特許第6386254号(P6386254)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6386254捜索支援プログラム、捜索支援システム及び捜索支援の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386254
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】捜索支援プログラム、捜索支援システム及び捜索支援の方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20180827BHJP
   H04M 1/73 20060101ALI20180827BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   G08B25/04 K
   H04M1/73
   H04M11/00 302
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-114656(P2014-114656)
(22)【出願日】2014年6月3日
(65)【公開番号】特開2015-230489(P2015-230489A)
(43)【公開日】2015年12月21日
【審査請求日】2017年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】592162748
【氏名又は名称】株式会社光通信
(74)【代理人】
【識別番号】100117592
【弁理士】
【氏名又は名称】土生 哲也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 武人
【審査官】 白川 瑞樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−233812(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/090460(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0080262(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K17/00
G08B19/00−31/00
H04B7/24−7/26
H04M1/00
1/24−3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
99/00
H04W4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
捜索対象に関する情報を管理する捜索支援サーバに捜索対象の発見情報を送信する捜索支援プログラムであって、前記捜索支援サーバとネットワークを介して接続された携帯端末に、
捜索対象が所持する発信装置から発信された信号から、前記発信装置の識別情報を特定する第1ステップと、
前記第1ステップで特定された発信装置の識別情報が、前記携帯端末に記憶された捜索中の発信装置の識別情報と一致するかを判断する第2ステップと、
前記第2ステップにおいて発信装置の識別情報が一致すると、前記捜索支援サーバに、前記発信装置の識別情報と前記発信装置又は前記携帯端末の位置情報とを含む捜索対象の発見情報を送信する第3ステップと、
を実行させるプログラムであって、
前記発信装置は、設定された時間毎に、前記発信装置の識別情報を含む信号を近距離無線通信の電波によって発信しており、
前記プログラムは、前記プログラムが休止状態にある場合に、前記携帯端末のオペレーティングシステムが前記発信装置から発信された前記発信装置の識別情報を含む信号の受信を検出すると、前記プログラムの休止状態を解除して、前記携帯端末に前記第1ステップを実行させること
を特徴とする捜索支援プログラム。
【請求項2】
前記携帯端末には、1又は2以上の発信装置の識別情報が捜索中の発信装置の識別情報として記憶され、
前記捜索支援サーバから、最新の捜索中の発信装置の識別情報のリストを受信する第4ステップと、
前記携帯端末に記憶された捜索中の識別情報のリストを、前記第4ステップで受信したリストに更新する第5ステップと、
を実行させることを特徴とする請求項1記載の捜索支援プログラム。
【請求項3】
捜索対象に関する情報を管理する捜索支援サーバと、前記捜索支援サーバとネットワークを介して接続された1又は2以上の携帯端末に備えられる捜索支援プログラムからなる捜索支援システムであって、
前記捜索支援プログラムは、前記携帯端末に、
捜索対象が所持する発信装置から発信された信号から、前記発信装置の識別情報を特定する第1ステップと、
前記第1ステップで特定された発信装置の識別情報が、前記携帯端末に記憶された捜索中の発信装置の識別情報と一致するかを判断する第2ステップと、
前記第2ステップにおいて発信装置の識別情報が一致すると、前記捜索支援サーバに、前記発信装置の識別情報と前記発信装置又は前記携帯端末の位置情報とを含む捜索対象の発見情報を送信する第3ステップと、
を実行させるプログラムであって、
前記発信装置は、設定された時間毎に、前記発信装置の識別情報を含む信号を近距離無線通信の電波によって発信しており、
前記プログラムは、前記プログラムが休止状態にある場合に、前記携帯端末のオペレーティングシステムが前記発信装置から発信された前記発信装置の識別情報を含む信号の受信を検出すると、前記プログラムの休止状態を解除して、前記携帯端末に前記第1ステップを実行させ、
前記捜索支援サーバは、
前記携帯端末に、前記携帯端末に記憶させる捜索中の発信装置の識別情報を送信する第1手段と、
前記携帯端末から前記発見情報を受信して、前記捜索中の発信装置の捜索情報として記録する第2手段と、を備えること
を特徴とする捜索支援システム。
【請求項4】
前記携帯端末には、1又は2以上の発信装置の識別情報が捜索中の発信装置の識別情報として記憶され、前記捜索支援プログラムは、
前記捜索支援サーバから、最新の捜索中の発信装置の識別情報のリストを受信する第4ステップと、
前記携帯端末に記憶された捜索中の識別情報のリストを、前記第4ステップで受信したリストに更新する第5ステップと、を実行させ、
