(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386229
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】自動ブレーキのための拡大部を備える機械液圧式ブレーキブースタ
(51)【国際特許分類】
B60T 13/122 20060101AFI20180827BHJP
B60T 13/68 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
B60T13/122 D
B60T13/68
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-14191(P2014-14191)
(22)【出願日】2014年1月29日
(65)【公開番号】特開2014-148302(P2014-148302A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2017年1月30日
(31)【優先権主張番号】10 2013 201 574.7
(32)【優先日】2013年1月31日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】ウルス・バオアー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・キストナー
【審査官】
杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−240701(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0074769(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 13/00 − 13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のためのブレーキブースタ(10)において、
シリンダケーシング(20)であって、ユーザにより操作可能な一次ピストン(40)を収容するための中央孔部(30)を備え、前記一次ピストン(40)が操作された場合に前記シリンダケーシング(20)の内部に流体圧が形成され、第1流体管路(90)が前記シリンダケーシング(20)内の軸線方向切欠き(80)と流体接続しており、第2流体管路(60)がシリンダケーシング領域(155)で前記中央孔部(30)と流体接続しており、前記第1および第2流体管路(90,60)がそれぞれの別の端部でそれぞれ流体リザーバ(50,100)に流体接続しているシリンダケーシングと、
前記第1および第2流体管路(90,60)を互いに流体接続する第3流体管路(110)と、
該第3流体管路(110)に配置された電気式および/または液圧式および/または機械式に操作可能な第1弁(120)と、
前記流体リザーバ(50)の方向に見て前記第3流体管路(110)と前記第2流体管路(60)との流体接続部の後方で前記第2流体管路(60)に配置された電気式および/または液圧式および/または機械式に操作可能な第2弁(70)とを備え、
該第2弁(70)が前記第2流体管路(60)内の流体流れを中断した場合に、前記第1弁(120)によって流体圧を自動的に形成することができる、
ブレーキブースタ(10)であって、
前記一次ピストン(40)が、前記軸線方向切欠き(80)の領域に、前記一次ピストン(40)に固定された半径方向の円錐状の第1拡大部(130)を備え、円錐状の第1拡大部(130)が前記軸線方向切欠き(80)の形状に対応しており、前記一次ピストン(40)が、前記軸線方向切欠き(80)の内部に配置された第1ばね要素(160)によって予荷重をかけられており、該第1ばね要素(160)が、一方では前記軸線方向切欠き(80)の内壁(81)で中央孔部(30)の周囲において支持され、他方では、円錐状の前記第1拡大部(130)の円錐面(131)の反対側に位置する平面(132)において支持され、円錐状の前記第1拡大部(130)の前記円錐面(131)が、前記一次ピストン(40)の非操作状態で、対応して形成された切欠きもしくは面(135)と共に前記シリンダケーシング(20)内の流体のためのシールを形成しているブレーキブースタ(10)。
【請求項2】
車両のためのブレーキブースタ(10)において、
シリンダケーシング(20)であって、ユーザにより操作可能な一次ピストン(40)を収容するための中央孔部(30)を備え、前記一次ピストン(40)が操作された場合に前記シリンダケーシング(20)の内部に流体圧が形成され、第1流体管路(90)が前記シリンダケーシング(20)内の軸線方向切欠き(80)と流体接続しており、第2流体管路(60)がシリンダケーシング領域(155)で前記中央孔部(30)と流体接続しており、前記第1および第2流体管路(90,60)がそれぞれの別の端部でそれぞれ流体リザーバ(50,100)に流体接続しているシリンダケーシングと、
