(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のタイヤ試験機では、チャッキング動作において、タイヤをコンベアで下降させて、下リムに載置する際に、タイヤがバウンドする可能性がある。また、デチャッキング動作において、コンベアでタイヤを下リムから剥離する際に、タイヤがバウンドする可能性がある。そして、チャッキング動作時に、タイヤがバウンドすると、タイヤが正しく上下チャックで挟めず、チャッキング不良が発生し、性能試験を実施することが難しくなる可能性がある。性能試験を実施することができたとしても、チャッキング不良によって、タイヤの性能試験を正しく実施できない可能性がある。また、デチャッキング動作時に、タイヤがバウンドすると、コンベアにタイヤが正しく積載されず、コンベアでタイヤを搬出できなくなる可能性がある。コンベアでタイヤを搬出できたとしても、タイヤマーク位置にタイヤを正しく位置決めできない可能性がある。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、チャッキング動作またはデチャッキング動作において、タイヤのバウンドを防止することができるタイヤ試験機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係るタイヤ試験機は、上下方向に移動可能に構成
されてタイヤを倒伏状態で載置して搬送するコンベアと、前記タイヤの軸心にその中心位置を合わせて、前記タイヤを上下両側から挟み込む上リム及び下リムと、前記上リム及び前記下リムがそれぞれ先端に装着されると共に、前記タイヤを回転させる上スピンドル及び下スピンドルと、を有し、前記上スピンドル及び前記下スピンドルが接近及び離間するように構成されて前記タイヤを上下両側から挟み込む上チャック及び下チャックからなるチャッキング機構と、
前記下チャック内に配置された伸縮可能かつ回転可能であって前記上チャックと係合可能なプランジャと、を備え、前記コンベアで搬送された前記タイヤの上面と前記上リムが接触するまで前記上スピンドルを下降させ
ると共に、前記プランジャを上方に延伸を開始させた後、前記コンベアを前記上スピンドルと同速度で下降させて前記タイヤを前記上リムと前記コンベアで挟み込んだ状態で前記タイヤを前記下リムに載置させ
て前記プランジャを前記上チャックに係合させると、前記上チャックの下降を停止して、更に前記コンベアを下降させて前記タイヤを前記上リム及び前記下リムとで挟み込むチャッキング動作を行うことを特徴とする。
【0008】
これによると、タイヤ試験機のチャッキング動作で、タイヤが下リムに載置されるまでの間、タイヤが上リムとコンベアで挟み込まれた状態で維持される。そのため、タイヤがバウンドすることを防ぐことができる。
また、タイヤ試験機は、下チャック内に配置された伸縮可能かつ回転可能であって上チャックと係合可能なプランジャを更に備える。そして、チャッキング動作は、コンベアで搬送されたタイヤの上面と上リムが接触するまで上スピンドルを下降させると共に、プランジャを上方に延伸を開始させた後、コンベアを上スピンドルと同速度で下降させてタイヤを上リムとコンベアで挟み込んだ状態でタイヤを下リムに載置させてプランジャを上チャックに係合させると、上チャックの下降を停止して、更にコンベアを下降させてタイヤを上リム及び下リムとで挟み込む。これにより、タイヤがバウンドすることを
より防止することができる。
【0009】
また、本発明に係るタイヤ試験機は、上下方向に移動可能に構成
されてタイヤを倒伏状態で載置して搬送するコンベアと、前記タイヤの軸心にその中心位置を合わせて、前記タイヤを上下両側から挟み込む上リム及び下リムと、前記上リム及び前記下リムがそれぞれ先端に装着されると共に、前記タイヤを回転させる上スピンドル及び下スピンドルと、を有し、前記上スピンドル及び前記下スピンドルが接近及び離間するように構成されて前記タイヤを上下両側から挟み込む上チャック及び下チャックからなるチャッキング機構と、
前記下チャック内に配置された伸縮可能かつ回転可能であって前記上チャックと係合可能なプランジャと、を備え、前記上リム及び前記下リムで挟み込まれた前記タイヤの下面と前記コンベアが接触するまで前記コンベアを上昇させ
ると共に、前記プランジャを下方に短縮を開始させた後、前記上スピンドルを前記コンベアと同速度で上昇させて、前記タイヤを前記上リムと前記コンベアで挟み込んだ状態で前記タイヤを前記下リムから剥離させ、更に前記上スピンドルを上昇させて前記タイヤを前記コンベアに載置するデチャッキング動作を行うことを特徴とする。
【0010】
これによると、タイヤ試験機のデチャッキング動作で、タイヤが下リムから剥離される際、タイヤが上リムとコンベアで挟み込まれた状態で維持される。そのため、タイヤがバウンドすることを防ぐことができる。