前記捜索支援サーバは、
最新の捜索中の発信装置の識別情報のリストを保存する第3手段と、
前記携帯端末に、所定のタイミングで前記第3手段に保存された最新の捜索中の発信装置の識別情報のリストを送信する第4手段と、を備えること
を特徴とする請求項3記載の捜索支援システム。
【請求項5】
前記捜索支援サーバは、
捜索依頼者からの新たな捜索依頼を受信した捜索対象が所持する発信装置の識別情報を前記第3手段に保存された最新の捜索中の発信装置の識別情報のリストに追加し、捜索依頼者からの回収通知を受信した捜索対象又は捜索依頼の受信から所定の時間が経過した捜索対象が所持する発信装置の識別情報を前記リストから削除する第4手段を備えること
を特徴とする請求項4記載の捜索支援システム。
【請求項6】
捜索対象に関する情報を管理する捜索支援サーバに前記捜索支援サーバとネットワークを介して接続された携帯端末から捜索対象の発見情報を送信する捜索支援方法であって、
前記携帯端末が、捜索対象が所持する発信装置から発信された信号から、前記発信装置の識別情報を特定する第1ステップと、
前記携帯端末が、前記第1ステップで特定された発信装置の識別情報が、前記携帯端末に記憶された捜索中の発信装置の識別情報と一致するかを判断する第2ステップと、
前記携帯端末が、前記第2ステップにおいて発信装置の識別情報が一致すると、前記捜索支援サーバに、前記発信装置の識別情報と前記発信装置又は前記携帯端末の位置情報とを含む捜索対象の発見情報を送信する第3ステップと、を有していて、
前記発信装置は、設定された時間毎に、前記発信装置の識別情報を含む信号を近距離無線通信の電波によって発信しており、
前記第1ステップ乃至第3ステップを前記携帯端末に実行させるプログラムは、前記プログラムが休止状態にある場合に、前記携帯端末のオペレーティングシステムが前記発信装置から発信された前記発信装置の識別情報を含む信号の受信を検出すると、前記プログラムの休止状態を解除して、前記携帯端末に前記第1ステップを実行させること
を特徴とする捜索支援方法。
【請求項7】
捜索対象に関する情報を管理する捜索支援サーバと、前記捜索支援サーバとネットワークを介して接続された1又は2以上の携帯端末によって実行される捜索支援方法であって、
前記捜索支援サーバが、前記携帯端末に、前記携帯端末に記憶させる捜索中の発信装置の識別情報を送信する第1ステップと、
前記携帯端末が、前記第1ステップで受信した捜索中の発信装置の識別情報を所定の記憶領域に記憶させる第2ステップと、
前記携帯端末が、捜索対象が所持する発信装置から発信された信号から、前記発信装置の識別情報を特定する第3ステップと、
前記携帯端末が、前記第3ステップで特定された発信装置の識別情報が、前記第2ステップで所定の記憶領域に記憶させた捜索中の発信装置の識別情報と一致するかを判断する第4ステップと、
前記携帯端末が、前記第4ステップにおいて発信装置の識別情報が一致すると、前記捜索支援サーバに、前記発信装置の識別情報と前記発信装置又は前記携帯端末の位置情報とを含む捜索対象の発見情報を送信する第5ステップと、
前記捜索支援サーバが、前記第5ステップで発信された発見情報を受信して、前記捜索中の発信装置の捜索情報として記録する第6ステップと、を有していて、
前記発信装置は、設定された時間毎に、前記発信装置の識別情報を含む信号を近距離無線通信の電波によって発信しており、
前記第3ステップ乃至第5ステップを前記携帯端末に実行させるプログラムは、前記プログラムが休止状態にある場合に、前記携帯端末のオペレーティングシステムが前記発信装置から発信された前記発信装置の識別情報を含む信号の受信を検出すると、前記プログラムの休止状態を解除して、前記携帯端末に前記第3ステップを実行させること
を特徴とする捜索支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、迷子や行方不明になったペット、徘徊老人などの捜索に用いられる、捜索支援プログラム、捜索支援システム及び捜索支援の方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
迷子や行方不明になったペット、徘徊老人など、行き先の予測ができない者の捜索は困難を極めることが多い。こうした捜索時には、できるだけ多くの協力者を得ることが望ましいが、携帯電話の所持が一般的となってからは、携帯電話のネットワークを利用した捜索支援方法に関するアイデアが提示されるようになっている。
【0003】
例えば、協力者が所持する携帯端末から発信したチャージ波で商品に付されたタグを検出することによって、盗難や紛失にあった商品を捜索する捜索システムに関する発明(特許文献1参照)や、グループに属する親と子供の携帯電話間で定期的に近距離無線通信を行うことで各々の位置情報を蓄積し、迷子が発生した場合には携帯電話間の通信情報を収集することによって、迷子になった子供の捜索を支援する通信システムに関する発明(特許文献2参照)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−150692号公報
【特許文献2】特開2011−154571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の発明では、捜索対象は商品というそれ自体が動き続けるものではないため、いずれかの携帯端末によって商品が発見されると、その時点で捜索が終了する構成となっている。そのため、子供やペット、徘徊老人のように、捜索対象が動き続けるケースには適用し難いという限界がある。
【0006】
また、携帯端末が商品を発見するためには、付近にタグが付された商品の有無に関わらず、定期的に携帯端末からチャージ波を発信する処理を実行しなければならないため、携帯端末における処理負担が重くなることが避けられない。実際の運用を考えると、携帯端末の電池の消耗等が嫌がられて、協力者を募り難くなることが想定され、実用のハードルが高い構成になると考えられる。
【0007】
一方、特許文献2記載の発明では、各々の携帯電話の位置情報が継続的に収集されるため、捜索対象が動き続けるケースにも比較的適しているといえる。しかしながら、この発明でも各々の携帯電話間では定期的に短距離無線による通信を行い続けることが必要であり、携帯電話の処理にかかる負荷が大きくなり、実用のハードルが高い構成であることに違いはないと考えられる。