前記第1および第2流体管路(90,60)を互いに流体接続する第3流体管路(110)と、
該第3流体管路(110)に配置された電気式および/または液圧式および/または機械式に操作可能な第1弁(120)と、
前記流体リザーバ(50)の方向に見て前記第3流体管路(110)と前記第2流体管路(60)との流体接続部の後方で前記第2流体管路(60)に配置された電気式および/または液圧式および/または機械式に操作可能な第2弁(70)とを備え、
該第2弁(70)が前記第2流体管路(60)内の流体流れを中断した場合に、前記第1弁(120)によって流体圧を自動的に形成することができる、
ブレーキブースタ(10)であって、
ユーザにより前記一次ピストン(40)が操作された状態で、すなわち、前記一次ピストン(40)が変位された状態で、第1ばね要素(160)の予荷重力に抗して前記円錐状の第1拡大部(130)が前記軸線方向切欠き(80)の対応した面(135)から解放され、前記第1拡大部(130)から離間されて前記一次ピストン(40)に固定された半径方向の第2拡大部(140)が、円錐面(141)を備え、該円錐面に対応して前記シリンダケーシング(20)に形成された面(145)にシールされた状態で当接しており、これにより前記第2流体管路(60)が閉じられており、前記第1拡大部(130)の変位により前記軸線方向切欠き(80)の内部で流体圧が高められているブレーキブースタ(10)。
【請求項3】
請求項2に記載のブレーキブースタ(10)において、
第2ばね要素(170)が前記第2拡大部(140)と、第2拡大部から離間して前記一次ピストン(40)に固定されたストッパ要素(180)との間に配置されており、前記第2ばね要素(170)が、一方では前記ストッパ要素(180)において支持され、他方では、円錐状の前記第2拡大部(140)の前記円錐面(141)の反対側に位置する平面(142)において支持され、これにより前記一次ピストン(40)が変位すなわち操作された場合に前記第2ばね要素(170)の予荷重力に基づいて前記第2拡大部(140)の前記円錐面(141)と前記シリンダケーシング(20)の対応した面(145)との間に比較的効果的なシールが得られ、シール部における流入量調整もしくは前記軸線方向切欠き(80)内における圧力形成を適宜に行う可能性がユーザに提供されるブレーキブースタ(10)。
【請求項4】
請求項3に記載のブレーキブースタ(10)において、
前記第2ばね要素(170)が、一方では前記ストッパ要素(180)で支持され、他方では前記シリンダケーシング(20)で支持され、これにより、シール部における流入量調整もしくは前記軸線方向切欠き(80)内における圧力形成を適宜に行う可能性がユーザに提供されるブレーキブースタ(10)。
【請求項5】
車両のためのブレーキブースタ(10)において、
シリンダケーシング(20)であって、ユーザにより操作可能な一次ピストン(40)を収容するための中央孔部(30)を備え、前記一次ピストン(40)が操作された場合に前記シリンダケーシング(20)の内部に流体圧が形成され、第1流体管路(90)が前記シリンダケーシング(20)内の軸線方向切欠き(80)と流体接続しており、第2流体管路(60)がシリンダケーシング領域(155)で前記中央孔部(30)と流体接続しており、前記第1および第2流体管路(90,60)がそれぞれの別の端部でそれぞれ流体リザーバ(50,100)に流体接続しているシリンダケーシングと、
前記第1および第2流体管路(90,60)を互いに流体接続する第3流体管路(110)と、
該第3流体管路(110)に配置された電気式および/または液圧式および/または機械式に操作可能な第1弁(120)と、
前記流体リザーバ(50)の方向に見て前記第3流体管路(110)と前記第2流体管路(60)との流体接続部の後方で前記第2流体管路(60)に配置された電気式および/または液圧式および/または機械式に操作可能な第2弁(70)とを備え、
該第2弁(70)が前記第2流体管路(60)内の流体流れを中断した場合に、前記第1弁(120)によって流体圧を自動的に形成することができる、
ブレーキブースタ(10)であって、
前記シリンダケーシング(20)の内部で、前記第1流体管路(90)から別の流体管路(26)が分岐し、円錐面(131)に開口しており、前記一次ピストン(40)が操作された場合には円錐状の前記拡大部(130)の前後の領域間に圧力均衡を生じさせることができるブレーキブースタ(10)。
【請求項6】
車両のためのブレーキブースタ(10)において、