また、タイヤ試験機は、下チャック内に配置された伸縮可能かつ回転可能であって上チャックと係合可能なプランジャを更に備える。そして、デチャッキング動作は、上リム及び下リムで挟み込まれたタイヤの下面とコンベアが接触するまでコンベアを上昇させると共に、プランジャを下方に短縮を開始させた後、上スピンドルをコンベアと同速度で上昇させて、タイヤを上リムとコンベアで挟み込んだ状態でタイヤを下リムから剥離させ、更に上スピンドルを上昇させてタイヤをコンベアに載置する。これにより、タイヤがバウンドすることを
より防止することができる。
【0011】
また、本発明に係るタイヤ試験機は、上下方向に移動可能に構成
されてタイヤを倒伏状態で載置して搬送するコンベアと、前記タイヤの軸心にその中心位置を合わせて、前記タイヤを上下両側から挟み込む上リム及び下リムと、前記上リム及び前記下リムがそれぞれ先端に装着されると共に、前記タイヤを回転させる上スピンドル及び下スピンドルと、を有し、前記上スピンドル及び前記下スピンドルが接近及び離間するように構成されて前記タイヤを上下両側から挟み込む上チャック及び下チャックからなるチャッキング機構と、
前記下チャック内に配置された伸縮可能かつ回転可能であって前記上チャックと係合可能なプランジャと、を備え、前記コンベアで搬送された前記タイヤの上面と前記上リムが接触するまで前記上スピンドルを下降させ
ると共に、前記プランジャを上方に延伸を開始させた後、前記コンベアを前記上スピンドルと同速度で下降させて前記タイヤを前記上リムと前記コンベアで挟み込んだ状態で前記タイヤを前記下リムに載置させ
て前記プランジャを前記上チャックに係合させると、前記上チャックの下降を停止して、更に前記コンベアを下降させて前記タイヤを前記上リム及び前記下リムとで挟み込むチャッキング動作を行い、前記上リム及び前記下リムで挟み込まれた前記タイヤの下面と前記コンベアが接触するまで前記コンベアを上昇させ
ると共に、前記プランジャを下方に短縮を開始させた後、前記上スピンドルを前記コンベアと同速度で上昇させて、前記タイヤを前記上リムと前記コンベアで挟み込んだ状態で前記タイヤを前記下リムから剥離させ、更に前記上スピンドルを上昇させて前記タイヤを前記コンベアに載置するデチャッキング動作を行うことを特徴とする。
【0012】
これによると、タイヤ試験機のチャッキング動作で、タイヤが下リムに載置されるまでの間、タイヤが上リムとコンベアで挟み込まれた状態で維持される。また、タイヤ試験機のデチャッキング動作で、タイヤが下リムから剥離される際、タイヤが上リムとコンベアで挟み込まれた状態で維持される。そのため、タイヤがバウンドすることを防ぐことができる。
また、タイヤ試験機は、下チャック内に配置された伸縮可能かつ回転可能であって上チャックと係合可能なプランジャを更に備える。そして、チャッキング動作は、コンベアで搬送されたタイヤの上面と上リムが接触するまで上スピンドルを下降させると共に、プランジャを上方に延伸を開始させた後、コンベアを上スピンドルと同速度で下降させてタイヤを上リムとコンベアで挟み込んだ状態でタイヤを下リムに載置させてプランジャを上チャックに係合させると、上チャックの下降を停止して、更にコンベアを下降させてタイヤを上リム及び下リムとで挟み込む。また、デチャッキング動作は、上リム及び下リムで挟み込まれたタイヤの下面とコンベアが接触するまでコンベアを上昇させると共に、プランジャを下方に短縮を開始させた後、上スピンドルをコンベアと同速度で上昇させて、タイヤを上リムとコンベアで挟み込んだ状態でタイヤを下リムから剥離させ、更に上スピンドルを上昇させてタイヤをコンベアに載置する。これにより、タイヤがバウンドすることを
より防止することができる。
【0013】
ここで、
上記タイヤ試験機において、前記コンベアは、前記タイヤの搬送方向に対して異なる位置に設けられた複数のガイドに誘導されて上下方向に移動可能に構成されて良い。
さらに、上記タイヤ試験機において、前記コンベアは、
エアシリンダ、油圧シリンダ、または、駆動機にサーボモータを具備する電動シリンダにより上下方向に移動可能に構成されて良い。
【0014】
これによると、
ガイドがコンベアの上下動を誘導(ガイド)することができる。そして、コンベアがタイヤに接触するまでの動作を正しく行うことができる。また、
電動シリンダを用いると、コンベアの速度を、上スピンドルと正しく同期することができる。