【0008】
本発明は、このような課題に対応するためになされたものであり、携帯端末を用いて迷子や行方不明になったペット、徘徊老人などの捜索を行う場合に、携帯端末にかかる処理負担を抑えた実用性の高い構成の実現を可能にする、捜索支援プログラム、捜索支援システム及び捜索支援の方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決する本発明は、捜索対象に関する情報を管理する捜索支援サーバに捜索対象の発見情報を送信する捜索支援プログラムであって、前記捜索支援サーバとネットワークを介して接続された携帯端末に、捜索対象が所持する発信装置から発信された信号から、前記発信装置の識別情報を特定する第1ステップと、前記第1ステップで特定された発信装置の識別情報が、前記携帯端末に記憶された捜索中の発信装置の識別情報と一致するかを判断する第2ステップと、前記第2ステップにおいて発信装置の識別情報が一致すると、前記捜索支援サーバに、前記発信装置の識別情報と前記発信装置又は前記携帯端末の位置情報とを含む捜索対象の発見情報を送信する第3ステップと、を実行させるプログラムであって、前記発信装置は、設定された時間毎に、前記発信装置の識別情報を含む信号を近距離無線通信の電波によって発信しており、前記プログラムは、前記プログラムが休止状態にある場合に、前記携帯端末のオペレーティングシステムが前記発信装置から発信された前記発信装置の識別情報を含む信号の受信を検出すると、前記プログラムの休止状態を解除して、前記携帯端末に前記第1ステップを実行させることを特徴とする捜索支援プログラムである。
【0010】
本発明では、子供やペット、老人等の捜索対象に、携帯端末で受信可能な信号を電波で発信する発信装置を所持させる。発信装置から発信される信号には、発信装置のID等の識別情報を含めることとして、携帯端末のOS(オペレーティングシステム)がこの信号を検出した場合に、通常は休止状態にある本発明にかかる捜索支援プログラムが上記のように動作して、捜索中の発信装置に該当する場合はサーバに発見情報を送信することによって、携帯端末にかかる処理負担を抑えた捜索支援を可能にしている。尚、本発明を実施する際の携帯端末には、OSが上記のような機能を備えるスマートフォンを採用することが好適である。
【0011】
また、本発明は、前記携帯端末には、1又は2以上の発信装置の識別情報が捜索中の発信装置の識別情報として記憶され、前記捜索支援サーバから、最新の捜索中の発信装置の識別情報のリストを受信する第4ステップと、前記携帯端末に記憶された捜索中の識別情報のリストを、前記第4ステップで受信したリストに更新する第5ステップと、を実行させることを特徴とすることもできる。
【0012】
このような特徴を備えることによって、捜索対象に変更がある都度、捜索支援サーバから発信装置の識別情報を送信する方式に比べて、携帯端末と捜索支援サーバとの通信の頻度と携帯端末における捜索中の識別情報のリストの更新処理の頻度を低下させることができるので、携帯端末にかかる処理負担を軽減するのに適した構成となる。
【0013】
本発明は、携帯端末に備えられる本発明にかかる捜索支援プログラムと、携帯端末とネットワークを介して接続された捜索支援サーバによって構成される、捜索支援システムに関する発明として特定することもできる。
【0014】
つまり、本発明にかかる捜索支援システムは、捜索対象に関する情報を管理する捜索支援サーバと、前記捜索支援サーバとネットワークを介して接続された1又は2以上の携帯端末に備えられる捜索支援プログラムからなる捜索支援システムであって、前記捜索支援プログラムは、前記携帯端末に、捜索対象が所持する発信装置から発信された信号から、前記発信装置の識別情報を特定する第1ステップと、前記第1ステップで特定された発信装置の識別情報が、前記携帯端末に記憶された捜索中の発信装置の識別情報と一致するかを判断する第2ステップと、前記第2ステップにおいて発信装置の識別情報が一致すると、前記捜索支援サーバに、前記発信装置の識別情報と前記発信装置又は前記携帯端末の位置情報とを含む捜索対象の発見情報を送信する第3ステップと、を実行させるプログラムであって、前記発信装置は、設定された時間毎に、前記発信装置の識別情報を含む信号を近距離無線通信の電波によって発信しており、前記プログラムは、前記プログラムが休止状態にある場合に、前記携帯端末のオペレーティングシステムが前記発信装置から発信された前記発信装置の識別情報を含む信号の受信を検出すると、前記プログラムの休止状態を解除して、前記携帯端末に前記第1ステップを実行させ、前記捜索支援サーバは、前記携帯端末に、前記携帯端末に記憶させる捜索中の発信装置の識別情報を送信する第1手段と、前記携帯端末から前記発見情報を受信して、前記捜索中の発信装置の捜索情報として記録する第2手段と、を備えることを特徴とする捜索支援システムである。
【0015】
また、本発明にかかる捜索支援システムは、前記携帯端末には、1又は2以上の発信装置の識別情報が捜索中の発信装置の識別情報として記憶され、前記捜索支援プログラムは、前記捜索支援サーバから、最新の捜索中の発信装置の識別情報のリストを受信する第4ステップと、前記携帯端末に記憶された捜索中の識別情報のリストを、前記第4ステップで受信したリストに更新する第5ステップと、を実行させ、前記捜索支援サーバは、最新の捜索中の発信装置の識別情報のリストを保存する第3手段と、前記携帯端末に、所定のタイミングで前記第3手段に保存された最新の捜索中の発信装置の識別情報のリストを送信する第4手段と、を備えることを特徴とすることもできる。
【0016】
さらに、本発明にかかる捜索支援システムは、前記捜索支援サーバは、捜索依頼者からの新たな捜索依頼を受信した捜索対象が所持する発信装置の識別情報を前記第3手段に保存された最新の捜索中の発信装置の識別情報のリストに追加し、捜索依頼者からの回収通知を受信した捜索対象又は捜索依頼の受信から所定の時間が経過した捜索対象が所持する発信装置の識別情報を前記リストから削除する第4手段を備えることを特徴としてもよい。
【0017】