シリンダケーシング(20)であって、ユーザにより操作可能な一次ピストン(40)を収容するための中央孔部(30)を備え、前記一次ピストン(40)が操作された場合に前記シリンダケーシング(20)の内部に流体圧が形成され、第1流体管路(90)が前記シリンダケーシング(20)内の軸線方向切欠き(80)と流体接続しており、第2流体管路(60)がシリンダケーシング領域(155)で前記中央孔部(30)と流体接続しており、前記第1および第2流体管路(90,60)がそれぞれの別の端部でそれぞれ流体リザーバ(50,100)に流体接続しているシリンダケーシングと、
前記第1および第2流体管路(90,60)を互いに流体接続する第3流体管路(110)と、
該第3流体管路(110)に配置された電気式および/または液圧式および/または機械式に操作可能な第1弁(120)と、
前記流体リザーバ(50)の方向に見て前記第3流体管路(110)と前記第2流体管路(60)との流体接続部の後方で前記第2流体管路(60)に配置された電気式および/または液圧式および/または機械式に操作可能な第2弁(70)とを備え、
該第2弁(70)が前記第2流体管路(60)内の流体流れを中断した場合に、前記第1弁(120)によって流体圧を自動的に形成することができる、
ブレーキブースタ(10)であって、
前記一次ピストン(40)に、少なくとも3つの半径方向シール(200,210,230)が固定されており、前記一次ピストン(40)の非操作状態で前記第2流体管路(60)が前記シリンダケーシング(20)の前記中央孔部(30)と流体接続しているように、前記少なくとも3つの半径方向シール(200,210,230)のうちの少なくとも2つの半径方向シール(200,210)が互いに離間して配置されており、前記少なくとも3つの半径方向シール(200,210,230)のうちの別の半径方向シール(230)が、前記一次ピストン(40)の非操作状態で前記軸線方向切欠き(80)と前記中央孔部(30)とを、互いに対してシールしているブレーキブースタ(10)。
【請求項7】
請求項6に記載のブレーキブースタにおいて、
ユーザにより前記一次ピストン(40)が操作され、前記一次ピストン(40)が前記軸線方向切欠き(80)の方向に変位されることによって、前記別の半径方向シール(230)が、前記軸線方向切欠き(80)内の流体圧を形成するために変位するとともに、前記少なくとも2つの半径方向シール(200,210)が、前記第2流体管路(60)と前記中央孔部(30)との流体接続を中断するために変位する、ブレーキブースタ(10)。
【請求項8】
車両のためのブレーキブースタ(10)において、
シリンダケーシング(20)であって、ユーザにより操作可能な一次ピストン(40)を収容するための中央孔部(30)を備え、前記一次ピストン(40)が操作された場合に前記シリンダケーシング(20)の内部に流体圧が形成され、第1流体管路(90)が前記シリンダケーシング(20)内の軸線方向切欠き(80)と流体接続しており、第2流体管路(60)がシリンダケーシング領域(155)で前記中央孔部(30)と流体接続しており、前記第1および第2流体管路(90,60)がそれぞれの別の端部でそれぞれ流体リザーバ(50,100)に流体接続しているシリンダケーシングと、
前記第1および第2流体管路(90,60)を互いに流体接続する第3流体管路(110)と、
該第3流体管路(110)に配置された電気式および/または液圧式および/または機械式に操作可能な第1弁(120)と、
前記流体リザーバ(50)の方向に見て前記第3流体管路(110)と前記第2流体管路(60)との流体接続部の後方で前記第2流体管路(60)に配置された電気式および/または液圧式および/または機械式に操作可能な第2弁(70)とを備え、
該第2弁(70)が前記第2流体管路(60)内の流体流れを中断した場合に、前記第1弁(120)によって流体圧を自動的に形成することができる、
ブレーキブースタ(10)であって、
前記シリンダケーシング(20)内に流体管路(25)が配置されており、該流体管路(25)が、一方では前記中央孔部(30)に開口し、他方では前記シリンダケーシング(20)の外部に向けて開口し、これにより前記中央孔部(30)における圧力均衡が生じるブレーキブースタ(10)。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか一項に記載のブレーキブースタ(10)において、
逆止弁に接続された圧力蓄積器および/またはABSポンプを備える前記流体リザーバ(100)によって、第1弁(120)を介して流体圧を形成することができるブレーキブースタ。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか一項に記載のブレーキブースタ(10)を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車両もしくは自動車における自動ブレーキのための拡大部を備える機械液圧式ブレーキブースタに関する。
【背景技術】
【0002】