さらに、電動シリンダを用いると、サーボモータの有する位置制御の機能により、電動シリンダのシリンダ部分の高さ、ひいてはセンターコンベアの位置を容易に把握できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のタイヤ試験機は、チャッキング動作またはデチャッキング動作において、タイヤのバウンドを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係るタイヤ試験機を実施するための形態について、具体的な一例に即して説明する。
【0018】
尚、以下に説明するものは、例示したものにすぎず、本発明に係るタイヤ試験機の適用限界を示すものではない。すなわち、本発明に係るタイヤ試験機は、下記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいてさまざまな変更が可能なものである。
【0019】
(タイヤ試験機の構成)
図1〜5に基づいて、本実施形態に係るタイヤ試験機100の構成について説明する。
【0020】
(タイヤ試験機のコンベアの構成)
図2及び
図3に示すように、タイヤ試験機100は、試験対象となるタイヤを倒伏状態で載置して搬送するコンベアを備える。コンベアは、ベルトコンベアである入口コンベア35、センターコンベア28、及び、出口コンベア34を有する。各コンベア35,28,34は、タイヤ10を搬送方向Dに搬送するように配置されている。
【0021】
入口コンベア35は、図示しない客先コンベアから搬送されて投入されるタイヤ10を倒伏状態で載置して、センターコンベア28に搬送する。センターコンベア28は、入口コンベア35の下流側に接続されて、後述する下チャック2及び上チャック5からなるチャッキング機構内に配置される。出口コンベア34は、センターコンベア28の下流側に接続されて、各種性能試験を行ったタイヤ10を搬送する。
【0022】
ここで、センターコンベア28は、入口コンベア35から受け取ったタイヤ10を、チャッキング機構を構成する下チャック2及び上チャック5に設けられた縦向きの下スピンドル19及び上スピンドル24の回転中心位置に送り込む。回転中心位置は、後述する下スピンドル19のプランジャ(スピンドル芯)20となる。
【0023】
図2及び
図4に示すように、センターコンベア28は、幅方向の左右両側に設けられた一対の搬送ベルト28aにより形成される。一対の搬送ベルト28aは、輪状のベルトにより形成されて、それぞれ、搬送方向の前に設けられたベルト駆動プーリ28bと搬送方向の後に設けられたベルト従動プーリ28cとの間に掛け渡される。ベルト駆動プーリ28bの駆動軸は、その端部がベルトコンベア用サーボモータ48に接続される。そして、ベルトコンベア用サーボモータ48を回転させることにより、駆動軸を介して、ベルト駆動プーリ28bが回転する。そして、搬送ベルト28aが駆動されると共に、ベルト従動プーリ28cが回転する。以上により、センターコンベア28が駆動される。
【0024】
また、
図4に示すように、センターコンベア28には、エアシリンダ49が接続されている。また、センターコンベア28は、エアシリンダ49を挟んで、LMガイド
60を搬送方向の前方と後方に2本装備する。LMガイド
60には、
図2に示すように、略L字型のフレーム
60aが備えられる。エアシリンダ49は、フレーム
60aを介してセンターコンベア28を構成する一対の搬送ベルト28aを下方から支えるように配置される。そして、エアシリンダ49が上下方向に駆動(拡縮)することにより、センターコンベア28が上下方向に移動可能に構成される。尚、LMガイド
60は、エアシリンダ49によるセンターコンベア28の上下動のガイドの役割をしている。
【0025】
ここで、エアシリンダ49は、図示しないスピードコントローラが具備された電磁弁(以下、「エアシリンダ用電磁弁」という)の制御に伴い、後述する可動ビーム4を介した上チャック5の昇降と同期して、同じ速度で昇降できるよう構成される。即ち、エアシリンダ49を駆動させるエアシリンダ用電磁弁及び可動ビーム4を駆動させるモータ41a,41bは、図示しないコントローラに接続されて、互いに同期して駆動できるように構成される。
【0026】
(タイヤ試験機のチャッキング機構の構成)
図1に示すように、タイヤ試験機100は、下チャック2及び上チャック5からなるチャッキング機構と、下フレーム1、下フレーム1上に取り付けられた一対の鉛直フレーム3a,3b、鉛直フレーム3a,3bに取り付けられたスライドガイド部としてのリニアガイド40a,40b、リニアガイド40a,40b間に架け渡された可動ビーム4を有する。下チャック2は、固定側チャックであって、下フレーム1に取り付けられる。下チャック2は、上チャック5は、移動側チャックであって、可動ビーム4に取り付けられる。
【0027】
下フレーム1は、例えば鋼板の溶接はり合わせ構造や、H型、I型等の鋼材からなり、水平方向に延在している。
【0028】