このような特徴を備えることによって、発見情報を受信した捜索対象についても直ちに捜索支援が終了するのではなく、捜索依頼者からの捜索対象の回収通知の受信、又は所定の時間が経過したことによるタイムアウトまでは捜索支援が継続することとなるため、捜索対象が発見後にさらに移動を繰り返すようなケースにも対応して、捜索対象の移動状況を追跡することが可能になる。
【0018】
本発明は、本発明にかかる捜索支援プログラムによって実行される捜索支援方法として特定することもできる。
【0019】
つまり、本発明にかかる捜索支援方法は、捜索対象に関する情報を管理する捜索支援サーバに前記捜索支援サーバとネットワークを介して接続された携帯端末から捜索対象の発見情報を送信する捜索支援方法であって、前記携帯端末が、捜索対象が所持する発信装置から発信された信号から、前記発信装置の識別情報を特定する第1ステップと、前記携帯端末が、前記第1ステップで特定された発信装置の識別情報が、前記携帯端末に記憶された捜索中の発信装置の識別情報と一致するかを判断する第2ステップと、前記携帯端末が、前記第2ステップにおいて発信装置の識別情報が一致すると、前記捜索支援サーバに、前記発信装置の識別情報と前記発信装置又は前記携帯端末の位置情報とを含む捜索対象の発見情報を送信する第3ステップと、を有していて、前記発信装置は、設定された時間毎に、前記発信装置の識別情報を含む信号を近距離無線通信の電波によって発信しており、前記第1ステップ乃至第3ステップを前記携帯端末に実行させるプログラムは、前記プログラムが休止状態にある場合に、前記携帯端末のオペレーティングシステムが前記発信装置から発信された前記発信装置の識別情報を含む信号の受信を検出すると、前記プログラムの休止状態を解除して、前記携帯端末に前記第1ステップを実行させることを特徴とする捜索支援方法である。
【0020】
また、本発明にかかる捜索支援方法は、先に説明した本発明にかかる捜索支援プログラムにおける特徴を備えた捜索支援方法に関する発明として特定することもできる。
【0021】
本発明は、本発明にかかる捜索支援システムによって実行される捜索支援方法として特定することもできる。
【0022】
つまり、本発明にかかる捜索支援方法は、捜索対象に関する情報を管理する捜索支援サーバと、前記捜索支援サーバとネットワークを介して接続された1又は2以上の携帯端末によって実行される捜索支援方法であって、前記捜索支援サーバが、前記携帯端末に、前記携帯端末に記憶させる捜索中の発信装置の識別情報を送信する第1ステップと、前記携帯端末が、前記第1ステップで受信した捜索中の発信装置の識別情報を所定の記憶領域に記憶させる第2ステップと、前記携帯端末が、捜索対象が所持する発信装置から発信された信号から、前記発信装置の識別情報を特定する第3ステップと、前記携帯端末が、前記第3ステップで特定された発信装置の識別情報が、前記第2ステップで所定の記憶領域に記憶させた捜索中の発信装置の識別情報と一致するかを判断する第4ステップと、前記携帯端末が、前記第4ステップにおいて発信装置の識別情報が一致すると、前記捜索支援サーバに、前記発信装置の識別情報と前記発信装置又は前記携帯端末の位置情報とを含む捜索対象の発見情報を送信する第5ステップと、前記捜索支援サーバが、前記第5ステップで発信された発見情報を受信して、前記捜索中の発信装置の捜索情報として記録する第6ステップと、を有していて、前記発信装置は、設定された時間毎に、前記発信装置の識別情報を含む信号を近距離無線通信の電波によって発信しており、前記第3ステップ乃至第5ステップを前記携帯端末に実行させるプログラムは、前記プログラムが休止状態にある場合に、前記携帯端末のオペレーティングシステムが前記発信装置から発信された前記発信装置の識別情報を含む信号の受信を検出すると、前記プログラムの休止状態を解除して、前記携帯端末に前記第3ステップを実行させることを特徴とする捜索支援方法である。
【0023】
また、本発明にかかる捜索支援方法は、先に説明した本発明にかかる捜索支援システムにおける各々の特徴を備えた捜索支援方法に関する発明として特定することもできる。
【発明の効果】
【0024】
近年、本発明における携帯端末として用い得るスマートフォンの普及は目覚ましいものがあり、今や老若男女どこに行ってもその使用が見られる状況となっている。一方で、幼児の行方不明事件や徘徊老人が増加し、その対策にかかる社会的負担は拡大を続けている。本発明は、こうした社会的な負担の軽減は、あらゆる周囲の人々が協力しあうことによって成しうるものとの考え方に基づき、多くの人々が保有するスマートフォンがもつ機能に着目し、これを活用して実用性の高い捜索支援のための仕組みに想到したものである。スマートフォンの使用者は、本発明にかかる捜索支援プログラムをインストールすることによって、特に意識することなく捜索活動への協力が可能になり、自分自身の問題も含めた、子供やペット、徘徊老人などの捜索という問題の解決に協力し、社会への貢献を可能にするものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態の一例を示す図である。
図2】本発明の実施形態の一例における捜索支援の流れを示す第1の図である。
図3】本発明の実施形態の一例における捜索支援の流れを示す第2の図である。
図4】本発明の実施形態の一例における捜索支援の流れを示す第3の図である。
図5】本発明の実施形態の一例で、捜索対象を発見した場合の携帯端末における処理の概要を示す図である。
図6】本発明の実施形態の一例における捜索支援の流れを示す第4の図である。
図7】本発明の実施形態の一例における捜索支援の流れを示す第5の図である。
図8】本発明の応用例を示す図である。
図9】本発明にかかる捜索支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
図10】本発明にかかる捜索支援システムのサーバ側における、捜索依頼の受付処理のフローを示すフローチャートである。
図11】本発明にかかる捜索支援システムのサーバ側における、回収通知の受付処理のフローを示すフローチャートである。
図12】本発明にかかる捜索支援システムのサーバ側における、期限経過の確認処理のフローを示すフローチャートである。
図13】本発明にかかる捜索支援システムの携帯端末側における、捜索リスト等の受信処理のフローを示すフローチャートである。