文献US2012/0074769A1により、車両において使用するための機械式の弁を備える液圧式ブレーキブースタが既知である。この文献は、比較的複雑な方式でのみ、車両のブレーキ液リザーバに対して流体の圧力密閉性を達成できるいわゆる「スプール弁」を開示している。さらに、この文献に開示されたブレーキブースタによっては、ユーザもしくはドライバによるブレーキブースタの操作に依存することなしに、すなわち、ドライバの能動的な関与なしに、車両のブレーキシステムもしくはブレーキブースタのブースタチャンバ内にいわば自動的に流体圧を形成することは不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US2012/0074769A1
【発明の概要】
【0004】
本発明は、請求項1に記載の第1態様により、車両のためのブレーキブースタにおいて:シリンダケーシングであって、ユーザにより操作可能な一次ピストンを収容するための中央孔部を備え、一次ピストンが操作された場合にシリンダケーシングの内部に流体圧が形成され、第1流体管路がシリンダケーシング内の軸線方向切欠きと流体接続しており、第2流体管路がシリンダケーシング領域で中央孔部と流体接続しており、第1および第2流体管路がそれぞれの別の端部でそれぞれ流体リザーバに流体接続しているシリンダケーシングと;第1および第2流体管路を互いに流体接続する第3流体管路と;第3流体管路に配置された電気式および/または液圧式および/または機械式に操作可能な第1弁と;流体リザーバの方向に見て第3流体管路と第2流体管路との流体接続部の後方で第2流体管路に配置された電気式および/または液圧式および/または機械式に操作可能な第2弁とを備え;第2弁が第2流体管路内の流体流れを中断した場合に第1弁によって流体圧を自動的に形成することができるブレーキブースタを提案する。
【0005】
請求項11に記載の第2態様により、本発明は、このようなブレーキブースタを備える車両、特に自動車を提案する。
【0006】
提案された方法の利点は、ユーザもしくはドライバの能動的関与なしに、圧力源を介して流体(すなわち、ブレーキ液もしくはブレーキ流体)の圧力形成が可能であり、これにより、ブレーキシステムの制御可能な調整弁に必要に応じてエネルギーを供給するために車両に搭載された圧力供給部の故障もしくは機能不良時のいわゆるフォールバックプランが、例えば圧力蓄積器と組み合わせて得られることである。調整可能な支援と自動的な流体圧形成との組合せにより、例えば力の調整、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)などの機能を実現することができる。液圧機械式のブレーキブースタをABS装置とのみ組み合わせて使用することも、適宜なESPシステムとして使用することを可能にする。同様に、ABSポンプが逆止弁を介して圧力蓄積器に接続された場合には、圧力発生源の冗長性も考慮できる。これにより、圧力蓄積器を適宜な大きさに寸法決めした場合には、通常はブレーキブースタに付属しているポンプを省略することができ、これにより、構成スペースおよびコストが節約される。
【0007】
好ましくは、一次ピストンは、軸線方向切欠きの領域に、一次ピストンに固定された半径方向の円錐状第1拡大部を備え、この円錐状第1拡大部は軸線方向の切欠きの形状に対応しており、一次ピストンは、軸線方向切欠きの内部に配置された第1ばね要素によって予荷重をかけられており、第1ばね要素は、一方では軸線方向切欠きの内壁で貫通開口の周囲において支持され、他方では円錐状第1拡大部の円錐面の反対側に位置する平面において支持され、円錐状第1拡大部の円錐面は、一次ピストンの非操作状態で、対応して形成された切欠きと共にシリンダケーシング内の流体のためのシールを形成している。
【0008】
さらに好ましくは、ユーザにより一次ピストンが操作された状態で、すなわち、一次ピストンが変位された状態で、第1ばね要素の予荷重力に抗して円錐状第1拡大部が軸線方向切欠きの対応した面から解放され、第1拡大部から離間されて一次ピストンに固定された半径方向の第2拡大部が、円錐面を備え、この円錐面に対応してシリンダケーシングに形成された面にシールされた状態で当接しており、これにより第2流体管路が閉じられており、第1拡大部の変位により軸線方向切欠きの内部で流体圧が高められている。
【0009】
好ましくは、シリンダケーシングの内部で、第1流体管路から分岐した別の流体管路が円錐面に開口しており、一次ピストンが操作された場合には円錐状拡大部の前後の領域間に圧力均衡を生じさせることができる。このことは、ブレーキペダルもしくは一次ピストンを操作する場合にドライバを支援する。
【0010】
好ましくは、第2ばね要素は第2拡大部と、第2拡大部から離間して一次ピストンに固定されたストッパ要素との間に配置されており、第2ばね要素は、一方ではストッパ要素で支持され、他方では円錐状第2拡大部の円錐面の反対側に位置する平面で支持され、これにより一次ピストンが変位すなわち操作された場合に第2ばね要素の予荷重力に基づいて、第2拡大部の円錐面とシリンダケーシングの対応した面との間に比較的効果的なシールが得られ、シール部における流入量調整もしくは軸線方向切欠き内における圧力形成を適宜に行う可能性がユーザに提供される。