鉛直フレーム3a,3bは、例えば鋼板の溶接はり合わせ構造や、角型鋼管からなり、下フレーム1の上面にボルト・ナット等を介して固定されている。鉛直フレーム3a,3bは、それぞれ下フレーム1の両端部に固定されており、下フレーム1から鉛直方向上方に向けて延在させられている。また、鉛直フレーム3a,3bにおける互いに対向する側面には、それぞれリニアガイド40a,40bが取り付けられている。鉛直フレーム3a,3bには、それぞれボールねじ7a,7b(ねじ軸)が取り付けられている。ボールねじ7a,7bは、鉛直フレーム3a,3bそれぞれの内部空間内において、鉛直方向に延在させられている。
【0029】
可動ビーム4は、例えば鋼板の溶接はり合わせ構造や、H型、I型等の鋼材からなり、その両端がボールねじ7a,7bそれぞれのナット部分と接続されている。可動ビーム4は、ボールねじ7a,7bおよびリニアガイド40a,40bを介して一対の鉛直フレーム3a,3bに支持されている。また、可動ビーム4は、リニアガイド40a,40bにガイドされつつボールねじ7a,7bの回転により上昇または下降する。可動ビーム4の鉛直方向位置は、いずれか一方の鉛直フレーム3a,3b(本実施形態では鉛直フレーム3b)に設けられた直線センサ(リニアセンサ)8により検出される。
【0030】
ボールねじ7a,7bの下端には、それぞれ、モータ41a,41bが直接連結されている。これらのモータ41a,41bによりボールねじ7a,7bは回転させられる。なお、モータ41a,41bは同期駆動される。
【0031】
ボールねじ7a,7bの、モータ41a,41bと可動ビーム4との間の部分には、それぞれ、円盤に多数の穴(図示せず)が穿孔された円形ディスク13a,13bが設けられている。円形ディスク13a,13bは、それぞれ、ボールねじ7a,7bの、モータ41a,41bと可動ビーム4との間の部分に固定されている。円形ディスク13a,13bの中心とボールねじ7a,7bの軸心とは一致させられている。
【0032】
円形ディスク13a,13bそれぞれの穴にエアシリンダ44a,44bで駆動されるピンを挿入し、円形ディスク13a,13bそれぞれが固定され、これによってボールねじ7a,7bの回転を停止させる。これにより、円形ディスク13a,13b及びそれぞれの穴と、エアシリンダ44a,44b及びエアシリンダ44a,44bで駆動されるピンは、可動ビーム停止機構として機能する。そして、下チャック2と上チャック5との間に挟持されたタイヤ10の内部空間に空気またはガス(窒素ガスなど)が供給された際に、可動ビーム4を上昇不能に固定する。これにより、上チャック5は可動ビーム4を介して下チャック2に対して上昇不能に固定される。
【0033】
なお、円形ディスク13a,13bそれぞれの穴の個数、形状、各部寸法、配置(円形ディスク13a,13bの中心からの距離など)は、ボールねじ7a,7bのピッチなどに基づいて決定される。
【0034】
エアシリンダ44a,44bは、それぞれ、シリンダ本体と断面形状が円形のピンとから構成されている。エアシリンダ44a,44bを構成するそれぞれのピンは、シリンダ本体に給排される空気の圧により、シリンダ本体から進退するようになっている。なお、エアシリンダ44a,44bを構成するシリンダ本体は、それぞれ、鉛直フレーム3a,3bなどの静止物(固定物)に固定される。
【0035】
なお、エアシリンダ44a,44bに換えて、油圧シリンダなどを用いてもよいし、さらには、作業員が手動で円形ディスク13a,13bそれぞれの穴にエアシリンダ44a,44bで駆動されるピンを挿入してもよい。
【0036】
上チャック5は、可動ビーム4の長手方向中央であってその下面から下方に延在するように可動ビーム4に取り付けられている。
【0037】
上チャック5は、可動ビーム4に固定された外側ハウジング23と、外側ハウジング23内に配置された回転可能な上スピンドル24と、上スピンドル24の下端部の外周側に固定された上リム30と上スピンドル24の下端部の中央側に形成された鉛直下方に向かって拡がりつつ開口するメス状テーパ部27とを有する。
【0038】
このメス状テーパ部27に、下チャック2の後述するプランジャ20の上端部に形成されるオス状テーパ21が挿入されて係合する。上スピンドル24の下端部のメス状テーパ部27、すなわち、上スピンドル24の下端部の内側面は、プランジャ20の上端部と同じ角度で鉛直方向に対して傾斜した傾斜面とされている。
【0039】
上リム30は、上スピンドル24の下端部を囲むように配置されており、上スピンドル24とともに鉛直方向に沿った軸を中心として回転可能である。
【0040】
また、上スピンドル24の内部には、鉛直方向に沿って、上端から下端まで空気が通る穴である空気供給通路25aが設けられている。空気供給通路25aは、可動ビーム4の上端に配置されたロータリージョイント26に接続されている。