図14】本発明にかかる捜索支援システムの携帯端末における、発信装置からの信号の受信処理のフローを示すフローチャートである。
図15】本発明にかかる捜索支援システムのサーバ側における、発見情報の受信処理のフローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を実施するための形態について、図面を用いて以下に詳細に説明する。尚、以下には本発明の実施形態の一例として、本発明を行方不明になったペットの捜索に適用する例を主に説明するが、本発明は、例えば迷子になった子供や行方不明となった徘徊老人などの捜索に適用することも可能であり、以下に説明する実施形態に示した例に限定されるものではない。
【0027】
図1は、本発明の実施形態の一例について、その概要を示したものである。本発明では、行方不明となった場合に捜索対象となる人や動物、この例ではペットに、設定された時間毎に近距離無線通信の電波を発信する発信装置(無線タグ)を所持させる。所持の方法は特に限定されないが、一例として、ペットの首輪に取り付けておけばよい。
【0028】
捜索依頼者となるペットの飼い主はスマートフォン等の携帯端末Xを、ペットが行方不明になった際に捜索に協力する捜索協力者のグループのメンバーはスマートフォン等の携帯端末A〜Dを、それぞれ携帯して使用している。捜索協力者のグループには、自らもペットの飼い主であり、自分のペットにも発信装置を取り付けて万一の場合は捜索を依頼したい人の参加が想定されるが、そうした特定のコミュニティに限定することなく、ペットの飼い主以外にも広く参加者を募ることとしてもよい。携帯端末Xと携帯端末A〜Dは、いずれもその属するどの通信キャリアのネットワーク等からでもインターネットに接続することが可能であり、携帯端末にインストールされた本発明にかかる捜索支援プログラムやWebブラウザを起動させることによって、捜索支援サーバとの間で情報を送受信することができる。
【0029】
ペットが所持する発信装置には、それぞれの発信装置を識別できる固有のIDが割り当てられていて、発信装置に設定された任意のタイミングで(例えば10分毎に)、自らを識別するIDを含む信号を、近距離無線通信の電波によって発信する。この電波は、所定の範囲内にあるスマートフォン等の携帯端末で受信することが可能である。
【0030】
ペットが行方不明になった場合には、飼い主は携帯端末Xを操作して、ペットの捜索依頼を捜索支援サーバに送信し、捜索支援サーバから携帯端末A〜Dには、捜索依頼のあったペットが所持する発信装置のIDが送信される。近隣に存在する携帯端末が、捜索依頼のあったペットが所持する発信装置からの電波を受信して、ペットが近くにいることを検知すると、携帯端末の位置情報とあわせて、ペットを特定可能な発信装置のIDが、発見情報として捜索支援サーバに送信される。
【0031】
このような捜索は、飼い主がペットを発見して回収したことを捜索支援サーバに通知するまで、又は、捜索依頼から所定の捜索期限までの間は継続されるので、捜索中のペットが移動を続けた場合には、図1に示したように、携帯端末A、携帯端末Bから順に発見情報が送信され、これらの位置情報からペットの移動状況を追跡することができる。
【0032】
尚、発信装置と携帯端末A〜Dの間の通信には、ペットの居場所をできるだけ正確に捉えるために、発信装置が携帯端末A〜Dに接近した際に電波を検出できる近距離無線通信を用いることが必要になるが、具体的には、BluetoothLE(Bluetooth Low Energy、Bluetoothは登録商標)の規格を採用することが好ましく、これによって、発信装置からの信号の発信を、連続発信ではなく設定時間毎の発信とすることが可能になるので、発信装置の省電力化が実現される。
【0033】
以上の図1に示した実施形態の例における捜索支援の流れについて、図2図7を用いて、さらに詳細に説明する。
【0034】
IDが「111」の発信装置を取り付けたペットが行方不明となった飼い主は、図2に示したように、捜索支援サーバに対して、携帯端末Xから捜索支援サーバに捜索依頼を送信する。このとき、捜索支援サーバでは捜索対象となるペットの発信装置のIDを特定することが必要になるが、その方法は特に限定されるものではなく、例えば、捜索依頼者である携帯端末Xの利用者が、自らの会員番号等と紐付けてあらかじめ捜索支援サーバに発信装置のID「111」を登録しておき、会員番号等を指定して捜索支援サーバにログインさせることによって、発信装置のIDを特定することとしてもよいし、捜索依頼の際に携帯端末XにIDを入力して捜索支援サーバに送信させることとしてもよい。また、捜索依頼を送信するネットワーク端末については、スマートフォン等の携帯端末に限られるものではなく、固定型のPC等の端末から捜索依頼を送信することとしてもよい。
【0035】
捜索依頼を受信した捜索支援サーバでは、図3に示したように、あらかじめ捜索に協力する者として登録された捜索協力者が携帯する携帯端末A〜Dに、捜索依頼のあったペットに対応する発信装置のIDを送信する。携帯端末A〜Dに発信装置のIDを送信する方法は特に限定されるものではないが、例えば、携帯端末A〜Dにインストールされた本発明にかかる捜索支援プログラムに対して、プッシュ型でIDを通知することとしてもよいし、捜索支援プログラムから定期的に捜索支援サーバにアクセスさせて、プル型でIDを取得させることとしてもよい。また、発信装置のIDは、捜索支援サーバに登録された全ての携帯端末に送信することとしてもよいし、捜索対象が移動する可能性のある地域に居住地等のエリアが一致する対象を絞り込んで、一部の携帯端末のみに配信することとしてもよい。
【0036】
また、捜索支援サーバには、この後に収集されるペットの発見情報等の捜索情報を保存するために、捜索支援サーバで収集した捜索情報を格納するデータベースに、発信装置のID「111」の捜索情報を記録するための新たなレコードを設ける。捜索を無制限に継続するのではなく、一定の期限を設けるためには、ここに期限の基準となる捜索依頼の受付日時等の時間に関する情報を記録することが好ましい。
【0037】