【0011】
さらに好ましくは、一次ピストンには円錐状の第1および第2拡大部の代わりにそれぞれ半径方向シールが固定されており、一次ピストンの非操作状態では第2流体管路がシリンダケーシングの中央孔部と流体接続しているように少なくとも2つの半径方向シールが互いに離間して配置されており、別の半径方向シールが、一次ピストンの非操作状態で軸線方向切欠きと中央孔部とを、互いに対してシールしている。
【0012】
好ましくは、ユーザにより一次ピストンが操作された状態で、すなわち、一次ピストンが軸線方向切欠きの方向に変位された状態で、軸線方向切欠きと中央孔部との間のシールは流体圧を形成するために持ち上げられており、互いに離間された両方の半径方向シールは一次ピストンによって変位されており、これにより第2流体管路と中央孔部との流体接続が中断される。
【0013】
好ましくは、第2ばね要素は、一方ではストッパ要素で支持され、他方ではシリンダケーシングで支持され、これにより、シール部における流入量調整もしくは軸線方向切欠き内における圧力形成を適宜に行う可能性がユーザに提供される。
【0014】
さらに好ましくは、逆止弁に接続された圧力蓄積器および/またはABSポンプを備える流体リザーバによって、第1弁を介して流体圧を形成することができる。これにより、圧力発生源を省略することができ、コストおよびスペースが節約される。
【0015】
さらに好ましくは、シリンダケーシング内に流体管路が配置されており、この流体管路は、一方では中央孔部に開口し、他方ではシリンダケーシングの外部に向けて開口し、これにより中央孔部内において加圧されている流体の圧力均衡が生じ、ひいてはブレーキプロセスにおける支援が得られる。
【0016】
次に図面に関連した実施形態に基づき本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態を非操作状態で示す概略断面図である。
【
図2】本発明の実施形態を操作状態で示す概略断面図である。
【
図3】本発明の別の実施形態を操作状態で示す概略断面図である。
【
図4】本発明の別の実施形態を非操作状態で示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の実施形態にしたがって以下にさらに詳細に説明する主要構成要素を含めて、ブレーキブースタ10のシリンダケーシング20を概略的な断面図で示している。この場合、車両もしくは自動車の完全なブレーキシステムに付属のその他の構成要素は、見やすくするため、および本発明をより簡単に理解するために省略されている。
【0019】
このブレーキブースタは、中央孔部30を備えるシリンダケーシング20を含み、一次ピストン40がこの中央孔部30を貫通する。従来技術により既知のように、ピストン40は孔部30を通って案内されるが、所定の側方遊びを備え、ピストン40と孔部30との間を(ブレーキ)流体が流れることができるように、中央孔部30の内径もしくは一次ピストン40の外径が寸法決めされている。
【0020】
リザーバ50には流体が貯蔵されており、リザーバ50は流体管路(第2流体管路)60を介して中央孔部30と流体接続している。流体管路60には第2弁70が配置されている。第2弁70の機能については以下にさらに説明する。
【0021】
図1に示した実施形態によれば、中央孔部30は、シリンダケーシング20の内部の所定区分において中央孔部30から軸線方向切欠き80に拡大し、(第1)流体管路90を介して圧力/容積源100(以下にさらに説明する)に流体接続している。
【0022】
第1流体管路90と第2流体管路60とは、第3流体管路110を介して互いに流体接続しており、第1弁120が第3流体管路110に配置されている。第1弁120の機能については以下にさらに説明する。
【0023】
図1では、2つの円錐状拡大部130,140が一次ピストン40に固定されており、円錐状拡大部130は軸線方向切欠き80の内部に配置されており、円錐状拡大部140はシリンダケーシング20の外部に配置されている。円錐状拡大部130,140もしくはこれら円錐状拡大部の円錐面131,141は、それぞれ軸線方向切欠き80の面135もしくはシリンダケーシング20の端面150の設けられた面145の形状に合わせて形成されている。
【0024】
軸線方向切欠き80の内部に配置された第1ばね要素160は、円錐状拡大部130、ひいては一次ピストン40に予荷重をかけ、ばね要素160は、一方では軸線方向切欠きの面81で支持され、他方では円錐状拡大部130の平面132で支持される。
【0025】
第2ばね要素170は、円錐状拡大部140もしくは平面142と、一次ピストン40に固定されているストッパ要素180との間に同様に予荷重をかける。
