するようにしたからである。
【符号の説明】
【0062】
101 制御機器
102 表示部
103 入力部
104 信号生成部
105 信号解析部
108 ネットワーク通信部
109 ネットワーク
201 被制御機器
202 機器状態テーブル
204 信号生成部
205 信号解析部
208 ネットワーク通信部
301 被制御機器
401 被制御機器
501 被制御機器