【0041】
下チャック2は、下フレーム1の長手方向中央であってその上面から上方に延在するように下フレーム1に取り付けられている。
【0042】
下チャック2は、下フレーム1に固定された外側ハウジング18と、外側ハウジング18内に配置された回転可能な下スピンドル19と、下スピンドル19内に配置された伸縮可能なプランジャ20と、下スピンドル19の上端部に固定された下リム29とを有する。
【0043】
下スピンドル19は、
図2に示すモータ(回転機構)31と接続されている。そして、モータ31の駆動により、下スピンドル19は、鉛直方向に沿った軸を中心として回転する。ここで、下スピンドル19の回転数は、モータ31が備える駆動機構により制御される。プランジャ20は、下スピンドル19とともに鉛直方向に沿った軸を中心として回転可能であるとともに、下スピンドル19が鉛直方向に伸縮不能であるのに対し、エアシリンダ22a,22bの駆動により鉛直方向に伸縮(下スピンドル19に対して相対移動する)可能である。
【0044】
プランジャ20は、棒形状部材であり、その上端部は、先端に向かうにつれて狭くなるように外側面が鉛直方向に対して傾斜した傾斜面を有するテーパ形状の凸部(オス状テーパ)21が形成される。下リム29は、下スピンドル19の上端部を囲むように配置されており、下スピンドル19とともに鉛直方向に沿った軸を中心として回転可能である。
【0045】
プランジャ20のガイド部材20aには、
図5に示すリニアセンサ(直線センサ)36が取り付けられている。ガイド部材20aはプランジャ20に固定されており、プランジャ20と一緒に動く。このリニアセンサ36は、上チャック5(上リム30)の下チャック2(下リム29)に対する位置(鉛直方向位置)を検出するためのセンサであり、デジタル式の直線センサとされている。デジタル式の直線センサは分解能が高いので、デジタル式の直線センサを用いることで、上チャック5(上リム30)の下チャック2(下リム29)に対する位置を精度良く検出することができる。このプランジャ20の延伸量によって上チャック5の下チャック2に対する位置決めが行われ、またその決められた位置にて円形ディスク13a,13bの穴にピンが挿入される。
【0046】
なお、リニアセンサ36は、デジタル式である必要はなく、アナログ式のリニアセンサを用いてもよい。また、リニアセンサ36はプランジャ28自体に取り付けられているが、エアシリンダ22a,22bに内蔵されたデジタル式またはアナログ式のリニアセンサであってもよい。また、プランジャ20の両ストローク端を検出するために、両ストローク端にリミットスイッチを取り付けても良い。
【0047】
プランジャ20の上端部の内部には空気供給通路25bが設けられている。この空気供給通路25bは、上スピンドル24に設けられた空気供給通路25aとタイヤ10の内部空間とを連通させる通路である。
【0048】
上チャック5および下チャック2は、下フレーム1の長手方向中央において、互いに鉛直方向に対向する位置に配置されている。すなわち、下チャック2の下スピンドル19、プランジャ20、および下リム29の回転軸は、上チャック5の上スピンドル24、および上リム30の回転軸と一致している。
【0049】
更に、下スピンドル19には、図示しないロードセルが配置されても良い。
【0050】
(タイヤ試験機のドラムの構成)
次に、
図2を参照し、タイヤ試験機100のドラム50の構成について説明する。
【0051】
ドラム50は、扁平な円柱状でかつ中心に回転軸を備え、支持枠52に鉛直方向を中心に回転可能に軸支されている。ドラム50の回転軸の下端には、ドラム50を回転させるための図示しないモータが連結されることも可能である。
【0052】
支持枠52には、移動機構51が備えられる。移動機構51は、支持枠52を介してドラム50を搬送方向Dとほぼ直交する方向に沿って水平方向に移動させるものであり、ドラム50及び支持枠52を一体に水平方向、すなわち下チャック2の下スピンドル19と上チャック5の上スピンドル24との間に挟持されたタイヤ10に対して接近及び離反する方向に移動させることができる。移動機構は、送り部分をボールねじ、エアシリンダ等で構成し、ガイド部分をころ入りのリニアレールウェイ、機械加工面どうしを合わせたレール等で構成することができる。ドラム50の回転軸の両端にはタイヤ10の押し付け荷重を検出する図示しないロードセルが配置されている。ドラム50は、そのロードセルを介して、支持枠52に取り付けられている。
【0053】
(タイヤ試験機のチャッキング動作)
次に、本実施形態に係るタイヤ試験機100におけるチャッキング動作について、