捜索支援サーバから発信装置のIDを受信した捜索協力者の携帯端末A〜Dでは、受信した発信装置のID「111」が、捜索対象となっている発信装置のIDが指定された捜索リストに保存される。携帯端末A〜Dに保存されるこの捜索リストには、複数の発信装置のIDを指定することが可能であり、捜索対象の回収や期限の経過によって捜索が終了したペットに対応する発信装置のIDは、捜索支援サーバからの指示によって捜索リストから削除される。このような捜索対象に追加される発信装置のIDや削除対象となる発信装置のIDの捜索支援サーバからの送信処理は、発生の都度実行することとしてもよいが、携帯端末における通信や捜索リストの更新にかかる処理負担を軽減するためには、後に説明するように、捜索支援サーバから最新の捜索リストを定期的に送信して、まとめて携帯端末側に保存された捜索リストを更新するのが好ましい。
【0038】
続いて、図4に示したように、ペットがある協力者が携帯している携帯端末Aと近距離通信が可能な範囲に移動してくると、携帯端末Aが発信装置から定期的に発信される電波を検出、検出した電波の信号から発信装置のID「111」を特定して、このIDが捜索対象となっているかを捜索リストのIDと対比して確認する。捜索対象であることが確認された場合には、受信した信号から特定された発信装置のID「111」と携帯端末Aの緯度経度等の位置情報が、発見情報として捜索支援サーバに送信される。
【0039】
尚、ここで発見情報に含まれる携帯端末Aの位置情報は、スマートフォンであれば通常備えているGPS機能等から取得することとすればよいが、発信装置がGPS機能を備えている場合には発信する信号にGPS情報も含ませることとして、携帯端末Aでこの信号から発信端末の位置情報を特定し、発見情報として捜索支援サーバに送信することとしてもよい。ペットの位置をより正確に把握するためには、発信装置において正確な位置情報の把握が可能であるならば、むしろ発信装置の位置情報を用いることが好適である。
【0040】
発見情報を受信した捜索支援サーバでは、発見情報から特定されるID「111」に対応するデータベースの捜索情報に、発見情報から特定される位置情報と発見情報を受信した時刻が書き込まれる。ここに記録される時刻は発見情報を受信した時刻に限られるものではなく、携帯端末Aで発信装置からの信号を検出した時刻や、携帯端末Aからの発見情報の送信時刻等を発見情報に含めることとして、発見情報から特定可能なこれらの時刻を捜索情報に書き込むこととしてもよい。
【0041】
さらに捜索支援サーバでは、ペットが携帯端末Aの近くに存在していることを知らせる発見通知が、携帯端末Xに送信される。ここで送信する発見通知の内容は特に限定されるものではないが、例えば、捜索支援サーバで発信装置の位置情報を用いて発見場所を示す地図を作成して携帯端末Aに送信することとしてもよいし、発見通知を受信した携帯端末Xのアプリケーションプログラムに対して、地図アプリを自動的に起動して発信装置の位置情報を表示させる命令を送信することとしてもよい。
【0042】
図5は、図4における携帯端末Aにおける発信装置からの信号の受信時の処理の一例について、その詳細を示したものである。携帯端末Aに保存されている捜索リストには、「111」と「333」という複数の発信装置のIDが登録されているが、これによって複数のペットを同時に捜索することが可能になる。発信装置から検出した信号から発信装置のIDを特定すると、捜索リストに登録されているIDと対比し、捜索リストに含まれている場合(ID「111」又は「333」の場合)には捜索支援サーバに発見情報を送信し、含まれていない場合(ID「222」の場合)には発見情報を送信しない。携帯端末Aの捜索支援プログラムでこのような制御を行うことによって、通信処理の効率化が実現される。
【0043】
携帯端末Aから発見情報が送信された後、さらにペットが移動して、他の捜索協力者が携帯している携帯端末Bにおいて発信装置からの電波が検出された状態を示しているのが、図6である。本発明では、飼い主がペットを発見して回収したことを捜索支援サーバに通知し、捜索情報に回収が記録されるまで、あるいは、捜索依頼から所定の期間が経過して捜索情報に捜索終了が記録されるまでの間は、捜索処理が継続される。図6においても、図4の説明と同様の処理によって、携帯端末Bから捜索支援サーバに発見情報が送信され、捜索支援サーバから携帯端末Xに発見通知が送信される。ID「111」に対応するデータベースの捜索情報には、携帯端末Bからの新たな発見情報が書き込まれる。
【0044】
本発明では、捜索対象であるペットだけでなく、協力者の携帯端末も移動することがあるものである。そのため、図7に示したように、さらに時間が経過した後に、図5とは別の場所で再び携帯端末AがID「111」の発信装置から発信された電波を検出して、新たな発見情報を送信する場合もある。このようにして、捜索支援サーバには捜索情報としてペットの移動情報が蓄積されていく。
【0045】
図8は、本発明の応用例を示している。図1には、行方不明となったペットを捜索対象とする例を示したが、これ以外にも迷子になった子供を捜索したい保護者のコミュニティや、徘徊のおそれがある老人を抱えている介護家族のコミュニティ等にも、図1と同様の仕組みを導入し、捜索支援サーバのインフラを共有することとすれば、例えば、ペットが行方不明になった場合には、ペットの飼い主のコミュニティだけでなく、保護者や介護家族のコミュニティに属するメンバーが携帯する携帯端末からも発見情報が送信されることとなる。こうした異なるコミュニティ間でインフラを共有すれば、捜索対象を発見する確度の飛躍的な上昇が期待できるため、より効果の高い社会的なインフラとして本発明を活用することが可能になる。
【0046】
尚、これまでに説明した携帯端末からの発見情報の送信時には、例えば、捜索の協力者が会員登録をしている場合の会員番号など、携帯端末の利用者の個人情報は送信しない設定とすることが、個人情報保護の観点からは好ましい。図8に例示したように、複数のコミュニティで本発明を捜索インフラとして利用するケースでは、異なるコミュニティ間における個人情報の保護が特に重要な課題になるため、個人情報を送信しない設定は、多くの参加者を募るために必須の要件になると考えられる。
【0047】