【0026】
図1は、非操作状態のブレーキブースタ10を示す。すなわち、ドライバは、一次ピストン40に連結されたブレーキペダル(ここには図示しない)を操作していない。したがって、円錐状拡大部130もしくは円錐面131は、密閉状態で面135に当接しており、円錐状拡大部140の円錐面141は面145に当接しておらず、したがって流体管路60は中央孔部30と流体接続している。
【0027】
図2に示唆されているように、力(
図2に矢印190によって示す)が一次ピストン40に加えられた場合、流体管路60は円錐面141により閉じられ、円錐状拡大部130は一次ピストン40によって
図2では左方向に変位され、これにより、軸線方向切欠き80の内部の流体を圧縮する。すなわち、流体に圧力が加えられ、流体管路26を介して、円錐状拡大部の前後の流体の間に圧力均衡を得ることができ、このことは、以下にさらに説明するように、ブレーキブースタが自動的に作動している場合にブレーキプロセスにおいてドライバを支援するために用いられる。
【0028】
再び
図1に関して、車両に搭載された圧力供給部の故障もしくは機能不良が生じた場合におけるそれぞれの弁70、120の機能を説明する。この場合、弁70は閉じられ(これについては、
図1および
図2の弁70の異なる記号表示を参照されたい)、リザーバ50による流体供給は中断される。同時に、ドライバが一次ピストン40に連結されたブレーキペダル(ここには図示しない)を操作する必要なしに、弁120を介して圧力/容積源100の流体圧を高めることができる。これにより、ブレーキブースタ10は、自動的に、すなわち、ドライバの能動的な介入なしに流体圧を形成することができ、必要に応じて比較的迅速に車両を制動するために流体圧を「呼び出す」ことができる。このようなことは、例えば、アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)との関連で有利である。なぜなら、ドライバはブレーキペダルを不必要に操作する必要がなくなり、これによりACCの機能が即座に無効化されるからである。
【0029】
圧力供給源として、適宜に寸法決めされた圧力蓄積器もしくは、いずれにせよほとんどの車両に設けられているABSポンプを逆止弁と組み合わることも可能であり、これによりブレーキブースタ10のための専用ポンプが不要になり、コストおよび構成スペースが節約される。したがって、ABS装置と組み合せてブレーキブースタをESPシステムとして使用することも可能である。
【0030】
図3および
図4は本発明の別の実施形態を示し、この場合、同じ符号は同じ要素に関係しており、
図3は操作状態を示し、
図4は非操作状態を示す。
【0031】
図1および
図2に示した実施形態とは異なり、円錐状拡大部の機能は、一次ピストン40に固定された半径方向シール200,210および230によって引き受けられる(
図3および
図4にはそれぞれアルファベット「A」によって示す楕円形によってわかりやすいように強調されている)。
【0032】
この場合、
図3はブレーキブースタ10の操作状態を示す。すなわち、半径方向シール200,210は、貫通孔部30とリザーバ50との間の流体接続が中断されるようにそれぞれ流体管路60の流体供給部に隣接している。同時に、
図3の半径方向シール230は、図面では左側に変位されており、これにより軸線方向切欠き80の流体圧は高められ、この流体圧は流体管路90を介してブレーキシステムに伝達される。
【0033】
図4は、ブレーキブースタ10の非操作状態を示す。すなわち、半径方向シール200,210は、リザーバ50が貫通孔部30と流体接続するように流体管路60の供給部に隣接している。同時に、半径方向シール230は軸線方向切欠き80を残りの貫通孔部30に対してシールしており、したがってドライバによって軸線方向切欠き80の内部に力が形成されることはない。弁70,120の機能は、
図1および
図2に関して上述した機能に類似している。
【0034】
図1〜
図4にはそれぞれ流体管路25を見ることができ、この流体管路の一端は中央孔部30に開口しており、他端はシリンダケーシング20の外部に向けて開口している。これにより中央孔部30と一次ピストン40との間の流体とシリンダケーシング20の外部空間との間の圧力均衡を得ることができる。
【0035】
最後に、
図3について述べておくが、一次ピストン40はシリンダケーシング20の端部250において半径方向シール240によってシールされており、同様のことが他の図面についてもいえる。
【0036】
さらに
図1に関して符号260により、いわゆる「反応ディスク」が示されており、反応ディスクには、当業者には既知のように、ブレーキマスタシリンダ(ここには図示しない)が連結されている。
【0037】
ここで、
図1〜
図4に示した寸法は実寸大ではないことに留意されたい。