図6A〜
図6Eに基づいて説明する。なお、以下に述べるタイヤ試験機100のチャッキング動作は、タイヤ試験機100のコントローラ(図示せず)によって制御される。
【0054】
図6Aに示すように、タイヤ10は、入口コンベア35上に投入される。入口コンベア35上で、揺動可能なアーム部材(
図2参照)の先端に設けられた保持ローラをタイヤ10の外周面に接触させて、タイヤ10をその入口コンベア35上の所定の位置に保持する。そして、保持ローラの回転に伴ってタイヤ10はその位置で回転され、タイヤ10のビード部に図示しないビードルブリケータ(単に「ルブリケータ」ともいう)により潤滑剤が塗布される。その後、入口コンベア35とセンターコンベア28が同期して駆動され、タイヤ10は、入口コンベア35からセンターコンベア28上に送り出される。そして、タイヤ10は、
図1に示す下チャック2の下リム29の上方(真上)に搬送される。
【0055】
ここで、タイヤ10が入口コンベア35からセンターコンベア28上の下リム29の真上に送り出される間、可動ビーム4は、待機位置となる最上昇位置または上チャック5がタイヤ10の幅に応じたタイヤ10に干渉しない待機位置にて停止している。可動ビーム4の待機位置が、タイヤ10の幅に応じて、上リム30がタイヤ10に干渉しない程度のできるだけ下方の位置に設定されることにより、上チャック5の待機位置から後述の試験位置に向けての下降にかかる時間を短縮することができる。
【0056】
次に、
図6Bに示すように、センターコンベア28でタイヤ10を下リム29の真上に搬送した後、可動ビーム4を介して上チャック5は、待機位置から下方への移動(下降)を開始する。可動ビーム4の下降はボールねじ7a,7bの回転に伴うものであり、直線センサ8によって可動ビーム4の位置が監視されつつモータ41a,41bの駆動が制御される。可動ビーム4を介した上チャック5の下降の開始とほぼ同時に、エアシリンダ22a,22bの駆動によって下チャック2のプランジャ20が上方への延伸を開始する。ここで、センターコンベア28は、タイヤ10を載置した状態でそのまま待機する。
【0057】
そして、
図6Cに示すように、上リム30がタイヤ10の上面に接触する位置に到達したことを直線センサ8で検知すると、エアシリンダ用電磁弁が制御され、そのエアシリンダ用電磁弁の制御に伴い、エアシリンダ49が駆動されてセンターコンベア28が下降される。尚、直線センサ8は、可動ビーム4の下降距離に基づいて、上リム30がタイヤ10の上面に接触する位置に到達したことを検知する。下降距離は、可動ビーム4の待機位置からセンターコンベア28の搬送面までの距離から、センターコンベア28の搬送面からタイヤ10の上面側のビード位置までの距離を引いて算出された距離である。また、下降距離を、算出された距離を基準として、押し込みまたは接触手前の位置になるようオフセットを設定することも可能とする。タイヤ10の上面側のビード位置は試験レシピ情報の中のタイヤ寸法情報を使用する。
【0058】
ここで、センターコンベア28の下降速度と可動ビーム4を介した上チャック5(上スピンドル24)の下降速度が同じ速度となり、センターコンベア28と可動ビーム4が同期して下降するよう、構成されている。これにより、タイヤ10は、上リム30と、センターコンベア28とで挟み込んだ状態で下降される。
【0059】
尚、センターコンベア28の下降速度あるいは上昇速度の調整は、エアシリンダ49に接続されているエアシリンダ用電磁弁の調整により行われる。ここで、エアシリンダ用電磁弁の調整とは、より詳しくは、そのエアシリンダ用電磁弁におけるスピードコントローラでエアシリンダ49へ供給、もしくはエアシリンダ49から排出されるエアの流量を調整することを意味する。また、可動ビーム4の下降速度あるいは上昇速度の調整はボールねじ7a,7bの回転速度、ひいては、モータ41a,41bの回転速度を調整することによって、行われる。
【0060】
そして、プランジャ20の上端部にあるオス状テーパ21と上スピンドル24の下端部にあるメス状テーパ27と係合して試験位置(下リム29及び上リム30の間隔がタイヤ10に応じた規定のビード幅となる位置)に至ったことを直線センサ8が検出すると、可動ビーム4の下降を停止して、タイヤ10を、下リム29に載置する。
【0061】