図9は、本発明にかかる捜索支援システムの構成の一例を示している。図9の例では、携帯端末20からペット等の捜索対象の捜索依頼が捜索支援サーバ50に送信され、携帯端末30又は携帯端末40、あるいは捜索依頼者自身が携帯する携帯端末20で、捜索依頼のあったペット等が所持する発信装置10(無線タグ)から発信される近距離無線通信の電波を受信する前提となる。携帯端末20に備えられる捜索支援アプリ21、携帯端末30に備えられる捜索支援アプリ31及び携帯端末40に備えられる捜索支援アプリ41が、本発明にかかる捜索支援プログラムに対応する。
【0048】
携帯端末20、携帯端末30及び携帯端末40には、いずれもインターネットに接続可能なネットワーク端末が用いられるが、標準的なOSが本発明に必要な近距離無線通信に関連する機能を備えていること、アプリケーションプログラムのインストールが容易であり、拡張性に優れること等から、スマートフォンが特に好適である。これらの携帯端末には、CPU、メインメモリ、補助記憶装置が備えられ、補助記憶装置に記憶されたプログラムをメインメモリに読み出し、CPUで演算処理を実行することによって、各々のプログラムによる所定の機能が実現される。
【0049】
捜索支援アプリ21、捜索支援アプリ31及び捜索支援アプリ41は、それぞれ携帯端末20、携帯端末30及び携帯端末40の補助記憶装置に記憶されたプログラムで、これらのプログラムが各々の携帯端末のメインメモリに読み出され、CPUで演算処理を実行することによって、本発明に必要な捜索支援の機能が実現される。捜索リスト22、捜索リスト32及び捜索リスト42は、それぞれ携帯端末20、携帯端末30及び携帯端末40の補助記憶装置に割り当てられた所定の記憶領域に保存されている。
【0050】
捜索支援サーバ50は、インターネットに接続されたサーバコンピュータであって、携帯端末20、携帯端末30及び携帯端末40等のネットワーク端末からインターネット経由でアクセスして情報の送受信が行えるものであれば、その物理的な構成は特に限定されるものではない。
【0051】
捜索情報制御部51、発見情報収集部52は、いずれも機能的に特定されるものであって、各々の機能に対応するプログラムが捜索支援サーバ50を構成するコンピュータの補助記憶装置からメインメモリに読み出され、CPUで演算処理を実行することによって、各部に対応する機能が実現される。捜索情報格納部53には、コンピュータの記憶装置の所定の記憶領域が割り当てられるが、捜索情報制御部51や発見情報収集部52の機能を実現するコンピュータとは物理的に異なるデータベースサーバ等の他のコンピュータに設けられてもよく、その物理的な構成は特に限定されるものではない。
【0052】
発信装置10は、設定された時間毎に、発信装置10を識別するIDを含む信号を近距離無線通信の電波によって発信している。この電波を発信するタイミングには、任意の時間を設定することができる。携帯端末20、携帯端末30及び携帯端末40も近距離無線通信の機能を備えていて、発信装置10から発信された電波の検出が可能である。
【0053】
以上に説明した構成を前提として、本発明を実施する際の携帯端末と捜索支援サーバでの処理フローについて、図10図15のフローチャートを用いて説明する。
【0054】
図10のフローチャートは、捜索支援サーバ50の捜索情報制御部51において、捜索依頼を受け付けるフローを示している。
【0055】
ペット等の捜索依頼を行いたい捜索依頼者は、携帯端末20で捜索支援アプリ21を起動、捜索支援サーバ50にログインをした状態で、捜索依頼を送信する。これを受信した捜索支援サーバ50では(S01)、ログインによって捜索依頼者が識別されているので、捜索依頼者があらかじめ捜索支援サーバ50に登録した捜索対象が所持する発信装置10を識別するIDを特定する(S02)。尚、発信装置10のIDを特定するための方法は特に限定されるものではなく、例えば、携帯端末20から都度入力して送信させることとしてもよい。
【0056】
続いて、新たな捜索対象となる、S02で特定されたIDの捜索情報を記録するためのレコードを捜索情報格納部53に設定するとともに(S03)、捜索情報格納部53等に記憶されている現時点で捜索対象となっているIDの一覧である捜索リストに、S02で特定されたIDを新たに登録する(S04)。
【0057】
図11のフローチャートは、捜索支援サーバ50の捜索情報制御部51において、回収通知を受け付けるフローを示している。
【0058】
捜索中のペット等が発見され、手元に回収した捜索依頼者は、携帯端末20で捜索支援アプリ21を起動、捜索支援サーバ50にログインをした状態で、捜索中のペットの回収通知を送信する。これを受信した捜索支援サーバ50では(S11)、ログインによって捜索依頼者が識別されているので、捜索依頼者があらかじめ捜索支援サーバ50に登録した捜索対象が所持する発信装置10を識別するIDを特定する(S12)。尚、発信装置10のIDを特定するための方法は特に限定されるものではなく、例えば、携帯端末20から都度入力して送信させることとしてもよい。
【0059】
続いて、S12で特定されたIDに対応する捜索情報格納部53に格納された捜索情報に、捜索対象の回収が完了したことを記録するとともに(S13)、捜索情報格納部53等に記憶されている現時点で捜索対象となっているIDの一覧である捜索リストから、S12で特定されたIDを削除して、捜索リストを更新する(S14)。
【0060】
図12のフローチャートは、捜索支援サーバ50の捜索情報制御部51において、捜索期限が経過している捜索依頼を確認するフローを示している。
【0061】
捜索支援サーバ50では、毎日一回など所定のタイミングで捜索期限の確認を行う処理が起動され、捜索情報格納部53に格納された捜索情報を検索して(S21)、捜索期限が経過している捜索対象がないかを確認する(S22)。捜索情報格納部53に格納された各々のIDに対応する捜索情報には、捜索依頼の受信時等の捜索依頼の開始を特定できる日時を捜索開始時として記録しておき、その捜索開始時から所定の捜索期間が経過していないかどうかを判断することによって、このような捜索期限の経過の確認処理が可能になる。
【0062】
捜索期限が経過している捜索対象がない場合にはそのまま処理を終了するが、捜索期限が経過している捜索対象がある場合には(S23)、捜索情報格納部53等に記憶されている現時点で捜索対象となっているIDの一覧である捜索リストから、S23で抽出された捜索対象のIDを削除して、捜索リストを更新する(S24)。
【0063】