ここで、プランジャ30の上端部にあるオス状テーパ21が上スピンドル47の下端部にあるメス状テーパ部27に係合することで下チャック5の軸心と上チャック2の軸心とが一致する。プランジャ30の延伸量はリニアセンサ36により監視され、これによって上チャック5の下チャック2に対する位置が監視される。リニアセンサ36により検出されたプランジャ30の延伸量に基づいて、チャックされたタイヤ10に適切なリム幅間隔に上チャック5が位置決めされる。ここで、リニアセンサ36は、図示しない制御機構に対して、位置決めされたことを出力する。この時、可動ビーム停止機構により、エアシリンダ44a,44bにより円形ディスク13a,13bの穴にピンが挿入されて、ボールねじ7a,7bが固定され、上チャック5は可動ビーム4を介して下降不能に固定される。これにより、タイヤ10のインフレーション後の分離力を保持する。
【0062】
次に、
図6Dに示すように、センターコンベア28を更に下降させて、タイヤ10の下面から離間させ、タイヤ10を上リム30と下リム29との間にチャッキングする。センターコンベア28は、下降限の待機位置まで下降して、エアシリンダ用電磁弁の制御に伴ってエアシリンダ49の駆動が停止される。尚、センターコンベア28が下降限の待機位置まで下降したことの判断は、コントローラが、センターコンベア28が下降を始めてから経過した時間が予め定められた時間に達したことや、下降限の待機位置に配置されている図示しない下方リミットスイッチにセンターコンベア28が接したことを判断することによって、行われる。
【0063】
次に、
図6Eに示すように、上チャック5(上リム30)が鉛直方向に関して下チャック2(下リム29)に対して位置決めされたとき、上下チャック2,5間に挟持されたタイヤ10の内部空間は封止されている。この状態で、ロータリージョイント26につながる電磁弁(図示せず)が駆動され、空気供給通路25aおよび空気供給通路25bを介してタイヤ10の内部空間に圧縮空気が供給されて、タイヤ10がインフレーションされる。そして、図示しないタイヤ内圧測定装置によりタイヤ10の空気圧が所定の圧力となると、圧縮空気の供給が停止される。
【0064】
そして、制御機構は、リニアセンサ36から上チャック5の下チャック2に対する位置決めがされたことを検知すると、下スピンドル19と上スピンドル24と挟持されたタイヤ10を、所定の回転数で回転させるように、
図2に示すモータ31の駆動を開始させる。モータ31の駆動が開始されると、下スピンドル19とともにプランジャ20、下リム29、上スピンドル24、および上リム30が同じ軸回りに回転することで、挟持されたタイヤ10が回転する。
【0065】
以上により、タイヤ試験機100のチャッキング動作が行われ、その後、ドラム50等を用いて、タイヤ10に対する各種性能試験が行われる。
【0066】
(タイヤ試験機のデチャッキング動作)
次に、本実施形態に係るタイヤ試験機100におけるデチャッキング動作について、
図7A〜
図7Eに基づいて説明する。なお、以下に述べるタイヤ試験機100のデチャッキング動作は、タイヤ試験機100のコントローラ(図示せず)によって制御される。
【0067】
図7Aに示すように、タイヤ10に対する各種性能試験が終わると、モータ31の回転を停止させて、上下スピンドル24,19を停止させる。尚、ドラム50を用いて試験を行った場合は、ドラム50は、タイヤ10の試験が終わった直後から、または、モータ31の回転を停止させてから、移動機構51によりタイヤ10から離間させる。そして、タイヤ10の内圧がロータリージョイント26につながった電磁弁より解放される。
【0068】
次に、
図7Bに示すように、エアシリンダ用電磁弁の制御に伴いエアシリンダ49が駆動されてセンターコンベア28が下降限の待機位置から上昇される。また、センターコンベア28の上昇の開始とほぼ同時に、エアシリンダ22a,22bの駆動によって下チャック2のプランジャ20が下方への短縮を開始する。尚、可動ビーム4は移動せず待機しており、上チャック5の上リム30は、タイヤ10の上面に接触した状態にある。
【0069】
そして、
図7Cに示すように、センターコンベア28はタイヤ10の下面にそのタイヤ搬送面が到達し、タイヤ10がセンターコンベア28に載置されると、上リム30がタイヤ10の上面に接触した状態にある上チャック5の上スピンドル24は、可動ビーム4を介して上方への移動(上昇)を開始する。尚、センターコンベア28のタイヤ搬送面がタイヤ10の下面に到達したことの判断は、コントローラが、センターコンベア28がその下降限の待機位置から上昇を始めてから経過した時間が予め定められた時間に達したことや、タイヤ10の下面に相当する高さの位置に配置されている図示しない中位リミットスイッチにセンターコンベア28が接したことを判断することによって、行われる。
【0070】
ここでのセンターコンベア28の上昇距離は、センターコンベア28の待機位置から、タイヤ10の下面までの距離である。また、上昇距離を、センターコンベア28の待機位置から、タイヤ10の下面までの距離を基準として、押し込みまたは接触手前の位置になるようオフセットを設定することも可能とする。タイヤ10のビード位置は試験レシピ情報の中のタイヤ寸法情報を使用する。