以上の図10図12のフローチャートに示した処理を実行することによって、捜索支援サーバ50の捜索情報格納部53等には、最新の捜索対象のIDの一覧が捜索リストとして記憶されることになる。この最新の捜索リストを、例えば1時間毎等といった所定のタイミングで携帯端末20、携帯端末30及び携帯端末40に送信して、捜索リスト22、捜索リスト32及び捜索リスト42をそれぞれ最新の状態に更新させる。
【0064】
尚、こうした捜索リスト22、捜索リスト32及び捜索リスト42の更新は、捜索支援サーバで管理している最新の捜索リストを送信して同期させるのではなく、新たな捜索依頼や回収通知の受信の都度、携帯端末20、携帯端末30及び携帯端末40に送信して、個々のID単位で更新させることとしてもよいが、このように一定期間毎にまとめて最新の情報をまとめて送信するほうが、捜索支援アプリ21、捜索支援アプリ31及び捜索支援アプリ41による処理負担を軽減するためには好ましい。また、捜索対象のエリアを限定するような場合にも、都度対象エリアを判断してIDを送信する方式に比べて、エリア毎の捜索リストを生成して一斉配信する方式が効率的である。
【0065】
一方、捜索依頼に直ちに対応することを優先したい場合には、例えば、図11図12による削除対象のIDはまとめて送信することとしながら、図10に示したフローについては、新たに追加されたIDを直ちに携帯端末20、携帯端末30及び携帯端末40に送信することとしてもよい。
【0066】
図13のフローチャートは、携帯端末側における捜索支援アプリ21、捜索支援アプリ31及び捜索支援アプリ41による、捜索リスト等の受信処理のフローを示している。
【0067】
捜索支援アプリ21、捜索支援アプリ31及び捜索支援アプリ41は、休止状態にある場合であっても、捜索支援サーバ50から何らかの情報を受信することによって(S31)、図13に示した処理が開始される。あるいは、捜索支援アプリ21、捜索支援アプリ31及び捜索支援アプリ41が定期的に起動されて、捜索支援サーバ50から発信状態に置かれている情報をプル型で受信する(S31)設定としてもよい。
【0068】
捜索支援サーバ50から受信した情報が、最新の捜索リストである場合は(S32)、捜索リスト22、捜索リスト32及び捜索リスト42を受信した捜索リストと同期させて、最新の状態に更新する(S33)。それ以外の情報である場合は(S32)、各々に対応する処理を実行するが(S34)、例えば、緊急時には捜索対象の付近への移動を要請するメッセージを画面に出力させる、といった処理が考えられる。
【0069】
図14のフローチャートは、捜索支援アプリ21、捜索支援アプリ31及び捜索支援アプリ41による、発信装置10からの信号を受信する際の処理フローを示している。
【0070】
本発明では、図14に示した発信装置10からの信号の受信処理が、捜索支援アプリ21、捜索支援アプリ31及び捜索支援アプリ41のプログラムが休止状態にある場合には、それぞれ携帯端末20、携帯端末30及び携帯端末40のOSが発信装置10から発信された所定の信号の受信を検出すると、プログラムの休止状態が解除され、図14のフローチャートの処理が開始されることを特徴としている。
【0071】
具体的には、最近のスマートフォンの主なOSの機能によると、所定の電波の検出をトリガとして、休止状態にあるアプリケーションプログラムの動作を開始させることが可能であり、この機能を活用することによって、携帯端末20、携帯端末30及び携帯端末40が定期的に発信装置10を探索するための通信を行う処理負担を回避し、携帯端末20、携帯端末30及び携帯端末40の省電力化を実現することができる。また、捜索支援アプリ21、捜索支援アプリ31及び捜索支援アプリ41による処理がバックグランドで実行されるため、携帯端末20、携帯端末30及び携帯端末40の利用者が意識することなく、図14のフローチャートの処理が実行される。
【0072】
OSによる発信装置10から発信された近距離無線通信の電波を、例えば、携帯端末30のOSが検出することによって、図14のフローチャートの処理が開始されると、発信装置10から受信した信号に含まれる発信装置10を識別するIDを特定して(S41)、捜索リスト32にこのIDが含まれているかを検索する(S42)。
【0073】
捜索リスト32にS41で特定したIDが含まれていない場合には、そのまま処理を終了するが、捜索リストに含まれている場合には(S43)、捜索支援サーバ50に、S41で特定したIDとGPS情報等から取得した携帯端末30の位置情報を、捜索対象の発見情報として送信する(S44)。
【0074】
尚、携帯端末40で発信装置10からの近距離無線通信の電波を検出した場合にも同様の処理が行われるが、捜索依頼者が携帯する携帯端末20で発信装置10からの電波を検出した場合には、捜索支援サーバ50を介して発見通知を送信する必要はないので、例えば、捜索支援アプリ21によって、捜索対象が付近にいることを示す画面を出力させ、直ちに捜索依頼者に了知させることとすればよい。
【0075】
図15のフローチャートは、捜索支援サーバ50の発見情報収集部52において、発見情報を受信する際の処理フローを示している。
【0076】
携帯端末30から、発見された捜索対象が所持する発信装置10のIDと携帯端末30の位置情報が含まれる発見情報を受信すると(S51)、発見情報に含まれるIDに対応する捜索情報格納部53に格納された捜索情報に、発見情報に含まれる位置情報と発見情報の受信日時を記録する(S52)。ここで記録される日時は、発見情報の受信日時に限定されるものではなく、例えば、携帯端末30における発信装置10からの信号の受信時を発見情報に含め、これを捜索情報に記録することとしてもよい。あわせて、この位置情報と発見情報の受信日時等を含む発見通知が、捜索依頼者が携帯する携帯端末20に送信される(S53)。
【符号の説明】
【0077】
10 発信装置
20 携帯端末
21 捜索支援アプリ
22 捜索リスト
30 携帯端末
31 捜索支援アプリ
32 捜索リスト
40 携帯端末
41 捜索支援アプリ
42 捜索リスト
50 捜索支援サーバ
51 捜索情報制御部
52 発見情報収集部
53 捜索情報格納部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15