【0071】
ここで、センターコンベア28の上昇速度と可動ビーム4を介した上チャック5(上スピンドル24)の上昇速度と同じ速度となり、センターコンベア28と可動ビーム4が同期して上昇するよう、構成されている。これにより、タイヤ10は、上リム30と、センターコンベア28とで挟み込んだ状態で上昇される。尚、センターコンベア28の上昇速度の調整は、上述の通り、エアシリンダ49に接続されているエアシリンダ用電磁弁の調整により行われる。
【0072】
そして、タイヤ10が、下リム29から剥離される。尚、可動ビーム4の上昇にあたって、エアシリンダ44a,44bを駆動させて円形ディスク13a,13bの穴からピンを抜くことにより、ボールねじ7a,7bのロックが解放される。そして、モータ41a,41bが回転され、ボールねじ7a,7bが回転されることによって、可動ビーム4の上昇が行われる。
【0073】
次に、
図7Dに示すように、センターコンベア28が、上昇限の搬送位置に達すると、エアシリンダ用電磁弁が制御され、エアシリンダ49へのエアの供給が停止され、エアシリンダ49の駆動が停止される。尚、センターコンベア28が上昇限の搬送位置に到達したことの判断は、コントローラが、センターコンベア28がその下降限の待機位置から上昇を始めてから経過した時間が予め定められた時間に達したことや、センターコンベア28の上昇限の搬送位置に配置されている図示しない上方リミットスイッチにセンターコンベア28が接したことを判断することによって、行われる。
【0074】
ここで、可動ビーム4を介して上チャック5(上スピンドル24)は、更に上昇する。そして、
図7Eに示すように、可動ビーム4を介して上チャック5(上スピンドル24)は上昇を続け、タイヤ10がタイヤストリッパ33と当接することにより、タイヤ10が上リム30から解放される。可動ビーム4は、上チャック5(上スピンドル24)が上昇限である待機位置に達すると、上昇を停止する。この時、可動ビーム停止機構により、エアシリンダ44a,44bにより円形ディスク13a,13bの穴にピンが挿入されて、ボールねじ7a,7bが固定され、上チャック5(上スピンドル24)は可動ビーム4を介して上昇不能に固定される。そして、上下スピンドル19,24から解放されたタイヤ10は、その後、センターコンベア28によって出口コンベア34に移動される。
【0075】
このように、本実施形態のタイヤ試験機100は、チャッキング動作で、タイヤ10が下リム29に載置されるまでの間、タイヤ10が上リム30とセンターコンベア28で挟み込まれた状態で維持される。また、デチャッキング動作で、タイヤ10が下リム29から剥離される際、タイヤ10が上リム30とセンターコンベア28で挟み込まれた状態で維持される。そのため、タイヤ10がバウンドすることを防ぐことができる。
【0076】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいてさまざまな変更が可能なものである。
【0077】
上述した実施形態に係るタイヤ試験機35では、チャッキング機構36が上スピンドル25のみを昇降させて上スピンドル25を下スピンドル24に対して接近及び離間するように制御する構成になっているが、チャッキング機構は下スピンドル24及び上スピンドル25の両方を昇降させて、下スピンドル24及び上スピンドル25を互いに接近及び離間するように制御する構成としてもよい。
【0078】
上述した実施形態に係るタイヤ試験機35では、タイヤ10を搬送するコンベアが、入口コンベア35、センターコンベア28及び出口コンベア34からなっているが、このコンベアは1つの連続したベルトコンベアとすることもでき、ベルトコンベア以外の他のコンベアとすることもできる。
【0079】
上述した実施形態に係るタイヤ試験機35では、センターコンベア30が、エアシリンダ49及びLMガイド
60により、上下方向に移動可能に構成されるがそれに限らない。例えば、エアシリンダ49の替りに油圧シリンダや、電動シリンダ(電動アクチュエータ)を採用することができる。特に、駆動機にサーボモータを具備する電動シリンダであれば、エアシリンダ49に比して、センターコンベア30の上昇速度あるいは下降速度のより精緻な調整が可能である。従って、センターコンベア28の下降速度が可動ビーム4の下降速度と同じ速度となるように調整することが容易となる。また、サーボモータの有する位置制御の機能により、コントローラは、電動シリンダのシリンダ部分の高さ、ひいてはセンターコンベア30の位置を容易に把握できる。また、上述した、下方リミットスイッチ、中位リミットスイッチ、上方リミットスイッチを不要とすることもできる。